JPH0729823Y2 - 筒状リールシート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は釣竿に使用される筒状リ
ールシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の筒状リールシートは、例えば実公
昭５９−３７０１１号公報の第１図や第２図に見られる
ように、リールシート本体外形を略同一径の円筒状に形
成すると共に、移動フードのリール脚受入側の周縁端面
がリールシート本体の長手方向に対して垂直に形成され
ている。

【０００３】このため以下の欠点がある。まず、リール
シート本体のリール脚載置部の反対側に手の平や指を当
接させて把持した状態で釣竿を操作するとき、従来のリ
ールシート本体が単なる断面円形状のため把持する手の
形状と一致せず、フィット感がなく、把持しにくいため
釣竿操作がしにくいという問題がある。

【０００４】また、移動フードはリールシート本体外側
に設けられているため、リールシート本体との間に半径
方向の段差が生じている。一方、釣竿操作時にはリール
シート部を把持している手の平や指には上記段差部を含
むリールシート部が強く押し当てられるため、手を傷め
たり傷を負ったりする。こうした問題に関連して、握り
感触を向上させるためのリールシートの構造が実公昭６
３−４１８９２号公報等に開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】然しながら、上記実公
昭６３−４１８９２号公報に開示の構造では、ソフトで
平滑な握り面が提供され、手が痛いということはなくな
るが、把持している手の形状とリールシートの断面形状
とは必ずしも一致しておらず、握り心地には改善の余地
がある。

【０００６】依って本考案は、把持した場合にフィット
感があって、移動フードの段差にも関係なく握り心地の
良い筒状リールシートの提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本考案
は、リール脚載置部の一端側に固定フードを設け、他端
側にリールシート本体に対して摺動する摺動部とリール
の脚を受け入れるリール脚受入部とを有する移動フード
を設けた筒状リールシートにおいて、前記リール脚載置
部の存在する側とは径方向反対側のリールシート本体周
面に前記摺動部の外径寸法よりも太径の膨出部を形成
し、前記固定フードと対向している前記移動フードの周
縁端面を前記リール脚受入部から前記の径方向反対側周
面に向かって開放範囲が広くなるよう傾斜状に形成して
いることを特徴とする筒状リールシートを提供する。

【０００８】

【作用】リール脚載置部の径方向の反対側に膨出部を形
成しているため、リールシート本体の断面形状が把持し
た手の形状と一致してフィット感をもたらし、また、移
動フードの周縁端面を上記膨出側が広く開放されるよう
に傾斜状に形成しているためこの膨出部を軸方向に長く
形成でき、かつ、この膨出部を移動フードの摺動部の外
形寸法よりも太径に形成しているため、リールシート部
を把持した手がリールシート本体に対して段差のある移
動フードの周縁端面に接触しにくい。従って、握り心地
が良い。

【０００９】

【実施例】以下、本考案を添付図面に示す実施例に基づ
いて更に詳細に説明する。図１は本考案に係る筒状リー
ルシートを使用している釣竿の要部の側面図であり、図
２はその縦断面図、図３はその上面図、図４はその下面
図、図５，図６，図７は図２の矢視線Ｅ−Ｅ，Ｆ−Ｆ，
Ｇ−Ｇによる横断面図である。これらを参照しながら本
考案の第一実施例につき説明する。

【００１０】釣竿の本体１には、本考案に係る筒状リー
ルシートのリールシート本体１ｇが一体に成形されてい
る。このリールシート本体１ｇには、その上側にリール
脚載置部１ａが形成されており、また、このリール脚載
置部１ａの竿尻側に固定フード１ｂが一体に成形されて
おり、前方部に雄螺子部１ｃが形成されている。

【００１１】この雄螺子部１ｃには雌螺子部が形成され
ているナット部材３が螺合されており、このナット部材
３の一側であって、上記固定フード１ｂと対向する側に
移動フード２がリールシート本体１ｇの外周に取り付け
られている。移動フード２の前記リールシート本体１ｇ
の上面側のリール脚載置部１ａ側には、リール脚受入口
２ｄを前記固定フード１ｂと対向するように向かい合わ
せてリール脚受入部２ｂが形成されており、その他の部
分はリールシート本体１ｇに対して摺動する摺動部２ｃ
となっている。

【００１２】リールシート本体１ｇの下面側には長手方
向に溝１ｆが形成されており、この溝１ｆに移動フード
２の下側に形成されている係合部２ａが係合して、当該
移動フード２はリールシート本体１ｇの長手方向にのみ
移動可能に構成されている。一方、ナット部材３とこの
移動フード２とは長手方向に一体的に移動するように互
いに係合されており、これにより該ナット部材３の回転
動作によって移動フード２が前進又は後退する。従っ
て、リール５の脚６の一側を固定フード１ｂのリール脚
受入口１ｂａに差し込み、次にナット部材３によって移
動フード２を移動させてリール脚受入部２ｂのリール脚
受入口２ｄにリール脚６の他側を挿入し、固定する。

【００１３】この移動フード２の固定フード１ｂ側の周
縁端面２ｅは、リール脚受入部２ｂから、リールシート
本体１ｇにおける反対側に向かって斜めに傾斜し、該反
対側が上面側のリール脚受入部２ｂに対して竿先方向に
逃げ寸法Ｚだけカットされた形状を成している。

【００１４】一方、リールシート本体１ｇにおけるリー
ル脚載置部１ａの径方向反対面側には、各部の横断面形
状が図５、図６、図７に示されるような形状の小突起１
ｄ、リールシート本体１ｇの長手方向に長い凹部１ｅ、
膨出部１ｈが該リールシート本体１ｇと一体的に、即
ち、竿本体１と一体的に形成されている。この小突起１
ｄは上記固定フード１ｂのリール脚受入口１ｂａよりも
後ろの位置に形成されており、また、膨出部１ｈは上記
の移動フード２の逃げの寸法Ｚのためにリールシート本
体１ｇの前方位置まで長く形成されている。

【００１５】また、これらの小突起１ｄ、凹部１ｅ、膨
出部１ｈの外側には、天然ゴム、合成ゴム、コルク材、
合成発泡材等の柔軟性部材４が被覆されており、各小突
起１ｄ、凹部１ｅ、膨出部１ｈに対応して小突起４ａ、
凹部４ｂ、膨出部４ｃが形成されている。この結果とし
ての小突起４ａの高さは手の指の厚さの半分以下程度が
望ましい。また、膨出部４ｃは移動フード２の摺動部２
ｃの外径寸法よりも太径に形成されている。

【００１６】以上のように筒状リールシートが形成され
ているので、図１に示すように、釣竿のリールシート部
を把持した場合に、中指と薬指が小突起４ａの前後の傾
斜面に当たって滑り止めされ、人差し指は凹部４ｂの前
側の、曲げた人差し指の形状に近似した膨出部４ｃに引
っ掛り、この膨出部４ｃの存在のため、フィット感があ
り、握り易いと共に握り心地がよくなる。

【００１７】また、膨出部４ｃの外径は移動フード２の
摺動部２ｃの外径寸法よりも大きいので、ここを把持し
た人差し指の移動フード側の側面が該移動フード２の周
縁端面２ｅに当たることを防止することができる。更に
は、移動フード２の逃げの寸法Ｚのために膨出部４ｃを
リールシート本体１ｇの長手方向前方にまで形成するこ
とができる。このため、人差し指の把持領域が拡り、そ
の結果、人差し指の位置の自由度が大きくなり、把持が
楽になり、釣竿操作が容易になる。

【００１８】リール５が図１のものよりも大型の場合に
は、親指が後退して人差し指と中指の間に小突起４ａが
位置するように把持される。この場合には人差し指は移
動フード２から遠ざかるため、人差し指の側面が移動フ
ード２の周縁端面２ｅに接触することはない。

【００１９】更には、リールシート本体１ｇにおけるリ
ール脚載置部１ａの径方向反対面側に、膨出部１ｈ，４
ｃのみを形成し、小突起１ｄ，４ａや凹部１ｅ，４ｂを
形成していなくても本考案の範囲である。

【００２０】以上の第一実施例では釣竿本体１にリール
シート本体１ｇが一体に形成されており、更には小突
起、凹部、膨出部が一体的に形成されているが、例え
ば、本考案の第二実施例としての図８に示すように、小
突起９ａ、凹部９ｂ、膨出部９ｃを天然ゴムや合成ゴム
等の弾性部材９によって一体に形成し、これをリールシ
ート本体１ｇに接着固定してもよい。また、リールシー
ト本体１ｇを釣竿本体１とは別体に形成し、釣竿本体１
の外周に嵌合固定してもよい。この場合、膨出部等はリ
ールシート本体１ｇと一体成形しても、また、別体に成
形し、後から一体に固定してもよい。

【００２１】以上の説明においては、図１に示すように
両軸タイプのリール５を取り付けて使用する場合を想定
していたが、図９に示すように、スピニングリール７の
リール脚８を固定フード１ｂと移動フード２のリール脚
受入部２ｂとに挿入して固定し、このリール脚８の付け
根部８ａを中指と薬指とによって挟んで膨出部４ｃ等を
上面にして使用することもできる。

【００２２】この場合、軽く把持している際には図９に
示しているように手の平の膨出部が小突起４ａの前の傾
斜部と凹部４ｂとに接触し、親指は移動フード２に載置
されている。この状態から釣竿を操作する場合に手に力
を入れるが、力を入れると親指の付け根部と手の平の膨
出部がリールシートの膨出部４ｃにも接触する。本考案
では移動フード２の周縁端面２ｅを傾斜状にカットして
いるためこの膨出部４ｃが長く形成されているため、上
述の如く手に力を入れた際に、親指の付け根部が周縁端
面２ｅに接触することがない。従って、手が痛くなった
り傷つくこともない。

【００２３】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように本考案に
よれば、リール脚載置部の径方向反対側リールシート本
体周面に膨出部を形成しているため把持した場合にフィ
ット感があり、この膨出部の外径寸法が移動フードの摺
動部の外径よりも大きくて、しかも、移動フードの周縁
端面がリール脚受入部からその径方向反対面側に向かっ
て傾斜状にカットされているため上記膨出部が長く形成
でき、手の指が移動フードの摺動部に接触しにくく、握
り心地の良い筒状リールシートの提供が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案に係る筒状リールシートを使用し
た釣竿を使用中の要部側面図である。

【図２】図２は図１の釣竿要部の縦断面図である。

【図３】図３は図１の上面図である。

【図４】図４は図１の下面図である。

【図５】図５は図２の矢視線Ｅ−Ｅによる横断面図であ
る。

【図６】図６は図２の矢視線Ｆ−Ｆによる横断面図であ
る。

【図７】図７は図２の矢視線Ｇ−Ｇによる断面部のみ示
した横断面図である。

【図８】図８は本考案に係る第二実施例を示す釣竿要部
の縦断面図である。

【図９】図９は本考案に係る筒状リールシートを使用し
た釣竿の他の使用例である。

【符号の説明】

１ 釣竿本体 １ａ リール脚載置部 １ｂ 固定フード １ｄ，４ａ，９ａ 小突起 １ｅ，４ｂ，９ｂ 凹部 １ｇ リールシート本体 １ｈ，４ｃ，９ｃ 膨出部 ２ 移動フード ２ｂ リール脚受入部 ２ｃ 摺動部 ２ｅ 周縁端面 ４ 柔軟性部材 Ｚ 移動フードの周縁端面の逃
げ寸法

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 リール脚載置部の一端側に固定フードを
   設け、他端側にリールシート本体に対して摺動する摺動
   部とリールの脚を受け入れるリール脚受入部とを有する
   移動フードを設けた筒状リールシートにおいて、 前記リール脚載置部の存在する側とは径方向反対側のリ
   ールシート本体周面に前記摺動部の外径寸法よりも太径
   の膨出部を形成し、 前記固定フードと対向している前記移動フードの周縁端
   面を、前記リール脚受入部から前記の径方向反対側周面
   に向かって開放範囲が広くなるよう傾斜状に形成してい
   ることを特徴とする筒状リールシート。