JPH0729743Y2 - スイッチング電源装置の出力電圧検出回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はコンデンサを用いた平滑回路により平滑された
直流出力電圧を安定化するための帰還回路に、フォトカ
プラ及びシャントレギュレータを用いたスイッチング電
源装置の出力電圧検出回路に関し、特に平滑回路に小容
量のセラミックコンデンサ又はフィルムコンデンサを用
いた場合に有効な出力電圧検出回路に関する。

［従来の技術］ 第３図はこの種のスイッチング電源装置の従来例を示
し、第３図において、直流入力電圧Viは一次側と二次側
を絶縁するトランス１の一次巻線に印加され、一次巻線
にはスイッチングトランジスタ２が直列に接続されてい
る。トランス１の二次巻線に誘起された電圧はダイオー
ド3,4で整流され、更にチョークコイル５とコンデンサ
６とにより平滑され、負荷７に一定の直流出力電圧Voを
供給する。

出力電圧検出回路８は出力端子間に抵抗９とフォトカプ
ラの発光ダイオード10とシャントレギュレータ11との直
列回路を接続し、前記シャントレギュレータ11のリファ
レンスに直流出力電圧を抵抗12,13で分圧して印加する
ようにして構成される。そして、直流出力電圧Voは抵抗
12,13により分圧されてシャントレギュレータ11のリフ
ァレンスに印加され、この印加された電圧とシャントレ
ギュレータ11の基準電圧との差異に応じてシャントレギ
ュレータ11のカソードに流れ込む電流値が変化し、発光
ダイオード10の発光量が変化する。この発光量の変化に
応じてパルス幅制御回路14に接続されたフォトカプラの
フォトトランジスタ15の出力電圧が変化する。直流出力
電圧Voが上昇するとフォトトランジスタ15の出力電圧が
低下し、パルス幅制御回路14はスイッチングトランジス
タ２のオン期間を短かくし、直流出力電圧Voが低下する
とフォトトランジスタ15の出力電圧が高くなり、スイッ
チングトランジスタ２のオン期間を長くして出力電圧Vo
を一定に保つように作用する。

［考案が解決しようとする課題］ 上記従来技術においては、出力電圧Voの立ち上り時にお
いてシャントレギュレータ11の検出電圧に達するまでの
間シャントレギュレータ11のカソード電流は流れず、検
出電圧に達した時点でカソード電流が急速に流れて発光
ダイオード10が発光し、この結果スイッチングトランジ
スタ２のオン期間を短くし、出力電圧Voを検出電圧に保
つように作用するが、この際のパルス幅制御回路14の応
答の遅れにより第４図に示す波形のように出力のオーバ
ーシュートが発生するという問題があった。また、平滑
用コンデンサの容量が小さいとこの問題が顕著に現われ
る。

そこで本考案は出力の立ち上り時間を緩かにすることに
よりパルス幅制御回路の応答遅れによる出力のオーバー
シュートの発生を防止するスイッチング電源装置の出力
電圧検出回路を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案の出力電圧検出回路は、小容量のコンデンサを用
いた平滑回路により平滑された直流出力電圧を出力端子
間に出力し、前記出力端子間にフォトカプラの発光素子
とシャントレギュレータとの直列回路を接続し、前記シ
ャントレギュレータのリファレンスに直流出力電圧を分
圧して印加し、前記フォトカプラを介してスイッチング
素子のオン，オフ動作を制御して前記直流出力電圧を安
定化させ、前記シャントレギュレータのカソード，アノ
ード間に直流出力電圧の急な立ち上りを制御するCR時定
数回路を並列に接続したものである。

［作用］ 本考案の出力電圧検出回路は、平滑用コンデンサが小容
量であってもシャントレギュレータのカソード，アノー
ド間に並列に接続されたCR時定数回路の時定数により出
力電圧の立ち上りが抑制され、パルス幅制御回路の応答
遅れによるオーバーシュートの発生が防止される。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を添付図面を参照して説明す
る。

第１図は本考案の一実施例を示すスイッチング電源装置
の回路図であり、第３図に示す部分と同一部分には同一
符号を付し同一箇所の説明を省略する。第１図に示す出
力電圧検出回路8Aは出力端子間に抵抗９とフォトカプラ
の発光ダイオード10とシャントレギュレータ11との直列
回路を接続し、前記シャントレギュレータ11のリファレ
ンスに直流出力電圧を抵抗12,13で分圧して印加し、前
記抵抗９と発光ダイオード10の直列回路にダイオード16
を並列に接続し、前記シャントレギュレータ11に抵抗17
とコンデンサ18とからなるCR時定数回路を並列に接続し
ている。本実施例の出力電圧検出回路8Aは抵抗17とコン
デンサ18とから構成され出力電圧Voの立ち上りを抑制す
るCR時定数回路をシャントレギュレータ11と並列に接続
した点で第３図に示す従来の出力電圧検出回路８と異な
っている。

次に、本実施例の動作を第２図の波形を参照して説明す
る。出力電圧Voの立ち上り時にはシャントレギュレータ
11の検出電圧に達するまでの間シャントレギュレータ11
のカソード電流は殆ど流れず、シャントレギュレータ11
の検出電圧に達した時点でカソード電流が急激に増加
し、発光ダイオード10の発光量が増加し、パルス幅制御
回路14はスイッチングトランジスタ２のオン期間を短く
する。一方、出力の立ち上り時において、出力電圧Voが
シャントレギュレータ11の検出電圧に達するまでの間に
もシャントレギュレータ11のカソード，アノード間に接
続されたコンデンサ18と抵抗17のCR時定数回路に充電電
流が流れ、この電流により発光ダイオード10が発光し、
検出電圧に達したときに行われる前述した制御以前よ
り、スイッチングトランジスタ２のオン期間を短くする
ように制御されて一次側から供給されるエネルギー量が
抑制される。この結果第２図に示す波形のように出力電
圧Voの立ち上り時間が緩かになりオーバーシュートの発
生が防止される。また出力の平滑用コンデンサ６の容量
が小さく出力の立ち上りが急になっても、CR時定数回路
への充電電流が一層増加し、一次側の供給エネルギーが
抑制され、これにより平滑用コンデンサ６が小容量であ
っても出力のオーバーシュートが防止される。

このように本実施例では、パルス幅制御回路14の応答の
遅れにより発生する出力のオーバーシュートを、平滑回
路に小容量のコンデンサを使用した場合でも、直流出力
電圧Voの立ち上りをCR時定数回路によって抑制すること
により防止できるため、スイッチング電源装置の信頼性
の向上を図ることができる。

なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく本
考案の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能であ
る。例えばCR時定数回路の抵抗とコンデンサの接続位置
は相互に逆でもよく、また小容量の平滑用コンデンサの
種類は適宜選定すればよい。またスイッチング素子とし
てトランジスタを用いたがFETを使用してもよい。

［考案の効果］ 本考案は小容量のコンデンサを用いた平滑回路により平
滑された直流出力電圧を安定化するための帰還回路に、
フォトカプラ及びシャントレギュレータを用い、前記シ
ャントレギュレータと並列にCR時定数回路を接続するこ
とにより、出力電圧の立ち上りを抑制しパルス幅制御回
路の応答遅れによるオーバーシュートの発生を防止でき
るスイッチング電源装置の出力電圧検出回路を提供する
ことができ、また出力平滑回路にセラミックコンデン
サ，フィルムコンデンサ等の小容量のコンデンサを用い
た場合においても優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示し、第１図は
回路図、第２図は直流出力電圧を示す波形図、第３図及
び第４図は従来例を示し、第３図は回路図、第４図は直
流出力電圧を示す波形図である。 ２……スイッチングトランジスタ（スイッチング素子） ６……平滑用コンデンサ 10……発光ダイオード（発光素子） 11……シャントレギュレータ 17……抵抗 18……コンデンサ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】小容量のコンデンサを用いた平滑回路によ
   り平滑された直流出力電圧を出力端子間に出力し、前記
   出力端子間にフォトカプラの発光素子とシャントレギュ
   レータとの直列回路を接続し、前記シャントレギュレー
   タのリファレンスに直流出力電圧を分圧して印加し、前
   記フォトカプラを介してスイッチング素子のオン，オフ
   動作を制御して前記直流出力電圧を安定化するスイッチ
   ング電源装置の出力電圧検出回路において、前記シャン
   トレギュレータのカソード，アノード間にCR時定数回路
   を並列に接続したことを特徴とするスイッチング電源装
   置の出力電圧検出回路。