JPH073091A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH073091A
JPH073091A JP16735893A JP16735893A JPH073091A JP H073091 A JPH073091 A JP H073091A JP 16735893 A JP16735893 A JP 16735893A JP 16735893 A JP16735893 A JP 16735893A JP H073091 A JPH073091 A JP H073091A
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JP
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peroxide
weight
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thermoplastic elastomer
olefin
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JP16735893A
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English (en)
Inventor
Masakatsu Suetsugu
正克 末次
Eiji Sezaki
英治 瀬崎
Tetsuro Nogata
鉄郎 野方
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性プラスチックで通常使用の装置で成
形でき、またパーオキサイド架橋型オレフィン系共重合
体ゴムが部分的に架橋されているため、ゴム的性質が優
れており、かつ流動性が良好であるため、成形性に優
れ、かつ高強度品となり得る熱可塑性エラストマー組成
物、を提供する。 【構成】 (a)パーオキサイド架橋型オレフィン系共
重合体ゴム50〜93重量部、(b)パーオキサイド分
解型オレフィン系プラスチック50〜7重量部、及び
(c)(a)+(B)100重量部に対し0.5〜50
重量部のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩、からなる
混合物を(d)有機パーオキサイドの存在下に動的熱処
理し、部分的に架橋してなる熱可塑性エラストマー組成
物において、(b)を予め減成処理した後、直ちに
(a)、(c)および(d)を加えて動的熱処理し、部
分的に架橋反応させた熱可塑性エラストマー組成物、及
び部分的な架橋反応が終了した後、更に(e)に鉱油系
軟化剤を添加した熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性エラストマー
組成物に関し、更に詳しくは、パーオキサイド架橋型オ
レフィン系共重合体ゴム、パーオキサイド分解型オレフ
ィン系プラスチック、α,β−不飽和カルボン酸の金属
塩、有機パーオキサイドおよび必要により鉱油系軟化
剤、架橋助剤から成る組成物を動的に熱処理して部分的
に架橋した、自動車の内外装部品、土木建築関連資材、
工業機械部品、医療関連器材、ハウジング、OA部品お
よび雑貨等に押出成形若しくは射出成形しうる熱可塑性
エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のゴムを射出成形するには、ゴムに
添加剤を配合、混練し、金型内で成形後、加硫工程が必
要であるため、特殊な成形機を必要とし、サイクル時間
が長くかつ工程が煩雑であるという問題があり、また押
出成形においても同様な問題があり、ゴム製品を大量生
産する上での障害となっていた。それゆえ、加硫工程を
必要としないで成形でき、かつゴム類似の性能を有する
熱可塑性エラストマー組成物が嘱望されていた。パーオ
キサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴム、パーオキサ
イド分解型オレフィン系プラスチック、有機パーオキサ
イド等の硬化剤からなる混合物を溶融状態で熱的に処理
して、オレフィン系樹脂と部分的に架橋されたゴムとか
らなる組成物はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物として既に公知である。
【0003】しかしながら、該熱可塑性エラストマー組
成物は、有機パーオキサイド分解型オレフィン系プラス
チックと有機パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合
体ゴムをほぼ同時に連続式あるいはバッチ式混練機に投
入して、有機ペーオキサイドの存在下で熱処理して製造
したものであり、熱可塑性エラストマーとして優れた性
能を有しているものの、汎用プラスチックに比べ流動性
が著しく劣っており、押出成形や射出成形した場合、顕
著なフローマーク等を生じ外観の良好な製品が得られな
い、という欠点があった。
【0004】熱可塑性エラストマー組成物を軟質材、表
面材等に使用するためには、流動性、シート成形時の薄
膜成形性を向上させることが不可欠であり、それには、
(イ)使用するオレフィン系プラスチックのメルトフロ
ー比(MFR)を上昇させる、(ロ)熱可塑性エラスト
マー組成物中のゴム部分の架橋度を低下させる、等の方
法があるが、(イ)の方法では使用するオレフィン系プ
ラスチックの分子量の低下によりオレフィン系プラスチ
ックの強度が低下し、またオレフィン系プラスチックと
ゴムとの接着力が低下するため、熱可塑性エラストマー
組成物の強度が低下する、という問題があり、(ロ)の
方法ではゴム部分の架橋度が低下すると熱可塑性エラス
トマー組成物の強度が低下する、という問題があった。
そして、熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、引張特
性、柔軟性および反撥弾性を実質的に損うことなく、流
動性を改善する為に、これらの組成物に鉱油系軟化剤を
添加し、しかる後有機パーオキサイドの存在下で動的に
熱処理することも例えば特公昭56−15741号公報
に記載されている如く公知である。更に、オレフィン系
共重合体ゴム、アイソタクティック・ポリプロピレン樹
脂、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩を架橋剤の存在
下に部分的に共架橋させて得られる熱可塑性エラストマ
ー組成物も例えば特開平4−261448号公報に記載
されている如く公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者等
は、熱可塑性エラストマー組成物を製造するに際して、
パーオキサイド分解型オレフィン系プラスチックについ
て検討した結果、オレフィン系プラスチックを有機パー
オキサイドの存在下あるいは熱及び剪断力下で分解する
減成処理を行った後、直ちにパーオキサイド架橋型オレ
フィン系共重合体ゴムを添加し、有機パーオキサイドの
存在下で架橋反応させると、予め分解してMFRを同程
度に増大させたパーオキサイド分解型オレフィン系プラ
スチックとパーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体
ゴムとを同時に添加し有機パーオキサイドの存在下で架
橋させた熱可塑性エラストマー組成物に比較して、引張
強度が向上することが判明し、発明を完成し別途特許出
願をした。
【0006】また、本発明者等は、熱可塑性エラストマ
ー組成物を製造するに際して、鉱油系軟化剤の添加時期
について検討した結果、鉱油系軟化剤がパーオキサイド
架橋型オレフィン系共重合体ゴムおよびパーオキサイド
分解型オレフィン系プラスチックからなる樹脂に溶解す
る過程で、樹脂に大きな粘度ムラ(鉱油系軟化剤が溶解
した部分は低粘度、その他は高粘度)が生じ、鉱油系軟
化剤が樹脂に溶解する過程で架橋反応が行われると、高
粘度の部分は混練されずに(高粘度の部分は混練され難
い)架橋が行われ、架橋ゴムの粗大粒子が発生する原因
となり、該架橋ゴムの粗大粒子は熱可塑性エラストマー
をシート等に加工した場合フィシュアイとなって、製品
の外観、物性、2次加工性に悪影響を及ぼすことが判明
し、発明を完成しさらに別途特許出願をした。
【0007】本発明者等は、パーオキサイド分解型オレ
フィン系プラスチックを有機パーオキサイドの存在下、
あるいは熱および剪断力下で分解すると、パーオキサイ
ド分解型オレフィン系プラスチックにラジカルが多数存
在した状態となり、該オレフィン系プラスチックにパー
オキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムを添加し有
機パーオキサイドの存在下で架橋反応を行うと、パーオ
キサイド分解型オレフィン系プラスチックとパーオキサ
イド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとの界面での接着
性が向上し、それにより引張強度が向上したものと推定
される。また、この様にして得られた熱可塑性エラスト
マー組成物は組成物全体のMFRも大きくなり、流動性
が向上するばかりでなく引張強度も向上するものである
ことを知見した。さらに、本発明者等は、前記別途出願
した熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を、特にオ
レフィン系共重合体ゴム、オレフィン系プラスチック、
有機パーオキサイド及びα,β−不飽和カルボン酸の金
属塩から成る混合物を動的熱処理した熱可塑性エラスト
マー組成物に適用することにより、良好な架橋による高
強度、鉱油系軟化剤の高充填により、低硬度で機械的強
度が向上した流動性の良好な熱可塑性エラストマー組成
物が得られることを知見し、本発明等を完成するに至っ
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、
(a)パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴム
50〜93重量部、(b)パーオキサイド分解型オレフ
ィン系プラスチック50〜7重量部、及び(c)(a)
+(b)100重量部に対し0.5〜50重量部のα,
β−不飽和カルボン酸の金属塩からなる混合物を(d)
有機パーオキサイドの存在下に動的熱処理し、部分的に
架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物において、
(b)をあらかじめ減成処理した後直ちに(a)、
(c)および(d)を加えて動的熱処理し、部分的に架
橋反応させたこと特徴とする熱可塑性エラストマー組成
物であり、同じく第2の発明は、(a)パーオキサイド
架橋型オレフィン系共重合体ゴム50〜93重量部、
(b)パーオキサイド分解型オレフィン系プラスチック
50〜7重量部、及び(c)(a)+(b)100重量
部に対し0.5〜50重量部のα,β−不飽和カルボン
酸の金属塩からなる混合物を(d)有機パーオキサイド
の存在下に動的熱処理し、部分的に架橋してなる熱可塑
性エラストマー組成物において、(b)をあらかじめ減
成処理した後直ちに(a)、(c)および(d)を加え
て動的熱処理を行い、部分的ん架橋反応が終了した後に
(e)に鉱油系軟化剤を添加することを特徴とする熱可
塑性エラストマー組成物である。
【0009】本発明で使用される(a)パーオキサイド
架橋型オレフィン系共重合体ゴムとは、オレフィンを主
成分とする無定形ランダムな弾性共重合体であって有機
パーオキサイドと混合し、加熱下に混練することにより
架橋して流動性の低下もしくは流動しなくなるゴムをい
い、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチ
レン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタ
ジエン共重合体ゴムの如きゴムであり、これらのうちで
は、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プ
ロピレン−非共役ジエンゴムが好ましく、エチレン−プ
ロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムとしては、ジエン
モノマーとして炭素原子数5〜20の非共役ジエン、例
えば1,4−ペンタジエン、1,4−および1,5−ヘ
キサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン
および1,4−オクタジエン等、環状ジエン、例えば
1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジ
シクロペンタジエン、アルケニルノルボルネン、例えば
5−エチリデン−および5−ブチリデン−2−ノルボル
ネン、2−メタリル−および2−イソプロペニル−5−
ノルボルネン等を用いたものが挙げられ、これらの中で
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
体ゴムが耐熱性、引張特性、および反撥弾性が優れた組
成物が得られる点で特に好ましい。本発明において、パ
ーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムの量とし
ては、50〜93重量部の範囲が好ましい。本発明にお
いて、パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴム
の量としては50〜93重量部、好ましくは60〜90
重量部であり、50重量部未満では組成物の柔軟性及び
反撥酸性が損なわれ、製品にひけを生ずる事となり、一
方、93重量部をこえると組成物の耐熱性、流動性が損
なわれることとなる。
【0010】本発明で使用される(b)パーオキサイド
分解型オレフィン系プラスチックとは、有機パーオキサ
イド存在下、あるいは熱および剪断力下で減成し樹脂の
流動性が増加する結晶性部分を含有するオレフィン系の
プラスチックをいい、例えば、1種またはそれ以上のモ
ノオレフィンの重合により得られる結晶性の高分子量の
固体生成物を含み、好ましいオレフィンポリマーの例と
しては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1
−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−
1−ヘキセンのホモポリマー、コポリマーおよびそれら
の混合物であり、特に好ましくは、ポリプロピレン系樹
脂である。ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタク
チックポリプロピレン又はプロピレンとエチレン、ブテ
ン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィンとのランダム
あるいはブロック共重合体であり、結晶部分がポリプロ
ピレンである共重合体である。
【0011】本発明において、パーオキサイド分解型オ
レフィン系プラスチックは、減成処理により、メルトフ
ローレートを50〜10000g/10分に成るよう調
整する必要があり、減成処理の方法は、有機パーオキサ
イドの存在下あるいは熱および剪断力で分解処理を行
う。有機パーオキサイドにより減成処理する場合は、有
機パーオキサイドの存在下170〜250℃で0.5〜
5分間溶融混練することにより行えばよく、使用する有
機パーオキサイドの量はパーオキサイド分解型オレフィ
ン系プラスチック100重量部に対して2重量部以下で
あり、目的とするメルトフローレートによって適宜変更
して用いることができる。
【0012】本発明におけるパーオキサイド分解型オレ
フィン系プラスチックの熱および剪断力下での分解と
は、パーオキサイド架橋型オレフィン系プラスチックを
290〜480℃の範囲、好ましくは320〜450℃
の範囲で分解するに十分な時間、典型的には1〜10分
間、好ましくは2〜6分間混練して、分解させる。
【0013】本発明において、パーオキサイド分解型オ
レフィン系プラスチックは、組成物の流動性の向上、お
よび耐熱性の向上に寄与し、組成物の総量100重量部
に対するパーオキサイド分解型オレフィン系プラスチッ
クの量は7〜50重量部、好ましくは10〜40重量部
の範囲であり、50重量部を越えると組成物の柔軟性お
よび反撥弾性が損われ、かつ製品にひけを生じるように
なり、一方、オレフィン系プラスチックが7重量部未満
であると、組成物の耐熱性、流動性が損なわれ、本発明
の目的を達成しなくなる。本発明で使用される(e)鉱
油系軟化剤は、通常はゴムをロール加工する際、ゴムの
分子間作用力を弱め、加工を容易にするとともに、カー
ボンブラック、ホワイトカーボン等の分散を助け、また
熱可塑性エラストマーの流動性、柔軟性を改善するため
に配合される高沸点石油留分で、パラフィン系、ナフテ
ン系、芳香族系などの軟化剤が使用でき、特にパラフィ
ン系、テフテン系が好ましい。
【0014】本発明における鉱油系軟化剤の配合量は、
パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとパー
オキサイド分解型オレフィン系プラスチックとの総量1
00重量部に対して5〜300重量部、好ましくは10
〜200重量部、特に10〜100重量部であり、この
配合量が5重量部未満では熱可塑性エラストマー組成物
に対して十分な流動性改善効果がなく、また300重量
部を越えると、組成物耐熱性が低下し、また軟化剤が滲
出して外観を損なう等の悪影響がある。鉱油系軟化剤は
動的熱処理する前から存在させてもよいが動的熱処理し
て架橋反応を終了させた後に添加して溶融混練するのが
好ましい。
【0015】本発明における(c)α,β−不飽和カル
ボン酸の金属塩としては、α,β−不飽和カルボン酸を
金属の酸化物、塩化物、炭酸金属塩等から派生する金属
イオンで中和したものであり、該金属塩の主体をなす
α,β−不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、
メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、イソクロト
ン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられ、好ましくはア
クリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、
イソクロトン酸であり、さらに好ましくはアクリル酸、
メタクリル酸である。また、α,β−不飽和カルボン酸
を中和し塩を形成する金属としては、例えばリチウム、
ナトリウム、カリウム、セシウム等の1価金属、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、
亜鉛等の2価金属、またはアルミニウム、鉄等の3価金
属等が挙げられるが、2価金属が好ましく、特に亜鉛が
好ましい。そして、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩
として最も好ましいのは、ジアクリル酸亜鉛、ジメタク
リル酸亜鉛である。α,β−不飽和カルボン酸の金属塩
の使用量は、樹脂分100重量部に対して、0.5〜5
0重量部、好ましくは0.5〜40重量部であり、0.
5重量部未満では引張強度が向上せず、50重量部を超
えると組成物の流動性が悪化し、成形外観が悪くなる。
【0016】本発明でパーオキサイド架橋型オレフィン
系共重合体ゴムの架橋またはパーオキサイド分解型オレ
フィン系プラスチックの分解に使用される有機パーオキ
サイドとしては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−
t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル
−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、
ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオ
キシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t
−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキ
シイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシ
ド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオ
キシド等を挙げることができ、これらのうちでは2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サンおよびn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペル
オキシ)バレレートが好ましくなかでも2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、が最も好ましい。
【0017】パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合
体ゴムを架橋反応するに際しては、樹脂の総量100重
量部に対し、好ましくは0.05〜2重量部、特に0.
1〜1重量部の範囲にあるよう選ぶべきであり、配合量
が0.05重量部未満であるとパーオキサイド架橋型オ
レフィン系共重合体ゴムの架橋度が少な過ぎ、その結
果、組成物の耐熱性、引張特性、弾性回復および反撥弾
性等のゴム的性質が十分でなく、一方、2重量部を越え
るとパーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムの
架橋度が増す結果組成物全体の流動性が低下する。
【0018】本発明では、α,β−不飽和カルボン酸の
金属塩および有機パーオキサイド架橋剤と共に必要に応
じて架橋助剤を用いることも可能であり、本発明で使用
される架橋助剤としては、パーオキサイド架橋型、
多官能性(メタ)アクリレートモノマー、多官能性ビ
ニル、およびビスマレイミド化合物、α−メチルス
チレンダイマーの様な同一分子内に安定なラジカルを発
生する連鎖移動型の架橋助剤があり、例えば、硫黄、p
−キノンオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオ
キシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニ
トロベンゼン、ビニルブチラート、ビニルステアレー
ト、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−
N,N′−m−フェニレンジマレイミドの如き有機パー
オキサイド架橋助剤あるいは、ジビニルベンゼン(DV
B),エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート(TMPT)、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレー
ト、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート等の多官能ビニルモノ
マー類を挙げることができ、このような化合物の添加に
より、均一かつ緩和な架橋反応が期待でき、特に本発明
においてはジビニルベンゼン、トリメチロールプロパン
トリメタクリレートを用いると前記被処理物の主成分た
るパーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムおよ
びパーオキサイド分解型オレフィン系プラスチックへの
相溶性が良好であり、かつ有機ペルオキシド可溶化作用
を有し、ペルオキシドの分散助剤として働くため、熱処
理による架橋効果が均質で、流動性と物性のバランスの
とれた組成物が得られるため最も好ましい。
【0019】該架橋助剤の配合量は、樹脂分100重量
部に対し0.05〜2重量部、特に0.1〜1重量部の
範囲が好ましく、2重量部を超えて配合すると、有機パ
ーオキサイドの配合量が多い場合は、架橋反応が進む結
果、組成物の流動性が劣り、一方、有機パーオキサイド
の配合量が少ない場合は未反応のモノマーとして、組成
物中に存在し、組成物を加工成形する際の熱履歴により
物性の変化を生じたりするため過剰の配合は避けるべき
である。本発明では、有機パーオキサイドの分解を促進
するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の
三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、
銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウ
ム、鉛、水銀等のナフテン酸塩、オクタン酸塩等の有機
金属カルボン酸塩等の分解促進剤を使用することもでき
る。
【0020】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、以上述べた各成分の内パーオキサイド分解型オ
レフィン系プラスチックを予め有機パーオキサイドの存
在下、あるいは熱及び剪断力下で分解し、溶融状態の該
樹脂に残余の成分を添加して動的熱処理して部分的架橋
反応行う、あるいは残余の成分から鉱油系軟化剤を除い
た成分を添加し、部分的架橋反応を終了させ、しかる後
に鉱油系軟化剤を添加して混練溶解して得たものであ
る。混練装置としては、開放型のミキシグロールや非開
放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミ
キサー等、従来より公知のものを使用することができ、
これらのうちでは、非開放型の装置を用いるのが好まし
く、架橋反応を行う際には窒素や炭酸ガス等の不活性ガ
ス雰囲気下で混練することが好ましい。
【0021】混練は使用する有機パーオキサイドの半減
期が1分未満となる温度、通常は150〜280℃、好
ましくは、170〜240℃で、1〜20分、好ましく
は3〜10分混練すればよい。本発明の熱可塑性エラス
トマー組成物は、通常の熱可塑性プラスチックで使用さ
れている装置で成形でき、押出成形、カレンダー成形、
射出成形に適しており、またオレフィン系共重合体ゴム
成分が部分的に又は完全に架橋されているため、耐熱
性、耐候性、引張特性、柔軟性および反撥弾性等のゴム
的性質が優れており、かつ流動性が良好であるため、成
形性に優れている。
【0022】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、流動性およびゴム的性質を損わない範囲で充填剤、
例えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カ
オリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベ
スト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫
酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブ
デン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバ
ルーン、カーボン繊維等あるいは着色剤、例えば、カー
ボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、群青、
紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシ
アニン顔料等を配合することができ、更に、必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属劣化防止剤等の安定
剤、滑剤、帯電防止剤、電気特性改良剤、難燃化剤、加
工性改良剤等の樹脂或いはゴムに通常配合される添加剤
を配合することができる。本発明の熱可塑性エラストマ
ー組成物の用途としては、ボデイパネル、バンパー部
品、サイドシールド、ステアリングホイール等の自動車
の内外装部品、土木建築関連資材、ガスケット等の工業
機械部品、医療関連器機、ハウジング、電線被覆、コネ
クター、キャッププラグ等のOA部品、レジャー用品、
ガーデンホース、ベルト,履物等の雑貨品に使用しう
る。
【0023】
【実施例】以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限
り、これら実施例により何ら限定されるものではない。
本発明の実施例および比較例においては、以下の原材料
を用いた。 1.パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴム EPDM:エチレン−プロピレン−エチリデンノルボル
ネン共重合体ゴム〔ムーニー粘度ML 1+4 (100
℃)=88、ヨウ素価15.0、プロピレン含有率28
重量%〕 2.パーオキサイド分解型オレフィン系プラスチック BPP:プロピレン−エチレンブロック共重合体〔密度
0.90g/cm3 ,メルトフロ−レ−ト(MFR,2
30℃、2.16kg荷重)40g/10分、エチレン
含有量7重量%〕 3.鉱油系軟化剤 Oil:パラフィン系軟化剤〔15℃の密度0.870
0g/cm3 粘度指数110〕 4.α,β−不飽和カルボン酸の金属塩 金属塩−1:亜鉛ジアクリレート 金属塩−2:亜鉛ジメタクリレート 5.有機パーオキサイド POX:2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパー
オキシ)ヘキシン−36.架橋助剤 TMPT:トリメチロールプロパントリメタアクリレー
ト DVB:ジビニルベンゼン
【0024】(実施例1)同方向回転2軸混練機TEX
54(日本製鋼所製)の第一ホッパーにBPP:25重
量部とPOX:0.05重量部とを投入し、シリンダー
温度280℃の分解帯域で分解し、得られたBPPのM
FRは210g/10分であった。分解帯域で分解され
たBPPに第二ホッパーよりEPDM:75重量部、金
属塩−1:0.5重量部、POX:0.12重量部を投
入し、窒素雰囲気下でシリンダー温度200℃の熱処理
帯域で動的熱処理し架橋反応を終了させ、該位置に設け
たノズルよりOil:40重量部を注入し、シリンダー
温度200℃の帯域でオイルを練込みを行い、熱可塑性
エラストマー組成物を得た。得られた組成物の評価結果
を表1に示す。 (実施例2)金属塩−1の添加量を5重量部とした以外
は実施例1と同様な方法で熱可塑性エラストマー組成物
を得た。得られた組成物の評価結果を表1に示す。 (実施例3)金属塩−1の添加量を10重量部とした以
外は実施例1と同様な方法で熱可塑性エラストマー組成
物を得た。得られた組成物の評価結果を表1に示す。 (実施例4)金属塩−1の添加量を30重量部とした以
外は実施例1と同様な方法で熱可塑性エラストマー組成
物を得た。得られた組成物の評価結果を表1に示す。 (実施例5)金属塩−1に代え、金属塩−2を用いその
添加量を5重量部とした以外は実施例1と同様な方法で
熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物の
評価結果を表1に示す。 (実施例6)金属塩−1に代え、金属塩−2を用いその
添加量を10重量部とした以外は実施例1と同様な方法
で熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物
の評価結果を表1に示す。 (実施例7)実施例2の組成物に、更に加えてTMPT
を0.12重量部用いた以外は実施例1と同様な方法で
熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物の
評価結果を表1に示す。 (実施例8)実施例2の組成物に、更に加えてDVBを
0.18重量部用いた以外は実施例1と同様な方法で熱
可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物の評
価結果を表1に示す。 (実施例9)実施例2の組成物においてOilの注入量
を80重量部とした以外は実施例1と同様な方法で熱可
塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物の評価
結果を表1に示す。
【0025】(比較例1)実施例7の組成物において、
金属塩−1を添加しなかった以外は実施例7と同様な方
法で熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成
物の評価結果を表1に示す。 (比較例2)実施例8の組成物において、金属塩−1を
添加しなかった以外は実施例8と同様な方法で熱可塑性
エラストマー組成物を得た。得られた組成物の評価結果
を表1に示す。 (比較例3)実施例1の組成物において、金属塩−1の
添加量を0.2重量部とした以外は実施例1と同様な方
法で熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成
物の評価結果を表1に示す。 (比較例4)実施例1の組成物において、金属塩−1の
添加量を60重量部とした以外は実施例1と同様な方法
で熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物
の評価結果を表1に示す。 (比較例5)実施例2の組成物において、POXを5重
量部もちいた以外は実施例2と同様な方法で熱可塑性エ
ラストマー組成物を得た。得られた組成物の評価結果を
表1に示す。
【0026】
【表1】 表1から、BPPを有機パーオキサイドで分解し、いま
だ溶融状態にある物に、α,β−不飽和カルボン酸金属
塩及び残余の成分を添加し、動的な熱処理を施し、部分
的に架橋反応させたものを用いた実施例1乃至9は、比
較例1乃至5に比較して、バランスの取れた物性を示し
ていることが判る。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、本発明
者が知見した熱可塑性エラストマー組成物の製造法を、
特にα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を含む組成物に
適用することにより、通常の熱可塑性プラスチックで使
用されている装置で成形でき、押出成形、カレンダー成
形、射出成形に適しており、またパーオキサイド架橋型
オレフィン系共重合体ゴムが部分的に架橋されているた
め、耐熱性、耐候性、引張特性、柔軟性および反撥弾性
等のゴム的性質が優れており、かつ流動性が良好である
ため、成形性に優れ、かつ高度の架橋による高強度およ
び高加工性を保持しつつ高強度品となる熱可塑性エラス
トマー組成物を提供することができた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)パーオキサイド架橋型オレフィン
    系共重合体ゴム50〜93重量部、(b)パーオキサイ
    ド分解型オレフィン系プラスチック50〜7重量部、及
    び(c)(a)+(B)100重量部に対し0.5〜5
    0重量部のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩からなる
    混合物を(d)有機パーオキサイドの存在下に動的熱処
    理し、部分的に架橋してなる熱可塑性エラストマー組成
    物において、(b)をあらかじめ減成処理した後直ちに
    (a)、(c)および(d)を加えて動的熱処理し、部
    分的に架橋反応させたことを特徴とする熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  2. 【請求項2】 (a)パーオキサイド架橋型オレフィン
    系共重合体ゴム50〜93重量部、(b)パーオキサイ
    ド分解型オレフィン系プラスチック50〜7重量部、及
    び(c)(a)+(B)100重量部に対し0.5〜5
    0重量部のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩からなる
    混合物を(d)有機パーオキサイドの存在下に動的熱処
    理し、部分的に架橋してなる熱可塑性エラストマー組成
    物において、(b)をあらかじめ減成処理した後直ちに
    (a)、(c)および(d)を加えて動的熱処理を行
    い、部分的な架橋反応が終了した後に(e)に鉱油系軟
    化剤を添加することを特徴とする熱可塑性エラストマー
    組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007008271A1 (en) * 2005-07-13 2007-01-18 Advanced Elastomer Systems, L.P. Peroxide-cured thermoplastic vulcanizates
JP2009235310A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Jsr Corp シール材及び複合体
US7872075B2 (en) 2005-10-07 2011-01-18 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Peroxide-cured thermoplastic vulcanizates and process for making the same
JP2011178827A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性エラストマー組成物及びその用途

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