JPH07300644A - Al−Pb−Mg−Cu−Gr焼結軸受合金 - Google Patents

Al−Pb−Mg−Cu−Gr焼結軸受合金

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JPH07300644A
JPH07300644A JP6126700A JP12670094A JPH07300644A JP H07300644 A JPH07300644 A JP H07300644A JP 6126700 A JP6126700 A JP 6126700A JP 12670094 A JP12670094 A JP 12670094A JP H07300644 A JPH07300644 A JP H07300644A
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Katsuhiro Nishiyama
勝廣 西山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度および耐摩耗性に優れたAl−P
b系焼結軸受合金を提供する。 【構成】 Pbが約16体積%、Mgが約3体積%、C
uが約0.6〜約3体積%、グラファイトが約2.4〜
約12体積%、残部がAlからなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の軸受材として使
用するAl−Pb−Mg−Cu−Gr焼結軸受合金(以
下、Al−Pb系焼結軸受合金という)に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近年
Al−Pb系合金については、軸受材料として利用する
ための種々の研究が行なわれている。
【0003】しかし、Al−Pb系合金は、非混和系合
金に属する合金であり、重力環境下での製造がきわめて
困難な合金系である。すなわち、AlとPbの比重差が
4.2倍と大きく、さらにこれらの相互溶解度がきわめ
て小さいため、通常の溶解法によりAl−Pb系合金を
製造しようとしても上下2相に分離し、冷却すれば別々
に凝固してしまう。また、粉末冶金的手法により製造し
ようとする場合には、その比重差のために混合過程にお
いてAl粉とPb粉が上下2相に分離しやすく均一に混
合することが困難である。
【0004】このような問題を克服するものとして、本
発明者はボールミル等を用いて粉末同士を圧接する機械
的混合法、粉末と液体が共存する際の凝集力を利用する
湿式混合法、あるいは適当な粒径の粉末に振動を加える
乾式振動混合法の3通りの方法で均一混合粉を得て、こ
れにMg粉を加えて活性焼結させることによりAl−P
b−Mg焼結軸受合金を容易に製造する方法を提案して
いる(特公昭62−6625号公報および特公昭62−
29497号公報参照)。
【0005】前述のAl−Pb−Mg焼結軸受合金は、
摩擦摩耗特性の最も代表的な特性の一つである比摩耗量
が従来の実用軸受合金である鉛青銅軸受とほぼ同程度の
性能を有している。
【0006】近年では、科学技術の高度化に伴って軸受
材が使用される分野も広範となっており、より精密性が
必要とされるとともに、苛酷な環境下での使用に耐えう
る、摩擦摩耗特性の優れた材料が要望されている。
【0007】本発明は、これらの実情に鑑みてなされた
ものであり、機械的強度および耐摩耗性に優れたAl−
Pb系焼結軸受合金を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため請求項1に記載の本発明のAl−Pb系焼結軸受合
金は、Pbが約16体積%、Mgが約3体積%、Cuが
約0.6〜約3体積%、グラファイトが約2.4〜約1
2体積%、残部がAlからなることを特徴としている。
【0009】また、請求項2に記載の本発明のAl−P
b系焼結軸受合金は、請求項1において、前記Cuおよ
びグラファイトは、Cu被覆グラファイト粉を素材とし
ていることを特徴としている。
【0010】また、請求項3に記載の本発明のAl−P
b系焼結軸受合金は、請求項1において、Alは平均粒
径が約10μmのAl粉を素材とし、Pbは平均粒径が
約20μmのPb粉を素材とし、Mgは平均粒径が約3
3μmのMg粉を素材とし、Cuおよびグラファイトは
平均粒径が約80μmのCu被覆グラファイト粉を素材
とすることを特徴としている。
【0011】前述した構成からなる本発明によれば、A
l粉、Pb粉、Mg粉、Cu粉、グラファイト粉、ある
いは、Cu粉とグラファイト粉の添加に代えてCu被覆
グラファイト粉を乾式混合法その他の方法により混合し
て混合粉を作製し、Pbが約16体積%、Mgが約3体
積%、Cuが約0.6〜約3体積%、グラファイトが約
2.4〜約12体積%、残部がAlからなる焼結軸受合
金を製造することにより、機械的強度および耐摩耗性に
優れたAl−Pb系焼結軸受合金を得ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例により説明
する。
【0013】まず、本発明のAl−Pb系焼結軸受合金
として最適なPb含有量を求めるためにAl粉とPb粉
とMg粉とをPb粉が11〜26体積%、Mg粉が3体
積%となるように配合してAl−11〜26体積%Pb
−3体積%Mg焼結軸受合金を製造する。前記Mg粉の
添加量は、予備試験による結果に基づき3体積%の一定
量とする。すなわち、Mg粉はAl粉同士若しくはA1
粉とPb粉との焼結助材として作用するものであり、M
g粉の添加量が0.5体積%以下では結合性が悪くな
り、一方、Mg粉はPb粉と結合しMg3Pbを生成す
るため、5.0体積%以上の添加量では合金の機械的強
度が大きくなりすぎ、Pb粉が発揮する合金の潤滑性が
阻害されてしまう。したがって、Mg粉の添加量は約3
体積%の場合がその機能を最も有効に発揮するのであ
る。そして、前記各粉末の平均粒径はAl粉が約10μ
m、Pb粉が約20μm、Mg粉が約33μmとする。
【0014】次に、これらの粉末を所定の混合比に調製
した後、たとえばポリエチレン製の密閉容器等に充填し
て乾式混合方法を行ない均一混合粉を作製する。そし
て、粉末冶金法により試料を製造する。試料の製造条件
は、加圧力を294MPaとして圧縮成型体を作製し、
焼結は焼結温度を450℃〜650℃、焼結時間を60
分、0.03Paの真空中において行なうこととする。
【0015】このようにして得られた焼結体を12×3
5×4mmの寸法の試験片に作製し、比摩耗量の測定試
験を行なう。なお、この試験には大越式迅速摩耗試験機
を用い、試験条件としては、相手材の材種に高炭素クロ
ム軸受鋼(SUJ2)を使用し、摩擦速度を0.78〜
3.62m/cec、最終荷重を2.1〜18.6kg
f、摩擦距離を66.6〜600mと変化させた。
【0016】図1に、これらの試験のうち摩擦速度を
3.62m/sec、最終荷重を1.8kgfとした場
合における前記Al−Pb−Mg焼結軸受合金の比摩耗
量の摩擦距離依存性の結果を示す。なお、Pb粉の添加
量は約11〜約26体積%の範囲のうち、11.0体積
%、13.5体積%、約16.0体積%、19.0体積
%、22.5体積%、26.0体積%となるようにそれ
ぞれ添加した。図中において、黒四角(▲黒四角▼)
は、Al−11.0体積%Pb−3体積%Mg焼結軸受
合金となるように混合した試料、白三角(△)は、Al
−13.5体積%Pb−3体積%Mg焼結軸受合金とな
るように混合した試料、黒三角(▲)は、Al−16.
0体積%Pb−3体積%Mg焼結軸受合金となるように
混合した試料、白丸(○)は、Al−19.0体積%P
b−3体積%Mg焼結軸受合金となるように混合した試
料、白四角(□)は、Al−22.5体積%Pb−3体
積%Mg焼結軸受合金となるように混合した試料、黒丸
(●)は、Al−26.0体積%Pb−3体積%Mg焼
結軸受合金となるように混合した試料である。
【0017】この図1に示す結果より、摩擦距離が10
0mまでの比摩耗量は、各焼結軸受合金ともにばらつい
た値を示しているが、摩擦距離が100mを越えると、
相手材の摩擦面間になじみ性等が生じ、各比摩耗量は摩
擦距離とともに小さくなる傾向にある。このうち、Pb
粉の添加量を16.0体積%とした焼結軸受合金が、他
のPb粉添加量の焼結軸受合金と比較して最も比摩耗量
が小さくなることがわかる。
【0018】したがって、本発明はAl−約16体積%
Pb−約3体積%Mg焼結軸受合金を基本組成とし、こ
れにCu粉およびグラファイト粉を添加してAl−Pb
系焼結軸受合金を製造することとした。
【0019】次に、本発明のAl−Pb系焼結軸受合金
の実施例について具体的に説明する。
【0020】上記実験により決定した基本組成に添加す
るCu粉およびグラファイト粉の添加量は、Cu粉を約
0.6〜約3体積%、グラファイト粉を約2.4〜約1
2体積%の割合となるように配合する。これらの添加に
は、グラファイトの潤滑性を妨げることなく、かつ、焼
結性を向上させるためにCu被覆グラファイト粉を用い
る。このCu被覆グラファイト粉の平均粒径は約80μ
mとし、前述したと同様の製造方法により焼結体を得て
所定の寸法に試験片を作製する。
【0021】そして、これらのAl−Pb系焼結軸受合
金の試料について各種の分析および測定を行なった。
【0022】まず、以下に示す表にはX線回折およびE
PMAにより組成分析を行なった結果を重量%により示
すとともに、機械的強度試験として3点曲げ試験を行な
った結果を示す。比較として、前記Al−Pb−Mg焼
結軸受合金と鉛青銅第4種(LBC4)の結果について
も同様に示す。また、図2には、摩擦摩耗特性に関し
て、摩擦速度を3.62m/s、最終荷重を2.1kg
fの条件としたときの比摩耗量の摩擦距離依存性の結果
を示す。この図2の結果についての詳細は後述する各実
施例の説明中において述べることとする。
【0023】一方、前記表中の上半部に示すように、従
来のAl−Pb−Mg焼結軸受合金の重量による組成
は、Pbが34.5〜44.8重量%であり、Mgが
1.1〜1.4重量%の割合となっている。また、3点
曲げ強さの結果については、Al−11.0体積%Pb
−3体積%Mg焼結軸受合金の場合は174MPaを示
し、Pb粉の添加量が19.0体積%(50.0重量
%)まではほぼ同等の強度を有しているものの、Pb粉
の添加量を22.5体積%(55.3重量%)以上にす
ると強度が低下することがわかる。これを図1と比較し
てみると、Pb粉の添加量が22.5体積%の焼結軸受
合金(□)および26.0体積%の焼結軸受合金(●)
の比摩耗量はこれよりPb粉の添加量の少ない焼結軸受
合金の比摩耗量よりも大きくなっている。これは、Pb
粉の添加量の増加により焼結軸受合金の焼結性が低下し
たことにより、Pb粉の潤滑性が溌揮されるのを阻害し
てしまったためと思われるが、軸受材料としての比摩耗
量値としては十分小さい値であるので問題はない。
【0024】一方、表中の下半部には、本発明であるA
l−Pb系焼結軸受合金の基本組成となるAl−約1
6.0体積%Pb−3体積%Mg焼結軸受合金が2種類
示してあり、3点曲げ強さが171MPa、86MPa
とそれぞれ異なる値を示した。これは両者の粉末の種類
による違い、特に含有酸素量の違いが原因であると思わ
れる。本発明のAl−Pb系焼結軸受合金は3点曲げ強
さが86MPaのAl−約16体積%Pb−約3体積%
Mg焼結軸受合金の方をベースに製造している。
【0025】 次に、本発明のAl−Pb系焼結軸受合金を各実施例に
分けて説明する。
【0026】まず、前述した図2中に示す各印は後述す
るAl−Pb系焼結軸受合金についての各実施例の焼結
軸受合金を示しており、さらに、比較例としてA1−P
b−Mg焼結軸受合金と鉛青銅第4種(LBC4)につ
いても同様に示している。図において、白丸(○)は、
Cu被覆グラファイト粉が無添加のAl−16体積%P
b−3体積%Mg焼結軸受合金となるように混合した試
料、黒丸(●)は、Al−約16体積%Pb−約3体積
%Mg−約0.6体積%Cu−約2.4体積%Gr焼結
軸受合金となるように混合した試料、黒四角(▲黒四角
▼)は、Al−約16体積%Pb−約3体積%Mg−約
1.2体積%Cu−約4.8体積%Gr焼結軸受合金と
なるように混合した試料、白四角(□)は、Al−約1
6体積%Pb−約3体積%Mg−約1.8体積%Cu−
約7.2体積%Gr焼結軸受合金となるように混合した
試料、黒三角(▲)は、Al−約16体積%Pb−約3
体積%Mg−約2.4体積%Cu−約9.6体積%Gr
焼結軸受合金となるように混合した試料、白三角(△)
は、Al−約16体積%Pb−約3体積%Mg−約3体
積%Cu−約12体積%Gr焼結軸受合金となるように
混合した試料、そして、破線(−−)は、比較例として
用いたLBC4の試料をそれぞれ示している。
【0027】次に、前記Al−Pb系焼結軸受合金の第
1実施例として、基本組成であるAl−約16体積%P
b−約3.0体積%Mg焼結軸受合金に約0.6体積%
Cu−約2.4体積%グラファイトの割合となるように
Cu被覆グラファイト粉を添加した焼結軸受合金につい
て説明する。表より、この焼結軸受合金は重量%による
組成で表すと、Al−約44.5重量%Pb−約1.3
重量%Mg−約1.3重量%Cu−約1.3重量%Gr
焼結軸受合金となることがわかる。また、3点曲げ強さ
は103MPaの値を示し、基本組成であるAl−約1
6体積%Pb−約3体積%Mg焼結軸受合金の値より大
きい値を示したが、比摩耗量については、図2に示すよ
うに本実施例の摩擦距離の範囲内で、約6〜9×10
−7(mm/kgf・mm)の値となり、Cu被覆グ
ラファイトが無添加である焼結軸受合金よりも大きい比
摩耗量となった。
【0028】次に、第2実施例として、Cuとグラファ
イトの割合が約1.2等積%Cu−約4.8体積%グラ
ファイトとなるようにCu被覆グラファイト粉を添加し
た焼結軸受合金について説明する。表より、この焼結軸
受合金は重量%による組成で表すと、Al−約44.2
重量%Pb−約1.3重量%Mg−約2.6重量%Cu
−約2.6重量%Gr焼結軸受合金となる。また、3点
曲げ強さは85MPaの値を示し、Cu被覆グラファイ
ト粉が無添加の焼結軸受合金とほぼ同程度の3点曲げ強
さを示した。さらに、比摩耗量の値は、摩擦距離が40
0mまで約1.8×10−7(mm/kgf・mm)
から約2.2×10−7(mm/kgf・mm)の範
囲にかけて緩やかに大きくなっており、Cu被覆グラフ
ァイト粉が無添加の焼結軸受合金の比摩耗量よりも小さ
い値を示しているが、摩擦距離離が400mを越えると
急激に大きくなり、摩擦距離が600mのときには約
4.9×10−7(mm/kgf・mm)の値とな
り、前記Cu被覆グラファイト粉が無添加の焼結軸受合
金の比摩耗量よりも大きい値を示した。
【0029】次に、第3実施例として、Cuとグラファ
イトの割合が約1.8体積%Cu−約7.2体積%グラ
ファイトとなるようにCu被覆グラファイトを添加した
焼結軸受合金について説明する。表より、この焼結軸受
合金は重量%による組成で表すと、Al−約43.9重
量%Pb−約1.3重量%Mg−約3.9重量%Cu−
約3.9重量%Gr焼結軸受合金となる。また、3点曲
げ強さは80MPaの値を示した。さらに、図2に示す
比摩耗量の値は、摩擦距離が600mまで約1.0〜
1.3×10−7(mm/kgf・mm)の範囲でほ
ぼ一定の値となり、良好な耐摩耗特性を示した。
【0030】次に、第4実施例として、Cuとグラファ
イトの割合が約2.4体積%Cu−約9.6体積%グラ
ファイトとなるようにCu被覆グラファイト粉を添加し
た焼結軸受合金について説明する。表より、この焼結軸
受合金の重量%による組成の割合は、Al−約43.6
重量%Pb−約1.3重量%Mg−約5.2重量%Cu
−約5.2重量%Gr焼結軸受合金となる。また、3点
曲げ強さは77MPaの値を示した。さらに、図2に示
すように、本実施例の比摩耗量は前述の第3実施例のA
l−Pb系焼結軸受合金の比摩耗量の値よりさらに小さ
い値となり、摩擦距離が400mのときには7×10
−8(mm/kgf・mm)の値を示した。
【0031】次に、第5実施例として、Cuとグラファ
イトの割合が約3.0体積%Cu−約12.0体積%グ
ラファイトとなるようにCu被覆グラファイト粉を添加
した焼結軸受合金について説明する。表より、この焼結
軸受合金は重量%による組成の割合は、Al−約43.
3重量%Pb−約1.2重量%Mg−約6.5重量%C
u−約6.5重量%Gr焼結軸受合金となる。また、3
点曲げ強さは67MPaの値を示した。さらに、図2に
示すように、比摩耗量は摩擦距離が100mのときに、
6×10−8(mm/kgf・mm)の値を示し、摩
擦距離にともなって比摩耗量の値は小さくなり、摩擦距
離離300〜600mのときには、4×10−8(mm
3/kgf・mm)となり、優れた耐摩耗特性を示し
た。この比摩耗量は、実用軸受合金であるLBC4の比
摩耗量の1/10に相当する値である。
【0032】また、図3には、この約3.0体積%Cu
−約12体積%グラファイトの割合となるように混合し
た試料の組織を示すSEM(Scanninng el
ectron micrograph)による写真を示
し、図4には、比較例としてのCu被覆グラファイト粉
が無添加の試料の組織を示すSEMによる写真を示す。
これらの図3および図4より、約3.0体積%Cu−約
12体積%グラファイトの割合となるように添加した試
料の組織には、Pb粉およびグラファイト粉が均一に分
散しているのが観察される。
【0033】そして、図5には、図3で示した約3.0
体積%Cu−約12体積%グラファイトの割合となるよ
うにCu被覆グラファイト粉を添加した試料の比摩耗量
測定試験後の摩耗面の組織を示すSEMによる写真を示
し、図6には図4で示したCu被覆グラファイト粉が無
添加の試料の比摩耗量測定試験後の摩耗面の組織を示す
SEMによる写真を示す。これらの図5および図6から
Cu被覆グラファイトを添加した試料の摩耗面は酸化摩
耗による安定した摺動面となっているのが観察される。
【0034】以上の各実施例を全体的にみると、Cu被
覆グラファイト粉の添加量を増加させるにつれて3点曲
げ強さは低下している。しかし、これらの値は、良質な
軸受材として必要な60MPa以上の曲げ強さを有して
おり、強度的にも十分優れているものであることがわか
る。そして、本発明のAl−Pb系焼結軸受合金の比摩
耗量は、Cu被覆グラファイト粉の添加量の増加に伴っ
て小さい値を示す傾向にあり、約3.0体積%Cu−約
12体積%グラファイトの割合となるよにCu被覆グラ
ファイト粉を添加した試料においては、実用軸受合金で
あるLBC4の1/10の値を示した。
【0035】このような実施例によれば、Al−Pb−
Mg系焼結合金の最適組成はAl−約16体積%Pb−
約3体積%Mgであり、この合金の比摩耗量は実用軸受
合金である鉛青銅第4種の比摩耗量とほぼ同程度の値を
得ることができる。また、この合金を基本組成とするC
u被覆グラファイト粉を添加した焼結軸受合金は、少な
くともCu粉が約3体積%以下、グラファイト粉が約1
2体積%以下の範囲で、良質な軸受材として必要な60
MPa以上の曲げ強さを有しており、強度的にも十分優
れているとともに、さらに、Cu粉およびグララァイト
粉の添加量とともに比摩耗量は小さくなり、約3.0体
積%Cu−約12体積%グラファイトの割合となるよう
にCu被覆グラファイト粉を添加した焼結軸受合金であ
るAl−約16体積%Pb−約3体積%Mg−約3.0
体積%Cu−約12体積%Gr焼結軸受合金の比摩耗量
は、4×10−8(mm/kgf・mm)の値を示
し、これは鉛青銅第4種の比摩耗量の1/10の値に相
当する。
【0036】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、必要に応じて各種の変更をすることがで
きる。
【0037】例えば、前記各粉末の混合粉はボールミル
等による機械的混合法や湿式混合法により作製すること
も可能である。
【0038】また、使用する粉末の粒径や品質等につい
ても、必要に応じて各種変更して使用することができ
る。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、A
l−Pb−Mg焼結軸受合金の混合粉にCu粉およびグ
ラファイト粉を添加することにより、軸受材としての機
械的強度を十分に有するとともに、比摩耗量値の小さい
耐摩耗性に優れたAl−Pb系焼結軸受合金を得ること
ができる。特に、Al−約16体積%Pb−約3体積%
Mg−約3.0体積%Cu−約12体積%Gr焼結軸受
合金となるようにCu被覆グラファイト粉を添加して得
られた焼結軸受合金は、比摩耗量が4×10−8(mm
/kgf・mm)の値を示し、この比摩耗量値は実用
軸受合金である鉛青銅第4種の1/10に相当する値で
あり、軸受材としてきわめて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al−Pb−Mg焼結軸受合金の比摩耗量の摩
擦距離依存性を示す線図
【図2】本発明に係るAl−Pb系焼結軸受合金の比摩
耗量の摩擦距離依存性を示す線図
【図3】Al−16体積%Pb−3体積%Mg−3体積
%Cu−12体積%Grの組織を示すSEMによる写真
【図4】Al−16体積%Pb−3体積%Mg焼結軸受
合金の組織を示すSEMによる写真
【図5】Al−16体積%Pb−3体積%Mg−3体積
%Cu−12体積%Grの比摩耗量測定試験後の摩耗面
の組織を示すSEMによる写真
【図6】Al−16体積%Pb−3体積%Mg焼結合金
の比摩耗量測定試験後の摩耗面の組織を示すSEMによ
る写真

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pbが約16体積%、Mgが約3体積
    %、Cuが約0.6〜約3体積%、グラファイトが約
    2.4〜約12体積%、残部がAlからなるAl−Pb
    −Mg−Cu−Gr焼結軸受合金。
  2. 【請求項2】 前記Cuおよびグラファイトは、Cu被
    覆グラファイト粉を素材としていることを特徴とする請
    求項1に記載のAl−Pb−Mg−Cu−Gr焼結軸受
    合金。
  3. 【請求項3】 Alは平均粒径が約10μmのAl粉を
    素材とし、Pbは平均粒径が約20μmのPb粉を素材
    とし、Mgは平均粒径が約33μmのMg粉を素材と
    し、Cuおよびグラファイトは平均粒径が約80μmの
    Cu被覆グラファイト粉を素材とすることを特徴とする
    請求項1に記載のAl−Pb−Mg−Cu−Gr焼結軸
    受合金。
JP6126700A 1994-04-28 1994-04-28 Al−Pb−Mg−Cu−Gr焼結軸受合金 Pending JPH07300644A (ja)

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JP (1) JPH07300644A (ja)

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CN113996782A (zh) * 2021-11-01 2022-02-01 松山湖材料实验室 石墨烯包覆铜粉的复合材料及其制备方法

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