JPH07301679A - 人体検出装置 - Google Patents

人体検出装置

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Publication number
JPH07301679A
JPH07301679A JP11586094A JP11586094A JPH07301679A JP H07301679 A JPH07301679 A JP H07301679A JP 11586094 A JP11586094 A JP 11586094A JP 11586094 A JP11586094 A JP 11586094A JP H07301679 A JPH07301679 A JP H07301679A
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JP
Japan
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infrared
human body
reference value
sensor
infrared sensor
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP11586094A
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English (en)
Inventor
Toshiya Honda
俊也 本田
Atsuhiko Kimura
篤彦 木村
Shigeru Okabayashi
繁 岡林
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 人とその他の物体とを確実に識別検出する。 【構成】 赤外線を透過しない円筒形の鏡筒5、6に凹
面反射鏡7、8が設けられ、各凹面反射鏡により8〜1
3μmの広い波長帯域の赤外域透過フィルタ3および人
の放射する赤外線の放射強度のピーク波長をほぼ中心と
する9〜10μmの狭い波長帯域の赤外域透過フィルタ
4を透過して、対象物からの赤外線が赤外線センサ1と
赤外線センサ2に集光される。マイクロコンピュータ1
1では、赤外線センサ1の出力電圧がメモリ12に記憶
された人体に対応する電圧基準値と比較し、さらに赤外
線センサ1、2の電圧比が電圧比基準値と比較すること
により赤外線放射強度の大きさとピーク波長が異なるこ
とを利用して人を他の物体から識別判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体より放射される赤
外線から人の存在を検出する人体検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の人体より放射される赤外線を検知
して人の存在を検出する人体検出装置としては、例え
ば、図12に示すようなものがある。これは、人体81
より放射される赤外線82を検出する焦電型赤外線セン
サ83を用いたものであり、物体の温度によって放射す
る赤外線の量が異なることを利用したものである。物体
から放射される赤外線は、図13に示されるように、そ
の物体の温度により放射強度が変化し、温度が高いほ
ど、放射強度が大きくなっている。人の顔の表面温度は
32℃、すなわち32+273=305K付近であり、
図中、300Kの曲線が人体の放射する赤外線の放射強
度に相当する。この曲線は放射強度を波長別に見ると、
9.5μm付近にピークが存在している。なお、熱型の
赤外線センサは、赤外線を熱としてとらえ、その強度に
応じて電圧を出力しているので、電圧によって物体の温
度を推定することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の人体検出装置にあっては、1種類の測定波長
帯域、例えば8〜13μmの放射強度を測定するように
なっていたため、物体の放射率によって温度測定に誤差
が生じ、32℃付近の高放射率の人体と、高温で低放射
率の、例えばヘッドランプ等の物体との判別が難しく、
ヘッドランプ等を人と誤判別してしまうことがあるとい
う問題があった。本発明は、このような従来の問題点に
着目してなされたものであり、ヘッドランプ等の高温で
低放射率の物体からも人を確実に識別し検出することが
できる人体検出装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため請求項1に記載
の本発明は、広い波長帯域の第1の赤外域透過フィルタ
と、人体の放射する赤外線の放射強度のピーク波長をほ
ぼ中心とする狭い波長帯域の第2の赤外域透過フィルタ
と、前記第1および第2の赤外域透過フィルタを透過し
た赤外線をそれぞれ検出する第1の赤外線センサと第2
の赤外線センサと、これら各赤外線センサの出力を入力
し、人体とその他の物体の赤外線放射強度の大きさとピ
ーク波長の相違に基づいて人体を判別する判別手段とを
有するものとした。
【0005】上記の判別手段は、第1の赤外線センサの
出力を第1の基準値と比較して第1段階の判別を行な
い、さらに第1の赤外線センサの出力と第2の赤外線セ
ンサの出力の比を第2の基準値と比較して第2段階の判
別を行なうものとすることができる。さらに判別手段
は、環境温度を検出する温度計測手段を備え、上記第1
の基準値または第2の基準値の少なくとも何れかを環境
温度によって補正するものとしてもよい。そして、第1
の赤外域透過フィルタおよび第1の赤外線センサと、第
2の赤外域透過フィルタおよび第2の赤外線センサと
は、互いに同軸線上に配置され、それぞれ反射鏡を用い
て、赤外線を各赤外線センサに集光するように構成する
ことができる。
【0006】また請求項5に記載の発明は、互いに異な
る波長帯域の第1の赤外域透過フィルタおよび第2の赤
外域透過フィルタと、第1および第2の赤外域透過フィ
ルタを透過した赤外線をそれぞれ検出する第1の赤外線
センサおよび第2の赤外線センサと、これら各赤外線セ
ンサの出力に基づいて人体を判別する判別手段とを有
し、第1の赤外線センサと第2の赤外線センサとは、そ
れぞれの面上に上記第1の赤外域透過フィルタと第2の
赤外域透過フィルタが配されるとともに、1つのパッケ
ージ内に並置されて、互いの極性を逆に直列接続され、
第1および第2の赤外域透過フィルタの各波長帯域が、
人体から放射された赤外線の第1および第2の赤外線セ
ンサに入力するエネルギー量が等しくなるように設定さ
れているものとした。第1および第2の赤外線センサは
サーモパイルで形成し、判別手段は、上記直列接続され
た第1および第2の赤外線センサの両端出力を第3の基
準値と比較して、この第3の基準値よりも小さいとき対
象物を人体と判別することができる。
【0007】
【作用】請求項1に記載のものでは、広い波長帯域の第
1の赤外域透過フィルタを透過した赤外線により、対象
物から放射された放射強度に基づきその放射総量に対応
する出力が第1の赤外線センサから出力される。一方、
第2の赤外線センサからは、人体の放射する赤外線の放
射強度のピーク波長をほぼ中心とする狭い波長帯域の第
2の赤外域透過フィルタにより、対象物が人体の場合に
はその放射強度のピークに対応した特有の所定の放射総
量に対応する出力が第2の赤外線センサから出力され
る。判別手段では、上記第1の赤外線センサおよび第2
の赤外線センサの出力を組み合わせて用い、人体の場合
に特有の基準値と比較することにより、人体とその他の
物体とを識別判別する。
【0008】とくに、第1の赤外線センサの出力を例え
ば人体からの場合の放射総量に対応する第1の基準値と
比較して第1段階の判別を行なったうえ、第1の赤外線
センサの出力と第2の赤外線センサの出力の比を第2の
基準値と比較して第2段階の判別を行なうことにより、
人体とその他の物体とが容易に判別される。また、環境
温度を検出して上記の基準値を環境温度によって補正す
ることにより、外気温の変動に起因して人体からの赤外
線の放射強度などが変わっても、精度よく人と他の物体
とが判別される。
【0009】また請求項5のものは、透過波長帯域の異
なる2つの赤外域透過フィルタを備え並置された赤外線
センサがその極性を逆にして直列に接続され、赤外域透
過フィルタの各波長帯域が、人体から放射された赤外線
の第1および第2の赤外線センサに入力するエネルギー
量が等しくなるように設定されているので、人体から放
射する赤外線が入射したときには、2つの赤外線センサ
の両端出力が0になる。判別手段はこの出力0の状態か
ら人体の存在を検出する。
【0010】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図
1は、本発明の第1の実施例の構成を示すブロック図で
ある。センシング部20からの出力信号が、増幅回路9
に入力され、A/D変換器10を介して、マイクロコン
ピュータ11に入力される。マイクロコンピュータ11
はメモリ12が付設され、メモリ12に記憶されている
人体の赤外線放射強度を基とした基準値と、対象物体の
赤外線放射強度に応じた入力値とを比較して、計測対象
が人体であるか否かを判断する。
【0011】センシング部20は、赤外線を熱に変換し
て電気信号として出力するサーモパイル型または焦電型
等の熱型の赤外線センサ1および2を備え、その前面に
は、各々必要な赤外線だけを通し不要な赤外線をカット
する赤外域透過フィルタ3および4が設置されている。
図2は赤外域透過フィルタの透過率特性を示し、赤外線
センサ1前面の赤外域透過フィルタ3は、曲線Aのよう
に8〜13μmの波長帯を通す透過率特性を有し、赤外
線センサ2前面の赤外域透過フィルタ4は、曲線Bのよ
うに9〜10μmの波長帯を通す透過率特性を有する。
【0012】また、赤外線を透過しない材料で作られ、
同軸に設けられた円筒形の鏡筒5および6には、各々前
方から入射した赤外線を集光する球面等で形成された凹
面反射鏡7および8が取り付けられており、これら凹面
反射鏡7および8の焦点近傍に、赤外線センサ1および
2が各々配置されている。赤外線センサ1および2の出
力がセンシング部20の出力として増幅回路9に入力さ
れ、増幅回路9は赤外線センサ1および2からの出力の
各々を増幅する2チャンネル構成となっている。
【0013】物体より放射され前方から(図1では左方
から)鏡筒5に入射した赤外線は、凹面反射鏡7で集光
され、広い波長帯域、すなわち波長帯8〜13μmを通
す赤外域透過フィルタ3を通り赤外線センサ1に入力す
る。また、鏡筒6に入射した赤外線は、凹面反射鏡8で
集光され、狭い波長帯域、すなわち波長帯9〜10μm
を通す赤外域透過フィルタ4を通って赤外線センサ2に
入力する。その際、鏡筒5および6は同軸に重なって配
置されているので、平行光のみが入射し各赤外線センサ
に到達する。これにより、赤外線センサ1および2に
は、物体との距離に関係なく、物体の温度によって放射
する赤外線が入射される。
【0014】次に本実施例における人体判別の原理につ
いて説明する。赤外線センサ1および2は赤外線強度に
応じた電圧E1、E2を出力し、これらの電圧信号が増
幅回路9およびA/D変換器10を通してマイクロコン
ピュータ11に入力する。マイクロコンピュータ11で
は、まず、広い波長帯域8〜13μmの赤外域透過フィ
ルタ4を透過した波長帯λ1の放射強度を比較する。
図3に示すように、人体の放射強度を示す32℃高放射
率の曲線を基準として見ると、低温の物体は、低温で低
放射率の物体も、低温で高放射率の物体も、いずれも波
長が8〜13μm帯での放射の総量が人体のものより小
さいので、この放射総量により人体からの赤外線かどう
かが判別される。
【0015】高温の物体については、高温で高放射率の
物体は、波長が8〜13μm帯の放射の総量が人体より
も大きいので、この場合にも放射総量により人体からの
赤外線かどうかが判別される。一方、高温で低放射率の
物体に関しては、波長が8〜13μm帯の放射の総量は
人体の放射の総量とあまり差がなく、ほぼ同じになって
いる。このため、従来の1種類の測定波長帯域の放射強
度を測定する人体検出装置では判別ができなかったもの
である。このため、次に狭い波長帯9〜10μm(λ
2)の赤外域透過フィルタ3を透過した赤外線につい
て、高温で低放射率の物体と、人体とから放射される赤
外線の放射強度を比較する。
【0016】表面温度32℃付近の人の顔面より放射さ
れる赤外線の放射強度は、図4にロで示すように、9.
5μm付近にピークが存在する。これに対して、高温で
低放射率の物体からの放射強度のピークは、イのように
異なる波長に現われる。この結果、波長が8〜13μm
帯において放射総量が人体の放射総量とあまり差がない
物体との間でも、波長が9〜10μm帯での放射の総量
は、人体の方が、高温で低放射率の物体より大きく、相
違が見られる。すなわち、波長9〜10μm帯において
人体からの放射強度、したがってまた放射総量は特有の
所定の値をとることになり、これにより、人体からの赤
外線か、高温で低放射率の物体からのものかが判別され
る。
【0017】この実施例では、波長帯8〜13μmの赤
外域透過フィルタ3を透過し赤外センサ1に入力した赤
外線の放射の総量と、波長帯9〜10μmの赤外域透過
フィルタ4を透過した赤外線フィルタ2に入力した赤外
線の放射の総量の比、すなわち赤外線センサ1の出力電
圧E1と赤外線センサ2の出力電圧E2の比E1/E2
を算出する。そして、上記波長9〜10μm帯での人体
特有の所定値を用いてあらかじめメモリ12に格納され
ている電圧比の基準値と比較し、その結果から、対象が
人であるか否かを判別する。
【0018】ここで、上記の狭い帯域の赤外域フィルタ
の中心波長とバンド幅について説明する。ウィーンの変
位則によれば、 λmT=b ただし、λm:放射強度が最大となる波長 T:絶対温度 b:ウィーンの変位定数2897.8μm・k と表される。人の顔の温度は32℃程度であるので、 λm=2897.8÷(273+32)=9.5μm が得られる。 したがって、中心波長が9.5μmに設
定される。
【0019】また、バンド幅は、狭いほどよいが、実際
にはセンサの感度で決まる。ある波長範囲での放射強度
の総量は、次に示す分光放射発散度Mλをその波長範囲
で積分すればよいので、積分値がセンサの感度より大き
くなるように波長範囲を決めればよい。
【数1】 ただし、λ:波長(μm) T:絶対温度 C1 :第1放射定数(2πhc2 ) C2 :第2放射定数(ch/k) h:プランク定数 k:ボルツマン定数 c:光速 である。
【0020】次に、図5のフローチャートに従って、実
施例装置における処理の流れを説明する。装置を起動す
ると、まずステップ101において、メモリ12から予
め格納されている対象物体が人であるときの赤外線セン
サ1から出力される放射強度の総量に対応する電圧基準
値Vλ1が読み込まれる。また、ステップ102で、こ
の電圧基準値Vλ1と同様にメモリ12に格納されてい
る対象物体が人であるときの赤外線センサ2から出力さ
れる放射強度の総量に対応する電圧基準値Vλ2の比で
ある電圧比の基準値Vλ1/Vλ2=Rλ1/λ2が読
み込まれる。
【0021】さらにステップ103で、赤外線センサ1
の出力電圧V1が読み込まれ、ステップ104では赤外
線センサ2の出力電圧V2が読み込まれる。このあとス
テップ105において、赤外線センサ1の出力電圧V1
が、対象物体が人であるときの電圧基準値Vλ1に等し
いか否か、すなわちV1=Vλ1であるか否かがチェッ
クされる。そして等しければ対象物体は人である可能性
があるのでステップ106へ進む。V1=Vλ1でない
ときは、対象物体は人ではなく、人よりも低温の物体あ
るいは人よりも高温で高放射率の物体であることにな
り、この場合には、ステップ103へもどり計測を続け
る。
【0022】ステップ106では、赤外線センサ1の出
力電圧V1と赤外線センサ2の出力電圧V2との比R=
V1÷V2が算出される。そして、ステップ107で、
比の値Rが、ステップ102で読み込んだ電圧比の基準
値Rλ1/λ2に等しいか否か、すなわちR=R
λ1/λ2であるか否かがチェックされ、等しければ対
象物体は人であるのでステップ108へ進む。また、等
しくなければステップ103へもどり、計測を続ける。
ステップ108では、警報装置より警報を発するなど、
人を検出したときの対応処理が行なわれる。以降、装置
が停止されるまで、ステップ103〜ステップ108の
処理が繰り返される。
【0023】本実施例は以上のように構成され、広い波
長帯域と狭い波長帯域の2種類の赤外域透過フィルタを
使用するようにし、広い波長帯域の赤外域透過フィルタ
透過による放射総量を表わす赤外線センサ出力を基に第
1段階の判別を行ない、さらに狭い波長帯域の赤外域透
過フィルタ透過による赤外線センサ出力との比を基に第
2段階の判別を行なうものとしたので、人体以外の対象
物体を人と誤認識することが防止され、人を確実に検出
することができる。
【0024】次に、図6は本発明の第2の実施例を示
す。これは第1の実施例の構成に外気温度計を付加し、
電圧基準値および電圧比の基準値を外気温に応じて補正
するようにしたものである。すなわち、マイクロコンピ
ュータ11’に外気温を計測する外気温度計14が接続
されている。マイクロコンピュータ11’では、人の顔
の温度が気温とともに上下するので、メモリ12’から
読み出した各基準値を外気温に応じて補正したものを用
いて判断を行なう。メモリ12’には、電圧基準値およ
び電圧比の基準値のほか、温度による補正係数が記憶さ
れている。
【0025】図7は第2の実施例装置における処理の流
れを示すフローチャートである。なお、前実施例の制御
動作と同一処理内容のステップには図5のフローチャー
トと同一の符号を付して、その説明を省略する。ステッ
プ102のあと、ステップ201において、外気温度計
14により外気温Tが計測されると、ステップ202に
おいて、マイクロコンピュータ11’では外気温Tの値
に応じた補正係数aがメモリ12’より読み込まれる。
外気温Tと補正係数aとは一対一に対応したテーブル構
造をしており、外気温度Tが決まれば補正係数aが決ま
るようになっている。
【0026】このあとステップ103、104で各赤外
線センサ1、2の出力電圧V1、V2が入力されると、
ステップ203において、電圧基準値Vλ1に補正係数
aを乗じて外気温の補正を行った電圧基準値Vλ1×a
と、ステップ103で計測した赤外線センサ1の出力電
圧V1とが等しいか否か、すなわち、Vλ1×a=V1
であるか否かがチェックされ、等しいときには対象物体
が人である可能性が高いものとして、ステップ106へ
進む。また、Vλ1×a=V1でない場合には、ステッ
プ201へもどり計測を続ける。
【0027】ステップ106で出力電圧比Rが求められ
た後、ステップ204では、対象物体が人であるときの
電圧比の基準値に補正係数aを乗じて外気温の補正を行
った電圧比の基準値Rλ1/λ2×aと、ステップ10
6で算出した出力電圧比Rとが等しいか否か、すなわ
ち、R=Rλ1/λ2×aであるか否かがチェックされ
る。両者が等しければ、対象物体は人であるものと判断
されてステップ108へ進み、警報などの処理が行なわ
れた後、装置が停止されるまで、ステップ201〜ステ
ップ108の処理が繰り返される。また、R=R
λ1/λ2×aでない場合には、ステップ201へ戻り
計測を続ける。本実施例によれば、電圧基準値および電
圧比の基準値を外気温に応じて補正するようにしたの
で、外気温の変動により、人の顔面の温度が変化して赤
外線の放射強度の総量などが変わっても、精度よく人と
他の物体との識別判断が行なわれるという効果を有す
る。
【0028】図8および図9は、発明の第3の実施例を
示す。 図9は検知センサ40の詳細構造を示し、とく
に(a)はその縦断面図、(b)は縮尺を小さくした平
面図である。センシング部30が、後端部に凹面反射鏡
32を備えた鏡筒31内の中空位置に検知センサ40を
配置させて、鏡筒31の前端開口から入射した赤外線が
凹面反射鏡32によって検知センサ40に集光されるよ
うに構成されている。検知センサ40は判定部33に接
続されている。判定部33には後述する基準値が格納さ
れたメモリ34が接続されている。検知センサ40は、
支持台55とキャップ42で形成される空間内に赤外線
検出素子を組み込み収容したパッケージ41構造とさ
れ、キャップ42の中央部に、内部へ赤外線を入射させ
るための1〜15μm程度の波長を透過するSi、Ge
などの材料で作成された窓板43がはめこまれている。
【0029】パッケージ41の内部には、断熱材44で
隔離された2個の熱型赤外線検出素子45、46が並列
に設置されている。各熱型赤外線検出素子45、46は
各々透過帯域の異なる赤外域透過フィルタ47、48、
金黒などで作成された熱吸収膜49、50、サーモパイ
ルチップ51、52が、Siなどで形成された基板5
3、54上に積層されて、全体を支える支持台55上に
設置されている。サーモパイルチップ51、52のそれ
ぞれは、熱電対を数十対直列に接続して形成されたもの
である。なお、サーモパイルチップ51および52の冷
点は、常に同温度となるよう熱接続されている。サーモ
パイルチップ51とサーモパイルチップ52とは、極性
を逆にして直列に接続されており、サーモパイルチップ
51の一端は支持台55から外部へ延びるリード線56
に、サーモパイルチップ52の一端は同じくリード線5
7に接続され、2つのサーモパイルチップ51、52の
接続点はリード線58に接続されている。
【0030】検知センサ40は、その窓板43を凹面反
射鏡32に対向させて配置され、凹面反射鏡32で集光
された赤外線が窓板43内側の赤外域透過フィルタ4
7、48をカバーする位置に設置されている。赤外域透
過フィルタ47、48は、上記のように互いに透過帯域
を異ならせてある。すなわち、赤外域透過フィルタ47
は、図10のAに示すように、8〜λ0μmの赤外線を
透過し、赤外域透過フィルタ48はBのようにλ0〜1
3μmの赤外線を透過する。ここで、波長λ0μmは、
赤外域透過フィルタ47、48のそれぞれを透過したエ
ネルギー量が、人体が波長8〜13μmの帯域において
放射する総エネルギー量の1/2となる波長に設定して
ある。
【0031】すなわち、人体が波長8〜λ0μmの波長
帯において放射するエネルギー量とλ0〜13μmの波
長帯において放射するエネルギー量が等しくなるように
λ0が決定される。プランクの法則により、波長λにお
ける赤外放射エネルギ密度Wλは、
【数2】 で与えられる。 ただし、h:プランク定数 c:光速 T:絶対温度 K:ボルツマン定数
【0032】したがって、8〜13μm帯における絶対
温度T1の熱源が放射するエネルギー密度W8〜13
は、
【数3】 と表される。したがって、8〜λ0μmにおける人体の
放射エネルギー量とλ0〜13μmにおける人体の放射
エネルギー量が同一になるようにするためには、人体の
表面温度をTmとすると、
【数4】 を満足するλ0を求めることにより設定される。
【0033】以上のように構成された本実施例における
人の判別の原理を、次に図11により説明する。なお、
サーモパイルチップ51、52は、それぞれ熱電対を数
十対直列に接続したものであるが、図11では各1個の
熱電対として示してある。物体から放射された赤外線
は、鏡筒31の凹面反射鏡32で反射され、窓板43を
透過してパッケージ41内に入射する。入射した赤外線
のうち波長帯8〜λ0μmの赤外線は、赤外域透過フィ
ルタ47を透過し、熱吸収膜49に達する。同様に波長
帯λ0〜13μmの赤外線は、赤外域透過フィルタ48
を透過して、熱吸収膜50に達する。
【0034】熱吸収膜49、50は、それぞれ入射した
赤外線のもつエネルギー量に応じて温度が変化し、サー
モパイルチップ51および52の温点Hの温度を変化さ
せる。2つのサーモパイルチップ51および52の接点
66(図9ではリード線58)をグランドとすると、接
点66と接点67(図9ではリード線56)および接点
66と接点68(図9ではリード線57)の間にはサー
モパイルチップ51および52それぞれの温点Ha、H
bと冷点Ca、Cbの温度差に比例した電圧E1および
E2が生じる。
【0035】ここで、サーモパイルチップ51および5
2の冷点Ca、Cbは、常に同温度となるよう熱接続さ
れ、また、サーモパイルチップ51および52とは極性
を逆にして直列に接続されているので、接点67と接点
68の間には、|E1−E2|の電位差が生じる。その
際、人体が波長帯8〜λ0μmにおいて放射するエネル
ギー量と波長帯λ0〜13μmにおいて放射するエネル
ギー量が等しくなるように波長λ0が設定されているの
で、人体からの赤外線のみが入射した場合には、サーモ
パイルチップ51および52の温点Ha、Hbの温度は
同一になる。したがって、サーモパイルチップ51によ
って生じる電圧E1とサーモパイルチップ52によって
生じる電圧E2とは等しく、E1=E2となるので、接
点67と68の間の電位差は、 |E1−E2|=0 となる。
【0036】一方、人体以外、例えば車両のヘッドラン
プのような高温で低放射率の物体の放射強度について
は、前述の第1の実施例で説明した図4に示されたよう
に、波長帯8〜13μmにおける放射エネルギーの総量
が人体と略等しいので、総量だけの測定比較からは対象
物が人体か否かの判別が困難である。しかし、ヘッドラ
ンプの波長帯8〜λ0μmの放射するエネルギー量と波
長帯λ0〜13μmの放射エネルギー量とを比較する
と、波長帯8〜λ0μmの放射エネルギー量の方が大き
い。そのため、車両のヘッドランプなどでは、サーモパ
イルチップ51の温点Haの方がサーモパイルチップ5
2の温点Hbより高温となり、発生する電圧は、E1>
E2となる。この結果、接点67と68の間には、|E
1−E2|の電位差が発生する。
【0037】このように、人体から放射する赤外線が入
射したときにのみ、接点67と68の電位差はOVとな
り、人体以外の物体が放射する赤外線が入射したときに
は、何らかの電位差が生じる。判定部33では、検知セ
ンサ40の出力信号として上記接点67と68、すなわ
ちリード線56と57の間の電位差を測定し、その値が
測定誤差等を勘案して、メモリ34に格納されている所
定のしきい値以下となったときに人体を検出したと判断
する。
【0038】本実施例は以上のように、1つのパッケー
ジ内に2つの各々透過帯域の異なる赤外域透過フィルタ
とそれぞれの赤外域透過フィルタを透過した赤外線を検
出する熱型赤外線検出素子とを並列に配置して設け、熱
型赤外線検出素子を極性を逆にして直列に接続するとと
もに、人体から放射され各熱型赤外線検出素子に入力す
るエネルギー量が等しくなるように各赤外域透過フィル
タの透過波長帯を設定して、対象物が人体のときには電
圧を出力しないようにした。これにより、検知センサが
1個のみで済むため、第1、第2の実施例のように2重
の鏡筒および反射鏡を要することなく装置の光学系が簡
単で小型に構成される。しかも検知センサからの出力電
位差を基準のしきい値と比較するだけで人体を的確に検
出することができるので、判断のための処理回路も簡単
となる利点がある。
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明は、広い波長帯域
の第1の赤外域透過フィルタと、人体の放射する赤外線
の放射強度のピーク波長をほぼ中心とする狭い波長帯域
の第2の赤外域透過フィルタとを用いて、第1、第2の
赤外線センサでそれぞれの赤外域透過フィルタを透過し
た赤外線を検出し、その赤外線放射強度の大きさとピー
ク波長の相違に基づいて人体とその他の物体とを識別判
別するものとしたので、人体以外の対象物を人と誤認識
することが防止され、人を確実に検出することができる
という効果を有する。
【0040】また、第1、第2の赤外線センサと各赤外
域透過フィルタを並置して1つのパッケージとし、赤外
線センサを互いの極性を逆に直列接続するとともに、各
赤外域透過フィルタの各波長帯域を、人体から放射され
た赤外線の上記各赤外線センサに入力するエネルギー量
が等しくなるように設定したものでは、対象物が人体の
ときには直列接続した上記赤外線センサの両端出力が発
生しないので、装置の光学系が簡単で小型に構成され、
しかも検知センサからの出力電位差を基準のしきい値と
比較するだけで人体を的確に検出することができるの
で、判断のための処理回路も簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】2種類の赤外域透過フィルタの透過率の特性を
説明する図である。
【図3】物体の温度と放射率による放射強度の違いを示
す図である。
【図4】人体と高温で低放射率の物体との放射強度の違
いを説明する図である。
【図5】第1の実施例における処理の流れを示すフロー
チャートである。
【図6】第2の実施例の構成を示す図である。
【図7】第2の実施例における処理の流れを示すフロー
チャートである。
【図8】第3の実施例の構成を示す図である。
【図9】検知センサの詳細構造を示す図である。
【図10】センサの平面図である。
【図9】第2の実施例の全体構成を示す図である。
【図10】赤外域透過フィルタの透過率の特性を説明す
る図である。
【図11】第2の実施例における作動原理を示す説明図
である。
【図12】従来例を示す図である。
【図13】物体の温度と赤外線放射強度との関係および
人の放射強度を説明する図である。
【符号の説明】
1、2 赤外線センサ 3、4 赤外域透過フィルタ 5、6 鏡筒 7、8 凹面反射鏡 9 増幅回路 10 A/D変換器 20 センシング部 11、11’ マイクロコンピュータ 12、12’ メモリ 14 外気温度計 40 検知センサ 30 センシング部 31 鏡筒 32 凹面反射鏡 33 判定部 34 メモリ 41 パッケージ 42 キャップ 43 窓板 55 支持台 44 断熱材 45、46 熱型赤外線検出素子 47、48 赤外域透過フィルタ 49、50 熱吸収膜 51、52 サーモパイルチップ 53、54 基板 56、57、58 リード線 66、67、68 接点 Ca、Cb 冷点 Ha、Hb 温点
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】2種類の赤外域透過フィルタの透過率の特性を
説明する図である。
【図3】物体の温度と放射率による放射強度の違いを示
す図である。
【図4】人体と高温で低放射率の物体との放射強度の違
いを説明する図である。
【図5】第1の実施例における処理の流れを示すフロー
チャートである。
【図6】第2の実施例の構成を示す図である。
【図7】第2の実施例における処理の流れを示すフロー
チャートである。
【図8】第3の実施例の構成を示す図である。
【図9】検知センサの詳細構造を示す図である。
【図10】赤外域透過フィルタの透過率の特性を説明す
る図である。
【図11】第3の実施例における作動原理を示す説明図
である。
【図12】従来例を示す図である。
【図13】物体の温度と赤外線放射強度との関係および
人の放射強度を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 9406−2G G01V 9/04 J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 広い波長帯域の第1の赤外域透過フィル
    タと、人体の放射する赤外線の放射強度のピーク波長を
    ほぼ中心とする狭い波長帯域の第2の赤外域透過フィル
    タと、前記第1および第2の赤外域透過フィルタを透過
    した赤外線をそれぞれ検出する第1の赤外線センサと第
    2の赤外線センサと、これら各赤外線センサの出力を入
    力し、人体とその他の物体の赤外線放射強度の大きさと
    ピーク波長の相違に基づいて人体を判別する判別手段と
    を有することを特徴とする人体検出装置。
  2. 【請求項2】 前記判別手段は、前記第1の赤外線セン
    サの出力を第1の基準値と比較して第1段階の判別を行
    ない、さらに第1の赤外線センサの出力と第2の赤外線
    センサの出力の比を第2の基準値と比較して第2段階の
    判別を行なうものであることを特徴とする請求項1記載
    の人体検出装置。
  3. 【請求項3】 前記判別手段は、環境温度を検出する温
    度計測手段を備え、前記第1の基準値または第2の基準
    値の少なくとも何れかを環境温度によって補正すること
    を特徴とする請求項2記載の人体検出装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の赤外域透過フィルタおよび第
    1の赤外線センサと、第2の赤外域透過フィルタおよび
    第2の赤外線センサとは、互いに同軸線上に配置され、
    それぞれ反射鏡を用いて、赤外線を各赤外線センサに集
    光することを特徴とする請求項1、2または3記載の人
    体検出装置。
  5. 【請求項5】 互いに異なる波長帯域の第1の赤外域透
    過フィルタおよび第2の赤外域透過フィルタと、前記第
    1および第2の赤外域透過フィルタを透過した赤外線を
    それぞれ検出する第1の赤外線センサおよび第2の赤外
    線センサと、これら各赤外線センサの出力に基づいて人
    体を判別する判別手段とを有し、前記第1の赤外線セン
    サと第2の赤外線センサとは、それぞれの面上に前記第
    1の赤外域透過フィルタと第2の赤外域透過フィルタが
    配されるとともに、1つのパッケージ内に並置されて、
    互いの極性を逆に直列接続され、前記第1および第2の
    赤外域透過フィルタの各波長帯域が、人体から放射され
    た赤外線の前記第1および第2の赤外線センサに入力す
    るエネルギー量が等しくなるように設定されていること
    を特徴とする人体検出装置。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2の赤外線センサがサ
    ーモパイルで形成され、前記判別手段は、前記直列接続
    された第1および第2の赤外線センサの両端出力を第3
    の基準値と比較して、該第3の基準値よりも小さいとき
    対象物を人体と判別するものであることを特徴とする請
    求項5記載の人体検出装置。
JP11586094A 1994-05-02 1994-05-02 人体検出装置 Withdrawn JPH07301679A (ja)

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