JPH06243508A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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Publication number
JPH06243508A
JPH06243508A JP50A JP2680593A JPH06243508A JP H06243508 A JPH06243508 A JP H06243508A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 2680593 A JP2680593 A JP 2680593A JP H06243508 A JPH06243508 A JP H06243508A
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JP
Japan
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recording medium
optical recording
light
absorbing dye
dye
Prior art date
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Application number
JP50A
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English (en)
Inventor
Nobutoshi Asai
伸利 浅井
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光記録媒体の記録密度を向上する。 【構成】 記録パターンの形成された透明基板1上の記
録パターン形成面上に少なくとも可飽和吸収色素を含有
する可飽和吸収色素含有層2を設け、該可飽和吸収色素
の再生光の波長における分子吸光係数εを104 ≦εと
し、緩和時間τを1ns≦τ≦100nsとする。ま
た、上記可飽和吸収色素含有層2上に空気界面における
反射率が70%以上の反射膜3を設けても良い。さらに
は、可飽和吸収色素含有層の厚さを再生光の光強度に対
して干渉による反射光強度が極小となるようにしても良
く、可飽和吸収色素をナフタロシアニン系色素としても
良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、予め透明基板上に記録
された情報信号に対応する凹凸や光学特性の変化による
記録パターンを、基板側から再生光を照射して再生光ビ
ームの反射の変化で検出して信号を再生するための光記
録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録の分野においては光学情
報記録方式に関する研究が各所で進められている。この
光学情報記録方式は、非接触で記録・再生が行えるこ
と、磁気記録方式に比べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型,追記型,書換可能型のそれ
ぞれのメモリー形態に対応できる等の数々の利点を有
し、安価な大容量ファイルの実現を可能とする様式とし
て産業用から民生用まで幅広い用途の考えられているも
のである。
【0003】上述のメモリー形態のうち再生専用型の光
記録媒体としては、デジタルオーディオディスク(いわ
ゆる、コンパクトディスク),光学式ビデオディスク
(いわゆる、レーザーディスク),あるいはCD−RO
M等が既に広く普及している。これらの光記録媒体は、
一般に、情報信号に対応した凹凸や光学特性の変化によ
る記録パターンの形成された透明基板上にAl膜等の金
属薄膜よりなる反射膜を形成した構造とされており、透
明基板側よりレーザ光等の再生光を照射し、その反射光
の強弱を検出して情報の再生を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のような再生専用
型の光記録媒体においては、VTRのデジタル化,高精
細度テレビジョン(HDTV)等に対応するために記録
密度の更なる向上が求められている。また、操作上の都
合から光記録媒体のサイズの小型化が求められており、
このことからも記録密度の更なる向上が求められてい
る。
【0005】このような光記録媒体の記録密度を向上さ
せる方法として光記録媒体に形成される情報に応じた記
録パターンを微細化することが考えられるが、記録パタ
ーンをあまり微細化すると、これを再生する再生光のス
ポット径に回折限界があるため該記録パターンを再生で
きなくなってしまう。
【0006】そこで、再生光の短波長化,信号コードの
圧縮化,光学系の高NA化等の手段が検討されており、
その中でも超解像は有力な手段として注目されている。
【0007】上記超解像とは、物点位置に照射光の回折
限界よりも小さなアパーチャーを設けることにより、照
射光のスポット径を回折限界よりも小さくして解像度を
向上させることを原理とするものである。(参考文献:
Charles W.McCutchen,“Supe
rresolution in Microscopy
and the Abbe Resolution
Limit,”J.of Optical Socie
ty of America,57(10),1190
(1967).Tony Wilon and Col
in Sheppard,“Theory and P
ractice of Scanning Optic
al Microscopy”,Academic P
ress(London),1984)
【0008】このような超解像を光記録媒体に応用する
には、再生光の光記録媒体上での移動に伴ってそのアパ
ーチャーが移動する必要がある。そこで、特開平2−9
6926に示されるように反射膜に光応答性の材料を使
用する方法が提案されている。上記発明中においては、
反射膜に光応答性の材料を使用することによって反射膜
内に再生光の回折限界よりも小さなアパーチャーを形成
させ、反射膜によって反射される反射光のスポット径を
小さくしてその解像度を向上させることが提案されてお
り、光応答性の材料としては再生光によって直接的に光
学特性が変化する非線形光学材料、或いは再生光の吸収
による熱発生により光学特性の変化する相変化材料等が
挙げられている。ところが、上記発明中にはこれに適す
る具体的な材料が例示されておらず、その具現性は低い
ものである。またこの特許に先立ち、特開平1−143
041号公報,特開平1−143042号公報において
は、光磁気記録再生方式において磁気カー効果が現れる
領域を熱的に再生光のスポット径よりも狭くして超解像
効果を発現させ、高密度記録再生を達成したことが報告
されている。
【0009】そこで、本発明は再生光の回折限界よりも
微細化された記録パターンによる高記録密度の情報を超
解像によって再生することを可能とするための光記録媒
体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等が鋭意検討した結果、光応答性の材料と
して可飽和吸収色素を用い、該可飽和吸収色素の光照射
時における吸収飽和現象により超解像現象を実現できる
ことを見出した。
【0011】すなわち、本発明は、透明基板上に情報信
号に対応して凹凸や光学特性の変化として記録された記
録パターンを、透明基板側から垂直入射し透明基板に対
して相対的に移動走査する再生光の反射の変化で検出
し、信号を再生するための光記録媒体において、記録パ
ターン上に少なくとも可飽和吸収色素を含有する層を一
層有し、且つ前記可飽和吸収色素の再生光の波長におけ
る分子吸光係数εが10 4 ≦ε であり、緩和時間τが
1ns≦τ≦100nsであることを特徴とするもので
ある。
【0012】また本発明は、このような光記録媒体にお
いて、透明基板,可飽和吸収色素含有層及び空気界面に
おける反射率が70%以上の反射膜を順次設けても良
く、さらに可飽和吸収色素含有層の厚さを再生光の光強
度に対して干渉による反射光強度を略極小とする厚さと
してもよい。
【0013】さらにまた、本発明の光記録媒体において
は、可飽和吸収色素をナフタロシアニン系色素としても
良い。
【0014】本発明の光記録媒体においては、可飽和吸
収色素含有層に再生光を照射して該可飽和吸収色素含有
層の極小部分の複素屈折率を変化させることにより再生
光の回折限界よりも小さいアパーチャーを形成して、回
折限界よりも小さいスポット径を有する反射光を得て、
超解像現象を実現する。この際、可飽和吸収色素含有層
中の可飽和吸収色素は再生光の吸収により基底状態から
複素屈折率の変化した励起状態となり、アパーチャーを
形成し、緩和時間τを経て基底状態に戻る。従って、用
いられる可飽和吸収色素の再生光の波長での分子吸光係
数εがε<10 4 であると、可飽和吸収色素含有層の厚
さを再生光の光強度に対して干渉による反射光強度を略
極小とする厚さとした場合に十分な感度が得られない。
また、可飽和吸収色素の再生光の波長での緩和時間τが
τ<1nsであると、アパーチャー形成時間が短く十分
な感度が得られず、100ns<τであるとアパーチャ
ー形成時間が長いためにアパーチャーの形状が再生光の
走査方向に長い楕円形となり、解像度を向上させること
ができない。なお、緩和時間τを1s〜10nsとする
ことで、より高い効果が得られる。
【0015】また、可飽和吸収色素としては、再生光と
してレーザ光を用いることが多いことから、レーザ波長
域(750〜810nm)に強い吸収を有するものが好
ましく、さらには熱的,光化学的に安定なものが好まし
い。このような可飽和吸収色素としては、シアニン系,
フタロシアニン系,ナフタロシアニン系が挙げられ、例
えば、EXCITON社製(アメリカ)のDTTC,H
ITC,IR−125,IR−140,IR−144等
が挙げられる。特にナフタロシアニン系色素が大きな分
子吸光係数,高い光学安定性を有するという点から好ま
しい。
【0016】
【作用】本発明は、透明基板上に情報信号に対応して凹
凸や光学特性の変化として記録された記録パターンを、
透明基板側から垂直入射し透明基板に対して相対的に移
動走査する再生光の反射の変化で検出し、信号を再生す
るための光記録媒体において、記録パターン上に少なく
とも可飽和吸収色素を含有する層を一層有し、且つ前記
可飽和吸収色素の再生光の波長における分子吸光係数ε
が104 ≦ε であり、緩和時間τが1ns≦τ≦10
0nsであるため、再生光の回折限界よりも小さいスポ
ット径の反射光を取り出すことが可能であり、再生光の
回折限界よりも微細化された記録パターンを再生するこ
とが可能である。
【0017】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて実験結果に基づいて説明するが、実施例について述
べるに先立ち、可飽和吸収現象による超解像効果につい
て理論的説明をする。すなわち、透明基板上に可飽和吸
収色素含有層,反射膜が順次形成される光記録媒体にお
ける可飽和吸収色素含有層の可飽和吸収現象を単純な速
度方程式より求め、再生光の反射膜への透過率を算出
し、再生光が光記録媒体上を移動している状態での光記
録媒体としての反射率の分布,反射光のビームプロファ
イルを求めた。先ず、可飽和吸収色素含有層の可飽和吸
収の速度方程式であるが、可飽和吸収色素が基底状態か
ら光の吸収によって励起状態となり緩和時間τを経て基
底状態に戻るものとし、単位面積(cm-2)で考えて、
基底状態の分子数Gの変化は、全分子数N,吸収率A,
再生光強度I,再生光波長λ,光速c,プランク定数h
として数1のように表わされる。なお、上記可飽和色素
は励起状態では光を全く吸収しないものとしている。
【0018】
【数1】
【0019】この時、上記吸収率Aは、可飽和吸収色素
含有層の消衰係数k(複素屈折率虚数成分),膜の構造
や厚さ,光学定数によって決定される。なお、上記消衰
係数kは色素の分子数G,膜厚d,分子吸光係数εによ
って数2のように表される。(数2中NA はアボガドロ
数を表す。)
【0020】
【数2】
【0021】次に、上記吸収率Aと消衰係数kの関係を
多層膜反射率計算により求めた。すなわち、図1に示す
ような多層膜系に於いて、これらの膜の構造,厚さ,複
素屈折率により多層膜に対する正反射条件での計算式か
ら求めた。上記多層膜に於いて、各層の膜厚をdj ,複
素屈折率をnc j (=nj −ikj )とした場合、反射
率R,透過率T,吸収率Aはそれぞれ数3,数4,数5
のように表される。
【0022】
【数3】
【0023】
【数4】
【0024】
【数5】
【0025】この時、a11,a12,a21,a22
j -1,sj ,δj は、数6,数7,数8,数9のよう
に表される。この時、a11,a12,a21,a22は、この
多層膜系の伝搬マトリクスの各成分、tj はjとj+1
番目の層間の界面での透過係数、s j は同界面での(反
射係数/透過係数)、δj はj層の前後での光の位相ず
れを示す。
【0026】
【数6】
【0027】
【数7】
【0028】
【数8】
【0029】
【数9】
【0030】このようにして吸収率Aと消衰係数kの関
係を求めた。なお、可飽和吸収色素含有層内の基底状態
の可飽和吸収色素の分子数が変われば、Kramers
−Kronigの関係で複素屈折率の虚部だけでなく実
部も変化するが、色素が希薄に分散されたものとして、
今回の計算では実部屈折率の変化は無視した。
【0031】そこで、上述のような計算式を用いて実際
の光記録媒体の反射率分布及び反射光のビームプロファ
イルを求めた。光記録媒体としては、図2に示されるよ
うにガラスよりなる透明基板1上に可飽和吸収色素とバ
インダーよりなるよりなる可飽和吸収色素含有層2が形
成され、その上にアルミニウムを蒸着してなる反射膜3
の形成されたものを想定した。透明基板及び反射膜の複
素屈折率をそれぞれ1.5−i0,1.9−i7と想定
した。また、可飽和色素含有層は、初期状態(再生光の
出力が0)の時に反射率が0となる、或いは若干の出力
の再生光が照射された状態で再生光の光強度に対して干
渉による反射光強度を略極小とする厚さ、つまり可飽和
吸収色素含有層/透明基板界面からの反射光と可飽和吸
収色素含有層/反射膜界面からの反射光の位相が180
°ずれたものとなる厚さ、いわゆる無反射条件を満たす
ものとし、複素屈折率を1.7−i0.5とし、膜厚を
1nmと想定した。
【0032】上記のような光記録媒体において、可飽和
吸収色素の分子吸光係数εを5×105 、緩和時間τを
5ns、光記録媒体の回転線速度vを1.2m/s、再
生光のスポット径を2μm、再生光としてレーザ光を想
定してその波長を780nm,その出力を0.6mWと
した場合の計算結果を図3に示す。この光記録媒体の初
期反射率は1.4%であったが、上記のような再生光を
照射すると再生光のスポット中央においては図中実線で
示されるような反射率が10%にまで上昇することがわ
かった。また、図中点線で示される反射光のプロファイ
ル、すなわち上記光記録媒体における再生光の反射膜へ
の透過率は、図中一点鎖線で示される再生光のプロファ
イルと同様に図中矢印Mで示される光記録媒体走行方向
に対して前後対称な形状となっている。
【0033】次に、光記録媒体の回転線速度vを30m
/sとした場合の結果を図4に示すが、これも図3の結
果と同様に、図中点線で示される反射光のプロファイル
は、図中一点鎖線で示される再生光のプロファイルと同
様に図中矢印Mで示される光記録媒体走行方向に対して
前後対称な形状となっている。なお、図中一点鎖線で示
される再生光のプロファイルと反射光のプロファイルの
ズレは、時間として2ns、長さとして0.06μmで
ある。よって、上記のような光記録媒体においては、該
光記録媒体の回転線速度が可飽和吸収色素含有層に形成
されるアパーチャーの形状に及ぼす影響は小さく、反射
率,反射光のプロファイルに及ぼす影響は小さいことが
わかった。
【0034】また、緩和時間τを100nsとした場合
の結果を図5に示す。図中点線で示される反射光のプロ
ファイルが図中矢印Mで示される光記録媒体走行方向に
対して後方に15ns程度ずれる。このずれの量はほぼ
緩和時間τに比例して増加する。従って、緩和時間τが
反射率,反射光のプロファイルに大きな影響を及ぼすこ
とがわかった。また、図中で示すように、センターから
ずれ前後でビーム形状が非対称になることは再生信号に
ジッターが増え、エラーレートの上昇を引き起こす。
【0035】次いで、再生光の出力を変化させて計算を
行い、再生光出力と反射光スポット径,再生光のスポッ
ト中央における反射率の関係を調査した。結果を図6に
示す。なお、反射光スポット径は再生光スポット径に対
する割合(反射光スポット径/再生光スポット径)で示
す。図6に示されるように再生光出力を上昇させるにつ
れて図中○で示される反射率は上昇し、且つ図中●で示
される反射光スポット径もサチュレーションにより大き
くなることがわかった。
【0036】再生光のスポット中央における反射率と反
射光スポット径の関係を図7に示すが、図7の結果から
反射光スポット径を再生光スポット径の50%程度とす
るためには、すなわち再生光の回折限界の1/2のスポ
ット径を有する反射光を得るには、再生光のスポット中
央における反射率を10〜15%とすることが好ましい
ことがわかった。
【0037】これら理論的解析結果は、色素の物性上、
膜の層構成が理想的な場合における結果である。この理
想条件は材料,作製条件の確立により達成できると思わ
れるが、ここでは実際の光磁気記録媒体における超解像
効果に不可欠な現象である再生光出力に対する反射率の
変化を実験例1で、理想条件とはずれているが、明らか
に超解像効果が発現し、信号が検出された実験を実験例
2で示す。
【0038】実験例 1 本実験例においては、実際に光記録媒体を製造し、該光
記録媒体に再生光を照射した場合の反射率の変化の様子
を調査した。先ず、可飽和吸収色素含有層の複素屈折率
の測定を行った。可飽和吸収色素として化1に示される
ようなビス(トリ−n−ヘキシルシロキシ)ケイ素ナフ
タロシアニン(以後、SINCと称する。)を用い、バ
インダーとして分子量40万のポリメチルメタクリレー
ト(以後、PMMAと称する。)を用い、これらをクロ
ロホルムに溶解させ、透明基板であるガラス基板上にス
ピンコート法によって塗布し、膜厚を100〜200n
mまで変化させて可飽和吸収色素含有層を形成した。な
お、SINCとPMMAとクロロホルムの混合比(重量
比)は、2:15:500であり、これらの混合の際、
PMMAは数時間にわたる攪拌と加熱を行い、SICN
は超音波洗浄器による攪拌を行って完全に溶解させた。
【0039】
【化1】
【0040】このようにして得られた可飽和吸収色素含
有層の透過率,反射率の測定を行った。結果を図8中に
示す。なお、図中○は膜厚170nmの該可飽和吸収色
素含有層の透過率、図中●は反射率、図中点線及び実線
は複素屈折率1.7−i0.3である媒体の透過率,反
射率を示す。これらの結果を見てわかるように、図中
○,●で示される実測された結果と図中実線,点線で示
される複素屈折率1.7−i0.3である媒体の透過
率,反射率はよく一致しており、実測された可飽和吸収
色素含有層の複素屈折率は、1.7−i0.3であると
判断される。
【0041】次に、可飽和吸収色素含有層の膜厚が17
0nmである透明基板を用いて光記録媒体の作製を行っ
た。すなわち、透明基板上に形成された可飽和吸収色素
層上にアルミニウムの蒸着膜よりなる反射膜を形成し
た。この際、蒸着装置として日電アネルバ社製のEVD
−500Aを用い、真空度3×10-4Pa、蒸着レート
2nm/s程度の条件で極一般的な方法で蒸着を行っ
た。膜厚は400nmとし、これは水晶発振の膜厚計に
て測定,確認を行った。
【0042】そして、図9に示すような光学系により上
記光記録媒体の反射率の測定を行った。上記光学系は、
再生光源である半導体レーザ(LD)4、再生光と反射
光を分割する偏光ビームスプリッタ(PBS)5、1/
4波長板(Qup)6、フォーカスレンズ7によって構
成される。半導体レーザ(LD)4より照射される図中
矢印Lで示される再生光は、偏光ビームスプリッタ(P
BS)5,1/4波長板(Qup)6,フォーカスレン
ズ7を透過して光記録媒体8に照射される。光記録媒体
8に照射されて再生光は図中矢印Rで示される反射光と
して、フォーカスレンズ7,1/4波長板(Qup)6
を透過し、偏光ビームスプリッタ(PBS)5により再
生光Lより分割されて検出される。なお、光記録媒体8
は図示しない回転円盤上に載置され、回転可能となされ
ている。この時の光記録媒体8の回転線速度を1.5〜
4.5m/sとし、再生光の波長をレーザ波長域である
781nm、光記録媒体に照射する際の再生光の出力を
1〜10mW、フォーカスレンズ7のNAを0.4とし
て測定を行った。
【0043】その結果、再生光の出力が上昇するにつれ
て、再生光の焦点位置にあたる光記録媒体の極小部の反
射光強度が増加する現象が見られた。この際、再生光強
度には変化がなく、反射率が上昇していることが確認さ
れた。
【0044】図10に再生光の出力と再生光の焦点位置
での反射率の変化を示す。再生光の出力の変化によって
反射率が変化していることが確認された。また、再生光
の出力が0〜10mWに変化するに伴い、反射率は10
%から20%へと変化している。これは可飽和吸収色素
含有層の可飽和吸収の効果によるものと思われる。
【0045】また、このような光記録媒体の可飽和吸収
色素含有層の消衰係数を変化させた場合の反射率の変化
を実測により求めた結果を図11に示す。本実験例の光
記録媒体においては、可飽和吸収色素含有層の消衰係数
kが0.3であることが確認されており、図11の結果
から該光記録媒体においては、再生光の照射によって消
衰係数が0.2に下がったことにより反射率が10%か
ら20%に向上したものと思われる。よって、上記のよ
うな光記録媒体において発生した反射率の変化は、可飽
和吸収色素含有層の可飽和吸収の効果により該可飽和吸
収色素含有層の複素屈折率が変化したために起きたもの
と思われる。
【0046】実験例 2 本実験例においては、実際の光記録媒体に再生光の回折
限度以下の微細な記録パターンを形成し、これを超解像
によって再生する実験を行った。先ず、試料の作製を行
った。通常の光記録媒体においては、1μm/bitの
周期で透明基板上に記録パターンが形成されているが、
本実験例の光記録媒体においては超解像用として0.3
μm/bit、すなわち0.6μmの周期で透明基板
(直径120mmのガラス2Pディスク基板)上に記録
パターンを形成し、この上に可飽和吸収色素含有層,反
射膜を順次形成した。
【0047】上記可飽和吸収色素含有層は、可飽和吸収
色素として実験例2と同様にSINCを用い、バインダ
ーとして実験例2と同様にPMMAを用い、溶剤として
シクロヘキサノンを用いてスピンコート法により透明基
板上に形成した。なお、これらを混合する際には、PM
MA1.31gとシクロヘキサノン38.7gを加熱攪
拌混合した後、SINCを0.262g添加して超音波
洗浄器による分散加熱混合を行った。すなわち、SIN
CとPMMAの重量比は1:5となる。スピンコート法
により透明基板上に塗布する際には、ミカサ社製のスピ
ンコーターを用いて、最大回転数2000〜2400r
pmの回転数にて塗布を行った。その後、溶媒を乾燥さ
せるために雰囲気温度80℃の真空中に2時間放置し
た。
【0048】このようにして得られた可飽和吸収色素含
有層の膜厚は150nm程度であった。また、この可飽
和吸収色素含有層の形成された基板の透過スペクトルを
図12に示す。図を見てわかるように、照射光の波長が
レーザ波長域の780nmである時の透過率は30%で
あった。
【0049】また、上記のような可飽和吸収色素含有層
を平坦なガラス基板上に形成した場合の該可飽和吸収色
素含有層の膜厚と透過率及び反射率の関係を図13に示
すが、図中○は該可飽和吸収色素含有層の透過率、図中
●は反射率、図中点線及び実線は複素屈折率1.7−i
0.45である媒体の透過率,反射率を示す。これらの
結果を見てわかるように、図中○,●で示される実測さ
れた結果と図中点線,実線で示される複素屈折率1.7
−i0.45である媒体の透過率,反射率はよく一致し
ており、実測された可飽和吸収色素含有層の複素屈折率
は、1.7−i0.45であると判断される。
【0050】次いで、超解像用記録パターンの形成され
た透明基板上に形成される膜厚150nmの可飽和吸収
色素含有層上に反射膜としてAu薄膜を真空蒸着法によ
り形成した。真空蒸着器としては、昭和真空社製の真空
蒸着器を用い、真空度3×10-4Pa、蒸着レート0.
4nm/sとし、極一般的な方法により蒸着を行った。
なお、反射膜の厚さは80nmであった。
【0051】次に、このようにして作製された光記録媒
体の信号再生を行った。前述のように本実験例の光記録
媒体においては、0.3μm/bitの信号が超解像用
記録パターンとして形成されている。この記録パターン
は再生光の回折限界よりも微細な信号であるため、超解
像現象が発生しないと再生することが出来ない。
【0052】そこで、光記録媒体の回転線速度を3.7
m/sとし、再生光の波長をレーザ波長域の780nm
とし、フォーカスレンズのNAを0.53として再生光
の出力を1mW〜10mWまで変化させて記録パターン
の再生を行った。この光学系のModulation
Transfer Function(MTF)のカッ
トオフ空間周期(2NA/λ)は0.74μmであり、
0.3μm/bit、すなわち0.6μm周期の信号は
通常では読み出せない。その結果、再生光の出力が1m
Wの時に、若干の再生信号が得られ、再生光の出力が
2.5mWである時には、図14に示すように、周波数
6MHzの信号がCNR=19.4dBで得られた。こ
の後、光記録媒体の回転線速度を10m/sとして同様
に再生を行ってみたが、再生光の出力が4mWである時
に、周波数6MHzの信号がCNR=18dBで得られ
た。上記のような信号再生実験は1000回以上の再現
性があり、本実験例の光記録媒体は非常に安定したもの
であることがわかった。
【0053】
【発明の効果】本発明は、透明基板上に情報信号に対応
して凹凸や光学特性の変化として記録された記録パター
ンを、透明基板側から垂直入射し透明基板に対して相対
的に移動走査する再生光の反射の変化で検出し、信号を
再生するための光記録媒体において、記録パターン上に
少なくとも可飽和吸収色素を含有する層を一層有し、且
つ前記可飽和吸収色素の再生光の波長での分子吸光係数
εが104 ≦ε であり、緩和時間τが1ns≦τ≦1
00nsであるため、再生光の回折限界よりも小さいス
ポット径の再生光を取り出すことが可能であり、微細化
された記録パターンを再生することが可能であり、高密
度記録化に十分対応することが可能である。
【0054】また、本発明は再生光学系の大幅な変更、
情報記録方式の大幅な変更を行うことなく、記録密度を
向上させることが可能であり、従来の光記録媒体の約4
倍程度の記録密度を達成することが可能である。さら
に、再生光学系や情報記録方式の変更により実現される
高密度記録化技術との併用によりさらに記録密度を大幅
に向上させることが可能となり、その工業的価値は非常
に高い。なお、本発明は、記録可能な層を有する追記
型,書換可能型の光記録媒体にも適用可能であり、記録
密度の著しく向上された追記型,書換可能型の光記録媒
体の実現も可能である。
【0055】また本発明においては、このような光記録
媒体において、透明基板,可飽和吸収色素含有層及び空
気界面における反射率が70%以上の反射膜を順次設け
ても良く、さらに可飽和吸収色素含有層の厚さを再生光
の光強度に対して干渉による反射光強度を略極小とする
厚さとする、或いは可飽和吸収色素をナフタロシアニン
系色素とすることにより更に高い効果を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層膜系を示す模式図である。
【図2】光記録媒体の構造を示す断面図である。
【図3】計算によって求めた光記録媒体の反射率分布及
び再生光,反射光のビームプロファイルの一例を示す図
である。
【図4】計算によって求めた光記録媒体の反射率分布及
び再生光,反射光のビームプロファイルの他の例を示す
図である。
【図5】計算によって求めた光記録媒体の反射率分布及
び再生光,反射光のビームプロファイルのさらに他の例
を示す図である。
【図6】計算によって求めた再生光出力と反射光スポッ
ト径,再生光のスポット中央における反射率の関係を示
す図である。
【図7】再生光のスポット中央における反射率と反射光
スポット径の関係を示す図である。
【図8】実験例2で用いた可飽和吸収色素含有層の膜厚
に対する透過率及び反射率を示す図である。
【図9】光記録媒体の反射率の測定を行う光学系を示す
模式図である。
【図10】再生光の出力と再生光の焦点位置での反射率
の変化の関係を示す図である。
【図11】可飽和吸収色素含有層の消衰係数を変化させ
た場合の反射率の変化を示す図である。
【図12】実験例3で用いた可飽和吸収色素含有層の形
成された基板の透過スペクトルを示す図である。
【図13】実験例3で用いた可飽和吸収色素含有層の膜
厚と透過率及び反射率の関係を示す図である。
【図14】実験例3で用いた光記録媒体の再生信号を示
す図である。
【符号の説明】
1・・・・透明基板 2・・・・可飽和吸収色素含有層 3・・・・反射膜 4・・・・半導体レーザ(LD) 5・・・・偏光ビームスプリッタ(PBS) 6・・・・1/4波長板(Qup) 7・・・・フォーカスレンズ 8・・・・光記録媒体 L・・・・再生光 R・・・・反射光

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に情報信号に対応して凹凸や
    光学特性の変化として記録された記録パターンを、透明
    基板側から垂直入射し透明基板に対して相対的に移動走
    査する再生光の反射の変化で検出し、信号を再生するた
    めの光記録媒体において、 記録パターン上に少なくとも可飽和吸収色素を含有する
    層を一層有し、且つ該可飽和吸収色素の再生光の波長に
    おける分子吸光係数εが104 ≦ε であり、緩和時間
    τが1ns≦τ≦100nsであることを特徴とする光
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 透明基板,可飽和吸収色素含有層及び空
    気界面における反射率が70%以上の反射膜が順次設け
    られていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 可飽和吸収色素含有層の厚さが、再生光
    の光強度に対して干渉による反射光強度を略極小とする
    厚さであることを特徴とする請求項1記載の光記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 可飽和吸収色素がナフタロシアニン系色
    素であることを特徴とする請求項1,2または3記載の
    光記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7436755B2 (en) 2002-11-18 2008-10-14 Sharp Kabushiki Kaisha Optical information recording medium, recording and reproduction methods using the same, optical information recording device, and optical information reproduction device
US7556912B2 (en) 2003-06-06 2009-07-07 Sharp Kabushiki Kaisha Optical information recording medium, reproducting method using the same, and optical information processing device
US7682678B2 (en) 2003-06-06 2010-03-23 Sharp Kabushiki Kaisha Optical information recording medium, recording and readout methods using the same, optical information recording device, and optical information readout device

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Effective date: 20030430