JPH07304317A - 流体圧式アクティブサスペンション - Google Patents

流体圧式アクティブサスペンション

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JPH07304317A
JPH07304317A JP12321494A JP12321494A JPH07304317A JP H07304317 A JPH07304317 A JP H07304317A JP 12321494 A JP12321494 A JP 12321494A JP 12321494 A JP12321494 A JP 12321494A JP H07304317 A JPH07304317 A JP H07304317A
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JP
Japan
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vehicle
value
gain
road
control
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JP12321494A
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English (en)
Inventor
Hideaki Matsuba
英明 松葉
Katsuhiko Sato
克彦 佐藤
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Toyota Motor Corp
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低摩擦係数の路面走行中の乗り心地の向上を
図る。 【構成】 車両の上下方向の振動に関するダンピングゲ
インの積分項ゲインKzif を、車両が高μ路走行中の間
には、漸次増大し、車両が高μ路走行から低μ路走行に
至ると、高μ路走行中のゲインKzif をその時の値から
徐々に低減させ、低μ路走行の間に亘っては漸次低減す
る。そして、この積分項ゲインの増減を通して、上下加
速度に基づくフィードバック制御量Pzjを求め、制御弁
を制御する際の制御量(制御目標圧力Puj)を補正す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体を懸架する流体圧
アクチュエータを介して車体の姿勢制御を図る流体圧式
アクティブサスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の流体圧式アクティブサスペンシ
ョンでは、車体と車輪との間に介装されて車体を懸架す
る流体圧アクチュエータへの作動流体の給排を行なうこ
とで車体の支持荷重を調節できる。このことを利用し
て、車両の姿勢制御や車高制御、或いは操縦安定性を確
保する技術が種々提案されている。例えば、特開平2−
17504では、車両旋回時に車体に作用する横加速度
等の車両の旋回状態量に応じた制御量にて作動流体の給
排を行なう技術が提案されいる。そして、このように制
御することで、車体の荷重移動等に起因する各車輪の接
地荷重の変動量に応じて流体圧アクチュエータの内圧を
増減させ、車体の姿勢変化の効果的な抑制や車両の操縦
安定性が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報で提案された流体圧式アクティブサスペンションで
は、旋回時における姿勢変化は抑制されるものの、次の
ような問題点が新たに指摘されるに至った。
【0004】車両走行路の路面の摩擦係数が低摩擦係数
となる場合としては、路面に雪が降り積もって圧雪され
た場合や、路面上の水が氷結したような場合がある。路
面の雪が圧雪された走行路は、タイヤによる圧雪の状況
が路面の場所や降雪量等により種々変化するため、路面
上に顕著な凹凸を有する悪路となる。また、路面上の水
が氷結した氷結路であっても、その氷結の状況が種々変
化するため、或いは降雪した雪が溶けて氷結するのでや
はり悪路となる。つまり、これらの降雪路や氷結路の路
面には、その摩擦係数は低いものの、路面上に顕著な凹
凸が存在することになる。
【0005】従って、降雪路や氷結路を走行する車両に
は、路面上の凹凸によりその走行中に上下方向の振動が
外乱として入力される。このため、降雪路や氷結路の路
面凹凸に基づく外乱振動が、流体圧アクチュエータやそ
の制御弁等の制御系の応答性を越える周波数で入力され
た場合には、この外乱振動を抑制するよう制御系を制御
してもその応答の遅れにより次のような不具合がある。
具体的に説明すると、姿勢変化を低減するために作動流
体を流体圧アクチュエータへ供給する指令を出力したと
しても、その指令が流体圧アクチュエータにて実行され
る時点においては、姿勢変化の低減のために作動流体を
流体圧アクチュエータから排出すべき局面に移行してい
ることがある。つまり、乗り心地向上を狙った制振制御
が、このようにして制御の応答遅れにより、却って乗り
心地の悪化を招く虞がある。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、低摩擦係数の路面走行中の乗り心地の向上を図る
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1記載の流体圧式アクティブサスペンション
の採用した手段は、車体と車輪との間に介装されて車体
を懸架し、対応する車輪の支持荷重を作動流体の給排に
より増減する流体圧アクチュエータと、該流体圧アクチ
ュエータへの作動流体の給排を行なう制御弁と、車両の
走行状態を検出する走行状態検出手段と、該車両の走行
状態に応じて発現する前記車体の姿勢変化が低減する側
に、前記制御弁を前記検出した走行状態に応じた制御量
で制御し、前記流体圧アクチュエータを介して車体の姿
勢制御を図る制御手段とを有する流体圧式アクティブサ
スペンションであって、走行路面の摩擦係数を検出する
摩擦係数検出手段と、該検出した摩擦係数の大小に応じ
て、前記車両の上下方向の振動に関するダンピングゲイ
ンを増減し、前記制御量を補正する制御量補正手段とを
備えることをその要旨とする。
【0008】この場合、請求項2記載の流体圧式アクテ
ィブサスペンションでは、前記制御量補正手段を、前記
ダンピングゲインを増減するに当たり、前記摩擦係数が
所定値より大きい値から小さい値に推移後、該小さい値
である期間に亘っては前記ダンピングゲインを下限値ま
で漸減し、前記摩擦係数が所定値より小さい値から大き
い値に推移後、該大きい値である期間に亘っては前記ダ
ンピングゲインを上限値まで漸増するものとした。
【0009】また、請求項3記載の流体圧式アクティブ
サスペンションでは、前記制御量補正手段によるダンピ
ングゲインの漸減程度を、前記ダンピングゲインの漸増
程度より小さくした。
【0010】
【作用】
【0011】図19に、アクティブサスペンション搭載
車が実際に走行することにより生じたばね上の上下加速
度Gz を周波数分析した結果の一例を、ダンピングゲイ
ンが比較的高い通常値に設定された場合(実線)とこの
通常値よりも低減された場合(点線)との場合について
示す。この図19に示すグラフから、以下のことが解
る。ダンピングゲインが通常値に設定されると、人間が
振動を感じ易く車両の乗り心地性にとって重要な5Hz
近傍の比較的高い周波数領域におけるばね上の上下加速
度が比較的高い値になる(制御の応答遅れに起因すもの
と考えられる)。従って、この場合には車両の良好な乗
り心地性を確保することができない。一方、ダンピング
ゲインが低減されると、ばね上共振点近傍の低周波数領
域における車両の乗り心地性は若干低下するが、5Hz
近傍の比較的高い周波数領域におけるばね上の上下加速
度は小さくなり車両の乗り心地性が向上することが解
る。
【0012】上記構成を有する請求項1記載の流体圧式
アクティブサスペンションでは、流体圧アクチュエータ
への作動流体の給排を行なう制御弁を、走行状態に応じ
て発現する車体の姿勢変化が低減する側に、走行状態検
出手段の検出した走行状態に応じた制御量で制御手段に
より制御する。そして、このように制御弁を制御するこ
とで流体圧アクチュエータへの作動流体の給排を行な
い、車体の姿勢変化が低減するよう流体圧アクチュエー
タの支持荷重を増減して、車体の姿勢制御を図る。
【0013】このような制御弁の制御を通した姿勢制御
を行なっている最中に、摩擦係数検出手段の検出した走
行路面の摩擦係数が変化すると、その大小に応じて、制
御量補正手段により車両の上下方向の振動に関するダン
ピングゲインが増減され制御弁を制御する際の制御量が
補正される。よって、走行路面の摩擦係数の大小に応じ
てダンピングゲインを増減させた際に、ダンピングゲイ
ンを低い値にした場合には制御系の応答遅れに起因した
乗り心地の低下を抑制し、制御量自体も小さくする。そ
して、ダンピングゲインを高い値にした場合には姿勢制
御の際の姿勢変化速度を低減させて乗り心地および操縦
安定性の向上を図ることができる。
【0014】請求項2記載の流体圧式アクティブサスペ
ンションでは、車両が摩擦係数が所定値より大きい値の
路面から小さい値の路面に至ると、摩擦係数が大きい路
面を走行中にとっていたダンピングゲインをその値から
下限値まで低減させる反面、車両が摩擦係数が所定値よ
り小さい値の路面から大きい値の路面に至ると、摩擦係
数が小さい路面を走行中にとっていたダンピングゲイン
をその値から上限値まで増大させる。よって、車両が摩
擦係数が所定値より大きい値の路面から小さい値の路面
に至ると、制御系の応答遅れに起因した乗り心地低下の
抑制を、ダンピングゲインの下限値までの低減を通して
速やかに且つ最大限行なう。また、車両が摩擦係数が所
定値より小さい値の路面から大きい値の路面に至ると、
姿勢変化速度の低減による乗り心地および操縦安定性の
向上を、ダンピングゲインの上限値までの増大を通して
速やかに且つ最大限行なう。
【0015】また、請求項3記載の流体圧式アクティブ
サスペンションでは、ダンピングゲインの漸減程度をダ
ンピングゲインの漸増程度より小さくしたので、車両が
小さい値の摩擦係数の路面を走行の間に低減されたダン
ピングゲインを、車両が大きい値の摩擦係数の路面に至
った直後から速やかに増大させて、姿勢制御の際の車体
の姿勢変化速度の速やかな低減を通した乗り心地および
操縦安定性の向上を速やかに行なう。
【0016】なお、以下、本明細書において、「ダンピ
ングゲイン」とは、ばね上(車体)の上下速度に対する
ゲイン、又はばね上とばね下(車輪)との間の相対速度
に対するゲイン、或いはこれら両ゲインの両者を意味す
る。
【0017】
【実施例】次に、本発明に係る流体圧式アクティブサス
ペンションの好適な実施例について、図面に基づき説明
する。図1は、実施例の流体圧式アクティブサスペンシ
ョン10の流体回路を示す概略構成図である。図示する
ように、流体圧式アクティブサスペンション10は、作
動流体としてのオイルを貯容するリザーバ11を備え、
このリザーバ11には、接続通路12の一端および作動
流体排出通路14の一端が接続されている。接続通路1
2の他端はエンジン16により駆動されるポンプ18の
吸入側に接続されている。ポンプ18は図示の実施例に
おいては可変容量ポンプであり、その吐出側には作動流
体供給通路20の一端が接続されている。作動流体供給
通路20の他端および作動流体排出通路14の他端は、
圧力制御弁22を構成するパイロット操作型の3ポート
3位置切換式の切換制御弁24のPポートおよびRポー
トにそれぞれ連通接続されている。各作動流体排出通路
14の途中には、他の車輪についての作動流体排出通路
が合流する連通接続部14aよりも圧力制御弁22の側
に逆止弁15が設けられている。このため、作動流体排
出通路14においては、この逆止弁15により、圧力制
御弁22からリザーバ11へ向かう作動流体の流れのみ
が許容される。
【0018】圧力制御弁22は、切換制御弁24と、作
動流体供給通路20から分岐してリザーバ11に至る分
岐通路26と、当該通路の途中に設けられた固定絞り2
8および分岐通路26の実効通路断面積を内蔵するソレ
ノイドにより変化させる可変絞り30とを備える。この
圧力制御弁22の可変絞り30は、後述の電子制御装置
100と接続されており、電子制御装置100によりソ
レノイドへの電流制御がなされると固定絞り28と共働
して固定絞り28と可変絞り30との間の分岐通路26
内の圧力Ppを変更する。切換制御弁24のAポートに
は、車体と車輪との間に介装され車体を懸架するアクチ
ュエータ36に至る接続通路32が接続されている。圧
力制御弁22の切換制御弁24は、上記した圧力Ppを
固定絞り28,可変絞り30を介して、接続通路32内
の圧力Paを当該通路の絞り34を介してパイロット圧
力として取り込むスプール弁であり、圧力Ppと圧力P
aとの均衡によりオイルの流れの向きを切り換え、アク
チュエータ36へのオイルの給排を行なう。
【0019】接続通路32の他端は、車輪に対応して設
けられたアクチュエータ36の作動流体室38に連通接
続されている。図示の如くアクチュエータ36は、一種
のシリンダーピストン装置であり、車輪Whを支持する
サスペンション部材と車体との間に配設されて車体を懸
架し、作動流体室38に対し作動流体が給排されること
により対応する部位の車高を次のようにして増減するよ
うになっている。
【0020】通常、可変絞り30は電子制御装置100
によりそのソレノイドが制御されて分岐通路26の実効
通路断面積を変化させる。いま、分岐通路26の実効通
路断面積がある値のとき、分岐通路26内の圧力Ppと
接続通路32内の圧力Paが等しければ、切換制御弁2
4は全てのポートの連通を遮断する切換位置24bをと
る。
【0021】そして、圧力Ppが低くなるよう可変絞り
30が電子制御装置100により制御されると、圧力P
aは圧力Ppより高くなるので、切換制御弁24はポー
トRとポートAとを連通接続する切換位置24cに切り
換わり、圧力Paと圧力Ppが等しくなるまでこの位置
をとる。このため、アクチュエータ36の作動流体室3
8からはオイルが排出され、アクチュエータ36により
車高は低くなる。一方、圧力Ppが高くなるよう可変絞
り30が制御されると、圧力Paは圧力Ppより低くな
るので、切換制御弁24はポートPとポートAとを連通
接続する切換位置24aに切り換わり、圧力Paと圧力
Ppが等しくなるまでこの位置をとる。このため、アク
チュエータ36の作動流体室38にはポンプ18からオ
イルが供給され、アクチュエータ36により車高は高く
なる。
【0022】作動流体室38には、通路40により気液
ばね装置42が接続されており、通路40の途中には絞
り44が設けられている。この気液ばね装置42はサス
ペンションスプリングまたは補助的なサスペンションス
プリングとして作用し、絞り44は減衰力を発生するよ
うになっている。また、車輪Whを支持するサスペンシ
ョン部材と車体との間には、車体の車高を検出する車高
センサ118が配設されている。
【0023】また、接続通路32の途中には、パイロッ
ト操作型の遮断弁46が設けられており、この遮断弁4
6は、後述のパイロット圧力制御装置48により制御さ
れたパイロット圧力Pc を取り込む。そして、遮断弁4
6は、パイロット圧力Pc が開弁所定値を越えると開弁
し、パイロット圧力が閉弁所定値以下になると閉弁す
る。作動流体供給通路20とリザーバ11とを連通接続
する接続通路50には、パイロット圧力制御装置48が
設けられており、このパイロット圧力制御装置48は、
該通路の途中に設けられた固定絞り52と接続通路50
の実効通路断面積を内蔵するソレノイドにより変化させ
る可変絞り54とを備える。この可変絞り54は、後述
の電子制御装置100と接続されており、電子制御装置
100によりソレノイドへの電流制御がなされると固定
絞り52と共働して固定絞り52と可変絞り54との間
の接続通路50内の圧力Pc を変更する。従って、パイ
ロット圧力制御装置48は可変絞り54によりパイロッ
ト圧力Pc を変えて遮断弁46へ供給し、遮断弁46
は、このパイロット圧力Pc に応じて接続通路32を開
通或いは遮断する。
【0024】更に、作動流体供給通路20の途中には、
フィルタ56およびポンプ18より圧力制御弁22へ向
かう作動流体の流れのみを許す逆止弁58が設けられて
いる。また、逆止弁58より下流側の作動流体供給通路
20には、アキュームレータ60が連通接続されてい
る。
【0025】上記した圧力制御弁22,接続通路32,
絞り44,アクチュエータ36,気液ばね装置42等は
各車輪に対応して設けられている。なお、各輪(右前
輪,左前輪,右後輪および左後輪)のこれら構成部材
は、それぞれ符号FR,FL,RR,RLを付加して表
わされ、例えば圧力制御弁22は、22FR,22F
L,22RRおよび22RLと記すこととする。
【0026】次に、流体圧式アクティブサスペンション
10の電気的な構成について説明する。図2に示すよう
に、パイロット圧力制御装置48や圧力制御弁22FR
〜22RLは、それぞれ電子制御装置100と接続され
ており、パイロット圧力制御装置48と各圧力制御弁が
備える可変絞り54および可変絞り30は電子制御装置
100により制御される。電子制御装置100は、中央
処理ユニット(CPU)104を中心に構成されたマイ
クロコンピュータ102を備える。このマイクロコンピ
ュータ102は、周知のようにCPU104と、リード
オンメモリ(ROM)106と、ランダムアクセスメモ
リ(RAM)108と、入力ポート装置110と、出力
ポート装置112とを有し、これらは双方性のコモンバ
ス114により互いに接続されている。
【0027】入力ポート装置110には、種々のスイッ
チやセンサとして、イグニッションスイッチ(IGS
W)116と各輪の車高センサ118FL,118F
R,118RL,118RRと、車速を検出する車速セ
ンサ120と、車体の前後方向の加速度を検出する前後
G(加速度)センサ122と、車体の横方向の加速度を
検出する横Gセンサ124と、ハンドルの操舵角を検出
する操舵角センサ126と、車高制御のモードをハイモ
ードとローモードのいずれかに設定する車高設定スイッ
チ128と、左前輪,左後輪,右後輪に対応して設けら
れこれら各輪に作用する上下方向の加速度を検出する上
下Gセンサ140,142,144と、車両旋回時等に
車両に作用するヨーレイトをコリオリの力を利用して検
出するヨーレイトセンサ146が接続されている。
【0028】そして、電子制御装置100は、これらス
イッチやセンサから種々の信号、具体的には、イグニッ
ションスイッチがオン状態にあるか否かを示す信号、各
輪(左前輪,右前輪,左後輪および右後輪)に対応する
部位の車高Xi (i =1,2,3,4)を示す信号、車速V
を示す信号、車体の前後加速度Gx を示す信号、車体の
横加速度Gy を示す信号、ハンドルの操舵角θを示す信
号、車高制御のモードがハイモードであるかローモード
であるかを示す信号、各輪(左前輪,左後輪および右後
輪)に対応する上下加速度Gza,GzbおよびGzcを示す
信号、車両に作用するヨーレイトを示す信号等を入力す
る。
【0029】入力ポート装置110は、上記した入力信
号を適宜に処理し、ROM106に記憶されているプロ
グラムに基づくCPU104の指示に従いCPUおよび
RAM108へ処理された信号を出力するようになって
いる。ROM106は、図3〜図7に示された制御フロ
ーや図示しない制御フローのほか、図9〜図16に示さ
れたグラフに対応するマップを記憶しており、CPUは
各制御フローに基づく信号の処理を行うようになってい
る。また、出力ポート装置112は、CPU104の指
示に従い、駆動回路130を経てパイロット圧力制御装
置48の可変絞り54へ制御信号を出力し、また駆動回
路132〜138を経て圧力制御弁22FR〜22RL
の可変絞り30へ制御信号を出力するようになってい
る。
【0030】次に、本実施例の流体圧式アクティブサス
ペンション10が行なうサスペンション制御について、
図3以降のフローチャートを参照して説明する。図示す
るサスペンション制御は、イグニッションスイッチ11
6がオンされることにより開始され、イグニッションス
イッチのオフ後しばらくして終了される。
【0031】まず最初のステップS50においては、R
AM108の初期化を行ない、後述の走行状態判断,ア
クティブ演算等に用いられる各ゲインKzif ,Kzir ,
Kdxh ,Kdxp ,Kdxr およびKdxw に、それぞれのゲ
インについての最小値(Kzife,Kzire,Kdxhe,Kdx
be,KdxreおよびKdxwe)設定する。その後、ステップ
S100に進む。これら各ゲインのうち、Kzif とKzi
r は前輪側と後輪側の車体の上下加速度の積分項ゲイン
を表わし、Kdxh ,Kdxp ,Kdxr およびKdxw はその
微分項ゲインを表わす。
【0032】ステップS100においては、パイロット
圧力制御装置48の可変絞り54のソレノイドに制御信
号を出力して可変絞りの実効通路断面積を漸次低減さ
せ、これによりパイロット圧力Ppを漸次増大する。こ
の過程において遮断弁46は開弁され、作動流体供給通
路20内の作動流体の圧力が所定の圧力になりかつ遮断
弁46が全開状態になった段階、即ちアクチュエータ3
6へのオイルの給排が可能とされた状態で次のステップ
S150へ進む。
【0033】ステップS150においては、イグニッシ
ョンスイッチ116や各輪についての車高センサ118
のほか、車速センサ120,前後Gセンサ122,横G
センサ124,操舵角センサ126,車高設定スイッチ
128や上下Gセンサ140〜144,ヨーレイトセン
サ146等をスキャンし、それぞれのスイッチやセンサ
から該当する信号を読み込み、しかる後、ステップS2
00へ進む。つまり、このステップS150では、イグ
ニッションスイッチ116がオン状態にあるか否かを示
す信号、各輪の車高Xi を示す信号、車速Vを示す信
号、車体の前後加速度Gx を示す信号、横加速度Gy を
示す信号、ハンドルの操舵角θを示す信号、設定された
モードがハイモードであるかローモードであるかを示す
信号、各輪(左前輪,左後輪および右後輪)に対応する
上下加速度Gza,GzbおよびGzcを示す信号、車両に作
用するヨーレイトを示す信号等の種々の信号を読み込
む。
【0034】このステップS150に続いては、ステッ
プS200にて後述するように車輌の走行状態を判断
し、ステップS250にて後述するようにダンピングゲ
インの決定およびスムージングを行なう。その後、ステ
ップS300においては、車体の車高維持制御や姿勢制
御および車輌の乗心地制御を行なうべく、ステップS1
50において読み込んだ各種の信号に基づきアクティブ
演算を行ない、アクティブ制御量(各圧力制御弁によっ
て制御される各アクチュエータ36内の目標圧力Pu
i)を演算する。目標圧力Puiを演算するアクティブ
演算については、図6,図7のフローチャートの他、図
8ないし図16のグラフ等を参照して詳細に後述する。
このステップS300に続くステップS350において
は、アクティブ制御量に対応する制御信号を各圧力制御
弁22FL〜22RRに対応する駆動回路132〜13
8に出力する。この制御信号の出力を経て圧力制御弁2
2FL〜22RRを駆動制御して、しかる後ステップS
150へ戻る。
【0035】次に、ステップS200における車輌の走
行状態判断の処理やステップS250におけるダンピン
グゲインの決定およびスムージングについて、図4に示
されたフローチャートを参照して説明する。なお、この
図4に示されたフローチャートにおいて、ゲイン制御フ
ラグFG は、後述するように前後加速度の推移に応じて
ダンピングゲインを増減するゲイン制御の段階が増減或
いは値維持のいずれかの段階にあるかを示すものであ
る。そして、図8に示すように、このゲイン制御フラグ
FG は、その値が値1であればダンピングゲインを漸次
増大する第一段階にあることを示し、その値が値2であ
ればダンピングゲインを一定に維持する第二段階にある
ことを示し、その値が値3であればダンピングゲインを
漸次低減する第三段階にあることを示す。
【0036】まず、ステップS200における車輌の走
行状態判断の処理について、図9と図10を参照しつつ
説明する。当該処理の当初のステップであるステップS
202においては、図9に示されたグラフに対応するマ
ップに基づき車速Vに対する前輪側の車体の上下加速度
Gz の積分項ゲインKzifeを演算する。
【0037】続くステップS204においては、操舵角
θの時間微分値θd として操舵角速度を演算するととも
に、この操舵角速度の演算値と車速Vとから、図10に
示されたグラフに対応するマップに基づき推定横加速度
の変化率Gypr を演算する。その後のステップS206
においては、推定横加速度の変化率Gypr の絶対値(|
Gypr |)が基準値Gypre(定数)以上であるか否かの
判別を行なう。ここで、|Gypr |≧Gypreである旨の
判別が行なわれたときにはステップS210へ進み、|
Gypr |≧Gypreではない旨の判別が行なわれたときに
は208へ進む。
【0038】ステップS208においては、車体の前後
加速度Gx の時間微分値Gxdを演算するとともに、車体
の前後加速度の時間微分値Gxdの絶対値(|Gxd|)が
基準値Gxde (定数)以上であるか否かの判別を行な
う。このステップS208にて|Gxd|≧Gxde である
と判別したときには、ステップS210においてゲイン
制御フラグFG に値1をセットしてステップS214へ
進む。一方、ステップS208にて|Gxd|≧Gxde で
はないと判別したときには、ステップS212へ進む。
このステップS212においてはゲイン制御フラグFG
の値が1であるか否かを判別し、FG =1ではないと判
別したときには後述のステップS220へ進み、FG =
1であると判別したときにはステップS214へ進む。
【0039】ステップS214においては、それ以前の
ステップ206,208にて推定横加速度の変化率Gyp
r が大きい或いは車体の前後加速度Gx の時間微分値G
xd(変化率)が大きいと判別されているので、車体に作
用するいずれかの加速度変化が大きいことから、当該変
化に対応してアクチュエータ36の制御量を大きくすべ
く以下の処理を行なう。即ち、このステップS214で
は、前輪側および後輪側の車体の上下加速度の積分項ゲ
インKzif ,Kzir および微分項ゲインKdxh,Kdxp
,Kdxr ,Kdxw を、以下の数式に従って、それぞれ
対応する微小値だけインクリメントして新たに演算し、
これら各ゲインを一旦大きくする。なお、この演算され
た各ゲインは、後述のアクティブ演算に用いられる。
【0040】Kzif =Kzif +△Kzif …式1 Kzir =Kzir +△Kzir …式2 Kdxh =Kdxh +△Kdxh …式3 Kdxp =Kdxp +△Kdxp …式4 Kdxr =Kdxr +△Kdxr …式5 Kdxw =Kdxw +△Kdxw …式6
【0041】このステップS214に続くステップS2
16においては、積分項ゲインKzif がその上限値Kzi
fu(定数)以上であるか否かの判別を行なう。ここで、
Kzif ≧Kzifuではないと判別すれば図3のステップS
300へ進み、その後の処理を行なう。しかし、ステッ
プS216でKzif ≧Kzifuであると判別すれば、ステ
ップS218においてタイマのカウント値Tc に値0を
セットするとともにゲイン制御フラグFG に値2をセッ
トする。
【0042】先のステップS212にて否定判別した後
には、ステップS220において、ゲイン制御フラグF
G の値が2であるか否かの判別を行なう。ここで、FG
=2ではないと判別すれば後述のステップS230へ進
み、FG =2であると判別すればステップS222に移
行する。そして、ステップS220の肯定判別或いはス
テップS218に続くステップS222においては、各
ゲインKzif ,Kzir,Kdxh ,Kdxp ,Kdxr および
Kdxw をそれぞれ最大値Kzifu,Kziru,Kdxhu,Kdx
pu,KdxruおよびKdxwuに設定する。つまり、ステップ
S214にて一旦各ゲインがインクリメントされステッ
プS216にて積分項ゲインKzif がその上限値Kzifu
以上であるので、このステップS222では、各ゲイン
をそれぞれの最大値に制限する。その後は、ステップS
224において、タイマのカウント値Tc を値1だけイ
ンクリメントする。
【0043】ステップS224に続くステップS226
においては、タイマのカウント値Tc が基準値Tce(定
数)以上であるか否かの判別を行なう。ここで、Tc ≧
Tceではないと判別すれば図3のステップS300へ進
み、Tc ≧Tceであると判別すればステップS228に
おいてゲイン制御フラグFG に値3をセットする。ま
た、先のステップS220にて否定判別した後のステッ
プS230においては、ゲイン制御フラグFG の値が3
であるか否かの判別を行なう。ここで、FG =3ではな
いと判別すれば後述のステップS238へ進み、FG =
3であると判別すればステップS232に移行する。
【0044】そして、ステップS230の肯定判別或い
はステップS228に続くステップS232において
は、ステップS222にて各ゲインをそれぞれの最大値
に設定してから所定時間経過していることも相まって、
アクチュエータ36の制御量を小さくすべく以下の処理
を行なう。即ち、このステップS232では、前輪側お
よび後輪側の車体の上下加速度の積分項および微分項ゲ
イン(Kzif ,Kzir ,Kdxh ,Kdxp ,Kdxr および
Kdxw )を、以下の数式に従って、それぞれ対応する微
小値だけデクリメントし、これら各ゲインを小さくす
る。
【0045】Kzif =Kzif −△Kzifd …式7 Kzir =Kzir −△Kzird …式8 Kdxh =Kdxh −△Kdxhd …式9 Kdxp =Kdxp −△Kdxpd …式10 Kdxr =Kdxr −△Kdxrd …式11 Kdxw =Kdxw −△Kdxwd …式12
【0046】その後のステップS234においては、積
分項ゲインKzif が基準値Kzife以下であるか否かの判
別を行ない、Kzif ≦Kzifeではないと判別すれば図3
のステップS300へ進み、その後の処理を行なう。し
かし、ステップS234でKzif ≦Kzifeであると判別
すれば、ステップS236においてゲイン制御フラグF
G に値0をセットし、続くステップS238において、
各ゲインKzif ,Kzir ,Kdxh ,Kdxp ,Kdxr およ
びKdxw をそれぞれKzife,Kzire,Kdxhe,Kdxpe,
KdxreおよびKdxweに設定する。つまり、ステップS2
32にて各ゲインがデクリメントされステップS234
にて積分項ゲインKzif がその基準値Kzife以下である
ので、このステップS238では、各ゲインをそれぞれ
の最小値に制限する。そして、このステップS238の
後には、図3のステップS300へ進む。
【0047】以上の各ステップの説明から明らかなよう
に、ステップS202〜208は、車輌の走行状態を判
断する図3のゼネラルフローチャートにおけるステップ
S200に対応する。また、ステップS210〜238
は、車輌の走行状態に応じて各ダンピングゲインを決定
するとともにそれらをスムージングする図3のゼネラル
フローチャートにおけるステップS250に対応してい
る。そして、ダンピングゲインを漸次増大する第一段階
は、その値をインクリメントするステップS214の処
理により起きる現象であり、ダンピングゲインを漸次低
減する第三段階は、その値をデクリメントするステップ
S232の処理により起きる現象である。そして、本実
施例では、ステップS214におけるインクリメント値
とステップS230におけるデクリメント値とを、それ
ぞれ下記の関係で対応つけている。このため、図8に示
すように、第一段階と第三段階とでは、その増大或いは
低減程度が異なり、ダンピングゲインの増大時にはダン
ピングゲインが比較的速やかに増大され、ダンピングゲ
インの低減時にはダンピングゲインが比較的緩やかに低
減される。
【0048】△Kzif >△Kzifd …式13 △Kzir >△Kzird …式14 △Kdxh >△Kdxhd …式15 △Kdxp >△Kdxpd …式16 △Kdxr >△Kdxrd …式17 △Kdxw >△Kdxwd …式18
【0049】次に、図5ないし図7を参照して、ステッ
プS300において行なわれるアクティブ制御量(目標
圧力Pui)演算の一例について説明する。
【0050】図5に示すように、ステップS250に続
くステップS300の最初の処理であるステップS30
2においては、ヨーレイトセンサ146からのヨーレイ
トに基づき以下に説明するように演算される演算結果か
ら、摩擦係数(μ)の小さい低μ路走行中か否かを判別
する。
【0051】一般に、車両旋回時等において車体に作用
するヨーレイトを考慮した制御の際に目標とする目標ヨ
ーレイトMYRは、車速V,操舵角θの関数として、下
記数式で表わされる。なお、当該数式におけるa,b
は、車両特性によって定まる係数であり、Tは時定数、
Sはラプラス因子である。
【0052】 MYR=(V/(a+b・V2 ))・(θ/(1+T・S)) …式19
【0053】低μ路上では摩擦係数が小さい分だけ車輪
のグリップ力が弱まり、車両は横加速度方向に路面上を
滑るので車両に作用する横加速度が低減する。よって、
横加速度の実測値(センサ出力値)は小さくなり、下記
数式が成立して目標ヨーレイトMYRとその実測値YR
との差(絶対値)が所定値αを越えれば、摩擦係数が小
さいと判別できる。
【0054】|MYR−YR|>α …式20
【0055】この場合、車輪のスリップ率や前後加速度
等から低μ路か高μ路かを判別するよう構成することも
できる。
【0056】そして、ステップS302で低μ路ではな
いと判別した場合には、高μ路走行中であることから車
輪には高いグリップ力が働き、車両には車両の旋回挙動
等がほぼ反映した高い横加速度が作用し、これに応じて
車両に作用する上下加速度も大きくなる。よって、この
場合のステップS310においては、高い横加速度およ
び上下加速度に応じてアクチュエータ36の制御量を大
きくして対処すべく以下の処理を行なう。即ち、このス
テップS310では、前輪側および後輪側の車体の上下
加速度の積分項ゲインKzif ,Kzir および比例項ゲイ
ンKzpf ,Kzpr を、以下の数式に従って、それぞれ対
応する微小値だけインクリメントして新たに演算し、こ
れら各ゲインを大きくする。
【0057】Kzif =Kzif +△Kzif …式21 Kzir =Kzir +△Kzir …式22 Kzpf =Kzpf +△Kzpf …式23 Kzpr =Kzpr +△Kzpr …式24
【0058】この場合、高μ路路面の走行に至った当初
に上記のインクリメントが行なわれる前の各ゲイン、例
えばKzpf やKzif は、図11,図12に示すようにそ
の時の車速Vに応じて定まるゲインである。よって、車
速が変わった当初のステップS310では、車速Vと図
11,図12のグラフに対応するマップから、インクリ
メント前の各ゲインが演算され、当該車速Vのまま高μ
路を走行する間に亘ってはインクリメント前の各ゲイン
へのインクリメントが行なわれる。しかし、高μ路走行
中であっても、車速Vが異なれば、新たな車速Vに対し
てのゲイン演算並びにその値へのインクリメントが行な
われる。
【0059】ゲインを増大させるステップS310に続
くステップS312においては、演算した積分項ゲイン
Kzif がその上限値Kzifu(定数)以上であるか否かの
判別を行なう。ここで、Kzif ≧Kzifuではないと判別
すれば図6に示す後述のステップS322へ進み、その
後の処理を行なう。一方、ステップS312でKzif≧
Kzifuであると判別すれば、ステップS314におい
て、上記の各ゲインKzif ,Kzir ,Kzpf およびKzp
r をそれぞれ最大値Kzifu,Kziru,KzpfuおよびKzp
ruに設定する。つまり、ステップS310にて各ゲイン
がインクリメントされステップS312にて積分項ゲイ
ンKzif がその上限値Kzifu以上であるので、このステ
ップS314では、各ゲインをそれぞれの最大値に制限
する。その後は、図6に示す後述のステップS322へ
進み、その後の処理を行なう。
【0060】一方、ステップS302で低μ路であると
判別した場合には、低μ路走行中であることから車輪に
は弱いグリップ力しか働かず、車輪の滑りにより車両に
作用する横加速度は小さくなるものの、車両は路面上に
顕著な凹凸が存在する降雪路或いは氷結路を走行中であ
ることになる。よって、この場合のステップS316に
おいては、路面凹凸に基づく上下振動が外乱として入力
するので、当該振動の発生を路面の摩擦係数低下を介し
て予見しアクチュエータ36の制御量を小さくして制御
遅れを抑制するよう処すべく以下の処理を行なう。即
ち、このステップS316では、積分項および比例項ゲ
イン(Kzif ,Kzir ,Kzpf およびKzpr )を、以下
の数式に従って、それぞれ対応する微小値だけデクリメ
ントして新たに演算し、これら各ゲインを小さくする。
【0061】Kzif =Kzif −△Kzifd …式25 Kzir =Kzir −△Kzird …式26 Kzpf =Kzpf −△Kzpfd …式27 Kzpr =Kzpr −△Kzprd …式28
【0062】このステップS316に続くステップS3
18においては、演算した積分項ゲインKzif が基準値
Kzife以下であるか否かの判別を行なう。ここで、Kzi
f ≦Kzifeではないと判別すれば図6に示す後述のステ
ップS322へ進み、その後の処理を行なう。一方、ス
テップS318でKzif ≦Kzifeであると判別すれば、
ステップS320において、上記の各ゲインKzif ,K
zir ,Kzpf およびKzpr をそれぞれ最小値Kzife,K
zire,KzpfeおよびKzpreに設定する。つまり、ステッ
プS316にて各ゲインがデクリメントされステップS
318にて積分項ゲインKzif がその基準値Kzife以下
であるので、このステップS320では、各ゲインをそ
れぞれの最小値に制限する。その後は、図6に示す後述
のステップS322へ進み、その後の処理を行なう。
【0063】従って、ステップS302〜320までの
処理により、積分項および比例項ゲイン(Kzif ,Kzi
r ,Kzpf およびKzpr )は、次のように推移する。つ
まり、車両が高μ路走行中(車速V一定)の間には、図
13に示すように、その間に亘っては、各ゲイン、例え
ばKzif はその値のインクリメントにより漸次増大し、
やがてその最大値Kzifuとされる。また、低μ路走行に
至ると、その間に亘っては、Kzif はそのデクリメント
により漸次低減し、やがてその最下限値Kzifeとされ
る。しかも、高μ路走行から低μ路走行に至ると、高μ
路走行中のゲインKzif をその時の値から徐々に低減さ
せる。なお、図示しないが、低μ路走行から高μ路走行
に至ると、低μ路走行中のゲインKzif をその時の値か
ら徐々に増大させる。
【0064】そして、本実施例では、ステップS310
におけるインクリメント値とステップS316における
デクリメント値とを、それぞれ下記の関係で対応つけて
いる。このため、図13に示すように、ゲインの増大時
と減少時では、その増大或いは低減程度が異なり、ダン
ピングゲインの増大時にはダンピングゲインが比較的速
やかに増大され、ダンピングゲインの低減時にはダンピ
ングゲインが比較的緩やかに低減される。
【0065】△Kzif >△Kzifd …式29 △Kzir >△Kzird …式30 △Kzpf >△Kzpfd …式31 △Kzpr >△Kzprd …式32
【0066】上記したダンピングゲインの演算に続くス
テップS322においては、図6に示すように、車体の
目標姿勢に基づくヒーブ目標値Rxhを図14に示された
グラフに対応するマップに基づき演算し、しかる後ステ
ップS324に進む。なお、図14は、車高設定スイッ
チ128により設定された車高制御モードがノーマルモ
ードである場合のヒーブ目標値Rxhのパターンを実線で
示し、ハイモードである場合のパターンを点線で示して
いる。
【0067】ステップS324においては、ステップS
150において読み込まれた左前輪、右前輪、左後輪、
右後輪に対応する位置の車高X1 〜X4 に基づき、下記
数式に従ってヒーブ(Xxh)、ピッチ(Xxp)、ロール
(Xxr)、ワープ(Xxw)についての変位モード変換の
演算を行ない、しかる後ステップS326へ進む。
【0068】 Xxh=(X1 +X2 )+(X3 +X4 ) …式33 Xxp=−(X1 +X2 )+(X3 +X4 ) …式34 Xxr=(X1 −X2 )+(X3 −X4 ) …式35 Xxw=(X1 −X2 )−(X3 −X4 ) …式36
【0069】ステップS326においては、下記数式に
従って変位モードの偏差の演算を行ない、しかる後ステ
ップS328に進む。この変位モードの偏差演算に際し
ては、上記したように車速VおよびステップS322で
算出したヒーブ目標値Rxhが用いられる。
【0070】Exh=Rxh−Xxh …式37 Exp=Rxp−Xxp …式38 Exr=Rxr−Xxr …式39 Exw=Rxw−Xxw …式40
【0071】この場合、ピッチ目標値Rxpおよびロール
目標値Rxrは0であってもよい。また、ワープ目標値R
xwも0であってよく、或いはアクティブサスペンション
の作動開始直後にステップS324において演算された
Xxw又は過去の数サイクルにおいて演算されたXxwの平
均値であってよい。なお、Exwの絶対値(|Exw|)≦
W1 (正の定数)の場合にはExw=0とされる。
【0072】ステップS328においては、図4に示さ
れたフローチャートのステップS214,222,23
2又は238で演算された前輪側および後輪側の微分項
ゲイン(Kdxh ,Kdxp ,Kdxr およびKdxw )を用
い、下記の数式に従って変位フィードバック制御のPI
D補償演算を行ない、しかる後ステップS330へ進
む。
【0073】 Cxh=Kpxh ・Exh+Kixh ・Ixh(n) +Kdxh {Exh(n) −Exh(n-n1)} …式41 Cxp=Kpxp ・Exp+Kixp ・Ixp(n) +Kdxp {Exp(n) −Exp(n-n1)} …式42 Cxr=Kpxr ・Exr+Kixr ・Ixr(n) +Kdxr {Exr(n) −Exr(n-n1)} …式43 Cxw=Kpxw ・Exw+Kixw ・Ixw(n) +Kdxw {Exw(n) −Exw(n-n1)} …式44
【0074】なお、上記各式において、Ek(n)(k =x
h,xp,xr,xw)は現在のEk であり、Ek (n-n1)はn1
サイクル前のEk である。また、Ik(n)およびIk(n-1)
をそれぞれ現在および1サイクル前のIk とすれば、I
k(n)は、Tx を時定数として次のように記述できる。
【0075】 Ik(n)=Ek(n)+Tx ・Ik(n-1) …式45
【0076】この場合、Ik の絶対値(|Ik |)は、
Ikmaxを所定値として|Ik |≦Ikmaxである。さら
に、係数Kpk、KdkおよびKik(k =xh,xp,xr,xw)
はそれぞれ比例定数、微分定数および積分定数である。
【0077】ステップS330においては、下記数式に
従って、変位モードの逆変換の演算を行ない、しかる後
ステップS332へ進む。
【0078】 Px1=1/4・Kx1(Cxh−Cxp+Cxr+Cxw) …式46 Px2=1/4・Kx2(Cxh−Cxp−Cxr−Cxw) …式47 Px3=1/4・Kx3(Cxh+Cxp+Cxr−Cxw) …式48 Px4=1/4・Kx4(Cxh+Cxp−Cxr+Cxw) …式49
【0079】なお、上記の各式におけるKX1,KX2,K
X3,KX4は比例定数である。
【0080】ステップS332においては、それぞれ車
輌の前後方向および横方向について図14および図15
に示されたグラフに対応するマップに基づき、目標圧P
gx、Pgyを演算し、しかる後ステップS334へ進む。
【0081】ステップS334においては、下記数式に
従ってピッチ(Cgp)およびロール(Cgr)について水
平Gフィードフォワード制御のPD補償の演算を行な
い、しかる後、図7に示すステップS336へ進む。
【0082】 Cgp=Kpgp ・Pgx+Kdgp {Pgx(n) −Pgx(n-n1)} …式50 Cgr=Kpgr ・Pgy+Kdgr {Pgy(n) −Pgy(n-n1)} …式51
【0083】なお、上記各式において、Pgx(n) および
Pgy(n) はそれぞれ現在のPgxおよびPgyであり、Pgx
(n-n1)およびPgy(n-n1)はそれぞれn1サイクル前のPgx
およびPgyである。また、Kpgp およびKpgr は比例定
数であり、Kdgp およびKdgr は微分定数である。
【0084】図7に示すステップS336においては、
下記数式に従って、水平Gモードの逆変換の演算を行な
い、しかる後ステップS338へ進む。
【0085】 Pg1=Kg1/4・(−Cgp+K2f・Cgr+K1f・Gypr ) …式52 Pg2=Kg2/4・(−Cgp−K2f・Cgr−K1f・Gypr ) …式53 Pg3=Kg3/4・(Cgp+K2r・Cgr+K1r・Gypr ) …式54 Pg4=Kg4/4・(Cgp−K2r・Cgr−K1r・Gypr ) …式55
【0086】なお、上記各式におけるKg1,Kg2,Kg
3,Kg4はそれぞれ比例定数であり、K1fおよびK1r、
K2fおよびK2rはそれぞれ前後輪間の分配ゲインとして
の定数である。
【0087】ステップS338においては、上下Gセン
サ140〜144により検出された上下加速度Gza、G
zb、Gzcに基づいて、下記数式に従って各輪に対応する
部位の上下加速度Gz1〜Gz4の演算を行ない、しかる後
ステップS340へ進む。
【0088】Gz1=Gza …式56 Gz2=Gza−Gzb+Gzc …式57 Gz3=Gzb …式58 Gz4=Gzc …式59
【0089】ステップS340においては、各上下加速
度Gz1〜Gz4を積分して積分値Iz1〜Iz4を演算する。
続くステップS342においては、ステップS338で
演算した上下加速度Gz1〜Gz4と、図5に示されたフロ
ーチャートのステップS310〜320で演算された前
輪側および後輪側の比例項ゲインKzpf ,Kzpr とに基
づき、下記数式に従って上下加速度の比例項Czp1 〜C
zp4 を演算する。その後、ステップS344へ進む。
【0090】Czp1 =Kzpf ・Gz1 …式60 Czp2 =Kzpf ・Gz2 …式61 Czp3 =Kzpr ・Gz3 …式62 Czp4 =Kzpr ・Gz4 …式63
【0091】ステップS344においては、ステップS
340で演算した車体の上下加速度の各積分値Iz1〜I
z4と、図5に示されたフローチャートのステップS31
0〜320で演算された前輪側および後輪側の積分項ゲ
インKzif ,Kzir とに基づき、下記数式に従って上下
加速度の積分項、即ちばね上速度項Czi1 〜Czi4 を演
算する。その後、ステップS346へ進む。
【0092】Czi1 =Kzif ・Iz1 …式64 Czi2 =Kzif ・Iz2 …式65 Czi3 =Kzir ・Iz3 …式66 Czi4 =Kzir ・Iz4 …式67
【0093】ステップS346においては、ステップS
342で演算した比例項Czpj (j=1,2,3,4)とス
テップS344において演算された積分項Czij に基づ
き、下記数式に従って上下加速度に基づくフィードバッ
ク制御量Pzj を演算する。その後、ステップS348
へ進む。
【0094】Pzj=Czpj +Czij …式68 (j =1,2,3,4)
【0095】ステップS348においては、ROMに記
憶されている各アクチュエータの作動流体室内の標準圧
力Pbj(標準積載状態の車輌が停車状態にあるときの作
動流体室内の圧力)と、それぞれステップS330およ
び336にて演算した圧力PxjおよびPgjと、ステップ
S346において演算された圧力Pzjに基づき、下記数
式に従って各圧力制御弁の制御目標圧力Pujを演算し、
しかる後図3のステップS350へ進む。
【0096】Puj=Pbj+Pxj+Pgj+Pzj …式69 (j =1,2,3,4)
【0097】従って、図6および図7に示されたアクテ
ィブ制御量演算ルーチンのステップS322〜330に
おいて変位フィードバック制御量Pxjが演算され、ステ
ップS332〜336において前後加速度および横加速
度に基づくフィードフォワード制御量Pgjが演算され、
ステップS338〜346において上下加速度に基づく
フィードバック制御量Pzjが演算され、ステップS34
8において標準圧力Pbjと各制御量との和として制御目
標圧力Pujが演算され、この制御目標圧力に基づきステ
ップS350において各圧力制御弁が制御される。
【0098】以上説明したように、本実施例の流体圧式
アクティブサスペンション10では、摩擦係数検出手段
の一態様であるステップS302で判別した走行路面が
高μ路或いは低μ路に変化する(路面の摩擦係数が変化
する)と、その大小に応じて、制御量補正手段の一態様
を構成するステップS310〜320にて車両の上下方
向の振動に関するダンピングゲインたる積分項および比
例項ゲイン(Kzif ,Kzir ,Kzpf ,Kzpr )を増減
し、このステップS310〜320とともに当該制御量
補正手段の一態様を構成するステップS342〜346
にて上下加速度に基づくフィードバック制御量Pzjを求
め、制御弁を制御する際の制御量(制御目標圧力Puj)
を補正する。
【0099】よって、本実施例の流体圧式アクティブサ
スペンション10によれば、走行路面の摩擦係数の大小
(高μ路或いは低μ路)に応じて、具体的には、低μ路
では高μ路の場合よりダンピングゲインを低減すること
を通して、低μ路である降雪路,氷結路或いはぬかるみ
路等を走行中の車両における制御系の応答遅れに起因し
た乗り心地の悪化を抑制できる。しかも、低μ路である
降雪路,氷結路或いはぬかるみ路等の走行中は既述した
ように車体に作用する横加速度が自ずから小さいので、
ダンピングゲインの低減を通して乗り心地の向上を優先
しても、操縦安定性を損なうことはない。また、高μ路
走行の通常走行時には、ダンピングゲインの増大を通し
て車体の姿勢変化速度を低減し、操縦安定性を図ること
ができる。
【0100】ここで、従来技術との関連について言及す
る。車体に作用する加速度或いは車輪と車体の間隔であ
る車高値が所定の値を越えると、車体に上下振動を引き
起こす悪路を車両は走行であると判定するようにした従
来の技術が存在する可能性がある。なお、降雪路,氷結
路或いはぬかるみ路等の低μ路は、車体に上下振動を引
き起こす点で悪路の一種といえる。このような従来の技
術の場合には、実際に車体に振動が発生してから悪路走
行であることが判断されるため、当該判断するまでの間
においては、制御系の遅れにより乗り心地が損なわれて
しまう。しかし、本実施例の流体圧式アクティブサスペ
ンション10によれば、振動の有無に拘らず低μ路走行
であるか否かを判断し低μ走行中であると判断すると、
その後の低μ路走行中には車両に制御系の応答性を越え
る周波数にて振動が入力される可能性が高いことがいち
早く判断できるため、制御系の応答性の遅れに起因した
乗り心地の悪化を未然に防止することができる。
【0101】また、本実施例の流体圧式アクティブサス
ペンション10によれば、走行路面が高μ路から低μ路
に変化すると、図13に示すように、高μ路走行中のダ
ンピングゲインの下限値までの速やかな低減を通して、
制御系の応答遅れに起因した乗り心地低下を速やかに且
つより効果的に抑制することができる。更に、走行路面
が低μ路から高μ路に変化すると、低μ路走行中のダン
ピングゲインの上限値までの速やかな増大を通して姿勢
変化速度を速やかに低減させ、乗り心地および操縦安定
性を速やかに且つより効果的に向上させることができ
る。
【0102】また、本実施例の流体圧式アクティブサス
ペンション10では、ダンピングゲインたる積分項およ
び比例項ゲイン(Kzif ,Kzir ,Kzpf ,Kzpr )の
漸減程度を当該各ゲインの漸増程度より小さくした。よ
って、本実施例の流体圧式アクティブサスペンション1
0によれば、低μ路走行中に低減させたダンピングゲイ
ンを、高μ路走行に至った直後から速やかに増大させ
て、姿勢制御の際の車体の姿勢変化速度の速やかな低減
を図り、乗り心地および操縦安定性を速やかに向上させ
ることができる。
【0103】更に、本実施例の流体圧式アクティブサス
ペンション10では、ダンピングゲインたる積分項およ
び比例項ゲイン(Kzif ,Kzir ,Kzpf ,Kzpr )の
他に、車両の上下方向の振動に関する他のダンピングゲ
イン、即ち変位フィードバック制御量Cxh,Cxp,Czr
およびCxwの微分項ゲインKdxh ,Kdxp ,Kdxr およ
びKdxw を、図4に示されたルーチンに従って車輌の急
旋回時や急加減速時には図8に示されたパターンにて増
大され、それ以外の走行状態においては低い値(最小
値)に維持するよう構成した。このため、急操舵時や急
加減速時における車体の姿勢変化、特に車体の姿勢変化
速度を低減することができ、しかも通常走行時における
車輌の乗り心地性を向上させることができる。
【0104】また、本実施例の流体圧式アクティブサス
ペンション10では、図8に示すように、各微分項ゲイ
ンは車輌の急旋回時や急加減速時には速やかに増大され
て一定値に維持された後、比較的緩やかに低減される。
このため、急操舵や急加減速が行なわれる場合における
車体の姿勢変化速度を応答遅れなく効果的に低減するこ
とができ、しかも急操舵や急加減速終了後における車体
の姿勢変化速度低減性能が急変することを確実に防止す
ることができる。
【0105】以上本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこの様な実施例になんら限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0106】例えば、ダンピングゲインを走行路面の摩
擦係数の大小に応じて増減するに際して、その増減対象
ゲインを車体の上下加速度の積分項および比例項ゲイン
(Kzif ,Kzir ,Kzpf ,Kzpr )としたが、当該加
速度の微分項ゲイン(Kdxh,Kdxp ,Kdxr ,Kdxw
)をもその増減対象とするよう構成することもでき
る。
【0107】また、本実施例の流体圧式アクティブサス
ペンション10では、車体の上下加速度の積分項および
比例項ゲイン(Kzif ,Kzir ,Kzpf ,Kzpr )を走
行路面の摩擦係数の大小に応じて増減するに際して、車
速が変わった当初のKzpf やKzif を、図11,図12
に示すグラフに対応するマップとその時の車速Vとから
定め、その後は各ゲインのインクリメント或いはデクリ
メントによりゲインを増減した。しかし、図17,図1
8に示すように、低μ路用のゲインと高μ路用のゲイン
について車速に対するマップを備え、走行路面の摩擦係
数の大小の変化に応じて、この両マップを使い分けるよ
う構成することもできる。しかも、この際には、高μ路
から低μ路に変化した当初は、低μ路用のマップにおけ
るゲインと高μ路用のマップにおけるゲインとの間にお
いて、補間演算して摩擦係数変化当初のゲインを演算
し、その後は、上記の実施例と同様にインクリメント或
いはデクリメントするよう構成することもできる。この
ように補間演算すれば、摩擦係数変化時の姿勢変化速度
の急変を抑制して、乗員の不快感や違和感を緩和するこ
とができる。
【0108】更に、アクティブ演算、即ち各アクチュエ
ータ36の作動流体室38内の目標圧力Pujの演算を種
々のセンサの検出結果や種々のゲインに基づき特定の態
様にて行なうよう構成したが、目標圧力Pujの演算の態
様は、車輌の走行状態に応じて各アクチュエータ36の
作動流体室38内の目標圧力を制御することにより車体
の車高やその姿勢,車輌の乗り心地性を良好に制御し得
る演算である限り、任意の態様を採ることができる。
【0109】また、本実施例においては、制御弁を接続
通路32および分岐通路26における圧力を直接導入し
て切換を行なう圧力制御弁22として構成したが、この
制御弁を、作動流体室38内の圧力を圧力センサにより
検出し、その検出値に基づきソレノイド等により電気的
に切り換えられる流量制御弁として構成してもよいこと
は勿論である。
【0110】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1記載の流体
圧式アクティブサスペンションでは、走行路面の摩擦係
数が変化すると、その大小に応じて車両の上下方向の振
動に関するダンピングゲインを増減して制御弁を制御す
る際の制御量を補正する。このため、請求項1記載の流
体圧式アクティブサスペンションによれば、摩擦係数が
小さい値の路面である降雪路或いは氷結路等の走行中に
はダンピングゲインの低減を通して、制御系の応答遅れ
に起因した乗り心地の低下を抑制することができる。ま
た、摩擦係数が大きい値の路面の走行に至ると、ダンピ
ングゲインの増大を通して、姿勢制御の際の姿勢変化速
度を低減させ乗り心地および操縦安定性の向上を図るこ
とができる。この場合、摩擦係数が小さい値の路面の走
行中は車輪の滑りにより車両に作用する横加速度は自ず
から小さいので、制御系の応答遅れに起因した乗り心地
の低減の抑制を図ったとしても、操縦安定性を損なうこ
とはない。
【0111】請求項2記載の流体圧式アクティブサスペ
ンションでは、車両が摩擦係数が所定値より大きい値の
路面から小さい値の路面に至ると、摩擦係数が大きい路
面を走行中にとっていたダンピングゲインをその値から
速やかに低減させその後は下限値まで低減させる。ま
た、車両が摩擦係数が所定値より小さい値の路面から大
きい値の路面に至ると、摩擦係数が小さい路面を走行中
にとっていたダンピングゲインをその値から速やかに増
大させその後は上限値まで増大させる。よって、請求項
2記載の流体圧式アクティブサスペンションによれば、
車両が小さい値の摩擦係数の路面に至った後には、制御
系の応答遅れに起因した乗り心地低下の抑制を、ダンピ
ングゲインの下限値までの低減を通して速やかに且つよ
り効果的に行なうことができるとともに、車両が摩擦係
数が所定値より小さい値の路面から大きい値の路面に至
ると、姿勢変化速度の低減による乗り心地および操縦安
定性の向上を、ダンピングゲインの上限値までの増大を
通して速やかに且つより効果的に行なうことができる。
【0112】また、請求項3記載の流体圧式アクティブ
サスペンションでは、ダンピングゲインの漸減程度をダ
ンピングゲインの漸増程度より小さくしたので、車両が
小さい値の摩擦係数の路面を走行の間に低減したダンピ
ングゲインを、車両が大きい値の摩擦係数の路面に至っ
た直後から速やかに増大させる。よって、請求項3記載
の流体圧式アクティブサスペンションによれば、姿勢制
御の際の車体の姿勢変化速度を速やかに低減させて、車
両が大きい値の摩擦係数の路面に至った後の乗り心地お
よび操縦安定性をより速やかに向上させることができ、
高摩擦係数の路面走行時の操縦安定性の早期確保を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による流体圧式アクティブサスペンショ
ンの一つの実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示されたパイロット圧力制御装置および
圧力制御弁を制御する電子制御装置を示すブロック線図
である。
【図3】図2に示された電子制御装置により達成される
サスペンション制御フローを示すゼネラルフローチャー
トである。
【図4】図3に示されたフローチャートのステップS2
00および250において行なわれる車輌の走行状態の
判断等のルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図3に示されたフローチャートのステップS3
00において行なわれるアクティブ演算のルーチンの前
半部分を示すフローチャートである。
【図6】図3に示されたフローチャートのステップS3
00において行なわれるアクティブ演算のルーチンの中
盤部分を示すフローチャートである。
【図7】図3に示されたフローチャートのステップS3
00において行なわれるアクティブ演算のルーチンの残
りの部分を示すフローチャートである。
【図8】ゲインKzifeの増減パターンを示すタイムチャ
ートである。
【図9】車速VとゲインKzifeとの間の関係を示すグラ
フである。
【図10】車速Vおよび操舵角速度θd と推定横加速度
の変化率Gypr との間の関係を示すグラフである。
【図11】車速VとゲインKzpf との間の関係を示すグ
ラフである。
【図12】車速VとゲインKzif との間の関係を示すグ
ラフである。
【図13】ゲインKzif の増減パターンを示すタイムチ
ャートである。
【図14】車速Vと目標変位量Rxhとの間の関係を示す
グラフである。
【図15】前後加速度Gx と目標圧Pgxとの間の関係を
示すグラフである。
【図16】横加速度Gy と目標圧Pgyとの間の関係を示
すグラフである。
【図17】高μ路,低μ路についての車速VとゲインK
zpf との間の関係を示すグラフである。
【図18】高μ路,低μ路についての車速VとゲインK
zif との間の関係を示すグラフである。
【図19】アクティブサスペンション搭載車が実際に走
行することにより生じたばね上の上下加速度Gz を周波
数分析した結果の一例を、ダンピングゲインが比較的高
い通常値に設定された場合(実線)とこの通常値よりも
低減された場合(点線)との場合について示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10…流体圧式アクティブサスペンション 12…接続通路 14…作動流体排出通路 16…エンジン 18…ポンプ 20…作動流体供給通路 22…圧力制御弁 24…切換制御弁 24a…切換位置 24b…切換位置 24c…切換位置 26…分岐通路 28…固定絞り 30…可変絞り 32…接続通路 34…絞り 36…アクチュエータ 38…作動流体室 42…気液ばね装置 46…遮断弁 48…パイロット圧力制御装置 50…接続通路 52…固定絞り 54…可変絞り 60…アキュームレータ 100…電子制御装置 110…入力ポート装置 112…出力ポート装置 118…車高センサ 120…車速センサ 122…前後Gセンサ 124…横Gセンサ 126…操舵角センサ 128…車高設定スイッチ 130…駆動回路 132〜138…駆動回路 140〜144…上下Gセンサ 146…ヨーレイトセンサ Wh…車輪

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と車輪との間に介装されて車体を懸
    架し、対応する車輪の支持荷重を作動流体の給排により
    増減する流体圧アクチュエータと、 該流体圧アクチュエータへの作動流体の給排を行なう制
    御弁と、 車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、 該車両の走行状態に応じて発現する前記車体の姿勢変化
    が低減する側に、前記制御弁を前記検出した走行状態に
    応じた制御量で制御し、前記流体圧アクチュエータを介
    して車体の姿勢制御を図る制御手段とを有する流体圧式
    アクティブサスペンションであって、 走行路面の摩擦係数を検出する摩擦係数検出手段と、 該検出した摩擦係数の大小に応じて、前記車両の上下方
    向の振動に関するダンピングゲインを増減し、前記制御
    量を補正する制御量補正手段とを備えることを特徴とす
    る流体圧式アクティブサスペンション。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の流体圧式アクティブサス
    ペンションであって、 前記制御量補正手段は、前記ダンピングゲインを増減す
    るに当たり、前記摩擦係数が所定値より大きい値から小
    さい値に推移後、該小さい値である期間に亘っては前記
    ダンピングゲインを下限値まで漸減し、前記摩擦係数が
    所定値より小さい値から大きい値に推移後、該大きい値
    である期間に亘っては前記ダンピングゲインを上限値ま
    で漸増するものである流体圧式アクティブサスペンショ
    ン。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の流体圧式アクティブサス
    ペンションであって、 前記制御量補正手段によるダンピングゲインの漸減程度
    は、前記ダンピングゲインの漸増程度より小さくされて
    いる流体圧式アクティブサスペンション。
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