JPH07302549A - カラー受像管用シャドウマスク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カラー受像管用シャドウマスクにおいて、支
持枠へのシャドウマスク本体の挿入接合を容易にすると
共に、接合時の本体接合部への力により生じる曲面変形
を防止することを目的とする。 【構成】 シャドウマスク支持枠７に挿入部１０を有す
る凸成形部８を数ヵ所設け、裾ひろがりになっているシ
ャドウマスク本体６の側壁部９を押しつける方向に接合
することにより、挿入しやすく、側壁部９を垂直に接合
することができ、曲面変形を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー受像管用シャド
ウマスクに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の内支持型シャドウマスクは図１に
示すように、シャドウマスク本体１に対し、支持枠２を
設け、これらを一体的に構成して用いられた。この支持
方法は図２に示すように、シャドウマスク本体１の側壁
３に沿うように同形状の支持枠外枠４で外側より密着嵌
合している。

【０００３】このシャドウマスク本体は曲面部分５と側
壁部分３から成るプレス成形品で、その形状は精度を必
要とされる。しかし厚さ０．１〜０．２mm程度の薄板成
形のため、軽い荷重を与えただけでも変形しやすい。こ
のためシャドウマスクの形状の精度をいかによく出すか
が、ブラウン管製造上の要所となっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記のよ
うな従来構造ではシャドウマスク本体１を支持枠２に挿
入する際、本体側壁３が少しでも変形し、支持枠２に対
し形状が合わなくなった場合、挿入が困難となる。そし
て形状が合わないまま無理に本体１を挿入すると本体曲
面部分５が変形する可能性がある。

【０００５】そこで図３、図４に示すように挿入を容易
にするため本体側壁３外寸法より支持枠外枠４の内寸法
を大きくし、隙Ａを設ける。一方シャドウマスク本体１
と支持枠２は挿入後、側壁３を数点スポット溶接するの
が通常である。しかし溶接時、本体側壁３を拡げる方向
Ｂに引張るために、本体曲面部分５の有孔領域に凹みＣ
を与え、シャドウマスクとしての精度を極端に悪くする
と共に曲面部分５の周辺部の剛性を著しく低下させる。

【０００６】また従来構造では、支持枠の全周によって
本体を支持するため、本体側壁部の垂直度を出す事が困
難であると共に、調整が行いにくい。

【０００７】さらに、シャドウマスクは使用時にブラウ
ン管本体が高温を発するため、温度による変形の影響を
受けやすい。だが従来の場合、本体と支持枠が密着して
いるため放熱性が悪く、使用時の変形量が大きかった。

【０００８】以上の具体的な例として図５にて従来シャ
ドウマスクの接合部の拡大断面図を示す。本体側壁部３
は垂直にならず、公差的にすそ広がりになっている。そ
のため支持枠外枠４に対して一点でしか接しておらず、
確実な接合が行われていない。

【０００９】本発明は、上記従来の欠点を解消するもの
であり、特に本体の側壁の形状、支持枠の形状及び、本
体との接合状態の改良に関するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】シャドウマスクは本体と
支持枠より成るが、本発明は本体の側壁を寸法公差的に
すそ広がりの形状とし、支持枠の内側に本体を嵌合する
もので、本発明の重要な構成部である本体と支持枠の接
合部に関して、支持枠の外枠部の適当な場所に適当な個
数の凸成形部を設け、本体側壁部と支持枠の凸成形部を
接合し、確実なるこの部分の接合を可能とするものであ
る。

【００１１】

【作用】本体側壁部は凸成形部に沿い容易に挿入でき、
凸成形部に嵌合時に押え込まれ、ほぼ垂直な状態で接合
される。

【００１２】

【実施例】以下に本発明実施例を図６〜図１５にもとづ
いて説明する。

【００１３】図６、図７は本発明の一実施例を示すもの
で、６はシャドウマスク本体、７は支持枠を表す。本発
明の特徴は支持枠の周囲にいくつかの凸部８を設け、本
体側壁部９とスポット溶接にて接合する構造をもつこと
と、常にマスク本体の側壁部を内側へ公差分の量だけ押
しつけて接合することである。

【００１４】凸部の形状は図６に示すように、挿入部１
０が本体を挿入しやすいよう傾斜状になっている。そし
て接合部は本体に沿うように垂直で適当な長さのストレ
ート部１１を有する。そして凸部と支持枠は連結部１２
で補強されている。

【００１５】図８〜図１１は他の本発明実施例で、凸部
形状を前記例と異にしている。しかし基本的構造として
挿入部となる傾斜もしくは曲面を持った面と、接合部と
なる垂直なストレート平面から成る。

【００１６】図８は成形部の側面側１３をトリムしたも
ので、図９は成形部の側面側１３及び下面側１４をトリ
ムしたものである。

【００１７】図１０は挿入部１０を曲面とした例で、図
１１は成形部全体を球面とした例である。

【００１８】そして図１２、図１３は以上の接合部を有
するシャドウマスクの全体構成の一例を示す。図１０は
コーナにも凸部８を設けた例を示し、図１１はコーナが
凸部でなく、支持枠そのものの形状であるものを示す。

【００１９】図１４はシャドウマスク本体６を支持枠７
に嵌合する前の状態を示し、図１５は各々を嵌合し、ス
ポット溶接した状態を示す。本体側壁部９はプレス成形
後スプリングバックを起こし、裾ひろがりになる。公差
的に０．５〜１．５mmの広がりＤを起こし、ばらつきが
生じる。それに伴い曲面にもＥに示す０．０５〜０．５
mmのはね上りを生じさせる。次に支持枠７の凸成形部８
は本体側壁部９の端部の外寸法Ｆとの関係をＨ＜Ｆ＜Ｇ
とする。本体側壁部９は凸部挿入部１０に沿い容易に挿
入でき、押しつける方向Ｉに嵌合される。支持枠７の凸
成形部８と確実な接触面積を得て接合される。Ｉ方向へ
の押し付け力は曲面５を押し下げる力Ｊとなり、スプリ
ングバックによって生じたはね上りを引き戻す。また曲
面Ｋに張力を生じ、剛性の高い曲面を作ることができ
る。

【００２０】

【発明の効果】このように本発明はシャドウマスク本体
を部分的に接合するための効果とシャドウマスクの天面
の曲率をあまりかえない凸の変化におさえ、部品として
の精度を守る効果を有する。

【００２１】また、本体を支持枠に挿入する際、従来例
に比べ、非常に入れ易くなる。特に凸成形部に傾斜を持
つ挿入部を設ける事により確実に迅速に挿入できる。

【００２２】しかし、実際的にはシャドウマスクの側壁
の寸法にバラツキが出るのを吸収するためにあえて公差
的にプラス寸法になるようにして、組合せ時にその公差
の量分を縮める方向で接合するようにしているので天面
（マスクの有孔部）への変形を少なくすることができる
と共に、曲面の剛性が高められる。そこで図示されてい
ないブラウン管ガラスパネル上の蛍光体とシャドウマス
ク本体の曲面部の孔との位置をずらす曲面変形を防止す
ると共に、外的な振動に対してもシャドウマスク本体の
曲面部が変動することを防止する。

【００２３】また従来の場合、挿入時に無理な力がかか
るため、本体の形状を変形することもあった。しかし本
発明の凸部を本体側壁の形状に合わせて作る事により、
変形を防止する事ができるようになった。凸部を本体側
壁形状に合わすには、凸部成形金型をピース化する事に
より、各凸部は各々調整する事を可能とする。もしも本
体が元より変形したものであっても、その形状に合わせ
て凸部を調整する事も可能である。また従来、支持枠の
側枠の垂直度及びストレート度を出すのが難しかった
が、本発明によると、凸成形部の面積が小さいため高い
垂直度、ストレート度が容易に得られる。

【００２４】またシャドウマスク本体と支持枠は通常ス
ポット溶接するが、本体と支持枠の接触面積が狭いた
め、接触する場所が限られ、溶接が確実となる。また接
触が確実なため、溶接時の変形も防げる。

【００２５】さらに、本シャドウマスクは本体と支持枠
の間にすきまがあるため、放熱性が断然良くなり、変形
も少なくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のシャドウマスクの全体斜視図

【図２】従来のシャドウマスクの一部を破断した斜視図

【図３】同シャドウマスクの嵌合前の状態を示す側断面
図

【図４】同シャドウマスクの嵌合状態を示す側断面図

【図５】同要部（接合部）の拡大断面図

【図６】本発明の一実施例におけるシャドウマスク接合
部の斜視断面図

【図７】本発明の他の実施例の要部正面断面図

【図８】本発明の他の実施例の要部正面断面図

【図９】本発明の他の実施例の要部正面断面図

【図１０】本発明の他の実施例の要部正面断面図

【図１１】本発明のさらに他の実施例の要部正面断面図

【図１２】本発明の実施例の斜視断面図

【図１３】本発明の実施例の斜視断面図

【図１４】シャドウマスクの側壁部の変形による影響を
示す側断面図

【図１５】同シャドウマスクの側壁部の変形による影響
を示す側断面図

【符号の説明】

１，６ シャドウマスク本体 ２，７ シャドウマスク支持枠 ３，９ 本体側壁部 ４ 支持枠外枠 ５ 本体曲面部 ８ 支持枠凸形状成形部 ９ 本体側壁接合部 １０ 凸部挿入部 １１ 凸部接合部 １２ 凸部連結部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １枚の板で有孔領域を有する曲面と同曲
   面の全周を囲み、寸法公差的にすそひろがり形状を有す
   る側壁から成るシャドウマスク本体と、前記側壁より大
   きくほぼ類似形状の外枠を有するシャドウマスク支持枠
   とから成り、シャドウマスク本体がシャドウマスク支持
   枠の内側に位置するシャドウマスク構成体の前記シャド
   ウマスク支持枠の外枠に複数個の内側方向への凸形状成
   形部を有し、この凸形状成形部の先端面と前記シャドウ
   マスク本体の側壁の外面を圧接状態として有孔領域を有
   する曲面に微少の凸形を与えることを特徴としたカラー
   受像管用シャドウマスク。
2. 【請求項２】 凸形状成形部がシャドウマスク支持枠の
   外枠内面に対し鈍角な接線を持つ平面もしくは凸曲面よ
   りなる挿入部と、同挿入部につながりシャドウマスク本
   体の側壁にほぼ平行な面よりなる接合部とからなり、も
   しくは該挿入部と接合部とシャドウマスク支持枠を結び
   つける連結部を有する請求項１記載のカラー受像管用シ
   ャドウマスク。
3. 【請求項３】 凸形状成形部が球の一部である請求項１
   記載のカラー受像管用シャドウマスク。