JPH07304207A - イオンフロー静電記録ヘッド - Google Patents

イオンフロー静電記録ヘッド

Info

Publication number
JPH07304207A
JPH07304207A JP9644594A JP9644594A JPH07304207A JP H07304207 A JPH07304207 A JP H07304207A JP 9644594 A JP9644594 A JP 9644594A JP 9644594 A JP9644594 A JP 9644594A JP H07304207 A JPH07304207 A JP H07304207A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
electrodes
dielectric layer
recording head
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9644594A
Other languages
English (en)
Inventor
Naohito Shiga
直仁 志賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP9644594A priority Critical patent/JPH07304207A/ja
Publication of JPH07304207A publication Critical patent/JPH07304207A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printers Or Recording Devices Using Electromagnetic And Radiation Means (AREA)
  • Facsimile Heads (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は高温下で長時間保持される場合でも誘
電体層が劣化せず、マイカと同程度の高精細な画像を形
成することができるとともに、安価に製造することを最
も主要な特徴とする。 【構成】絶縁基板12をセラミック材料、誘電体層14
を酸窒化珪素材料によってそれぞれ形成したものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電式の印刷や複写に利
用されるイオンフロー静電記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば静電印刷などにおいて、
高電流密度のイオンを発生させ、これを抽出して選択的
に被帯電部材に付与して、この被帯電部材を画像上に帯
電させる静電記録装置が知られている。
【0003】この静電記録装置に用いられるイオンフロ
ー静電記録ヘッドには図3(A),(B)に示すよう
に、絶縁基板1上に同方向に略直線状に延設され、略平
行に並設された複数の第1電極2が設けられている。こ
れらの第1電極2は誘電体層3の一方の面に固着されて
いる。
【0004】また、誘電体層3の他方の面には第1電極
2の延設方向と異なる方向に延設された複数の第2電極
4が固着されている。そして、複数の第1電極2…と複
数の第2電極4…とでマトリックスが構成されている。
そして、この第2電極4のマトリックスと対応する部位
にはイオン発生用の開口部4aが形成されている。
【0005】また、第2電極4の第1電極2と反対側に
は絶縁体層5を介して第3電極6が配設されている。こ
れらの絶縁体層5および第3電極6には第2電極4の開
口部4aと対応する開口部5a,6aが形成されてお
り、これらの開口部5a,6aによってイオン流通過口
7が形成されている。
【0006】そして、第1電極2と第2電極4との間の
マトリックスの選択された部分に対応する第1電極2と
第2電極4との間に交互に高電圧を印加することによ
り、その部分に対向する第2電極4の開口部4a近傍に
正・負のイオンが発生する。
【0007】また、第2電極4と第3電極6との間には
バイアス電圧が印加され、その極性によって決まるイオ
ンのみが発生したイオンから選択的に抽出され、イオン
流通過口7を通過し、第3電極6と対向配置される被帯
電部材を部分的に帯電させることができる。したがっ
て、マトリックス構造の電極を選択的に駆動することに
より、ドットによる静電記録を行なうことができる。
【0008】ところで、イオンフロー静電記録ヘッドで
使用される誘電体層3を形成する誘電物質はイオン発生
のために印加される高電圧でも絶縁破壊しないことが要
求される。また、この誘電体層3はイオンを効率良く発
生させ、絶縁破壊にも耐えられる程度の厚さを必要とす
るため、高誘電率を有するものが適している。
【0009】そこで、従来から誘電体層3を形成する誘
電物質としてマイカが用いられている。この誘電体層3
は有機ポリシロキサン系の粘着剤を接着剤8として、こ
れを介して第2電極4に固着されている。しかしなが
ら、マイカの歩留まりが悪く、高価になる問題がある。
【0010】また、例えば特開平2−153760号公
報にはイオンフロー静電記録ヘッドの誘電体層3の材料
として、シリコーン変性ポリエステル−アルキド樹脂と
いった有機高分子材料に酸化チタンの微粉末を分散させ
てペースト状にしたものを使用したものが示されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特開平2−15376
0号公報のようにシリコーン変性ポリエステル−アルキ
ド樹脂といった有機高分子材料に酸化チタンの微粉末を
分散させてペースト状にした誘電体層3のペースト材料
を電極上に直接塗布し、硬化させることにより、誘電体
層3を成形する方法ではペースト材料の乾燥に100℃
で、1時間保持させる必要があるとともに、ペースト材
料の硬化に150℃で、5時間保持させる必要があるの
で、高温、長時間の条件で誘電体層3の成形作業が行わ
れることになる。
【0012】さらに、イオンフロー静電記録ヘッドの駆
動時には第1電極2と第2電極4との間の高電圧下での
放電により、この放電部分の周辺部材、特に電極2,4
間に存在する誘電体層3は高温に曝される。
【0013】そのため、誘電体層3のバインダーとして
有機高分子系樹脂を用いた場合には高分子樹脂中にいく
ら高誘電率粉末を分散させても、高電圧印加状態という
厳しい使用環境下では比較的短時間で誘電体層3のバイ
ンダーに熱酸化劣化を生じて高分子鎖がバラバラに切断
されるので、誘電体層3の表面から次第に粉を吹く現象
が見られる。
【0014】従って、イオンフロー静電記録ヘッドの初
期の電気特性を維持できず、経時的に第2電極4の各開
口部4a内での電気特性が変化し、均一にイオンを発生
できない部分が発生したり、漏電、及び短絡現象が起き
るおそれがあるので、高精細な画像が得られない問題が
ある。
【0015】また、従来から一般に用いられている誘電
物質としてのマイカは、電気的特性や耐久性は他の誘電
体材料よりも優れているが、天然物であるため、均一な
厚さ、均一な電気特性、ピンホール等の欠陥のない均質
性等の特性を満足する材料を選定、選別することが、非
常に困難なものとなる。その結果、イオンフロー静電記
録ヘッド全体が高価になる問題がある。
【0016】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的は、高温下で長時間保持される場合でも誘
電体層が劣化せず、マイカと同程度の高精細な画像を形
成することができるとともに、安価に製造することがで
きるイオンフロー静電記録ヘッドを提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は絶縁基
板上に一方向にかつ平行に延設された複数の第1電極
と、この第1電極と交差する方向に延設され、前記第1
電極とともにマトリックスを形成し、このマトリックス
に対応する部位に開口部が形成された複数の第2電極
と、この第2電極に対して前記第1電極とは反対側に配
置され、前記マトリックスに対応する部位に開口部が形
成された第3の電極と、前記第1電極と第2電極との間
に設けられた誘電体層と、前記第2電極と第3電極との
間に設けられ、前記マトリックスに対応する部位に開口
部が形成された絶縁体層とを備えたイオンフロー静電記
録ヘッドにおいて、前記絶縁基板をセラミック材料、前
記誘電体層を酸窒化珪素材料によってそれぞれ形成した
ものである。
【0018】また、請求項2の発明は絶縁基板上に一方
向にかつ平行に延設された複数の第1電極と、この第1
電極と交差する方向に延設され、前記第1電極とともに
マトリックスを形成し、このマトリックスに対応する部
位に開口部が形成された複数の第2電極と、この第2電
極に対して前記第1電極とは反対側に配置され、前記マ
トリックスに対応する部位に開口部が形成された第3の
電極と、前記第1電極と第2電極との間に設けられた誘
電体層と、前記第2電極と第3電極との間に設けられ、
前記マトリックスに対応する部位に開口部が形成された
絶縁体層とを備えたイオンフロー静電記録ヘッドにおい
て、前記絶縁基板をセラミック材料によって形成すると
ともに、化学組成がSi34 の化学量論量よりもSi
元素を多く含み、N元素とSi元素との原子比が0.5
〜1.1の非晶質窒化珪素を主体とし、厚さが13μm
以下に設定された前記誘電体層を設けたものである。
【0019】
【作用】請求項1の発明ではセラミック材料製の絶縁基
板および第1電極上に酸窒化珪素材料製の誘電体層を使
用することにより、誘電体層の耐熱性を高め、熱膨張率
を低くし、かつ放電による熱酸化劣化を受けにくくして
初期の電気特性を長時間維持できるようにしたものであ
る。
【0020】また、請求項2の発明ではセラミック材料
製の絶縁基板を使用し、かつ化学組成がSi34 の化
学量論量よりもSi元素を多く含み、N元素とSi元素
との原子比が0.5〜1.1の非晶質窒化珪素を主体と
し、厚さが13μm以下に設定された誘電体層を使用す
ることにより、下地であるセラミック製絶縁基板や、第
1電極との熱膨張係数差や、膜応力にも耐え、良好な誘
電体層の膜耐久性を得るとともに、誘電体層の誘電率
や、絶縁耐圧を保持したまま、耐クラック性に優れた誘
電体層を形成できるようにしたものである。
【0021】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例について図1乃
至図2(E)を参照して説明する。図1は静電記録装置
のイオンフロー静電記録ヘッド11の概略構成を示すも
ので、12はイオンフロー静電記録ヘッド11の絶縁基
板である。この絶縁基板12としては平滑性及び耐熱性
に優れるセラミック基板、例えば厚さ1.1mmの表面
研磨アルミナ製基板が使用される。
【0022】また、絶縁基板12上にはイオン発生用の
誘導電極である複数の第1電極13…が設けられてい
る。これらの複数の第1電極13…は一方向に向けて略
平行に並設されている。ここで、第1電極13…は絶縁
基板12の表面に図2(A)に示すようにフォトレジス
トで第1電極13のパターンが作製されたのち、無電解
メッキによりニッケル−燐の第1電極13が厚さ1μm
に形成されている。
【0023】また、絶縁基板12および第1電極13…
上には酸窒化珪素材料によって形成された誘電体層14
が設けられている。この誘電体層14は次のように成形
される。
【0024】まず、絶縁基板12および第1電極13…
の上にシラザン系化合物を溶剤に溶解させたもの、例え
ば濃度50vol%のポリユリアシラザンのキシレン溶
液がディッピングで塗布される。続いて、70℃で溶剤
が乾燥された後、プログラム昇温で5℃/min.の昇
温速度で900℃迄昇温される。更に、900℃で10
分間保持された後、50℃/min.で室温まで徐冷さ
れて成膜される。その後、ディッピングから成膜までの
工程が再度繰り返され、図2(B)に示すように絶縁基
板12および第1電極13…の上に、厚さ8μmの誘電
体層14が形成される。
【0025】また、この誘電体層14の表面には図2
(C)に示すように放電電極である複数の第2電極15
…が一体化された電極板が強固に固着されている。ここ
で、第2電極15…は次のように成形される。
【0026】まず、誘電体層14の上に、スパッタリン
グでクロムが厚さ0.1μmに成膜され、続いて電解メ
ッキでニッケルが厚さ0.3μmに成膜された金属層が
形成される。その後、この金属層は第2電極15に対応
する所定の電極パターンにフォトエッチングされる。こ
のとき、金属層には第1電極13と第2電極15との間
のマトリックスと対応する部位にそれぞれイオン発生用
の開口部15a…が形成されている。また、この金属層
の表面には電解金メッキと、電解ロジウムメッキとが施
されて厚さ各約1.0μmの金属被覆層が被覆されて第
2電極15が形成される。
【0027】さらに、複数の第2電極15…は誘電体層
14における絶縁基板12とは反対側の面に配置され、
第1電極13…と交差する方向に並設されており、第1
電極13…と第2電極15…とによってマトリックスが
構成されている。そして、第2電極15…にはこのマト
リックスと対応する部位にそれぞれイオン発生用の開口
部15a…が形成されている。
【0028】また、誘電体層14における第2電極15
…の並設面側には第2電極15…を埋設する状態で絶縁
体層16が設けられている。この絶縁体層16は誘電体
層14の第2電極15側が絶縁体フィルムで真空ラミネ
ートされたのち、通常の感光性フィルムと同様に、露光
・現像等のフォトエッチング処理が施されて図2(D)
に示すように第2電極15…の各開口部15a…と対応
する部位に開口部16aが形成されるようになってい
る。
【0029】さらに、絶縁体層16の表面には帯状の第
3電極17が接着されている。この第3電極17には第
1電極13…と第2電極15…とのマトリックスと対応
する部位に予め開口部17a…が形成されている。そし
て、第3電極17は絶縁体層16の開口部16aと第3
電極17の開口部17aとが位置合わせさせた状態で絶
縁体層16上に重ね合わされて図1に示すイオンフロ−
静電記録ヘッド11が製造される。なお、絶縁体層16
と第3電極17との間は粘着剤や両面テープで貼り合わ
せる他、第3電極17上から片面テープで絶縁体層16
に貼り付けてもよい。そして、この第3電極17の開口
部17a…は絶縁体層16の開口部16a…および第2
電極15…の開口部15a…と連通されてイオンフロー
静電記録ヘッド11のイオン流通過口18…が形成され
ている。
【0030】そして、イオンフロー静電記録ヘッド11
の動作時には印字信号にもとづいて第1電極13…と第
2電極15…との間のマトリックスが適宜選択され、選
択されたマトリックス部分に対応する第1電極13…と
第2電極15…との間に交流電圧が印加される。
【0031】これにより、選択されたマトリックス部分
に対応する第2電極15…の開口部15a…内の近傍部
位に正・負イオンが発生する。このとき、第2電極15
…と第3電極17との間にはバイアス電圧が印加され、
その極性によって決まるイオンのみが第2電極15…の
開口部15a…内の近傍部位に発生したイオンから抽出
される。
【0032】そして、抽出されたイオンは絶縁体層16
の開口部16aおよび第3電極17の開口部17a…を
通過し、図示しない誘電体ドラムを局部的に帯電させ
る。したがって、第1電極13…および第2電極15…
の選択的駆動により、誘電体ドラム上にドット潜像を形
成することができる。
【0033】そこで、上記構成のイオンフロー静電記録
ヘッド11によれば次の効果を奏する。すなわち、イオ
ンフロー静電記録ヘッド11の誘電体層14の製造時に
絶縁基板12および第1電極13…の上に、濃度50v
ol%のポリユリアシラザンのキシレン溶液をディッピ
ングで塗布し、続いて70℃で溶剤を乾燥させることに
より、まず溶剤が揮発し、さらにプログラム昇温で5℃
/min.の昇温速度で900℃迄昇温させて高温で塗
布材料の加熱硬化を行うことにより、塗布材料が次第に
セラミック材料に変化し始め、塗布材料層内の酸化珪素
と窒化珪素との組成比が傾斜した酸窒化珪素の誘電体層
14が形成される。そのため、酸化珪素よりも高誘電率
で、緻密で凝集力の高いセラミック製の誘電体層14を
成形することができるので、耐熱性が高く、低熱膨張率
で、かつ放電による熱酸化劣化を受けにくくすることが
できる。
【0034】その結果、高分子樹脂中に高誘電率粉末を
分散させて誘電体層14を成形させた場合のように高電
圧印加状態という激しい使用環境下で、誘電体層14の
樹脂成分が短時間で熱酸化劣化し、ぼろぼろになり、初
期の電気特性を維持できなくなるおそれがないので、本
実施例のセラミック製の誘電体層14によればイオンフ
ロー静電記録ヘッド11の製造時に誘電体層14が高温
状態に加熱されたり、イオンフロー静電記録ヘッド11
の駆動時に第1電極13と第2電極15との間の高電圧
下での放電により、この放電部分の周辺部材、特に電極
13,15間に存在する誘電体層14が高温下で長時間
保持される場合でも誘電体層14が劣化せず、初期の電
気特性を長時間維持することができる。
【0035】さらに、誘電体層14は高温で連続膜にレ
ベリングされるので、形成された誘電体層14の表面に
は滑らかな平滑面を形成することができる。そのため、
第2電極15の接着性も良好なものとなり、第2電極1
4の接着層の精度も向上させることができる。
【0036】この結果、誘電体層14を挟んだ第1電極
13と第2電極15との間の放電は経時的に安定化する
ので、第2電極15の各開口部15a内で発生するイオ
ン量は均一となる。
【0037】また、従来のように破壊しやすい天然マイ
カを選別したり、接着したりする手間が不要になるの
で、天然マイカを使用する場合に比べて誘電体層14の
歩留まりが向上する。その上、特別高価なイオンフロー
静電記録ヘッド11の製造設備も不要となるので、マイ
カと同程度の高精細で、耐久性のあるイオンフロー静電
記録ヘッド11を安価に製造することができる。
【0038】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。本実施例は第1の実施例において、濃度50vo
l%のポリユリアシラザンのキシレン溶液をディッピン
グで第1電極上に塗布して誘電体層14を形成させる代
わりに、分子量約2000のペルヒドロポリシラザンを
20wt%溶解したキシレン溶液中にディッピングし
て、乾燥、硬化させて誘電体層14を成膜したものであ
る。なお、この誘電体層14の成膜工程を除いては、第
1の実施例と同様の製造方法でイオンフロー静電記録ヘ
ッド11が製作される。
【0039】また、ディッピング後の塗布材料の乾燥は
70℃で行なわれる。さらに、その後の塗布材料の高温
焼成はプログラム昇温で、5℃/min.の昇温速度で
500℃迄上げ、更に500℃で10分間保持した後、
50℃/min.で室温まで徐冷する一連の成膜工程
が、再度更に7回繰り返されて成膜され、厚さ8μmの
誘電体層14が形成される。
【0040】そこで、上記方法で製造されたイオンフロ
ー静電記録ヘッド11では次の効果を奏する。すなわ
ち、第1の実施例と同様に、誘電体層14が酸化珪素よ
りも高誘電率で、緻密で、凝集力の高いセラミック製で
あるため、耐熱性が高く、低熱膨張率で、かつ放電によ
る熱酸化劣化を受けにくく、初期の電気特性を長時間維
持することができる。
【0041】更に、形成された誘電体層14の表面は、
高温で低速昇温の為にレベリングし、平滑で接着性も良
好なものとなり、第2電極15の密着力も向上する。ま
た、破壊しやすい天然マイカを選別したり、接着したり
する手間がいらないので、誘電体層14の歩留まりが向
上し、特別高価な製造設備も不要である。この結果、誘
電体層14を挟んだ第1電極13と第2電極15との間
の放電は経時的に安定化するので、第2電極15の各開
口部15a内で発生するイオン量は均一となり、高精細
で耐久性のある安価なイオンフロー静電記録ヘッド11
が得られる。
【0042】また、本実施例では、第1の実施例よりも
かなり低温で誘電体層14を成膜できる為、加工工程で
の熱歪みが残留し難く、誘電体層14の破損が一層少な
くなる。そのため、誘電体層14の周囲の他の構成部品
の材料の制約も少なくなり、より安価な材料、製造工程
が採用できる。
【0043】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。本実施例ではイオンフロー静電記録ヘッド11の
絶縁基板12として厚さ1.1mmの表面グレーズドア
ルミナ製基板が使用される。さらに、この絶縁基板12
の表面にはフォトレジストで第1電極13のパターンが
作製され、無電解メッキによりニッケル−燐の第1電極
13が厚さ1μmに形成される。
【0044】また、絶縁基板12および第1電極13の
上には第1,第2の実施例のようなシラザン系化合物の
溶剤溶液を塗布・乾燥・加熱硬化して誘電体層14を形
成する代わりに、化学組成がSi34 の化学量論量よ
りもSi元素を多く含み、NとSiとの比(原子比N/
Si)が0.5〜1.1の非晶質窒化珪素を主体とする
セラミックを厚さ13μm以下に成膜して誘電体層14
が形成される。本実施例ではスパッタリングにより、厚
さ12μmの窒化珪素製の誘電体層14が形成される。
【0045】このスパッタリングはクライオポンプの排
気系を有するチャンバー内に純度99.999%の珪素
ターゲットを装着し、窒素を添加したアルゴンを導入し
た状態で、高周波放電によるスパッタリングが行なわれ
る。
【0046】ここで、誘電体層14の成膜条件は電力4
30W、ガス圧10mTorr、基板加熱温度400℃
とし、導入ガスの窒素とアルゴンの流量比N2 /Ar
(cc/sec.)を変えて組成比N/Siの非晶質窒
化珪素の薄膜がアルミナ製の絶縁基板12上に形成され
る。
【0047】また、誘電体層14の成膜時に導入するガ
スの流量比N2 /Arが0.06以上に設定されている
場合には組成比のN/Si比は0.5〜1.1の薄膜と
なる。このN/Si比は小さくなるほど、膜ストレス
(圧縮力)も軽減される。
【0048】なお、誘電体層14の膜の硬さや、電気特
性はN/Siの比に依らず、殆ど変化しない。従って、
流量比N2 /Arが0.14で成膜し、N/Siが約1
の誘電体層14が得られる。
【0049】この上に、スパッタリングでクロムを0.
1μm、続いて電解メッキでニッケルを0.3μm成膜
し、この金属層を所定のパターンにフォトエッチング
し、更にこの金属層表面を電解金メッキと電解ロジウム
メッキで厚さ各約1.0μm被覆して、第2電極15を
形成する。なお、この第2電極15の成形工程の後の工
程は、第1の実施例と同様の製造方法でイオンフロー静
電記録ヘッド11が製作される。
【0050】そこで、上記方法で製造されたイオンフロ
ー静電記録ヘッド11では次の効果を奏する。すなわ
ち、化学組成がSi34 の化学量論量よりもSi元素
を多く含み、N/Si比(原子比)が0.5〜1.1の
非晶質窒化珪素を主体とするセラミックの誘電体層14
をスパッタリングにより、厚さ12μm以下に成膜した
ので、下地であるセラミック製の絶縁基板12や第1電
極13との熱膨張係数差や膜応力にも耐え、良好な膜耐
久性が得られる。
【0051】また、本実施例の上記非晶質窒化珪素を主
体とするセラミックの誘電体層14は硬さや電気特性的
には殆ど化学量論的な窒化珪素と差がないので、誘電率
や絶縁耐圧を保持したまま、耐クラック性に優れた誘電
体層14が形成できる。
【0052】なお、本実施例でも誘電体層14は緻密で
凝集力の高いセラミック製であるため、耐熱性が高く、
低熱膨張率で、かつ耐クラック性に優れ、さらに放電に
よる熱酸化劣化を受けにくく、初期の電気特性を長時間
維持することができる。
【0053】さらに、形成された誘電体層14の表面
は、平滑で接着性も良好なものとなり、第2電極15の
密着力も向上する。また、破壊しやすい天然マイカを選
別したり、接着したりする手間がいらないので、誘電体
層14の歩留まりが向上し、特別高価な製造設備も不要
である。この結果、誘電体層14を挟んだ第1電極13
と第2電極15との間の放電は経時的に安定化するの
で、第2電極15の各開口部15a内で発生するイオン
量は均一となり、高精細で耐久性のある安価なイオンフ
ロー静電記録ヘッド11が得られる。
【0054】また、本実施例では第2の実施例と同様に
かなり低温で誘電体層14を成膜できる為、加工工程で
の熱歪みが残留し難く、誘電体層14の破損が少なくな
る。そのため、誘電体層14の周囲の他の構成部品の材
料の制約も少なくなり、より安価な材料、製造工程が採
用できる。
【0055】さらに、本実施例では有機溶剤を使用する
こと無く、チャンバー内で無人で誘電体層14を成膜で
きるので、安全で低コストの加工が可能である。なお、
RFスパッタリング法を用いずに、ECRプラズマCV
D法や、N2 ガスを併用したNH3 ガスとSiH4 ガス
からのプラズマCVD法等を用いることにより、更に低
温下で、緻密な誘電体層14を成膜できるため、イオン
フロー静電記録ヘッド11の製造工程における耐クラッ
ク性はより向上し、より大きな長いイオンフロー静電記
録ヘッド11が作製できる。
【0056】また、非晶質窒化珪素を主体とするセラミ
ックの誘電体層14の膜厚が13μmを超えると、絶縁
基板12や第1電極13との膜応力と熱膨張係数差とか
ら、急激に絶縁基板12にクラックが生じ易くなり、断
線や絶縁破壊等の不具合を引き起こすおそれがあるの
で、非晶質窒化珪素を主体とするセラミックの誘電体層
14の膜厚は13μm以下に成膜することが好ましい。
【0057】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、誘電体層14の酸窒化珪素の成膜
方法としてはポリユリアシラザンや、パーヒドロポリシ
ラザン等のシラザン化合物を、必要に応じて硬化剤を添
加したり、トルエンや、キシレン等の炭化水素系溶剤、
或いはジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒ
ドロフラン等の溶剤に適当な濃度で溶解させて粘度調製
した溶液を、スピンコート、ディッピング、スプレー等
の手法で塗布し、溶剤を乾燥後、加熱硬化させて行なう
ようにしてもよい。
【0058】また、誘電体層14は通常は大気中で加熱
硬化させるが、加熱の際の窒素やアルゴン等の雰囲気ガ
スの割合と膜厚によっては、酸化珪素よりも誘電率が高
い窒化珪素が多く含まれる酸窒化珪素になる。さらに、
誘電体層14の膜中の酸化珪素と窒化珪素の分布は、一
般に、自由表面に近い程SiO2 が多く、反対に自由表
面から中へ潜る程Si34 が多くなる。
【0059】また、化学組成がSi34 の化学量論量
よりもSi元素を多く含み、N/Si比(原子比)が
0.5〜1.1の非晶質窒化珪素を主体とするセラミッ
クを成膜するにはスパッタリングや、プラズマCVD
や、ECRプラズマCVDや、マグネトロン・スパッタ
や、イオン・クラスタ・デポジションや、光CVDや、
反応性蒸着等により、雰囲気ガスの流量比を制御して行
い、誘電体層14の厚さを13μm以下に形成するよう
にしてもよい。
【0060】さらに、その他本発明の要旨を逸脱しない
範囲で種々変形実施できることは勿論である。次に、本
発明の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
【0061】記 (付記項1) 絶縁基板上に同方向に略直線状に延設さ
れ、略平行に並設された複数の第1電極と、これらの第
1電極の延設方向と異なる方向に延設され、前記第1電
極とともにマトリクスを構成し、かつこのマトリクスと
対応する部位に開口部が形成された複数の第2電極と、
前記第2電極に対応して前記第1電極とは反対側に配置
され、前記マトリクスと対応する部位に開口部が形成さ
れた第3電極と、前記第1電極と第2電極との間に配設
された誘電体層と、前記第2電極と第3電極との間に配
設された絶縁体とを有し、前記絶縁体における前記マト
リクスと対応する部位に開口部が形成された、イオンフ
ロー静電記録ヘッドにおいて、用いる前記絶縁基板がセ
ラミック基板であり、この表面に形成した前記第1電極
上に配する前記誘電体層が、酸窒化珪素であることを特
徴とするイオンフロー静電記録ヘッド。
【0062】(付記項2) 絶縁基板上に同方向に略直
線状に延設され、略平行に並設された複数の第1電極
と、これらの第1電極の延設方向と異なる方向に延設さ
れ、前記第1電極とともにマトリクスを構成し、かつこ
のマトリクスと対応する部位に開口部が形成された複数
の第2電極と、前記第2電極に対応して前記第1電極と
は反対側に配置され、前記マトリクスと対応する部位に
開口部が形成された第3電極と、前記第1電極と第2電
極との間に配設された誘電体層と、前記第2電極と第3
電極との間に配設された絶縁体とを有し、前記絶縁体に
おける前記マトリクスと対応する部位に開口部が形成さ
れた、イオンフロー静電記録ヘッドにおいて、用いる前
記絶縁基板がセラミック基板であり、この表面に形成し
た前記第1電極上に配する前記誘電体層が、化学組成が
Si34 の化学量論量よりもSi元素を多く含み、N
とSiとの原子比が0.5〜1.1の非晶質窒化珪素を
主体とし、厚さが13μm以下である誘電体層であるこ
とを特徴とするイオンフロー静電記録ヘッド。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば誘電体層がセラミック製
であるため、高耐熱性・低熱膨張率でかつ放電による熱
酸化劣化を受けにくく、初期の電気特性を長時間維持す
ることができる。更に、誘電体層の表面は緻密で、平滑
で、接着性も良好なものとなり、第2電極の接着層の精
度も向上する。この結果、第1電極と第2電極との間の
放電は経時的に安定化し、第2電極の各開口部内で発生
するイオン量は均一となるので、高精細で、耐久性のあ
る安価なイオンフロー静電記録ヘッド本体を製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例のイオンフロ−静電記
録ヘッドの概略構成を示す要部の縦断面図。
【図2】 本発明の第1の実施例のイオンフロ−静電記
録ヘッドの製造工程を示すもので、(A)は絶縁基板上
に第1電極が形成された状態を示す要部の縦断面図、
(B)は第1電極上に誘電体層が形成された状態を示す
要部の縦断面図、(C)は誘電体層の上に第2電極が形
成された状態を示す要部の縦断面図、(D)は絶縁体層
に開口部が形成された状態を示す要部の縦断面図。
【図3】 (A)はイオンフロ−静電記録ヘッドの概略
構成を示す要部の縦断面図、(B)はイオンフロ−静電
記録ヘッドの断面斜視図。
【符号の説明】
12…絶縁基板、13…第1電極、14…誘電体層、1
5…第2電極、16…絶縁体層、17…第3電極。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に一方向にかつ平行に延設さ
    れた複数の第1電極と、この第1電極と交差する方向に
    延設され、前記第1電極とともにマトリックスを形成
    し、このマトリックスに対応する部位に開口部が形成さ
    れた複数の第2電極と、この第2電極に対して前記第1
    電極とは反対側に配置され、前記マトリックスに対応す
    る部位に開口部が形成された第3の電極と、前記第1電
    極と第2電極との間に設けられた誘電体層と、前記第2
    電極と第3電極との間に設けられ、前記マトリックスに
    対応する部位に開口部が形成された絶縁体層とを備えた
    イオンフロー静電記録ヘッドにおいて、前記絶縁基板を
    セラミック材料、前記誘電体層を酸窒化珪素材料によっ
    てそれぞれ形成したことを特徴とするイオンフロー静電
    記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 絶縁基板上に一方向にかつ平行に延設さ
    れた複数の第1電極と、この第1電極と交差する方向に
    延設され、前記第1電極とともにマトリックスを形成
    し、このマトリックスに対応する部位に開口部が形成さ
    れた複数の第2電極と、この第2電極に対して前記第1
    電極とは反対側に配置され、前記マトリックスに対応す
    る部位に開口部が形成された第3の電極と、前記第1電
    極と第2電極との間に設けられた誘電体層と、前記第2
    電極と第3電極との間に設けられ、前記マトリックスに
    対応する部位に開口部が形成された絶縁体層とを備えた
    イオンフロー静電記録ヘッドにおいて、前記絶縁基板を
    セラミック材料によって形成するとともに、化学組成が
    Si34 の化学量論量よりもSi元素を多く含み、N
    元素とSi元素との原子比が0.5〜1.1の非晶質窒
    化珪素を主体とし、厚さが13μm以下に設定された前
    記誘電体層を設けたことを特徴とするイオンフロー静電
    記録ヘッド。
JP9644594A 1994-05-10 1994-05-10 イオンフロー静電記録ヘッド Withdrawn JPH07304207A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9644594A JPH07304207A (ja) 1994-05-10 1994-05-10 イオンフロー静電記録ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9644594A JPH07304207A (ja) 1994-05-10 1994-05-10 イオンフロー静電記録ヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07304207A true JPH07304207A (ja) 1995-11-21

Family

ID=14165225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9644594A Withdrawn JPH07304207A (ja) 1994-05-10 1994-05-10 イオンフロー静電記録ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07304207A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0646629B2 (ja) リフトオフ処理方法
JPH07304207A (ja) イオンフロー静電記録ヘッド
CN104321892B (zh) 具有质量偏置装置的集成压电谐振器
JP2001135872A (ja) 積層型圧電素子
JPH11209864A (ja) コロナ放電処理用セラミックロール及びその製造方法
US11673161B2 (en) Methods of manufacturing electrostatic chucks
JPH08258325A (ja) イオンフロー静電記録ヘッド及びその製造方法
KR920008402B1 (ko) 감열기록 소자의 제조방법
JPS60117684A (ja) 非晶質シリコン太陽電池の製造方法
JP2000158689A (ja) サーマルヘッド
JPH10286989A (ja) イオンフロー静電記録ヘッドの製造方法
JPH0969207A (ja) 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法
JPH0311738A (ja) 薄膜導体パターンの形成方法
JP3931614B2 (ja) 樹脂塗膜形成方法
CN115662715A (zh) 一种高功率高阻值精度的贴片电阻
JPH03152953A (ja) 静電チヤツク
JPH0343988A (ja) 薄型高温ヒータの製造方法
JPH10151790A (ja) イオンフロー静電記録ヘッドの製造方法
JP2565362B2 (ja) 多層配線基板の製造方法
US20090102881A1 (en) Surface Metallization Of Metal Oxide Pre-Ceramic
JPH10129031A (ja) イオンフロー静電記録ヘッドの製造方法
JPH07186424A (ja) サーマルヘッドの製造方法
JPH0613370A (ja) 半導体装置の製造方法
JPS62204966A (ja) 発熱抵抗素子の作成方法
JPH06125152A (ja) 窒化アルミニウム回路基板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010731