JPH07306390A - 偏光面切換器及びそれを用いた光スイッチ - Google Patents

偏光面切換器及びそれを用いた光スイッチ

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JPH07306390A
JPH07306390A JP12314394A JP12314394A JPH07306390A JP H07306390 A JPH07306390 A JP H07306390A JP 12314394 A JP12314394 A JP 12314394A JP 12314394 A JP12314394 A JP 12314394A JP H07306390 A JPH07306390 A JP H07306390A
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浩光 梅沢
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洋一 鈴木
Tomokazu Imura
智和 井村
Hiroshi Rikukawa
弘 陸川
Tsugio Tokumasu
次雄 徳増
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気光学式偏光面切換器及び光スイッチのス
イッチング速度を向上させる。 【構成】 鉄含有ガーネット単結晶膜からなるファラデ
ー回転子16と、それに磁界を印加する磁界反転可能な
磁界印加手段とを具備する。磁界印加手段は、半硬質磁
性材料からなるほぼC型平板状のヨーク10と、それに
施した巻線12とからなる。磁界印加手段による磁界印
加時に該ファラデー回転子の一部分は磁化が未飽和状態
であり、残りの部分は磁化が飽和状態となって、その磁
化が飽和している部分を膜面に対してほぼ垂直方向に光
ビームが通過する。例えば、ファラデー回転子をギャッ
プ部から大きくはみ出す形状にしたり、先端に磁気シー
ルド材を被せる。主ヨークと補助ヨークを組み合わせ
て、逆向きの磁界を印加するようにしてもよい。ギャッ
プ長が短い部分を複数箇所設ける構成もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファラデー回転子に印
加する磁界の方向を反転させることにより、光の偏光方
向を切り換える磁気光学式の偏光面切換器、及びそれを
用いた光スイッチに関するものである。更に詳しく述べ
ると本発明は、磁界印加時に、ファラデー回転子の一部
分は磁化が未飽和状態であり、残りの部分は磁化が飽和
状態にとなって、その磁化が飽和している部分を膜面に
対してほぼ垂直方向に光ビームが通過するようにした偏
光面切換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信システムや光学測定装置などにお
いては、光の進行方向を空間的に切り換えるための光ス
イッチが必要である。これには1×1型光スイッチ(光
シャッタ)や2×2型光スイッチ、あるいはこれらを組
み合わせたものが用いられる。光スイッチの構造は、機
械式、電気光学効果や音響光学効果を利用した方式、あ
るいは磁気光学式など、種々提案されている。そのなか
でも磁気光学式は、内部に設置した磁気光学式の偏光面
切換器によって、光ビームの偏光面を磁気的に切り換え
るものであり、機械式に比べて高速で動作し且つ小形化
でき、優れた長期信頼性をもつ利点がある。
【0003】代表的な磁気光学式の偏光面切換器は、磁
性材料からなるヨークと、該ヨークに施した巻線と、ヨ
ークのギャップ部に挿入した薄板状のファラデー回転子
とからなる。ファラデー回転子としては、LPE法によ
るビスマス置換鉄ガーネット単結晶膜が多用されつつあ
る。その理由は、ビスマス置換鉄ガーネットはファラデ
ー回転係数が大きく、そのため比較的薄い膜構造にでき
るし、またLPE法は生産性が高い利点を有するからで
ある。
【0004】このファラデー回転子は、ヨークに設けら
れているギャップ部に、ギャップ長の方向に対して垂直
に挿入される。その場合、ファラデー回転子は、その一
部がギャップ部から外側へはみ出す大きさとなってお
り、そのはみ出し部分を光ビームが通過するようになっ
ている。ここで従来技術では、ファラデー回転子の上記
はみ出し部分を極力小さくし、ヨークによる磁界によっ
てガーネット単結晶膜の磁化が全面にわたって飽和する
ような磁界を印加して使用してる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の磁気光学式光ス
イッチにおけるスイッチング時間は、数十〜250μ秒
(本発明者等による従来比較では、通常80μ秒程度)
である。ところで、1×1型光スイッチ(光シャッタ)
の用途の一つとして、本発明者等が提案した過大光遮断
装置がある。これは、光増幅器が異常発振を起こすと、
規定レベルを超える過大な強度の光が伝播してしまい、
受光素子などの光部品や受光素子後段の電子部品を破壊
することがあるので、光の経路に光パワー検出器と遅延
ファイバと光スイッチを直列に配置し、過大光を検出し
た時に、素早く光スイッチをオフにして、遅延ファイバ
を通過してくる過大光を遮断して、光部品や電子部品を
保護する装置である。
【0006】上記のような光スイッチで要求される遮断
時間は、ファイバの遅延時間で決まるが、例えばファイ
バ長が200mの場合は約1μ秒、2000mの場合は
10μ秒程度である。ファイバ長は過大光遮断装置の大
きさに直接影響を及ぼし、できるだけ短い方が好ましい
ことは言うまでもない。現実的には、遮断時間が遮断時
間が10μ秒以下の高速で光を遮断でき、且つ信頼性の
高い光スイッチが必要となる。
【0007】本発明の目的は、高速でスイッチングする
磁気光学式の偏光面切換器及び光スイッチを提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鉄含有ガ
ーネット単結晶膜からなるファラデー回転子についてス
イッチング速度と印加する磁界分布の関係について検討
した。その結果、鉄含有ガーネット単結晶膜の磁化が全
面にわたって飽和する磁界をかけた時よりも、空間的に
磁化の分布があり、鉄含有ガーネット単結晶膜の一部の
磁化が未飽和となる磁界をかけた時の方が、スイッチン
グ速度が向上することを見出した。本発明は、かかる知
得に基づきなされたものである。
【0009】本発明は、鉄含有ガーネット単結晶膜から
なるファラデー回転子と、該ファラデー回転子に磁界を
印加する磁界反転可能な磁界印加手段とを具備する偏光
面切換器である。本発明では、磁界印加手段による磁界
印加時に該ファラデー回転子の一部分は磁化が未飽和状
態であり、残りの部分は磁化が飽和状態となって、その
磁化が飽和している部分を膜面に対してほぼ垂直方向に
光ビームが通過する構造になっており、その点に特徴が
ある。
【0010】具体的には例えば、半硬質磁性材料からな
るほぼC型平板状のヨークと、該ヨークに施した巻線
と、前記ヨークに設けられているギャップ部に、ギャッ
プ長の方向に対して垂直に挿入した鉄含有ガーネット単
結晶膜からなるファラデー回転子とを具備し、該ファラ
デー回転子は、その大部分がギャップ部から外側へはみ
出す大きさであり、そのはみ出し部分の先端部は磁化の
未飽和領域であって、はみ出し部分のうちの磁化の飽和
領域を膜面に対してほぼ垂直方向に光ビームが通過する
ようにする。あるいはファラデー回転子のはみ出し部分
の先端部に磁気シールド材を取り付けて磁化の未飽和領
域を形成してもよい。また主ヨークと補助ヨークを用
い、それらによる磁界がファラデー回転子に対して逆方
向に印加されるような構成もある。更には、ヨークのギ
ャップ部を、ギャップ長の短い部分が複数箇所間隔をお
いて設けて、ギャップ長が長い部分が磁化の未飽和領域
となるような構成としてもよい。
【0011】前記のファラデー回転子としては、液相エ
ピタキシャル法により育成され、補償温度をもつビスマ
ス置換鉄ガーネット単結晶膜からなり、1120℃以
上、1180℃以下の温度で、且つ7時間以内のトップ
条件で熱処理されたものが最適である。
【0012】本発明では、例えば対向配置した2個の楔
型複屈折単結晶と、それらの間にファラデー回転子を配
置した上記のような偏光面切換器と、入力用と出力用の
レンズ一体型光ファイバとによって光スイッチを構成す
る。あるいは、対向配置した2個の偏光ビームスプリッ
タと、それらの間にファラデー回転子を配置した上記の
ような偏光面切換器と、ファラデー回転子と一方の偏光
ビームスプリッタとの間に位置する1/2波長板とによ
って光スイッチを構成することもできる。
【0013】
【作用】本発明では、鉄含有ガーネット単結晶膜からな
るファラデー回転子は、ヨークのギャップ部に挿入され
ており、該ギャップ部近傍は磁気飽和するが、離れた部
分は磁化の未飽和領域である。このような磁化状態であ
ると、スイッチング速度が向上する。その理由は、次の
ように考えられる。即ち、従来の全面が磁気飽和した場
合の鉄含有ガーネット単結晶膜の磁化反転プロセスは、
まず初めに磁気モーメントの一部が反対方向を向き、そ
こが核となって磁壁移動が起こり、やがて全ての磁化反
転に至るというものである。本発明では鉄含有ガーネッ
ト単結晶膜の一部分で磁化が未飽和状態であるため、ス
イッチング動作の最初の段階で、磁化反転のための核が
既に存在していることになる。従って、本発明では、核
生成段階を省けるので、その分、磁化反転が早く起こ
り、スイッチング時間が短縮されることになる。
【0014】本発明では、光ビームはギャップ部近傍の
磁気飽和した部分を通過するので、アイソレーションや
挿入損失は従来品と変わらない。
【0015】また、鉄含有ガーネット単結晶膜に適切な
熱処理を施すと、ファラデー回転角や飽和磁化、飽和に
要する磁界は変わらずに、ファラデー回転角の磁界依存
性に関するヒステリシスの囲む面積Sが大きく減少し、
更に最適条件では該面積Sがほぼ零になる。このヒステ
リシスの囲む面積はスイッチング時間と相関があり、こ
のファラデー回転子を用いると、光スイッチのスイッチ
ングが非常に高速化される。
【0016】
【実施例】本発明に係る光スイッチの一実施例を図1の
Aに示す。これは1×1型光スイッチ(光シャッタ)の
例である。偏光面切換器は、半硬質磁性材料からなるほ
ぼC型平板状のヨーク10と、それに施した巻線12
と、前記ヨーク10に設けられているギャップ部14
に、ギャップ長の方向に対して垂直に挿入した板状のフ
ァラデー回転子16とを具備する構成である。ここでフ
ァラデー回転子16は、LPE法(液相エピタキシャル
法)により育成され、補償温度をもつビスマス置換鉄ガ
ーネット単結晶膜からなる。そして、このファラデー回
転子16は、その大部分がギャップ部14から外側へは
み出す大きさであり、図1のBに示すように、そのはみ
出し部分の先端は磁化の未飽和領域16aであって、は
み出し部分のうちの磁化の飽和領域16bを、膜面に対
してほぼ垂直方向に光ビームが通過する。ファラデー回
転子16の両側には、それぞれ楔型複屈折単結晶18,
20を配置し、更に入力用のレンズ一体型光ファイバ2
2と出力用のレンズ一体型光ファイバ24とを設けてい
る。
【0017】つまり、この実施例では、ファラデー回転
子16を、その大部分がギャップ部14からはみ出すよ
うに大きくして、ヨーク10と巻線12による磁界印加
手段によって、ファラデー回転子16の磁化が膜全体に
わたって飽和しないように設定されている。逆に言う
と、磁界印加手段による漏れ磁界は、ファラデー回転子
16の磁化を膜全体では飽和しないような大きさに設定
してある。
【0018】ファラデー回転子16は、LPE法により
成膜した(GdBi)3 (FeAlGa)5 12の単結
晶膜を2×7×0.50mmに加工し、2×7mmの面を鏡
面に加工したものである。単結晶膜の組成はGd2.02
0.98Fe4.43Al0.44Ga0.1312であり、これは−
5℃に補償温度を有する。膜面に垂直に磁化させた場
合、室温での飽和磁化は80G、飽和に要する磁界Hs
は80Oeであり、波長1.55μmでのファラデー回
転角は45度である。偏光子及び検光子となる複屈折単
結晶18,20としては、楔型ルチル単結晶を使用し
た。レンズ一体型光ファイバ22,24にはシングルモ
ードファイバを使用した。
【0019】図2はその動作説明図である。入力光の方
向に見たときに、偏光子となる楔型複屈折単結晶18と
検光子となる楔型複屈折単結晶20は、左右で厚みが異
なり且つ厚い部分と薄い部分が対向するように組み合わ
されている。そして偏光子となる楔型複屈折単結晶18
の光学軸は、鉛直方向に対して時計回りに角度α(=2
2.5度)傾いており、また検光子となる楔型複屈折単
結晶20の光学軸は、鉛直方向に対して反時計回りに角
度α(=22.5度)傾いている。矢印Hが順方向時に
ファラデー回転子16に印加する磁界の方向である。こ
の状態では、入力光は両方の楔型複屈折単結晶18,2
0を透過して出射する。巻線への駆動電圧を切り換え
て、逆向きの磁界を印加すると、ファラデー回転方向が
90度異なり、入力光ビームは検光子となる楔型複屈折
単結晶20を透過できず、遮断される。これらのスイッ
チング動作において、光ビームはファラデー回転子16
の磁化の飽和領域を通過し、ヨーク10のギャップ部1
4から遠ざかる先端部分は、常に未飽和の領域となって
いる。従って磁化反転の核が常に存在しているため、巻
線へのパルス電流の供給によって、入力光の透過・遮断
を高速で制御できる。試作結果によれば、上記構成の光
スイッチのスイッチング時間は25μ秒であった。また
挿入損失は0.5dB、アイソレーションは40dBで
あった。
【0020】図3は本発明に係る光スイッチの他の実施
例を示している。基本的な構成は図1の例と同様であっ
てよいので、説明を簡略化するため、対応する部分には
同一符号を付す。この実施例でも、ファラデー回転子1
6は、その大部分がギャップ部14から外側へはみ出す
大きさであるが、そのはみ出し部分の先端部にコの字状
の磁気シールド材28を被せてある。ヨーク10と巻線
12とからなる磁界印加手段により、ファラデー回転子
16には磁界が印加される。これによって、磁気シール
ド材28で覆われていない部分は磁化の飽和領域となる
が、磁気シールド材28で覆われている部分は未飽和の
まま残る。この構成は、部品点数が増えるが、図1の構
成よりもファラデー回転子の寸法を小さくできる利点が
ある。
【0021】図4のAは本発明に係る光スイッチの更に
他の実施例を示している。半硬質磁性材料からなるほぼ
C型平板状の主ヨーク30と、主ヨーク30に施した巻
線32の他に、半硬質磁性材料からなるほぼC型平板状
の補助ヨーク31と、補助ヨーク31に施した巻線33
を有し、それらを主ヨーク30に設けられているギャッ
プ部34と補助ヨーク31に設けられているギャップ部
35とが同一平面となるように対向配置する。そして両
ギャップ部34,35に共通に、ギャップ長の方向に対
して垂直に鉄含有ガーネット単結晶膜からなるファラデ
ー回転子36を挿入した構成とする。直流パルス電流
は、主ヨーク30による磁界と補助ヨーク31による磁
界が、ファラデー回転子36に対して逆方向に印加され
るように供給し、且つ主ヨーク30により発生する磁界
の方が補助ヨーク31により発生する磁界よりも大きく
なるようにする。従って、例えば図4のBに示すよう
に、ファラデー回転子36は、その大部分36aが主ヨ
ーク30によって下向きに磁化されているときに、残り
の部分36bは補助ヨーク31によって上向きに磁化さ
れることになる。そしてファラデー回転子36の主ヨー
クによって磁化が飽和している部分36aを、膜面に対
してほぼ垂直方向に光ビームが通過するようになってい
る。ファラデー回転子36の両側に、それぞれ楔型複屈
折単結晶38,40を配置する。
【0022】両方の磁界印加手段による磁界の切り換え
は、同じタイミングで行ってもよいが、この種の光スイ
ッチでは、通常、頻繁に切り換えることはなく、従っ
て、まず必要な時点で主ヨーク30の方にパルス電流を
供給して光スイッチのスイッチングを行い、その後適当
に遅らせたタイミングで補助ヨーク31にパルス電流を
供給して局部的に反対方向に磁化させて次のスイッチン
グに備えるようにするのがよい。主ヨーク30による磁
化のスイッチングの際は、補助ヨーク31によって逆向
きの磁化のための核が生じていることになるため、前記
各実施例と同様にスイッチングの速度は非常に速くな
る。
【0023】図5のAは本発明に係る光スイッチの他の
実施例を示している。半硬質磁性材料からなるほぼC型
平板状のヨーク50と、該ヨーク50に施した巻線52
と、前記ヨーク50に設けられているギャップ部54
に、ギャップ長の方向に対して垂直に挿入した鉄含有ガ
ーネット単結晶膜からなるファラデー回転子56とを具
備している。ここでヨーク50のギャップ部は、対向端
面の両側に2箇所ずつ、それぞれ突起部51が対設され
ていて、それによってギャップ長の短い部分が2箇所間
隔をおいて形成されている構造である。図5のBに示す
ように、磁界は突起部51に集中するため、ギャップ長
が短い部分に対応するファラデー回転子の部分は磁化の
飽和領域となるが、その他の部分は磁化の未飽和領域と
なるようにできる。そして、磁化が飽和している2箇所
を、膜面に対してほぼ垂直方向に光ビームが通過する。
【0024】前記ファラデー回転子56の片側に偏光ビ
ームスプリッタ58を設置し、反対側には1/2波長板
59と偏光ビームスプリッタ60とを配置する。偏光ビ
ームスプリッタ58,60は、偏光分離膜を平行四辺形
プリズムと直角三角形プリズムとで挾んだ構造であり、
平行四辺形プリズムの偏光分離膜と平行な面には全反射
膜を形成してある。光スイッチのオン状態では、入力光
は、偏光分離膜でP偏光とS偏光とに分離し、45度フ
ァラデー回転子56で偏光面が回転し、1/2波長板5
9によってP偏光はS偏光に、S偏光はP偏光に変換さ
れ、偏光ビームスプリッタ60によって結合して出力光
となる。オフ状態では45度ファラデー回転子56によ
る偏光面の回転が逆方向となるため、偏光ビームスプリ
ッタ60からの出力光は前記出力光の方向とは90度異
なる方向となり、正規の出力ポートへは出射しない。こ
のようにして1×1型光スイッチとして動作する。
【0025】さて、本発明で用いるファラデー回転子と
しては、LPE法により育成され、補償温度をもつビス
マス置換鉄ガーネット単結晶膜からなり、1120℃以
上、1180℃以下の温度で、且つ7時間以内のトップ
条件で熱処理されたものが望ましい。単結晶膜の具体的
組成としては、例えば前記のようなGd2.02Bi0.98
4.43Al0.44Ga0.1312がある。上記の熱処理条件
は種々の実験から導かれたたものである。実験した熱処
理条件を図6に示す。熱処理は、白金板上に素子を載せ
て電気炉に入れて、大気雰囲気で行った。昇温速度及び
降温速度は、それぞれ120℃/時、最高温度(トップ
温度)と保持時間を種々変えて行った。1150℃で3
時間、熱処理した素子(本発明品)のファラデー回転の
磁場依存性の測定結果を図7に示す。ヒステリシスの囲
む面積Sは0.1kdeg/Oeで、消光比は30dB以上が
得られている。
【0026】図6において、斜線を施した領域(境界線
も含む)が好ましい熱処理のトップ条件の範囲である。
光スイッチとしての応用を考慮すると、ファラデー回転
子に要求される特性としては、飽和に要する磁界Hs が
100Oe以下、ファラデー回転角は45度、保磁力H
c が5Oe以下、ファラデー回転角の磁界依存性に関す
るヒステリシスの囲む面積Sが1kdeg/Oe以下の条件を
満たす必要がある。なお熱処理は炉内で昇温−トップ条
件維持−降温というプロセスを経るので、トップ条件は
保持時間が零の場合(即ち、昇温して所定温度に達した
後、直ちに降温するという処理)も含む。熱処理温度が
1120℃未満の場合は、保磁力Hc が大きくなり、ヒ
ステリシスが囲む面積Sが低減しない。1180℃を超
えると、ファラデー回転角が減少するため膜厚を厚くし
なければならなくなるし、表面が荒れてくる。これはビ
スマスが結晶中から飛散するためと考えられ、組成もず
れてくる。熱処理時間が7時間を超えるほど長くなる
と、飽和に要する磁界Hs が増加する。これは垂直磁気
異方性が低下し、面内磁化膜に近づくためと考えられ
る。これら種々実験した結果、特に、温度1150℃
で、7時間の熱処理が最適であった。このようなファラ
デー回転子を使用すると、例えば図1の構成では、光ス
イッチのスイッチング時間は6μ秒というように、従来
品よりも1桁以上高速化する。
【0027】なお本発明に係る偏光面切換器は、上記の
ような1×1型の光スイッチのみならず、2×2型の光
スイッチ、その他の磁気光学式光デバイスなどに利用で
きることはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記のように、ファラデー回転
子の磁化が膜全面にわたって飽和しておらず、一部に未
飽和の領域(あるいは飽和していても磁化が逆向きとな
っている領域)があるため、スイッチングさせる際に磁
化反転の核が常に存在し、そのため高速でスイッチング
させることが可能となる。特に、適正な条件で熱処理し
たものは、ファラデー回転角の磁界依存性に関するヒス
テリシスが非常に小さくなり、そのことと上記のように
未飽和領域を設けることとが相俟て、10μ秒以下とい
うように極めてスイッチング速度が向上する。これによ
って、過大光遮断装置などを構成する際に、装置を小形
化でき、信頼性の高いシステムを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光スイッチの一実施例を示す説明
図。
【図2】その動作説明図。
【図3】本発明に係る光スイッチの他の実施例を示す説
明図。
【図4】本発明に係る光スイッチの更に他の実施例を示
す説明図。
【図5】本発明に係る光スイッチの他の実施例を示す説
明図。
【図6】ファラデー回転子の熱処理条件を示す説明図。
【図7】最適条件で熱処理したファラデー回転子のファ
ラデー回転角と消光比の磁場依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
10 ヨーク 12 巻線 14 ギャップ部 16 ファラデー回転子 18,20 楔型複屈折単結晶 22,24 レンズ一体型ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陸川 弘 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 徳増 次雄 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄含有ガーネット単結晶膜からなるファ
    ラデー回転子と、該ファラデー回転子に磁界を印加する
    磁界反転可能な磁界印加手段とを具備する偏光面切換器
    において、磁界印加手段による磁界印加時に該ファラデ
    ー回転子の一部分は磁化が未飽和状態であり、残りの部
    分は磁化が飽和状態となって、その磁化が飽和している
    部分を膜面に対してほぼ垂直方向に光ビームが通過する
    偏光面切換器。
  2. 【請求項2】 磁性材料からなるヨークと、該ヨークに
    施した巻線と、前記ヨークに設けられているギャップ部
    に、ギャップ長の方向に対して垂直に挿入した鉄含有ガ
    ーネット単結晶膜からなるファラデー回転子とを具備
    し、該ファラデー回転子は、その大部分がギャップ部か
    ら外側へはみ出す大きさであり、そのはみ出し部分の先
    端部は磁化の未飽和領域であって、はみ出し部分のうち
    の磁化の飽和領域を膜面に対してほぼ垂直方向に光ビー
    ムが通過する偏光面切換器。
  3. 【請求項3】 磁性材料からなるヨークと、該ヨークに
    施した巻線と、前記ヨークに設けられているギャップ部
    に、ギャップ長の方向に対して垂直に挿入した鉄含有ガ
    ーネット単結晶膜からなるファラデー回転子とを具備
    し、該ファラデー回転子は、その大部分がギャップ部か
    ら外側へはみ出す大きさであり、そのはみ出し部分の先
    端部に磁気シールド材を取り付けて磁化の未飽和領域を
    形成し、はみ出し部分のうちの磁化の飽和領域を膜面に
    対してほぼ垂直方向に光ビームが通過する偏光面切換
    器。
  4. 【請求項4】 磁性材料からなる主ヨーク及び補助ヨー
    クと、両ヨークにそれぞれ施した巻線と、両ヨークに設
    けられているギャップ部に共通に、ギャップ長の方向に
    対して垂直に挿入した鉄含有ガーネット単結晶膜からな
    るファラデー回転子とを具備し、主ヨークによる磁界と
    補助ヨークによる磁界がファラデー回転子に対して逆方
    向に印加され、ファラデー回転子の主ヨークによる磁化
    の飽和領域を膜面に対してほぼ垂直方向に光ビームが通
    過する偏光面切換器。
  5. 【請求項5】 磁性材料からなるヨークと、該ヨークに
    施した巻線と、前記ヨークに設けられているギャップ部
    に、ギャップ長の方向に対して垂直に挿入した鉄含有ガ
    ーネット単結晶膜からなるファラデー回転子とを具備
    し、前記ヨークのギャップ部は、ギャップ長の短い部分
    が複数箇所間隔をおいて設けられ、ギャップ長が短い部
    分に対応するファラデー回転子の部分が磁化の飽和領域
    となり、その他の部分が磁化の未飽和領域となって、前
    記磁化の飽和領域を膜面に対してほぼ垂直方向に光ビー
    ムが通過する偏光面切換器。
  6. 【請求項6】 前記ファラデー回転子は、液相エピタキ
    シャル法により育成され、補償温度をもつビスマス置換
    鉄ガーネット単結晶膜からなり、1120℃以上、11
    80℃以下の温度で、且つ7時間以内のトップ条件で熱
    処理されたものである請求項1乃至5記載の偏光面切換
    器。
  7. 【請求項7】 対向配置した2個の楔型複屈折単結晶
    と、それらの間にファラデー回転子を配置した請求項1
    乃至4記載の偏光面切換器と、入力用と出力用の光ファ
    イバと集光用レンズとからなる光スイッチ。
  8. 【請求項8】 対向配置した2個の偏光ビームスプリッ
    タと、それらの間にファラデー回転子を配置した請求項
    5記載の偏光面切換器と、ファラデー回転子と一方の偏
    光ビームスプリッタとの間に位置する1/2波長板とか
    らなる光スイッチ。
  9. 【請求項9】 対向配置した2個の平板複屈折単結晶
    と、それらのそれらの間にファラデー回転子を配置した
    請求項1乃至5記載の偏光面切換器と、ファラデー回転
    子と一方の平板複屈折単結晶との間に位置する補償用の
    平板複屈折単結晶と、入力用と出力用の光ファイバと集
    光用レンズとからなる光スイッチ。
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