JPH07305989A - 積層型熱交換器のヘッダタンク構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストが嵩まず、ヘッダタンクの寸法や
曲面形状のばらつきを吸収してろう付け性を高め、バイ
パス洩れを起こさず高性能の積層型熱交換器のヘッダタ
ンク構造を提供する。 【構成】 複数のチューブとフィンとが交互に積層さ
れ、これら積層されたチューブの少なくとも一端にヘッ
ダタンクが連通接続され、前記ヘッダタンク内の所要箇
所に形成されたスリット内に仕切プレートが配設され、
この仕切プレートが、前記ヘッダタンクの横断面内側形
状に対応して形成された小径部と、前記ヘッダタンクの
横断面外側形状に対応して形成された大径部と、前記小
径部と大径部との境界部に形成された段部と、を備えた
積層型熱交換器のヘッダタンク構造において、前記仕切
プレートをヘッダタンクの前記スリットに組み付けた際
に、前記段部の端面と前記スリットの左右の切り込み端
面との間に、所定の隙間を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヘッダタンク内を長手
方向に区画するために設けられる仕切プレートの、組付
け性及びろう付け性を向上した積層型熱交換器のヘッダ
タンク構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】積層型熱交換器は、一般に、複数の偏平
チューブと波状フィンとが交互に積層され、これら積層
されたチューブの両端が、ヘッダタンクに設けられた挿
入孔に挿入して接合されている。前記ヘッダタンクとし
ては、１枚の所定のプレートを丸めて成形することに形
成され、ヘッダタンクの上下の端部開口は盲プレートに
より閉塞され、これらのヘッダタンクの所要箇所にはヘ
ッダタンク内を長手方向に区画する仕切プレートが配設
されている。

【０００３】この仕切プレートとしては、例えば、実公
平３ー３２９４４号公報、特開平４ー１０８１８５号公
報に開示されたものが知られている。

【０００４】この種の仕切プレート２１は、例えば、図
９及び図１０に示すように、ヘッダタンク２２に設けら
れたスリット２３に差込んで装着され、ヘッダタンク２
２の横断面内側形状に対応して形成された小径部２４
と、スリット２３内に位置しヘッダタンク２２の横断面
外側形状に対応して形成された大径部２５とに形成され
ており、前記小径部２４と大径部２５との左右の境界部
には段部２６が設けられている。

【０００５】そして、仕切プレート２１の組付け時に
は、仕切プレート２１の小径部２４がヘッダタンク２２
の内面に当接するとともに、左右の段部２６の端面２６
Ａが、スリット２３の左右の切込み端面２７Ａに当接し
て位置決めされ、この状態で一体ろう付けにより接合さ
れる。

【０００６】そして、このような積層型熱交換器におい
ては、ヘッダタンクに設けられた入口継手と出口継手と
の間で、熱交換媒体が複数回蛇行して通流される構造と
なっている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の熱交換器の
ヘッダタンク構造においては、図１０に示すように、仕
切プレート２１をヘッダタンク４に組付けた際には、仕
切プレート２１の左右の段部端面２６Ａをスリット２３
の左右の切込み端面２７Ａに当接させて位置決めした状
態で一体ろう付けが行われている。この場合、ヘッダタ
ンク４やスリット２３並びに仕切プレート２１の寸法が
当初の設計通りであれば問題ないが、ヘッダタンクの製
作に伴う寸法のばらつきや曲面形状のずれ等、若干の相
違を生じることがある。そして、前記従来の構造では、
かようなずれ等の吸収を行うことができず、組付け時に
仕切プレートの小径部の周縁部分がヘッダタンクの内面
に当接されない箇所が生じてしまい、確実にヘッダタン
ク内面と仕切プレートとのろう付けが行われないという
不都合があった。その結果、熱交換器のバイパス洩れを
起こし、熱交換性能を低下させる原因になっていた。

【０００８】これを解消するために、ヘッダタンクをタ
ンクフレームと接続プレートとにより構成し、接続プレ
ートに折返し部を一体に設け、この折返し部によりヘッ
ダタンクを区画するようにしたものが、特開平４ー２６
８１９８号公報に開示されているが、この構成によれ
ば、コストが嵩むという問題がある。

【０００９】そこで、本発明は、製造コストが嵩むこと
なく、ヘッダタンク製作に伴う寸法のばらつきや曲面形
状のずれ等を吸収することができてヘッダタンクとのろ
う付けが確実となり、バイパス洩れを起こさずに熱交換
性能を高め得る積層型熱交換器のヘッダタンク構造を提
供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の積層型熱交換器
のヘッダタンク構造は、複数のチューブとフィンとが交
互に積層され、これら積層されたチューブの少なくとも
一端にヘッダタンクが連通接続され、前記ヘッダタンク
内の所要箇所に形成されたスリット内に仕切プレートが
配設され、この仕切プレートが、前記ヘッダタンクの横
断面内側形状に対応して形成された小径部と、前記ヘッ
ダタンクの横断面外側形状に対応して形成された大径部
と、前記小径部と大径部との境界部に形成された段部
と、を備えた積層型熱交換器のヘッダタンク構造におい
て、前記仕切プレートをヘッダタンクの前記スリットに
組み付けた際に、前記段部の端面と前記スリットの左右
の切り込み端面との間に、所定の隙間を設けたヘッダタ
ンク構造である。前記隙間は、好ましくは１ｍｍ未満に
設定するものである。

【００１１】

【作用】仕切プレートをヘッダタンクに組み付けるに
は、ヘッダタンクに設けられたスリット内に、仕切プレ
ートの大径部を差込んで、小径部の先端縁をヘッダタン
クの内面に当接させて組付けられ、仕切プレートの組付
け時には仕切プレートの段部端面とヘッダタンクの切り
込み端面との間に隙間が形成される。そして、この状態
で治具により固定し、その後、各ヘッダタンクの挿入孔
に積層された偏平チューブの両端部を挿入し、治具によ
り固定して熱交換器を組付け、炉内で一体ろう付けが行
われる。

【００１２】ろう付け時には、仕切プレートの段部端面
とヘッダタンクの切り込み端面との隙間がろう溜まり部
となり、仕切プレートの表面のろう材及びヘッダタンク
の内面のろう材により埋められて、仕切プレートの段部
端面とヘッダタンクの切り込み端面とが確実に接合され
る。

【００１３】また、仕切プレートを組付ける場合には、
仕切プレートの段部端面とヘッダタンクの切り込み端面
との間に所定寸法の隙間を設けたことにより、治具によ
る固定時に、ヘッダタンク製作に伴う寸法のばらつきや
曲面形状のずれ等が前記隙間によって吸収されることに
なり、仕切プレートの小径部の周縁がヘッダタンクの内
面に全体的に当接された状態で組付けが可能となり、仕
切プレートの小径部とヘッダタンクとの確実なろう付け
が可能となる。

【００１４】したがって、ヘッダタンク内の仕切プレー
ト部分での熱交換器媒体の洩れの発生を確実に防止で
き、バイパス洩れを起こさない熱交換性能の高い積層型
熱交換器を得ることができ、更に、仕切プレートの段部
端面とヘッダタンクの切り込み端面との間に所定寸法の
隙間を設けただけでよいため、ヘッダタンク製作のコス
トが嵩むことがない。

【００１５】

【実施例】以下に本発明の第１実施例を図面に基づいて
説明する。

【００１６】本実施例では、図１に示すように、積層型
熱交換器１は、複数の偏平チューブ２と波状フィン３と
が交互に積層され、積層された偏平チューブ２の両端
が、それぞれ、ヘッダタンク４のチューブ挿入孔５に挿
入されて接合されている。また、積層された偏平チュー
ブ２の上端側および下端側には挿入孔６が設けられ、こ
れらの挿入孔６には横断面コ字状のサイドプレート７の
両端部が挿入して接合されている。

【００１７】更に、一方のヘッダタンク４には入口継手
８が接続され、他方のヘッダタンク４には出口継手９が
接続されており、双方のヘッダタンク４内の所要箇所に
はヘッダタンク４を長手方向に区画する仕切プレート１
０が配設され、各ヘッダタンク４の各々の端部には、前
記仕切プレート１０と同一形状の盲プレート１１が設け
られ、これにより閉塞されている。そして、このような
積層型熱交換器１では、入口継手８と出口継手９との間
で、熱交換媒体が複数回蛇行して通流される。

【００１８】また、本実施例のヘッダタンク４は、図
２、図３及び図４に示すように、両面にろう材がクラッ
ドされた所定の大きさのプレートをロール成形等により
丸く丸めて、両端の接合部分をろう付けによって接合さ
れて形成されている。更に、ヘッダタンク４の所要箇所
には前記仕切プレート１０を装着するスリット１２が設
けられ、ヘッダタンク４の上下の端部には前記盲プレー
ト１１を装着するスリット１３が設けられている。尚、
前記仕切プレート１０と盲プレート１１とが同形に形成
されていることから、盲プレート１１を装着するスリッ
ト１３も、仕切プレート１０のスリット１２と同形に形
成されている。

【００１９】前記仕切プレート１０及び盲プレート１１
は、例えば、図５及び図６に示すように、ヘッダタンク
４の横断面に対応した大きさの形状で先端縁がヘッダタ
ンクの内面沿った外形に形成された小径部１４と、前記
スリット１２、１３内に存在しヘッダタンク４の横断面
形状に対応し外周面に沿った形状に形成された大径部１
５とから構成され、前記小径部１４と大径部１５との左
右の境界部には段部１６が形成されている。

【００２０】また、左右の段部１６としては、ヘッダタ
ンク４の横断面形状の略直径上に位置するように、ヘッ
ダタンク４の周方向で略１８０゜離間するよう設けられ
ており、前記スリット１２、１３も、前記仕切プレート
１０及び盲プレート１１の左右の段部１５に対応した寸
法に形成されている。

【００２１】更に、前記仕切プレート１０及び盲プレー
ト１１は、両面にろう材がクラッドされた板素材から打
抜き成形により形成され、板厚としては、例えば、１．
５ｍｍ程度の厚さに形成されている。

【００２２】また、前記仕切プレート１０及び盲プレー
ト１１は、ヘッダタンク４に組付けられた際に、図４に
示すように、仕切プレート１０及び盲プレート１１の段
部１６の端面１６Ａと、ヘッダタンク４に設けられたス
リット１２、１３の左右の切り込み端面１７Ａとの間に
は、所定の隙間Ｔが形成される形状に予め形成されてい
る。

【００２３】このような仕切プレート１０及び盲プレー
ト１１の段部端面１６Ａとヘッダタンク４の切り込み端
面１７Ａとの隙間Ｔは、ろう付け時には溶融した液状の
ろう材により埋められることにより、仕切プレート１０
及び盲プレート１１の段部端面１６Ａとヘッダタンク４
のスリット１２、１３の切り込み端面１７Ａとが接合さ
れる。しかしながら、この隙間Ｔの寸法があまり大きい
と、隙間Ｔ内でろう流れを生じてしまい、双方のろう付
けが確実に行われない。そのため、現実的には、隙間Ｔ
としては、１ｍｍ未満が好ましい寸法であり、特に０．
５ｍｍ〜０．２ｍｍが最適であり、本実施例では０．３
ｍｍ程度の寸法に設定されている。

【００２４】尚、前記仕切プレート１０と盲プレート１
１とは同形に形成されており、スリット１２、１３同士
も同様に形成されているため、盲プレート１０の段部端
面１６Ａとヘッダタンク４のスリット１３の切り込み端
面１７Ａとの隙間Ｔも、同様の寸法に設定されている。

【００２５】このような仕切プレート１０や盲プレート
１１をヘッダタンク４に組み付ける場合には、ヘッダタ
ンク４に設けられたスリット１２、１３内に、ヘッダタ
ンク４の外方から仕切プレート１０や盲プレート１１の
各小径部１４を、その先端縁がヘッダタンク４の内面に
当接するまで差込むと、仕切プレート１０及び盲プレー
ト１１の段部端面１６Ａとヘッダタンク４のスリット１
３の切り込み端面１７Ａとの間に隙間Ｔが形成され、こ
の状態で治具により固定してヘッダタンク４に仕切プレ
ート１０及び盲プレート１１が組付けられる。

【００２６】その後、各ヘッダタンク４の挿入孔５、６
に積層された偏平チューブ２やサイドプレート７の両端
部を挿入し、治具により固定して熱交換器１を組付け、
炉内で一体ろう付けが行われる。

【００２７】そして、ろう付け時には、仕切プレート１
０と盲プレート１１の段部端面１６Ａとヘッダタンク４
の切り込み端面１７Ａとの隙間Ｔがろう溜まり部とな
り、仕切プレート１０や盲プレート１１の表面のろう材
及びヘッダタンク４の内面のろう材により埋められて、
仕切プレート１０や盲プレート１１の段部端面１６Ａと
ヘッダタンク４の切り込み端面１７Ａとが接合される。

【００２８】このような仕切プレート１０や盲プレート
１１を組付ける場合において、仕切プレート１０や盲プ
レート１１の段部端面１６Ａとヘッダタンク４の切り込
み端面１７Ａとの間に所定寸法の隙間Ｔを予め設けたこ
とにより、治具による固定時に、ヘッダタンク製作に伴
う寸法のばらつきや曲面形状のずれが前記隙間によって
吸収されることになり、仕切プレート１０や盲プレート
１１の小径部１４の周縁がヘッダタンク４の内面に全体
的に当接された状態で組付けが可能となり、仕切プレー
ト１０や盲プレート１１の小径部１４とヘッダタンク４
との確実なろう付けが可能となる。

【００２９】この結果、ヘッダタンク内の仕切プレート
部分や盲プレート部分での熱交換器媒体の洩れの発生を
確実に防止でき、バイパス洩れを起こさない熱交換性能
の高い積層型熱交換器を得ることができ、更に、仕切プ
レートや盲プレートの段部端面とヘッダタンクの切り込
み端面との間に所定寸法の隙間Ｔを設けただけであるた
め、ヘッダタンク製作のコストが嵩むことがない。

【００３０】次に、本発明の第２実施例を図面に基づい
て説明する。

【００３１】本実施例の仕切プレート１０及び盲プレー
ト１１は、例えば、図８に示すように、左右の段部１６
が、ヘッダタンク４の横断面形状の接合部分を含む中心
線から１１０゜それぞれ離間した箇所に位置するように
設けられており、前記スリット１２、１３も、前記仕切
プレート１０及び盲プレート１１の段部１６に対応した
寸法で設けられている。

【００３２】そして、仕切プレート１０や盲プレート１
１の組付け時には、ヘッダタンク４を折り曲げる際に、
仕切プレート１０及び盲プレート１１の各々の大径部１
５を、それぞれのスリット１２、１３内に差込んだ状態
で、ヘッダタンク４を折曲げ成形することにより組付け
られ、前記実施例同様の効果を得ることができる。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ヘッダタンクへの組付け時に、ヘッダタンクに設けられ
たスリットの切り込み端面と、仕切プレートの段部端面
との間に所定の隙間を設けたので、仕切プレートの組付
け時の治具による固定時に、ヘッダタンク製作に伴う寸
法のばらつきや曲面形状のずれが前記隙間によって吸収
されることになり、仕切プレートの小径部の周縁がヘッ
ダタンクの内面に全体的に当接された状態で組付けが可
能となり、仕切プレートの小径部とヘッダタンクとの確
実なろう付けが可能となる。

【００３４】この結果、ヘッダタンク内の仕切プレート
部分での熱交換器媒体の洩れの発生を確実に防止でき、
バイパス洩れを起こさない熱交換性能の高い積層型熱交
換器を得ることができ、更に、仕切プレートの段部端面
とヘッダタンクの切り込み端面との間に所定寸法の隙間
を設けただけでよいため、ヘッダタンク製作のコストが
嵩む不都合を回避することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係り、積層型熱交換器の
正面図である。

【図２】ヘッダタンクを示す正面図である。

【図３】ヘッダタンクを示す側面図である。

【図４】ヘッダタンクを仕切プレートとともに示す図１
中のＡーＡ矢視断面図である。

【図５】仕切プレート及び盲プレートの平面図である。

【図６】仕切プレート及び盲プレートの側面図である。

【図７】隙間を示す図４中の拡大図である。

【図８】本発明の第２実施例に係り、ヘッダタンクを仕
切プレートとともに示す横断面図である。

【図９】従来例に係り、仕切プレート及び盲プレートを
示す平面図である。

【図１０】ヘッダタンクを仕切プレートとともに示す横
断面図である。

【符号の説明】

１ 積層型熱交換器 ２ 偏平チューブ ３ フィン ４ ヘッダタンク １０ 仕切プレート １２ スリット １４ 小径部 １５ 大径部 １６ 段部 １６Ａ 端面 １７Ａ 切り込み端面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のチューブとフィンとが交互に積層
   され、これら積層されたチューブの少なくとも一端にヘ
   ッダタンクが連通接続され、前記ヘッダタンク内の所要
   箇所に形成されたスリット内に仕切プレートが配設さ
   れ、この仕切プレートが、前記ヘッダタンクの横断面内
   側形状に対応して形成された小径部と、前記ヘッダタン
   クの横断面外側形状に対応して形成された大径部と、前
   記小径部と大径部との境界部に形成された段部と、を備
   えた積層型熱交換器のヘッダタンク構造において、 前記仕切プレートをヘッダタンクの前記スリットに組み
   付けた際に、前記段部の端面と前記スリットの左右の切
   り込み端面との間に、所定の隙間を設けたことを特徴と
   する積層型熱交換器のヘッダタンク構造。
2. 【請求項２】 前記隙間が、１ｍｍ未満であることを特
   徴とする前記請求項１記載の積層型熱交換器のヘッダタ
   ンク構造。