JPH07304301A - ディスクロードホイールおよびディスクロードホイールの製造方法 - Google Patents

ディスクロードホイールおよびディスクロードホイールの製造方法

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JPH07304301A
JPH07304301A JP9773394A JP9773394A JPH07304301A JP H07304301 A JPH07304301 A JP H07304301A JP 9773394 A JP9773394 A JP 9773394A JP 9773394 A JP9773394 A JP 9773394A JP H07304301 A JPH07304301 A JP H07304301A
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JP
Japan
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rim
disc
gas escape
escape groove
peripheral side
Prior art date
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JP9773394A
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English (en)
Inventor
Katsumi Kawamura
村 勝 巳 河
Toru Aida
田 徹 会
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディスクとリムとを嵌合した状態で嵌合部分
に加工油や洗浄液等の残留物が存在しているとしても、
溶接接合の際に溶接ビードにブローホールが形成される
のを防止する。 【構成】 ディスク2の外周側とリム3の内周側とを圧
入嵌合して、リム3とディスク2とを円周方向に溶接接
合して溶接ビード4により両者を一体化してなるディス
クロードホイール1において、ディスク2の外周側の溶
接フランジ部分2aに、溶接接合の際のディスク側ガス
逃げ用溝5を形成していると共に、リム3の内周側に、
ディスク側ガス逃げ用溝5と連通するリム側ガス逃げ用
溝6を当該リム3の内周側の全周にわたって形成してい
るものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディスクの外周側とリ
ムの内周側とを圧入嵌合して、リムとディスクとを円周
方向に溶接接合して一体化し、リムの部分にタイヤを装
着して使用されるディスクロードホイールに係わり、と
くに、溶接接合によるビード(再凝固相)部分にブロー
ホールが形成されるのを防止するのに好適なディスクロ
ードホイールおよびディスクロードホイールの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タイヤを装着して使用される従来のディ
スクロードホイールとしては、例えば、図8に示すよう
なものがある。
【0003】図8(a)に示すように、ディスクロード
ホイール21は、ディスク22とリム23とを嵌合して
両者を一体化したものであり、このディスクロードホイ
ール21を製造するに際しては、ディスク22の外周側
とリム23の内周側とを圧入嵌合して、リム23とディ
スク22とを円周方向に溶接接合することにより溶接ビ
ード24を介して両者を一体化するようにしていた
(「自動車工学全書 19自動車の製造法」 昭和55
年4月20日 初版発行 発行所 株式会社山海堂 第
155頁〜第156頁 6.3.3 ロードホイー
ル)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のディスクロードホイール21では、図8
(b)および図8(c)の左側部分に示すように、リム
23の形状のばらつきによって生じるディスク22とリ
ム23との間の隙間に、加工油や洗浄液等の残留物25
が存在したままの状態で、レーザ光26を用いて溶接接
合しようとした場合に、加工油や洗浄液等の残留物25
がレーザ光26により急加熱されて急速に蒸発するた
め、このベーパリング現象によって急激な内圧の上昇を
生ずることにより、溶融金属の液滴27が飛散して溶接
ビード24に多くのブローホール28が形成されてしま
い、溶接欠陥となることがありうるという問題を有して
おり、この問題を解決することが従来の課題となってい
た。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題に着目し
てなされたものであって、圧入嵌合後におけるディスク
とリムとの間に加工油や洗浄液等が残留物として残って
いるときでも、溶接接合の際に溶融金属が飛散するのを
少なく抑えて、溶融金属の飛散によるブローホールの発
生率を大幅に低減させることが可能であるディスクロー
ドホイールおよびディスクロードホイールの製造方法を
提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る発明は、ディスクの外周側とリムの内周側とを圧入嵌
合して、前記リムとディスクとを円周方向に溶接接合し
て一体化してなるディスクロードホイールにおいて、前
記ディスクの外周側には溶接接合の際のディスク側ガス
逃げ用溝を形成していると共に、前記リムの内周側には
前記ディスク側ガス逃げ用溝と連通するリム側ガス逃げ
用溝を当該リムの内周側の全周にわたって形成している
構成としたことを特徴としており、このディスクロード
ホイールの構成を上記した従来の課題を解決するための
手段としている。
【0007】本発明の請求項1に係わる発明において、
リムの内周側に形成している円周方向のガス逃げ用溝の
溝の深さ(Dr)が0.1mmに達していないと、ガス
を逃がす機能が不十分となり、溝の深さ(Dr)が0.
35mmを越えると、ディスクとリムの接合強度が低下
するうえ、アンダーカット量(溶接ビード部に生じる凹
部)が増加して疲労強度も低下するので、リム側ガス逃
げ用溝は、溝の深さ(Dr)を0.35mm≧Dr≧
0.1mmとすることが好ましい。
【0008】また、リム側ガス逃げ用溝とディスク側ガ
ス逃げ用溝との重なり代が1mm以上ないと、ガスを十
分に逃がすことができず、一方、この重なり代が大きす
ぎると、ディスク側ガス逃げ用溝の端部が溶接位置を越
えてしまって当然のことながら溶接を行うことができな
いため、リム側ガス逃げ用溝のディスク側ガス逃げ用溝
に対する位置関係が極めて重要となる。そこで、リム側
ガス逃げ用溝およびディスク側ガス逃げ用溝の各々の加
工精度ならびにリムとディスクとの嵌合精度のばらつき
を吸収するために、リム側ガス逃げ用溝およびディスク
側ガス逃げ用溝の重なり代を(W1)、溶接位置から前
記リム側ガス逃げ用溝の表側溝壁までのオフセット量を
(W2)、前記溶接位置からディスク側ガス逃げ用溝ま
での距離を(W3)、前記リム側ガス逃げ用溝の溝幅を
(Wr)とした場合、前記リム側ガス逃げ用溝およびデ
ィスク側ガス逃げ用溝の重なり代(W1)をW1≧1m
mでしかもWr−(W2+W3)≧W1とすることが好
ましい。
【0009】さらに、リム側ガス逃げ用溝とリムの内周
側における表側丸み部の終端との距離(S)が5mmに
達していないと、溶接部への応力集中が増加して接合部
の疲労強度が低下するので、リム側ガス逃げ用溝と表側
丸み部の終端との距離(S)はS≧5mmとすることが
好ましい。
【0010】この場合、ディスクの外周側に形成してい
るガス逃げ用溝は、溝の深さ(Dd)と開口幅(Wd)
との積である断面積(Dd×Wd)がDd×Wd<0.
4mmであると、断面積が小さいために溶接接合の際
にガスの逃げが十分でなくなってベーパリング現象を生
じて溶融金属が飛散し、溶接ビードにブローホールが発
生しやすくなり、また、溝と溝との間隔であるピッチ
(P)がP>30mmであると、溝と溝との間隔が大き
くなって、溝と溝との間に存在する残留物が溶接接合の
際にベーパリング現象を生じて内圧が急激に上昇するこ
とにより、同じく溶接ビードにブローホールが発生しや
すくなるので、溝の形状における深さ(Dd)と開口幅
(Wd)とがDd≧0.1mmでかつDd×Wd≧0.
4mm,溝と溝との間隔であるピッチ(P)をP≦3
0mmとすることが望ましい。
【0011】さらに、上記した円周方向の溶接位置から
ディスク側ガス逃げ用溝までの距離(W3)をW3>2
mmとすると、溶接位置近傍にある加工油や洗浄液等の
残留物が溶接接合時にガスとして逃がしにくくなってブ
ローホールが発生しやすくなるので好ましくない。
【0012】さらにまた、溶接ビードにかかる応力を変
化させないために、ディスクの外周側に形成しているガ
ス逃げ用溝の表面積の合計を嵌合代の面積の5%以内と
することが望ましい。
【0013】一方、本発明の請求項7に係わる発明は、
ディスクおよび前記ディスクと嵌合するリムを具備した
ディスクロードホイールを製造するに際して、前記ディ
スクの外周側にディスク側ガス逃げ用溝を形成すると共
に、前記リムの内周側に前記ディスク側ガス逃げ用溝と
連通するリム側ガス逃げ用溝を当該リムの内周側の全周
にわたって形成したのち、前記ディスクの外周側とリム
の内周側とを圧入嵌合して、前記リムとディスクとを円
周方向に溶接接合して一体化する構成としており、この
ディスクロードホイールの製造方法の構成を上記した従
来の課題を解決するための手段としている。
【0014】そして、一実施態様において、ディスクの
外周側とリムの内周側とを圧入嵌合するのに続いて前記
ディスクとリムとの嵌合部分を200゜C以上に加熱
し、こののち、前記リムとディスクとを円周方向に溶接
接合して一体化する構成としている。
【0015】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わる発明では、上
記した構成としていることから、リムのロール成形時に
おけるロール型の磨耗や成形条件の設定の違いなどによ
り生じるリムの形状のばらつきによって、嵌合部分の所
々に隙間ができたとしても、これらの隙間はリム側ガス
逃げ用溝を介してディスク側ガス逃げ用溝にいずれも連
通することから、圧入嵌合後の溶接接合時にリムとディ
スクとの間に存在している加工油や洗浄液等の残留物が
溶接熱によりガス化した場合には、これらの隙間内のガ
スはリム側ガス逃げ用溝を介してディスク側ガス逃げ用
溝から外部に排出され、ガス化による急激な内圧の上昇
が防止されることになるので、溶融金属の液滴が飛散す
ることはほとんどなくなり、その結果、溶接ビードにお
けるブローホールの発生率は低下することとなる。
【0016】本発明の請求項2に係わる発明では、上記
した構成としていることから、リムとディスクとの圧入
嵌合後の溶接接合時において両者間に存在している残留
物が溶接熱によりガス化してできたガスは、リム側ガス
逃げ用溝を介して十分にディスク側ガス逃げ用溝側に排
出されることとなり、ブローホールの発生率は低く抑え
られることとなる。
【0017】また、溶接により一体化したディスクとリ
ムとの接合強度は高く維持されると共に、アンダーカッ
ト量が増加しないことから接合部における疲労強度の低
下が抑えられることとなる。
【0018】本発明の請求項3に係わる発明において、
リムとディスクとの間にできたガスは、リム側ガス逃げ
用溝およびディスク側ガス逃げ用溝を介して十分に外部
に排出されるうえ、リムとディスクとの圧入嵌合時にお
いて、リム側ガス逃げ用溝およびディスク側ガス逃げ用
溝の各々の加工精度ならびにリムとディスクとの嵌合精
度のばらつきは、ほとんど吸収されることとなる。
【0019】本発明の請求項4に係わる発明では、溶接
部の応力集中が増加しないのでリムとディスクとの接合
部の疲労強度は高いものとなる。
【0020】本発明の請求項5に係わる発明において、
ディスク側ガス逃げ用溝における溝開口の断面積が大き
いことから、ガスは十分に外部に排出されることとなる
うえ、隣り合うディスク側ガス逃げ用溝間においては、
ベーパリング現象がほとんど生じないことから、溶接ビ
ードにおけるブローホールの発生率は極めて低いものと
なる。
【0021】本発明の請求項6に係わる発明では、上記
した構成としていることから、溶接ビードにかかる応力
はほとんど一定したものとなる。
【0022】本発明の請求項7に係わる発明では、ディ
スクの外周側にディスク側ガス逃げ用溝を形成すると共
に、リムの内周側にリム側ガス逃げ用溝をその内周側の
全周にわたって形成したのち、ディスクの外周側とリム
の内周側とを圧入嵌合する。このとき、リムのロール成
形時におけるロール型の磨耗や成形条件の設定の違いな
どにより生じるリムの形状のばらつきによって、嵌合部
分の所々に隙間ができていたとしても、これらの隙間は
リム側ガス逃げ用溝を介してディスク側ガス逃げ用溝に
いずれも連通することとなり、この状態でリムとディス
クとを円周方向に溶接接合して一体化すると、リムとデ
ィスクとの間にある加工油や洗浄液等の残留物が溶接熱
によりガス化した場合、隙間内のガスはリム側ガス逃げ
用溝を介してディスク側ガス逃げ用溝から外部に排出さ
れて、ガス化による急激な内圧の上昇が防止されるの
で、溶接ビードにブローホールのないディスクロードホ
イールが製造されることとなる。
【0023】そして、本発明の請求項8に係わる発明で
は、ディスクの外周側とリムの内周側とを圧入嵌合する
のに続いてディスクとリムとの嵌合部分を200゜C以
上に加熱し、こののち、リムとディスクとを円周方向に
溶接接合して一体化するようにしていることから、圧入
嵌合後のリムとディスクとの間、とくに、リム側ガス逃
げ用溝に多量の加工油や洗浄液等の残留物が存在してい
るとしても、この加熱によりほとんどの残留物が気化し
てリム側ガス逃げ用溝およびディスク側ガス逃げ用溝か
ら外部に排出されてしまい、溶接時の熱により生じるガ
スの量は非常に少なくなり、これらのガスもリム側ガス
逃げ用溝およびディスク側ガス逃げ用溝から外部に排出
されて、ガス化による急激な内圧の上昇が防止されるの
で、溶接ビードにブローホールが形成されることがない
ようになる。
【0024】また、圧入嵌合後のリムとディスクとの
間、とくに、リム側ガス逃げ用溝に多量の加工油や洗浄
液等の残留物を残したまま、リムとディスクとを円周方
向に溶接接合しても上記のように何等問題がないことか
ら、ディスクおよびリムの圧入嵌合前の各々嵌合表面の
洗浄は簡単なものとなる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0026】図1ないし図7は、本発明に係わるディス
クロードホイールおよびディスクロードホイールの製造
方法の一実施例を示している。
【0027】図1(a)に示すように、このディスクロ
ードホイール1は、ディスク2の外周側とリム3の内周
側とを圧入嵌合して、リム3とディスク2とを円周方向
に溶接接合することにより溶接ビード4を介して両者を
一体化してなるもので、ディスク2の外周側における溶
接フランジ部分2aの端面側に、溶接接合の際のディス
ク側ガス逃げ用溝5を円周方向に36ケ所形成すると共
に、図2にも示すように、リム3の内周側に、ディスク
側ガス逃げ用溝5と連通するリム側ガス逃げ用溝6をこ
のリム3の内周側の全周にわたって形成した構造をなし
ており、リム3のロール成形時におけるロール型の磨耗
や成形条件の設定の違いなどにより生じるセンタードロ
ップ部3aの形状のばらつきによって、嵌合部分の所々
に隙間ができた場合であっても、リム側ガス逃げ用溝6
を介してこれらの隙間をディスク側ガス逃げ用溝5に連
通させるようにしている。
【0028】この場合、図1(b)に示すように、リム
側ガス逃げ用溝6およびディスク側ガス逃げ用溝5の各
加工精度ならびにリム3にディスク2を圧入嵌合する際
における嵌合精度のばらつきを考慮して、リム側ガス逃
げ用溝6の溝の幅を(Wr)、ディスク側ガス逃げ用溝
5およびリム側ガス逃げ用溝6の重なり代を(W1)、
溶接位置4Aからリム側ガス逃げ用溝6までの表側溝壁
オフセット量を(W2)、溶接位置4Aからディスク側
ガス逃げ用溝5までの距離を(W3)として、ディスク
側ガス逃げ用溝5およびリム側ガス逃げ用溝6の重なり
代(W1)がW1≧1mm,W2≧1mm,W3=2m
mでしかもWr−(W2+W3)≧W1となるように設
定し、さらに、ディスク側ガス逃げ用溝5をその溝の深
さ(Dd)と開口幅(Wd)とがDd≧0.1mmでか
つDd×Wd≧0.4mm,溝と溝との間隔であるピ
ッチ(P)がP≦30mmとなるように設定すると共
に、ディスク側ガス逃げ用溝5の表面積の合計が嵌合代
の面積の5%以内となるように設定してある。
【0029】また、リム側ガス逃げ用溝6とリム3の内
周側における表側丸み部Rの終端Rrとの距離(S)
は、溶接部への応力集中の増加による疲労強度の低下を
ふせぐため、S≧5mmとしてある。
【0030】このディスクロードホイール1を製造する
際には、まず、図3に示すように、ブロック10におい
て切削加工によりディスク2の外周側にディスク側ガス
逃げ用溝5を形成すると共に、リム3の内周側にディス
ク側ガス逃げ用溝5と上記重なり代(W1)をもって連
通するリム側ガス逃げ用溝6をリム3の内周側の全周に
わたって形成したのち、ブロック11においてディスク
2の外周側とリム3の内周側とを圧入嵌合する。
【0031】次いで、ブロック12においてディスク2
とリム3との嵌合部分を誘導加熱により200゜C以上
に加熱したのち、ブロック13において、図1(b)に
示すように、例えば、レーザ光6を用いてディスク2と
リム3とを円周方向に溶接接合することにより、溶接ビ
ード4(図1(b)では仮想線で示す)を介して一体化
する。
【0032】このとき、ディスク2とリム3との圧入嵌
合部分、とくに、リム側ガス逃げ用溝6に多量の加工油
や洗浄液等の残留物が存在していたとしても、誘導加熱
によりほとんどの残留物が気化して、リム側ガス逃げ用
溝6を介してディスク側ガス逃げ用溝5から外部に排出
され、また、リム3のロール成形時におけるロール型の
磨耗や成形条件の設定の違いなどにより生じたセンター
ドロップ部3aの形状のばらつきによって、嵌合部分の
所々に隙間ができた場合であっても、これらの隙間内の
ガスはリム側ガス逃げ用溝6を介してディスク側ガス逃
げ用溝5から外部に排出される。
【0033】したがって、レーザ光6の急加熱によって
急速蒸発するベーパリング現象を生ずるとしても、これ
により生じるガスの量は極めて少なく、これらのガスも
リム側ガス逃げ用溝6を介してディスク側ガス逃げ用溝
5から外部に排出されるので、加工油や洗浄液等の残留
物の急速蒸発による内圧の上昇が防止されて、溶接ビー
ド4には溶融金属の液滴の飛散によるブローホールなど
の溶接欠陥がほとんど生じない。
【0034】次に、このディスクロードホイール1のリ
ム側ガス逃げ用溝6の溝の深さに関して考慮した結果に
ついて述べる。
【0035】図1(a),(b)に示すように、リム3
のリム側ガス逃げ用溝6における溝の深さをDrmmと
すると共に、ディスク2のディスク側ガス逃げ用溝5に
おける溝の深さをDdmm,開口幅をWdmm,ピッチ
をPmm,レーザ溶接位置(レーザ溶接線)4Aからの
距離をW3mmとする。
【0036】そして、リム側ガス逃げ用溝6の溝の深さ
(Dr)とブローホール発生率との関係を調べたとこ
ろ、図4に示す結果が得られ、溝の深さ(Dr)が0.
1mmに達しなければガスを逃がす機能が不十分となっ
てブローホール発生率が急増することから、最小溝深さ
は0.1mm以上とするのがよいことがわかった。
【0037】ここで、ブローホール発生率とは、1個の
ディスクロードホイールの中に、1箇所でもブローホー
ルが存在した場合をブローホール発生と定義し、このブ
ローホールが発生したディスクロードホイールの全体の
ディスクロードホイールに対する比率を示す。
【0038】また、リム側ガス逃げ用溝6の溝の深さ
(Dr)と接合強度(ディスク2のリム3への嵌合方向
におけるせん断強度)との関係を調べたところ、図5に
示す結果が得られ、溝の深さ(Dr)が0.1〜0.4
mmの範囲では接合強度が安定しているが、溝の深さ
(Dr)が0.4mmを越えると接合強度が急激に低下
することから、最大溝深さは0.4mm未満とするのが
よいことがわかった。
【0039】さらに、リム側ガス逃げ用溝6の溝の深さ
(Dr)とアンダーカット量(溶接ビード4に生じる凹
部)との関係を調べたところ、図7に示す結果が得られ
た。このアンダーカット量が増加して、溶接後の残存板
厚が母材板厚の80%を割ってしまうと接合部の疲労強
度が著しく低下することが知られているが、溝の深さ
(Dr)が0.35mmまでは、図6(a),(b)に
示すように、溶接ビード4にアンダーカットが生じるこ
とがなく、溝の深さ(Dr)が0.35mmを越える
と、図6(c)に示すように、溶接ビード4はアンダー
カット4Bとなり、残存板厚が母材板厚以下となる。つ
まり、溝の深さ(Dr)が大きくなるにしたがってアン
ダーカット量も大きくなることから、接合部の疲労強度
の低下を防ぐためには、すなわち、残存板厚を母材板厚
と同じないしはそれ以上とするためには、最大溝深さを
0.35mm未満とするのがよいことがわかった。
【0040】したがって、リム側ガス逃げ用溝6の溝の
深さ(Dr)は、0.35mm≧Dr≧0.1mmとす
るのが望ましいことがわかった。
【0041】このディスクロードホイール1では、ディ
スク2の外周側における溶接フランジ部分2aの端面側
に適宜数,適宜形状のガス逃げ用溝5を円周方向に形成
しておくと共に、リム3の内周側に、ディスク側ガス逃
げ用溝5と連通するリム側ガス逃げ用溝6をこのリム3
の内周側の全周にわたって形成しておくことによって、
リム3のロール成形時におけるロール型の磨耗や成形条
件の設定の違いなどにより生じたセンタードロップ部3
aの形状のばらつきによって、嵌合部分の所々に隙間が
できた場合であっても、溶接接合の際のガス逃げを良好
なものとしてブローホールの発生を抑制することが可能
であると共に、必要な嵌合力(例えば、2ton以上)
を確保できることによって、接合部の疲労強度を十分良
好なものに維持することが可能になる。
【0042】また、上記ディスクロードホイールの製造
方法では、溶接ビードにブローホールなどの溶接欠陥の
ないディスクロードホイールを製造することができるの
に加えて、圧入嵌合後のリム3とディスク2との間に多
量の加工油や洗浄液等の残留物を残したまま、リム3と
ディスク2とを円周方向に溶接接合しても何等問題がな
いことから、ディスク2およびリム3の圧入嵌合前の各
々嵌合表面の洗浄を簡単なものとすることができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係わる発明では、上記した構成としたから、リムのロ
ール成形時におけるロール型の磨耗や成形条件の設定の
違いなどにより生じるリムの形状のばらつきによって、
嵌合部分の所々に隙間ができていたとしても、これらの
隙間はいずれもリム側ガス逃げ用溝を介してディスク側
ガス逃げ用溝に連通するので、ディスクおよびリムの各
々嵌合表面に付着している加工油や洗浄液等の付着物が
圧入嵌合後の嵌合部分に残留物として残り、溶接接合時
にこの残留物が溶接熱によりガス化した場合には、隙間
内のガスをディスク側ガス逃げ用溝を介してリム側ガス
逃げ用溝から逃がすことによって、ガスの滞溜による内
圧の急激な上昇を防ぐことが可能であり、その結果、溶
接ビードにブローホールなどの溶接欠陥が発生するのを
防止することが可能であるという著しく優れた効果がも
たらされる。
【0044】また、本発明の請求項2に係わる発明で
は、上記した構成としたから、リムとディスクとの圧入
嵌合後の溶接接合時に両者間に存在している残留物が溶
接熱によりガス化してできたガスをリム側ガス逃げ用溝
を介して十分にディスク側ガス逃げ用溝側に排出させる
ことができるので、ブローホールの発生率を極めて低く
抑えることが可能であり、この際、溶接により一体化し
たディスクとリムとの接合強度を高く維持することがで
きると共に、アンダーカット量の増加を防ぐことによっ
て接合部における疲労強度をも高く維持することが可能
であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0045】さらに、本発明の請求項3に係わる発明に
おいて、リムとディスクとの間にできたガスをリム側ガ
ス逃げ用溝およびディスク側ガス逃げ用溝を介して十分
に外部に排出することができると共に、リムとディスク
との圧入嵌合時におけるリム側ガス逃げ用溝およびディ
スク側ガス逃げ用溝の各々の加工精度ならびにリムとデ
ィスクとの嵌合精度のばらつきをほとんど吸収すること
ができるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0046】さらにまた、本発明の請求項4に係わる発
明では、溶接部に対する応力集中の増加を阻止できるこ
とから、リムとディスクとの接合部の疲労強度を高く保
つことが可能であり、本発明の請求項5に係わる発明で
は、ディスク側ガス逃げ用溝における溝開口の断面積を
大きくしてあるので、ガスを余すことなく外部に排出す
ることが可能であり、加えて、隣り合うディスク側ガス
逃げ用溝間におけるベーパリング現象の発生を防ぐこと
ができるため、溶接ビードにおけるブローホールの発生
率の低減を実現でき、本発明の請求項6に係わる発明で
は、上記した構成としていることから、溶接ビードにか
かる応力の一定化が図れるという著しく優れた効果がも
たらされる。
【0047】一方、本発明の請求項7に係わる発明で
は、上記リムの形状のばらつきによって、嵌合部分の所
々に隙間ができていたとしても、これらの隙間はリム側
ガス逃げ用溝を介してディスク側ガス逃げ用溝にいずれ
も連通することとなり、この状態でリムとディスクとを
円周方向に溶接接合して一体化すると、リムとディスク
との間に加工油や洗浄液等の残留物があって溶接熱によ
りガス化したとしても、隙間内のガスをリム側ガス逃げ
用溝を介してディスク側ガス逃げ用溝から外部に排出し
て、ガス化による急激な内圧の上昇を防止できるので、
溶接ビードにブローホールなどの溶接欠陥のないディス
クロードホイールを製造することが可能であるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0048】さらに、本発明の請求項8に係わる発明で
は、上記した構成としたから、圧入嵌合後のリムとディ
スクとの間、とくに、リム側ガス逃げ用溝に多量の加工
油や洗浄液等の残留物が存在しているとしても、加熱に
よりほとんどの残留物を気化させてリム側ガス逃げ用溝
を介してディスク側ガス逃げ用溝から外部に排出させる
ことによって、溶接時の熱により生じるガスの量を非常
に少なくすることができ、したがって、ガス化による急
激な内圧の上昇をより一層抑えることができるので、溶
接ビードにブローホールなどの溶接欠陥のないディスク
ロードホイールを製造することが可能であるうえ、圧入
嵌合前のディスクおよびリムの各々嵌合表面の洗浄工程
の能力を軽減できるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係わるディスクロードホイール
の一実施例を示す部分破砕斜視説明図である。 (b)図1(a)のディスクロードホイールにおける半
径方向の部分断面説明図である。
【図2】図1(a)のディスクロードホイールにおける
リムを示す部分破砕斜視説明図である。
【図3】本発明に係わるディスクロードホイールの製造
方法の一実施例を示すブロック図である。
【図4】リム側ガス逃げ用溝の溝深さ(Dr)とブロー
ホール発生率との関係を調べた結果を例示するグラフで
ある。
【図5】リム側ガス逃げ用溝の溝深さ(Dr)と接合強
度との関係を調べた結果を例示するグラフである。
【図6】(a),(b)ディスクロードホイールの溶接
ビードがアンダーカットになっていない状態を示す部分
断面説明図である。 (c)ディスクロードホイールの溶接ビードがアンダー
カットになっている状態を示す部分断面説明図である。
【図7】リム側ガス逃げ用溝の溝深さ(Dr)と溶接ビ
ードにおけるアンダーカットの量との関係を調べた結果
を例示するグラフである。
【図8】(a)従来のディスクロードホイールの部分破
砕斜視説明図である。 (b)図8(a)のディスクロードホイールにおける半
径方向の部分断面説明図である。 (c)図8(a)のディスクロードホイールにおける円
周方向の部分断面説明図である。
【符号の説明】
1 デイスクロードホイール 2 ディスク 3 リム 5 ディスク側ガス逃げ用溝 6 リム側ガス逃げ用溝

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクの外周側とリムの内周側とを圧
    入嵌合して、前記リムとディスクとを円周方向に溶接接
    合して一体化してなるディスクロードホイールにおい
    て、前記ディスクの外周側には溶接接合の際のディスク
    側ガス逃げ用溝を形成していると共に、前記リムの内周
    側には前記ディスク側ガス逃げ用溝と連通するリム側ガ
    ス逃げ用溝を当該リムの内周側の全周にわたって形成し
    ていることを特徴とするディスクロードホイール。
  2. 【請求項2】 リムの内周側に形成している円周方向の
    ガス逃げ用溝は、溝の深さ(Dr)を0.35mm≧D
    r≧0.1mmとしてある請求項1に記載のディスクロ
    ードホイール。
  3. 【請求項3】 リム側ガス逃げ用溝およびディスク側ガ
    ス逃げ用溝の重なり代を(W1)、溶接位置から前記リ
    ム側ガス逃げ用溝の表側溝壁までのオフセット量を(W
    2)、前記溶接位置からディスク側ガス逃げ用溝までの
    距離を(W3)、前記リム側ガス逃げ用溝の溝幅を(W
    r)とした場合、前記リム側ガス逃げ用溝およびディス
    ク側ガス逃げ用溝の重なり代(W1)をW1≧1mmで
    しかもWr−(W2+W3)≧W1としてある請求項1
    または請求項2に記載のディスクロードホイール。
  4. 【請求項4】 リムの内周側に形成している円周方向の
    ガス逃げ用溝と、当該リムの内周側における表側丸み部
    の終端との距離(S)をS≧5mmとしてある請求項1
    ないし請求項3のいずれかに記載のディスクロードホイ
    ール。
  5. 【請求項5】 ディスクの外周側に形成しているガス逃
    げ用溝は、溝の形状における深さ(Dd)と開口幅(W
    d)とがDd≧0.1mmでかつDd×Wd≧0.4m
    ,溝と溝との間隔であるピッチ(P)がP≦30m
    mである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデ
    ィスクロードホイール。
  6. 【請求項6】 ディスクの外周側に形成しているガス逃
    げ用溝の表面積の合計が嵌合代の面積の5%以内である
    請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のディスクロ
    ードホイール。
  7. 【請求項7】 ディスクおよび前記ディスクと嵌合する
    リムを具備したディスクロードホイールを製造するに際
    して、前記ディスクの外周側にディスク側ガス逃げ用溝
    を形成すると共に、前記リムの内周側に前記ディスク側
    ガス逃げ用溝と連通するリム側ガス逃げ用溝を当該リム
    の内周側の全周にわたって形成したのち、前記ディスク
    の外周側とリムの内周側とを圧入嵌合して、前記リムと
    ディスクとを円周方向に溶接接合して一体化することを
    特徴とするディスクロードホイールの製造方法。
  8. 【請求項8】 ディスクの外周側とリムの内周側とを圧
    入嵌合するのに続いて前記ディスクとリムとの嵌合部分
    を200゜C以上に加熱し、こののち、前記リムとディ
    スクとを円周方向に溶接接合して一体化する請求項7に
    記載のディスクロードホイールの製造方法。
JP9773394A 1994-05-11 1994-05-11 ディスクロードホイールおよびディスクロードホイールの製造方法 Pending JPH07304301A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0879714A2 (de) 1997-05-23 1998-11-25 MANNESMANN Aktiengesellschaft Geschweisstes Fahrzeugrad
KR100666072B1 (ko) * 2005-07-04 2007-01-09 한국타이어 주식회사 자동차용 휠

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