JPH07304704A - 新規なc−アロマタキソール類縁体及びその合成中間体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

新規なc−アロマタキソール類縁体及びその合成中間体並びにそれらの製造方法

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JPH07304704A
JPH07304704A JP27047394A JP27047394A JPH07304704A JP H07304704 A JPH07304704 A JP H07304704A JP 27047394 A JP27047394 A JP 27047394A JP 27047394 A JP27047394 A JP 27047394A JP H07304704 A JPH07304704 A JP H07304704A
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hydroxyl group
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JP27047394A
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Takashi Takahashi
孝志 高橋
Kensuke Nagashima
謙介 長嶋
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規なC−アロマタキソール類縁体を、B環
の水酸基をメチルエーテル化またはメトキシメチルエー
テル化して保護することなく、分子内閉環反応を利用し
て簡便に提供できるようにする。 【構成】 新規なC−アロマタキソール類縁体は、式
(1) 【化1】 (式中、R1 は水酸基、低級アルキル基、低級アルコキ
シ基、低級アルカノイルオキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基又はアラルコキシ基である。)で表される構
造を有する。この化合物は、合成原料としてo−クロロ
メチルベンゾイルクロライドとゲラニオールアセテート
とを使用し、B環をシアンヒドリン閉環反応を利用して
分子内環化することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なC−アロマタキ
ソール類縁体及びその合成中間体並びにそれらの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】生理活性天然有機化合物の中には、エン
トロピー的に不利な中員環構造を含むものが知られてい
る。例えば、有力な抗癌剤として知られている式(A)
【0003】
【化21】
【0004】で表されるタキソールは、そのB環として
極度に歪んだ8員環構造を含むトリシクロ環状構造を有
している。また、このような特徴的な環状構造を有する
タキソール類縁体に対して、様々な生理活性が期待され
ている。このため、従来よりタキソール及びその類縁体
の合成が試みられているが、その合成の際に主に問題と
なるのは、8員環を含むトリシクロ環状構造をどのよう
に形成するかという点にある。
【0005】この点に関し、中員環を形成する場合、分
子内環化反応を利用することが一般的に効率的であるこ
とが知られている。また、上述のトリシクロ環状構造を
形成する際に、そのC環をベンゼン誘導体として導入す
ることが考えられる。このような観点から、C環をベン
ゼン誘導体として導入し且つB環の8員環を分子内閉環
反応を利用することにより、タキソール類縁体(以下、
C−アロマタキソール類縁体と称する)を製造すること
が以下に示すように提案されている。
【0006】方法1(G.Falls et al.,Tetrahedron Let
t.1993,34(21) 3367(1993))
【0007】
【化22】
【0008】この方法では、A環となるシクロヘキサン
誘導体に、1−メトキシメトキシ−2,4−ペンタジエ
ニル基と3−ブチン−2−オン−1−イル基とを導入
し、これらの基をディールスアルダー反応を利用してB
環とC環とを構成するように閉環することが提案されて
いる。
【0009】方法2(G.Falls et al.,J.Org.Chem.,58,4
202(1993))
【0010】
【化23】
【0011】この方法では、A環となるシクロヘキサン
誘導体に、1−メトキシメトキシ−2,6−ヘプタジイ
ン−4−エニル基とホルミルメチル基とを導入し、これ
らの基をディールスアルダー反応を利用してB環とC環
とを構成するように閉環することが提案されている。
【0012】方法3(桑島ら,有機合成化学,50(6),50
(1992))
【0013】
【化24】
【0014】この方法では、C環となるベンゼン誘導体
に、2−(1,1−ジメチル−1−エトキシカルボニル
メチル)−4−オキソヘキシル基を導入し、まずディー
クマン縮合によりA環部分を閉環形成し、更にB環部分
をジエノールシリルエーテルの環化反応を利用して形成
することが提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、方法1
によりC−アロマタキソール類縁体を製造する場合、工
程数が多いという問題がある。更に、B環の2位の水酸
基がメトキシメチルエーテル化されて保護されている
が、その水酸基の保護基であるメトキシメチル基は、他
の置換基や環構造に悪影響を与えずに脱保護することが
非常に困難であり、従って、その水酸基を他の官能基に
変換することが制限されるという問題もある。 また、
方法2によりC−アロマタキソールを製造する場合、閉
環収率が非常に低いという問題がある。また、方法1の
場合と同様に、B環の2位の水酸基がメトキシメチル基
で保護されているという問題もある。
【0016】また、方法3によりC−アロマタキソール
を製造する場合、工程数が多いという問題がある。更
に、B環の2位に水酸基が存在しないために、B環の2
位に官能基を導入することが非常に困難になるという問
題がある。また、B環の9位及び10位の水酸基はメチ
ルエーテル化されて保護されているが、それらの水酸基
の保護基であるメチル基は、他の置換基や環構造に悪影
響を与えずに脱保護することが非常に困難であり、従っ
て、水酸基を他の官能基に変換することが制限されると
いう問題もある。
【0017】本発明は以上のような従来技術の課題を解
決しようとするものであり、新規なC−アロマタキソー
ル類縁体を、比較的短い工程で、しかもB環の水酸基を
メチルエーテル化またはメトキシメチルエーテル化して
保護することなく、分子内閉環反応を利用して簡便に提
供できるようにすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下の反
応式に示すように、
【0019】
【化25】
【0020】式(1)の新規なC−アロマタキソール類
縁体が、例えば、C環となる式(16)のベンゾイル誘
導体と式(17)のゲラニオール誘導体とをフリーデル
クラフト型反応させ、更にA環部分を閉環させて新規な
式(3)の化合物を形成し、[I]これを新規な式
(2)の化合物に誘導し、この式(2)の化合物にシア
ンヒドリン閉環反応を適用するか、あるいは[II]新規
な式(5)の化合物を経てこれを新規な式(13)の化
合物に誘導し、この式(13)の化合物にシアンヒドリ
ン閉環反応を適用してB環を形成することにより容易に
得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0021】即ち、本発明は、式(1)
【0022】
【化26】
【0023】(式中、R1 は水酸基、低級アルキル基、
低級アルコキシ基、エトキシエチルオキシ基、低級アル
カノイルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基又は
アラルコキシ基である。)で表される化合物を提供す
る。
【0024】式(1)中のR1 のアルキル基としてはメ
チル、エチル、イソプロピル、ブチルなどを例示でき、
低級アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基など
を例示でき、低級アルカノイルオキシ基としては、アセ
トキシ、プロピオキシ、ブチロキシ、ベンゾイルオキシ
基などを例示でき、アリール基としてはフェニル、ナフ
チル、フラニル、ピリジニルなどを例示でき、アリール
オキシ基としては、フェノキシル基などを例示でき、ア
ラルコキシ基としてはベンジルオキシ基などを例示でき
る。
【0025】まず、本発明のうち上記[I]について詳
細に説明する。本発明の式(1)のC−アロマタキソー
ル類縁体は、前述したように、C環となる式(16)の
ベンゾイル誘導体と式(17)のゲラニオール誘導体と
をフリーデルクラフト型反応させ、更にA環部分を閉環
させて新規な式(3)の化合物を形成し、更にこれを新
規な式(2)の化合物に誘導し、この式(2)の化合物
にシアンヒドリン閉環反応を適用することによりB環を
形成することにより容易に得られる。従って、本発明の
製造方法を、式(3)の化合物を得るAステージと、式
(3)の化合物から式(2)の化合物を得るBステージ
と、式(2)の化合物から式(1)の化合物を得るCス
テージとに分け、R1 が水酸基であり、R2 がアセチル
基であり、Xが塩素原子である場合を例にとり説明す
る。なお、それぞれのステージが本発明の製造方法とな
る。
【0026】Aステージ
【0027】
【化27】
【0028】工程a まず、式(16)のo−クロロメチルベンゾイルクロラ
イドと式(17)のゲラニルアセテートとを、ルイス酸
存在下でフリーデルクラフト型の縮合反応を行わせ、引
き続き、同一容器内で閉環反応を行わせ式(3)の化合
物を形成する。
【0029】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類を使用することができる。特に、塩化
メチレンを使用することが好ましい。
【0030】ルイス酸としては、塩化アルミニウム、四
塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化スズなどを使用す
ることができる。中でも塩化アルミニウムを使用するこ
とが好ましい。また、ルイス酸の使用量は、式(16)
の化合物の1〜10倍モルとすることが好ましい。
【0031】なお、この反応は、通常−100℃〜10
0℃の温度範囲で行う。また、反応時間は、反応温度等
により異なるが、式(17)の化合物の滴下終了後、通
常1時間程度とする。
【0032】Bステージ Bステージにおいては、後述するように、工程b→c→
d(経路B1)、工程b→e→f→g→h→d(経路B
2)、及び工程i→j→k→h→d(経路B3)の三つ
の反応経路が存在する。以下に経路B1から説明する。
【0033】経路B1
【0034】
【化28】
【0035】工程b Aステージの工程aで得られた式(3)の化合物の第三
級水酸基を酸又は塩基により脱離させて式(4)の化合
物と式(6)の化合物とを形成する。これらの化合物
は、カラムクロマトグラフィーなどの通常の分取手段に
より分取することができる。
【0036】第三級水酸基を塩基により脱離させる場
合、塩基として、ピリジン、トリエチルアミンなどの含
窒素化合物等を使用することができる。また、第三級水
酸基を酸により脱離させる場合、酸として有機酸を使用
することが好ましい。特に、収率の点からp−トルエン
スルホン酸を触媒量で使用することが好ましい。
【0037】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類、
ジエチルエーテルなどのエーテル類、オルトギ酸トリメ
チルなどのエステル類を使用することができる。特に、
オルトギ酸トリメチルを使用することが好ましい。
【0038】また、この反応は、通常、0℃〜50℃の
温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行う。
反応時間は、触媒の種類や量などにより異なるが、通常
は2時間程度とする。
【0039】工程c 工程bで得られた式(4)の化合物のカルボニル部位を
還元し、同時にそのアシル基の還元的脱離を行い式
(5)の化合物を形成する。
【0040】この反応おいて使用する還元剤としては、
水素化金属化合物を使用することができ、中でもジイソ
ブチルアルミニウムを用いることが好ましい。還元剤の
使用量は、式(4)の化合物の少なくとも2倍モルとす
ることが好ましい。
【0041】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類を
使用することができる。特に、塩化メチレンを使用する
ことが好ましい。
【0042】また、この反応は、通常、−100℃〜0
℃の温度で行うが、好ましくは−100〜−50℃の温
度で行う。反応時間は、反応温度などにより異なるが、
通常は1時間程度とする。
【0043】工程d 工程cで得られた式(5)の化合物の第一級水酸基をカ
ルボニル基に酸化して式(2)の化合物を形成する。
【0044】この反応において使用する酸化剤として
は、二酸化マンガンを好ましく使用することができる。
酸化剤の使用量は、式(5)の化合物の1〜100倍モ
ルとすることが好ましく、特に10〜20倍モルとする
ことがより好ましい。
【0045】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ヘキ
サンなどの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素
類、あるいはそれらの混合溶媒を使用することができ
る。特に、塩化メチレンとベンゼンとの混合溶媒を使用
することが好ましい。
【0046】また、この反応は、通常、20℃〜100
℃の温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行
う。反応時間は、反応温度や酸化剤の量、転化率などを
勘案して適宜定めることができる。なお、反応時間が4
8時間程度では、転化率は通常50%程度となる。
【0047】経路B
【0048】
【化29】
【0049】工程b Aステージの工程aで得られた式(3)の化合物の第三
級水酸基を、経路B1の工程bと同様に、酸又は塩基に
より脱離させて式(4)の化合物と式(6)の化合物と
を形成し、式(6)の化合物を分取する。
【0050】工程e 工程bで得られた式(6)の化合物のカルボニル部位の
還元とそのアシル基の還元的脱離とを、経路B1の工程
cと同様に行い式(7)の化合物を形成する。
【0051】工程f 工程eで得られた式(7)の化合物の第一級水酸基と第
二級水酸基とを同時にカルボニル基に酸化して式(8)
の化合物を形成する。
【0052】この反応において使用する酸化剤として
は、ジメチルスルホキシド−オキザリルクロライド系酸
化剤、過ヨウ素酸を活性種とする酸化剤、クロム酸を活
性種とする酸化剤などを使用することができ、中でも収
率の点からジメチルスルホキシド−オキザリルジクロラ
イド系酸化剤を使用することが好ましい。酸化剤の使用
量は、式(7)の化合物の2〜50倍モルとすることが
好ましく、特に5〜10倍モルとすることがより好まし
い。
【0053】なお、この酸化反応を終了させる場合、反
応系にトリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン
などの含窒素系化合物を添加することにより終了させる
ことが好ましい。この場合には、含窒素系化合物を式
(7)の化合物の2〜100倍モルの量で添加する。
【0054】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類な
どを使用することができる。特に、塩化メチレンを使用
することが好ましい。
【0055】また、この反応は、通常、−100℃〜−
50℃の温度で行うが、好ましくは−78〜−50℃の
温度で行う。より好ましくは−78℃で行う。反応時間
は、反応温度や酸化剤の量などにより異なるが、通常1
時間程度とする。
【0056】工程g 工程fで得られた式(8)の化合物に酸又は塩基を作用
させて、その二重結合を異性化させて式(9)の化合物
を形成する。
【0057】二重結合を塩基により異性化させる場合、
塩基として、ピリジン、トリエチルアミンなどの含窒素
化合物等を使用することができる。また、二重結合を酸
により異性化させる場合、酸として有機酸を使用するこ
とができる。特に、収率の点からp−トルエンスルホン
酸を触媒量で使用することが好ましい。
【0058】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類、
ジエチルエーテルなどのエーテル類。特に、ベンゼンを
使用することが好ましい。
【0059】また、この反応は、通常、0℃〜50℃の
温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行う。
反応時間は、触媒の種類や量などにより異なるが、通常
は20時間程度とする。
【0060】工程h 工程gで得られた式(9)の化合物の二つのカルボニル
基を、経路B1の工程cと同様の条件で、同時に水酸基
に還元して式(5)の化合物を形成する。
【0061】工程d 経路B1の工程dと同様にして式(2)の化合物を形成
する。
【0062】経路B
【0063】
【化30】
【0064】工程i Aステージの工程aで得られた式(3)の化合物のカル
ボニル部位の還元とアシル基の還元的脱離とを、経路B
1の工程cと同様に、同時に行って式(10)の化合物
を形成する。
【0065】工程j 工程iで得られた記(10)の化合物の第一級水酸基と
第二級水酸基とを同時にカルボニル基に酸化して式(1
1)の化合物を形成する。
【0066】この反応において使用する酸化剤として
は、ジメチルスルホキシド−オキザリルジクロライド系
酸化剤、過ヨウ素酸を活性種とする酸化剤、クロム酸を
活性種とする酸化剤などを使用することができ、中でも
収率の点からクロロクロム酸ピリジニウムリルクロライ
ドを酸化剤として使用することが好ましい。酸化剤の使
用量は、式(10)の化合物の1〜50倍モルとするこ
とが好ましく、特に5〜10倍モルとすることがより好
ましい。
【0067】なお、この酸化反応を終了させる場合、反
応系にトリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン
などの含窒素系化合物を添加することにより終了させる
ことが好ましい。この場合には、含窒素系化合物を式
(10)の化合物の2〜100倍モルの量で添加する。
【0068】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類な
どを使用することができる。特に、塩化メチレンを使用
することが好ましい。
【0069】また、この反応は、通常、0℃〜50℃の
温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行う。
反応時間は、反応温度や酸化剤の量などにより異なる
が、通常1時間程度とする。
【0070】工程k 工程jで得られた式(11)の化合物の第三級水酸基を
脱離させて式(9)の化合物を形成する。この反応は、
第三級水酸基に脱離基を導入することにより容易に行う
ことができる。
【0071】例えば、式(11)の化合物の第三級水酸
基に、塩基としてピリジンなどの含窒素化合物の存在下
で、メタンスルホニルクロライドを反応させることによ
り式(9)の化合物を得ることができる。この場合、塩
基として、ピリジンと4−ジメチルアミノピリジンとを
併用することが収率の点から好ましい。
【0072】脱離基を導入するためにメタンスルホニル
クロライドを使用した場合、その使用量は式(11)の
化合物の1倍モル以上とすればよく、また、ピリジンの
使用量はメタンスルホニルクロライドの1倍モル以上と
すればよい。その際、4−ジメチルアミノピリジンは触
媒量で使用すればよい。
【0073】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類な
どを使用することができる。特に、塩化メチレンを使用
することが好ましい。
【0074】また、この反応は、通常、0℃〜50℃の
温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行う。
反応時間は、反応温度や塩基の量などにより異なるが、
通常1時間程度とする。
【0075】工程h及び工程d 経路B2の工程及び工程dと同様にして式(2)の化合
物を形成する。
【0076】Cステージ
【0077】
【化31】
【0078】工程l Bステージで最終的に得られた式(2)の化合物のカル
ボニル基にシアンヒドリン化剤を反応させて式(12)
の化合物を形成する。
【0079】この反応において使用するシアンヒドリン
化剤としては、シアン化水素、トリメチルシリルニトリ
ルなどを用いることができる。中でも、収率の点からト
リメチルシリルニトリルを使用することが好ましい。そ
の使用量は、式(2)の化合物の2〜50倍モルとする
ことが好ましく、特に2〜10倍モルとすることがより
好ましい。
【0080】なお、この反応においては、触媒としてシ
ス−ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6−シアン化
カリウム錯体などのクラウンエーテル類のシアン化カリ
ウム錯体あるいはヨウ化亜鉛などの亜鉛ハロゲン化物を
使用することが好ましい。特に、収率の点からシス−ジ
シクロヘキサノ−18−クラウン−6−シアン化カリウ
ム錯体を使用することがより好ましい。
【0081】また、この反応は、通常、0℃〜50℃の
温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行う。
反応時間は、反応温度や触媒の量などにより異なるが、
通常1時間程度とする。
【0082】なお、シアンヒドリン化剤としてトリメチ
ルシリルニトリルを使用した場合、水酸基に付加したト
リメチルシリル基を酸により除去する。その際、反応系
にテトラヒドロフランなどのような水に可溶な溶媒を使
用することが好ましい。この目的で使用する酸として
は、硝酸、硫酸、塩酸などの鉱酸、p−トルエンスルホ
ン酸などの有機酸を使用することができる。中でも、塩
酸を使用することが好ましい。
【0083】工程m 工程lで得られた式(12)の化合物の水酸基に酸触媒
の存在下でエチルビニルエーテルを反応させて、水酸基
がエトキシエチル基で保護された構造の式(13)の化
合物を形成する。
【0084】この反応において、エチルビニルエーテル
の使用量は式(12)の化合物の2〜40倍モルとする
ことが好ましく、特に2〜20倍モルとすることが好ま
しい。
【0085】触媒としては、p−トルエンスルホン酸な
どの有機酸を使用することができ、特に、収率の点から
p−トルエンスルホン酸ピリジニウムを使用することが
好ましい。
【0086】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類あ
るいはそれらの混合溶媒を使用することができる。特
に、塩化メチレンとベンゼンとの混合溶媒を使用するこ
とが好ましい。
【0087】また、この反応は、通常、0℃〜50℃の
温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行う。
反応時間は、反応温度や塩基の量などにより異なるが、
通常1時間程度とする。
【0088】工程n 工程mで得られた式(13)の化合物を、塩基の存在下
で閉環して式(14)の化合物を形成する。
【0089】この閉環反応で使用する塩基としては、ア
ルカリ金属アミド化合物を使用することができ、例え
ば、リチウム(トリメチルシリル)アミド、ナトリウム
(トリメチルシリル)アミド、カリウム(トリメチルシ
リル)アミドを用いることが好ましい。塩基の使用量
は、式(13)の化合物の1〜20倍モルとするするこ
とが好ましく、特に収率の点から1〜10倍モルとする
ことが好ましい。
【0090】この反応では、溶媒としてテトラヒドロフ
ラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類を使用する
ことができる。溶媒の使用量としては、式(13)の化
合物の使用量を1mmolとした場合に、式(13)の
化合物を溶解させるために5〜50ml、塩基を溶解す
るために10〜1000ml程度となる。
【0091】なお、この反応は、通常0℃〜150℃の
温度範囲で行う。また、反応時間は、反応温度や塩基の
量などにより異なるが、式(13)の化合物の滴下終了
後、通常1時間行う。
【0092】工程o 工程nで得られた式(14)の化合物の水酸基の保護基
であるエトキシエチル基を酸の存在下で除去して式(1
5)の化合物を形成する。
【0093】この反応において使用する酸としては、p
−トルエンスルホン酸などの有機酸を使用することがで
きる。特に、収率の点からp−トルエンスルホン酸ピリ
ジニウムを使用することが好ましい。
【0094】この反応では、溶媒として、メタノールな
どの低級アルコールを使用することができる。
【0095】また、この反応は、通常、0℃〜100℃
の温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行
う。反応時間は、反応温度や酸の量などにより異なる
が、通常8時間程度とする。
【0096】工程p 最後に、工程oで得られた式(15)の化合物のニトリ
ル基を塩基で加水分解することにより式(1)の化合物
が得られる。
【0097】この反応で使用する塩基としては、水酸化
ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ピリジンなど
の含窒素化合物等を用いることができる。特に、収率の
点でアルカリ金属水酸化物を使用することが好ましい。
【0098】この反応では、溶媒として塩化メチレン、
ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ヘキサン
などの炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類あ
るいはそれらの混合溶媒を使用することができる。特に
塩化メチレンとベンゼンとの混合溶媒を使用することが
好ましい。
【0099】また、この反応は、通常、0℃〜100℃
の温度で行うが、好ましくは20〜30℃の温度で行
う。反応時間は、反応温度や塩基の量などにより異なる
が、通常1時間以内とする。
【0100】ついで、本発明のうち上記[II]について
詳細に説明する。
【0101】
【化32】
【0102】なお上記化合物において点線(……)によ
る結合については、HとOHまたはHとOEEの関係
は、一方が紙面の上部にある場合は他方が紙面の下部に
あり、一方が紙面の下部にある場合は他方が紙面の上部
にあることを意味する。
【0103】本発明の式(1)のC−アロマタキソール
類縁体は、式(3)の化合物から新規な式(5)の化合
物を経て、更にこれを新規な式(13)の化合物に誘導
し、この式(13)の化合物にシアンヒドリン閉環反応
を適用することによりB環を形成することにより容易に
得られる。
【0104】工程a´ 式(5)でXが塩素原子であり、R1とYが水酸基であ
る化合物の1級水酸基をt−ブチルジメチルシリル基に
て保護し、式(5)でXが塩素原子であり、R1が水酸
基であり、Yがt−ブチルジメチルシリルオキシ基であ
る化合物を合成する。この保護を行うに際し、シリル化
剤の量は1モル倍以上あれば良く、通常1−2モル程度
が好ましい。シリル化剤として、t−ブチルジメチルシ
リルクロリドを用い、塩基としてイミダゾール,トリエ
チルアミン等窒素系塩基を用いるのが好ましい。塩基の
量としてはシリル化剤の1モル倍以上あれば良く、通
常、1−2モル倍用いる。
【0105】溶媒としてはテトラヒドロフラン,ジメチ
ルホルムアミドなどのエーテル類,塩化メチレンなどの
ハロゲン化炭化水素が好ましい。
【0106】反応温度としては0−100度であれば良
く特に室温が好ましい。また反応時間は反応温度により
異なるが通常1時間程度で終了する。
【0107】工程b´ 式(5)でXが塩素原子であり、R1が水酸基であり、
Yがt−ブチルジメチルシリルオキシ基である化合物の
2級水酸基をエトキシエチル基にて保護し、式(5)で
Xが塩素原子であり、Yがt−ブチルジメチルシリルオ
キシ基であり、R1がエトキシエチルオキシ基である化
合物を合成する。(前記の工程mと同様に行う。) 工程c´ 式(5)でXが塩素原子であり、Yがt−ブチルジメチ
ルシリルオキシ基であり、R1がエトキシエチルオキシ
基である化合物の塩素原子を酸化し、式(2)でYがt
−ブチルジメチルシリルオキシ基であり、R1がエトキ
シエチルオキシ基である化合物を合成する。この反応に
おいて酸化に用いるジメチルスルホキシドは1モル倍以
上あれば良く普通は溶媒として用いる。また塩基とし
て、炭酸水素ナトリウム等の無機塩を用いる。その量は
1モル倍以上あれば良く、通常、3−10モル倍用い
る。
【0108】反応温度としては80−200度の温度で
行うが通常100度前後が好ましい。また反応時間は反
応温度により異なるが通常10時間程度で終了する。
【0109】工程d´ 式(2)でYがt−ブチルジメチルシリルオキシ基であ
り、R1がエトキシエチルオキシ基である化合物のカル
ボニル基にニトリルを付加させて、式(12)でYがt
−ブチルジメチルシリルオキシ基であり、R1がエトキ
シエチルオキシ基である化合物を合成する。(前記の工
程lと同様に行う。) 工程e´ 式(12)でYがt−ブチルジメチルシリルオキシ基で
あり、R1が水酸基である化合物の2級水酸基をエトキ
シエチル基にて保護し、式(13)でYがt−ブチルジ
メチルシリルオキシ基である化合物を合成する。(前記
の工程mと同様に行う。) 工程f´ 式(13)でYがt−ブチルジメチルシリルオキシ基で
ある化合物のシリル基を除去し、式(13)でYが水酸
基である化合物を合成する。この反応においてテトラブ
チルアンモニウムフルオリド,フッ化水素等のフッ素化
剤を用いる。特にフッ素化剤としてテトラブチルアンモ
ニウムフルオリドが収率の点から好ましい。フッ素化剤
の量は触媒量以上あれば良く通常1モル倍以上使用す
る。フッ素化剤としてテトラブチルアンモニウムフルオ
リドを用いた場合、溶媒としてジエチルエーテル,テト
ラヒドロフランなどのエーテル類を用いるのが好まし
い。
【0110】反応温度としては0−100度であれば良
く特に70度前後が好ましい。また反応時間は反応温度
により異なるが通常20時間程度で終了する。
【0111】工程g´ 式(13)でYが水酸基である化合物の1級水酸基を塩
素原子に変換し、式(13)でYが塩素原子である化合
物を合成する。この反応において始めにメタンスルホニ
ル化し、系中でクロロ化する。
【0112】この反応においてメシル化剤としてメタン
スルホニルクロリドを用いる。その量として1モル倍以
上あれば良く通常1−2モル倍用いる。またクロロ化剤
としてリチウムクロリドを用いる。その量として1モル
倍以上あれば良く通常1−2モル倍用いる。
【0113】この反応において塩基としてピリジン,ト
リエチルアミン等窒素系塩基を用いるのが好ましい。塩
基の量としてはメシル化剤の1モル倍以上あれば良く通
常、3−10モル倍用いる。
【0114】反応温度としては0−100度あれば良く
特に20度前後が好ましい。また反応時間は反応温度に
より異なるが通常3時間程度で終了する。
【0115】工程h´ 式(13)でYが塩素原子である化合物を塩基で閉環さ
せて、式(14)でベンジル位にシアノ基がついている
化合物を合成する。(前記工程nと同様に行う。) 工程i´ 式(14)でベンジル位にシアノ基が付いている化合物
のエトキシエチル基を除去し、式(15)でベンジル位
にシアノ基が付いている化合物を得る。(前記工程oと
同様に行う。しかし反応温度を40−60度とする。) 工程j 式(15)でベンジル位にシアノ基が付いている化合物
のニトリルを除去し、式(1)でR1が水酸基であり、
ベンジル位にカルボニル基を有する化合物を得る。(前
記工程pと同様に行う。) 本発明の式(1)のC−アロマタキソール類縁体の製造
方法においては、R1が水酸基である場合を例にとり説
明したが、R1 が水酸基以外の式(1)の化合物につい
ては、式(1)の化合物のフリーの水酸基を公知の方法
に従って変換することにより得ることができる。例え
ば、式(1)でR1 が水酸基である化合物に、低級アル
キルハライド、エトキシエチルハライド、低級アルカノ
イルハライド、アリールハライドあるいはアラキルハラ
イドなどを、塩基性条件下で反応させることにより、R
1 として低級アルコキシ基、エトキシエチルオキシ基、
低級アルカノイルオキシ基、アリールオキシ基あるいは
アラルコキシ基を導入することができる。
【0116】また、R1 が水酸基以外の式(1)の化合
物について、式(2)の化合物のフリーの水酸基を前述
したような公知の方法に従って低級アルコキシ基、エト
キシエチルオキシ基、低級アルカノイルオキシ基、アリ
ールオキシ基あるいはアラルコキシ基に予め変換してお
いてもよい。
【0117】なお、式(1)のC−アロマタキソール類
縁体の合成中間体であるBステージの目的化合物である
式(2)
【0118】
【化33】
【0119】(式中、R1 は式(1)の化合物において
定義した通りであり、Xはクロロ、ぶブロモなどのハロ
ゲン原子である。)の化合物、及びAステージの目的化
合物である式(3)
【0120】
【化34】
【0121】(式中、R2 はアセチル基、プロピオニル
基、ベンゾイル基等のアシル基であり、Xは式(2)に
おいて定義した通りである。)で表される化合物は共に
新規な化合物である。更にBステージ及びCステージの
各工程で得られる、式(1)のC−アロマタキソール類
縁体の合成中間体である以下の式(4)〜(15)の化
合物もそれぞれ新規な化合物である。なお、以下の式中
において、R1 、R2 X及びYは式(1)〜式(3)で
定義した通りであり、EEはエトキシエチル基である。
【0122】
【化35】
【0123】
【化36】
【0124】
【化37】
【0125】
【化38】
【0126】
【化39】
【0127】
【化40】
【0128】
【化41】
【0129】
【化42】
【0130】
【化43】
【0131】
【化44】
【0132】
【化45】
【0133】
【化46】
【0134】
【作用】本発明においては、C環となる式(16)のベ
ンゾイル誘導体と式(17)のゲラニオール誘導体とを
フリーデルクラフト型反応させ、更にA環部分を閉環さ
せて新規な式(3)の化合物を形成する。更に、これを
新規な式(2)の化合物に誘導し、この式(2)の化合
部物にシアンヒドリン閉環反応を適用してB環を形成す
る。従って、分子内環化反応を利用し且つB環の水酸基
を脱離が容易なエチルビニルエーテルで保護して新規な
C−アロマタキソール類縁体を得ることが可能となる。
【0135】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。なお、実施例1はAステージに関し、実施例2は
Bステージの経路B1に関し、実施例3はBステージの
経路B2に関し、実施例4はBステージの経路B3に関
し、そして実施例5はCステージに関し、実施例6は工
程a´に関し、実施例7は工程b´に関し、実施例8は
工程c´に関し、実施例9は工程d´に関し、実施例1
0は工程e´に関し、実施例11は工程f´に関し、実
施例12は工程g´に関し、実施例13は工程h´に関
し、実施例14は工程i´に関し、実施例15は工程j
´に関するものである。
【0136】実施例1工程a アルゴン置換した反応器に塩化アルミニウム0.89g
を投入し、−78℃に冷却した。これに蒸留塩化メチレ
ン40mlを加え、更に、o−クロロメチルベンゾイル
クロリド0.63gを蒸留塩化メチレン10mlに溶解
したものを10分間に亘り滴下した。20分間撹拌した
後、反応液を0℃に戻し、ゲラニルアセテート1.1m
lを蒸留塩化メチレン10mlに溶解したものを滴下
し、10分間撹拌した。
【0137】反応終了後、反応液を1規定塩酸に注ぎ込
み、有機層を塩化メチレンにより抽出した。得られた塩
化メチレン層を飽和重曹水、飽和食塩水にて洗浄後、無
水硫酸マグネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した
後、減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣とし
て得た。
【0138】この粗生成物からシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1→5/
1)にて不純物を除去し、ヘキサン−ジエチルエーテル
混合溶媒から再結晶させることにより淡黄色結晶19
4.2mgを得た。この淡黄色結晶は以下の同定データ
により式(3)でXが塩素原子であり、R2がアセトキ
シ基である化合物であることが確認できた(収率16
%)。
【0139】同定データ mp: 112-112.5 ℃ IR(cm-1): 3460,2970,2916,1710,1666,1595,15
711 H−NMR(300MHz,CDCl3 ,ppm):
7.37-7.70(m,4H),4.94(d,1H,J=12Hz),4.83(d,1H,J=12
Hz),4.44(dd,1H,J=12Hz,J=4.8Hz),4.32(dd,1H,J=12Hz,J
=2.8Hz),3.36(d,1P,J=2.51Hz),2.18-2.26(m,1H),2.17
(s,3H),1.69-1.82(m,1H),1.49-1.62(m,2H),1.40-1.42
(m,1H),1.28(s,3H),1.19(s,3H)1.02(s,3H)13 C−NMR(75MHz,CDCl3 ,ppm):
206.79,170.70.139.70,136.77,131.58.131.58,128.25,1
28.10,71.66,62.01,57.48,54.14,43.76,40.78,37.80,3
0.89,30.05,22.05,21.22,17.93
【0140】実施例2工程b 反応器に、実施例1の工程aで得られた式(3)でXが
塩素原子であり、R2がアセトキシ基である化合物86
9.1mgを投入し、更にオルトぎ酸トリメチル15m
lを加え溶解した。この溶液に触媒量のp−トルエンス
ルホン酸を加え、2時間撹拌した。反応終了後、反応液
を飽和重曹水に注ぎ込んでジエチルエーテルを加え有機
層を抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和食塩
水により洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し
た。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去し、油状
の粗生成物を残渣として得た。
【0141】この粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=20/1)
により精製し、油状化合物を521.9mgと油状化合
物264.7mgを得た。これらの油状化合物は以下の
同定データにより前者が式(4)でXが塩素原子であ
り、R2がアセトキシ基である化合物(収率63%)で
あり、後者が式(6)でXが塩素原子であり、R2がア
セトキシ基である化合物(収率32%)であることが確
認できた。
【0142】同定データ 式(4)でXが塩素原子であり、R2がアセトキシ基で
ある化合物 IR(cm-1): 2966,1728,1678,1595,15711 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.34-7.71(m,4H),4.92(d,1H,J=11.9Hz),4.86(d,1H,J=
11.9Hz),4.61-4.66(m,2H),3.46(dd,1H,J=10.6Hz,J=3.3H
z),1.65-2.18(m,4H),2.03(s,3H),1.13(s,3H),1.05(s,3
H)13 C−NMR(67.5MHZ,CDCl3 ,pp
m): 207.06,171.23,139.41,136.91,135.63,132.13,
131.55,131.55,128.48,128.10,60.50,54.02,43.83,37.6
1,31.47,27.73,23.23,22.21,21.01,19.97 式(6)でXが塩素原子であり、R2がアセトキシ基で
ある化合物 IR(cm-1): 2966,1729,1676,1597,15701 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.35-7.70(m,4H),5.52-5.60(m,1H),4.89(s,2H),4.30
(dd,J=11.8Hz,J=5.6Hz),4.16(dd,1H,J=11.8Hz,J=5.6H
z),3.44(dd,1H,J=11.6Hz,J=4.6Hz),2.36-2.48(m,1H),2.
05(s,3H),2.07-2.23(m,1H),1.64-1.80(m,1H),1.07(s,3
H),1.06(s,3H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 206.94,171.05,139.36,133.42,131.66,131.54,
128.53,128.10,122.61,62.64,53.13,50.17,43.88,36.1
7,27.37,27.00,21.84,21.15,15.91
【0143】工程c アルゴン置換した反応器に工程bで得られた式(4)で
Xが塩素原子であり、R2がアセトキシ基である化合物
430.0mgを投入し、蒸留塩化メチレン10mlを
加え溶解した。この溶液を−78℃に冷却し、2規定水
素化ジイソブチルアルミニウムトルエン溶液を加え30
分間撹拌した。反応終了後、反応液を室温に戻し、3規
定塩酸に注ぎ込んで、ジエチルエーテルを加え有機層を
抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和重曹水、
飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより
乾燥した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去
し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0144】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/エーテル=1/1)にて精
製し、油状化合物290.3mgを得た。この油状化合
物は以下の同定データにより式(5)でXが塩素原子で
あり、R1 およびYが水酸基である化合物であることが
確認できた(収率77%)。
【0145】同定データ IR(cm-1): 3390,2936,1487,14471 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.28-7.47(m,4H),4.98(d,1H,J=9.9Hz),4.85(d,1H,J=1
1.4Hz),4.66(d,1H,J=11.4Hz),4.19(s,1H),1.77-1.96(m,
4H),1.74(s,3H),1.48(s,3H),1.22(s,3H),0.92-1.19(2H,
m)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 143.67,139.03,135.18,133.33,130.69,129.33,
127.92,127.89,74.04,58.98,49.72,43.92,38.55,32.15,
28.48,22.99,21.40,19.73
【0146】工程d 反応器に工程cで得られた式(5)でXが塩素原子であ
り、R1 およびYが水酸基である化合物290.3mg
を投入し、蒸留ベンゼン0.5mlと蒸留塩化メチレン
0.5mlを加え溶解した。この溶液に二酸化マンガン
411mgを加え7時間撹拌した。更に、二酸化マンガ
ン411mgを加え、13時間撹拌した。反応液から固
形物を濾過助剤セライトを用いて濾別し、その固形物を
酢酸エチルを用いて洗浄した。得られた濾過液から溶媒
を減圧下にて留去し、油状の粗生成物を残渣として得
た。
【0147】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1→1
/1)にて精製して油状化合物136.8mgを得た。
この際、式(5)でXが塩素原子であり、R1 およびY
が水酸基である化合物110.0mgを回収した。得ら
れた油状化合物は以下の同定データにより式(2)でX
が塩素原子であり、R1 が水酸基である化合物であるこ
とが確認できた(収率47%、転化率62%)。
【0148】同定データ IR(cm-1): 3416,2930,1711,1662,1610,14581 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
10.11(s,1H),7.27-7.46(m,4H)5.03(d,1H,J=9.9Hz),4.
86(d,1H,J=11.5Hz),4.67(d,1H,J=11.5Hz),1.88-2.15(m,
4H),2.06(s,3H),1.64(s,3H),1.45(s,3H),0.98-1.43(m,2
H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 192.92,154.70,143.32,141.47,135.31,130.94,
129.38,128.01,73.59,50.44,43.85,37.79,35.28,28.57,
22.33,20.34,19.54
【0149】実施例3工程e アルゴン置換した反応器に、実施例2の工程bで得られ
た式(6)でXが塩素原子であり、R2がアセトキシ基
である化合物316.1mgを投入し、蒸留塩化メチレ
ン10mlを加え溶解した。この溶液を−78℃に冷却
し、2規定水素化ジイソプロピルアルミニウムトルエン
溶液1.8mlを加え、30分間撹拌した。反応終了
後、反応液を室温に戻し、1規定塩酸に注ぎ込んでジエ
チルエーテルを加え有機層を抽出した。得られたジエチ
ルエーテル層を飽和水重曹水、飽和食塩水より洗浄後、
無水硫酸マグネシウムより乾燥した。固定物を濾別した
後、減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣とし
て得た。
【0150】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=1/
1)にて精製し、油状化合物192.3mgを得た。こ
の油状化合物は以下の同定データにより式(7)でXが
塩素原子である化合物であることが確認できた(収率6
9%)。
【0151】同定データ IR(cm-1): 3408,29691 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.28-7.37(m,4H),5.30-5.35(bs,1H),5.03(d,1H,J=8.9
Hz),4.78(d,1H,J=11.6Hz),4.66(d,1H,J=11.6Hz),3.97(d
d,1H,J=3.6Hz,J=11.6Hz),3.86(dd,1H,J=3.6Hz,J=11.6H
z),1.74-1.95(m,3H),1.77(s,3H),1.36-1.47(b,2H),1.30
(s,3H),1.06(s,3H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 143.09,134.88,133.36,130.58,129.09,128.21,
127.74,123.18,72.04,60.68,53.48,49.13,43.94,36.17,
29.13,27.28,21.98,19.28
【0152】工程f アルゴン置換した反応器に蒸留塩化メチレンを投入し、
−78℃に冷却した。これにジメチルスルフォキシド
0.40mlとシュウ酸ジクロリド0.24mlを加え
て5分間撹拌した。この反応器に工程eで得られた式
(7)でXが塩素原子である化合物171.7mgを蒸
留塩化メチレン3mlに溶解させたものを滴下し、3時
間30分撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留トリエチ
ルアミン1.55mlを加え、反応液を室温に戻し、1
規定塩酸に注ぎ込み、有機層をジエチルエーテルで抽出
した。得られたジエチルエーテル層を1規定塩酸、飽和
重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。固形物を濾別し、減圧下で溶媒を留去
し、油状の粗生成物209.4mgを得た。この粗生成
物は以下の同定データにより式(8)でXが塩素原子で
ある化合物が主成分であることが確認できた。
【0153】同定データ IR(cm-1): 2958,2922,2864,1716,1676,1597,15
711 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
9.66(d,1H,J=4.95Hz),7,35-7.67(m,4H),5.72(d,1H,J=
1.6Hz),4.82-4.90(m,2H),3.33(dd,1H,J=9.9Hz,J=5.6H
z),2.60-2.70(m,1H),2.41-2.55(m,1H),2.14-2.28(m,1
H),1.68(s,3H),1.24(s,3H),1.04(s,3H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 205.89,204.59,138.80,137.05,131.82,131.59,
128.45,128.91,128.21,123.41,63.76,51.43,43.76,35.8
7,28.41,26.72,22.05,18.45
【0154】工程g アルゴン置換された反応器に工程fで得られた式(8)
でXが塩素原子である化合物を主成分とする油状粗生成
物209.4mgを投入し、蒸留ベンゼン15mlを加
え溶解した。この溶液に触媒量のp−トルエンスルホン
酸ピリジニウムを加え17時間撹拌した。反応終了後、
反応液を飽和重曹水に注ぎ込み、有機層をジエチルエー
テルにて抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。
固形物を濾別し、減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成
物を残渣として得た。
【0155】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)に
て精製し、油状化合物100.2mgを得た。この化合
物は以下の同定データにより式(9)でXが塩素原子で
ある化合物であることが確認できた(工程h及びgの積
算収率59%)。
【0156】工程h アルゴン置換した反応器に工程gで得られた式(9)で
Xが塩素原子である化合物11.2mgを投入し、蒸留
塩化メチレン1mlを加え溶解した。この溶液を−78
℃に冷却し、2規定水素化ジイソプロピルアルミニウム
トルエン溶液0.1mlを加え、20分間撹拌した。
【0157】反応終了後、反応液を室温に戻し、1規定
塩酸に注ぎ込んでジエチルエーテルを加え有機層を抽出
した。得られたジエチルエーテル層を飽和重曹水、飽和
食塩水により洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥
した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去し、油
状の粗生成物を残渣として得た。
【0158】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1→5
/1)にて精製し、油状化合物8.2mgを得た。この
油状化合物は以下の同定データにより式(5)で表され
る化合物であることが確認できた(収率73%)。
【0159】IR(cm-1): 2924,1713,1670,1612,
15711 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
10.15(s,1H),7,40-7.72(m,4H),4.97(d,1H,J=11.5Hz),
4.81(d,1H,J=11,5Hz),3.44(t,1H,J=6Hz),2.28-2.84(m,2
H),2.15(s,3H),1.90-1.98(m,1H),1.60-1.80(m,1H),1.36
(s,3H),1.30(s,3H)
【0160】実施例4工程i アルゴン置換した反応器に、実施例1の工程aで得られ
た式(3)の化合物150mgを投入し、蒸留塩化メチ
レン10mlを加え溶解した。この溶液を−78℃に冷
却し、2規定水素化ジイソブチルアルミニウムトルエン
溶液1mlを加えて30分間撹拌した。反応終了後、反
応液を室温に戻し、1規定塩酸に注ぎ込んで塩化メチレ
ンを加えて有機層を抽出した。得られた塩化メチレンを
層を飽和重曹水、飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マ
グネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減圧
下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0161】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15/1)に
より精製し、油状化合物107.9mgを得た。この油
状化合物は以下の同定データにより式(10)の化合物
であることが確認できた(収率81%)。
【0162】同定データ IR(cm-1): 3360,2964,1489,14531 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.21-7.65(m=4H),5,02(dd,1H,J=3.8Hz,J=8.5Hz),4.63
-4.90(m,2H),4.04-4.21(m,2H),2.77-2.79(m,3H),1.25
(s,3H),1.29(s,3H),1.55(s,3H),0.74-2.15(m,5H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 143.88,135.02,130.69,129.24,128.00,127.75,
73.59,73.23,60.24,54,88,52.83,44.06,40.92,38.26,3
0.71,50.22.18
【0163】工程j アルゴン置換した反応器に、工程iで得られた式(1
0)の化合物107.9mgを投入し、蒸留塩化メチレ
ン15mlを加え溶解した。この溶液を0℃に冷却し、
クロロクロム酸ピリジニウム711.6mgを加え、室
温に戻し、1時間撹拌した。反応終了後、反応液にジエ
チルエーテルを加えた。この溶液をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(エーテル)に通して固形物を除去し
た後、減圧下で溶媒を留去し、油状化合物83.2mg
を残渣として得た。この油状化合物は以下の同定データ
により式(11)の化合物であることが確認できた(収
率77%)。
【0164】同定データ IR(cm-1): 3494,2964,2928,1711,16781 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
10.09(d,1H,J=3.0Hz),7,38-7.66(m,4H),,4.95(d,1H,J
=11.9Hz),4.81(d,1H,J=11.9Hz),3.22(dd,1H,J=2.6Hz,J=
13Hz),2.31(dt,1H,J=13Hz,Jd=3.6Hz),2.19(d,1H,J=3H
z),1.79(dt,1H,Jt=3Hz,Jd=13Hz),1.56-1.58(m,1H),1.4
4-1.49(m,1H),1.38(s,3H),1.22(s,3H),1.11(s,3H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 207.94,205.93,139.55,136.84,131.75,131.75,
128.23,123.23,70.86,66.09,56.88,43.67,39.91,38.26,
30.82,30.24,22.09,18.78
【0165】工程k アルゴン置換した反応器に、工程jで得られた式(1
1)の化合物83.2mgを投入し、蒸留塩化メチレン
1mlを加え溶解した。この溶液を0℃に冷却し、蒸留
ピリジン0.54ml、触媒量の4−ジメチルアミノピ
リジン及びメタンスルフォニルクロリド0.2mlを加
え、反応液を室温に戻して40分間撹拌した。 反応終
了後、反応液を1規定塩酸に注ぎ込んでジメチルエーテ
ル加え有機層を抽出した。得られたジエチルエーテル層
を飽和重曹水、飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減圧下
で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。得
られた粗生成物を分取用薄層クロマトグラフィー(ヘキ
サン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、油状の式
(9)の化合物35.5mgを得た(収率46%)。
【0166】実施例5工程l 反応器に、実施例2の工程dで得られた式(2)の化合
物169.1mgを投入し、トリメチルシリルニトリル
0.44mlを加え溶解した。この溶液を0℃に冷却
し、触媒量のシス−ジシクロヘキサノ−18−クラウン
−6−シアン化カリウム錯体を加え、室温に戻し3時間
撹拌し、次に蒸留テトラヒドロフラン4mlを加え30
分間撹拌した。更に、1規定塩酸2mlを加え、45分
間撹拌した。
【0167】反応終了後、反応液を飽和食塩水に注ぎ込
んでジエチルエーテルを加え有機層を抽出した。得られ
たジエチルエーテルを無水硫酸マグネシウムにより乾燥
した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去し油状
の粗生成物217.1mgを残渣として得た。この粗生
成物は以下の同定データにより式(12)の化合物を主
成分として含有することが確認できた。
【0168】同定データ IR(cm-1): 3428,2954,22321 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.29-7.47(m=4H),5,14and5.15(each S1H),4.94and4.9
7(each d,1H,J=3.3Hz),4.83and4.85(each d,1H,J=11.5H
z),4.65and4.65(each d,1.98(s,3H),1.49and1.52(each
s,3H)1.22and1.27(each s,3H),0.97-2.10(m,8H)
【0169】工程m アルゴン置換した反応器に、工程lで得られた式(1
2)の化合物を主成分とする油状粗生成物217.1m
gを投入し、蒸留ベンゼン2.5mlと蒸留塩化メチレ
ン2.5mlとを加え溶解した。この溶液を0℃に溶解
し、エチルビニルエーテル0.32mlと触媒量のp−
トルエンスルホン酸ピリジニウムを加え1時間撹拌し
た。反応終了後、反応液に蒸留トリエチルアミン0.2
mlを加え、それを飽和重曹水に注ぎ込んでジエチルエ
ーテルを加え有機層を抽出した。得られたジエチルエー
テル層を飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒
を留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0170】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)に
て精製し、油状化合物222.9mgを得た。この油状
化合物は以下に示す同定データにより式(13)の化合
物であることが確認できた(工程l及びmの積算収率8
4%)。
【0171】IR(cm-1): 2974,2982,2244,1445,
13891 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.26-7.40(m=4H),4.25-5.20(m,6H),3.25-3.80(m,4H),
1.05-2.05(m,26H)
【0172】工程n アルゴン置換した反応器に、蒸留テトラヒドロフラン4
2mlを投入し、0℃に冷却した。これに1,1,1,
3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.73mlと
1.61規定n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液1.2
9mlとを加え、30分間撹拌し、更に室温に戻し30
分間撹拌した。この溶液を加熱し、溶媒の還流下で工程
mで得られた式(13)で表される化合物165.5m
gを蒸留テトラヒドロフラン18mlに溶解したものを
1時間かけて滴下し、更に、40分間撹拌した。反応終
了後、反応液を室温に冷却し、それを飽和塩化アンモニ
ウム水溶液に注ぎ込んでジエチルエーテルを加え有機層
を抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和食塩水
により洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。
固形物を濾別し、減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成
物を残渣として得た。
【0173】この粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=40/l)にて精
製し、油状化合物142.8mgを得た。この油状化合
物は以下に示す同定データにより式(14)の化合物で
あることが確認できた。
【0174】同定データ IR(cm-1): 2974,2926,2242,1445,13821 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.29-7.62(m,4H),4.37-5.25(m,3H),3.27-3.73(m,6H),
1.01-2.04(m,26H)
【0175】工程o 反応器に、工程nで得られた式(14)の化合物14
2.8mgを投入し、メタノール3mlを加え溶解し
た。この溶液に触媒量のp−トルエンスルホン酸ピリジ
ニウムを加え8時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽
和食塩水に注ぎ込んで、ジエチルエーテルを加え有機層
を抽出した。得られたジエチルエーテル層を無水硫酸マ
グネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減圧
下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0176】この粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1→5/
1)にて精製し、油状化合物96.8mgを得た。この
油状化合物は以下に示す同定データにより式(15)の
化合物であることが確認できた(収率100%)。
【0177】同定データ IR(cm-1): 3376,2944,2228,1463,14501 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.29-7.62(m,4H),5.06(d,1H,J=2Hz),3,30-3.50(m,2
H),3.00-3.15(b,1H),1.87-2.15(m,3H),1.67(s,3H),1.15
-1.30(m,2H),1.07(s,3H),1.12(s,3H)
【0178】工程p 反応器に、工程oで得られた式(15)の化合物96.
8mgを投入し、ジエチルエーテル3mlを加え溶解し
た。この溶液に1規定水酸化ナトリウム水溶液2mlを
加え、10分間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和食
塩水に注ぎ込み、ジエチルエーテルを加え有機層を抽出
した。得られたジエチルエーテル層を飽和食塩水にて2
回洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。固形物
を濾別した後、溶媒を減圧濃縮し、白色結晶粗生成物を
残渣として得た。
【0179】この粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1→10/
1→5/1)にて精製し、白色結晶化合物60.0mg
を得た。この白色結晶化合物は以下に示す同定データに
より式(1)のC−アロマタキソール類縁体であること
が確認できた。
【0180】同定データ mp: 159-160 ℃ MS: 270.1639(分析); 270.1620(計算) IR(cm-1): 3436,2992,2908,1693,16441 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.06-7.66(m=4H),5.09(s,1H),3.76,(d,1H,J=16,2Hz),
3.67,(d,1H,J=16,2Hz),1,89-2.12(m,3H),1.45-1.64(b,1
H),1.40(s,3H),1.14-1.25(m,2H),1.40(s,3H),0.55(s,3
H)13 C−NMR(67.5MHz,CDCl3 ,pp
m): 208.51,143.73,134.99,134.08,131.40,127.82,
127.03,127.00,71.04,53.54,50.65,35.46,29.86,26.71,
24.93,21.52,17.42
【0181】実施例6 工程a´ アルゴン置換した反応器に式(5)でXが塩素原子であ
り、R1 およびYが水酸基である化合物3.65gを投入
し、蒸留ジメチルホルムアミド120mlを加え溶解し
た。この溶液を0℃に冷却し、イミダゾール1.05g、t
−ブチルジメチルシリルクロリド1.97gを加え、反応液
を室温に戻して室温にて2時間撹拌した。反応終了後、
反応液を1規定塩酸に注ぎ込んでジエチルエーテルを加
え有機層を抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽
和重曹水により洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾
燥した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去し、
油状の粗生成物を残渣として6.74gを得た。この油状化
合物は以下に示す同定データにより式(5)でXが塩素
原子であり、R1 が水酸基であり、Yがt−ブチルジメ
チルシリルオキシ基の化合物であることが確認できた。
【0182】同定データ IR(cm-1);3445(OH),2920,2850,1720,1460,1255,
1050,8351 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.47-7.27 (m,4H),4.99 (d,1H,J=9.5Hz),4.83(d,1H,1
H,J=11.6Hz),4.66(d,1H,J=11.6Hz),4.05-4.12(m,2H),1.
70-1.95(m,3H),1.67(s,3H),1.43(s,3H),0.95-1.45(m,2
H),1.21(s,3H),0.92(s,9H),0.11(s,6H)
【0183】実施例7 工程b´ アルゴン置換した反応器に式(5)でXが塩素原子であ
り、R1 が水酸基であり、Yがt−ブチルジメチルシリ
ルオキシ基である粗生成物6.74gを投入し、蒸留塩化メ
チレン50mlと蒸留ベンゼン50mlを加え溶解し
た。この溶液を0℃に冷却し、触媒量のp−トルエンス
ルホン酸ピリジニウムと、エチルビニルエーテル 3.4m
lを加え、反応液を室温に戻して室温にて4時間撹拌し
た。反応終了後、反応液を飽和重曹水に注ぎ込んでジエ
チルエーテルを加え有機層を抽出した。得られたジエチ
ルエーテル層を飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減圧下
で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0184】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=150
/1、100/1、50/1)にて精製し、油状化合物
5.35gを得た。この油状化合物は以下に示す同定データ
により式(5)でXが塩素原子であり、R1 がエトキシ
エチルオキシ基であり、Yがt−ブチルジメチルシリル
オキシ基であるの化合物であることが確認できた。(工
程a´および工程b´の積算収率91%)
【0185】同定データ IR(cm-1);2925,1460,1385,1255,1050,8351 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.0-7.69(b,4H),4.4-5.2(b,3H),4.0-4.3(b,2H),2.8-
2.95,3.25-3.6(b,2H),1.65(s,3H),1.45,1.65(s total 3
H),1.12,1.17(s,total 3H),0.92(s,9H),0.91,0.68(t,to
tal 3H,each J=6.9Hz),0.01(s,6H)
【0186】実施例8 工程c´ 反応器に式(5)でXが塩素原子であり、R1 がエトキ
シエチルオキシ基であり、Yがt−ブチルジメチルシリ
ルオキシ基である化合物5.35gを投入し、蒸留ジメチル
スルホキシド100mlを加え溶解した。この溶液に炭
酸水素ナトリウム2.73gを加え、110℃にて11時間
撹拌した。
【0187】反応終了後、反応液を飽和食塩水を注ぎ込
んでジエチルエーテルを加え有機層を抽出した。無水硫
酸マグネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、
減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として得
た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=30/1、25
/1、15/1)にて精製し、油状化合物3.93gを得
た。この油状化合物は以下に示す同定データにより式
(2)でR1 がエトキシエチルオキシ基であり、Yがt
−ブチルジメチルシリルオキシ基である化合物であるこ
とが確認できた。(収率77%) 同定データ IR(cm-1);2950,2925,1695(C=O),1600,1570,146
0,1380,1250,1055,840,7601 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
10.56(s,1H),7.85(d,1H,J=7.6Hz),7.53(d,1H,J=3.6H
z), 7.35-7.41(m,1H),5.15(d,1H,J=9.6Hz),4.66(q,1H,J
=5.3Hz),4.16(s,2H),3.17-3.24(m,1H),2.87-2.95(m,1
H),1.69-1.90(m,3H),1.65(s,3H),1.38(m,3H),1.19-2.28
(m,2H),1.31(d,3H,J=5.3Hz),1.15(s,3H),0.93(s,9H),
0.63(t,3H,J=6.9Hz),0.10(s,6H) 式(2)の化合物(ジアステレオマーの2) IR(cm-1);2925,2880,1695(C=O),1595,1460,138
5,1255,1055,940,7751 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
10.58(bs,1H),7.90(d,1H,J=7.6Hz),7.30-7.58(m,1H),
5.2-5.6(b,1H,),4.11-4.26(m,3H,),3.38-3.50(m,2H),1.
71-1.95(m,5H),1.65(s,3H),1.44(s,3H),1.21(s,3H),1.1
7(d,3H,J=5.3Hz),0.92(s,9H),0.92(t,3H,J=5.5Hz),0.10
(s,6H)
【0188】実施例9 工程d´ 反応器に式(2)でR1 がエトキシエチルオキシ基であ
り、Yがt−ブチルジメチルシリルオキシ基である化合
物1.46gを投入し、トリメチルシリルニトリル1.23ml
を加え溶解した。この溶液を0℃に冷却し、触媒量のシ
スージシクオヘキサノ−18−クラウン−6−シアン化
カリウム錯体を加え、反応液を室温に戻して室温にて2
時間撹拌した。更に1規定塩酸10mlとテトラヒドロ
フラン10mlを加え、1時間撹拌した。
【0189】反応終了後、反応液に飽和食塩水を注ぎ込
んでジエチルエーテルを加え有機層を抽出した。無水硫
酸マグネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、
減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として1.
76gを得た。この油状化合物は以下に示すIRデータに
よりカルボニル基の喪失と水酸基が確認できたため式
(12)でR1 がエトキシエチルオキシ基であり、Yが
t−ブチルジメチルシリルオキシ基である化合物である
ことが確認できた。 IR(cm-1);3390(OH),2950,1460,1384
【0190】実施例10 工程e´ アルゴン置換した反応器に式(12)でR1 がエトキシ
エチルオキシ基であり、Yがt−ブチルジメチルシリル
オキシ基である化合物の粗生成物1.76gを投入し、蒸留
塩化メチレン15mlと蒸留ベンゼン15mlを加え溶
解した。この溶液を0℃に冷却し、触媒量のp−トルエ
ンスルホン酸ピリジニウムと、エチルビニルエーテル0.
88mlを加え、反応液を室温に戻して室温にて15時間
撹拌した。
【0191】反応終了後、反応液を飽和重曹水に注ぎ込
んでジエチルエーテルを加え有機層を抽出した。得られ
たジエチルエーテル層を飽和食塩水により洗浄後、無水
硫酸マグネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した
後、減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣とし
て得た。
【0192】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=30/
1)にて精製し、油状化合物 1.451gを得た。この油状
化合物は以下に示すIRデータにより水酸基の喪失がみ
られたため式(13)でYがt−ブチルジメチルシリル
オキシ基である化合物であることが確認できた。(工程
d´および工程e´の積算収率82%) IR(cm-1);2925,1460,1385
【0193】実施例11 工程f´ アルゴン置換した反応器に式(13)でYがt−ブチル
ジメチルシリルオキシ基である化合物1.45gを投入し、
蒸留テトラヒドロフラン15mlを加え溶解した。この
溶液にテトラブチルアンモニウムフロリド1.32gを加
え、70℃にて28時間撹拌した。反応終了後、反応液
を飽和重曹水を注ぎ込んでジエチルエーテルを加え有機
層を抽出した。さらに飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸
マグネシウムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減
圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を残渣として得
た。
【0194】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=20/
1、10/1、1/1)にて精製し、油状化合物0.71g
を得た。この油状化合物は以下に示すIRデータにより
水酸基が確認できたため式(13)でYが水酸基である
化合物であることが確認できた。(収率62%) IR(cm-1);3450(OH),2970,2930,1445,1390
【0195】実施例12 工程g´ アルゴン置換した反応器に式(13)でYが水酸基であ
る化合物811.9mg を投入し、蒸留テトラヒドロフラン2
0mlを加え溶解した。この溶液を0℃に冷却し、トリ
エチルアミン1.48mlとメタンスルホン酸クロリド0.30m
lを加え、反応液を室温に戻して室温にて1時間30分
撹拌した。さらにこの溶液を0℃に冷却し、リチウムク
ロリド164.8 mgを加え、反応液を室温に戻して室温に
て2時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和塩化アン
モニウム水溶液に注ぎ込んでジエチルエーテルを加え有
機層を抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和重
曹水、飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグネシウム
により乾燥した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を
留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0196】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=20/
1、10/1)にて精製し、油状化合物526.4 mgを得
た。この油状化合物は以下に示す同定データにより水酸
基の喪失が確認されたため式(13)でYが塩素原子で
ある化合物であることが確認できた。(収率62%) IR(cm-1);2970,2925,1765,1445,13851 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.2-7.8(m,4H),4.4-5.4(m,3H),4.05-4.35(m,3H),3.25
-3.80(m,4H),0.40-2.10(m,20H)
【0197】実施例13 工程h´ アルゴン置換した反応器に、蒸留テトラヒドロフラン1
50mlを投入し、0℃に冷却した。これに1,1,1,3,3,
3,- ヘキサメチルジシラザン2.25mlと1.80規定n−ブ
チルリチウム−ヘキサン溶液とを加え、室温に戻し30
分間撹拌した。この溶液を加熱し、溶媒還流下で工程g
´で得られた式(13)でYが塩素原子である化合物50
9.3 mgを蒸留テトラヒドロフラン70mlに溶解した
ものを3時間かけて滴下し、さらに20分間撹拌した。
反応終了後、反応液を室温に冷却し、それを飽和塩化ア
ンモニウム水溶液に注ぎ込んでジエチルエーテルを加え
有機層を抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和
重曹水、飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムにより乾燥した。固形物を濾別した後、減圧下で溶媒
を留去し、油状の粗生成物を残渣として得た。
【0198】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=20/
1、10/1)にて精製し、油状化合物 420.9mgを得
た。この油状化合物は以下に示す同定データにより式
(14)でベンジル位にシアノ基が付いている化合物で
あることが確認できた。(収率89%)1 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
6.98,8.05(m,4H),4.18-4.25,4.45-4.75,4.95-5.35,5.
55-6.65(m,2H),3.00-3.75(m,6H),0.35-2.30(m,20H)
【0199】実施例14 工程i´ アルゴン置換した反応器に式(14)でベンジル位にシ
アノ基が付いている生成物4 20.9mgを投入し、メタノ
ール10mlを加え溶解した。この溶液を0℃に冷却
し、触媒量のp−トルエンスルホン酸ピリジニウムと、
エチルビニルエーテル0.88mlを加え、反応液を40℃
に加熱し6時間30分撹拌した。反応終了後、反応液を
飽和重曹水と飽和食塩水の混合液に注ぎ込んでジエチル
エーテルを加え有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウ
ムにより乾燥し、固形物を濾別した後、減圧下で溶媒を
留去し、白色結晶 171.2mgを得た。この白色結晶は以
下に示す同定データにより式(15)でベンジル位にシ
アノ基が付いている化合物であることが確認できた。
(収率60%)
【0200】同定データ1 H−NMR(270MHz,THF−d4,pp
m): 7.87(dd,1H,J=1.3Hz,J=7.9Hz),7.75(dd,1H,J=
1.3Hz,J=7.9Hz),7.32(dd,1H,J=1.3Hz,J=7.6Hz,J=7.6H
z),7.11(ddd,1H,J=1.5Hz,J=7.6Hz,J=7.6Hz),6.40(d,1H,
J=1.3Hz),5.67(s,1H),3.90(d,1H,J=3.6Hz),3.20(d,1H,J
=14.2Hz),3.09(d,1H,J=14.2Hz),2.52(s,2H),1.79-2.07
(m,2H),1.55(s,3H),1.12-1.31(m,1H),1.05(s,3H),0.59
(s,3H)
【0201】実施例15 工程j´ 反応器に工程i´で得られた式(15)でベンジル位に
シアノ基が付いている化合物 171.2mgをテトラヒドロ
フラン5mlに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液
を加え、20分間撹拌した。
【0202】反応終了後、反応液を飽和食塩水に注ぎ込
み、ジエチルエーテルを加え、有機層を抽出した。無水
硫酸マグネシウムにより乾燥し、固形物を濾別した後、
減圧下で溶媒を留去し、白色結晶を得た。この白色結晶
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジ
エチルエーテル=20/1、10/1、5/1)にて精
製し、白色結晶 147,5mgを得た。この白色結晶は以下
に示す同定データにより式(1)でR1 が水酸基であ
り、ベンジル位にシアノ基が付いている化合物であるこ
とが確認できた。(収率95%)1 H−NMR(270MHz,CDCl3 ,ppm):
7.55(d,1H,J=7.6Hz),7.36(ddd,1H,J=1.3Hz,J=7.6Hz,J
=7.6Hz),7.18(ddd,1H,J=1.0Hz,J=7.6Hz,J=7.3Hz),7.04
(dd,1H,J=1.3Hz,J=7.2Hz),4.89(s,1H),3.47(d,1H,J=15.
5Hz),3.32(dd,1H,J=15.5Hz,J=1.7Hz),1.85-2.18m,2H),
1.55-1.65(m,2H),1.30-1.50(m,2H),1.28(s,3H),1.10(s,
3H),0.80(s,3H)13 C−NMR(68MHz,CDCl3 ,ppm):
210.7,141.7,140.2,135.3,128.9,127.5,126.3,124.4,12
4.1,70.6,52.8,48.6,37.4,28.7,28.0,26.1,20.6,16.1
【0203】
【発明の効果】本発明によれば、新規なC−アロマタキ
ソール類縁体を、B環の水酸基をメチルエーテル化また
はメトキシメチルエーテル化して保護することなく、分
子内閉環反応を利用して簡便に提供できる。また、その
C−アロマタキソール類縁体は、生理活性物質の合成原
料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 47/55 47/57 47/575 49/747 C 9049−4H 49/753 B 9049−4H C07F 7/18 A

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 (式中、R1 は水酸基、低級アルキル基、低級アルコキ
    シ基、エトキシエチルオキシ基、低級アルカノイルオキ
    シ基、アリール基、アリールオキシ基又はアラルコキシ
    基である。)で表される化合物。
  2. 【請求項2】 式(2) 【化2】 (式中、R1 は水酸基、低級アルキル基、低級アルコキ
    シ基、エトキシエチルオキシ基、低級アルカノイルオキ
    シ基、アリール基、アリールオキシ基又はアラルコキシ
    基であり、Yはt−ブチルジメチルシリルオキシ基、水
    酸基又はハロゲン原子である。)で表される化合物。
  3. 【請求項3】 式(3) 【化3】 (式中、R2 はアシル基であり、Xはハロゲン原子であ
    る。)で表される化合物。
  4. 【請求項4】 R1 が水酸基であり、ベンジル位にカル
    ボニル基を有しない請求項1記載の化合物の製造方法に
    おいて: 【化4】 (l)式(2)でR1 が水酸基であり、Xが塩素原子で
    ある化合物のカルボニル基にニトリル基を付加させて式
    (12)でR1 が水酸基であり、Xが塩素原子の化合物
    を得る工程; (m)式(12)でR1 が水酸基であり、Xが塩素原子
    である化合物の水酸基をエトキシエチル基で保護して式
    (13)でR1 がエトキシエチル基であり、Xが塩素原
    子である化合物を得る工程; (n)式(13)でR1 がエトキシエチルオキシ基であ
    り、Xが塩素原子である化合物を塩基で閉環させて式
    (14)でR1 がエトキシエチルオキシ基であり、ベン
    ジル位にシアノ基を有しない化合物を得る工程; (o)式(14)でR1 がエトキシエチルオキシ基であ
    り、ベンジル位にシアノ基を有しない化合物の水酸基を
    保護しているエトキシエチル基を除去して式(15)で
    1 が水酸基であり、ベンジル位にシアノ基を有しない
    化合物を得る工程;及び (p)式(15)でR1 が水酸基であり、ベンジル位に
    シアノ基を有しない化合物のニトリル基を除去して式
    (1)でR1 が水酸基であり、ベンジル位にカルボニル
    基を有しない化合物を得る工程を含んでなることを特徴
    とする製造方法。
  5. 【請求項5】 R1 が水酸基であり、Xが塩素原子であ
    る請求項2記載の化合物の製造方法において: 【化5】 (b)式(3)でR がアセトキシ基の化合物の第三級
    水酸基を脱離させて式(4)でR2 がアセトキシ基で、
    Xが塩素原子である化合物を得る工程; (c)式(4)でR2 がアセトキシ基で、Xが塩素原子
    である化合物のカルボニル基を還元し且つアセチル基を
    還元的に除去して式(5)でXが塩素原子であり、R1
    およびYが水酸基である化合物を得る工程;及び (d)式(5)でXが塩素原子で、R1 およびYが水酸
    基である化合物の第一級水酸基を酸化して式(2)でX
    が塩素原子で、R1 が水酸基である化合物を得る工程を
    含んでなることを特徴とする製造方法。
  6. 【請求項6】 R1 が水酸基であり、Xが塩素原子であ
    る請求項2記載の化合物の製造方法において: 【化6】 (b)式(3)でXが塩素原子である化合物の第三級水
    酸基を脱離させて式(6)でXが塩素原子であり、R2
    がアセトキシ基である化合物を得る工程; (e)式(6)でXが塩素原子であり、R2 がアセトキ
    シ基である化合物のカルボニル基を還元し且つアセチル
    基を還元的に除去して式(7)でXが塩素原子である化
    合物を得る工程; (f)式(7)でXが塩素原子である化合物の第一級水
    酸基と第二級水酸基とを酸化して式(8)でXが塩素原
    子である化合物を得る工程; (g)式(8)でXが塩素原子である化合物の二重結合
    を異性化して式(9)でXが塩素原子である化合物を得
    る工程; (h)式(9)でXが塩素原子である化合物の二つのカ
    ルボニル基を還元して式(5)でXが塩素原子で、R1
    およびYが水酸基である化合物を得る工程;及び (d)式(5)でXが塩素原子で、R1 およびYが水酸
    基である化合物の第一級水酸基を酸化して式(2)でR
    1 が水酸基であり、Xが塩素原子である化合物を得る工
    程を含んでなることを特徴とする製造方法。
  7. 【請求項7】 R1 が水酸基であり、Xが塩素原子であ
    る請求項2記載の化合物の製造方法において: 【化7】 (i)式(3)でR がアセトキシ基で、Xが塩素原子
    である化合物のカルボニル基を還元し且つアセチル基を
    還元的に除去して式(10)でXが塩素原子である化合
    物を得る工程; (j)式(10)でXが塩素原子である化合物の第一級
    水酸基と第二級水酸基とを酸化して式(11)でXが塩
    素原子である化合物を得る工程 (k)式(11)でXが塩素原子である化合物の第三級
    水酸基を脱離させて式(9)でXが塩素原子である化合
    物を得る工程; (h)式(9)でXが塩素原子である化合物の二つのカ
    ルボニル基を還元して式(5)でXが塩素原子で、R1
    およびYが水酸基である化合物を得る工程;及び (d)式(5)でXが塩素原子で、R1 およびYが水酸
    基である化合物の第一級水酸基を酸化して式(2)でR
    1 が水酸基であり、Xが塩素原子である化合物を得る工
    程を含んでなることを特徴とする製造方法。
  8. 【請求項8】 Xが塩素原子である請求項3記載の化合
    物の製造方法において: 【化8】 (a)ルイス酸の存在下、式(16)の化合物を式(1
    7)の化合物に付加させ、更に環化反応を行うことによ
    り式(3)でXが塩素原子で、R がアセトキシ基であ
    る化合物を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
  9. 【請求項9】 式(4) 【化9】 (式中、R2 はアシル基であり、Xはハロゲン原子であ
    る。)で表される化合物。
  10. 【請求項10】 式(5) 【化10】 (式中、R1 は水酸基、低級アルキル基、低級アルコキ
    シ基、エトキシエチルオキシ基、低級アルカノイルオキ
    シ基、アリール基、アリールオキシ基又はアラルコキシ
    基であり、Xはハロゲン原子、Yはt−ブチルジメチル
    シリルオキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。)で
    表される化合物。
  11. 【請求項11】 式(6) 【化11】 (式中、R2 はアシル基であり、Xはハロゲン原子であ
    る。)で表される化合物。
  12. 【請求項12】 式(7) 【化12】 (式中、Xはハロゲン原子である。)で表される化合
    物。
  13. 【請求項13】 式(8) 【化13】 (式中、Xはハロゲン原子である。)で表される化合
    物。
  14. 【請求項14】 式(9) 【化14】 (式中、Xはハロゲン原子である。)で表される化合
    物。
  15. 【請求項15】 式(10) 【化15】 (式中、Xはハロゲン原子である。)で表される化合
    物。
  16. 【請求項16】 式(11) 【化16】 (式中、Xはハロゲン原子である。)で表される化合
    物。
  17. 【請求項17】 式(12) 【化17】 (式中、R1 は水酸基、低級アルキル基、低級アルコキ
    シ基、エトキシエチルオキシ基、低級アルカノイルオキ
    シ基、アリール基、アリールオキシ基又はアラルコキシ
    基であり、Xはハロゲン原子、Yはt−ブチルジメチル
    シリルオキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。)で
    表される化合物。
  18. 【請求項18】 式(13) 【化18】 (式中、EEはエトキシエチル基であり、Xはハロゲン
    原子、Yはt−ブチルジメチルシリルオキシ基、水酸基
    又はハロゲン原子である。)で表される化合物。
  19. 【請求項19】 式(14) 【化19】 (式中、EEはエトキシエチル基である。)で表される
    化合物。
  20. 【請求項20】 式(15) 【化20】 で表される化合物。
  21. 【請求項21】 式(5)においてXが塩素原子であ
    り、R1 とYが水酸基である化合物をt−ブチルジメチ
    ルシリル基にて保護することを特徴とする式(5)にお
    いてXが塩素原子であり、R1 が水酸基であり、Yがt
    −ブチルジメチルシリルオキシ基である化合物の製造方
    法。
  22. 【請求項22】 式(5)においてXが塩素原子であ
    り、Yがt−ブチルジメチルシリル基であり、R1 が水
    酸基である化合物をエトキシエチル基にて保護すること
    を特徴とする式(5)においてXが塩素原子であり、Y
    がt−ブチルジメチルシリルオキシ基であり、R1 がエ
    トキシエチルオキシ基である化合物の製造方法。
  23. 【請求項23】 式(5)においてXが塩素原子であ
    り、Yがt−ブチルジメチルシリルオキシ基であり、R
    1 が水酸基である化合物のハロゲンを酸化することを特
    徴とする式(2)においてYがt−ブチルジメチルシリ
    ルオキシ基であり、R1 がエトキシエチルオキシ基であ
    る化合物の製造方法。
  24. 【請求項24】 式(2)においてYがt−ブチルジメ
    チルシリルオキシ基であり、R1 がエトキシエチルオキ
    シ基である化合物のカルボニル基にニトリルを付加させ
    ることを特徴とする式(12)においてYがt−ブチル
    ジメチルシリルオキシ基であり、R1 がエトキシエチル
    オキシ基である化合物の製造方法。
  25. 【請求項25】 式(12)の化合物においてYがt−
    ブチルジメチルシリルオキシ基であり、R1 が水酸基で
    ある化合物の2級水酸基をエトキシエチル基にて保護す
    ることを特徴とする式(13)においてYがt−ブチル
    ジメチルシリルオキシ基である化合物の製造方法。
  26. 【請求項26】 式(13)においてYがt−ブチルジ
    メチルシリルオキシ基である化合物のシリル基を除去す
    ることを特徴とする式(13)においてYが水酸基であ
    る化合物の製造方法。
  27. 【請求項27】 式(13)においてYが水酸基である
    化合物の1級水酸基を塩素原子に変換することを特徴と
    する式(13)においてYが塩素原子である化合物の製
    造方法。
  28. 【請求項28】 式(13)においてYが塩素原子であ
    る化合物を塩基で閉環させることを特徴とする式(1
    4)においてベンジル位にシアノ基が付いている化合物
    の製造方法。
  29. 【請求項29】 式(14)においてベンジル位にシア
    ノ基が付いている化合物のエトキシエチル基を除去する
    ことを特徴とする式(15)でベンジル位にシアノ基が
    付いている化合物の製造方法。
  30. 【請求項30】 式(15)の化合物のニトリル基を除
    去することを特徴とする式(1)でR1 が水酸基であ
    り、ベンジル位にカルボニル基を有する化合物の製造方
    法。
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