JPH07303821A - 廃液処理方法及び廃液処理装置 - Google Patents
廃液処理方法及び廃液処理装置Info
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- JPH07303821A JPH07303821A JP6099757A JP9975794A JPH07303821A JP H07303821 A JPH07303821 A JP H07303821A JP 6099757 A JP6099757 A JP 6099757A JP 9975794 A JP9975794 A JP 9975794A JP H07303821 A JPH07303821 A JP H07303821A
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Abstract
を行うことにより、廃液中の硝酸イオン・アンモニウム
イオンを十分に除去し、高純度かつ高濃度の硝酸・アン
モニウムを高い回収率で回収することができる廃液処理
方法及び廃液処理装置を提供する。 【構成】廃液は加熱部5で加熱された後蒸発部2に流入
し、水分が疎水性膜内を蒸気となって移動し冷却水で凝
縮されることにより濃縮される。濃縮廃液は冷却部32
で冷却された後電解透析部1に送られ各透析室1A〜1
Cの脱塩室9に供給される。陽極30及び陰極31に電
圧が印加され、廃液のNO3 -,NH4 +がアニオン交換膜
11,カチオン交換膜13を介し陽極室10又は陰極室
12へ移行する。陽極室10には硝酸回収系18からの
硝酸が導かれNO3 -を吸収した後に硝酸液槽34に戻り
循環する。陰極室12にはアンモニア回収系19からの
アンモニア水が導かれNH4 +を吸収した後にアンモニア
水槽20に戻り循環する。
Description
有する産業廃液から硝酸とアンモニアガスとを回収する
廃液処理方法及び廃液処理装置に関する。
放流規制がなく、したがってそのまま放流しても差し支
えがなかった。ところが近年、排水に含まれる窒素成分
による内陸湖沼・閉鎖系湾岸等の冨栄養化の問題に対処
するために、アンモニウムイオン、硝酸イオン等の窒素
含有イオン濃度に規制値を設ける動きが本格化してき
た。そこで、硝酸アンモニウム含有廃液についても窒素
成分を除去する(以下適宜脱窒素という)べく、廃液処
理技術の見直しをする必要が生じている。
技術としては、(1)窒素成分の処理だけを行うもの
と、(2)処理に伴って分離される成分の精製・回収ま
で行うもの、の2通りがある。 (1)窒素成分の処理だけを行うもの この処理方法の例としては、例えば電気透析法がある。
この方法は、電圧を印加する陽極と陰極との間に複数の
カチオン交換膜とアニオン交換膜とを設けるものであ
る。すなわち、陽極・カチオン交換膜・アニオン交換膜
・カチオン交換膜・……・アニオン交換膜・カチオン交
換膜・アニオン交換膜・陰極の順に配列する多室構成と
し、アニオン交換膜とカチオン交換膜との間に1室おき
に廃液を分流して供給するとともに陽極・陰極に電圧を
印加する。このときカチオン交換膜はカチオン(陽イオ
ン)のみが透過でき、アニオン交換膜はアニオン(陰イ
オン)のみが透過できるので、廃液が供給されない室に
は、片側のアニオン交換膜を介し陰イオンが流入してく
る一方、反対側のカチオン交換膜を介し陽イオンが流入
してこれらが混合される。すなわち廃液が脱塩されると
ともに、廃液中に含まれる成分のうちこの陽イオン・陰
イオン成分のみが濃縮され、濃厚な塩が生成される。
としては、例えば以下のものがある。 特開平5−200388号公報(図4) この公知技術は、アンモニア水を含む廃液を、電気透析
法でpH調整を行った後に膜蒸留装置に供給することに
より、酸・アルカリ水溶液を特に準備することなくpH
を調整してアンモニアの揮発を防止するものである。
2) この公知技術は、電気透析法で脱塩された希釈液の一部
を蒸留することにより、希釈液の高純度化・大容量化を
図るものである。
のように比較的低濃度(数十ppm程度)の窒素成分が
含まれる廃液に対し行われる処理方法として、微生物に
よる硝化脱窒素処理法・アンモニアストリッピング法・
ゼオライト吸着法・逆浸透圧法等がある。
この方法は、電気透析法と同様、陽極と陰極との間にカ
チオン交換膜とアニオン交換膜とを設けるものである
が、カチオン交換膜・アニオン交換膜を1枚ずつ設ける
ものである。すなわち、陽極・アニオン交換膜・カチオ
ン交換膜・陰極の順に配列する3室構成とし、中央にあ
たるカチオン交換膜とアニオン交換膜との間に電解質を
含む廃液を供給するとともに陽極・陰極に電圧を印加す
るものである。廃液中の陽イオンはカチオン交換膜を透
過してカチオン交換膜と陰極との間の陰極室に流入し、
また陰イオンはアニオン交換膜を透過してアニオン交換
膜と陽極との間の陽極室に流入する。すなわち廃液が脱
塩されるとともに、陽イオン・陰イオンのそれぞれが廃
液から分離される。そして一般にこのように分離された
陰イオン・陽イオンを精製して酸・アルカリを得られる
ことが多く、結果として廃液から酸とアルカリとを個別
に回収できる。
としては、例えば以下のものがある。 特開平3−265513号公報 この公知技術は、アンモニア塩とアンモニアを含有する
廃液を電解透析装置の陽極室に供給する一方、陰極室に
リン酸二水素アンモニウムを供給することにより、陽極
室から陰極室に移動するNH4 +でリン酸二水素アンモニ
ウムをリン酸水素二アンモニウムに転換後、これを蒸留
塔で蒸留してアンモニア水を回収するものである。
来技術を硝酸アンモニウム含有廃液の処理に適用した場
合には、以下の課題が存在する。
により廃液の処理を行う場合、脱塩が進むに従って廃液
中の電解質濃度(すなわちNO3 -,NH4 +濃度)が低下
していくことになる。これに伴い、(a)濃度が低下する
ほど抵抗が高くなるので、一定の電流を流すためには電
圧を大きくしなければならずランニングコストが高くな
る、よって脱塩効率を向上するのが困難であるという課
題がある。この意味で、原液濃度を下げることなく供給
できてこのような課題を生じていない。現在工業的に実
用化されている海水の電気透析による食塩製造方法や、
硫酸・苛性ソ-ダの各廃液から電解透析により高純度の
硫酸・苛性ソ-ダを得る方法(火力原子力発電 Vol.
30 No4 1979 "電解透析法による放射性廃棄物
容化装置の開発"に記載)とは異なる。
存しており、すなわち電解質濃度が低下すると硝酸イオ
ンNO3 -とアンモニウムイオンNH4 +の移動に伴ってイ
オンの水和水も同時に移動すること、及び、濃度拡散現
象によって濃縮側から脱塩側に逆方向のイオン移動が生
じることにより、ついには濃縮液の濃縮限界を生じ、見
かけ上それ以上の脱塩ができなくなる。よって廃液中の
硝酸イオンNO3 -・アンモニウムイオンNH4 +を十分に
除去することが困難となる。このことは、最終的に分離
成分を精製して回収する電気透析法においては、結果と
して、高純度・高濃度かつ高い回収率で硝酸・アンモニ
アガスを回収するのが困難となるという課題があった。
、及び電解透析による公知技術を硝酸アンモニウム
含有廃液の処理方法に適用した場合には、廃液中の電解
質濃度の低下に配慮されていないことから、上記したよ
うな(a)電圧増加と低効率、(b)十分なイオン除去が困
難、という課題が生じる。また、公知技術はいずれ
も窒素成分の処理のみを行う電気透析によるものであ
り、硝酸アンモニウム含有廃液を脱窒素処理した場合に
は、廃液が脱塩される一方で濃縮された硝酸アンモニウ
ムNH4NO3が生じる。しかしこの硝酸アンモニウムは
爆発性の化合物であるのでこの形態で放置・貯蔵するの
は好ましくない。また硝酸イオンNO3 -及びアンモニウ
ムイオンNH4 +はそれぞれ、もともとは酸である硝酸H
NO3及びアルカリであるアンモニアNH3から生じたも
のであるので、廃液の再利用の観点からも、脱窒素処理
のみならずこれらのイオンを分離・精製し硝酸・アンモ
ニア水として回収することが望ましい。
下させず効率良く脱塩を行うことにより、廃液中の硝酸
イオン・アンモニウムイオンを十分に除去し、高純度か
つ高濃度の硝酸・アンモニウムを高い回収率で回収する
ことができる廃液処理方法及び廃液処理装置を提供する
ことである。
に、本発明によれば、硝酸アンモニウムを含有する廃液
から硝酸イオンとアンモニウムイオンとを分離し、この
分離された硝酸イオンを含む溶液及びアンモニウムイオ
ンを含む溶液をそれぞれ精製して硝酸とアンモニアとを
回収する廃液処理方法において、前記硝酸アンモニウム
を含有する廃液を濃縮する第1の工程と、その濃縮され
た廃液を電解透析して硝酸イオンとアンモニウムイオン
とを分離し脱塩を行う第2の工程とを有し、その脱塩さ
れた廃液を再び前記濃縮手段へ導き循環させることによ
り前記第1の工程及び前記第2の工程を繰り返すことを
特徴とする廃液処理方法が提供される。
前記第1の工程は、多孔質疎水性膜を介し片側に高温の
前記廃液を流通させるとともに反対側に冷却水を流通さ
せ、前記廃液から生じた蒸気を前記冷却水で分離して回
収する工程であることを特徴とする廃液処理方法が提供
される。
よれば、電圧が印加される陽極及び陰極と、これら陽極
と陰極との間に配置されたカチオン交換膜、アニオン交
換膜、及び脱塩室とを備え、硝酸アンモニウムを含有す
る廃液が前記脱塩室に供給されるとともに前記陽極及び
陰極に電圧が印加されることにより、前記廃液から硝酸
イオン及びアンモニウムイオンがそれぞれ個別に分離さ
れ脱塩が行われる電解透析手段と、前記分離された硝酸
イオンを含む溶液を精製して硝酸を回収する硝酸回収手
段と、前記分離されたアンモニウムイオンを含む溶液を
精製してアンモニアを回収するアンモニア回収手段とを
有する廃液処理装置において、前記電解透析手段の上流
側に設けられ前記電解透析手段に供給される前記廃液を
あらかじめ濃縮する濃縮手段と、前記濃縮手段で濃縮さ
れた廃液を前記電解透析手段に導く第1の配管と、前記
電解透析手段で脱塩された廃液を前記濃縮手段に導く第
2の配管と、を有することを特徴とする廃液処理装置が
提供される。
前記アニオン交換膜は、一価選択性を備えていることを
特徴とする廃液処理装置が提供される。
て、前記濃縮手段は、多孔質疎水性膜を備えており、そ
の多孔質疎水性膜を介し片側に高温の前記廃液を流通さ
せ反対側に冷却水を流通させて前記廃液から生じた蒸気
を前記冷却水で凝縮して回収する膜蒸発手段であること
を特徴とする廃液処理装置が提供される。
は、ポリテトラフルオルエチレン膜であることを特徴と
する廃液処理装置が提供される。
て、前記膜蒸発手段の上流側に設けられその膜蒸発手段
に供給される廃液をあらかじめ加熱する加熱手段と、前
記膜蒸発手段の下流側に設けられその膜蒸発手段で濃縮
された廃液を冷却する冷却手段とを有することを特徴と
する廃液処理装置が提供される。
いて、前記濃縮手段は、前記廃液を加熱して蒸発させ、
その蒸気を凝縮して回収することにより前記廃液を濃縮
する加熱蒸発手段であることを特徴とする廃液処理装置
が提供される。
て、前記第2の配管に設けられ、前記電解透析手段で脱
塩された廃液のpH調整を行うpH調整手段と、前記第
2の配管の前記pH調整手段の下流側に設けられ前記廃
液中の不純物を分離するろ過手段とを有することを特徴
とする廃液処理装置が提供される。
いて、前記第2の配管に設けられ、前記電解透析手段で
脱塩された廃液中に含まれる不純物イオンの濃度が制限
値を越えた場合、その不純物を含む廃液の一部を前記第
2の配管から取り出して排出する排出手段を有すること
を特徴とする廃液処理装置が提供される。
て、前記不純物イオンは、カルシウムイオン、マグネシ
ウムイオン、鉄イオン、及びニッケルイオンのうち少な
くとも1つであることを特徴とする廃液処理装置が提供
される。
いて、前記アンモニア回収手段は、前記アンモニウムイ
オンを含む溶液に不活性ガス及びH2ガスの少なくとも
一方を注入する注入手段を有することを特徴とする廃液
処理装置が提供される。
の工程で硝酸アンモニウムを含有する廃液を濃縮した後
に、第2の工程でその濃縮された廃液を電解透析を行う
ことにより、従来に比し陽極・陰極に印加する電圧を小
さくすることができ、脱塩効率を向上することができ
る。またその脱塩された廃液を再び濃縮手段へ導き循環
させ第1の工程及び第2の工程を繰り返すことにより、
廃液濃度を低下させずに何度も脱塩することができる。
よって従来のようにイオン水和水・濃度拡散現象による
脱塩限界が生じず、常に一定の高い効率で脱塩を行え
る。よって最終的に第1の工程における濃縮量と第2の
工程における脱塩量がほぼ等しくなって廃液中の硝酸イ
オンNO3 -・アンモニウムイオンNH4 +をほぼ全量除去
することができ、この結果高純度・高濃度の硝酸・アン
モニアを高い回収率で同時に回収することができる。
膜を介し片側に高温の廃液を流通させるとともに反対側
に冷却水を流通させ、廃液から生じた蒸気を冷却水で分
離して回収することにより、廃液中の水分を回収し高純
度水を得ることができる。
上流側に設けられた濃縮手段で電解透析手段に供給され
る廃液をあらかじめ濃縮し、その濃縮廃液を第1の配管
で電解透析手段に導き、電解透析手段で脱塩された廃液
を第2の配管で再び濃縮手段に導くことにより、濃縮と
脱塩とを繰り返す廃液循環系を実現することができる。
ていることにより、廃液中に含まれている可能性のある
硫酸イオンが、硝酸イオンとともに廃液から分離される
のを防止できる。さらに、濃縮手段は、多孔質疎水性膜
を介し片側に高温の廃液を反対側に冷却水を流通させて
廃液から生じた蒸気を冷却水で凝縮して回収する膜蒸発
手段であることにより、電解透析手段に供給される廃液
をあらかじめ濃縮する手段を実現できる。また、多孔質
疎水性膜は、ポリテトラフルオルエチレン膜であること
により、廃液から生じた蒸気を冷却水で凝縮して回収す
る膜蒸発手段を実現できる。さらに、膜蒸発手段の上流
側に設けられた加熱手段で膜蒸発手段に供給される廃液
をあらかじめ加熱することにより、廃液を高温にして膜
蒸発手段内での蒸発をより促進することができ、また膜
蒸発手段の下流側に設けられた冷却手段で膜蒸発手段で
濃縮された廃液を所定温度まで冷却することにより、高
温に弱いカチオン・アニオン交換膜の破損を防止でき
る。また、濃縮手段は、廃液を加熱した蒸気を凝縮・回
収し廃液を濃縮する加熱蒸発手段であることにより、電
解透析手段に供給される廃液をあらかじめ濃縮する手段
を実現できる。さらに、第2の配管に設けられたpH調
整手段によって電解透析手段で脱塩された廃液のpH調
整を行うことにより、その廃液中に含まれる不純物イオ
ンを水酸化物に変化させせることができ、そしてこの廃
液中に浮遊・沈澱している水酸化物を、第2の配管のp
H調整手段の下流側に設けられたろ過手段で分離するこ
とができ、また回収するアンモニア・硝酸の純度をさら
に向上することができる。また、電解透析手段で脱塩さ
れた廃液中に含まれる不純物イオンの濃度が制限値を越
えた場合、第2の配管に設けられた排出手段で廃液の一
部を取り出して排出することにより、廃液中の不純物の
蓄積を防止でき、また回収するアンモニア・硝酸の純度
をさらに向上することができる。さらに、不純物イオン
は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオ
ン、及びニッケルイオンのうち少なくとも1つであるこ
とにより、原液に混入し又は配管等から析出する金属イ
オンを不純物として分離・排出する。また、アンモニア
回収手段に備えられた注入手段で、不活性ガス及びH2
ガスの少なくとも一方をアンモニウムイオンを含む溶液
に注入することにより、カルシウムイオン、マグネシウ
ムイオン、ナトリウムイオン等も含みうるこの溶液から
アンモニアガスのみを放散させて回収することができ
る。
説明する。本実施例による廃液処理方法を実施する廃液
処理装置の全体構成を図1に示す。
酸アンモニウムNH4NO3を含有する廃液から硝酸イオ
ンNO3 -及びアンモニウムイオンNH4 +がそれぞれ個別
に分離され脱塩が行われる電解透析部1と、電解透析部
1の上流側に設けられ電解透析部1に供給される廃液を
あらかじめ濃縮する蒸発部2と、蒸発部2で濃縮された
廃液を電解透析部1に導く配管40と、電解透析部1で
脱塩された廃液を蒸発部2に導く配管50と、分離され
た硝酸イオンを含む溶液を精製して硝酸HNO3を回収
する硝酸回収系18と、分離されたアンモニウムイオン
を含む溶液を精製してアンモニアガスNH3を回収する
アンモニア回収系19とを有する。
2において、電解透析部1は、3つの透析室1A,1B,
1Cから構成されており、それぞれの透析室1A〜1C
が、両側に対向して配置された陽極30及び陰極31
と、陽極30と陰極31との間に配置されたカチオン交
換膜13及びアニオン交換膜11とを備えている。この
とき陽極30側にはアニオン交換膜11が、陰極31側
にカチオン交換膜13が配置されており、これらによっ
て、各透析室1A〜1Cは陽極室10と脱塩室9と陰極
室12とに区分されている。またアニオン交換膜11は
一価選択性を有しており、これによって廃液中に含まれ
ている可能性のある硫酸イオンSO4 2-が硝酸イオンN
O3 -とともに廃液から分離されるのを防止することがで
きる。各透析室1A〜1Cの陽極室10は硝酸液槽34
を備えた硝酸回収系18に接続されており、また各透析
室1A〜1Cの陰極室12はアンモニア水槽20を備え
たアンモニア回収系19に接続されている。
おいて、蒸発部2はフィルタ27を備えており、このフ
ィルタ27には例えばPTFE(ポリテトラフルオロエ
チレン)材等、ミクロンオーダの多数の細孔を有する円
管状の多孔質疎水性膜が多数本装填されている。このフ
ィルタ27には、冷却水槽15と冷却器16とを備えた
循環系統である冷却系17からの冷却水が導かれてお
り、膜の内部を廃液が流通し膜の外部をこの冷却水が流
通するようになっている。また蒸発部2の上流側の配管
50には加熱部5が設けられており、下流側の配管40
には冷却部32が設けられている。
部1で脱塩された廃液のpH調整を行う図示しないpH
調整手段と、そのpH調整手段の下流側で廃液中に沈澱
・浮遊する不純物を分離するろ過部33と、さらにその
ろ過部33の下流側において廃液が貯蔵される廃液貯槽
4とが設けられている。またこの廃液貯槽4には不純物
イオンを含む廃液の一部を配管50から取り出して排出
する排出系22が設けられている。
硝酸アンモニウムを含む廃液は、外部から廃液槽4に供
給されて一旦貯蔵される。そして廃液槽4から配管50
に取り入れられた廃液は加熱部5で所定の温度に加熱さ
れた後、蒸発部2の上流側の水室29Uに入ってフィル
タ27の円管状の多孔質疎水性膜に分配されて流入する
(図3参照)。このときフィルタ27では膜を介し片側
に高温の廃液が流通し反対側に冷却系17からの冷却水
が流通することとなる。廃液の水分はこの膜内を蒸気と
なって冷却水側に移動し、冷却水で直ちに凝縮されて高
純度水となり冷却水の増分として冷却系17に回収され
る。これによって廃液は濃縮されるが、この濃縮の程度
は、電解透析部1での脱塩性能に応じ、膜面積と原液温
度とを変化させることにより調整される。一方、濃縮さ
れた廃液は、下流側の水室29Lで再び集められて合流
し冷却部32で所定温度まで冷却された後電解透析部1
に送られる。
部1の各透析室1A〜1Cの脱塩室9に供給される(図
2参照)。このとき各透析室1A〜1Cにおいて、陽極
30及び陰極31に電圧が印加され、廃液に含まれるN
O3 -がアニオン交換膜11を介し陽極室10へ移行し、
またNH4 +がカチオン交換膜13を介し陰極室12へ移
行する。なおこの電解透析においては溶液の電気抵抗に
よりジュール熱が発生するが、この熱は配管50を介し
蒸発部2における蒸発熱として利用され、これによって
熱の有効利用を図ることができる。またこのとき、硝酸
回収系18からの硝酸が各透析室1A〜1Cの陽極室1
0に分流して導かれており、各陽極室10に移行してき
たNO3 -を吸収した後に再び合流し硝酸液槽34に戻っ
て循環する。電解透析部1で脱塩が行われる間この硝酸
回収系18を循環させることにより硝酸の精製が行わ
れ、硝酸液槽34から適時高濃度・高純度の硝酸HNO
3を得ることができる。また同様に、アンモニア回収系
19からのアンモニア水が各透析室1A〜1Cの陰極室
12に分流して導かれており、各陰極室12に移行して
きたNH4 +を吸収した後に再び合流しアンモニア水槽2
0に戻って循環する。電解透析部1で脱塩が行われる間
このアンモニア回収系19を循環させることによりアン
モニア水の精製が行われる。ここでアンモニア水槽20
には、アンモニア回収系19を循環するアンモニア水中
に不活性ガス又はH2ガスを注入する不活性ガス注入系
21が備えられている。前述したように、カチオン交換
膜13はイオンの価数による選択性を備えていないの
で、廃液中からアンモニウムイオンNH4 +のほかカルシ
ウムイオンCa2+、マグネシウムイオンMg2+、ナトリ
ウムイオンNa+等がカチオン交換膜13を介してこの
アンモニア水中に移行し混入され得るが、不活性ガス又
はH2ガスを注入することにより、アンモニア水槽20
でアンモニアガスNH3のみを放散させ、適時高濃度・
高純度のアンモニアガスNH3を回収することができ
る。
の脱塩室9においてNO3 -とNH4 +とが除かれ脱塩され
た廃液は、再び合流し配管50に導かれる。このとき図
示しないpH調整手段によって随時この廃液のpHが調
整され、これによってこの廃液中に含まれる不純物イオ
ン、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄
イオン、ニッケルイオン等を水酸化物(固体)に変化さ
せて廃液中を沈澱・浮遊させ、ろ過部33においてこれ
ら沈澱・浮遊した不純物を分離して取り除く(図1参
照)。さらに、このようなろ過部33による不純物の分
離作用に加えて、廃液中に含まれるこれら不純物イオン
の濃度が制限値を越えた場合には、廃液槽4に設けられ
た排出系22によって廃液の一部をブローダウンし廃液
中の不純物の蓄積を防止する。これらによって、配管等
から析出し又は廃液にもともと混入していたカルシウム
イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオ
ン等を分離・排出し、アンモニア回収系19又は硝酸回
収系18で回収するアンモニア又は硝酸の純度をさらに
向上することができる。このようにして不純物が除かれ
た廃液は配管50によって再び加熱器5を経て蒸発部2
へ供給され、電気透析部1によって廃液中からほぼ完全
にNO3 -,NH4 +が取り除かれるまで上記の手順が繰り
返される。
析の脱塩液濃度依存性の一例を図4に示す。図4は、本
実施例の廃液処理装置100の電解透析部1と同様の構
造をもつ電解透析装置に、脱塩液として硝酸アンモニウ
ム溶液を供給し、この溶液の初期濃度が異なる2つの場
合について脱塩液濃度・温度の経時変化とそのときの電
流効率を測定し比較したものである。測定条件として
は、陽極室には2.0Mの硝酸1.5リットル、陰極室に
は2.0Mのアンモニア液1.5リットルをそれぞれあら
かじめ供給した上で、脱塩室に2.0Mの硝酸アンモ
ニウム溶液1.5リットル(初期温度21℃)を供給し
た場合、4.0Mの硝酸アンモニウム溶液1.5リット
ル(初期温度20℃)を供給した場合、のそれぞれにつ
き、20A(電流密度25A/dm2)の一定電流を6
時間通電した。
間の経過とともに脱塩が進んで陽極液の濃度が増加する
とともに脱塩液の濃度が減少したが、図4に示すように
の2.0Mの硝酸アンモニウム溶液では、6時間後の
硝酸アンモニウム溶液の濃度は0.75Mであり、この
間の平均電流効率は42%であった。一方の4.0M
の硝酸アンモニウム液では、6時間後の硝酸アンモニウ
ム溶液の濃度は2.3Mであり、この間の平均電流効率
は74%であった。このように、脱塩液の濃度が高いほ
ど電流効率が大きくなり脱塩効率が良いことがわかっ
た。なお脱塩液温度については、とも大差はなく2
0℃前後から50℃前後に上昇した。
モニウムを含有する廃液をあらかじめ濃縮した後に、電
解透析部1でその濃縮された廃液を電解透析することに
より、従来に比し電流効率が大きくなる。すなわち陽極
30・陰極31に印加する電圧を小さくすることがで
き、脱塩効率を向上することができる。また、その脱塩
された廃液を再び配管50を介して蒸発部2へ導き循環
させ濃縮と電解透析を繰り返すことにより、廃液濃度を
低下させずに何度も脱塩することができる。よって従来
のようにイオン水和水・濃度拡散現象による脱塩限界が
生じず、常に一定の高い効率で脱塩を行える。したがっ
て最終的に蒸発部2における濃縮量と電解透析部1にお
ける脱塩量がほぼ等しくなって廃液中の硝酸イオンNO
3 -・アンモニウムイオンNH4 +をほぼ全量除去すること
ができ、この結果高純度・高濃度の硝酸・アンモニアを
高い回収率で同時に回収することができる。
て説明する。疎水性多孔質膜を介し高温溶液と冷却水が
存在する場合の膜蒸発においては、多孔質膜を介し溶液
から蒸発した水分が冷却水側へ移動して原液が濃縮され
る一方、冷却水側に移動した蒸気は冷却水で凝縮され
る。この時の蒸発速度Vは、 V=K・A(Ph−Pc) K:透過係数 A:膜面積 Ph:溶液の蒸気圧 Pc:冷却水の蒸気圧 で表される。すなわち、蒸発速度は、溶液と冷却水との
蒸気圧差(Ph−Pc)及び膜面積Aに比例する。よっ
て他の条件が同じならば、溶液の温度が高くまた冷却水
温度が低いほど大きい蒸発量が得られることになる。こ
のような蒸発量の温度依存性の一例を図5に示す。
蒸発部2と同様の構造をもつ膜蒸発装置に脱塩液として
硝酸アンモニウム溶液を供給し、溶液温度が異なる2つ
の場合について蒸発量を測定し比較したものである。測
定条件としては、200cm2のPTFE平膜を配置し
た直接接触型の膜蒸発装置に20℃の冷却水を導入し、
60℃の硝酸アンモニウム溶液を供給した場合、4
0℃の硝酸アンモニウム溶液を供給した場合、のそれぞ
れについて蒸発速度を測定した。
に、の60℃の溶液では蒸発量は12Kg/m2h、の4
0℃の溶液では5Kg/m2hとなって、の場合はの場合
に比し2.4倍の蒸発量を得ることができ、溶液の温度
が高いほど蒸発量が大きくなる傾向が分かった。なおこ
のとき溶液温度もの場合はの場合よりも5℃程度低
下した。
設けられた加熱部5で蒸発部2に供給される廃液をあら
かじめ加熱することにより、廃液を高温にして蒸発部2
内での蒸発をより促進することができる。そして蒸発部
2の下流側に設けられた冷却部32で蒸発部2で濃縮さ
れた廃液を所定温度まで冷却することにより、高温に弱
い電解透析部1のカチオン交換膜13及びアニオン交換
膜11の破損を防止できる。
TFEを用いたが、これに限られず、ポリプロピレン、
ポリエチレン材等であってもよく、また形状も円管状に
限られず、平膜形状膜、中空糸膜等であってもよい。さ
らに蒸発部2は、疎水性多孔質膜を備えるものに限られ
ず、例えば廃液を加熱して蒸発させ、その蒸気を凝縮し
て回収することにより廃液を濃縮する蒸発缶等の加熱蒸
発手段を用いても良い。また、上記廃液処理装置100
においては、加熱部5、蒸発部2、冷却部32等の放熱
・吸熱部材が多数配置され、また電解透析部1で直流電
流を通電することから廃液の電気抵抗でジュール熱を発
生し廃液温度が上昇する。したがって、装置の設計にあ
たっては、熱的なバランス、すなわち蒸発部2での液温
度を維持するだけの加熱と蒸発潜熱に相当する低下温
度、電解透析部1の温度上昇分、系統での損失分等を考
慮して決定されることが望ましい。
モニウムを含有する廃液を濃縮した後に、第2の工程で
その濃縮された廃液を電解透析を行うので、脱塩効率を
向上することができる。またその脱塩された廃液を再び
濃縮手段へ導き循環させ第1の工程及び第2の工程を繰
り返すので、廃液濃度を低下させずに何度も脱塩するこ
とができ常に一定の高い効率で脱塩を行える。よって廃
液中の硝酸イオンNO3 -・アンモニウムイオンNH4 +を
ほぼ全量除去することができ、高純度・高濃度の硝酸・
アンモニアを高い回収率で同時に回収することができ
る。また、第1の工程において、多孔質疎水性膜を介し
片側に高温の廃液を流通させるとともに反対側に冷却水
を流通させ、廃液から生じた蒸気を冷却水で分離して回
収するので、廃液中の水分を回収し高純度水を得ること
ができる。またこの電解透析の際発生するジュ-ル熱を
回収して蒸発熱に利用し熱の有効利用を図ることができ
る。
ているので、廃液中に含まれている可能性のある硫酸イ
オンが、硝酸イオンとともに廃液から分離されるのを防
止できる。さらに、膜蒸発手段の上流側に設けられた加
熱手段で膜蒸発手段に供給される廃液をあらかじめ加熱
するので、廃液を高温にして膜蒸発手段内での蒸発を促
進することができ、また膜蒸発手段の下流側に設けられ
た冷却手段で膜蒸発手段で濃縮された廃液を冷却するの
で、高温に弱いカチオン・アニオン交換膜の破損を防止
できる。また、第2の配管に設けられたpH調整手段に
よって電解透析手段で脱塩された廃液のpH調整を行う
ので、その廃液中に含まれる不純物イオンを水酸化物に
変化させせることができ、そしてこれをろ過手段で分離
するので、回収するアンモニア・硝酸の純度をさらに向
上することができる。さらに、電解透析手段で脱塩され
た廃液中に含まれる不純物イオンの濃度が制限値を越え
た場合、第2の配管に設けられた排出手段で廃液の一部
を取り出して排出するので、廃液中の不純物の蓄積を防
止でき、また回収するアンモニア・硝酸の純度をさらに
向上することができる。またアンモニア回収手段に備え
られた注入手段で、不活性ガス及びH2ガスの少なくと
も一方をアンモニウムイオンを含む溶液に注入するの
で、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウ
ムイオン等も含みうるこの溶液からアンモニアガスのみ
を放散させて回収することができる。
液処理装置の全体構成を示す概念図である。
ある。
ある。
Claims (12)
- 【請求項1】 硝酸アンモニウムを含有する廃液から硝
酸イオンとアンモニウムイオンとを分離し、この分離さ
れた硝酸イオンを含む溶液及びアンモニウムイオンを含
む溶液をそれぞれ精製して硝酸とアンモニアとを回収す
る廃液処理方法において、 前記硝酸アンモニウムを含有する廃液を濃縮する第1の
工程と、その濃縮された廃液を電解透析して硝酸イオン
とアンモニウムイオンとを分離し脱塩を行う第2の工程
とを有し、その脱塩された廃液を再び前記濃縮手段へ導
き循環させることにより前記第1の工程及び前記第2の
工程を繰り返すことを特徴とする廃液処理方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の廃液処理方法において、
前記第1の工程は、多孔質疎水性膜を介し片側に高温の
前記廃液を流通させるとともに反対側に冷却水を流通さ
せ、前記廃液から生じた蒸気を前記冷却水で分離して回
収する工程であることを特徴とする廃液処理方法。 - 【請求項3】 電圧が印加される陽極及び陰極と、これ
ら陽極と陰極との間に配置されたカチオン交換膜、アニ
オン交換膜、及び脱塩室とを備え、硝酸アンモニウムを
含有する廃液が前記脱塩室に供給されるとともに前記陽
極及び陰極に電圧が印加されることにより、前記廃液か
ら硝酸イオン及びアンモニウムイオンがそれぞれ個別に
分離され脱塩が行われる電解透析手段と、前記分離され
た硝酸イオンを含む溶液を精製して硝酸を回収する硝酸
回収手段と、前記分離されたアンモニウムイオンを含む
溶液を精製してアンモニアを回収するアンモニア回収手
段とを有する廃液処理装置において、 前記電解透析手段の上流側に設けられ前記電解透析手段
に供給される前記廃液をあらかじめ濃縮する濃縮手段
と、 前記濃縮手段で濃縮された廃液を前記電解透析手段に導
く第1の配管と、 前記電解透析手段で脱塩された廃液を前記濃縮手段に導
く第2の配管と、 を有することを特徴とする廃液処理装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の廃液処理装置において、
前記アニオン交換膜は、一価選択性を備えていることを
特徴とする廃液処理装置。 - 【請求項5】 請求項3記載の廃液処理装置において、
前記濃縮手段は、多孔質疎水性膜を備えており、その多
孔質疎水性膜を介し片側に高温の前記廃液を流通させ反
対側に冷却水を流通させて前記廃液から生じた蒸気を前
記冷却水で凝縮して回収する膜蒸発手段であることを特
徴とする廃液処理装置。 - 【請求項6】 請求項5記載の廃液処理装置において、
前記多孔質疎水性膜は、ポリテトラフルオルエチレン膜
であることを特徴とする廃液処理装置。 - 【請求項7】 請求項5記載の廃液処理装置において、
前記膜蒸発手段の上流側に設けられその膜蒸発手段に供
給される廃液をあらかじめ加熱する加熱手段と、前記膜
蒸発手段の下流側に設けられその膜蒸発手段で濃縮され
た廃液を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする
廃液処理装置。 - 【請求項8】 請求項3記載の廃液処理装置において、
前記濃縮手段は、前記廃液を加熱して蒸発させ、その蒸
気を凝縮して回収することにより前記廃液を濃縮する加
熱蒸発手段であることを特徴とする廃液処理装置。 - 【請求項9】 請求項3記載の廃液処理装置において、
前記第2の配管に設けられ前記電解透析手段で脱塩され
た廃液のpH調整を行うpH調整手段と、前記第2の配
管の前記pH調整手段の下流側に設けられ前記廃液中の
不純物を分離するろ過手段とを有することを特徴とする
廃液処理装置。 - 【請求項10】 請求項3記載の廃液処理装置におい
て、前記第2の配管に設けられ、前記電解透析手段で脱
塩された廃液中に含まれる不純物イオンの濃度が制限値
を越えた場合、その不純物イオンを含む廃液の一部を前
記第2の配管から取り出して排出する排出手段を有する
ことを特徴とする廃液処理装置。 - 【請求項11】 請求項9又は10記載の廃液処理装置
において、前記不純物イオンは、カルシウムイオン、マ
グネシウムイオン、鉄イオン、及びニッケルイオンのう
ち少なくとも1つであることを特徴とする廃液処理装
置。 - 【請求項12】 請求項3記載の廃液処理装置におい
て、前記アンモニア回収手段は、前記アンモニウムイオ
ンを含む溶液に不活性ガス及びH2ガスの少なくとも一
方を注入する注入手段を有することを特徴とする廃液処
理装置。
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