JPH07296419A - 光記録媒体 - Google Patents
光記録媒体Info
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- JPH07296419A JPH07296419A JP6086086A JP8608694A JPH07296419A JP H07296419 A JPH07296419 A JP H07296419A JP 6086086 A JP6086086 A JP 6086086A JP 8608694 A JP8608694 A JP 8608694A JP H07296419 A JPH07296419 A JP H07296419A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical recording
- recording medium
- layer
- refractive index
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- Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 光記録媒体を、光透過性の基板1上に、少な
くとも可飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する可飽
和吸収色素含有層3と、記録層及び/又は反射層4が形
成された構成とし、上記可飽和吸収色素層に含有される
可飽和吸収色素として、再生光波長における分子吸光係
数εが104 以上であり、緩和時間τが1ns≦τ≦1
00nsであるものを用いる。 【効果】 このような構成の光記録媒体は、優れた超解
像性を発揮し、0.3μm/bit程度の微小ピットが
再生光学系の回折限界λ/2NAよりも短い周期で形成
された微細な記録パターンから、良好な再生信号を強い
強度で得ることができる。したがって、本発明によれ
ば、再生光の短波長化,フォーカスレンズの開口数NA
の増大化,信号復調方式の変更等の大幅な変更を装置側
に施すことなく、例えば現行の4倍程度の記録情報量を
現行と同サイズの光記録媒体に収めることが可能にな
る。
くとも可飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する可飽
和吸収色素含有層3と、記録層及び/又は反射層4が形
成された構成とし、上記可飽和吸収色素層に含有される
可飽和吸収色素として、再生光波長における分子吸光係
数εが104 以上であり、緩和時間τが1ns≦τ≦1
00nsであるものを用いる。 【効果】 このような構成の光記録媒体は、優れた超解
像性を発揮し、0.3μm/bit程度の微小ピットが
再生光学系の回折限界λ/2NAよりも短い周期で形成
された微細な記録パターンから、良好な再生信号を強い
強度で得ることができる。したがって、本発明によれ
ば、再生光の短波長化,フォーカスレンズの開口数NA
の増大化,信号復調方式の変更等の大幅な変更を装置側
に施すことなく、例えば現行の4倍程度の記録情報量を
現行と同サイズの光記録媒体に収めることが可能にな
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録媒体に関し、特
に再生光スポット径内にアパーチャを形成して信号再生
を行う,超解像再生用の光記録媒体に関する。
に再生光スポット径内にアパーチャを形成して信号再生
を行う,超解像再生用の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録の分野においては、光学
情報記録方式に関する研究が各所で進められている。こ
の光学情報記録方式は、非接触で記録再生が行えるこ
と、磁気記録方式に較べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型や追記型,書き換え可能型の
それぞれのメモリ形態に対応できること等の、数々の利
点を有し、安価な大容量ファイルを実現するものとし
て、産業用から民生用まで幅広い用途が考えられてい
る。
情報記録方式に関する研究が各所で進められている。こ
の光学情報記録方式は、非接触で記録再生が行えるこ
と、磁気記録方式に較べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型や追記型,書き換え可能型の
それぞれのメモリ形態に対応できること等の、数々の利
点を有し、安価な大容量ファイルを実現するものとし
て、産業用から民生用まで幅広い用途が考えられてい
る。
【0003】上述のメモリ形態のうち、再生専用型の光
記録媒体としては、デジタルオーディオディスク(いわ
ゆるコンパクトディスク、CD)や光学式ビデオディス
ク(いわゆるレーザーディスク、LD)、さらにはCD
−ROM等が既に広く普及している。
記録媒体としては、デジタルオーディオディスク(いわ
ゆるコンパクトディスク、CD)や光学式ビデオディス
ク(いわゆるレーザーディスク、LD)、さらにはCD
−ROM等が既に広く普及している。
【0004】これらの再生専用型の光記録媒体は、通
常、透明基板上に、ピットが、例えば凹凸形状や光学定
数を変化させる層として情報信号に対応したパターンで
記録され、この記録パターン上に、Al等の金属材料よ
りなる反射層が被着形成された構造とされている。この
ような光記録媒体では、透明基板側よりレーザ光等の再
生光を照射し、その再生スポット内のピットの有無を、
反射光の強弱を検出することで識別し、情報の再生が行
われる。
常、透明基板上に、ピットが、例えば凹凸形状や光学定
数を変化させる層として情報信号に対応したパターンで
記録され、この記録パターン上に、Al等の金属材料よ
りなる反射層が被着形成された構造とされている。この
ような光記録媒体では、透明基板側よりレーザ光等の再
生光を照射し、その再生スポット内のピットの有無を、
反射光の強弱を検出することで識別し、情報の再生が行
われる。
【0005】ところで、上記再生専用型の光記録媒体に
おいては、VTRのデジタル化やハイビジョンTV(H
DTV)等に対応できる容量を確保すべく、記録密度の
更なる向上が求められるようになっている。一方、操作
上の都合から、光記録媒体ではサイズの小型化も求めら
れており、このような要求からも記録密度の向上が望ま
れている。
おいては、VTRのデジタル化やハイビジョンTV(H
DTV)等に対応できる容量を確保すべく、記録密度の
更なる向上が求められるようになっている。一方、操作
上の都合から、光記録媒体ではサイズの小型化も求めら
れており、このような要求からも記録密度の向上が望ま
れている。
【0006】ここで、光記録媒体の記録密度を向上させ
る手段としては、光記録媒体に形成される記録パターン
の微細化,たとえばピットの周期を短くすることがまず
考えられる。しかし、再生光学系にはスポット径をそれ
以上に小さくできない回折限界λ/2NA(λ:再生光
の波長,NA:再生光学系の対物レンズの開口数)があ
ることから、ピットの周期があまり短くなると、再生ス
ポット内に複数のピットが存在するといった状況が起
き、情報信号が再生できないといった不都合が生じる。
すなわち、再生装置には再生光学系で定まる分解能の指
標となるMTF(Modulation transf
er function)のカットオフ空間周期があ
る。
る手段としては、光記録媒体に形成される記録パターン
の微細化,たとえばピットの周期を短くすることがまず
考えられる。しかし、再生光学系にはスポット径をそれ
以上に小さくできない回折限界λ/2NA(λ:再生光
の波長,NA:再生光学系の対物レンズの開口数)があ
ることから、ピットの周期があまり短くなると、再生ス
ポット内に複数のピットが存在するといった状況が起
き、情報信号が再生できないといった不都合が生じる。
すなわち、再生装置には再生光学系で定まる分解能の指
標となるMTF(Modulation transf
er function)のカットオフ空間周期があ
る。
【0007】このため、ピットの周期はそのままで信号
コードの方を圧縮化したり、あるいは光学系の対物レン
ズの開口数NAの増大化や再生光の短波長化によって周
期の短いピットに対応できるように再生光の回折限界を
向上させる試みがなされている。また、さらに、最近で
は超解像(super resolution)と称される方法が、周期
の短いピットパターンに対応できるものとして注目され
ている。
コードの方を圧縮化したり、あるいは光学系の対物レン
ズの開口数NAの増大化や再生光の短波長化によって周
期の短いピットに対応できるように再生光の回折限界を
向上させる試みがなされている。また、さらに、最近で
は超解像(super resolution)と称される方法が、周期
の短いピットパターンに対応できるものとして注目され
ている。
【0008】超解像とは、物点位置に照射光の回折限界
よりも小さいアパーチャ(開口)を設定することによ
り、照射光の見かけ上のスポット径を回折限界よりも小
さくすることで解像度を向上させることを原理とするも
のである。この超解像については、例えば“Charles W.
McCutchen,“Super-resolution in Microscopy and the
Abbe Resolution Limit.”Jour- nal of Optical Soci
ety of America, 57(10), 1190(1967) ”、“Tony Wils
on and Colin Sheppard, “Theory and Practice of Sc
annning Optical Micro- scopy.”,Academic Press(Lon
don),1984”等で詳細に記載されている。
よりも小さいアパーチャ(開口)を設定することによ
り、照射光の見かけ上のスポット径を回折限界よりも小
さくすることで解像度を向上させることを原理とするも
のである。この超解像については、例えば“Charles W.
McCutchen,“Super-resolution in Microscopy and the
Abbe Resolution Limit.”Jour- nal of Optical Soci
ety of America, 57(10), 1190(1967) ”、“Tony Wils
on and Colin Sheppard, “Theory and Practice of Sc
annning Optical Micro- scopy.”,Academic Press(Lon
don),1984”等で詳細に記載されている。
【0009】このような超解像を実際に光記録媒体の信
号再生に応用するには、光記録媒体上での再生光の移動
に追従してアパーチャも移動する必要がある。
号再生に応用するには、光記録媒体上での再生光の移動
に追従してアパーチャも移動する必要がある。
【0010】超解像を光磁気記録媒体に応用した例とし
ては、本願出願人が特開平1−143041号公報及び
特開平1−143042号公報において、光磁気記録再
生方式の磁気カー効果が現れる領域を熱的に再生光のス
ポット径よりも狭くして超解像効果を発現させ、高密度
記録を達成する方法を提案している。しかし、この方式
は、光磁気記録システムに限って使用できるものであ
り、通常の磁気ヘッドを用いない光記録システムへは適
用できない。
ては、本願出願人が特開平1−143041号公報及び
特開平1−143042号公報において、光磁気記録再
生方式の磁気カー効果が現れる領域を熱的に再生光のス
ポット径よりも狭くして超解像効果を発現させ、高密度
記録を達成する方法を提案している。しかし、この方式
は、光磁気記録システムに限って使用できるものであ
り、通常の磁気ヘッドを用いない光記録システムへは適
用できない。
【0011】そこで、通常の光記録システムに適用でき
るものとして、特開平2−96926号公報において、
反射層に光応答性の材料を用いることが提案されてい
る。すなわち、光応答性材料を反射層に用いる光記録媒
体では、再生光を照射すると、再生光スポット内には中
心程光量が大きくなる光量分布があることから、ある一
定量以上の光量になった部分のみの光学特性が変化し、
当該再生光スポット内に再生光に追従して移動するアパ
ーチャが部分的に形成される。
るものとして、特開平2−96926号公報において、
反射層に光応答性の材料を用いることが提案されてい
る。すなわち、光応答性材料を反射層に用いる光記録媒
体では、再生光を照射すると、再生光スポット内には中
心程光量が大きくなる光量分布があることから、ある一
定量以上の光量になった部分のみの光学特性が変化し、
当該再生光スポット内に再生光に追従して移動するアパ
ーチャが部分的に形成される。
【0012】このようにアパーチャが形成されると、再
生光のスポット内に複数のピットが存在する場合でも、
アパーチャ内に存在するピットのみが検出され、その他
のピットはいわばマスクされた状態となって検出される
ことがない。したがって、再生光学系の回折限界λ/2
NAよりも短い周期でピットが形成された微細記録パタ
ーンからの信号再生が行えることになる。
生光のスポット内に複数のピットが存在する場合でも、
アパーチャ内に存在するピットのみが検出され、その他
のピットはいわばマスクされた状態となって検出される
ことがない。したがって、再生光学系の回折限界λ/2
NAよりも短い周期でピットが形成された微細記録パタ
ーンからの信号再生が行えることになる。
【0013】ところが、この公報には、光応答性材料と
して再生光によって光学特性が直接変化する非線形光学
材料、あるいは再生光の光吸収による熱発生により光学
特性が間接的に変化する相変化材料とのみ記載されてお
り、具体的な材料については挙げられていない。このた
め、その実現が難しいと言える。
して再生光によって光学特性が直接変化する非線形光学
材料、あるいは再生光の光吸収による熱発生により光学
特性が間接的に変化する相変化材料とのみ記載されてお
り、具体的な材料については挙げられていない。このた
め、その実現が難しいと言える。
【0014】そこで、本願出願人は、特願平5−268
05号明細書において、具体的な光応答性材料として可
飽和吸収色素を提案した。可飽和吸収色素とは、一定量
以上の光を照射し、励起状態になると、吸収率が0とな
るような現象,すなわち可飽和吸収現象を呈する色素材
料である。
05号明細書において、具体的な光応答性材料として可
飽和吸収色素を提案した。可飽和吸収色素とは、一定量
以上の光を照射し、励起状態になると、吸収率が0とな
るような現象,すなわち可飽和吸収現象を呈する色素材
料である。
【0015】例えば、ピットが形成された基板上に、こ
の可飽和吸収色素を含有する可飽和吸収色素含有層と反
射層が形成された光記録媒体に、再生光を照射すると、
上述の如く再生光スポット内には中心程光量が大きくな
る光量分布があることから、ある一定量以上の光量にな
った部分のみが可飽和吸収となり、部分的に可飽和吸収
領域が生じる。可飽和吸収となった領域は、吸収率が0
であることからほかの領域に比べて高い反射率が得られ
る。したがって、アパーチャとして機能し、再生光スポ
ット内に複数のピットが存在する場合でもこの可飽和吸
収領域に存在するピットのみが検出されることになる。
の可飽和吸収色素を含有する可飽和吸収色素含有層と反
射層が形成された光記録媒体に、再生光を照射すると、
上述の如く再生光スポット内には中心程光量が大きくな
る光量分布があることから、ある一定量以上の光量にな
った部分のみが可飽和吸収となり、部分的に可飽和吸収
領域が生じる。可飽和吸収となった領域は、吸収率が0
であることからほかの領域に比べて高い反射率が得られ
る。したがって、アパーチャとして機能し、再生光スポ
ット内に複数のピットが存在する場合でもこの可飽和吸
収領域に存在するピットのみが検出されることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記光
記録媒体について光学スペクトルを観測したところ、可
飽和吸収になっていない初期の状態での反射率が、その
材料構成から類推される値よりも高いことが判明した。
このことは、再生光を照射したときに、可飽和吸収領域
とそれ以外の領域で、反射率にあまり差がつかないこと
を意味しており、超解像性を低下させるものである。
記録媒体について光学スペクトルを観測したところ、可
飽和吸収になっていない初期の状態での反射率が、その
材料構成から類推される値よりも高いことが判明した。
このことは、再生光を照射したときに、可飽和吸収領域
とそれ以外の領域で、反射率にあまり差がつかないこと
を意味しており、超解像性を低下させるものである。
【0017】そこで、本発明は、このような従来の実情
に鑑みて提案されたものであり、超解像性に優れ、再生
光学系の回折限界λ/2NAよりも短い周期でピットが
形成されている微細記録パターンから良好な再生信号が
得られる光記録媒体を提供することを目的とする。
に鑑みて提案されたものであり、超解像性に優れ、再生
光学系の回折限界λ/2NAよりも短い周期でピットが
形成されている微細記録パターンから良好な再生信号が
得られる光記録媒体を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の光記録媒体は、光透過性の基板上に、少
なくとも可飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する可
飽和吸収色素含有層と、記録層及び/又は反射層が形成
され、上記可飽和吸収色素層に含有される可飽和吸収色
素は、再生光波長における分子吸光係数εが104 以上
であり、緩和時間τが1ns≦τ≦100nsであるこ
とを特徴とするものである。
めに、本発明の光記録媒体は、光透過性の基板上に、少
なくとも可飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する可
飽和吸収色素含有層と、記録層及び/又は反射層が形成
され、上記可飽和吸収色素層に含有される可飽和吸収色
素は、再生光波長における分子吸光係数εが104 以上
であり、緩和時間τが1ns≦τ≦100nsであるこ
とを特徴とするものである。
【0019】また、可飽和吸収色素含有層に含有される
芳香族化合物は、230〜300nmの波長領域にモル
吸光係数が2000以上の吸収帯を有することを特徴と
するものである。さらに、可飽和吸収色素含有層に含有
される芳香族化合物は、フェニル基、ビフェニル基、カ
ルバゾリル基、ナフチル基、ピリジノ基、チオフェノ基
の少なくとも1種を主鎖あるいは側鎖に有することを特
徴とするものである。
芳香族化合物は、230〜300nmの波長領域にモル
吸光係数が2000以上の吸収帯を有することを特徴と
するものである。さらに、可飽和吸収色素含有層に含有
される芳香族化合物は、フェニル基、ビフェニル基、カ
ルバゾリル基、ナフチル基、ピリジノ基、チオフェノ基
の少なくとも1種を主鎖あるいは側鎖に有することを特
徴とするものである。
【0020】また、基板と可飽和吸収色素含有の間に、
当該基板及び可飽和吸収色素含有層よりも実部屈折率が
高い高屈折率層が設けられていることを特徴とするもの
である。さらに、高屈折率層は、実部屈折率が1.8以
上であることを特徴とするものである。
当該基板及び可飽和吸収色素含有層よりも実部屈折率が
高い高屈折率層が設けられていることを特徴とするもの
である。さらに、高屈折率層は、実部屈折率が1.8以
上であることを特徴とするものである。
【0021】さらに、高屈折率層は、真空薄膜形成方法
により成膜された無機セラミック膜であることを特徴と
するものである。さらに、高屈折率層を構成する無機セ
ラミック材料が、ZnSとSiO2 の混成膜であること
を特徴とするものである。
により成膜された無機セラミック膜であることを特徴と
するものである。さらに、高屈折率層を構成する無機セ
ラミック材料が、ZnSとSiO2 の混成膜であること
を特徴とするものである。
【0022】本発明者等が、可飽和吸収色素含有層を有
する光記録媒体の初期状態での反射率が、その材料構成
から類推される値よりも高くなる原因を検討した結果、
製造工程で可飽和吸収色素含有層上に反射層(あるいは
記録層)を成膜する際に色素の分解が生じており、これ
が上述の反射率上昇を誘発していることを見い出した。
する光記録媒体の初期状態での反射率が、その材料構成
から類推される値よりも高くなる原因を検討した結果、
製造工程で可飽和吸収色素含有層上に反射層(あるいは
記録層)を成膜する際に色素の分解が生じており、これ
が上述の反射率上昇を誘発していることを見い出した。
【0023】すなわち、反射層,記録層はスパッタリン
グ,真空蒸着法等の真空薄膜形成法によって成膜され
る。例えば真空蒸着法では、蒸着源を電子銃によって蒸
発させ基板上に被着させる。ここで、この電子銃から電
子線が照射される際には波長が300nm程度の紫外線
も同時に発生する。
グ,真空蒸着法等の真空薄膜形成法によって成膜され
る。例えば真空蒸着法では、蒸着源を電子銃によって蒸
発させ基板上に被着させる。ここで、この電子銃から電
子線が照射される際には波長が300nm程度の紫外線
も同時に発生する。
【0024】一方、可飽和吸収色素は、230〜240
nmの波長領域にブロードな強い吸収ピークを有してい
ることから、この成膜に際して電子線の照射とともに副
次的に発生した紫外線を吸収し分解する。これが媒体の
反射率を上昇させる原因である。
nmの波長領域にブロードな強い吸収ピークを有してい
ることから、この成膜に際して電子線の照射とともに副
次的に発生した紫外線を吸収し分解する。これが媒体の
反射率を上昇させる原因である。
【0025】蒸着源の蒸発を抵抗加熱法を用いて行え
ば、紫外線による色素分解は免れるが、抵抗加熱法によ
る成膜は膜厚を厚くするのが困難であり、光学的,強度
的にも問題がある。抵抗加熱法によって初めに薄く膜形
成した後、その上に電子銃を用いて足りない分の厚さを
補足することも考えられるがプロセスが煩雑で実用性に
欠ける。
ば、紫外線による色素分解は免れるが、抵抗加熱法によ
る成膜は膜厚を厚くするのが困難であり、光学的,強度
的にも問題がある。抵抗加熱法によって初めに薄く膜形
成した後、その上に電子銃を用いて足りない分の厚さを
補足することも考えられるがプロセスが煩雑で実用性に
欠ける。
【0026】そこで、本発明では、電子銃を用いた真空
薄膜形成法によって反射層,記録層を形成した場合で
も、反射率の正常な媒体が得られるようにするために、
可飽和吸収色素含有層を可飽和吸収色素と芳香族化合物
で構成することとする。
薄膜形成法によって反射層,記録層を形成した場合で
も、反射率の正常な媒体が得られるようにするために、
可飽和吸収色素含有層を可飽和吸収色素と芳香族化合物
で構成することとする。
【0027】すなわち、本発明の光記録媒体は、再生専
用型として用いる場合には光透過性の基板上に、ピット
が例えば凹凸形状あるいは光学定数を変化させる層とし
て、情報信号に対応した記録パターンで形成され、この
基板上に少なくとも可飽和吸収色素と芳香族化合物を含
有する可飽和吸収色素含有層及び反射層が設けられた構
成とされる。
用型として用いる場合には光透過性の基板上に、ピット
が例えば凹凸形状あるいは光学定数を変化させる層とし
て、情報信号に対応した記録パターンで形成され、この
基板上に少なくとも可飽和吸収色素と芳香族化合物を含
有する可飽和吸収色素含有層及び反射層が設けられた構
成とされる。
【0028】まず、上記可飽和吸収色素は、再生光波長
における分子吸光係数εが104 以上であり、緩和時間
τが1ns≦τ≦100nsである。
における分子吸光係数εが104 以上であり、緩和時間
τが1ns≦τ≦100nsである。
【0029】このような特性を有する可飽和吸収色素含
有層では、再生光波長における分子吸光係数εが104
以上であることから、再生光の照射によって、当該再生
光スポット内のうちある一定量以上の光量になった部分
が可飽和吸収となって部分的に可飽和吸収領域が生じ
る。また、可飽和吸収色素の緩和時間τが1ns≦τ≦
100nsの範囲に規制されていることから、可飽和吸
収となった領域は、再生光の移動に伴う光量の減少によ
って一定の時間範囲内に速やかに初期の状態に戻る。こ
のため、光量が減少した領域で可飽和吸収が維持され
て、例えば可飽和吸収領域が後ろ側に尾を引くといった
ことがなく、常に再生光スポット内のある一定領域のみ
が可飽和吸収となる。
有層では、再生光波長における分子吸光係数εが104
以上であることから、再生光の照射によって、当該再生
光スポット内のうちある一定量以上の光量になった部分
が可飽和吸収となって部分的に可飽和吸収領域が生じ
る。また、可飽和吸収色素の緩和時間τが1ns≦τ≦
100nsの範囲に規制されていることから、可飽和吸
収となった領域は、再生光の移動に伴う光量の減少によ
って一定の時間範囲内に速やかに初期の状態に戻る。こ
のため、光量が減少した領域で可飽和吸収が維持され
て、例えば可飽和吸収領域が後ろ側に尾を引くといった
ことがなく、常に再生光スポット内のある一定領域のみ
が可飽和吸収となる。
【0030】したがって、この可飽和吸収領域をアパー
チャとして微細なピットの記録パターンから超解像再生
を行うことが可能である。すなわち、この可飽和吸収領
域は、吸収率が0であることから他の領域に比べて高い
反射率が得られ、再生光スポット内に複数のピットが重
複して存在する場合でもこの領域に存在するピットのみ
が検出される。このため、再生光学系の回折限界λ/2
NAよりも短い周期でピットが形成された微細な記録パ
ターンからも良好な再生信号を得ることができる。
チャとして微細なピットの記録パターンから超解像再生
を行うことが可能である。すなわち、この可飽和吸収領
域は、吸収率が0であることから他の領域に比べて高い
反射率が得られ、再生光スポット内に複数のピットが重
複して存在する場合でもこの領域に存在するピットのみ
が検出される。このため、再生光学系の回折限界λ/2
NAよりも短い周期でピットが形成された微細な記録パ
ターンからも良好な再生信号を得ることができる。
【0031】なお、再生光が現状の750〜830nm
の波長光である場合には、可飽和吸収色素としてはシア
ニン系,フタロシアニン系,ナフタロシアニン系等の色
素が適している。これらは、例えばDTTC,HIT
C,IR−125,IR−140,IR─144(以
上、EXCITON社製 商品名)として市販されてい
る。これら色素のうちでは、ナフタロシアニン系色素
が、分子吸光係数が大きく、しかも光学安定性が高いと
いう点から好適である。
の波長光である場合には、可飽和吸収色素としてはシア
ニン系,フタロシアニン系,ナフタロシアニン系等の色
素が適している。これらは、例えばDTTC,HIT
C,IR−125,IR−140,IR─144(以
上、EXCITON社製 商品名)として市販されてい
る。これら色素のうちでは、ナフタロシアニン系色素
が、分子吸光係数が大きく、しかも光学安定性が高いと
いう点から好適である。
【0032】一方、この可飽和吸収色素とともに可飽和
吸収色素層を構成する芳香族化合物は、製造工程の反射
層の成膜等に際して副次的に発生する紫外線から可飽和
吸収色素を保護するためのものである。
吸収色素層を構成する芳香族化合物は、製造工程の反射
層の成膜等に際して副次的に発生する紫外線から可飽和
吸収色素を保護するためのものである。
【0033】芳香族化合物は、通常、230〜300n
mの紫外線領域に吸収を有している。したがって、この
可飽和吸収色素と芳香族化合物が共存していれば、反射
層を電子銃を用いた真空蒸着法あるいはスパッタリング
法で成膜した場合でも、そのの際に発生する紫外線を、
この芳香族化合物が吸収し、その分可飽和吸収色素が吸
収する紫外線量が減少する。これにより、可飽和吸収色
素の分解が抑えられ、反射層の成膜を経ても色素本来の
光学特性が維持されることになる。
mの紫外線領域に吸収を有している。したがって、この
可飽和吸収色素と芳香族化合物が共存していれば、反射
層を電子銃を用いた真空蒸着法あるいはスパッタリング
法で成膜した場合でも、そのの際に発生する紫外線を、
この芳香族化合物が吸収し、その分可飽和吸収色素が吸
収する紫外線量が減少する。これにより、可飽和吸収色
素の分解が抑えられ、反射層の成膜を経ても色素本来の
光学特性が維持されることになる。
【0034】その結果、再生光を照射したときに、再生
光スポット内に生じる可飽和吸収領域に比べてそれ以外
の領域では十分に低い反射率を示すようになり、例えば
0.3μm/bit程度の微小なピットからも強度の大
きな再生信号が得られることになる。
光スポット内に生じる可飽和吸収領域に比べてそれ以外
の領域では十分に低い反射率を示すようになり、例えば
0.3μm/bit程度の微小なピットからも強度の大
きな再生信号が得られることになる。
【0035】芳香族化合物としては、その目的から23
0〜300nmの紫外線領域にモル吸光係数が2000
以上の吸収帯を有しているものが望ましい。また、色素
との相溶性が良く、色素と共存させて蒸着あるいはスピ
ンコート等のプロセスによって薄膜形成できることがで
きることも必要である。
0〜300nmの紫外線領域にモル吸光係数が2000
以上の吸収帯を有しているものが望ましい。また、色素
との相溶性が良く、色素と共存させて蒸着あるいはスピ
ンコート等のプロセスによって薄膜形成できることがで
きることも必要である。
【0036】そのような芳香族化合物としては、フェニ
ル基,ビフェニル基,カルバゾリル基,ナフチル基,ピ
リジノ基,チオフェノ基等の少なくとも1種を主鎖ある
いは側鎖に有するものが挙げられる。具体的には、ポリ
フェニルメタクリレート,ポリ(4−ビニルビフェニ
ル),ポリビニルカルバゾール,ポリアセナフチレン等
である。
ル基,ビフェニル基,カルバゾリル基,ナフチル基,ピ
リジノ基,チオフェノ基等の少なくとも1種を主鎖ある
いは側鎖に有するものが挙げられる。具体的には、ポリ
フェニルメタクリレート,ポリ(4−ビニルビフェニ
ル),ポリビニルカルバゾール,ポリアセナフチレン等
である。
【0037】なお、このような可飽和吸収色素含有層上
に形成される反射層としては、適用する再生装置の規格
に合わせて選択される。例えば、コンパクトディスク用
の再生装置に用いる場合には、コンパクトディスクで用
いられているような反射率が70%以上のAl,Au等
よりなる反射層が使用される。
に形成される反射層としては、適用する再生装置の規格
に合わせて選択される。例えば、コンパクトディスク用
の再生装置に用いる場合には、コンパクトディスクで用
いられているような反射率が70%以上のAl,Au等
よりなる反射層が使用される。
【0038】ここで、本発明の光記録媒体では、可飽和
吸収色素含有層に芳香族化合物が含有されているので、
この芳香族化合物が電子銃を用いた真空蒸着法,スパッ
タリング法に際して副次的に発生する紫外線から可飽和
吸収色素を保護するので、反射層はこれらの電子銃を用
いた成膜法で成膜しても何ら差し支えない。
吸収色素含有層に芳香族化合物が含有されているので、
この芳香族化合物が電子銃を用いた真空蒸着法,スパッ
タリング法に際して副次的に発生する紫外線から可飽和
吸収色素を保護するので、反射層はこれらの電子銃を用
いた成膜法で成膜しても何ら差し支えない。
【0039】以上が本発明の光記録媒体の基本的な構成
であるが、本発明の光記録媒体にはこのような可飽和吸
収色素含有層,反射層の他に、基板と可飽和吸収色素含
有層の間に、当該基板及び可飽和吸収色素含有層よりも
実部屈折率が高い高屈折率層を設けるようにしても良
い。
であるが、本発明の光記録媒体にはこのような可飽和吸
収色素含有層,反射層の他に、基板と可飽和吸収色素含
有層の間に、当該基板及び可飽和吸収色素含有層よりも
実部屈折率が高い高屈折率層を設けるようにしても良
い。
【0040】基板と可飽和吸収色素含有層の間に高屈折
率層を設けると、フレネル反射が強くなり、可飽和吸収
色素含有層内に光を閉じ込める共振器構造が形成され
る。これにより、再生信号強度が大幅に向上する。
率層を設けると、フレネル反射が強くなり、可飽和吸収
色素含有層内に光を閉じ込める共振器構造が形成され
る。これにより、再生信号強度が大幅に向上する。
【0041】ここで、通常、入手される光透過性の基板
や可飽和吸収色素含有層の実部屈折率は1.5〜1.7
程度である。したがって、上記高屈折率層としては、実
部屈折率が1.8以上の、例えば無機材料,半導体材料
等を真空薄膜形成法によって成膜した材料膜が使用され
る。フレネル反射を強くする効果は、実部屈折率が基板
や可飽和吸収色素含有層の値から大きく異なるもの程、
顕著である。
や可飽和吸収色素含有層の実部屈折率は1.5〜1.7
程度である。したがって、上記高屈折率層としては、実
部屈折率が1.8以上の、例えば無機材料,半導体材料
等を真空薄膜形成法によって成膜した材料膜が使用され
る。フレネル反射を強くする効果は、実部屈折率が基板
や可飽和吸収色素含有層の値から大きく異なるもの程、
顕著である。
【0042】高屈折率層を成膜する真空薄膜形成法とし
ては、真空蒸着法,スパッタ法,CVD(化学的気相成
長法)等が挙げられる。基板がポリマーで構成されてい
るか、あるいはガラス2P法で形成されたレジスト膜を
有する場合には、比較的低温で良質な膜を形成すること
ができ、成膜速度も比較的高速であることからスパッタ
法が有利である。
ては、真空蒸着法,スパッタ法,CVD(化学的気相成
長法)等が挙げられる。基板がポリマーで構成されてい
るか、あるいはガラス2P法で形成されたレジスト膜を
有する場合には、比較的低温で良質な膜を形成すること
ができ、成膜速度も比較的高速であることからスパッタ
法が有利である。
【0043】ここで、高屈折率層の膜厚は、再生光の波
長をλ、当該高屈折率層の実部屈折率をnとしたときλ
/4nで表される膜厚とすることが好ましい。この膜厚
で高屈折率層を形成すると、高屈折率層と基板との界面
での反射光と、高屈折率層と可飽和吸収色素含有層との
界面での反射光との位相差が180°となり、いわゆる
無反射条件を満たすようになる。これにより、可飽和吸
収色素含有層でのフレネル反射が最大となり、再生信号
の強度を大きくできる。但し、膜厚がλ/4nから10
%程度ずれていても特に問題はなく、十分な効果が得ら
れる。
長をλ、当該高屈折率層の実部屈折率をnとしたときλ
/4nで表される膜厚とすることが好ましい。この膜厚
で高屈折率層を形成すると、高屈折率層と基板との界面
での反射光と、高屈折率層と可飽和吸収色素含有層との
界面での反射光との位相差が180°となり、いわゆる
無反射条件を満たすようになる。これにより、可飽和吸
収色素含有層でのフレネル反射が最大となり、再生信号
の強度を大きくできる。但し、膜厚がλ/4nから10
%程度ずれていても特に問題はなく、十分な効果が得ら
れる。
【0044】高屈折率層の材料としては、上述の如く実
部屈折率が上記条件を満たすものであれば特に制限はな
いが、無機セラミックが耐熱性,成膜性に優れ、適して
いる。中でも、ZnSとSiO2 の混成膜を、ピットが
凹凸形状として形成されたタイプの光ディスクに高屈折
率層として形成すると、40dB以上と比較的大きな再
生出力が確実に得られるようになる。
部屈折率が上記条件を満たすものであれば特に制限はな
いが、無機セラミックが耐熱性,成膜性に優れ、適して
いる。中でも、ZnSとSiO2 の混成膜を、ピットが
凹凸形状として形成されたタイプの光ディスクに高屈折
率層として形成すると、40dB以上と比較的大きな再
生出力が確実に得られるようになる。
【0045】また、さらに、高屈折率層としては、実部
屈折率が1.8以上であるもののうち、消衰係数が比較
的小さいものを選択するのが望ましい。これは、照射さ
れた光を効率良く可飽和吸収色素含有層で吸収せしめる
目的である。
屈折率が1.8以上であるもののうち、消衰係数が比較
的小さいものを選択するのが望ましい。これは、照射さ
れた光を効率良く可飽和吸収色素含有層で吸収せしめる
目的である。
【0046】なお、このような高屈折率層の代わりに、
これとは逆に基板,可飽和吸収色素含有層よりも実部屈
折率の低い低屈折率層を設けた場合でも、同様に可飽和
吸収色素含有層内に光を閉じ込める共振器構造を形成す
ることができる。
これとは逆に基板,可飽和吸収色素含有層よりも実部屈
折率の低い低屈折率層を設けた場合でも、同様に可飽和
吸収色素含有層内に光を閉じ込める共振器構造を形成す
ることができる。
【0047】しかし、低屈折率層とし得る材料では、フ
ッ素系ポリマーの1.3程度が実部屈折率の最低であ
り、例えばフッ化マグネシウムのように、一般的に使用
できる低屈折率材料のほとんどは実部屈折率が1.4程
度である。このため、基板,可飽和吸収色素含有層より
も実部屈折率が大きく異なる低屈折率層,すなわちフレ
ネル反射を強くする効果の高い低屈折率層を得るのは現
実的には困難である。高屈折率層とし得る材料には、無
機材料,半導体材料等を含めて、屈折率最大値4までの
各種材料がある。したがって、低屈折率層を設けるより
も高屈折率層を設ける方が、利便性が高いと言える。
ッ素系ポリマーの1.3程度が実部屈折率の最低であ
り、例えばフッ化マグネシウムのように、一般的に使用
できる低屈折率材料のほとんどは実部屈折率が1.4程
度である。このため、基板,可飽和吸収色素含有層より
も実部屈折率が大きく異なる低屈折率層,すなわちフレ
ネル反射を強くする効果の高い低屈折率層を得るのは現
実的には困難である。高屈折率層とし得る材料には、無
機材料,半導体材料等を含めて、屈折率最大値4までの
各種材料がある。したがって、低屈折率層を設けるより
も高屈折率層を設ける方が、利便性が高いと言える。
【0048】なお、ここまでで説明した光記録媒体は、
基板上に形成された記録パターンから信号再生のみを行
う再生専用型の光記録媒体に可飽和吸収色素含有層を適
用したものであるが、可飽和吸収色素含有層は追記型の
光記録媒体,書換え可能型の光記録媒体に適用するよう
にしても良い。追記型,書換え可能型の場合には、基板
上に可飽和吸収色素含有層が形成され、さらにその上に
情報信号の追記あるいは書換えが可能な記録層が形成さ
れる。この場合にも上記可飽和吸収色素含有層に芳香族
化合物が含有されていることから、記録層を電子銃を用
いた真空薄膜形成法で成膜した場合でも可飽和吸収色素
含有層の本来の光学特性が維持される。したがって、良
好な超解像性を発揮し、ピットの微細記録パターンの書
き込み,読み出しが可能である。
基板上に形成された記録パターンから信号再生のみを行
う再生専用型の光記録媒体に可飽和吸収色素含有層を適
用したものであるが、可飽和吸収色素含有層は追記型の
光記録媒体,書換え可能型の光記録媒体に適用するよう
にしても良い。追記型,書換え可能型の場合には、基板
上に可飽和吸収色素含有層が形成され、さらにその上に
情報信号の追記あるいは書換えが可能な記録層が形成さ
れる。この場合にも上記可飽和吸収色素含有層に芳香族
化合物が含有されていることから、記録層を電子銃を用
いた真空薄膜形成法で成膜した場合でも可飽和吸収色素
含有層の本来の光学特性が維持される。したがって、良
好な超解像性を発揮し、ピットの微細記録パターンの書
き込み,読み出しが可能である。
【0049】
【作用】本発明の光記録媒体は、光透過性の基板上に、
少なくとも可飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する
可飽和吸収色素含有層と、記録層及び/又は反射層が設
けられた構成とされ、上記可飽和吸収色素として再生光
波長における分子吸光係数εが104 以上であり、緩和
時間τが1ns≦τ≦100nsであるものを用いてな
るものである。
少なくとも可飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する
可飽和吸収色素含有層と、記録層及び/又は反射層が設
けられた構成とされ、上記可飽和吸収色素として再生光
波長における分子吸光係数εが104 以上であり、緩和
時間τが1ns≦τ≦100nsであるものを用いてな
るものである。
【0050】このような構成の光記録媒体では、可飽和
吸収色素含有層が、分子吸光係数εが104 以上である
ことから、再生光を照射すると、再生光スポット内のう
ちある一定量以上の光量となった部分が可飽和吸収とな
って部分的に可飽和吸収領域が生じる。
吸収色素含有層が、分子吸光係数εが104 以上である
ことから、再生光を照射すると、再生光スポット内のう
ちある一定量以上の光量となった部分が可飽和吸収とな
って部分的に可飽和吸収領域が生じる。
【0051】また、可飽和吸収色素の緩和時間τが1n
s≦τ≦100nsの範囲に規制されていることから、
可飽和吸収となった領域は、再生光の移動に伴う光量の
減少によって一定の時間範囲内に速やかに初期の状態に
戻る。このため、光量が減少した領域で可飽和吸収が維
持されて可飽和吸収領域が後ろ側に尾を引くといったこ
とがなく、常に再生光スポット内のある一定領域のみが
可飽和吸収となる。
s≦τ≦100nsの範囲に規制されていることから、
可飽和吸収となった領域は、再生光の移動に伴う光量の
減少によって一定の時間範囲内に速やかに初期の状態に
戻る。このため、光量が減少した領域で可飽和吸収が維
持されて可飽和吸収領域が後ろ側に尾を引くといったこ
とがなく、常に再生光スポット内のある一定領域のみが
可飽和吸収となる。
【0052】したがって、この可飽和吸収領域をアパー
チャとして微細なピットの記録パターンから超解像再生
がなされる。すなわち、この可飽和吸収領域は、吸収率
が0であることから他の領域に比べて高い反射率が得ら
れ、再生光スポット内に複数のピットが重複して存在す
る場合でもこの領域に存在するピットのみが検出され
る。このため、再生光学系の回折限界λ/2NAよりも
短い周期でピットが形成された記録パターンからも良好
な信号再生がなされる。
チャとして微細なピットの記録パターンから超解像再生
がなされる。すなわち、この可飽和吸収領域は、吸収率
が0であることから他の領域に比べて高い反射率が得ら
れ、再生光スポット内に複数のピットが重複して存在す
る場合でもこの領域に存在するピットのみが検出され
る。このため、再生光学系の回折限界λ/2NAよりも
短い周期でピットが形成された記録パターンからも良好
な信号再生がなされる。
【0053】また、上記可飽和吸収色素含有層には、可
飽和吸収色素とともに芳香族化合物が含有されている。
飽和吸収色素とともに芳香族化合物が含有されている。
【0054】芳香族化合物は、通常、230〜300n
mの紫外線領域に吸収を有している。このため、反射
層,記録層を電子銃を用いる真空蒸着法,スパッタリン
グ法で成膜した場合でも、その際に副次的に発生する紫
外線を、この芳香族化合物が吸収し、その分可飽和吸収
色素が吸収する紫外線量が減少する。したがって、可飽
和吸収色素の分解が抑えられ、反射層,記録層の成膜工
程を経ても色素本来の光学特性が維持される。その結
果、再生光を照射したときに、再生光スポット内に生じ
る可飽和吸収領域に比べてそれ以外の領域では十分に低
い反射率を示すようになり、例えば0.3μm/bit
程度の微小なピットからも強度の大きな再生信号が得ら
れる。
mの紫外線領域に吸収を有している。このため、反射
層,記録層を電子銃を用いる真空蒸着法,スパッタリン
グ法で成膜した場合でも、その際に副次的に発生する紫
外線を、この芳香族化合物が吸収し、その分可飽和吸収
色素が吸収する紫外線量が減少する。したがって、可飽
和吸収色素の分解が抑えられ、反射層,記録層の成膜工
程を経ても色素本来の光学特性が維持される。その結
果、再生光を照射したときに、再生光スポット内に生じ
る可飽和吸収領域に比べてそれ以外の領域では十分に低
い反射率を示すようになり、例えば0.3μm/bit
程度の微小なピットからも強度の大きな再生信号が得ら
れる。
【0055】なお、上記光記録媒体では、基板と可飽和
吸収色素含有層の間に、さらに当該基板及び可飽和吸収
色素含有層よりも実部屈折率が高い高屈折率層を設ける
と、フレネル反射が強くなり、可飽和吸収色素含有層内
に光を閉じ込める共振器構造が形成される。これによ
り、再生信号強度が大幅に向上する。
吸収色素含有層の間に、さらに当該基板及び可飽和吸収
色素含有層よりも実部屈折率が高い高屈折率層を設ける
と、フレネル反射が強くなり、可飽和吸収色素含有層内
に光を閉じ込める共振器構造が形成される。これによ
り、再生信号強度が大幅に向上する。
【0056】高屈折率層の材料としては、無機セラミッ
クが耐熱性,成膜性に優れることから適している。中で
も、ZnSとSiO2 の混成膜を高屈折率層として形成
すると、40dB以上と比較的大きな再生出力が獲得さ
れる。
クが耐熱性,成膜性に優れることから適している。中で
も、ZnSとSiO2 の混成膜を高屈折率層として形成
すると、40dB以上と比較的大きな再生出力が獲得さ
れる。
【0057】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を実験結果に基
づいて説明する。
づいて説明する。
【0058】実施例1 本実施例で作成した光記録媒体の構成を図1に示す。こ
の光記録媒体は、ピット5が凹凸形状として形成された
基板1上に、高屈折率層2,可飽和吸収色素含有層3及
び反射層4が順次積層されてなるものである。本実施例
では、このような構成の光記録媒体を以下のようにして
作成した。
の光記録媒体は、ピット5が凹凸形状として形成された
基板1上に、高屈折率層2,可飽和吸収色素含有層3及
び反射層4が順次積層されてなるものである。本実施例
では、このような構成の光記録媒体を以下のようにして
作成した。
【0059】まず、ガラス2P(フォトポリマー)法に
よって、ガラス基板1上にピット5を凹凸形状で形成し
た。なお、ピット5は、ピット長0.3μm、ピット周
期0.6μmの記録パターンで形成した。この記録パタ
ーンは、超解像再生用に設定したものであり、ピット
長、ピット周期は通常の場合よりも短くなっている。
よって、ガラス基板1上にピット5を凹凸形状で形成し
た。なお、ピット5は、ピット長0.3μm、ピット周
期0.6μmの記録パターンで形成した。この記録パタ
ーンは、超解像再生用に設定したものであり、ピット
長、ピット周期は通常の場合よりも短くなっている。
【0060】次いで、この基板1のピットを形成した側
の面(信号記録面)上に、ZnSを抵抗加熱法を用いた
真空蒸着により被着形成し、高屈折率層2を形成した。
の面(信号記録面)上に、ZnSを抵抗加熱法を用いた
真空蒸着により被着形成し、高屈折率層2を形成した。
【0061】なお、ここでは蒸着源となるZnSとし
て、純度99.99%のタブレットを使用した。
て、純度99.99%のタブレットを使用した。
【0062】また、高屈折率層2の厚さは、約110n
mに設定した。この膜厚は、高屈折率層の効果が最も高
くなる膜厚,すなわち再生光波長をλ、当該高屈折率層
の実部屈をnとしたときにλ/4nで表される値であ
る。ZnS及びSiO2 よりなる高屈折率層2は実部屈
折率が1.8、本実施例で用いる再生光の波長は780
nmであり、このような条件の場合、λ/4n=780
/(4×1.8)=108.33となる。上記膜厚はこ
の値に基づいて設定した。
mに設定した。この膜厚は、高屈折率層の効果が最も高
くなる膜厚,すなわち再生光波長をλ、当該高屈折率層
の実部屈をnとしたときにλ/4nで表される値であ
る。ZnS及びSiO2 よりなる高屈折率層2は実部屈
折率が1.8、本実施例で用いる再生光の波長は780
nmであり、このような条件の場合、λ/4n=780
/(4×1.8)=108.33となる。上記膜厚はこ
の値に基づいて設定した。
【0063】このようにして高屈折率層2を成膜した
後、透過スペクトルを観測した。その結果、波長800
nmを中心にした透過率の低下が認められた。このこと
から高屈折率層2は、ほぼλ/4nの膜厚で成膜されて
いることが判断される。
後、透過スペクトルを観測した。その結果、波長800
nmを中心にした透過率の低下が認められた。このこと
から高屈折率層2は、ほぼλ/4nの膜厚で成膜されて
いることが判断される。
【0064】次に、この高屈折率層上に、スピンコータ
(ミカサ社製)を用いて、膜厚150nm程度の可飽和
吸収色素含有層3を形成した。
(ミカサ社製)を用いて、膜厚150nm程度の可飽和
吸収色素含有層3を形成した。
【0065】スピンコート用溶液は、可飽和吸収色素と
なるビス(トリ−n−ヘキシルシロキシ)ケイ素ナフタ
ロシアニン(SINC)と、マトリックス材料となるポ
リフェニルメタクリレート(PPhMA)が、SIN
C:PPhMA=1:5(重量比)なる組成比でシクロ
ヘキサノンに溶解されてなるものである。なお、PPh
MAは、230〜300nm波長範囲にモル吸光係数が
2000以上の吸収帯を有する芳香族化合物である。S
INC及びPPhMAの構造式を化1,化2に、透過率
スペクトルを図2,図3にそれぞれ示す。また、
なるビス(トリ−n−ヘキシルシロキシ)ケイ素ナフタ
ロシアニン(SINC)と、マトリックス材料となるポ
リフェニルメタクリレート(PPhMA)が、SIN
C:PPhMA=1:5(重量比)なる組成比でシクロ
ヘキサノンに溶解されてなるものである。なお、PPh
MAは、230〜300nm波長範囲にモル吸光係数が
2000以上の吸収帯を有する芳香族化合物である。S
INC及びPPhMAの構造式を化1,化2に、透過率
スペクトルを図2,図3にそれぞれ示す。また、
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】このスピンコート用溶液の調製は、シクロ
ヘキサノン24gに、まずPPhMAのみを750mg
投入し、撹拌加熱によって溶解させ、その後、この溶液
にSINCを150mg添加し、超音波分散及び加熱に
よって溶解させることで行った。このようにシクロヘキ
サノンを溶媒に用いると、良好な塗布性が得られ、膜厚
の均一のスピンコート膜が形成できる。
ヘキサノン24gに、まずPPhMAのみを750mg
投入し、撹拌加熱によって溶解させ、その後、この溶液
にSINCを150mg添加し、超音波分散及び加熱に
よって溶解させることで行った。このようにシクロヘキ
サノンを溶媒に用いると、良好な塗布性が得られ、膜厚
の均一のスピンコート膜が形成できる。
【0069】また、スピンコートは最大回転数2000
〜2400rpmで行い、スピンコート後の溶媒の揮発
除去は、温度80℃下、2時間真空状態で保持すること
で行った。
〜2400rpmで行い、スピンコート後の溶媒の揮発
除去は、温度80℃下、2時間真空状態で保持すること
で行った。
【0070】そして、最後に、このようにして形成され
た可飽和吸収色素含有層3上に電子銃を用いた真空蒸着
法によってAl反射層4を成膜し、光記録媒体を作成し
た。
た可飽和吸収色素含有層3上に電子銃を用いた真空蒸着
法によってAl反射層4を成膜し、光記録媒体を作成し
た。
【0071】真空蒸着は、日電アネルバ社製の真空蒸着
装置を用い、真空度3×10-4Pa、蒸着レート0.4
nm/s程度の一般的な条件で行った。成膜されたAl
反射層4の膜厚は、100nmである。これは水晶発振
器膜厚計により測定されたものである。
装置を用い、真空度3×10-4Pa、蒸着レート0.4
nm/s程度の一般的な条件で行った。成膜されたAl
反射層4の膜厚は、100nmである。これは水晶発振
器膜厚計により測定されたものである。
【0072】比較例1 可飽和吸収色素含有層3の形成に際して、ポリフェニル
メタクリレートの代わりにポリメチルメタクリレート
(PMMA)をスピンコート用溶液に添加したこと以外
は実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。ポリメ
チルメタクリレートの構造式を化3に、透過率スペクト
ルを図4に示す。
メタクリレートの代わりにポリメチルメタクリレート
(PMMA)をスピンコート用溶液に添加したこと以外
は実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。ポリメ
チルメタクリレートの構造式を化3に、透過率スペクト
ルを図4に示す。
【0073】
【化3】
【0074】比較例2 可飽和吸収色素含有層3の形成に際して、ポリフェニル
メタクリレートの代わりにポリシクロヘキシルメタクリ
レート(PCMA)をスピンコート用溶液に添加したこ
と以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。
ポリシクロヘキシルメタクリレートの構造式を化4に示
す。
メタクリレートの代わりにポリシクロヘキシルメタクリ
レート(PCMA)をスピンコート用溶液に添加したこ
と以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。
ポリシクロヘキシルメタクリレートの構造式を化4に示
す。
【0075】
【化4】
【0076】以上のようにして実施例1及び比較例1,
比較例2で作成した光記録媒体について反射スペクトル
を観測した。実施例1の光記録媒体の反射スペクトルを
図5に、比較例1,比較例2の光記録媒体の反射スペク
トルを図6,図7にそれぞれ示す。
比較例2で作成した光記録媒体について反射スペクトル
を観測した。実施例1の光記録媒体の反射スペクトルを
図5に、比較例1,比較例2の光記録媒体の反射スペク
トルを図6,図7にそれぞれ示す。
【0077】まず、図5は可飽和吸収色素含有層のマト
リックス材料として芳香族化合物であるポリフェニルメ
タクリレートを用いた実施例1の光記録媒体の反射スペ
クトルである。これを見ると780nm近辺の反射率が
低い値になっており、可飽和吸収色素の本来の光学特性
が維持されていることがわかる。
リックス材料として芳香族化合物であるポリフェニルメ
タクリレートを用いた実施例1の光記録媒体の反射スペ
クトルである。これを見ると780nm近辺の反射率が
低い値になっており、可飽和吸収色素の本来の光学特性
が維持されていることがわかる。
【0078】一方、図6,図7はマトリックス材料とし
て芳香族でない有機化合物を添加した比較例1,比較例
2の光記録媒体の反射スペクトルである。これを見る
と、780nm近辺の反射率が実施例1の光記録媒体の
場合よりも高い値になっている。このように反射率が高
くなっているのは、製造工程中、特にAl反射層の成膜
に際して発生する紫外線によって可飽和吸収色素が分解
したためである。
て芳香族でない有機化合物を添加した比較例1,比較例
2の光記録媒体の反射スペクトルである。これを見る
と、780nm近辺の反射率が実施例1の光記録媒体の
場合よりも高い値になっている。このように反射率が高
くなっているのは、製造工程中、特にAl反射層の成膜
に際して発生する紫外線によって可飽和吸収色素が分解
したためである。
【0079】このことから、可飽和吸収色素含有層に芳
香族化合物を含有させることは、可飽和吸収色素の分解
を抑え、媒体の反射率を本来の低い値に維持する上で有
効であることがわかる。
香族化合物を含有させることは、可飽和吸収色素の分解
を抑え、媒体の反射率を本来の低い値に維持する上で有
効であることがわかる。
【0080】次に、実際に実施例1及び比較例1,比較
例2で作成された光記録媒体について信号再生を行い、
再生特性を調べた。
例2で作成された光記録媒体について信号再生を行い、
再生特性を調べた。
【0081】再生特性の測定に用いた再生装置の光学系
の構成を図8に示す。すなわち、この再生装置の光学系
は、光記録媒体10の基板側に対向して対物レンズ11
が配設され、この対物レンズ側から1/4波長板12、
偏光ビームスプリッタ13、光源14がこの順に設けら
れてなるものである。
の構成を図8に示す。すなわち、この再生装置の光学系
は、光記録媒体10の基板側に対向して対物レンズ11
が配設され、この対物レンズ側から1/4波長板12、
偏光ビームスプリッタ13、光源14がこの順に設けら
れてなるものである。
【0082】この光学系では、光源14から出射された
レーザ光Lは、ビームスプリッタ13、1/4波長板1
2及び対物レンズ11を通過して、光記録媒体10の記
録ピットに照射される。そして光記録媒体10からの反
射光Rは、対物レンズ11、1/4波長板12を介して
ビームスプリッタ13に到達し、ここで反射されて、フ
ォトダイオード等の受光素子(図示せず)により検出さ
れる。
レーザ光Lは、ビームスプリッタ13、1/4波長板1
2及び対物レンズ11を通過して、光記録媒体10の記
録ピットに照射される。そして光記録媒体10からの反
射光Rは、対物レンズ11、1/4波長板12を介して
ビームスプリッタ13に到達し、ここで反射されて、フ
ォトダイオード等の受光素子(図示せず)により検出さ
れる。
【0083】本実施例で用いた装置条件を以下に示す。 光源:波長779nmの半導体レーザ 照射パワー:1〜10mW 対物レンズの開口数(NA):0.53
【0084】この条件での光学系のカットオフ空間周期
λ/2NAは、0.74μmであり、光記録媒体に形成
されている記録パターンのピット長0.3μm、ピット
周期0.6μmに比べて大きい。したがって、光記録媒
体の記録パターンは、超解像現象が発現しないと読み出
すことができないことになる。
λ/2NAは、0.74μmであり、光記録媒体に形成
されている記録パターンのピット長0.3μm、ピット
周期0.6μmに比べて大きい。したがって、光記録媒
体の記録パターンは、超解像現象が発現しないと読み出
すことができないことになる。
【0085】以上のような装置条件で、再生光パワー,
線速度を各種変化させて周波数6MHzの信号再生を行
った。
線速度を各種変化させて周波数6MHzの信号再生を行
った。
【0086】その結果、まず、比較例1,比較例2の光
記録媒体では、再生光パワー2.5mWの場合に20d
BのC/N比が得られるが、再生光パワーをこれ以上に
上げてもC/N比は20dB以上にはならなかった。ま
た、線速9m/s,再生パワー4mWの場合には、18
dBのC/N比が得られるが、やはり再生光パワーをこ
れ以上に上げてもC/N比はこれ以上には向上しなかっ
た。
記録媒体では、再生光パワー2.5mWの場合に20d
BのC/N比が得られるが、再生光パワーをこれ以上に
上げてもC/N比は20dB以上にはならなかった。ま
た、線速9m/s,再生パワー4mWの場合には、18
dBのC/N比が得られるが、やはり再生光パワーをこ
れ以上に上げてもC/N比はこれ以上には向上しなかっ
た。
【0087】一方、実施例1の光記録媒体では、線速度
3.6m/s,再生光パワー4.8mWの場合、線速度
5.4m/s,再生光パワー6mWのいずれの場合にお
いても40dB以上のC/N比が得られた。
3.6m/s,再生光パワー4.8mWの場合、線速度
5.4m/s,再生光パワー6mWのいずれの場合にお
いても40dB以上のC/N比が得られた。
【0088】このことから、色素が本来の光学特性を維
持していた実施例1の光記録媒体では、再生に際して超
解像性が発現され、再生光学系の回折限界λ/2NAよ
りも短い周期でピットが形成された微細な記録パターン
からの信号再生が可能であることがわかった。
持していた実施例1の光記録媒体では、再生に際して超
解像性が発現され、再生光学系の回折限界λ/2NAよ
りも短い周期でピットが形成された微細な記録パターン
からの信号再生が可能であることがわかった。
【0089】なお、いずれの光記録媒体も、再生パワー
が1〜10mWの範囲であれば、同条件で行う再生にお
いてC/N比に1000回以上の再現性が確認された。
このことから、この光記録媒体の材料系及び膜構成は、
再生操作に対して極めて安定性が高いことがわかる。
が1〜10mWの範囲であれば、同条件で行う再生にお
いてC/N比に1000回以上の再現性が確認された。
このことから、この光記録媒体の材料系及び膜構成は、
再生操作に対して極めて安定性が高いことがわかる。
【0090】また、可飽和吸収色素含有層の含有させる
芳香族化合物として、ポリ(4−ビニルビフェニル),
ポリビニルカルバゾール,ポリアセナフチレンを用いた
結果、ポリフェニルメタクリレートを用いた実施例1の
光記録ディスクと同様に良好な超解像再生が行えること
が確認されている。
芳香族化合物として、ポリ(4−ビニルビフェニル),
ポリビニルカルバゾール,ポリアセナフチレンを用いた
結果、ポリフェニルメタクリレートを用いた実施例1の
光記録ディスクと同様に良好な超解像再生が行えること
が確認されている。
【0091】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の光記録媒体は、光透過性の基板上に、少なくとも可
飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する可飽和吸収色
素含有層と、反射層が形成されて構成され、上記可飽和
吸収色素層に含有される可飽和吸収色素として、再生光
波長における分子吸光係数εが104 以上であり、緩和
時間τが1ns≦τ≦100nsであるものを用いるの
で、超解像性に優れ、0.3μm/bit程度の微小ピ
ットが再生光学系の回折限界λ/2NAよりも短い周期
で形成された微細な記録パターンから、良好な再生信号
を強い強度で得ることができる。
明の光記録媒体は、光透過性の基板上に、少なくとも可
飽和吸収色素及び芳香族化合物を含有する可飽和吸収色
素含有層と、反射層が形成されて構成され、上記可飽和
吸収色素層に含有される可飽和吸収色素として、再生光
波長における分子吸光係数εが104 以上であり、緩和
時間τが1ns≦τ≦100nsであるものを用いるの
で、超解像性に優れ、0.3μm/bit程度の微小ピ
ットが再生光学系の回折限界λ/2NAよりも短い周期
で形成された微細な記録パターンから、良好な再生信号
を強い強度で得ることができる。
【0092】したがって、本発明によれば、再生光の短
波長化,フォーカスレンズの開口数NAの増大化,信号
復調方式の変更等の大幅な変更を装置側に施すことな
く、例えば現行の4倍程度の記録情報量を現行と同サイ
ズの光記録媒体に収めることが可能になる。
波長化,フォーカスレンズの開口数NAの増大化,信号
復調方式の変更等の大幅な変更を装置側に施すことな
く、例えば現行の4倍程度の記録情報量を現行と同サイ
ズの光記録媒体に収めることが可能になる。
【0093】また、装置側にこれらの高密度記録化技術
を施せば、光記録媒体への記録密度を現行の数10倍に
高めることができる。
を施せば、光記録媒体への記録密度を現行の数10倍に
高めることができる。
【0094】その結果、例えばデジタルビデオディス
ク,ハイビジョン用のビデオディスクをCDサイズで構
成することも可能となり、工業的に極めて有用であると
言える。
ク,ハイビジョン用のビデオディスクをCDサイズで構
成することも可能となり、工業的に極めて有用であると
言える。
【図1】本発明を適用した光記録媒体の一構成例を示す
要部概略断面図である。
要部概略断面図である。
【図2】SINCの透過率スペクトルを示す特性図であ
る。
る。
【図3】PPhMAの透過率スペクトルを示す特性図で
ある。
ある。
【図4】PMMAの透過率スペクトルを示す特性図であ
る。
る。
【図5】ポリフェニルメタクリレートをマトリックス材
料とする可飽和吸収色素含有層を有する光記録媒体の反
射率スペクトルを示す特性図である。
料とする可飽和吸収色素含有層を有する光記録媒体の反
射率スペクトルを示す特性図である。
【図6】ポリメチルメタクリレートをマトリックス材料
とする可飽和吸収色素含有層を有する光記録媒体の反射
率スペクトルを示す特性図である。
とする可飽和吸収色素含有層を有する光記録媒体の反射
率スペクトルを示す特性図である。
【図7】ポリシクロヘキシルメタクリレートをマトリッ
クス材料とする可飽和吸収色素含有層を有する光記録媒
体の反射率スペクトルを示す特性図である。
クス材料とする可飽和吸収色素含有層を有する光記録媒
体の反射率スペクトルを示す特性図である。
【図8】光記録媒体に記録された記録パターンから信号
再生するための再生装置の光学系を示す模式図である。
再生するための再生装置の光学系を示す模式図である。
1 基板 2 高屈折率層 3 可飽和吸収色素含有層 4 反射層 5 ピット
Claims (7)
- 【請求項1】 光透過性の基板上に、少なくとも可飽和
吸収色素及び芳香族化合物を含有する可飽和吸収色素含
有層と、記録層及び/又は反射層が形成され、 上記可飽和吸収色素層に含有される可飽和吸収色素は、
再生光波長における分子吸光係数εが104 以上であ
り、緩和時間τが1ns≦τ≦100nsであることを
特徴とする光記録媒体。 - 【請求項2】 可飽和吸収色素含有層に含有される芳香
族化合物は、230〜300nmの波長領域にモル吸光
係数が2000以上の吸収帯を有することを特徴とする
請求項1記載の光記録媒体。 - 【請求項3】 可飽和吸収色素含有層に含有される芳香
族化合物は、フェニル基、ビフェニル基、カルバゾリル
基、ナフチル基、ピリジノ基、チオフェノ基の少なくと
も1種を主鎖あるいは側鎖に有することを特徴とする請
求項1記載の光記録媒体。 - 【請求項4】 基板と可飽和吸収色素含有の間に、当該
基板及び可飽和吸収色素含有層よりも実部屈折率が高い
高屈折率層が設けられていることを特徴とする請求項1
記載の光記録媒体。 - 【請求項5】 高屈折率層は、実部屈折率が1.8以上
であることを特徴とする請求項4記載の光記録媒体。 - 【請求項6】 高屈折率層は、真空薄膜形成方法により
成膜された無機セラミック膜であることを特徴とする請
求項4または請求項5記載の光記録媒体。 - 【請求項7】 高屈折率層を構成する無機セラミック材
料が、ZnSとSiO 2 の混成膜であることを特徴とす
る請求項6記載の光記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6086086A JPH07296419A (ja) | 1994-04-25 | 1994-04-25 | 光記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6086086A JPH07296419A (ja) | 1994-04-25 | 1994-04-25 | 光記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07296419A true JPH07296419A (ja) | 1995-11-10 |
Family
ID=13876905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6086086A Withdrawn JPH07296419A (ja) | 1994-04-25 | 1994-04-25 | 光記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07296419A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7081328B2 (en) | 2000-03-29 | 2006-07-25 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Optical disk having super-resolution film |
-
1994
- 1994-04-25 JP JP6086086A patent/JPH07296419A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7081328B2 (en) | 2000-03-29 | 2006-07-25 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Optical disk having super-resolution film |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010703 |