JPH07296689A - パッファ形ガス遮断器とその製造方法 - Google Patents

パッファ形ガス遮断器とその製造方法

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JPH07296689A
JPH07296689A JP9258894A JP9258894A JPH07296689A JP H07296689 A JPH07296689 A JP H07296689A JP 9258894 A JP9258894 A JP 9258894A JP 9258894 A JP9258894 A JP 9258894A JP H07296689 A JPH07296689 A JP H07296689A
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JP
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nozzle
puffer
arc
inorganic filler
circuit breaker
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JP9258894A
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Masayuki Ishikawa
石川  雅之
Noriyuki Takahashi
宣之 高橋
Toshiaki Inohara
俊明 猪原
Hiroaki Toda
弘明 戸田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H33/00High-tension or heavy-current switches with arc-extinguishing or arc-preventing means
    • H01H33/70Switches with separate means for directing, obtaining, or increasing flow of arc-extinguishing fluid
    • H01H33/7015Switches with separate means for directing, obtaining, or increasing flow of arc-extinguishing fluid characterised by flow directing elements associated with contacts
    • H01H33/7076Switches with separate means for directing, obtaining, or increasing flow of arc-extinguishing fluid characterised by flow directing elements associated with contacts characterised by the use of special materials

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ア−クに晒された際の絶縁性能及び遮断性能
の低下を最小限に抑制可能なノズルを備えたパッファ形
ガス遮断器とその製造方法を提供する。 【構成】 ノズル3を、窒化ホウ素11を含む四弗化エ
チレン樹脂10から構成する。そして、ノズル3におけ
る窒化ホウ素11の局部的な密度を、ノズル3の全ての
部分において10重量%以下とし、スロ−ト部12の近
傍において2重量%未満とし、上流側13及び下流側1
4において3重量%以上とする。また、スロ−ト部12
と上流側13及び下流側14との境界には、窒化ホウ素
11の充填量がノズル3の軸方向の距離に応じてほぼ直
線的に変化する領域15及び16を設ける。そして、四
弗化エチレン樹脂粉末及び窒化ホウ素粉末を混合した粉
末原料を容器内に注入する際に、この2種類の粉末原料
の混合比を漸次変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パッファ形ガス遮断器
に係るものであって、特に、そのノズルの耐アーク性を
向上させるためにノズルの構成を改良したパッファ形ガ
ス遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】短絡電流を遮断する場合などに使用され
るガス遮断器において、電流を遮断する動作を行うと、
固定及び可動接触子間にアークが発生する。このアーク
を消弧するために、従来から、いわゆるパッファ形ガス
遮断器が採用されている。このパッファ形ガス遮断器
は、可動接触子部にパッファピストンとパッファシリン
ダとを設けてパッファ室を構成し、このパッファ室内で
圧縮した六弗化硫黄(SF)ガス流を、弗素樹脂から
なる絶縁性のノズルからアークに吹付けて消弧させる消
弧室を有するものである。
【0003】このようなパッファ形ガス遮断器における
一般的な消弧室の構造の一例を図8及び図9に示す。ま
ず、図8は、投入状態を示している。図中1は固定接触
子であり、2は可動接触子である。投入状態において、
これらの固定接触子1と可動接触子2とは接触状態にあ
り、電流はこれらの固定接触子1・可動接触子2を通じ
て流れる。また、可動接触子2は、ノズル3、及びパッ
ファシリンダ4と共に、操作ロッド5に一体的に固着さ
れており、これらの可動部は、図中右側に配置された図
示しない操作機構部によって一体的に駆動されるように
なっている。更に、パッファシリンダ4と図示しない固
定部に固定されたパッファピストン6とでパッファ室7
が構成されている。これらの消弧室部材は、SFなど
の消弧性ガス8が充填された図示しない密閉容器内に収
納されている。
【0004】このような消弧室に遮断指令が付与される
と、操作機構部が作動し、操作ロッド5を介して可動接
触子2を図中右側に駆動する。この結果、固定接触子1
と可動接触子2とは開離する。図9は、このような遮断
途中状態を示している。固定接触子1と可動接触子2と
が開離した時、これらの間にはアーク9が発生してい
る。一方、操作ロッド5の動作に伴い、パッファシリン
ダ4も図中右側に駆動され、それによってパッファ室7
内の消弧性ガス8が圧縮され、その圧力が上昇する。パ
ッファ室7内で圧縮された消弧性ガス8は、ノズル3を
介してアーク9に吹き付けられ、このアーク9を消弧し
て電流遮断を達成する。
【0005】ところで、このようなパッファ形ガス遮断
器において、弗素樹脂からなる絶縁性のノズルがアーク
に晒されると、アークから放射されたエネルギーが弗素
樹脂の内部まで浸透して吸収され、ノズル内部にボイド
を発生させるか、あるいは炭化現象を引起こす。その結
果、ノズルの絶縁性能を著しく低下させると共に、ノズ
ルの損耗を引起こして、ガス流路断面積を増大させるた
め、ガスの吹き付け効果が低下し、遮断性能の低下を引
起こす可能性があった。
【0006】従来、このようなアークエネルギーに基づ
くノズル内部のボイドの発生あるいは炭化現象を防止す
るために、各種の技術が提案されている。例えば、特公
平1−45690号公報に記載の発明では、ノズル中の
少なくともアークに晒される部分の表層部を、熱伝導性
の高い無機粉末及び1μm以下の平均粒径を有する顔料
粒子とを含む弗素樹脂により構成し、顔料粒子により吸
収されたアークエネルギーを無機粉末により速やかに拡
散すると共に、粒径の小さな顔料粒子を弗素樹脂及び無
機粉末粒子の間隙に充填することにより、ノズルにおけ
るボイドの発生を防いでいる。
【0007】また、特公平1−37822号公報に記載
の発明では、ノズル内部にボイドの発生あるいは炭化現
象を引き起こす原因、すなわち、アークエネルギーがノ
ズル内部に侵入して吸収される点に着目し、ノズルを、
光反射性の高い窒化ホウ素粉末を含む弗素樹脂から構成
して、ノズルの光反射率を60%以上とすることによ
り、アークエネルギーがノズルに吸収されることを防止
している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した特
公平1−37822に記載されている発明は、基本的
に、アークから発生する光エネルギーによる四弗化エチ
レン樹脂の劣化を防ぐことを目的としている。この発明
は、ノズルの下流部のように、ノズルの内径がある程度
大きくなってノズル材料がアークと直接接することのな
い領域においては有効である。
【0009】しかしながら、上述したように、ノズルの
材料として四弗化エチレン樹脂中に無機充填剤を混入し
ているが、この無機充填剤は、光反射性が高い反面、熱
伝導性も高い。これは、上述した特公平1−45690
において熱伝導性の高い無機粉末の代表例として挙げら
れている窒化ホウ素(BN)が、同時に特公平1−37
822において無機充填剤の代表例として挙げられてい
ることからも明らかである。
【0010】そのため、無機充填剤を混入することによ
り、ノズルの光反射率を上げて光エネルギーの反射を抑
制する効果が得られる反面、ノズルの熱伝導率が上昇す
るため、熱伝導により侵入した熱エネルギーの拡散を助
長するという不都合な効果をもまた生じることとなる。
即ち、ノズルのスロート部は20000Kに達するアー
クに接するため、上昇した熱伝導により、熱エネルギー
がこのスロート部に吸収される。この時、無機充填剤が
充填されていない場合に比べて、熱エネルギーがより速
やかに、かつ広範囲に伝達される。
【0011】この結果、より広範囲の領域が高温になっ
て四弗化エチレン樹脂の昇華温度に達し、ノズルの消耗
が助長されることになる。特に、熱エネルギーはスロー
ト部によって吸収されるため、電流が遮断されるとスロ
ート部が著しく拡大し、ガス流路の断面積が変化する。
そのため、ガスの吹き付け効果が低下して、遮断性能が
低下する可能性があり、ノズル部材ごとに損傷を受ける
機構が異なるという問題がある。
【0012】従来、ノズルの消耗量を抑制するために、
上述した相反する効果の妥協点を取ってこれに相当する
量を充填することが提案されている。このような技術に
ついては、例えば、1989年刊行のIEEE(the In
stitute of Electrical andElectronics Engineers )
論文誌「Transactions on Power Delivery」、第4巻、
第3号、1738〜1744頁に記載の論文"Key Techn
ologies for developing a 420 kV 50kA GCB" に記載さ
れている。
【0013】しかしながら、以上のように、単純に妥協
点を取って無機充填剤を混入する方法においては、結
局、ボイドの発生あるいは炭化現象を防止する点につい
ても、ノズルの消耗量を抑制する点についても、最適条
件とはほど遠い充填量となる。従って、将来的に計画さ
れているより高電圧・大容量のパッファ形ガス遮断器に
おいて、より大電流のアークエネルギーに晒された場合
には、ノズルに破損または消耗を生じ、その結果、ノズ
ルの絶縁性能または遮断性能が低下する可能性がある。
【0014】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、アークに晒さ
れた際の絶縁性能及び遮断性能の低下を最小限に抑制す
ることの可能なノズルを備えたパッファ形ガス遮断器と
その製造方法を提供することにある。
【0015】より具体的には、請求項1記載の発明の目
的は、四弗化エチレン樹脂の昇華によるノズルの消耗
と、ア−クから放射される光エネルギーのノズルへの侵
入とを防止すると共に、ノズルの部分ごとの熱膨脹率の
違いによって生じる機械的損傷を防止することである。
また、請求項2記載の発明の目的は、上記機械的損傷を
最小限に抑制することであり、請求項3記載の発明の目
的は、上記ノズルの消耗及び光エネルギーの侵入をより
効果的に防止することである。また、請求項4記載の発
明の目的は、上記ノズルの消耗をより有効に防止するこ
とである。更に、請求項5記載の発明の目的は、請求項
1乃至請求項4記載の発明によるパッファ形ガス遮断器
を容易に、かつ効率的に製造することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明によ
るパッファ形ガス遮断器は、消弧性ガスを充填した容器
内に、接離可能な固定接触子及び可動接触子と、前記可
動接触子に接して設けられたパッファピストンとパッフ
ァシリンダとからなるパッファ室と、前記パッファシリ
ンダと一体的に固着されたノズルを備えた消弧室とを有
し、前記パッファ室を圧縮することにより前記消弧性ガ
スを圧縮して前記ノズルに導き、前記固定接触子・可動
接触子間に発生したアークに前記消弧性ガスを吹き付け
て該アークを消弧させるパッファ形ガス遮断器におい
て、前記ノズルは、無機充填剤を含む四弗化エチレン樹
脂からなり、該無機充填剤の局部的な充填量が、前記ノ
ズルの全ての部分において10重量%以下であり、前記
ノズルのスロート部の近傍において2重量%未満のほぼ
一定値であり、前記ノズルの上流側及び下流側において
3重量%以上のほぼ一定値であるよう構成されており、
前記スロート部と前記上流側及び下流側との境界には、
各々、前記無機充填剤の充填量が該ノズルの軸方向の距
離に応じてほぼ直線的に変化する領域が設けられている
ことを特徴としている。
【0017】請求項2記載の発明によるパッファ形ガス
遮断器は、請求項1記載の発明において、前記スロート
部と前記上流側及び下流側との境界の、前記無機充填剤
の充填量の変化率は、10重量%/mm以下であること
を特徴としている。
【0018】請求項3記載の発明によるパッファ形ガス
遮断器は、請求項2記載の発明において、前記無機充填
剤は、窒化ホウ素であることを特徴としている。
【0019】請求項4記載の発明によるパッファ形ガス
遮断器は、請求項2記載の発明において、前記無機充填
剤は、前記スロート部では酸化アルミニウムであり、前
記上流側及び下流側では窒化ホウ素であることを特徴と
している。
【0020】請求項5記載の発明によるパッファ形ガス
遮断器の製造方法は、消弧性ガスを充填した容器内に、
接離可能な固定接触子及び可動接触子と、前記可動接触
子に接して設けられたパッファピストンとパッファシリ
ンダとからなるパッファ室と、前記パッファシリンダと
一体的に固着されたノズルを備えた消弧室とを有するパ
ッファ形ガス遮断器の製造方法において、四弗化エチレ
ン樹脂粉末及び無機充填剤粉末を混合した粉末原料を容
器内に注入する注入工程と、前記注入した粉末原料を加
圧成型する加圧成型工程と、前記加圧成型した原料の一
部を切削して前記ノズルを形成する切削工程とを有し、
前記注入工程を、前記四弗化エチレン樹脂粉末と前記無
機充填剤粉末との混合比を漸次変化させ、その結果、前
記ノズルにおける無機充填剤の局部的な密度分布が所定
の密度分布となるように行うことを特徴としている。
【0021】
【作用】請求項1記載の発明によれば、スロート部にお
いては、無機充填剤の充填量を局部的に2重量%未満と
するため、熱伝導性を低くすることが可能であり、この
部分が大電流のアークエネルギーに晒された場合でも、
四弗化エチレン樹脂の昇華によるノズルの消耗が生じる
おそれがない。また、ノズルの上流側及び下流側におい
ては、無機充填剤の充填量を局部的に3重量%以上とす
るため、ノズルの機械的強度の低下を抑制することがで
きると共に、アークから放射される光エネルギーの侵入
を防止することができる。更に、スロート部と上流側及
び下流側との境界を、各々、無機充填剤の充填量がノズ
ルの軸方向の距離に応じて徐々に変化する領域としたの
で、ノズルがアークの熱に曝された際に、部分ごとの熱
膨脹率の違いによって生じる機械的損傷を防止すること
ができる。
【0022】また、請求項2記載の発明によれば、ノズ
ルのスロ−ト部と上流側及び下流側との境界において、
無機充填剤の充填量の変化率を10重量%/mm以下と
している。これは、耐熱衝撃性との関係から、充填量の
変化の傾きは10重量%/mmが上限であることが明ら
かとなっているためである。このため、ノズルの機械的
損傷を最小限に防止することができる。
【0023】更に、請求項3記載の発明によれば、無機
充填剤として、他の無機充填剤と比べて熱伝導性が高
く、かつ、光反射率が高い窒化ホウ素を用いているた
め、請求項1記載の発明による作用をより有効なものと
することができる。
【0024】また、請求項4記載の発明によれば、無機
充填剤として、スロ−ト部には酸化アルミニウムを用
い、上流側及び下流側には窒化ホウ素を用いているた
め、スロ−ト部における熱伝導性を低くすることが可能
となる。
【0025】更に、請求項5記載の発明によれば、粉末
状の四弗化エチレン樹脂粉末及び無機充填剤粉末を混合
した粉末原料を容器内に注入する際に、四弗化エチレン
樹脂粉末と無機充填剤粉末との混合比を漸次変化させ
て、ノズルにおける無機充填剤の局部的な密度分布が所
定の密度分布となるようにすることにより、請求項1乃
至請求項4記載の無機充填剤の密度分布を有するノズル
を容易に、かつ効率的に製造することができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明によるパッファ形ガス遮断器の
実施例について図面を参照して具体的に説明する。
【0027】(1)実施例の構成 図1は本発明の一実施例によるパッファ形ガス遮断器の
ノズルの組成を示す模式図である。同図において、絶縁
性のノズル3は、主材料である四弗化エチレン樹脂(P
TFE)10中に、無機充填剤として窒化ホウ素(B
N)11が充填されている。より詳細には、ノズル3の
スロート部12には、窒化ホウ素11が1重量%充填さ
れ、上流部13及び下流部14の各部には、10重量%
が充填されている。また、スロート部12と上流部13
との境界である領域15、及びスロート部12と下流部
14との境界である領域16の内部では、窒化ホウ素1
1の充填量が、ノズルの軸方向の距離に応じてほぼ直線
的に変化している。
【0028】(2)実施例の製造方法 次に、このノズル3の製造方法を、図2を用いて説明す
る。同図において、まず、容器17に、四弗化エチレン
樹脂粉末と窒化ホウ素粉末とを混合した粉末原料を注入
する。この場合、窒化ホウ素粉末を10重量%含む粉末
原料と、窒化ホウ素粉末を1重量%含む粉末原料という
混合比の異なる原料の粉末をあらかじめ準備しておく。
そして、初めは、窒化ホウ素を10重量%含む粉末原料
を注入して、容器17の底部に領域18を形成し、その
後、窒化ホウ素を1重量%含む粉末原料を注入して、領
域19を形成する。続いて、再び窒化ホウ素を10重量
%含む粉末原料を注入して、領域20を形成する。この
ようにして原料の粉末を積層した後に、この容器17に
外部から機械的振動を加えると、二種類の原料は拡散混
合して領域21及び22が形成される。この領域21及
び22では、窒化ホウ素の充填量が、図2における縦方
向の距離に対応して直線的に変化している。なお、外部
からの加振の郷及び時間は、所要の混合量域の幅により
決定される。
【0029】そして、以上のように注入した粉末原料を
加圧成型した後に、図中23として示す外形に沿って切
削し、図1に示すようなノズル3を製造する。
【0030】(3)実施例の作用 次に、以上のようにして製造されたノズル3を備えたパ
ッファ形ガス遮断器の作用を、図3及び図4を参照して
説明する。なお、図1と同一の部材については、同一の
符号を付してその説明を省略する。
【0031】図3は、投入状態におけるパッファ形ガス
遮断器のノズル3、固定接触子1、及び可動接触子2の
状況を示す。この状態においては、電流は接触状態にあ
る固定接触子1及び可動接触子2を通じて流れており、
固定接触子1及び可動接触子2間にアークは存在しな
い。
【0032】そして、この状態でパッファ形ガス遮断器
に遮断指令が付与され、図示しない駆動機構部が作動し
て遮断動作を行なうと、図4に示すように、ノズル3と
可動接触子2とが一体的に図中左側に駆動される。この
結果、固定接触子1と可動接触子2とが開離し、固定接
触子1及び可動接触子2間にアーク24が発生する。上
述したように、電力送電系統における短絡電流は数万ア
ンペアにも達し、このような大電流を遮断する際に発生
するアーク24の温度は20000Kを越える場合もあ
る。この様な高温のアーク24の周囲にあるノズル3
は、アーク24から発生する熱エネルギーに晒される。
【0033】一般に、熱の移動には、対流・放射・熱伝
導の三種類があることは良く知られている。このうち、
対流は、高温のガスの移動に伴う熱の移動であり、パッ
ファ形ガス遮断器においては、図4において図示しない
パッファシリンダ内のガス圧縮に伴い、 1)ガス流路25から、ノズル3と固定接触子1との間
隙26を介してノズル3の下流部14へ流れるガス流2
7、 2)ガス流路25から、可動接触子2の中空部28を通
して、図中左側へ流れるガス流29、 という2つのガス流に依存し、ノズル3とアーク24と
の間の熱の授受に寄与する。
【0034】ここで、ノズル3内部の断面積とアーク径
の関係を検討すると、図4に示すように、スロート部1
2ではアーク24はノズル3の内部空間を満たし、アー
ク24の境界がノズル3の内壁と接触している。一方、
ノズル3の上流部13及び下流部14では、アーク24
の境界は、ノズル3の内壁から開離しており、アーク2
4とノズル3の内壁との間にはガス層が介在している。
【0035】このような状態での熱伝導現象を考察す
る。まず、アーク24から発生した熱は周囲の物質を介
して拡散していく。スロート部12ではアーク24がノ
ズル3に接触しているために、アーク24から発生した
熱は、熱伝導によりノズル3へと伝達され、そのままノ
ズル3に吸収される。一方、上流部13及び下流部14
では、アーク24から発生した熱は一旦周囲のガス層に
吸収されるものの、ノズル1に熱伝導されることはな
い。即ち、パッファ形ガス遮断器では、上流側のガス圧
力が十分に高く、ガス流は超音速乃至は音速に近い速度
となっているため、このガス層の温度が上昇してさらに
これからノズル3へと熱伝導が起こる前に、ガス流がノ
ズル3の外部へ流出してしまうからである。従って、ガ
ス流からノズル3への熱伝導は起こり得ないため、アー
ク24とノズル3との間の熱伝導による熱の授受が発生
し得るのは、スロート部3のみに限定されることがわか
る。そして、このような熱伝導によりノズル3の温度が
上昇して四弗化エチレン樹脂の昇華温度に達すると、四
弗化エチレン樹脂の昇華によるノズル3の損耗が生じ
る。
【0036】一方、放射による熱放散は、アーク24全
体から光エネルギーとして行なわれ、その大部分は透明
なガス層を透過してノズル3に到達する。この光エネル
ギーは、ノズル3内部に吸収されて、その主材料である
四弗化エチレン樹脂のC−C結合鎖を断ち切り、それに
よって低分子量の誘導体が生成される。これは、光アブ
レーションと呼ばれる現象であり、これもまた、ノズル
3の損耗の一因となる。
【0037】以上の考察により、ノズル損耗のメカニズ
ムとして、光エネルギーによる光アブレーションがノズ
ル3の内壁全体で発生し、スロート部12では、これに
加えて、熱伝導による温度上昇に基づく昇華が集中的に
発生することが理解できる。
【0038】ここで、上記充填剤の充填量について示
す。まず、図5に、無機充填剤の充填量と光反射率との
関係を示す。同図に示すように、無機充填剤の充填量
は、光反射率が飽和の傾向を示す3重量%以上が適当で
あることがわかる。また、図6に、無機充填剤の充填量
と大電流を遮断して測定したスロート径の拡大量との関
係を示す。同図に示すように、スロート部12の昇華量
を抑えるためには、充填量は2重量%未満が適当である
ことがわかる。また、無機充填剤を混入することによ
り、四弗化エチレン樹脂本来の機械的強度が低下するこ
とを勘案すれば、10重量%が上限となる。
【0039】更に、上述したように、ノズル3の部分ご
とに充填剤の混入量を変えると、数万℃に及ぶアーク2
4の熱に曝された際に部分ごとに熱膨脹率が異なり、機
械的損傷が生じることとなる。そのため、本実施例にお
いては、ノズル3のスロート部12と上流部13及び下
流部14との境界を、それぞれ1mm以上にわたって、
充填量がほぼ直線的に変化するような領域としている。
このように、充填量が場所によって徐々に変化するよう
な構造とすることにより、上記機械的損傷を防ぐことが
できる。図7に、無機充填剤の充填量と耐熱衝撃性との
関係を示す。同図に示すように、この領域における充填
量の変化の傾きは、10重量%/mmが上限であること
がわかる。
【0040】(4)実施例の効果 以上のように、本実施例によれば、上流部13及び下流
部14については、光反射性が高い窒化ホウ素の密度を
10重量%としているため、アーク24から放射される
光エネルギーを反射することができ、上記光アブレーシ
ョン現象を抑制することができる。それに加えて、スロ
ート部12については、熱伝導性が高い窒化ホウ素の密
度を1重量%と低くしているため、スロート部12にお
いて集中的に発生する昇華を抑制することができる。ま
た、スロート部12と上流部13および下流部14との
境界を充填量がほぼ直線的に変化する領域15、16と
したので、ア−ク24の熱に曝された際にも、熱膨脹率
が異なることから生じる機械的損傷を防止することがで
きる。
【0041】更に、混合比の異なる粉末原料を用意し
て、加圧成型するための容器に注入する際にその注入量
と順序とを選択しているため、ノズルを容易にかつ効率
よく製作することができるという効果も得られる。
【0042】(5)その他の実施例 なお、上述した実施例では、スロート部12における充
填剤を2重量%以下(実施例の説明中では1重量%)の
窒化ホウ素としたが、これに限定されるものではなく、
熱伝導率が窒化ホウ素(BN)より低い酸化アルミニウ
ム(アルミナ、Al)によりスロート部を構成し
ても、同様の効果を得られる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、無機充填剤の充填量を、アークと接触する部分であ
るスロート部においては局部的に低くし、上流部および
下流部においては局部的に高くしているため、ノズルの
場所ごとに異なる損耗機構に応じて、それぞれの損耗を
最小限に抑えることのできる充填剤を充填することによ
り、絶縁性能及び遮断性能の低下を最小限に抑制するこ
とができる。また、スロート部と上流部および下流部と
の境界を、充填量が徐々に変化する領域としたので、熱
衝撃に対するノズルの抵抗力を高くして機械的強度を十
分に維持することができる。更に、粉末原料を容器内に
注入する際に、四弗化エチレン樹脂粉末と無機充填剤粉
末との混合比を漸次変化させるようにしたので、所定の
密度分布を有するノズルを容易に、かつ効率よく製造す
ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるパッファ形ガス遮断器
におけるノズル3の組成を示す模式図である。
【図2】同実施例によるノズル3の製造工程を示す図で
あり、特に、粉末原料の注入工程を示す断面図である。
【図3】同実施例によるノズル3を使用したパッファ形
ガス遮断器の投入状態における固定接触子1、可動接触
子2、及びノズル3の状況を示す断面図である。
【図4】図3の固定接触子1、可動接触子2、及びノズ
ル3の遮断途中状態における状況を示す断面図である。
【図5】無機充填剤の充填量と光反射率との関係に関す
る実測結果を示すグラフである。
【図6】無機充填剤の充填量と大電流遮断後のノズルの
スロート径の拡大量との関係に関する実測結果を示すグ
ラフである。
【図7】無機充填剤の充填量の傾度と耐熱衝撃性との関
係に関する実測結果を示すグラフである。
【図8】パッファ形ガス遮断器における一般的な消弧室
の構造の一例を示す図であり、特に、投入状態を示す断
面図である。
【図9】図8の消弧室の遮断途中状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1…固定接触子 2…可動接触子 3…ノズル 10…四弗化エチレン樹脂 12…スロート部 11…窒化ホウ素 13…上流部 14…下流部 15、16、18〜23…領域 17…容器 24…アーク 25…ガス流路 26…間隙 27、29…ガス流 28…中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸田 弘明 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消弧性ガスを充填した容器内に、接離可
    能な固定接触子及び可動接触子と、前記可動接触子に接
    して設けられたパッファピストンとパッファシリンダと
    からなるパッファ室と、前記パッファシリンダと一体的
    に固着されたノズルを備えた消弧室とを有し、前記パッ
    ファ室を圧縮することにより前記消弧性ガスを圧縮して
    前記ノズルに導き、前記固定接触子・可動接触子間に発
    生したアークに前記消弧性ガスを吹き付けて該アークを
    消弧させるパッファ形ガス遮断器において、 前記ノズルは、無機充填剤を含む四弗化エチレン樹脂か
    らなり、該無機充填剤の局部的な充填量が、前記ノズル
    の全ての部分において10重量%以下であり、前記ノズ
    ルのスロート部の近傍において2重量%未満のほぼ一定
    値であり、前記ノズルの上流側及び下流側において3重
    量%以上のほぼ一定値であるよう構成されており、前記
    スロート部と前記上流側及び下流側との境界には、各
    々、前記無機充填剤の充填量が該ノズルの軸方向の距離
    に応じてほぼ直線的に変化する領域が設けられているこ
    とを特徴とするパッファ形ガス遮断器。
  2. 【請求項2】 前記スロート部と前記上流側及び下流側
    との境界の、前記無機充填剤の充填量の変化率は、10
    重量%/mm以下であることを特徴とする請求項1記載
    のパッファ形ガス遮断器。
  3. 【請求項3】 前記無機充填剤は、窒化ホウ素であるこ
    とを特徴とする請求項2記載のパッファ形ガス遮断器。
  4. 【請求項4】 前記無機充填剤は、前記スロート部では
    酸化アルミニウムであり、前記上流側及び下流側では窒
    化ホウ素であることを特徴とする請求項2記載のパッフ
    ァ形ガス遮断器。
  5. 【請求項5】 消弧性ガスを充填した容器内に、接離可
    能な固定接触子及び可動接触子と、前記可動接触子に接
    して設けられたパッファピストンとパッファシリンダと
    からなるパッファ室と、前記パッファシリンダと一体的
    に固着されたノズルを備えた消弧室とを有するパッファ
    形ガス遮断器の製造方法において、 四弗化エチレン樹脂粉末及び無機充填剤粉末を混合した
    粉末原料を容器内に注入する注入工程と、 前記注入した粉末原料を加圧成型する加圧成型工程と、 前記加圧成型した原料の一部を切削して前記ノズルを形
    成する切削工程とを有し、 前記注入工程を、前記四弗化エチレン樹脂粉末と前記無
    機充填剤粉末との混合比を漸次変化させ、その結果、前
    記ノズルにおける無機充填剤の局部的な密度分布が所定
    の密度分布となるように行うことを特徴とするパッファ
    形ガス遮断器の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6696657B2 (en) 2001-11-21 2004-02-24 Hitachi, Ltd. Puffer type gas circuit breaker
EP1970931A1 (de) * 2007-03-15 2008-09-17 ABB Research LTD Hochspannungsleistungsschalter
KR20160078185A (ko) * 2014-12-24 2016-07-04 주식회사 효성 가스절연 개폐장치의 가스차단기

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