JPH073094Y2 - メカニカルシール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、メカニカルシールに係り、特に、フラッシン
グ液による冷却・洗浄効果を高めたものに関する。

〔従来の技術〕

第２図を参照して従来例を説明する。第２図はダブルシ
ール型であって静止型の従来のメカニカルシールの構成
を示す半裁断面図である。

回転軸101の外周には、メイティングリング103が配置さ
れている。このメイティングリング103の一端面には、
シールリング105が当接配置されている。このシールリ
ング105は、リテーナ107に保持されていて、さらに、コ
イルスプリング109を介して、ケース111に保持されてい
る。シールリング105は、上記コイルスプリング109によ
って、メイティングリング103に押圧されている。

一方、メイティングリング103の他端面には、別のシー
ルリング113が当接配置されている。このシールリング1
13は、リテーナ115に保持されていて、さらに、コイル
スプリング117を介して、ケース119に保持されている。
上記シールリング113は、コイルスプリング117によっ
て、メイティングリング103に押圧されている。

又、リテーナ115とケース119との間には、Ｏリング121
が装着されている。

尚、図中右側が大気側（図中符号Ｘで示す）であり、左
側が機内側（図中符号Ｙで示す）である。

ところで、かかる構成をなすメカニカルシールにあって
は、メイティングリング103と、両シールリング105、11
3との摺動面等を冷却・洗浄するために、フラッシング
液を循環させている。

すなわち、ハウジング123には、フラッシング液を供給
する流路125、127が形成されていて、該流路125、127よ
り、図中矢印ａ、ｂで示すように、フラッシング液を供
給する。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来の構成によると次のような問題があった。

すなわち、従来の構成では、コイルスプリング109、117
の部分、Ｏリング121の部分は、密封流体Ａの滞留部と
なってしまい、フラッシング液が効率良く供給されず、
そのため、密封流体Ａ中の固形成分等が堆積して、作動
性が損なわれてしまうとともに、Ｏリング121が硬化、
劣化してしまうという問題があった。

又、各摺動面部（図中符号ａ、ｂで示す）までフラッシ
ング液を積極的に導く構成を備えていないので、摺動面
部ａ、ｂに効率良く供給されないおそれがあった。

図示するようなダブルシール型の場合には、略中央から
供給して、これをそれぞれに二分して供給するようにし
ているので、大量（略２倍）のフラッシグ液を要してし
まう。

又、それぞれに供給されるフラッシング液の量が不均一
となってしまうという問題もある。

本考案はこのような点に基づいてなされたものでその目
的とするところは、冷却・洗浄を目的としたフラッシン
グ液を摺動面部はもとより、コイルスプリング、Ｏリン
グ部等にも、効率良く供給して、冷却・洗浄効率を高め
ることが可能なメカニカルシールを提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するべく本願考案によるメカニカルシー
ルは、ハウジング内周部に固定されるケースに軸方向移
動自在に支持され上記ケース内のスプリングによって軸
方向に押圧された非回転のシールリングと、このシール
リングに上記スプリングと反対側から当接し上記ハウジ
ングの内周の回転軸に固定されたメイティングリングと
を備え、上記ケースとハウジングとの間にこのハウジン
グに開設されたフラッシング用孔と連通した環状溝が形
成されると共に、上記ケースに上記環状溝から上記ケー
ス又はシールリングのスプリング装着穴へ臨んで貫通し
た複数の流路が形成され、上記シールリングとメイティ
ングリングの摺動部外周空間へ供給されるフラッシング
液が上記フラッシング用孔、上記環状溝、上記流路およ
び上記スプリング装着穴を経由されるようにしたことを
特徴とするものである。

〔作用〕

本考案の構成によれば、ハウジングのフラッシング用孔
から供給されるフラッシング液が、ケースとハウジング
の間の環状溝からケースの複数の流路およびケース又は
シールリングのスプリング装着穴を経由してシールリン
グとメイティングリングの摺動部外周空間へ供給され、
あるいは逆に、上記摺動部外周空間を通過したフラッシ
ング液が、上記スプリング装着穴、流路および環状溝を
経由してフラッシング用孔へ排出されるので、フラッシ
ング液を、効率良く循環させることができる。

特に、従来、密封液の滞留部となっていたスプリング部
等についても、確実に循環させることができる。

〔実施例〕

以下第１図を参照して実施例を説明する。この実施例
は、本考案を、ダブルシール型であって静止型のメカニ
カルシールに適用したものである。

第１図はメカニカルシールの半裁断面図であり、図中右
側が大気側（図中符号Ｘで示す）であり、左側が機内側
（図中符号Ｙで示す）である。

回転軸１の段部３には、環状部材５が装着されていて、
該環状部材５の両側には、メイティングリング７、９が
それぞれ配置されている。

上記環状部材５と回転軸１との間には、Ｏリング11が装
着されているとともに、環状部材５の図中右側位置の回
転軸１の外周には、スリーブ13が装着されている。

メイティングリング７には、シールリング15が当接配置
されていて、このシールリング15は、コイルスプリング
17を介して、ケース19に保持されている。シールリング
15は、このコイルスプリング17によって、メイティング
リング７に押圧されている。

上記シールリング15とケース19との間には、Ｏリング21
が装着されており、又、ケース19とハウジング23との間
にも、Ｏリング25が装着されている。

一方、メイティングリング９にも、シールリング27が当
接配置されていて、このシールリング27は、コイルスプ
リング29を介して、ケース31に保持されている。シール
リング27は、このコイルスプリング29によって、メイテ
ィングリング９に押圧されている。

上記シールリング27とケース31との間には、Ｏリング33
が装着されており、ケース31とハウジング35との間に
も、Ｏリング37が装着されている。

上記ケース19とハウジング23との間には、環状溝39が形
成されており、該環状溝39と、ケース19内に形成された
コイルスプリング17が配置されたスプリング装着穴41と
を連通するように、ケース19には複数の流路43が形成さ
れている。

一方、ケース31とハウジング35との間にも、環状溝45が
形成されていて、該環状溝45と、シールリング27の背面
部に形成されコイルスプリング29が配置されたスプリン
グ装着穴47とを連通するように、ケース29には複数の流
路49が形成されている。

又、ケース19には、フラッシング液を、メイティングリ
ング７とシールリング15との摺動面部に積極的に導入す
る環状の誘導部材51が取り付けられている。同様に、ケ
ース31にも、環状の誘導部材53が取り付けられている。

尚、ハウジング35には、フラッシング液導入路55が形成
されているとともに、ハウジング23にはフラッシング液
排出路57が形成されている。

以上の構成を基にその作用を説明する。

フラッシング液は、フラッシング液供給路55を介して供
給され、図中矢印ａで示すようなルートで流れる。

すなわち、まず、環状溝45内に流入し、そこから複数の
流路49を介して、ケース31とシールリング27との間に流
入する。そして、スプリング装着穴47を経由して誘導部
材53によって、シールリング27とメイティングリング９
との摺動面部分（図中符号ｂで示す）に導かれる。

そこから、反対側に流通し、誘導部材51によって、シー
ルリング15とメイティングリング７との摺動面部分（図
中符号ｃで示す）に導かれる。

そこから、ケース19とシールリング15との間を流通し
て、スプリング装着穴41を経由し、さらに、複数の流路
43を介して、環状溝39に流れ込む。そして、フラッシン
グ液排出路57を介して排出される。

以上本実施例によると以下のような効果を奏することが
できる。

まず、従来密封液Ａが滞留していて、フラッシング液が
効率良く導入されなかった、コイルスプリング29および
Ｏリング33の部分、コイルスプリング17およびＯリング
21の部分に、フラッシング液を効率良く導入して、これ
を洗浄・冷却することができる。

したがって、固形成分等の堆積を防止して、その作動性
を長期にわたって維持することができるとともに、Ｏリ
ング33,21の硬化、劣化を防止して、寿命の延長を図る
ことができる。

従来のように、中央部から供給して二分する構成ではな
く、一方より他方に向かって流通させる構成であるの
で、従来程の流量を要することはない。よって、図示し
ないポンプ、タンク等の容量を小さくすることができ
る。

中央部から供給して二分する構成の場合に懸念されてい
た、流量の不均一といった問題も解消される。

誘導部材51、53によって、各摺動面部ｂ、ｃに、フラッ
シング液を積極的に導く構成であるので、摺動面部ｂ、
ｃを効率良く冷却することができる。

尚、本考案は前記一実施例に限定されるものではない。

例えば、環状溝31、39の形状、大きさ、流路43、49の形
状、大きさ、数等については、種々のものが考えられ
る。

又、前記一実施例では、ダブルシール型であって静止型
のメカニカルシールに適用したが、それに限定されるも
のではない。

〔考案の効果〕

以上詳述したように本考案によるメカニカルシールによ
ると、摺動部外周に供給されるフラッシング液の流れが
ケース内のスプリング装着穴を経由するようにしたた
め、フラッシング液が上記スプリング装着穴で滞留して
その固形成分がスプリング等へ堆積することによりシー
ルリングの作動性が悪化するのを確実に防止でき、効果
的な冷却・洗浄をなすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例によるメカニカルシールの半
裁断面図、第２図は従来のメカニカルシールの半裁断面
図である。 １…回転軸、7,9…メイティングリング 15,27…シールリング 17,29…コイルスプリング 19,31…ケース、23,35…ハウジング 39,45…環状溝、43,49…流路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング内周部に固定されるケースに軸
   方向移動自在に支持され上記ケース内のスプリングによ
   って軸方向に押圧された非回転のシールリングと、この
   シールリングに上記スプリングと反対側から当接し上記
   ハウジングの内周の回転軸に固定されたメイティングリ
   ングとを備え、上記ケースとハウジングとの間にこのハ
   ウジングに開設されたフラッシング用孔と連通した環状
   溝が形成されると共に、上記ケースに上記環状溝から上
   記ケース又はシールリングのスプリング装着穴へ臨んで
   貫通した複数の流路が形成され、上記シールリングとメ
   イティングリングの摺動部外周空間へ供給されるフラッ
   シング液が上記フラッシング用孔、上記環状溝、上記流
   路および上記スプリング装着穴を経由されるようにした
   ことを特徴とするメカニカルシール。