JPH07299323A - 硫化水素除去装置の運転開始方法 - Google Patents

硫化水素除去装置の運転開始方法

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JPH07299323A
JPH07299323A JP6093293A JP9329394A JPH07299323A JP H07299323 A JPH07299323 A JP H07299323A JP 6093293 A JP6093293 A JP 6093293A JP 9329394 A JP9329394 A JP 9329394A JP H07299323 A JPH07299323 A JP H07299323A
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hydrogen sulfide
sulfuric acid
sulfur
liquid
hydrogen
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JP6093293A
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Norio Komori
典夫 小森
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Idemitsu Kosan Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Petroleum Energy Center PEC
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転開始時の循環液として安価な第一鉄塩溶
液を用いることができ、経済的に有利であると共に、効
率よく定常状態の運転に移行しうる硫化水素除去装置の
運転開始方法を提供すること。 【構成】 硫化水素ガス吸収・酸化工程領域(1)、硫
黄分離工程領域(2)、電気化学的再生処理工程領域
(3)、及び所望により副生硫酸還元工程領域を有する
硫化水素除去装置の運転を開始するに際し、先ず、電気
化学的再生処理を開始して循環液を流通させ、硫化水素
ガス吸収・酸化工程領域の入口液の3価の鉄イオン濃度
が、実質的に定常運転可能な濃度に達した後で硫化水素
含有ガス(a)の供給を開始し、更に循環液の硫酸濃度
が実質的に上昇し始めた後で、所望により副生硫酸の還
元を開始する運転開始方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硫化水素除去装置の運転
開始方法に関し、更に詳しくは、硫化水素ガス吸収・酸
化工程領域、硫黄分離工程領域、電気化学的再生処理工
程領域、及び所望により副生硫酸還元工程領域から構成
される硫化水素除去装置の運転を開始するに際し、循環
液として安価な第一鉄塩溶液を用いることができ、経済
的に有利であると共に、効率よく定常状態の運転に移行
しうる硫化水素除去装置の運転開始方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、石油精製の際に排出される硫化水
素は、クラウス法によって工業的に処理されていた。し
かし、この方法は、硫化水素中の硫黄成分は硫黄として
回収されるが、水素成分は水素ガスとして回収されず水
になり、工業的に効率よく利用を図ることができなかっ
た。現在、硫化水素から硫黄と水素ガスを、酸化及び電
気化学的処理によって回収する方法として、3価の鉄イ
オンを含有する鉄塩水溶液を用いる方法が知られてい
る。このような方法においては、3価の鉄イオンを含む
各種鉄塩水溶液が用いられるが、何れの場合も微量の硫
酸の副生は避けられない。その結果、鉄塩水溶液に硫酸
が蓄積し、最終的には鉄塩の析出をもたらし、プロセス
的には、重大な欠陥をなす。
【0003】この欠点を解消した改良技術として、すで
に本発明者が属するグループは、リン酸−塩化鉄系の水
溶液を用い、硫酸の副生量を減少させる技術を開発し
た。しかし、その後の研究によって、この改良技術に
は、長期循環使用する場合に鉄系水溶液中の硫酸濃度が
増大し、一定割合で鉄系水溶液を廃液として抜出すと同
時に、新しい鉄系水溶液を補給する必要のあることが判
明した。そこで、本発明者が属するグループは更に研究
を進め、副生硫酸を含む鉄塩水溶液の一部を水素と接触
させ、該溶液中に含まれる副生硫酸を還元して硫化水素
を生成させ、生成した硫化水素を硫化水素ガス吸収装置
(硫化水素ガス吸収装置の上流側に硫化水素濃縮装置が
ある場合には、それを含む。)に戻して処理し、系内の
硫酸濃度をコントロールすることにより、廃鉄液、廃酸
又は廃鉄塩の産業廃棄物を出さずに効率よく硫黄と水素
ガスを回収しうること、更には、副生硫酸を還元して硫
化水素を回収した後の溶液を、電気化学的再生装置の陰
極室へ導入し、該陰極室の出口液を硫化水素ガス吸収装
置あるいは該装置の前又は後に戻すことにより(連続的
に戻しても非連続的に戻してもよい。)、陰極液中への
鉄イオン蓄積(陽極液からの移行)を防止することがで
き、これによって陰極液の交換と廃液の抜き出しという
問題点も解消され、一層のクローズドシステムでの長期
間連続運転が可能となることを見出し、先に特許を出願
した(特願平5−36653号明細書,特願平5−29
3100号明細書)。
【0004】本発明者が属するグループが開発した上記
の硫化水素除去技術においては、通常、硫化水素ガス吸
収・酸化工程領域、硫黄分離工程領域、電気化学的再生
処理工程領域、及び所望により副生硫酸還元工程領域か
ら構成される硫化水素除去装置が用いられる。該装置の
運転開始方法としては、効率よく定常状態の運転へ移行
させると共に、経済的に有利な方法を採用するのが望ま
しい。ところで、硫化水素除去方法の一種として、2価
鉄イオンを3価鉄イオンに再生するに際し空気酸化法を
用いる方法も知られている。空気酸化法を用いる硫化水
素除去方法に関しては、例えば、Sulphur,N
o.222,第34〜40頁(1992)において、特
に第35頁の左欄第6行目〜同頁の右欄第23行目にお
いて詳述されている。しかしながら、空気酸化法によっ
て2価鉄イオンを3価鉄イオンに再生しようとすると極
めて長時間を要するため、運転開始時にはじめから高価
な第二鉄塩水溶液を大量に用意しなければならず、運転
開始コストが高くつくのを免れないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域、硫黄
分離工程領域、電気化学的再生処理工程領域、及び所望
により副生硫酸還元工程領域から構成される硫化水素除
去装置の運転を開始するに際し、効率よく定常状態の運
転に移行しうると共に、経済的に有利な硫化水素除去装
置の運転開始方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、2価鉄イオン
を3価鉄イオンに再生するに際し電気化学的再生処理方
法を用いる場合には、空気酸化法と比べて極めて効率が
高い(同一体積の液に対し、理論的に空気酸化法の約1
00倍効率が高い)ことに着目し、先ず電気化学的再生
処理を開始して循環液を流通させ、硫化水素ガス吸収・
酸化工程領域の入口液の3価鉄イオン濃度が、吸収・酸
化反応が充分に起こるために必要な濃度に達した後で硫
化水素含有ガスの供給を開始し、また、副生硫酸還元工
程領域が設けられている場合には、更に循環液の硫酸濃
度が長期安定運転に支障をきたす濃度に達した後で副生
硫酸の還元を開始することによって、効率よく定常状態
に移行しうることを見出した。また、上記手順に従え
ば、運転開始時における循環液として安価な第一鉄塩水
溶液を用いた場合であっても、電気化学的再生処理によ
って短時間で所望の3価鉄イオン濃度に達することがで
き、経済的に有利であることも見出した。本発明は、か
かる知見に基づいて完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、第1に、少なくとも
硫化水素ガス吸収・酸化工程領域、硫黄分離工程領域、
及び電気化学的再生処理工程領域から構成される主循環
経路を有し、循環液として硫酸−硫酸鉄溶液を用い、か
つ硫化水素ガス吸収・酸化工程領域において、硫化水素
含有ガスを3価の鉄イオンを含む硫酸−硫酸鉄溶液と接
触処理し硫化水素を吸収させて酸化反応を行い、2価の
鉄イオン、硫黄及び副生硫酸を含む溶液を生成させ、次
いで、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域の出口液を硫黄
分離工程領域に導入して該溶液から硫黄を分離した後、
硫黄分離工程領域の出口液を電気化学的再生処理工程領
域に導入して2価の鉄イオンを3価の鉄イオンへ再生す
ると共に、水素を発生させて回収する硫化水素除去装置
の運転を開始するに当たり、最初に電気化学的再生処理
を開始して循環液を流通させ、硫化水素ガス吸収・酸化
工程領域の入口液の3価の鉄イオン濃度が、実質的に定
常運転可能な濃度に達した後で硫化水素含有ガスの供給
を開始することを特徴とする硫化水素除去装置の運転開
始方法を提供する。
【0008】本発明は第2に、少なくとも硫化水素ガス
吸収・酸化工程領域、硫黄分離工程領域、及び電気化学
的再生処理工程領域から構成される主循環経路と、副生
硫酸還元工程領域とを有し、循環液として硫酸−硫酸鉄
溶液を用い、かつ硫化水素ガス吸収・酸化工程領域にお
いて、硫化水素含有ガスを3価の鉄イオンを含む硫酸−
硫酸鉄溶液と接触処理し硫化水素を吸収させて酸化反応
を行い、2価の鉄イオン、硫黄及び副生硫酸を含む溶液
を生成させ、次いで、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域
の出口液を硫黄分離工程領域に導入して該溶液から硫黄
を分離した後、硫黄分離工程の出口液を電気化学的再生
処理工程領域に導入して2価の鉄イオンを3価の鉄イオ
ンへ再生すると共に水素を発生させて回収する一方、硫
黄分離工程領域の出口液の一部を副生硫酸還元工程領域
に導入し水素と接触させて、該出口液中に含まれる副生
硫酸を還元して硫化水素を生成させ、生成した硫化水素
をリサイクルすると共に該副生硫酸還元工程領域の出口
液を主循環経路に戻す硫化水素除去装置の運転を開始す
るに当たり、最初に電気化学的再生処理を開始して循環
液を流通させ、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域の入口
液の3価の鉄イオン濃度が、実質的に定常運転可能な濃
度に達した後で硫化水素含有ガスの供給を開始し、更に
循環液の硫酸濃度が実質的に上昇し始めた後で副生硫酸
の還元を開始することを特徴とする硫化水素除去装置の
運転開始方法を提供する。
【0009】本発明の第一の方法においては、硫化水素
除去装置として、少なくとも硫化水素ガス吸収・酸化工
程領域、硫黄分離工程領域、及び電気化学的再生処理工
程領域から構成される主循環経路を有するものが用いら
れ、一方、第二の方法においては、上記の主循環経路に
さらに副生硫酸還元工程領域を組み合わせたものが用い
られる。運転開始時に用いられる循環液としては、2価
の鉄イオンを主体とする硫酸−硫酸鉄溶液であって、総
鉄イオン濃度が、通常0.2〜6.0モル/リットル、好ま
しくは1.0〜3.0モル/リットルの範囲にあり、かつ硫
酸濃度が、通常0.1〜5.0モル/リットル、好ましくは
1.0〜4.0モル/リットルの範囲にあるものが用いられ
る。経済性の面を考えると、鉄イオンが全て2価である
もの、すなわち第一鉄塩を用いたものが特に好ましい。
また、硫酸濃度が0.1モル/リットル未満では、硫酸の
副生が増大し、電気化学的再生時に効率を低下させるこ
とがあり、一方、5モル/リットルを超えると、鉄塩
(特に硫酸第一鉄)の析出が起こり好ましくない。
【0010】本発明の運転開始方法においては、硫化水
素ガス吸収・酸化工程領域の入口液の3価鉄イオン濃度
が、実質的に定常状態の運転を維持することができる濃
度(言い換えれば、実用上充分な程度に吸収・酸化反応
が起こりうる濃度)に達した後で、硫化水素含有ガスの
供給を開始する必要がある。実質的に定常状態の運転を
維持することができる3価鉄イオン濃度の具体的範囲
は、循環液の組成や硫化水素ガス吸収・酸化工程領域に
おいて設定される反応条件によって変動するため、特に
制限されない。しかし、上記の初期組成を有する循環液
を用いた場合には、該入口液の3価鉄イオン濃度が通常
0.3モル/リットル以上、好ましくは0.5〜1.5モル/
リットルの範囲であれば定常運転が可能となる。また、
硫化水素含有ガスの供給を開始し定常運転に移行した後
は、運転効率の面を考慮し、第一鉄イオンと第二鉄イオ
ンの濃度比を約1:1に維持しながら運転を続行するの
が好ましい。
【0011】本発明の第二の方法においては、上記のよ
うにして硫化水素含有ガスの供給を開始してから、更に
循環液の硫酸濃度が実質的に上昇し始めた後で副生硫酸
の還元を開始する。ここで「硫酸濃度が実質的に上昇し
始める」とは、硫酸濃度が上昇し、硫化水素除去装置の
長期安定運転(特にクローズドシステムによる長期安定
運転)に何らかの支障をきたす恐れがある濃度を超える
ことを意味する。次に、硫化水素除去装置の定常運転時
における各工程について説明する。
【0012】硫化水素ガス吸収・酸化工程(気液接触工
程) この工程においては、硫化水素含有ガスと3価の鉄イオ
ンを含む硫酸−硫酸鉄水溶液との接触処理が行われる。
この工程で処理される硫化水素含有ガスは、純粋な硫化
水素ガスであってもよく、硫化水素と3価鉄イオンに対
して不活性な気体、例えば硫化水素と水素,一酸化炭
素,二酸化炭素,炭化水素(メタン,エタンなど),窒
素などとの混合ガスであってもよい。具体的には、天然
ガス,地熱発電に際し得られるガスあるいは石油精製に
おいて脱硫の際に発生するガスなどが挙げられる。一
方、硫化水素含有ガスと接触させる吸収液として、硫化
水素の酸化を行う3価の鉄イオン(第二鉄イオン)を含
む硫酸−硫酸鉄水溶液が用いられるが、この吸収液に
は、本発明の目的が損なわれない範囲で第一鉄塩や他の
塩類などが含有されていてもよい。
【0013】使用する鉄塩水溶液中のイオン濃度は、特
に制限はないが、第二鉄イオンが0.1〜3.0モル/リッ
トル、好ましくは0.5〜1.5モル/リットルの範囲であ
る。第二鉄イオンが0.1モル/リットル未満であると硫
化水素の吸収率が低下し、また、3.0モル/リットルを
超えると溶解度に問題があり、好ましくない。また、第
一鉄イオンについては、必須ではないが、硫酸第一鉄が
用いられ、通常0.1〜3.0モル/リットル、好ましくは
0.5〜1.5モル/リットルの範囲で存在する。第一鉄イ
オンの添加は、主に電気化学的処理において効率を向上
させるためであるが、0.1モル/リットル未満ではその
効果が得られず、また3.0モル/リットルを超えると鉄
塩(特に硫酸第一鉄)の析出が起こり好ましくない。そ
して、硫酸については、0.1〜5モル/リットル、好ま
しくは1〜4モル/リットルの範囲である。硫酸が0.1
モル/リットル未満では、硫酸の副生が増大し、電気化
学的再生時に効率を低下させることがある。また、5モ
ル/リットルを超えると、鉄塩(特に硫酸第一鉄)の析
出が起こり好ましくない。この硫化水素ガス吸収・酸化
工程を行うに当たっては、特に制限はないが、従来から
液体によるガス吸収において慣用されている方法、例え
ば、気泡塔,スプレー塔,ぬれ壁塔,攪拌式吸収塔,充
填気泡塔,充填塔などの汎用の吸収塔を採用すればよ
い。また接触方式は、気液向流方式又は気液並流方式の
いずれであってもよい。
【0014】この工程における硫化水素から硫黄を生成
させる酸化工程の反応式は、次に示す通りである。 2Fe3++H2 S=2Fe2++2H+ +S(沈澱) ・・・(I) すなわち、硫化水素は、第二鉄イオンにより酸化されて
硫黄を生成し、第二鉄イオンは第一鉄イオンに還元され
る。同時に、この工程での反応において、硫酸が副生さ
れる。その結果、第一鉄イオン、硫黄及び副生硫酸が、
溶液中に含有されることになる。なお、該溶液中には、
過剰分の3価鉄イオンや予め配合されていた非副生硫酸
などが共存する場合もある。
【0015】前記硫化水素ガス吸収・酸化工程(接触反
応)における温度は、通常50〜155℃、好ましくは
120〜140℃である。温度が50℃未満の低温で
は、硫化水素の吸収率が低下し、また硫黄の分離が困難
となる。特に、分離を速やかに行うためには、硫黄の融
点以上、硫黄の融点は同素体毎に異なるが120℃以上
にするのがよい。このように硫黄の融点以上に設定する
ことによって硫黄が溶融状態で生成し、比重差で容易に
硫黄と水溶液を分離することができる。この温度範囲未
満では、硫黄の分離が困難であると共に高純度で回収す
ることが困難である。一方、155℃を超える高温で
は、溶融硫黄の粘性が増大して取扱いが不便になること
がある。また、反応する際の圧力は、操作上に支障のな
い範囲で液の沸騰を防ぎ、上記所望の温度を保つために
必要な圧力であれば、特に制限はないが、通常は1at
m(1.01325×105 Pa)以上、例えば、1〜1
0atm(1.01325×105 〜10.1325×10
5 Pa)とする。また、好ましくは2〜5atm(2.0
2650×105 〜5.06625×105 Pa)の範囲
とする。
【0016】硫黄分離工程 この工程においては、上記硫化水素ガス吸収・酸化工程
において生じた2価の鉄イオン、硫黄及び副生硫酸を含
む溶液(硫化水素吸収・酸化工程の出口液)から、硫黄
の分離処理が行われる。硫黄の分離処理方法については
特に制限はなく、物理的又は化学的な様々な方法を用い
ることができる。例えば物理的処理方法として沈降分離
法、遠心分離法などを用いることができるし、化学的処
理方法として、さらに他の硫黄化合物に変換する方法な
どを用いることができる。特に好ましい方法としては、
生成した硫黄を溶融硫黄として、液−液分離し、つまり
比重差により沈降分離し、回収する方法を挙げることが
できる。この硫黄分離工程に用いる硫黄分離装置は、特
に制限はなく、種々の構造のものを利用することができ
る。例えば、一般のシックナー形式,空塔ドラム形式,
沈降池形式など、分離回収すべき溶融硫黄滴の大きさや
設計上の回収率に応じて適宜選定すればよい。
【0017】電気化学的再生処理工程 この工程においては、電気分解などの電気化学的手法を
用いて上記硫黄分離工程で硫黄を分離、回収した後の溶
液(硫黄分離工程の出口液)を処理することによって、
陽極部分では該溶液中に多く含まれている第一鉄イオン
(Fe2+)を第二鉄イオン(Fe3+)に変換して3価の
鉄イオン(第二鉄イオン)を多く含有する溶液(吸収液
又は循環液)に再生すると共に、陰極部分では水素ガス
を発生させて水素ガスを分離回収する。ここで進行する
反応は、次の反応式で示される。 2Fe2++2H+ =2Fe3++H2 (気体)・・・(II) すなわち、陽極部分において第一鉄イオンが第二鉄イオ
ンに酸化再生されると共に、陰極部分において水素イオ
ンが還元されて、水素ガスが発生する。再生された溶液
は、前記硫化水素ガス吸収・酸化工程における硫化水素
の吸収液(循環液)として繰り返し使用することができ
る。なお、循環液に接触する部分の材質は、非シリカ系
が好ましい。
【0018】この電気化学的再生処理工程を行うための
電気化学的再生装置としては、例えば、通常の電気分解
などに慣用されている形式の電解槽などが充当できる。
このような工程を行う電解槽には、陽極部分と陰極部分
との間に隔膜が設けられており、該隔膜によって陽極部
分は陽極室、一方、陰極部分は陰極室と言うように仕切
られている。また、上記電極には、黒鉛や炭素繊維など
の耐酸材料が用いられている。上記隔膜としては、カチ
オン交換膜を用いることが好ましい。電気化学的再生処
理工程を行うための電気化学的再生装置として電解槽を
用いる場合には、該電解槽の陽極室に硫黄分離工程の出
口液が導入される。一方、陰極室には、通常所定濃度の
水素イオンを含む水溶液、例えば、0.5〜5モル/リッ
トル、好ましくは1〜4モル/リットルの水溶液を入れ
る。この範囲をはずれると、電解電圧が上昇し、効率が
低下するので好ましくない。あるいは、陽極と陰極の間
にある隔膜が乾燥しない程度の水分を補給して、電圧を
印加することにより行われる。
【0019】特に、本発明のうち第二の発明において
は、後述する副生硫酸還元工程の出口液の全部又は一部
を該陰極室に導入するのが好ましい。陰極室に副生硫酸
還元工程の出口液を導入した場合には、陽極液から陰極
液中へ鉄イオンが移行して陰極液中に鉄イオンが蓄積す
るのを防止することができる。従って、完全クローズド
システムとした場合において陰極液の交換と廃液の抜き
出しが不用となり、一層の長期間連続運転が可能とな
る。ここで陰極室に導入される該出口液中の水素イオン
濃度は、第一の発明と同様に0.5〜5モル/リットル、
好ましくは1〜4モル/リットルの範囲が望ましく、こ
の範囲をはずれると、電解電圧が上昇し、効率が低下す
るので好ましくない。該陰極室で発生した水素ガスを分
離したのち、あるいは水素ガスを分離せず、陰極室液の
出口液は硫化水素ガス吸収・酸化工程あるいは該硫化水
素ガス吸収・酸化工程の前又は後に戻される。ここで硫
化水素ガス吸収・酸化工程の後とは、硫化水素ガス吸収
・酸化工程の下流側であって、かつ硫黄分離装置の上流
側を意味する。
【0020】隔膜にカチオン交換膜を用いる場合は、所
望に応じて多孔質のガス透過性の電極、例えば、黒鉛繊
維布、好ましくは白金等の触媒を担持したものを、前記
隔膜に直接接触させてもよい。なお、この電解は通常は
25〜160℃で行われる。従って、硫化水素ガス吸収
・酸化工程における好ましい温度レベル(120〜14
0℃)でも問題なく電解を行うことができ、このような
高温電解によって経済性の向上を図ることもできる。ま
た、前記電気化学的処理によって発生する水素は、必要
に応じて通常の方法によって捕捉回収される。本発明の
うち第二の発明においては、回収された水素の一部は、
系内の副生硫酸の量をコントロールするために、処理液
に含まれる副生硫酸を還元して硫化水素を生成させるの
に供されることもできる。
【0021】副生硫酸還元工程(第二の発明で付加され
る工程) この工程においては、2価の鉄イオン及び副生硫酸を含
む硫黄分離工程の出口液の一部を水素と接触させ、該溶
液中に含まれる副生硫酸を還元して硫化水素を生成さ
せ、硫化水素(含水素)を硫化水素ガス吸収・酸化工程
あるいは該硫化水素ガス吸収・酸化工程の前又は後に戻
し、系内の副生硫酸の量をコントロールする。副生硫酸
を水素還元することによって硫化水素を生成させる反応
式は、次に示す通りである。 H2 SO4 +4H2 =H2 S+4H2 O ・・・(III) すなわち、硫酸は、水素により還元されて硫化水素を生
成する。前記硫酸の水素還元反応は、通常、気−液−固
(触媒)系に使われている種々の形式を利用して行うこ
とができる。例えば、スラリー床型反応器を用いて水素
還元反応を行う場合には、触媒として、粒径の小さいも
のを用いることができる。その結果、硫酸水溶液との接
触効率が高くなり、効率よく反応を進行させることがで
きる。しかし、このスラリー床型反応器では、反応後、
液−固分離装置が必要になってくる。また、気−液並流
型の灌液充填塔を用いて水素還元反応を行うことができ
る。この場合、降下流方式では、大量に処理することが
できる大型装置で行うのに適している。これに対して、
上昇流方式では、小型装置で行うのに適している。その
他、充填気泡塔を用いて水素還元反応を行うこともでき
る。
【0022】前記水素還元反応を行うにあたって、水素
還元装置に送入すべき硫黄分離工程の出口液の量は、硫
化水素吸収・酸化工程における硫酸の副生率と副生硫酸
還元工程での水素還元反応速度とのバランスによって決
められる。例えば、硫酸副生率が約2%の場合、通常、
硫黄分離工程の出口液の1〜5容量%に相当する溶液を
送入すればよい。また送入された出口液中の副生硫酸を
水素還元反応させるために供給される水素ガスは、前記
電気化学的再生処理工程で発生する水素ガス流から、5
〜35容量%に相当する量(過剰量)あるいは外部水素
から必要量を導入すればよい。そして、水素還元反応に
は各種の触媒を用いることができる。好ましい触媒の一
つとしては白金担持活性炭を例示することができ、これ
によって効率的に反応を進めることができる。
【0023】この水素還元反応における温度は、通常1
00〜180℃、好ましくは120〜150℃の範囲で
ある。この反応温度が100℃未満では、反応速度が非
常に小さくなる。一方、180℃を超えると、圧力が増
大し、プロセス的に不利になり好ましくない。また、水
素還元反応を行う際の圧力は、鉄塩水溶液の水分蒸発を
防ぎ、上記所望の温度を保つために必要な圧力であれ
ば、特に制限はなく、通常は3atm(3.03975×
105 Pa)以上、好ましくは5〜7atm(5.066
25×105 〜7.09275×105 Pa)の範囲であ
る。副生硫酸還元工程において副生硫酸の水素還元によ
って生成した硫化水素は、前記硫化水素ガス吸収・酸化
工程あるいは該硫化水素ガス吸収・酸化工程の前(上流
側に硫化水素濃縮装置がある場合はそこでもよい。)又
は後に戻される。
【0024】ここで、水素還元反応によって生成した硫
化水素(過剰分の水素を含む。)を硫化水素ガス吸収・
酸化工程に戻す理由は、吸収ガス(最初に硫化水素ガス
吸収・酸化工程に導入した硫化水素含有ガス)と同様に
回収硫化水素の吸収酸化反応を充分に進行させるためで
ある。また、硫化水素を硫化水素ガス吸収・酸化工程の
前又は後に戻す理由は、副生硫酸還元工程から回収され
る硫化水素ガスを液体状の硫黄に変換するため、第二鉄
イオンを含む硫黄の融点以上の温度レベルを有するライ
ンに戻す必要があり、硫黄分離工程の上流であればどこ
でもよいからである。この硫化水素を硫化水素ガス吸収
・酸化工程あるいは該硫化水素ガス吸収・酸化工程の前
又は後のいずれに戻すかは、システム全体のバランスを
考慮して決定すればよい。
【0025】一方、副生硫酸が還元処理された回収液
(副生硫酸還元工程の出口液)は、硫黄分離工程又は該
工程の前に戻すか、又は前記したように、該回収液の全
部又は一部を電気化学的再生処理工程中の電気化学的再
生装置の陰極室へ導入する。前者の理由は、該出口液の
中には微量の溶存硫化水素が含まれ、3価の鉄イオンを
含む鉄塩水溶液に合流すると硫黄が生成するためであ
る。これに対して後者の理由は、すでに述べたとおりで
あり、長期連続運転の面から考えて、後者の方法を採用
するのが好ましい。なお、後者の方法において、副生硫
酸還元工程の出口液の一部だけを陰極室に導入する場合
には、残りの出口液を硫化水素ガス吸収・酸化工程ある
いは硫化水素ガス吸収・酸化工程の前又は後に戻す。こ
のように、溶液中に含まれる副生硫酸を水素還元し、系
内の硫酸の含有量をコントロールすることによって、シ
ステム全体をクローズド化して連続的に処理することが
できる。
【0026】次に、本発明で用いられる硫化水素除去装
置の定常運転状態の例を、添付図面に従って説明する。
図1は、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域、硫黄分離工
程領域、及び電気化学的再生処理工程領域から構成され
る主循環経路を有する硫化水素除去装置を用いた場合を
示す。図2は、上記主循環経路と、副生硫酸還元工程領
域とを有する硫化水素除去装置を用いた場合を示す。
【0027】図1の説明 図1で示すように、電気化学的再生装置3(例えば電解
槽)で得られた硫酸−硫酸鉄溶液eを硫化水素ガス吸収
塔1に循環させることにより、硫化水素ガス吸収塔1,
硫黄分離装置2及び電気化学的再生装置3からなる主循
環経路を構成させる。硫化水素含有ガスaを吸収塔1に
送入し、硫酸−硫酸鉄溶液eと接触させると、前記反応
式(I)に従って酸化反応が進行し、硫黄が生成すると
同時に、2価の鉄イオン及び副生した硫酸を含む溶液が
得られる。この際、吸収塔1の内部は、図示していない
加熱装置により加熱してもよい。反応系内は硫黄の融点
以上であれば、硫黄は吸収塔の内壁へ付着することがほ
とんどない。酸化処理済みガスbは、吸収塔1の上部か
ら系外へ排出される。一方、2価の鉄イオン、硫黄及び
副生硫酸を含む溶液は、硫黄分離装置2に送られる。な
お、所望によりこの工程の前に溶融硫黄滴を合一させる
工程を設けてもよい。前記硫黄分離装置2では、硫黄を
溶融状態として、比重差により溶液中で沈降させ、該分
離装置の底部から硫黄cが容易に回収される。また、硫
黄を溶融状態で分離を行えば、硫黄分離装置の内部構造
を簡単にすることができる。
【0028】さらに、硫黄分離装置2から出てくる硫黄
回収後の溶液(循環液)は、電気化学的再生装置3(例
えば電解槽)に供給される。この電解槽では、前記反応
式(II)の反応が進行し、第一鉄イオンが第二鉄イオンに
酸化されるとともに、水素ガスdが回収される。この電
気化学的再生処理において用いられる装置としては、す
でに前記したように、従来慣用されている型式の電解槽
を使用することができる。この電解槽には、陽極と陰極
との間に隔膜が設けられており、また前記電極には、黒
鉛や炭素繊維などの耐酸材料が用いられている。前記隔
膜としてはカチオン交換膜を用いることが好ましい。な
お、電解槽に供給される2価の鉄イオン及び副生硫酸を
含む溶液(循環液)は、溶液中の硫黄の濃度が大きいと
電解性能が低下するので、電解槽に送られる溶液中の硫
黄は、できるだけ除去しておく方が良い。また、所望に
より、電解槽の前にフィルターを設けることもできる。
電気化学的再生装置3で得られた硫酸−硫酸鉄溶液e
は、硫化水素ガス吸収塔1に供給される。
【0029】図2の説明 図2に示すように、電気化学的再生装置3の陽極室3−
1で得られた硫酸−硫酸鉄溶液eを硫化水素ガス吸収塔
1に循環させることにより、硫化水素ガス吸収塔1、硫
黄分離装置2及び電気化学的再生装置3の陽極室3−1
からなる主循環経路を構成させる。硫化水素含有ガスa
を吸収塔1に送入し、硫酸−硫酸鉄溶液eと接触させる
と、前記反応式(I)に従って酸化反応が進行し、硫黄
が生成すると同時に、2価の鉄イオン及び副生した硫酸
を含む溶液が得られる。この際、吸収塔1の内部は、図
示していない加熱装置により加熱してもよい。反応系内
は硫黄の融点以上であれば、硫黄は吸収塔の内壁へ付着
することがほとんどない。酸化処理済みガスbは、吸収
塔1の上部から系外へ排出される。一方、2価の鉄イオ
ン、硫黄及び副生硫酸を含む溶液は、硫黄分離装置2に
送られ、上記図1の場合と同様にして硫黄cを分離回収
したのち、硫黄回収後の溶液(循環液)は電気化学的再
生装置3(例えば電解槽)の陽極室3−1に送られ、電
気化学的に再生処理される。電気化学的再生装置3の陽
極室3−1で得られた硫酸−硫酸鉄溶液eは、硫化水素
ガス吸収塔1に供給される。
【0030】そして、硫黄分離装置2で硫黄を分離した
2価の鉄イオン及び副生硫酸を含む溶液の一部は、副生
硫酸還元装置4に供給される。この副生硫酸還元装置4
には、同時に、副生硫酸を水素還元するために、電気化
学的再生装置3で電気分解によって回収される水素dの
一部、あるいは外部からの水素が導入される。この副生
硫酸還元装置では前記反応式(III) の反応が進行し、副
生硫酸を水素還元して硫化水素を生成する。この硫化水
素(含水素)は、硫化水素ガス吸収塔1に、あるいは図
中には示されていないが該硫化水素ガス吸収塔1の前又
は後に戻される。一方、副生硫酸が還元処理された回収
液は、好ましくは、その一部が硫化水素ガス吸収塔1
に、あるいは該硫化水素ガス吸収塔1の前又は後に戻さ
れ、残りが電気化学的再生装置3の陰極室3−2に送ら
れる。そして陰極室で発生した水素ガスを分離したの
ち、陰極室液は硫化水素ガス吸収塔1に、あるいは該硫
化水素ガス吸収塔1の前又は後に戻される。なお、図2
において、5は気液分離器である。
【0031】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0032】実施例1(1)準 備 硫化水素除去装置として、吸収塔(硫化水素ガス吸収・
酸化工程領域)、硫黄分離器(硫黄分離工程領域)、及
び電解槽(電気化学的再生処理工程領域)の陽極室がリ
ンクした主循環経路と、還元塔(副生硫酸還元工程領
域)とを有する装置を用いた。循環液としては、導入時
組成がFeSO4 1.2モル/リットル,及びH2 SO4
2.0モル/リットルの硫酸−硫酸鉄溶液50リットルを
系内に導入した。また陰極室液としては、H2 SO4 2.
5モル/リットルを含む電解液を用いた。(2)電気化学的再生処理の開始 電解能力が7.4モル/時間以上の電解槽(電極面積:2,
000cm2 ,陽極室:炭素板/炭素繊維布,隔膜:徳
山曹達(株)製,ネオセプタCM−1,陰極:白金触媒
付炭素繊維布/炭素板)を用いて電解処理を開始した。
電解温度は50℃,電流密度は100〜200mA/c
2 とした。上記循環液は30リットル/時間で循環さ
せた。陰極室液は30リットル/時間で循環させた。電
解処理を上記条件で4時間継続し、循環液中の3価鉄イ
オン濃度を0.6モル/リットルに上昇させた。
【0033】(3)硫化水素ガス供給の開始 引き続き電解処理を行いながら、硫化水素ガスの供給及
び硫化水素の吸収・酸化処理を開始した。硫化水素ガス
は3.7モル/時間で吸収塔に供給した。反応温度は13
0℃、反応圧力は4.5atm(4.5596×105
a)とした。なお電解処理中に液組成分析を行い、吸収
塔の入口部分における循環液の平均組成が、2価鉄イオ
ン0.6モル/リットル及び3価鉄イオン0.6モル/リッ
トルとなるように電解速度(電解量)をコントロールし
た。硫化水素の吸収・酸化処理を開始した後は少量の硫
酸が副生するため、循環液中の硫酸濃度が徐々に増加し
た。22日間の連続運転を行った結果、循環液中の硫酸
濃度は2.5モル/リットルになった。(4)副生硫酸還元処理の開始 さらなる長期連続運転を行うためには、2価鉄イオンと
3価鉄イオンの濃度だけでなく硫酸濃度も一定に維持す
る必要があるので、引き続き電解処理と硫化水素の吸収
・酸化処理を行いながら、副生硫酸還元処理を開始し
た。副生硫酸還元処理には固定床流通式反応装置を用い
た。反応器は0.5リットル、熱媒による加熱ジャケット
付きの管状構造のものであり、白金1wt%担持活性炭
触媒205gを充填した。反応器内部を水素で6.0Kg
/cm2 (5.88399×105 Pa,5.80705a
tm)まで昇圧したのち、硫黄分離器の出口液を0.6リ
ットル/時間で送入し、水素を30リットル(NTP)
/時間で送入した。反応温度は140℃とした。なお、
還元塔の出口で気液分離を行い、処理液は主循環経路に
戻す一方、硫酸の水素還元で発生した硫化水素は系外へ
排出した。 上記(2)〜(4)の工程のリンク運転を約20日間継
続した。
【0034】
【発明の効果】本発明の硫化水素除去装置の運転開始方
法によると、運転開始時の循環液として安価な第一鉄塩
溶液を用いることができ、経済的に有利であると共に、
効率よく定常状態の運転に移行させることができる。そ
して本発明は、建設直後の硫化水素除去装置を稼働させ
る場合やメンテナンスに際し循環液を交換する場合のよ
うに、新しい循環液を大量に必要とする場合において、
特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる硫化水素除去装置の一例の、
定常運転状態を示す概略図である。
【図2】 本発明で用いる硫化水素除去装置の異なった
例の、定常運転状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1:硫化水素ガス吸収塔 2:硫黄分離装置 3:電気化学的再生装置 3−1:陽極室 3−2:陰極室 4:副生硫酸還元装置 5:気液分離器 a:硫化水素含有ガス b:酸化処理済ガス c:硫黄 d:水素ガス e:硫酸−硫酸鉄溶液

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも硫化水素ガス吸収・酸化工程
    領域、硫黄分離工程領域、及び電気化学的再生処理工程
    領域から構成される主循環経路を有し、循環液として硫
    酸−硫酸鉄溶液を用い、かつ硫化水素ガス吸収・酸化工
    程領域において、硫化水素含有ガスを3価の鉄イオンを
    含む硫酸−硫酸鉄溶液と接触処理し硫化水素を吸収させ
    て酸化反応を行い、2価の鉄イオン、硫黄及び副生硫酸
    を含む溶液を生成させ、次いで、硫化水素ガス吸収・酸
    化工程領域の出口液を硫黄分離工程領域に導入して該溶
    液から硫黄を分離した後、硫黄分離工程領域の出口液を
    電気化学的再生処理工程領域に導入して2価の鉄イオン
    を3価の鉄イオンへ再生すると共に、水素を発生させて
    回収する硫化水素除去装置の運転を開始するに当たり、
    最初に電気化学的再生処理を開始して循環液を流通さ
    せ、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域の入口液の3価の
    鉄イオン濃度が、実質的に定常運転可能な濃度に達した
    後で硫化水素含有ガスの供給を開始することを特徴とす
    る硫化水素除去装置の運転開始方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも硫化水素ガス吸収・酸化工程
    領域、硫黄分離工程領域、及び電気化学的再生処理工程
    領域から構成される主循環経路と、副生硫酸還元工程領
    域とを有し、循環液として硫酸−硫酸鉄溶液を用い、か
    つ硫化水素ガス吸収・酸化工程領域において、硫化水素
    含有ガスを3価の鉄イオンを含む硫酸−硫酸鉄溶液と接
    触処理し硫化水素を吸収させて酸化反応を行い、2価の
    鉄イオン、硫黄及び副生硫酸を含む溶液を生成させ、次
    いで、硫化水素ガス吸収・酸化工程領域の出口液を硫黄
    分離工程領域に導入して該溶液から硫黄を分離した後、
    硫黄分離工程の出口液を電気化学的再生処理工程領域に
    導入して2価の鉄イオンを3価の鉄イオンへ再生すると
    共に水素を発生させて回収する一方、硫黄分離工程領域
    の出口液の一部を副生硫酸還元工程領域に導入し水素と
    接触させて、該出口液中に含まれる副生硫酸を還元して
    硫化水素を生成させ、生成した硫化水素をリサイクルす
    ると共に該副生硫酸還元工程領域の出口液を主循環経路
    に戻す硫化水素除去装置の運転を開始するに当たり、最
    初に電気化学的再生処理を開始して循環液を流通させ、
    硫化水素ガス吸収・酸化工程領域の入口液の3価の鉄イ
    オン濃度が、実質的に定常運転可能な濃度に達した後で
    硫化水素含有ガスの供給を開始し、更に循環液の硫酸濃
    度が実質的に上昇し始めた後で副生硫酸の還元を開始す
    ることを特徴とする硫化水素除去装置の運転開始方法。
  3. 【請求項3】 循環液の総鉄イオン濃度が1.0〜3.0モ
    ル/リットルであり、かつ硫化水素ガス吸収・酸化工程
    領域の入口液の3価の鉄イオン濃度が少なくとも0.3モ
    ル/リットルに達した後で硫化水素含有ガスの供給を開
    始する請求項1又は2のいずれかに記載の硫化水素除去
    装置の運転開始方法。
  4. 【請求項4】 硫化水素ガス吸収・酸化工程領域の入口
    液の3価の鉄イオン濃度が0.5〜1.5モル/リットルに
    達した後で硫化水素含有ガスの供給を開始する請求項3
    記載の硫化水素除去装置の運転開始方法。
  5. 【請求項5】 運転開始時における循環液の鉄塩として
    第一鉄塩を用いる請求項1又は2のいずれかに記載の硫
    化水素除去装置の運転開始方法。
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