JPH0730186A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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Publication number
JPH0730186A
JPH0730186A JP16914093A JP16914093A JPH0730186A JP H0730186 A JPH0730186 A JP H0730186A JP 16914093 A JP16914093 A JP 16914093A JP 16914093 A JP16914093 A JP 16914093A JP H0730186 A JPH0730186 A JP H0730186A
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JP
Japan
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layer
ingaalp
current
semiconductor laser
current blocking
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Application number
JP16914093A
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English (en)
Inventor
Haruki Kurihara
春樹 栗原
Motoyuki Yamamoto
基幸 山本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、電流阻止層と光吸収層とをストライ
プ外に設定してなる内部ストライプ構造の半導体レーザ
素子において、電源の極性に対する制約の回避とモード
・ホッピング雑音の抑制とを両立できるようにすること
を最も主要な特徴とする。 【構成】たとえば、n−InGaAlPクラッド層18
の上面を除く、n−InGaAlPクラッド層17の上
に、屈折率がn−InGaAlPクラッド層16,1
7,18よりも大きく、バンドギャップがInGaP活
性層15よりも大きくて、しかも光の波長よりも厚さの
薄いp−InGaAlP電流阻止層19を形成すること
で、光誘起電流の発生を阻止し得る内部ストライプ構造
と、モード・ホッピング雑音の小さい複素屈折率型光導
波路とを備えた構成となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば内部ストラ
イプ構造の半導体レーザ装置に関し、特にバーコード読
取装置、ポインタ、光ディスク装置のピックアップある
いは光応用計測装置などの光源として使用されるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体レーザ素子としては、いわ
ゆる内部ストライプ構造を有するものが知られている。
図2は、内部ストライプ構造の一具体例として、たとえ
ば特開昭57−159084号公報にて開示された、ス
トライプ状に形成された溝によって電流を狭窄する機構
が素子の内部に組み込まれた、VSIS構造の近赤外半
導体レーザ素子を示すものである。
【0003】この近赤外半導体レーザ素子は、たとえば
p−GaAs基板101上にn−GaAsからなる電流
阻止兼光吸収層102を形成した後、ストライプ状の開
口部であるストライプ溝103を形成し、この上にp−
Ga0.7 Al0.3 Asからなる第1クラッド層104、
n−Ga0.95Al0.05Asからなる活性層105、n−
Ga0.7 Al0.3 Asからなる第2クラッド層106、
およびn−GaAsからなるキャップ層107を順に積
層したものである。
【0004】そして、上記n−GaAsキャップ層10
7の上面にはn側電極108が、また上記p−GaAs
基板101の下面にはp側電極109がそれぞれ形成さ
れた構成とされている。
【0005】このような構造の近赤外半導体レーザ素子
においては、p側電極109より注入された電子が、p
−GaAs基板101からn−GaAs電流阻止兼光吸
収層102に開けられた幅wのストライプ溝103を経
て、p−Ga0.7 Al0.3 As第1クラッド層104、
n−Ga0.95Al0.05As活性層105、n−Ga0.7
Al0.3 As第2クラッド層106、n−GaAsキャ
ップ層107、およびn側電極108の順で流れる。
【0006】この場合、n−GaAs電流阻止兼光吸収
層102とp−Ga0.7 Al0.3 As第1クラッド層1
04との間に形成されるnp接合は逆バイアスされ、p
−GaAs基板101とn−GaAs電流阻止兼光吸収
層102との間に形成されるpn接合、およびp−Ga
0.7 Al0.3 As第1クラッド層104とn−Ga0.95
Al0.05As活性層105との間に形成されるpn接合
は順バイアスされる。
【0007】すなわち、n側電極108とp側電極10
9とを介して通電すると、ストライプ溝103の形成さ
れた領域のみが電流通路となる。したがって、この電流
通路に対応する上記n−Ga0.95Al0.05As活性層1
05の近傍においてのみ、レーザ発振が開始される。
【0008】図3は、上記n−GaAs電流阻止兼光吸
収層102を横切る位置でのエネルギーバンドを示すも
のである。たとえば、通電時における、p−GaAs基
板101、n−GaAs電流阻止兼光吸収層102、お
よびp−Ga0.7 Al0.3 As第1クラッド層104の
各電位は、同図(a)に示すようになる。
【0009】なお、図に示すΔEcは、異種接合(HE
TERO JUNCTION)における伝導帯の不連続
量、ΔEvは、同じく価電子帯の不連続量である。この
電位の関係を考慮すると、p−GaAs基板101、n
−GaAs電流阻止兼光吸収層102、およびp−Ga
0.7 Al0.3 As第1クラッド層104のそれぞれは、
通常にバイアスされたトランジスタのエミッタ(E)、
ベース(B)、コレクタ(C)とみなすことができる。
【0010】したがって、ベースに相当するn−GaA
s電流阻止兼光吸収層102に多数キャリア(電子)が
注入されないかぎり、このn−GaAs電流阻止兼光吸
収層102を横切って流れる電流は、実用上、無視でき
るほど小さいことが理解できる。
【0011】すなわち、順バイアスによってエミッタか
らベースに注入される小数キャリア(正孔)の一部はコ
レクタまで到達してドリフト電流となるが、残りはベー
スにて多数キャリア(電子)と再結合する。
【0012】これにより、ベースは、同図(b)に示す
ように正に帯電され、この帯電によって生じる電位によ
り、エミッタからベースへの小数キャリア(正孔)の注
入が阻止される。
【0013】この結果、ベースに多数キャリア(電子)
を注入して帯電を消去しないかぎり、これ以上の電流は
流れなくなる。n−GaAs電流阻止兼光吸収層102
がこのように機能するとき、電流によって励起されるの
は、前記ストライプ溝103の直上のn−Ga0.95Al
0.05As活性層105だけである。
【0014】しかして、この部分に発生した光hνは、
n−Ga0.95Al0.05As活性層105と二つのクラッ
ド層、つまりp−Ga0.7 Al0.3 As第1クラッド層
104およびn−Ga0.7 Al0.3 As第2クラッド層
106で形成される、スラブ状(層状)光導波路により
導波される。
【0015】その際、p−Ga0.7 Al0.3 As第1ク
ラッド層104の厚さが相対的に薄い、前記ストライプ
溝103の脇では、図2に矢印で示したように、導波光
の一部が漏れてn−GaAs電流阻止兼光吸収層102
に吸収される。
【0016】この光吸収の作用により、導波光は、前記
ストライプ溝103の直上の導波路に閉じ込められ、そ
のモード姿態が安定されると理解されている。ところ
で、前記の光吸収にともない、n−GaAs電流阻止兼
光吸収層102中では電子−正孔対が発生する。
【0017】たとえば、図3(b)に白丸で示した正孔
は、電位勾配によってp−Ga0.7Al0.3 As第1ク
ラッド層(コレクタ)104へ排出される。その結果、
n−GaAs電流阻止兼光吸収層(ベース)102に
は、黒丸で示した電子だけが残される。これは、ベース
への電子の注入とみなすことができる。
【0018】この電子の注入を電流値(光誘起電流)I
OPT で表わすとすると、これが前記の帯電の原因である
再結合を電流値に直したIREC よりも大きい場合には帯
電が消去されるから、n−GaAs電流阻止兼光吸収層
102はその機能を失うことになる。
【0019】したがって、IOPT <IREC の関係は、内
部ストライプ構造が機能するのに必要な条件であるとい
える。この条件は、小数キャリア(正孔)の拡散長Lp
がn−GaAs電流阻止兼光吸収層102の厚さdCB
りも小さい、つまりLp <dCBのときに満たされる。
【0020】図4は、小数キャリアの拡散長と多数キャ
リアの濃度との関係を示すものである。この図によれ
ば、容易に実現できる電子濃度範囲n=2〜3×1018
cm-3においては、小数キャリア(正孔)の拡散長Lp
の値が1μm以下になるから、n−GaAs電流阻止兼
光吸収層102の厚さdCBを約1μmとすることができ
る。
【0021】これは、結晶成長などの製造技術力と半導
体レーザ素子の光学的素子としての寸法限定を考慮する
とき、満足すべきものである。これらの条件により、V
SIS構造の半導体レーザ素子における主要部の寸法
は、たとえばn−Ga0.95Al0.05As活性層105の
厚さが0.03〜0.1μm、ストライプ溝103の直
上のp−Ga0.7 Al0.3 As第1クラッド層104の
厚さが1〜2μm、ストライプ溝103以外でのp−G
0.7 Al0.3 As第1クラッド層104の厚さが0.
1〜0.4μm、n−Ga0.7 Al0.3 As第2クラッ
ド層106の厚さが1〜2μm、n−GaAs電流阻止
兼光吸収層102の厚さdCBが0.8〜1.5μm、ス
トライプ溝103の幅wが3.5〜4.5μmとなる。
【0022】しかし、電流阻止兼光吸収層をp型とする
とき、次のような問題が生じる。すなわち、図4に示す
ように、この場合の小数キャリアである電子の拡散長L
n は、電流阻止兼光吸収層をn型としたときの小数キャ
リアである正孔の拡散長Lp の数倍ある。このため、前
述の理由により素子の制作が困難となっている。
【0023】この従来例の要点は、電流阻止兼光吸収層
をn導電型としたことと、電流阻止兼光吸収層の厚さを
小数キャリアの拡散長と対応づけたことにある。用いら
れている材料が、GaAsあるいはAlGaAsに限定
されているが、それはこの提案がなされた時点での技術
水準によるものであり、この二つの要点は材料となる結
晶を選ばずに半導体レーザ素子に一般に適用できる。
【0024】事実、その後に開発されて量産されている
(Gax Al1-x0.5 In0.5 P(0≦x≦1)を用
いる赤色の可視半導体レーザ素子においても、この二つ
の要点を含む内部ストライプ構造が用いられている。
【0025】図5は、上記した二つの要素を含む内部ス
トライプ構造の、赤色可視半導体レーザ素子の概略構成
を示すものである。これは、たとえば特開昭62−20
0785号あるいは特開昭62−200786号公報に
て開示された、いわゆるSBR構造で、n−GaAs基
板111上にn−GaAsバッファ層112、n−In
GaPバッファ層113、n−InGaAlPクラッド
層114、InGaP活性層115、およびp−InG
aAlPクラッド層116,117,118からなるダ
ブルヘテロ接合構造部が形成されている。
【0026】上記p−InGaAlPクラッド層117
は、低Al組成であり、エッチング・ストップ層として
作用し、上記p−InGaAlPクラッド層118は、
ストライプ状に加工されてストライプ状リブを構成して
いる。
【0027】このp−InGaAlPクラッド層118
の上には、p−InGaAlPコンタクト層119およ
びp−GaAsコンタクト層120が形成され、これら
p−InGaAlPクラッド層118、p−InGaA
lPコンタクト層119、およびp−GaAsコンタク
ト層120の側面には、n−GaAs電流阻止兼光吸収
層121が形成されている。
【0028】また、上記p−GaAsコンタクト層12
0、およびn−GaAs電流阻止兼光吸収層121の上
部には、p−GaAsキャップ層122が形成されてい
る。そして、このp−GaAsキャップ層122の上面
にはp側電極123が、また上記n−GaAs基板11
1の下面にはn側電極124がそれぞれ形成された構成
とされている。
【0029】この場合の主要部の寸法は、たとえばn−
InGaAlPクラッド層114の厚さが1〜2μm、
InGaP活性層115の厚さが0.03〜0.06μ
m、p−InGaAlPクラッド層116,117,1
18からなるリッジ部分の厚さが1〜2μm、p−In
GaAlPクラッド層116,117からなるリッジ以
外の部分の厚さが0.1〜0.4μm、n−GaAs電
流阻止兼光吸収層121の厚さが0.8〜1.5μm、
およびp−InGaAlPクラッド層118のリブ(リ
ッジの底の部分)の幅が4〜6μmとなっている。
【0030】このような構造の赤色可視半導体レーザ素
子においては、p側電極123より注入された電子が、
p−GaAsキャップ層122を介し、n−GaAs電
流阻止兼光吸収層121のストライプ状の開口部より、
p−GaAsコンタクト層120、p−InGaAlP
コンタクト層119、p−InGaAlPクラッド層1
18,117,116、InGaP活性層115、n−
InGaAlPクラッド層114、n−InGaPバッ
ファ層113、n−GaAsバッファ層112、n−G
aAs基板111を順に経て、n側電極124に流れ
る。
【0031】この場合、先の従来例とは結晶材料が異な
り、また上下が入れ替わった形態をしている点で異なる
が、ストライプ状の領域のみに電流と光とを限定する構
成は同様である。
【0032】このような内部ストライプ構造(より厳密
には屈折率導波型に分類される内部ストライプ構造)を
有する半導体レーザ素子においては、電流阻止と光吸収
の二つの作用を一つの層に行わせることができるため、
光の横モード姿態の安定化を比較的容易に実現できる。
【0033】また、比較的に大出力に適した構造でもあ
り、量産されている近赤外半導体レーザ素子および可視
半導体レーザ素子の多くに、この構造が用いられてい
る。しかしながら、先に述べた二つの従来例において
は、光励起により発生する電流(光誘起電流)IOPT
制御する必要から、事実上、電流阻止兼光吸収層の導電
型がn導電型に限定される。このことは、半導体レーザ
素子を駆動する電源の極性に制約を加えることになる。
【0034】すなわち、半導体レーザ素子は、通常、活
性層で発生する熱を効率良く取り去るために基板の反対
側がヒートシンクに接着される。一般に、ヒートシンク
は素子外囲器と同電位で、かつ共通端子に接続されるの
が普通である。このため、最初に示した近赤外半導体レ
ーザ素子では正電源が専ら用いられ、次に示した赤色可
視半導体レーザ素子では負電源が専ら用いられることに
なる。このような電源の極性への制約は、実用上、不具
合となる場合がある。
【0035】このような不具合に対し、たとえば特開平
3−62584号公報により、電源の極性への制約を解
決できる半導体レーザ素子が提案されている。図6は、
電源の極性への制約を解決できる半導体レーザ素子の概
略構成を示すものである。
【0036】これは、たとえばp−GaAs基板131
上にp−GaAsバッファ層132、p−InGaPバ
ッファ(通電容易)層133、p−InGaAlPクラ
ッド層134、InGaAlP活性層135、n−In
GaAlPクラッド層136,137,138が順に形
成されている。
【0037】上記n−InGaAlPクラッド層138
は、ストライプ状に加工されてストライプ状リブを構成
している。また、上記n−InGaAlPクラッド層1
37の上部、およびn−InGaAlPクラッド層13
8の側面には、p−InGaAlP電流阻止層139が
形成されている。
【0038】さらに、上記p−InGaAlP電流阻止
層139の上部、およびこのp−InGaAlP電流阻
止層139のストライプ状の開口部より露出する上記n
−InGaAlPクラッド層138の上部には、n−G
aAsキャップ層140が形成されている。
【0039】そして、このn−GaAsキャップ層14
0の上面にはp側電極141が、また上記p−GaAs
基板131の下面にはn側電極142がそれぞれ形成さ
れた構成とされている。
【0040】すなわち、この半導体レーザ素子は、前記
のSBR構造におけるn−GaAs電流素子兼光吸収層
121に変えて透明なp−InGaAlP電流阻止層1
39を用いることで、光誘起電流IOPT の発生の原因を
取り除くようにしたものであり、これによって電流阻止
層の導電型がn導電型に限定されないようにしたもので
ある。
【0041】この構造の場合、バンドギャップの大きさ
を、InGaAlP活性層135<p−InGaAlP
クラッド層134,n−InGaAlPクラッド層13
6,137,138<p−InGaAlP電流阻止層1
39と設定することにより、InGaAlP活性層13
5から漏れてくる光に対してはp−InGaAlP電流
阻止層139が透明であるため、光誘起電流IOPT が発
生されることがない。
【0042】しかし、透明なp−InGaAlP電流阻
止層139を用いた代償として、リッジ直下に光を閉じ
込めるための導波路の形成には、先に述べた従来例にお
いて用いた光吸収による効果を利用することができな
い。
【0043】そこで、この従来例では、屈折率の大きさ
を、n−InGaAlPクラッド層136,137,1
38<p−InGaAlP電流阻止層139と設定する
ことで、InGaAlP活性層135と二種のクラッド
層、つまりp−InGaAlPクラッド層134および
n−InGaAlPクラッド層136,137,138
で構成される、スラブ状導波路におけるInGaAlP
活性層135での実効屈折率をリッジ直下>リッジ外と
し、このリッジ直下に光を閉じ込めるようにしている。
【0044】このように、本従来例におけるストライプ
状光導波路は等価屈折率の実数部分の差により形成され
るものであるため、実屈折率型光導波路に分類される。
なお、先に述べた従来例の場合は、ストライプ状光導波
路がいずれも光吸収損失(損失は実効屈折率の虚数部で
表わされる)の差により形成されるものであるため、複
素屈折率型光導波路に分類される。
【0045】実屈折率型光導波路をもつ半導体レーザ素
子には、複素屈折率型光導波路をもつ半導体レーザ素子
と比べた場合、しきい値電流が低く、駆動電流の増加量
に対する光出力の増加量の比で定義されるスロープ効率
が高い、また、非点隔差が小さい(実屈折率型光導波路
をもつ半導体レーザ素子の非点隔差は一般に5μm以下
であり、複素屈折率型光導波路をもつ半導体レーザ素子
の非点隔差は10μm前後である)、さらには光出力が
1本の縦モードに集中するので、光の可干渉性が高いな
どの長所がある。
【0046】一方、出射光の一部が素子に戻ってきた場
合、あるいは素子の温度が変化した場合、縦モードのホ
ッピングが生じやすいという欠点がある。縦モードのホ
ッピングは、出射光量の揺らぎをともなうため、光ディ
スク装置などの光量を信号量とする機器においては致命
的な雑音増加をもたらす。
【0047】このように、この従来例構造の半導体レー
ザ素子によれば、電源の極性への制約を回避することは
できるが、雑音も大きくなり、電源の極性に対する制約
を回避することとモード・ホッピング雑音を抑制するこ
とは両立できないという欠点があった。
【0048】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
においては、電源の極性に対する制約を回避するように
した場合、モード・ホッピング雑音が大きくなるなどの
問題があった。そこで、この発明は、電源の極性に対す
る制約を回避でき、しかもモード・ホッピング雑音を十
分に小さくすることが可能な半導体レーザ装置を提供す
ることを目的としている。
【0049】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明の半導体レーザ装置にあっては、第1導
電型の半導体結晶で形成される基板と、この基板の上
に、バンドギャップがEgc1で、屈折率がnc1の第1導
電型の半導体結晶で形成される第1クラッド層と、この
第1クラッド層の上に、バンドギャップがEga で、屈
折率がna であって、Egc1>Ega かつnc1<na
第1または第2導電型の直接遷移型半導体結晶で形成さ
れる活性層と、この活性層の上に、ストライプ状の凸部
を有し、バンドギャップがEgc2で、屈折率がnc2であ
って、Egc2>Ega かつnc2<na の第2導電型の半
導体結晶で形成される第2クラッド層と、この第2クラ
ッド層の前記凸部に対応して形成された、ストライプ状
の電流注入用開口部を有し、バンドギャップがEg
cbで、屈折率がncbの第1導電型の半導体結晶で形成さ
れる電流阻止層と、この電流阻止層の上、およびその電
流阻止層の前記電流注入用開口部に露出する前記第2ク
ラッド層の凸部の上に、バンドギャップがEgcpで、屈
折率がncpであって、Egcp<Ega の第2導電型の半
導体結晶で形成されるキャップ層と、このキャップ層の
上に金属で形成される第1電極と、前記基板の下に金属
で形成される第2電極とを具備し、光導波および電流狭
窄を行うものにおいて、前記電流阻止層の光学的厚さを
前記導波光の波長以下とし、かつEgcb>Ega とした
構成とされている。
【0050】
【作用】この発明は、上記した手段により、リッジ直下
に光を閉じ込めるための導波路の形成に光吸収による効
果を利用できるようになるため、モード・ホッピング雑
音を抑制することが可能となり、かつ電源の極性に対す
る制約を回避できる構造を与えるものである。
【0051】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照して説明する。図1は、本発明にかかる半導体レーザ
素子の概略構成を示すものである。すなわち、この半導
体レーザ素子は、たとえばp−GaAs(ガリュウム・
ヒ素)基板11上にp−GaAsバッファ層12、通電
容易層としてのp−InGaP(インジュウム・ガリュ
ウム・リン)バッファ層13、第1クラッド層としての
p−InGaAlP(インジュウム・ガリュウム・アル
ミニュウム・リン)クラッド層14、InGaP活性層
15、およびn−InGaAlPクラッド層(第2クラ
ッド層)16,17,18が順に形成されている。
【0052】このn−InGaAlPクラッド層18
は、ストライプ状に加工されてストライプ状リブ(凸
部)を構成している。また、上記n−InGaAlPク
ラッド層17の上部、およびn−InGaAlPクラッ
ド層18の側面には、このn−InGaAlPクラッド
層18の上面に対応してストライプ状の電流注入用開口
部が設けられたp−InGaAlP電流阻止層19が形
成されている。
【0053】さらに、上記p−InGaAlP電流阻止
層19の上部、およびこのp−InGaAlP電流阻止
層19の電流注入用開口部より露出する上記n−InG
aAlPクラッド層18の上部には、n−GaAsキャ
ップ層20が形成されている。
【0054】そして、このn−GaAsキャップ層20
の上面にはn側電極(第1電極)21が、また上記p−
GaAs基板11の下面にはp側電極(第2電極)22
がそれぞれ形成された構成とされている。
【0055】p−InGaAlPクラッド層14は、た
とえばp導電型(第1導電型)の半導体結晶である(G
0.3 Al0.70.5 In0.5 P(バンドギャップをE
c1、屈折率をnc1とする)からなり、その厚さが約1
μmとされている。
【0056】InGaP活性層15は、たとえばp導電
型またはn導電型(第2導電型)の直接遷移型半導体結
晶であるGaInP(バンドギャップをEga 、屈折率
をna とし、Egc1>Ega かつnc1<na とする)か
らなり、その厚さが約0.05μmとされている。
【0057】n−InGaAlPクラッド層16,1
7,18は、たとえばn導電型の半導体結晶である(G
0.3 Al0.70.5 In0.5 P(バンドギャップをE
c2、屈折率をnc2とし、Egc2>Ega かつnc2<n
a とする)からなり、リブ(n−InGaAlPクラッ
ド層18)の設けられたリッジ部分の厚さが約1.2μ
m、リッジ以外の厚さが約0.2μmとされている。
【0058】また、リッジ部分の最大幅(底部)は約6
μmとされている。p−InGaAlP電流阻止層19
は、たとえばp導電型の半導体結晶であるIn0.5 (G
0.8 Al0.20.5 P(バンドギャップをEgcb、屈
折率をncbとし、Egcb>Ega かつncb>nc2とす
る)からなり、正孔濃度pが約5×1018cm-3で、そ
の厚さdCBが約0.1μmとされている。
【0059】そして、前記p−InGaAlP電流阻止
層19のストライプ状の電流注入用開口部の、その長軸
に直交する一対の反射面を有し、厚さが約100μm、
幅が約300μm、長さ(共振器長)が約300μmの
ほぼ直方体の外形を有して、半導体レーザ素子は構成さ
れる。
【0060】このような構造の半導体レーザ素子におい
ては、p−InGaAlP電流阻止層19の屈折率ncb
が、n−InGaAlPクラッド層16,17,18の
屈折率nc2よりも大きく設定されているため、実屈折率
型光導波路は形成されない。
【0061】すなわち、p−InGaAlP電流阻止層
19の厚さが十分に小さい、つまり厚さdCBが約0.1
μmとされているため、リッジ直下のInGaP活性層
15から漏れ出した光の大部分が、p−InGaAlP
電流阻止層19をこえてn−GaAsキャップ層20に
吸収されることとなり、複素屈折率型光導波路が形成さ
れる。
【0062】モード・ホッピング雑音が比較的小さいこ
と、非点隔差が10μm前後と比較的大きいことなどに
より、複素屈折率型光導波路が形成されていることが実
際に確かめられる。
【0063】このような素子特性を得るためには、p−
InGaAlP電流阻止層19の光学的厚さ(厚さに屈
折率を乗じた値)を発振波長以下に設定する必要があ
る。しかして、このような構造、つまり図6に示した従
来の半導体レーザ素子で用いられているp−InGaA
lP電流阻止層139よりも薄くて、バンドギャップが
小さく、屈折率の大きい、p−InGaAlPからなる
電流阻止層19を挿入した構成の半導体レーザ素子にお
いては、安定した性能(つまり、発振波長670nm、
横モード単一、発振しきい値電流40mA、スロープ効
率0.5W/Aであった)が得られた。
【0064】このように、本実施例素子においては、電
源の極性に対する制約を回避できる内部ストライプ構造
とするとともに、モード・ホッピング雑音の小さい複素
屈折率型光導波路を合わせもつ構造となっている。
【0065】上記したように、リッジ直下に光を閉じ込
めるための導波路の形成に光吸収による効果を利用でき
るようにしている。すなわち、電流阻止層に活性層より
もバンドギャップの大きな結晶材料を用いるとともに、
電流阻止層の光学的厚さを光の波長よりも薄くするよう
にしている。これにより、光誘起電流IOPT の発生を阻
止できるとともに、キャップ層によって光を吸収できる
ようになるため、電源の極性に対する制約を回避できる
内部ストライプ構造において、モード・ホッピング雑音
を抑制することが可能となる。したがって、電源の極性
に対する制約を回避することとモード・ホッピング雑音
を抑制することの両立が可能となり、電源の極性に対す
る制約がなく、しかもモード・ホッピング雑音の小さい
半導体レーザ素子を実現できるものである。
【0066】なお、上記実施例においては、二重異種接
合構造(Double Hetero−structu
re)および電流阻止層の材料としてInGaAlPを
用いた半導体レーザ素子について説明したが、これに限
らず、たとえばAlGaAs(アルミニュウム・ガリュ
ウム・ヒ素)を用いた半導体レーザ素子にも適用でき
る。
【0067】また、現在開発が進められているZnSe
(ジンクセレン)などのII-VI 族結晶を用いた青色半導
体レーザ素子にも適用できる。その他、この発明の要旨
を変えない範囲において、種々変形実施可能なことは勿
論である。
【0068】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、電源の極性に対する制約を回避でき、しかもモード
・ホッピング雑音を十分に小さくすることが可能な半導
体レーザ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる半導体レーザ素子
の構造を概略的に示す断面図。
【図2】従来技術とその問題点を説明するために示す半
導体レーザ素子の断面図。
【図3】同じく、電流阻止層を横切る位置でのエネルギ
ーバンド構造を説明するために示す図。
【図4】同じく、電流阻止層における電子の拡散長およ
び正孔の拡散長に対するキャリア濃度の依存特性につい
て説明するために示す図。
【図5】同じく、複素屈折率型光導波路をもつ半導体レ
ーザ素子の概略構成を示す断面図。
【図6】同じく、実屈折率型光導波路をもつ半導体レー
ザ素子の概略構成を示す断面図。
【符号の説明】
11…p−GaAs基板、14…p−InGaAlPク
ラッド層(第1クラッド層)、15…InGaAlP活
性層、16,17,18…n−InGaAlPクラッド
層(第2クラッド層)、19…p−InGaAlP電流
阻止層、20…n−GaAsキャップ層、21…n側電
極(第1電極)、22…p側電極(第2電極)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の半導体結晶で形成される基
    板と、 この基板の上に、バンドギャップがEgc1で、屈折率が
    c1の第1導電型の半導体結晶で形成される第1クラッ
    ド層と、 この第1クラッド層の上に、バンドギャップがEga
    で、屈折率がna であって、Egc1>Ega かつnc1
    a の第1または第2導電型の直接遷移型半導体結晶で
    形成される活性層と、 この活性層の上に、ストライプ状の凸部を有し、バンド
    ギャップがEgc2で、屈折率がnc2であって、Egc2
    Ega かつnc2<na の第2導電型の半導体結晶で形成
    される第2クラッド層と、 この第2クラッド層の前記凸部に対応して形成された、
    ストライプ状の電流注入用開口部を有し、バンドギャッ
    プがEgcbで、屈折率がncbの第1導電型の半導体結晶
    で形成される電流阻止層と、 この電流阻止層の上、およびその電流阻止層の前記電流
    注入用開口部に露出する前記第2クラッド層の凸部の上
    に、バンドギャップがEgcpで、屈折率がncpであっ
    て、Egcp<Ega の第2導電型の半導体結晶で形成さ
    れるキャップ層と、 このキャップ層の上に金属で形成される第1電極と、 前記基板の下に金属で形成される第2電極とを具備し、 光導波および電流狭窄を行う半導体レーザ装置におい
    て、 前記電流阻止層の光学的厚さを前記導波光の波長以下と
    し、かつEgcb>Ega としたことを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記第1導電型がp導電型であり、前記
    第2導電型がn導電型であることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記基板および前記キャップ層を構成す
    る結晶材料がGaAsであり、前記第1クラッド層、前
    記活性層、および前記第2クラッド層を構成する結晶材
    料がそれぞれ(Gax Al1-x0.5 In0.5 P(ただ
    し、xの値は層によって異なり、0≦x≦1)であり、
    前記電流阻止層を構成する結晶材料がAly Ga1-y
    s(0≦y<1)または(Gaz Al1-z0.5 In
    0.5 P(0≦z≦1)であることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体レーザ装置。
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