JPH07302944A - パルスレーザ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、放電の安定化、ノイズ影響の低減、
構造の簡略化、装置の小型化、コストの低減化を図るこ
とを最も主要な目的としている。 【構成】陽極側および陰極側の主電極と予備電離電極部
からなりレーザ媒質を励起させてグロー放電を起こす放
電部、レーザガスを循環させる送風機、およびレーザガ
スを冷却する熱交換器、絶縁媒体を封入したケース内に
収納されたコンデンサと可飽和リアクトルからなる磁気
パルス圧縮装置を収納する風洞タンクとを備えて成るパ
ルスレーザ装置において、ケース内に収納された磁気パ
ルス圧縮装置を放電部の下部に配置すると共に、当該放
電部と磁気パルス圧縮装置との間を絶縁部材を介して連
結し一体化させることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば炭酸ガスレー
ザ、エキシマレーザ等のパルスレーザ装置に係り、特に
放電の安定化、ノイズ影響の低減、構造の簡略化、装置
の小型化、コストの低減化を図れるようにしたパルスレ
ーザ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、例えば炭酸ガスレーザ、エキシマ
レーザ等の各種高繰り返しパルスレーザ装置は、同位体
分離、半導体プロセス、表面改質等の多くの用途が期待
されてきている。

【０００３】そして、これらの用途に適用するために
は、レーザ光の高繰り返し化、高ピークパワー化、安定
化等の性能と共に、装置の低コスト化、小型化が要求さ
れてきている。

【０００４】一般に、高繰り返し化を図るためには、高
繰り返し電源のスイッチング素子として、サイライトロ
ンや半導体素子が用いられるが、その寿命や速い立ち上
がり電流による発熱等に問題がある。

【０００５】そこで、これらの問題を解決するための方
法として、スイッチング印加するための充電電源の後段
に、磁気パルス圧縮装置（以下、ＭＰＣと称する）を用
いて、電気的励起回路を構成するようにしている。この
ＭＰＣは、非結晶コアから形成されている可飽和リアク
トルとコンデンサとを組み合わせて構成されるのが一般
的である。

【０００６】図４はこの種の充電電源とＭＰＣを用いた
電気的励起回路を有する従来のパルスレーザ装置の構成
例を示す全体正面図、図５は同パルスレーザ装置の構成
例を示す全体側面図である。

【０００７】すなわち、図４および図５に示すように、
レーザ媒質を励起させてグロー放電を起こす放電部１
は、レーザガスを循環させる送風機６、およびレーザガ
スを冷却する熱交換器７と共に、風洞タンク５の内部に
収納されており、この風洞タンク５内には、レーザガス
流路を形成するためのガスガイド１１が図示のように設
けられている。

【０００８】さらに、レーザ発振させるために、出力側
共振器１２ａとリア側共振器１２ｂとを、光軸線上の風
洞タンク５前後に配置して、制御装置１３、および補機
１４等でパルスレーザ装置が構成され、全体が化粧板１
５により覆われている。

【０００９】次に、図６は上記放電部１とＭＰＣ２およ
び充電電源８の構成例を示す回路図、図７は放電部１の
詳細な構成例を示す断面図である。すなわち、図に示す
ように、放電部１は、陽極側および陰極側の主電極１ａ
と予備電離電極１ｂおよびピーキングコンデンサ１ｃか
らなり、それぞれ導電性の取付板１ｄに取付けられ、レ
ーザガス整流用の絶縁物で形成した整流板１ｆによりユ
ニットが構成されている。

【００１０】また、放電部１に加える電気エネルギーの
供給部として、電気的励起回路が風洞タンク５の下部に
設置される。そして、この電気的励起回路は、スイッチ
ング印加するための充電電源８と、充電電源８の後段の
可飽和リアクトル２ａとコンデンサ２ｂを、絶縁媒体を
密封したケース２ｃ内に収納してなるＭＰＣ２とから構
成されている。

【００１１】さらに、上記放電部１と、電気的励起回路
を構成するＭＰＣ２および充電電源８とは、風洞タンク
５に設けられた貫通導体９および接続線１０を介して接
続され、電気エネルギーが放電部１に印加される。

【００１２】ところで、上述したような炭酸ガスレー
ザ、エキシマレーザ等のパルスレーザ装置においては、
レーザガス圧が大気圧以上であることから、安定した放
電を得るためには、ＭＰＣ２から放電部１に速い立ち上
がりの電圧・電流を印加する必要がある。

【００１３】この場合、放電部１に印加する電圧・電流
の立ち上がり時間は、回路上のインダクタンスによって
決まるが、このインダクタンスの抑制が不可欠である。
しかしながら、回路上のインダクタンスは、特に放電部
１とＭＰＣ２との間の距離Ｌに比例し、その構成および
組立性の点から、放電部１とＭＰＣ２との間の距離Ｌを
極力最小とするには限界があるため、インダクタンスが
所定値以上となり、ひいては放電の不安定を来たす大き
な要因となっている。

【００１４】また、ＭＰＣ２から供給された、放電部１
に印加される電気エネルギーは、上述したように、速い
立ち上がりの電圧・電流であることから、急峻な電気信
号となる。そして、この急峻な電気信号は、ノイズ発生
源となり、特に風洞タンク５に設けた貫通導体９とＭＰ
Ｃ２との間においては、その接続線が外部に露出すると
共に、組立、製作上の制限で電流往路、帰路接続線が比
較的大きなループを形成することから、アンテナ作用に
よって外部にノイズを発散するため、近傍の制御装置１
３等に影響を与えて誤動作を引き起こすという問題があ
る。

【００１５】さらに、上述した構成のパルスレーザ装置
においては、レーザガスの流路を形成するためにガスガ
イド１１が設けられているが、このガスガイド１１の内
側、すなわちレーザガス流路以外はデッドスペースとな
っており、そのために装置が大型化し、コストアップの
要因なっている。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
パルスレーザ装置においては、放電が不安定である、ノ
イズの影響を受ける、構造が複雑である、装置が大型化
する、コストが高いという種々の問題があった。

【００１７】本発明の目的は、放電の安定化、ノイズ影
響の低減、構造の簡略化、装置の小型化、コストの低減
化を図ることが可能なパルスレーザ装置を提供すること
にある。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、まず、請求項１に係る発明では、陽極側および陰
極側の主電極と予備電離電極部からなりレーザ媒質を励
起させてグロー放電を起こす放電部、レーザガスを循環
させる送風機、およびレーザガスを冷却する熱交換器、
絶縁媒体を封入したケース内に収納されたコンデンサと
可飽和リアクトルからなる磁気パルス圧縮装置を収納す
る風洞タンクとを備えて成るパルスレーザ装置におい
て、ケース内に収納された磁気パルス圧縮装置を放電部
の下部に配置すると共に、当該放電部と磁気パルス圧縮
装置との間を絶縁部材を介して連結し一体化させて成
る。

【００１９】また、請求項２に係る発明では、上記請求
項１に係る発明のパルスレーザ装置において、放電部と
磁気パルス圧縮装置との間を、連結した絶縁部材を貫通
する接続導体で電気的に接続すると共に、当該接続導体
で陰極側の主電極を支持して成る。

【００２０】さらに、請求項３に係る発明では、上記請
求項２に係る発明のパルスレーザ装置において、絶縁部
材の接続導体貫通部および絶縁部材とケース間に、ガス
ケットを設けて当該ケース内の絶縁媒体を密封シールし
て成る。

【００２１】さらにまた、請求項４に係る発明では、上
記請求項１乃至請求項３のいずれか１項に係る発明のパ
ルスレーザ装置において、ケースを半球形状とすると共
に、絶縁部材との連結部端部に滑らかな丸みを設けて成
る。

【００２２】

【作用】従って、本発明のパルスレーザ装置において
は、風洞タンク内に磁気パルス圧縮装置を収納し、放電
部と一体化することにより、回路上のインダクタンスを
構成上極端に抑制することができ、かつノイズ発生源で
ある放電部と磁気パルス圧縮装置およびその間の接続部
を風洞タンク内に収納することにより、風洞タンクによ
って外部に対しノイズを遮閉することができる。

【００２３】また、放電部と磁気パルス圧縮装置とを接
続する接続導体で放電部の陰極側主電極を支持すること
により、構造の簡略化を図ることができる。さらに、ケ
ースおよび放電部と磁気パルス圧縮装置を連結する絶縁
部材の端部形状を半球形状としてレーザガスの流路を形
成すると共に、ケース内に絶縁距離を縮小するための絶
縁媒体を密封することにより、風洞タンク内のスペース
を有効利用しつつ、装置の小型化およびコストの低減化
を図ることができる。

【００２４】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。図１は、本発明によるパルスレー
ザ装置の構成例を示す断面図であり、図４乃至図７と同
一要素には同一符号を付して示している。

【００２５】図において、放電部１は、陽極側および陰
極側の主電極１ａと予備電離電極１ｂおよびピーキング
コンデンサ１ｃからなり、陰極側と陽極側に対向させて
それぞれ導電性の取付板１ｄに取付けている。

【００２６】また、ＭＰＣ２は、可飽和リアクトル２ａ
とコンデンサ２ｂをケース２ｃ内に収納して構成してい
る。そして、ケース２ｃ内には、ＭＰＣ２が高電圧出力
であることから、小型化を図るために、油等の絶縁媒体
２ｄを封入している。

【００２７】ここで、放電部１の下部にＭＰＣ２を配置
すると共に、放電部１の取付ベースでかつケース２ｃの
蓋の機能を持つ１枚の絶縁板３により、放電部１とＭＰ
Ｃ２とを連結して一体のユニットを形成している。

【００２８】また、この１枚の絶縁板３により一体のユ
ニットに形成された放電部１とＭＰＣ２との間を、放電
部１の陰極側および陽極側の取付板１ｄそれぞれに設け
られた接続導体１ｅを絶縁板３部を貫通させてＭＰＣ２
と電気的に接続している。そして、この絶縁板３の接続
導体貫通部および絶縁板３とケース２ｃ間にはガスケッ
ト４を装着して、ケース２ｃ内の絶縁媒体２ｄを密封シ
ールしている。

【００２９】さらに、上記放電部１とＭＰＣ２とを接続
する陰極側の接続導体１ｅにより、主電極１ａと予備電
離電極１ｂおよびピーキンクコンデンサ１ｃを取付けて
いる陰極側の取付板１ｄを支持して絶縁板３に固定する
構成としている。

【００３０】さらにまた、レーザガスの流路を形成する
ため、上記ケース２ｃを半球形状とすると共に、上記絶
縁板３とケース２ｃとの連結部端部に滑らかな丸みを設
けている。

【００３１】一方、上記のように１枚の絶縁板３で一体
化した放電部１とＭＰＣ２を、図２および図３にそれぞ
れ示すように、送風機６、および熱交換器７と共に、風
洞タンク５内に収納している。

【００３２】また、充電電源８は、風洞タンク５の外部
に設置し、ＭＰＣ２とは、風洞タンク５に設けられた貫
通導体９および接続線１０により電気的に接続してい
る。次に、以上のように構成した本実施例のパルスレー
ザ装置においては、放電部１の取付ベースでかつケース
２ｃの蓋の機能を持つ１枚の絶縁板３によって、放電部
１とＭＰＣ２とが一体化されているので、放電部１とＭ
ＰＣ２との間の距離Ｌを構成上大幅に短くすることがで
き、その結果回路上のインダクタンスも距離Ｌに比例し
て大幅に小さくすることができる。

【００３３】また、急峻な電気信号によってノイズ発生
源となる放電部１とＭＰＣ２およびその接続部を一体
で、風洞タンク５内に収納しているので、ノイズは風洞
タンク５によって遮閉され、外部への発散を最小限に抑
えることができる。

【００３４】さらに、ケース２ｃおよび放電部１とＭＰ
Ｃ２を連結する絶縁板３の端部形状を工夫してレーザガ
スの流路形成すると共に、ケース２ｃ内に絶縁距離を縮
小するための絶縁媒体２ｄを密封しているので、従来デ
ッドスペースとなっていた放電部１の下部スペースを有
効に利用することが可能となり、小型化およびコストの
低減を図ることができる。

【００３５】さらにまた、放電部１とＭＰＣ２を一体化
すると共に、放電部１の陰極側の主電極１ａを接続導体
１ｅにより支持しているので、放電部１の構造の簡略化
を図ることができる。

【００３６】上述したように、本実施例では、陽極側お
よび陰極側の主電極１ａと予備電離電極１ｂおよびピー
キングコンデンサ１ｃからなりレーザ媒質を励起させて
グロー放電を起こす放電部１、レーザガスを循環させる
送風機６、およびレーザガスを冷却する熱交換器７、絶
縁媒体２ｄを封入したケース２ｃ内に収納されたコンデ
ンサ２ｂと可飽和リアクトル２ａからなるＭＰＣ２を収
納する風洞タンクとを備えて成るパルスレーザ装置にお
いて、ケース２ｃ内に収納されたＭＰＣ２を風洞タンク
５内の放電部１の下部に配置すると共に、この放電部１
とＭＰＣ２との間を１枚の絶縁板３を介して連結して一
体化させ、また放電部１とＭＰＣ２との間を、連結した
絶縁板３を貫通する接続導体１ｅで電気的に接続すると
共に、この接続導体１ｅで陰極側の主電極１ａを支持す
るようにし、さらに絶縁板３の接続導体１ｅ貫通部およ
び絶縁板３とケース２ｃ間に、ガスケット４を設けてこ
のケース２ｃ内の絶縁媒体２ｄを密封シールするように
し、さらにまたケース２ｃを半球形状とすると共に、絶
縁板３との連結部端部に滑らかな丸みを設けるようにし
たものである。

【００３７】従って、放電部１とＭＰＣ２間のインダク
タンスを大幅に低減することができるため、安定した放
電を得ることが可能となる。また、ノイズ発生源である
放電部１とＭＰＣ２およびその接続部を風洞タンク５内
に収納して、ノイズを封じ込めて外部への発散を抑える
ことができるため、近傍の制御装置１３等が誤動作する
ことなく、ノイズの影響を排除することが可能となる。

【００３８】さらに、放電部１構成、およびＭＰＣ２と
放電部の一体化構成と風洞タンク５内への収納、かつケ
ース２ｃの形状によりレーザガス流路を形成すること
で、構造の簡略化と、スペースの有効利用による小型化
を図ることが可能となり、コスト低減にも大きく貢献す
ることが可能となる。以上により、放電の安定化、ノイ
ズの影響の低減化、構造の簡略化、装置の小型化、およ
びコスト低減を達成することができる。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、陽
極側および陰極側の主電極と予備電離電極部からなりレ
ーザ媒質を励起させてグロー放電を起こす放電部、レー
ザガスを循環させる送風機、およびレーザガスを冷却す
る熱交換器、絶縁媒体を封入したケース内に収納された
コンデンサと可飽和リアクトルからなる磁気パルス圧縮
装置を収納する風洞タンクとを備えて成るパルスレーザ
装置において、ケース内に収納された磁気パルス圧縮装
置を放電部の下部に配置すると共に、当該放電部と磁気
パルス圧縮装置との間を絶縁部材を介して連結し一体化
させ、また放電部と磁気パルス圧縮装置との間を、連結
した絶縁部材を貫通する接続導体で電気的に接続すると
共に、当該接続導体で陰極側の主電極を支持し、さらに
絶縁部材の接続導体貫通部および絶縁部材とケース間
に、ガスケットを設けて当該ケース内の絶縁媒体を密封
シールし、さらにまたケースを半球形状とすると共に、
絶縁部材との連結部端部に滑らかな丸みを設けるように
したので、放電の安定化、ノイズ影響の低減、構造の簡
略化、装置の小型化、コストの低減化を図ることが可能
なパルスレーザ装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるパルスレーザ装置の一実施例を示
す断面図。

【図２】同実施例におけるパルスレーザ装置の構成例を
示す回路図。

【図３】同実施例におけるパルスレーザ装置の構成例を
示す断面図。

【図４】従来のパルスレーザ装置の構成例を示す全体正
面図。

【図５】従来のパルスレーザ装置の構成例を示す全体側
面図。

【図６】従来のパルスレーザ装置の構成例を示す回路
図。

【図７】従来のパルスレーザ装置の放電部の詳細な構成
例を示す断面図。

【符号の説明】

１…放電部、１ａ…主電極、１ｂ…予備電離電極、１ｃ
…ピーキングコンデンサ、１ｄ…取付板、１ｅ…接続導
体、１ｆ…整流板、２…ＭＰＣ、２ａ…可飽和リアクト
ル、２ｂ…コンデンサ、２ｃ…ケース、２ｄ…絶縁媒
体、３…絶縁板、４…ガスケット、５…風洞タンク、６
…送風機、７…熱交換器、８…充電電源、９…貫通導
体、１０…接続線、１１…ガスガイド、１２ａ…出力側
共振器、１２ｂ…リア側共振器、１３…制御装置、１４
…補機、１５…化粧板。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 陽極側および陰極側の主電極と予備電離
   電極部からなりレーザ媒質を励起させてグロー放電を起
   こす放電部、レーザガスを循環させる送風機、および前
   記レーザガスを冷却する熱交換器、絶縁媒体を封入した
   ケース内に収納されたコンデンサと可飽和リアクトルか
   らなる磁気パルス圧縮装置を収納する風洞タンクとを備
   えて成るパルスレーザ装置において、 前記ケース内に収納された磁気パルス圧縮装置を前記放
   電部の下部に配置すると共に、当該放電部と前記磁気パ
   ルス圧縮装置との間を絶縁部材を介して連結し一体化さ
   せて成ることを特徴とするパルスレーザ装置。
2. 【請求項２】 前記請求項１に記載のパルスレーザ装置
   において、 前記放電部と磁気パルス圧縮装置との間を、前記連結し
   た絶縁部材を貫通する接続導体で電気的に接続すると共
   に、当該接続導体で前記陰極側の主電極を支持して成る
   ことを特徴とするパルスレーザ装置。
3. 【請求項３】 前記請求項２に記載のパルスレーザ装置
   において、 前記絶縁部材の接続導体貫通部および絶縁部材と前記ケ
   ース間に、ガスケットを設けて当該ケース内の絶縁媒体
   を密封シールして成ることを特徴とするパルスレーザ装
   置。
4. 【請求項４】 前記請求項１乃至請求項３のいずれか１
   項に記載のパルスレーザ装置において、 前記ケースを半球形状とすると共に、前記絶縁部材との
   連結部端部に滑らかな丸みを設けて成ることを特徴とす
   るパルスレーザ装置。