JPH07112115A - 硫化水素の処理方法 - Google Patents

硫化水素の処理方法

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JPH07112115A
JPH07112115A JP5293100A JP29310093A JPH07112115A JP H07112115 A JPH07112115 A JP H07112115A JP 5293100 A JP5293100 A JP 5293100A JP 29310093 A JP29310093 A JP 29310093A JP H07112115 A JPH07112115 A JP H07112115A
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Japan
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hydrogen sulfide
hydrogen
sulfuric acid
sulfur
solution
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JP5293100A
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English (en)
Inventor
Kosaku Honna
幸作 本名
Hiroshi Noguchi
博司 野口
Hiroshi Iida
博 飯田
Masayuki Goto
政幸 後藤
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Idemitsu Kosan Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Petroleum Energy Center PEC
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硫化水素含有ガスから硫黄と水素を効率よく
回収することができ、かつ完全クローズドシステムで長
期間連続運転可能な硫化水素の処理方法を提供するこ
と。 【構成】 鉄塩水溶液処理及び電気化学的再生処理を組
み合わせて硫化水素含有ガスから硫黄と水素を回収する
処理方法において、硫黄分離後の溶液の一部を水素と接
触させ、該溶液中に含まれる副生硫酸を還元して硫化水
素を生成させ、該硫化水素を硫化水素ガス吸収装置など
に戻し、一方、副生硫酸還元工程からの回収液を電気化
学的再生装置の陰極室へ導入し、該陰極室で発生した水
素ガスを分離したのち、陰極室液を硫化水素ガス吸収装
置などに戻す硫化水素の処理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硫化水素の処理方法の改
良に関し、さらに詳しくは、鉄塩水溶液処理及び電気化
学的再生処理と組み合わせて、硫化水素含有ガスから硫
黄と水素ガスを回収する処理方法において、鉄塩水溶液
中の副生硫酸を効率的に除去しうるとともに、陰極液に
おける鉄イオンの蓄積を防ぐことができ、完全クローズ
ドシステムで長期間連続運転が可能で、効率よく硫黄と
水素を回収することができる硫化水素の処理方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、石油精製の際に排出される硫化水
素は、クラウス法によって工業的に処理されていた。し
かし、この方法は、硫化水素中の硫黄成分は硫黄として
回収されるが、水素成分は水素ガスとして回収されず水
になり、工業的に効率よく利用を図ることができなかっ
た。現在、硫化水素から硫黄と水素ガスを、酸化及び電
気化学的処理によって回収する方法として、3価の鉄イ
オンを含有する鉄塩水溶液を用いる方法が知られてい
る。このような方法においては、3価の鉄イオンを含む
各種鉄塩水溶液が用いられるが、何れの場合も微量の硫
酸の副生は避けられない。その結果、鉄塩水溶液に硫酸
が蓄積し、最終的には鉄塩の析出をもたらし、プロセス
的には、重大な欠陥をなす。この欠点を解消した改良技
術として、本発明者らのグループは、既に、リン酸−塩
化鉄系の水溶液を用い、硫酸の副生量を減少させる技術
を開発した。その後、この改良技術には、長期循環使用
する場合、鉄系水溶液中の硫酸濃度が増大し、一定割合
で鉄系水溶液を廃液として抜出すと同時に、新鉄系水溶
液を補給する必要のあることが判明した。そこで、本発
明者らのグループは、さらに研究を重ね、鉄液中の硫酸
を水素と接触させて還元し、硫化水素を生成させ、生成
した硫化水素を硫化水素ガス吸収装置で処理することに
より、系内の硫酸濃度をコントロールすることができる
ことを見出した(特願平5−36653号明細書)。し
かしながら、上記方法においては、吸収液系における硫
酸の蓄積及び鉄塩析出などの問題は解決されるものの、
長期間連続運転した場合、陰極液に鉄イオンが蓄積し
(陽極液からの移行)、陰極液の交換が必要で廃液が排
出されるという問題が生じることが明らかになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、鉄塩水溶液処理及び電気化学的再生処理
を組み合わせて、硫化水素含有ガスから硫黄と水素ガス
を回収する処理方法において、鉄塩水溶液中の副生硫酸
を効率的に除去しうるとともに、陰極液における鉄イオ
ンの蓄積を防ぐことができ、産業廃棄物の出ない完全ク
ローズドシステムで長期間連続運転が可能で、効率よく
硫黄と水素を回収しうる硫化水素の処理方法を提供する
ことを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、副生硫酸を含
む鉄塩水溶液の一部を水素と接触させ、該溶液中に含ま
れる副生硫酸を還元して硫化水素を生成させ、生成した
硫化水素を硫化水素ガス吸収装置あるいはこの装置の前
又は後に戻し、一方副生硫酸還元工程からの回収液を電
気化学的再生装置の陰極室へ導入し、陰極室液を硫化水
素ガス吸収装置あるいはこの装置の前又は後に戻すこと
により、その目的を達成しうることを見出した。本発明
はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、硫化水素ガス吸収装
置内で、硫化水素含有ガスを3価の鉄イオンを含む硫酸
−硫酸鉄溶液に接触させて硫化水素を吸収させて酸化反
応を行い、2価の鉄イオン,硫黄及び副生硫酸を含む溶
液を生成させ、次いで、該溶液から硫黄を分離したの
ち、この溶液を電気化学的再生装置の陽極室へ導入し該
装置の陰極室で水素を発生させて回収するに当たり、硫
黄分離後の溶液の一部を水素と接触させ、該溶液中に含
まれる副生硫酸を還元して硫化水素を生成させ、該硫化
水素及び場合により副生硫酸還元工程からの回収液の一
部を硫化水素ガス吸収装置あるいは該硫化水素ガス吸収
装置の前又は後に戻し、一方副生硫酸還元工程からの回
収液の全部又は一部を電気化学的再生装置の陰極室へ導
入し、陰極室液を硫化水素ガス吸収装置あるいは該硫化
水素ガス吸収装置の前又は後に戻すことを特徴とする硫
化水素の処理方法を提供するものである。
【0006】本発明の硫化水素の処理方法は、硫化水素
吸収・酸化工程,硫黄分離工程,電気化学的再生処理工
程及び副生硫酸の水素還元工程を必須工程とするもので
ある。 硫化水素吸収・酸化工程(気液接触工程) この工程においては、硫化水素含有ガスと3価の鉄イオ
ンを含む硫酸−硫酸鉄水溶液との接触処理が行われる。
この工程で処理される硫化水素含有ガスは、純粋な硫化
水素ガスであってもよく、硫化水素と3価鉄イオン対し
て不活性な気体、例えば硫化水素と水素,一酸化炭素,
二酸化炭素,炭化水素(メタン,エタンなど),窒素な
どとの混合ガスであってもよい。
【0007】一方、硫化水素含有ガスと接触させる吸収
液として、硫化水素の酸化を行う3価の鉄イオン(第二
鉄イオン)を含む硫酸−硫酸鉄水溶液が用いられるが、
この吸収液には、本発明の目的が損なわれない範囲で第
一鉄塩や他の塩類などが含有していてもよい。使用する
鉄塩水溶液中のイオン濃度は、特に制限はないが、第二
鉄イオンが0.1〜5.0モル/リットル、好ましくは0.5
〜1.5モル/リットルの範囲である。第二鉄イオンが0.
1モル/リットル未満であると、硫化水素の吸収率が低
下し、また、5.0モル/リットルを超えると、溶解度に
問題があり、好ましくない。また、第一鉄イオンについ
ては、必須ではないが、硫酸第一鉄が用いられ、通常0.
1〜3.0モル/リットル、好ましくは0.5〜1.5モル/
リットルの範囲で存在する。第一鉄イオンの添加は、主
に電気化学的処理において効率を向上させるためである
が、0.1モル/リットル未満ではその効果が得られず、
また、3.0モル/リットルを超えると鉄塩(特に硫酸第
一鉄)の析出が起こり好ましくない。そして、硫酸につ
いては、0.1〜5モル/リットル、好ましくは1〜4モ
ル/リットルの範囲である。硫酸が0.1モル/リットル
未満では、硫酸の副生が増大し、電気化学的再生時に効
率を低下させることがある。また、5モル/リットルを
超えると、鉄塩(特に硫酸第一鉄)の析出が起こり好ま
しくない。
【0008】この硫化水素吸収・酸化工程を行うに当た
っては、特に制限はないが、従来から液体によるガス吸
収において慣用されている方法、例えば、気泡塔,スプ
レー塔,ぬれ壁塔,攪拌式吸収塔,充填気泡塔,充填塔
などの汎用の吸収塔を採用すればよい。この工程におけ
る硫化水素から硫黄を生成させる酸化工程の反応式は、
次に示す通りである。 2Fe3++H2 S=2Fe2++2H+ +S(沈澱) ・・・(I) すなわち、硫化水素は、第二鉄イオンにより酸化されて
硫黄を生成し、第二鉄イオンは第一鉄イオンに還元され
る。同時に、この工程での反応において、硫酸が副生さ
れる。その結果、第二鉄イオン,硫黄及び副生硫酸が、
溶液中に含有されることになる。
【0009】前記硫化水素吸収・酸化工程(接触反応)
における温度は、通常50〜150℃、好ましくは12
0〜140℃である。温度が50℃未満の低温では、硫
化水素の吸収率が低下し、また硫黄の分離が困難とな
る。特に、分離を速やかに行うためには、硫黄の融点以
上、硫黄の融点は同素体毎に異なるが120℃以上にす
るのがよい。このように硫黄の融点以上に設定すること
によって硫黄が溶融状態で生成し、比重差で容易に硫黄
と水溶液を分離することができる。この温度範囲未満で
は、硫黄が溶融状態にならず、分離が困難であると共に
高純度で回収することが困難である。一方、150℃を
超える高温では、溶融硫黄の粘性が増大して取扱いが不
便になることがある。また、接触反応する際の圧力は、
操作上に支障のない範囲で水分蒸発を防ぎ、上記所望の
温度を保つために必要な圧力であれば、特に制限はない
が、通常は1.5気圧以上が好ましい。
【0010】硫黄分離工程 この工程においては、上記硫化水素吸収・酸化工程にお
いて生じた2価の鉄イオン、硫黄及び副生硫酸を含む溶
液から、硫黄の分離処理が行われる。硫黄の分離処理方
法については特に制限はなく、物理的又は化学的な様々
な方法を用いることができる。例えば物理的処理方法と
して沈降分離、遠心分離法などを用いることができる
し、化学的処理方法として、さらに他の硫黄化合物に変
換する方法などを用いることができる。特に好ましい方
法としては、生成した硫黄を溶融硫黄として、液−液分
離し、つまり比重差により沈降分離し、回収する方法を
挙げることができる。この硫黄分離工程に用いる硫黄分
離装置は、特に制限はなく、種々の構造のものを利用す
ることができる。例えば、一般のシックナー形式,空塔
ドラム形式,沈降池形式等、分離回収すべき溶融硫黄滴
の大きさや設計上の回収率に応じて適宜選定すればよ
い。
【0011】電気化学的再生処理工程 この工程においては、上記硫黄分離工程で硫黄を分離、
回収した後の溶液を電気化学的再生装置の陽極室へ導入
し、電気分解などにより、該装置の陽極室側では該溶液
中に多く含まれている第一鉄イオンを第二鉄イオンに変
換するとともに、該装置の陰極室側では水素ガスを発生
させ、3価の鉄イオン(第二鉄イオン)を多く含有する
溶液(吸収液又は循環液)に再生するとともに、水素ガ
スを分離回収する。ここで進行する反応は、次の反応式
で示される。 2Fe2++2H+ =2Fe3++H2 (気体)・・・(II) すなわち、第一鉄イオンは、第二鉄イオンに酸化再生さ
れるとともに、水素ガスを発生する。再生された溶液
は、前記硫化水素吸収・酸化工程における硫化水素の吸
収液(循環液)として繰り返し使用することができる。
【0012】なお、この電気化学的再生処理工程を行う
ための装置としては、通常の電気分解などに慣用されて
いる形式の電解槽などが充当できる。このような工程を
行う電解槽には、陽極と陰極との間に、隔膜が設けられ
ており、また、上記電極には、黒鉛や炭素繊維などの耐
酸材料が用いられている。上記隔膜としては、水素イオ
ン選択透過性膜を用いることが好ましい。前記電解槽の
陽極室には、前記のようにして処理され、硫黄を分離し
た2価の鉄イオン及び副生硫酸を含む溶液が導入され
る。
【0013】一方、陰極室には、本発明においては、次
に示す副生硫酸の水素還元工程からの回収液の全部又は
一部が導入される。この陰極室に導入される該回収液中
の水素イオン濃度は0.5〜5モル/リットル、好ましく
は1〜4モル/リットルの範囲が望ましく、この範囲を
はずれると、電解電圧が上昇し、効率が低下するので好
ましくない。該陰極室で発生した水素ガスを分離したの
ち、あるいは水素ガスを分離せず、陰極室液は硫化水素
ガス吸収装置あるいは該硫化水素ガス吸収装置の前又は
後に戻される。隔膜に水素イオン選択透過性膜を用いる
場合は、所望に応じて多孔質のガス透過性の電極、例え
ば、黒鉛繊維布、好ましくは白金等の触媒を担持したも
のを、前記隔膜に直接接触させてもよい。なお、この電
解は通常は25〜150℃で行われる。従って、硫化水
素吸収・酸化工程における好ましい温度レベル(120
〜140℃)でも問題なく電解を行うことができ、この
ような高温電解によって経済性の向上を図ることもでき
る。また、前記電気化学的処理によって発生する水素
は、必要に応じて通常の方法によって捕捉回収される。
本発明においては、回収された水素の一部は、系内の副
生硫酸の量をコントロールするために、処理液に含まれ
る副生硫酸を還元して硫化水素を生成させるのに供され
ることもできる。
【0014】副生硫酸の水素還元工程 この工程においては、前記硫黄分離工程で硫黄を分離し
た後の2価の鉄イオン及び副生硫酸を含む溶液の一部
を、水素と接触させ、溶液中に含まれる副生硫酸を還元
して硫化水素を生成させ、硫化水素(含水素)を硫化水
素ガス吸収装置あるいは該硫化水素ガス吸収装置の前ま
たは後に戻し、系内の副生硫酸の量をコントロールす
る。副生硫酸を水素還元によって、硫化水素を生成させ
る反応式は、次に示す通りである。 H2 SO4 +4H2 =H2 S+4H2 O ・・・(III)
【0015】すなわち、硫酸は、水素により還元されて
硫化水素を生成する。前記硫酸の水素還元反応は、通
常、気−液−固(触媒)系に使われている種々の形式を
利用して行うことができる。例えば、スラリー床型反応
器を用いて水素還元反応を行う場合には、触媒として、
粒径の小さいものを用いることができる。その結果、硫
酸水溶液との接触効率が高くなり、効率よく反応を進行
させることができる。しかし、このスラリー床型反応器
では、反応後、液−固分離装置が必要になってくる。
【0016】また、気−液並流型の灌液充填塔を用いて
水素還元反応を行うことができる。この場合、降下流方
式では、大量に処理することができる大型装置で行うの
に適している。これに対して、上昇流方式では、小型装
置で行うのに適している。その他、充填気泡塔を用いて
水素還元反応を行うこともできる。前記水素還元反応を
行うにあたって、水素還元装置に送入する副生硫酸を含
む溶液の送入量は、硫化水素吸収・酸化工程における硫
酸の副生率と水素還元工程での水素還元反応速度とのバ
ランスによって決められる。例えば、硫酸副生率が、約
2%の場合、通常、硫黄分離工程からの溶液の1〜5容
量%に相当する溶液を送入すればよい。
【0017】また、上記のようにして送入された処理液
中の副生硫酸を水素還元反応するために供給される水素
ガスは、前記電気化学的再生装置から発生する水素ガス
流から、5〜35容量%に相当する量(過剰量)あるい
は外部水素から必要量を導入すればよい。そして、水素
還元反応には、各種の触媒を用いることができる。それ
らのなかで、好ましくは、例えば、白金担持活性炭があ
り、効率的に反応を進めることができる。この水素還元
反応における温度は、通常100〜180℃、好ましく
は120〜150℃の範囲である。この反応温度が10
0℃未満では、反応速度が非常に小さくなる。一方、1
80℃を超えると、圧力が増大し、プロセス的に不利に
なり好ましくない。
【0018】また、水素還元反応を行う際の圧力は、鉄
塩水溶液の水分蒸発を防ぎ、上記所望の温度を保つため
に必要な圧力であれば、特に制限はなく、通常は3気圧
以上が好ましい。前記のように水素還元工程において、
副生硫酸の水素還元によって生成した硫化水素は、前記
硫化水素ガス吸収装置あるいは該硫化水素ガス吸収装置
の前または後に戻される。ここで、水素還元反応によっ
て生成した硫化水素を硫化水素ガス吸収装置に戻す理由
は、吸収ガスと同様に回収硫化水素の吸収酸化反応を充
分に進行させるためである。
【0019】また、硫化水素を硫化水素ガス吸収装置の
前または後に戻す理由は、第二鉄イオンを含む硫黄の融
点以上のラインであり、硫黄分離装置の上流であればど
こでも良いからである。この硫化水素を硫化水素ガス吸
収装置あるいは該硫化水素ガス吸収装置の前または後の
いずれに戻すかは、システム全体のバランスを考慮して
決定すればよい。一方、副生硫酸が還元処理された回収
液は、所望により、その一部を硫化水素ガス吸収装置あ
るいは該硫化水素ガス吸収装置の前又は後に戻し、残り
を電気化学的再生装置の陰極室へ導入する。このよう
に、溶液中に含まれる副生硫酸を水素還元し、系内の硫
酸の含有量をコントロールすることによって、システム
全体をクローズドに連続的に処理することができる。
【0020】次に、本発明の好適な実施態様の一例を図
1に従って説明する。図1は、前記したような本発明の
処理方法の一例を示す概略図である。図1に示すよう
に、硫化水素ガス吸収装置1には、被処理ガスである硫
化水素含有ガスと3価の鉄イオンを含有する硫酸−硫酸
鉄水溶液が導入される。この硫酸−硫酸鉄水溶液は初期
状態においては新たに調製された溶液を前記ガス吸収装
置に導入すればよい。装置の運転を開始してからは、電
気化学的再生装置3(例えば電解槽)で得られた硫酸−
硫酸鉄水溶液(循環液)を供給するのが効率的で好まし
い。吸収塔の内部は、図示していない加熱装置により、
加熱される。吸収塔に前記被処理ガスと前記硫酸−硫酸
鉄水溶液とを導入し、両者を接触させると、前記反応式
(I)に従って酸化反応が進行し、硫黄を生成し、同時
に、2価の鉄イオン及び副生した硫酸からなる溶液が得
られる。この際、反応系内は硫黄の融点以上であれば、
硫黄は吸収塔の内壁へ付着することがほとんどなく好ま
しい。次いで、2価の鉄イオン,硫黄及び副生硫酸を含
む溶液は、硫黄分離装置2に送られる。なお、所望によ
りこの工程の前に溶融硫黄滴を合一させる工程を設けて
もよい。
【0021】前記硫黄分離装置では、硫黄を溶融状態と
して、比重差により溶液中で沈降させ、該分離装置の底
部から容易に回収される。また、硫黄を溶融状態で分離
を行えば、硫黄分離装置の内部構造を簡単にすることが
できる。さらに、硫黄分離装置から出てくる硫黄回収後
の溶液は、電気化学的再生装置3(例えば電解槽)の陽
極室Aに供給される。この陽極室では、前記反応式(II)
の反応が進行する。この電気化学的処理において用いら
れる装置としては、既に前記した如く、従来慣用されて
いる型式の電解槽を使用することができる。この電解槽
には、陽極と陰極との間に、隔膜が設けられており、ま
た前記電極には、黒鉛や炭素繊維などの耐酸材料が用い
られている。前記隔膜としては水素イオン選択透過性膜
を用いることが好ましい。
【0022】なお、電解槽に供給される2価の鉄イオン
及び副生硫酸を含む溶液は、溶液中の硫黄の濃度が大き
いと電解性能が低下するので、電解槽に送られる溶液中
の硫黄は、できるだけ除去しておく方が良い。また、所
望により、電解槽の前にフィルターを設けることもでき
る。陽極室で再生された溶液は硫化水素の吸収液(循環
液)として硫化水素ガス吸収装置1に送られる。そし
て、硫黄分離装置2で硫黄を分離した2価の鉄イオン及
び副生硫酸を含む溶液の一部は、水素還元装置4に供給
される。
【0023】この水素還元装置4には、同時に、副生硫
酸を水素還元するために、電気化学的再生装置3で電気
分解によって回収される水素の一部、あるいは外部から
の水素が導入される。この水素還元装置では、前記反応
式(III) の反応が進行し、副生硫酸を水素還元して硫化
水素を生成する。この硫化水素(含水素)は、硫化水素
ガス吸収装置1に、あるいは図中には示されていないが
該硫化水素ガス吸収装置1の前又は後に戻される。一
方、副生硫酸が還元処理された回収液は、所望により、
その一部が硫化水素ガス吸収装置1に、あるいは該硫化
水素ガス吸収装置1の前又は後に戻され、残りが電気化
学的再生装置3の陰極室Bに送られる。そして陰極室で
発生した水素ガスを分離したのち、陰極室液は硫化水素
ガス吸収装置1に、あるいは該硫化水素ガス吸収装置1
の前又は後に戻される。なお、図1において、5は気液
分離器である。
【0024】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこの例によってなんら限定されるもの
ではない。 実施例1 3価の鉄イオンを含む硫化水素吸収液(吸収塔導入時組
成:FeSO4 0.70モル/リットル,Fe(SO4)
1.5 0.50モル/リットル及びH2 SO4 2.5モル/リ
ットル)を用い、30リットル/時間で吸収塔を循環さ
せた。そして、硫化水素を3.7モル/時間で吸収塔に供
給して反応させた。反応温度は130℃、反応圧力は4.
5kg/cm2 とした。次いで、吸収塔から導出した吸
収液を、硫黄分離装置に導入し、生成した硫黄を分離、
除去したのち、電解槽(電極面積:2,000cm2 ,陽
極室:炭素板/炭素繊維布,隔膜:市販のカチオン交換
膜(徳山曹達(株)製、ネオセプターCM−1),陰
極:白金触媒付炭素繊維布/炭素板)の陽極室に導入し
た。また、陰極室には、H2 SO4 2.5モル/リットル
を含む電解液を30リットル/時間で循環させた。電解
温度は50℃とし、電流密度100mA/cm2 の定電
流密度運転を行った。この時の電解電圧は0.93Vだっ
た。
【0025】500時間後に陽極室側の電解液(原料
液)を10リットル抜出した電解液の組成分析の結果、
2 SO4 =2.78モル/リットルであった。この電解
液中の硫酸を水素還元するために、以下の実験をおこな
った。電解液の水素還元処理は、固定床流通式反応装置
を用いて連続運転を行った。反応器は内容積0.5リット
ル、熱媒による加熱ジャケット付きの管状構造のもので
あり、白金1wt%担持活性炭触媒205gを充填し
た。水素で6.0atmGまで昇圧したのち。上記電解液
を0.6リットル/hrで送入し、また水素を30リット
ル(NTP)/hr送入した。所定温度で約4時間反応
を継続し、反応器出口からガスをサンプリングして硫化
水素濃度を測定し、単位時間、単位触媒量当たりの硫化
水素発生量を算出した。
【0026】反応温度と硫化水素発生速度(硫酸還元速
度)との関係は、以下のようになった。 反応温度 硫化水素発生速度 (℃) (モル/g・触媒,時間) 130 0.16×10-3 135 0.23×10-3 140 0.34×10-3 145 0.49×10-3 なお、200時間の連続運転の結果、触媒の活性低下が
ないことも分かった。次に、上記電解槽において、陰極
室へ供給する液として、硫酸の代わりに、硫酸還元装置
から回収した処理液(FeSO4 :1.2モル/リット
ル,H2 SO4:2.7モル/リットル)を用いたとこ
ろ、陰極液として硫酸を用いた場合と比較して、電解性
能に差がないことが分かった。
【0027】実施例2 硫化水素吸収・酸化工程の操作温度レベル(125℃)
において電気化学的再生処理を行った場合の電解性能を
示す。実施例1と同じ硫化水素吸収(循環)液(吸収塔
導入時組成:FeSO4 0.70モル/リットル,Fe
(SO4)1.5 0.50モル/リットル及びH2 SO4 2.5
モル/リットル)を用い、硫黄を分離、除去した後の循
環液を、電解槽(電極面積:70cm2 ,陽極室:炭素
板/炭素繊維布,隔膜:市販のフッ素系カチオン交換膜
(デュポン社製、Nafion 117),陰極:白金
触媒付炭素繊維布/炭素板)の陽極室に導入した。ま
た、陰極室には、H2 SO4 2.5モル/リットルを含む
電解液を6リットル/時間で循環させた。電解温度は1
25℃に設定し、電流密度300mA/cm2 の定電流
密度運転を行った。結果は、電解電圧が0.94Vであっ
た。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によると、鉄塩水溶液処理
及び電気化学的再生処理を組み合わせて硫化水素含有ガ
スから硫黄と水素を回収する処理方法において、鉄塩水
溶液の副生硫酸を効率的に除去しうるとともに、陰極液
における鉄イオンの蓄積を防ぐことができ、産業廃棄物
の出ない完全クローズドシステムで長期間連続運転が可
能で、効率よく硫黄と水素を回収することができる。更
に、本発明の方法においては、硫化水素吸収・酸化工程
の操作温度レベルにおいて問題なく電気化学的再生処理
(高温電解)を行うことができ、硫化水素吸収液の冷却
操作の省略による工程簡略化や経済性向上を図ることも
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の処理方法の一例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1硫化水素ガス吸収装置 2硫黄分離装置 3電気化学的再生装置 4水素還元装置 5気液分離器 A陽極室 B陰極室
フロントページの続き (72)発明者 飯田 博 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地 出光興産株 式会社内 (72)発明者 後藤 政幸 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地 出光興産株 式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化水素ガス吸収装置内で、硫化水素含
    有ガスを3価の鉄イオンを含む硫酸−硫酸鉄溶液に接触
    させて硫化水素を吸収させて酸化反応を行い、2価の鉄
    イオン,硫黄及び副生硫酸を含む溶液を生成させ、次い
    で、該溶液から硫黄を分離したのち、この溶液を電気化
    学的再生装置の陽極室へ導入し該装置の陰極室で水素を
    発生させて回収するに当たり、硫黄分離後の溶液の一部
    を水素と接触させ、該溶液中に含まれる副生硫酸を還元
    して硫化水素を生成させ、該硫化水素及び場合により副
    生硫酸還元工程からの回収液の一部を硫化水素ガス吸収
    装置あるいは該硫化水素ガス吸収装置の前又は後に戻
    し、一方副生硫酸還元工程からの回収液の全部又は一部
    を電気化学的再生装置の陰極室へ導入し、陰極室出口液
    を硫化水素ガス吸収装置あるいは該硫化水素ガス吸収装
    置の前又は後に戻すことを特徴とする硫化水素の処理方
    法。
JP5293100A 1993-08-24 1993-11-24 硫化水素の処理方法 Pending JPH07112115A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103865602A (zh) * 2014-03-25 2014-06-18 胡明成 湿法铁盐膜电解再生沼气脱硫方法及其装置

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