JPH0729509A - 電子銃およびその製造方法 - Google Patents
電子銃およびその製造方法Info
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- JPH0729509A JPH0729509A JP16990693A JP16990693A JPH0729509A JP H0729509 A JPH0729509 A JP H0729509A JP 16990693 A JP16990693 A JP 16990693A JP 16990693 A JP16990693 A JP 16990693A JP H0729509 A JPH0729509 A JP H0729509A
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- electrode
- electron gun
- grid
- coating film
- electron
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Abstract
(57)【要約】
【構成】G2電極(72)の電子ビームの通過孔(7
7)の周囲の電極面に、Baを拡散吸収する金属材料の
超微粒子をノズルを介して吹き付けて金属被覆膜(7
8)を設けた構成。 【効果】グリッド電極の電子ビームの通過孔の周囲に、
陰極から飛散して来るBaを拡散吸収する金属被覆膜を
設けたことにより、グリッド電極のフィールドエミッシ
ョンの発生を抑制できるので、画面の不要な輝点の発生
を抑制でき、画質を向上できる。しかも、緻密で強固な
被覆膜を工業的に能率の良い方法で形成することができ
る。したがって、安価で信頼性の高い電子銃および電子
管を提供することができる。
7)の周囲の電極面に、Baを拡散吸収する金属材料の
超微粒子をノズルを介して吹き付けて金属被覆膜(7
8)を設けた構成。 【効果】グリッド電極の電子ビームの通過孔の周囲に、
陰極から飛散して来るBaを拡散吸収する金属被覆膜を
設けたことにより、グリッド電極のフィールドエミッシ
ョンの発生を抑制できるので、画面の不要な輝点の発生
を抑制でき、画質を向上できる。しかも、緻密で強固な
被覆膜を工業的に能率の良い方法で形成することができ
る。したがって、安価で信頼性の高い電子銃および電子
管を提供することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管(CRT)等
の電子管に備えられる電子銃およびその製造方法に係
り、特に、電子銃のグリッド電極からの不要な電子放出
(グリッドエミッション)を抑制して、画質や耐電圧性
能を改良するための技術に関する。
の電子管に備えられる電子銃およびその製造方法に係
り、特に、電子銃のグリッド電極からの不要な電子放出
(グリッドエミッション)を抑制して、画質や耐電圧性
能を改良するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カラー映像表示に用いる陰極線
管(以下カラー陰極線管という)は、映像スクリーンで
あるパネル部(フェースプレート)、電子銃を収容する
ネック部、およびパネル部とネック部を連結するファン
ネル部とから構成され、上記ファンネル部分には電子銃
から発射された電子ビームをパネル内面に塗布形成され
た蛍光面上を走査させる偏向装置が装着される。
管(以下カラー陰極線管という)は、映像スクリーンで
あるパネル部(フェースプレート)、電子銃を収容する
ネック部、およびパネル部とネック部を連結するファン
ネル部とから構成され、上記ファンネル部分には電子銃
から発射された電子ビームをパネル内面に塗布形成され
た蛍光面上を走査させる偏向装置が装着される。
【0003】上記ネック部内に収容される電子銃は、カ
ソード電極(陰極)、制御電極、集束電極、加速電極等
の各種の電極を備え、カソード電極からの電子ビームを
制御電極に印加される信号で変調し、集束電極、加速電
極を通して所要の断面形状とエネルギーを付与して、上
記蛍光面に射突させる。電子ビームは、電子銃から蛍光
面に達する途上において、ファンネル部に設けた前記偏
向装置により、水平方向、垂直方向の偏向を受けること
で、蛍光面上に映像を形成するものである(特開昭59
−215640号公報)。
ソード電極(陰極)、制御電極、集束電極、加速電極等
の各種の電極を備え、カソード電極からの電子ビームを
制御電極に印加される信号で変調し、集束電極、加速電
極を通して所要の断面形状とエネルギーを付与して、上
記蛍光面に射突させる。電子ビームは、電子銃から蛍光
面に達する途上において、ファンネル部に設けた前記偏
向装置により、水平方向、垂直方向の偏向を受けること
で、蛍光面上に映像を形成するものである(特開昭59
−215640号公報)。
【0004】受信管の実験例で示されるように、電子銃
を備える電子管においては、電子銃の陰極からBa(バ
リウム)が放出されてグリッド電極の電極面に付着し、
グリッド電極の電極面の仕事関数が低下してグリッドエ
ミッションが発生する。これを防止するために、グリッ
ド電極の電極表面を金めっき層で被覆し、この金めっき
層によりBaを拡散吸収することによって、グリッドエ
ミッションを抑制することが知られている。このような
技術は、例えばビー オー ベイカー(B. O. Baker)
著、ブリティッシュ ジャーナル アプライド フィジッ
クス(British Journal Applied Physics)4巻 1953年
10月 311〜315頁「ゴールド アズ ア グリッド エミッ
ション インヒビタ イン ザ プレズンス オブ ア オク
サイド コウティド カソード(Gold as a grid emissio
n inhibitor in the presence of aoxide-coated catho
de)」に記載されている。
を備える電子管においては、電子銃の陰極からBa(バ
リウム)が放出されてグリッド電極の電極面に付着し、
グリッド電極の電極面の仕事関数が低下してグリッドエ
ミッションが発生する。これを防止するために、グリッ
ド電極の電極表面を金めっき層で被覆し、この金めっき
層によりBaを拡散吸収することによって、グリッドエ
ミッションを抑制することが知られている。このような
技術は、例えばビー オー ベイカー(B. O. Baker)
著、ブリティッシュ ジャーナル アプライド フィジッ
クス(British Journal Applied Physics)4巻 1953年
10月 311〜315頁「ゴールド アズ ア グリッド エミッ
ション インヒビタ イン ザ プレズンス オブ ア オク
サイド コウティド カソード(Gold as a grid emissio
n inhibitor in the presence of aoxide-coated catho
de)」に記載されている。
【0005】一方、陰極線管の電子銃においては、陰極
から放出される電子ビームを制御、集束する複数個のグ
リッド電極があり、例えば陰極に隣接するG1電極か
ら、G2電極、動作電圧である高電圧が印加されるG3
〜G5電極まで5個のグリッド電極を並べて配列し、ビ
ードガラスで固定した電子銃が知られている。このよう
な電子銃において、高電圧が印加されるG3〜G5電極
と低電位のG1、G2電極との境界となるG2−G3電
極間はその電界強度が最も高くなる。このような電界強
度が高い領域において、G2電極のG3電極側の電極面
において、G2電極のほぼ中央部に位置する電子ビーム
の通過孔の周縁部にごみ等の異物、あるいは該電極のプ
レス加工時に発生する傷やばりのような突起物が存在す
ると、その部分で局部的に電界集中が生じ、動作電圧以
下の印加電圧によってもその部分からいわゆるフィール
ドエミッションが発生する。また、陰極あるいは陰極線
管内の真空度を向上させるためのゲッターから蒸発する
BaがG2電極の電子ビームの通過孔の周縁部に付着す
るので、本来は問題にならない突起物でも、その部分の
仕事関数が低下してフィールドエミッションが発生す
る。
から放出される電子ビームを制御、集束する複数個のグ
リッド電極があり、例えば陰極に隣接するG1電極か
ら、G2電極、動作電圧である高電圧が印加されるG3
〜G5電極まで5個のグリッド電極を並べて配列し、ビ
ードガラスで固定した電子銃が知られている。このよう
な電子銃において、高電圧が印加されるG3〜G5電極
と低電位のG1、G2電極との境界となるG2−G3電
極間はその電界強度が最も高くなる。このような電界強
度が高い領域において、G2電極のG3電極側の電極面
において、G2電極のほぼ中央部に位置する電子ビーム
の通過孔の周縁部にごみ等の異物、あるいは該電極のプ
レス加工時に発生する傷やばりのような突起物が存在す
ると、その部分で局部的に電界集中が生じ、動作電圧以
下の印加電圧によってもその部分からいわゆるフィール
ドエミッションが発生する。また、陰極あるいは陰極線
管内の真空度を向上させるためのゲッターから蒸発する
BaがG2電極の電子ビームの通過孔の周縁部に付着す
るので、本来は問題にならない突起物でも、その部分の
仕事関数が低下してフィールドエミッションが発生す
る。
【0006】このようなフィールドエミッションは、陰
極線管の動作時の電子ビームに比べれば格段に小さな値
ではあるが、G2電極から生じたフィールドエミッショ
ンがG3〜G5電極を通過すると、陰極線管の蛍光面ま
で到達し、画面上に不要な輝点が現れてしまうという問
題がある。
極線管の動作時の電子ビームに比べれば格段に小さな値
ではあるが、G2電極から生じたフィールドエミッショ
ンがG3〜G5電極を通過すると、陰極線管の蛍光面ま
で到達し、画面上に不要な輝点が現れてしまうという問
題がある。
【0007】この問題を解決するために、前述のように
Baを拡散吸収する金などの被覆膜をG2電極面に設け
る方法がある。この被覆膜を設ける方法が特願平5−4
4882号に述べられている。ここには、G2電極の必
要な部分に金ペーストを印刷、または転写してから乾
燥、焼結する方法や、電界めっきや無電解めっきのめっ
きにより被覆膜を設ける方法が挙げられている。めっき
により被覆膜を形成する方法においては、被覆膜を形成
しない部分にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ
ーの技術を用いて設ける方法や、G2電極のプレス加工
前に、G2電極となる板材に部分めっきする方法が示さ
れている。
Baを拡散吸収する金などの被覆膜をG2電極面に設け
る方法がある。この被覆膜を設ける方法が特願平5−4
4882号に述べられている。ここには、G2電極の必
要な部分に金ペーストを印刷、または転写してから乾
燥、焼結する方法や、電界めっきや無電解めっきのめっ
きにより被覆膜を設ける方法が挙げられている。めっき
により被覆膜を形成する方法においては、被覆膜を形成
しない部分にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ
ーの技術を用いて設ける方法や、G2電極のプレス加工
前に、G2電極となる板材に部分めっきする方法が示さ
れている。
【0008】しかし、上記金ペーストを印刷、転写する
方法では、金ペーストに含まれるバインダーを加熱分解
する必要があり、このため生成される被覆膜の付着強度
が比較的弱くなるという問題がある。また、レジストを
用いてめっきする方法では、めっきした後、塗布形成し
たレジスト膜を除去する手間がかかるという問題があ
る。また、板材に部分めっきした後、プレス加工する方
法では、めっき後のプレス加工により、めっき膜にダメ
ージが与えられたり、めっき膜にダメージが生じるのを
避けるため、プレス加工後のタンブリング(ばり取り)
や加工歪を取る約1000℃のアニールなどの処理を行
なうことができない問題がある。したがって、このよう
な問題が生じないBa拡散吸収用の被覆膜の形成方法、
すなわち、付着強度が強く、レジストを用いず、また、
プレス加工やその後の処理が完了した電極に被覆膜を設
けることができる方法が望まれる。この観点から最適な
工法として、例えば特公平2−16379号公報や特公
平3−14512号公報に示される超微粒子の膜形成方
法がある。
方法では、金ペーストに含まれるバインダーを加熱分解
する必要があり、このため生成される被覆膜の付着強度
が比較的弱くなるという問題がある。また、レジストを
用いてめっきする方法では、めっきした後、塗布形成し
たレジスト膜を除去する手間がかかるという問題があ
る。また、板材に部分めっきした後、プレス加工する方
法では、めっき後のプレス加工により、めっき膜にダメ
ージが与えられたり、めっき膜にダメージが生じるのを
避けるため、プレス加工後のタンブリング(ばり取り)
や加工歪を取る約1000℃のアニールなどの処理を行
なうことができない問題がある。したがって、このよう
な問題が生じないBa拡散吸収用の被覆膜の形成方法、
すなわち、付着強度が強く、レジストを用いず、また、
プレス加工やその後の処理が完了した電極に被覆膜を設
けることができる方法が望まれる。この観点から最適な
工法として、例えば特公平2−16379号公報や特公
平3−14512号公報に示される超微粒子の膜形成方
法がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、G2電
極からの望ましくないフィールドエミッションが発生す
る問題を鑑み、従来の技術では、G2電極に前記の異物
や突起物が生じないように、部品加工や組立時の環境ク
リーン化に気を配って対処している。しかし、特に、部
品加工において、微細な加工傷やばり等の突起物を完全
になくすことには限界があり、前述のように、陰極から
G2電極へのBaの付着が重なると、しばしばフィール
ドエミッション源が生成されてしまう。
極からの望ましくないフィールドエミッションが発生す
る問題を鑑み、従来の技術では、G2電極に前記の異物
や突起物が生じないように、部品加工や組立時の環境ク
リーン化に気を配って対処している。しかし、特に、部
品加工において、微細な加工傷やばり等の突起物を完全
になくすことには限界があり、前述のように、陰極から
G2電極へのBaの付着が重なると、しばしばフィール
ドエミッション源が生成されてしまう。
【0010】本発明の目的は、付着強度が強く高性能な
Ba拡散吸収用の金属被覆膜を有することにより、電極
面の仕事関数の低下を抑制して、フィールドエミッショ
ンを発生しにくくし、画面上に不要な輝点が現れるのを
抑制することにある。
Ba拡散吸収用の金属被覆膜を有することにより、電極
面の仕事関数の低下を抑制して、フィールドエミッショ
ンを発生しにくくし、画面上に不要な輝点が現れるのを
抑制することにある。
【0011】また本発明の他の目的は、付着強度が強く
高性能なBa拡散吸収用の金属被覆膜をグリッド電極の
必要部分に金属被覆膜を能率良く形成することにある。
高性能なBa拡散吸収用の金属被覆膜をグリッド電極の
必要部分に金属被覆膜を能率良く形成することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の電子銃は、陰極と、複数個のグリッド電
極から構成され、前記陰極から放出される電子ビームを
制御、集束するレンズ系とを含んで成る電子銃におい
て、少なくとも1個の前記グリッド電極の前記電子ビー
ムの通過孔の周囲の電極面に、バリウムを拡散吸収する
金属材料の超微粒子から成る金属被覆膜を設けたことを
特徴とする。
めに、本発明の電子銃は、陰極と、複数個のグリッド電
極から構成され、前記陰極から放出される電子ビームを
制御、集束するレンズ系とを含んで成る電子銃におい
て、少なくとも1個の前記グリッド電極の前記電子ビー
ムの通過孔の周囲の電極面に、バリウムを拡散吸収する
金属材料の超微粒子から成る金属被覆膜を設けたことを
特徴とする。
【0013】また、本発明の電子銃の製造方法は、少な
くとも1個の前記グリッド電極の前記電子ビームの通過
孔の周囲の電極面に、バリウムを拡散吸収する金属被覆
膜を設ける際、前記金属被覆膜生成用の金属材料の超微
粒子を生成し(あらかじめ生成しておいてもよい)、前
記超微粒子を前記通過孔の周囲の電極面に、ノズルを介
して吹き付けて設ける工程を含んで成ることを特徴とす
る。
くとも1個の前記グリッド電極の前記電子ビームの通過
孔の周囲の電極面に、バリウムを拡散吸収する金属被覆
膜を設ける際、前記金属被覆膜生成用の金属材料の超微
粒子を生成し(あらかじめ生成しておいてもよい)、前
記超微粒子を前記通過孔の周囲の電極面に、ノズルを介
して吹き付けて設ける工程を含んで成ることを特徴とす
る。
【0014】
【作用】本発明では、電子銃のグリッド電極の電子ビー
ムの通過孔の周囲の電極面にBa拡散吸収用の超微粒子
から成る高性能の金属被覆膜を設けたので、陰極から放
出されるBaがグリッド電極に付着して仕事関数が低下
するのを抑制でき、グリッド電極からフィールドエミッ
ションが発生するのを抑制できるので、電子銃の耐電圧
特性が向上し、画面上に不要な輝点が現れるのを抑制す
ることができる。しかも、Ba拡散吸収用の金属材料を
超微粒子の形にしてグリッド電極に吹き付けて成膜する
ので、バインダーの加熱分解やレジスト除去工程が不要
であり、緻密で強固な被覆膜を工業的に能率の良い方法
で形成することができる。また、プレス加工やその後の
タンブリング(ばり取り)や加工歪除去用のアニール等
の処理を行なった後に成膜するので、これらの工程や処
理により被覆膜にダメージが生じない。
ムの通過孔の周囲の電極面にBa拡散吸収用の超微粒子
から成る高性能の金属被覆膜を設けたので、陰極から放
出されるBaがグリッド電極に付着して仕事関数が低下
するのを抑制でき、グリッド電極からフィールドエミッ
ションが発生するのを抑制できるので、電子銃の耐電圧
特性が向上し、画面上に不要な輝点が現れるのを抑制す
ることができる。しかも、Ba拡散吸収用の金属材料を
超微粒子の形にしてグリッド電極に吹き付けて成膜する
ので、バインダーの加熱分解やレジスト除去工程が不要
であり、緻密で強固な被覆膜を工業的に能率の良い方法
で形成することができる。また、プレス加工やその後の
タンブリング(ばり取り)や加工歪除去用のアニール等
の処理を行なった後に成膜するので、これらの工程や処
理により被覆膜にダメージが生じない。
【0015】
【実施例】以下、本発明が適用可能な投射型ブラウン管
の陰極線管の電子銃について実施例によって具体的に説
明する。
の陰極線管の電子銃について実施例によって具体的に説
明する。
【0016】図2(a)は本発明の一実施例である投写
型ブラウン管に備えられる電子銃の一部断面側面図、図
2(b)は図2(a)に示したG2電極の断面図、図2
(c)は図2(a)の矢印A方向から見たG2電極の正
面図である。
型ブラウン管に備えられる電子銃の一部断面側面図、図
2(b)は図2(a)に示したG2電極の断面図、図2
(c)は図2(a)の矢印A方向から見たG2電極の正
面図である。
【0017】図2(a)において、11は電子銃、70
は陰極で、図示しないヒータを内蔵し、その表面にBa
などの酸化物を主成分とする粉体が塗布されたいわゆる
オキサイドカソードやW(タングステン)の粉体を焼結
したペレットにBaなどの酸化物を含浸させたいわゆる
含浸型カソードが一般に用いられる。71〜75は陰極
70から放出される電子ビームを制御、集束するグリッ
ド電極で、71はG1電極、72はG2電極、73はG
3電極、74はG4電極、75はG5電極である。陰極
70から電子ビームを引き出すG1電極71とG2電極
72によりプリフォーカス部が構成され、G3電極7
3、G4電極74、G5電極75によりメインレンズ部
が構成される。76はビードガラスで、所定間隔をもっ
て配列されたG1〜G5電極71〜75が2枚の板状の
ビードガラス76を介して固定されている。
は陰極で、図示しないヒータを内蔵し、その表面にBa
などの酸化物を主成分とする粉体が塗布されたいわゆる
オキサイドカソードやW(タングステン)の粉体を焼結
したペレットにBaなどの酸化物を含浸させたいわゆる
含浸型カソードが一般に用いられる。71〜75は陰極
70から放出される電子ビームを制御、集束するグリッ
ド電極で、71はG1電極、72はG2電極、73はG
3電極、74はG4電極、75はG5電極である。陰極
70から電子ビームを引き出すG1電極71とG2電極
72によりプリフォーカス部が構成され、G3電極7
3、G4電極74、G5電極75によりメインレンズ部
が構成される。76はビードガラスで、所定間隔をもっ
て配列されたG1〜G5電極71〜75が2枚の板状の
ビードガラス76を介して固定されている。
【0018】電子銃の動作時は、G5電極75に高電圧
を印加するが、G5電極75はG3電極73と図示しな
いリード端子を介して電気的に接続されていて、しか
も、G1電極71、G2電極72から成るプリフォーカ
ス部は低電圧であるので、G2電極72とG3電極73
との間が最も電界強度が高い部分となる。
を印加するが、G5電極75はG3電極73と図示しな
いリード端子を介して電気的に接続されていて、しか
も、G1電極71、G2電極72から成るプリフォーカ
ス部は低電圧であるので、G2電極72とG3電極73
との間が最も電界強度が高い部分となる。
【0019】図2(a)に示したG2電極72の拡大図
である図2(b)、(c)において、77は陰極(図2
(a)の70)から放出される電子ビームが通過するG
2電極72のほぼ中央部に位置する通過孔、78はG2
電極の通過孔77の周囲の電極面(G3電極73側の
面)に局部的に設けたBa拡散吸収用の金の被覆膜であ
る。
である図2(b)、(c)において、77は陰極(図2
(a)の70)から放出される電子ビームが通過するG
2電極72のほぼ中央部に位置する通過孔、78はG2
電極の通過孔77の周囲の電極面(G3電極73側の
面)に局部的に設けたBa拡散吸収用の金の被覆膜であ
る。
【0020】本実施例では、図2(b)、(c)に示し
たように、G2電極72のG3電極73側の電極面の通
過孔77の周囲にほぼ円環形(ドーナツ形)の金の被覆
膜78を設けた。なお、本発明者らは、G2電極72の
G3電極73側の電極面の通過孔77の周縁部につい
て、通過孔77の中心からの半径距離がどの程度の部分
までに存在するフィールドエミッション源が陰極線管の
蛍光面に到達するのか、軌道解析のシミュレーションを
行ない、画面上の輝点発生につながるフィールドエミッ
ション源の領域を調査した。その結果、G2電極72の
通過孔77の中心から該G2電極72に対向するG3電
極73の通過孔(図示省略)の大きさ(投写型ブラウン
管に備えられる電子銃の例では、G3電極73の通過孔
の直径はG2電極72の通過孔77の2〜3倍程度であ
る)に相当する領域以外からフィールドエミッションが
発生してもG2電極72の漏洩電流としては現れるが、
蛍光面に達しないことが分かった。したがって、本実施
例では、金の被覆膜78の外周の直径DはG3電極73
の通過孔の直径に、加工精度や組立精度を考慮して若干
のマージンを加えた寸法とした。例えば、G2電極72
の肉厚は0.4mm、通過孔77の直径は0.69m
m、金の被覆膜78の直径は2〜3mmである。
たように、G2電極72のG3電極73側の電極面の通
過孔77の周囲にほぼ円環形(ドーナツ形)の金の被覆
膜78を設けた。なお、本発明者らは、G2電極72の
G3電極73側の電極面の通過孔77の周縁部につい
て、通過孔77の中心からの半径距離がどの程度の部分
までに存在するフィールドエミッション源が陰極線管の
蛍光面に到達するのか、軌道解析のシミュレーションを
行ない、画面上の輝点発生につながるフィールドエミッ
ション源の領域を調査した。その結果、G2電極72の
通過孔77の中心から該G2電極72に対向するG3電
極73の通過孔(図示省略)の大きさ(投写型ブラウン
管に備えられる電子銃の例では、G3電極73の通過孔
の直径はG2電極72の通過孔77の2〜3倍程度であ
る)に相当する領域以外からフィールドエミッションが
発生してもG2電極72の漏洩電流としては現れるが、
蛍光面に達しないことが分かった。したがって、本実施
例では、金の被覆膜78の外周の直径DはG3電極73
の通過孔の直径に、加工精度や組立精度を考慮して若干
のマージンを加えた寸法とした。例えば、G2電極72
の肉厚は0.4mm、通過孔77の直径は0.69m
m、金の被覆膜78の直径は2〜3mmである。
【0021】次に、図2(b)、(c)に示したG2電
極72の金の被覆膜78の形成方法について説明する。
極72の金の被覆膜78の形成方法について説明する。
【0022】図1は本発明の一実施例の電子銃の製造方
法に用いる製造装置の構成を示す概略図である。
法に用いる製造装置の構成を示す概略図である。
【0023】図1において、20は金の超微粒子を生成
する金属蒸気生成用容器、21は真空排気するための排
気管、22は不活性ガスの導入管、23は金から成る蒸
発原料、24はヒータ、25は金の超微粒子、26は金
の超微粒子の搬送管、27は調節弁、28は蒸着処理容
器、29は真空排気するための排気管、30は不活性ガ
スの導入管、72は金の被覆膜を設ける試料であるG2
電極、31はヒータ、32はノズルである。
する金属蒸気生成用容器、21は真空排気するための排
気管、22は不活性ガスの導入管、23は金から成る蒸
発原料、24はヒータ、25は金の超微粒子、26は金
の超微粒子の搬送管、27は調節弁、28は蒸着処理容
器、29は真空排気するための排気管、30は不活性ガ
スの導入管、72は金の被覆膜を設ける試料であるG2
電極、31はヒータ、32はノズルである。
【0024】まず、金属蒸気生成用容器20を排気管2
1を介して真空排気した後、導入管22からAr、He
などの不活性ガスを導入し、金から成る蒸発原料23を
加熱、蒸発させるガス中蒸発法により金の超微粒子25
を生成する。この超微粒子25は、中間に調節弁27を
有する搬送管26を通って、蒸着処理室28に導かれ、
搬送管26の先端に設けたノズル32から(金属蒸気生
成用容器20内と蒸着処理室28内との)ガス圧の差に
より高速で噴射されてG2電極72の所定の部分、すな
わち、図2(b)、(c)に示したような電子ビームの
通過孔77の周囲に金の被覆膜78を設けることができ
る。
1を介して真空排気した後、導入管22からAr、He
などの不活性ガスを導入し、金から成る蒸発原料23を
加熱、蒸発させるガス中蒸発法により金の超微粒子25
を生成する。この超微粒子25は、中間に調節弁27を
有する搬送管26を通って、蒸着処理室28に導かれ、
搬送管26の先端に設けたノズル32から(金属蒸気生
成用容器20内と蒸着処理室28内との)ガス圧の差に
より高速で噴射されてG2電極72の所定の部分、すな
わち、図2(b)、(c)に示したような電子ビームの
通過孔77の周囲に金の被覆膜78を設けることができ
る。
【0025】なお、蒸着処理容器28内のG2電極72
の下部に配置したヒータ31は被覆膜の付着強度を高め
るためのものであり、約250℃程度に加熱する。ま
た、金属蒸気生成用容器20内の蒸発原料23の下部に
配置したヒータ24は、便宜的に電気抵抗加熱によるも
のを示したが、高周波誘導加熱やアーク放電による加熱
など金属蒸気を生成できるものであれば特に限定されな
い。
の下部に配置したヒータ31は被覆膜の付着強度を高め
るためのものであり、約250℃程度に加熱する。ま
た、金属蒸気生成用容器20内の蒸発原料23の下部に
配置したヒータ24は、便宜的に電気抵抗加熱によるも
のを示したが、高周波誘導加熱やアーク放電による加熱
など金属蒸気を生成できるものであれば特に限定されな
い。
【0026】このような被覆膜の形成方法では、金属蒸
気生成用容器20内と蒸着処理容器28内との圧力差を
利用して、微小な開口を有するノズル32から超微粒子
25を高速で噴射させることにより、付着強度が強固な
被覆膜78(図2(b)、(c))を設けることができ
る。当然ながら、蒸着処理容器28内の圧力の方が金属
蒸気生成用容器20内の圧力より低圧である。また、蒸
着処理容器28では、真空排気された状態、または一度
真空排気した後、Ar、Heなどの不活性ガスにて置換
した状態で被覆膜78を生成するので、被覆膜78の酸
化を防止することができる。
気生成用容器20内と蒸着処理容器28内との圧力差を
利用して、微小な開口を有するノズル32から超微粒子
25を高速で噴射させることにより、付着強度が強固な
被覆膜78(図2(b)、(c))を設けることができ
る。当然ながら、蒸着処理容器28内の圧力の方が金属
蒸気生成用容器20内の圧力より低圧である。また、蒸
着処理容器28では、真空排気された状態、または一度
真空排気した後、Ar、Heなどの不活性ガスにて置換
した状態で被覆膜78を生成するので、被覆膜78の酸
化を防止することができる。
【0027】また、図1に示した製造装置では、金属蒸
気生成用容器20と蒸着処理容器28とが搬送管26に
より連結されており、金属蒸気生成用容器20内で生成
した直後の超微粒子25を即座に利用してG2電極72
に被覆膜78を形成することになるが、あらかじめ別途
に生成しておいた超微粒子を利用してもよい。しかし、
前者の方が緻密で滑らかな被覆膜78を形成することが
できる。
気生成用容器20と蒸着処理容器28とが搬送管26に
より連結されており、金属蒸気生成用容器20内で生成
した直後の超微粒子25を即座に利用してG2電極72
に被覆膜78を形成することになるが、あらかじめ別途
に生成しておいた超微粒子を利用してもよい。しかし、
前者の方が緻密で滑らかな被覆膜78を形成することが
できる。
【0028】このように本実施例では、陰極線管の電子
銃11のG2電極72のG3電極側の電極面の電子ビー
ムの通過孔77の周囲に金の被覆膜78を設けたので、
この被覆膜78により陰極70等から放出され、G2電
極72に付着するBaを拡散吸収し、BaがG2電極7
2の電極面に付着して仕事関数が低下するのを抑制する
ことができる。したがって、G2電極72からフィール
ドエミッションが発生しにくく、電子銃の耐電圧特性が
向上し、画面上に不要な輝点が現れるのを抑制すること
ができる。しかも、金(銀や白金、これらの合金でもよ
い)等の高価な貴金属膜を必要な部分にのみ、該貴金属
を一度超微粒子の形にして高速ジェット流としてグリッ
ド電極に叩き付けて成膜するので、緻密で強固な被覆膜
を工業的に能率の良い方法で形成することができる。す
なわち、前述の従来の金ペーストを印刷、転写する方法
のように、成膜後、金ペーストに含まれるバインダーを
加熱分解する必要がなく、したがって、生成される被覆
膜の付着強度が強い。また、レジストを用いてめっきす
る方法のように、めっきした後、レジスト膜を除去する
手間がいらない。また、板材に部分めっきした後、プレ
ス加工する方法のように、プレス加工やその後のタンブ
リング(ばり取り)や加工歪を取る約1000℃のアニ
ールなどの処理により被覆膜にダメージが与えられたり
することがない。したがって、グリッド電極の通過孔の
周縁部にごみ等の異物、加工傷やばりのような突起物が
できないように部品加工・処理や、加工・組立時の環境
クリーン化に特別に気を配らなくて済む。また、本発明
による上記の成膜方法は、いわゆる乾式工法であり、成
膜後に熱処理を加えてガス出しするような加工が不要
で、成膜後の膜をそのまま使用することができる。これ
らの結果、安価で信頼性の高い電子銃を提供することが
できる。
銃11のG2電極72のG3電極側の電極面の電子ビー
ムの通過孔77の周囲に金の被覆膜78を設けたので、
この被覆膜78により陰極70等から放出され、G2電
極72に付着するBaを拡散吸収し、BaがG2電極7
2の電極面に付着して仕事関数が低下するのを抑制する
ことができる。したがって、G2電極72からフィール
ドエミッションが発生しにくく、電子銃の耐電圧特性が
向上し、画面上に不要な輝点が現れるのを抑制すること
ができる。しかも、金(銀や白金、これらの合金でもよ
い)等の高価な貴金属膜を必要な部分にのみ、該貴金属
を一度超微粒子の形にして高速ジェット流としてグリッ
ド電極に叩き付けて成膜するので、緻密で強固な被覆膜
を工業的に能率の良い方法で形成することができる。す
なわち、前述の従来の金ペーストを印刷、転写する方法
のように、成膜後、金ペーストに含まれるバインダーを
加熱分解する必要がなく、したがって、生成される被覆
膜の付着強度が強い。また、レジストを用いてめっきす
る方法のように、めっきした後、レジスト膜を除去する
手間がいらない。また、板材に部分めっきした後、プレ
ス加工する方法のように、プレス加工やその後のタンブ
リング(ばり取り)や加工歪を取る約1000℃のアニ
ールなどの処理により被覆膜にダメージが与えられたり
することがない。したがって、グリッド電極の通過孔の
周縁部にごみ等の異物、加工傷やばりのような突起物が
できないように部品加工・処理や、加工・組立時の環境
クリーン化に特別に気を配らなくて済む。また、本発明
による上記の成膜方法は、いわゆる乾式工法であり、成
膜後に熱処理を加えてガス出しするような加工が不要
で、成膜後の膜をそのまま使用することができる。これ
らの結果、安価で信頼性の高い電子銃を提供することが
できる。
【0029】なお、図2の上記実施例では、陰極線管と
して投写型ブラウン管に使用される電子銃11のG2電
極72を示したが、シャドウマスクを用い、3原色用の
陰極とそれらに対応したグリッド電極を有する直視型の
陰極線管(CRT)の電子銃に適用しても同様の効果が
得られることは言うまでもない。以下、このような陰極
線管の電子銃について説明する。
して投写型ブラウン管に使用される電子銃11のG2電
極72を示したが、シャドウマスクを用い、3原色用の
陰極とそれらに対応したグリッド電極を有する直視型の
陰極線管(CRT)の電子銃に適用しても同様の効果が
得られることは言うまでもない。以下、このような陰極
線管の電子銃について説明する。
【0030】図3は本発明が適用可能なカラー陰極線管
の概略構成図であって、1はパネル、2はファンネル、
3はネック部、4は蛍光面(画面)、5はシャドウマス
ク、6は磁気シールド、7は偏向ヨーク、8はピュリテ
ィ調整マグネット、9はセンタービームスタティックコ
ンバーゼンス調整マグネット、10はサイドビームスタ
ティックコンバーゼンス調整マグネット、11は電子
銃、またBcはセンタービーム、Bsはサイドビームで
ある。
の概略構成図であって、1はパネル、2はファンネル、
3はネック部、4は蛍光面(画面)、5はシャドウマス
ク、6は磁気シールド、7は偏向ヨーク、8はピュリテ
ィ調整マグネット、9はセンタービームスタティックコ
ンバーゼンス調整マグネット、10はサイドビームスタ
ティックコンバーゼンス調整マグネット、11は電子
銃、またBcはセンタービーム、Bsはサイドビームで
ある。
【0031】このようなカラー陰極線管のコンバーゼン
ス調整(スタティックコンバーゼンス。以後、STCと
略記する)は、まず2本のサイドビームBs、Bsのコ
ンバーゼンスを取った後、センタービームBcと上記サ
イドビームBsのコンバーゼンス点とを集中させるよう
にしている。
ス調整(スタティックコンバーゼンス。以後、STCと
略記する)は、まず2本のサイドビームBs、Bsのコ
ンバーゼンスを取った後、センタービームBcと上記サ
イドビームBsのコンバーゼンス点とを集中させるよう
にしている。
【0032】また、パネル1の外表面には、必要により
反射、帯電を防止する例えばSnO2、In2O3等を含
む薄膜が一層又は多層に形成されている。さらに図示し
ないがファンネル2、ネック3の内表面には黒鉛などか
らなる内装導電膜が被着されており、導電膜としてはア
ーク抑制を目的として黒鉛に加えて二酸化チタン等を含
み抵抗値を制御している。なお、この導電膜は高圧端子
(図示せず)と電子銃11とを電気的に接続している。
反射、帯電を防止する例えばSnO2、In2O3等を含
む薄膜が一層又は多層に形成されている。さらに図示し
ないがファンネル2、ネック3の内表面には黒鉛などか
らなる内装導電膜が被着されており、導電膜としてはア
ーク抑制を目的として黒鉛に加えて二酸化チタン等を含
み抵抗値を制御している。なお、この導電膜は高圧端子
(図示せず)と電子銃11とを電気的に接続している。
【0033】図4は本発明が適用可能な前記電子銃11
の例を示すものであり、バイポテンシャル型主レンズを
構成するG3、G4電極の水平方向、および垂直方向の
断面図である。図において、111はG3電極の外周
部、121はG4電極の外周部、13はカップ電極であ
る。112はG3電極の外周部111の内部に設けられ
た、非点収差修正用の電極、122はG4電極の外周部
121の内部に設けられた非点収差修正用の電極であ
る。極板112には中央ビームの通過する開孔114
と、外側ビームの通過する開孔113、113′が、極
板122には中央ビームの通過する開孔124と、外側
ビームの通過する開孔123、123′が一列に設けら
れている。本電子銃では、開孔113、113′、11
4、123、123′124は楕円形であり、また、G
3側とG4側の互いに対応する開孔の形状と寸法は同一
である。外側の開孔113、113′、123、12
3′と中央の開孔114、124とを同一形状、同一寸
法にすると、外側に形成される主レンズの水平方向に対
するレンズ集束作用が強くなるので、外側開孔の水平方
向径を、中央開孔の水平方向内径よりも大きくし、水
平、垂直両方向の集束作用の強度を等しくする。
の例を示すものであり、バイポテンシャル型主レンズを
構成するG3、G4電極の水平方向、および垂直方向の
断面図である。図において、111はG3電極の外周
部、121はG4電極の外周部、13はカップ電極であ
る。112はG3電極の外周部111の内部に設けられ
た、非点収差修正用の電極、122はG4電極の外周部
121の内部に設けられた非点収差修正用の電極であ
る。極板112には中央ビームの通過する開孔114
と、外側ビームの通過する開孔113、113′が、極
板122には中央ビームの通過する開孔124と、外側
ビームの通過する開孔123、123′が一列に設けら
れている。本電子銃では、開孔113、113′、11
4、123、123′124は楕円形であり、また、G
3側とG4側の互いに対応する開孔の形状と寸法は同一
である。外側の開孔113、113′、123、12
3′と中央の開孔114、124とを同一形状、同一寸
法にすると、外側に形成される主レンズの水平方向に対
するレンズ集束作用が強くなるので、外側開孔の水平方
向径を、中央開孔の水平方向内径よりも大きくし、水
平、垂直両方向の集束作用の強度を等しくする。
【0034】図5は、第4図に示した電子銃において、
外周部111、121の水平方向径h=20.0mm、そ
の垂直方向径v=9.4mm、中央開孔114、124の
垂直方向径a1=8.4mm、極板112の後退量d1=1.
5mm、離心距離S=6.6mm、としたとき、中央開孔1
14、124の水平方向径b1に対する水平、垂直両方
向のフォーカス距離の比を計算機シミュレーションによ
って求めたものである。
外周部111、121の水平方向径h=20.0mm、そ
の垂直方向径v=9.4mm、中央開孔114、124の
垂直方向径a1=8.4mm、極板112の後退量d1=1.
5mm、離心距離S=6.6mm、としたとき、中央開孔1
14、124の水平方向径b1に対する水平、垂直両方
向のフォーカス距離の比を計算機シミュレーションによ
って求めたものである。
【0035】ここで、水平、あるいは垂直方向フォーカ
ス距離とは、中心軸上の一点からある出射角度をもって
出射し、中央開孔の水平あるいは垂直方向の対称軸を通
過する電子ビームが主レンズにより集束され、再び中心
軸を横切るまでの距離を、G3電極のG4電極側端面か
ら測ったものである。同端面から蛍光スクリーンまでの
距離を340mmとし、出射角が、この340mmという値
に一致する出射点をそれぞれ求め、さらに、これらの出
射点の中間の点から、同一出射角で電子ビームを出射さ
せる。図5は、このときの水平、垂直両方向のフォーカ
ス距離の比を示したものである。図から分るように、中
央開孔の水平方向径b1≒5.5mmとすれば、垂直方向と
水平方向のフォーカス距離が一致し、両方向の集束作用
の強度が等しくなるので非点収差を取り除くことができ
る。
ス距離とは、中心軸上の一点からある出射角度をもって
出射し、中央開孔の水平あるいは垂直方向の対称軸を通
過する電子ビームが主レンズにより集束され、再び中心
軸を横切るまでの距離を、G3電極のG4電極側端面か
ら測ったものである。同端面から蛍光スクリーンまでの
距離を340mmとし、出射角が、この340mmという値
に一致する出射点をそれぞれ求め、さらに、これらの出
射点の中間の点から、同一出射角で電子ビームを出射さ
せる。図5は、このときの水平、垂直両方向のフォーカ
ス距離の比を示したものである。図から分るように、中
央開孔の水平方向径b1≒5.5mmとすれば、垂直方向と
水平方向のフォーカス距離が一致し、両方向の集束作用
の強度が等しくなるので非点収差を取り除くことができ
る。
【0036】また、このときのレンズ集束作用は、1mm
の間隔でつき合わされた、直径8mmの円筒のバイポテン
シャルレンズと同等の強度をもつ。
の間隔でつき合わされた、直径8mmの円筒のバイポテン
シャルレンズと同等の強度をもつ。
【0037】これは、h=20.0mm、S=6.6mmとし
たとき、L=h−2×S(L=開孔部径の限界値、h=
開孔の水平方向の径、S=開孔部の離心距離)で制約さ
れる電極開孔部に対する限界値6.8mmよりも大きな値
になっている。
たとき、L=h−2×S(L=開孔部径の限界値、h=
開孔の水平方向の径、S=開孔部の離心距離)で制約さ
れる電極開孔部に対する限界値6.8mmよりも大きな値
になっている。
【0038】図6は、図4に示した電子銃において、上
記寸法と同一寸法としたとき、外側開孔113、11
3′、123、123′の水平方向径b2の値と、外側
電子ビームの蛍光面上での水平方向スポット移動距離の
関係を計算機シミュレーションによって求めたものであ
る。G3電極には7kV、G4電極には25kVを印加
し、G3電極のG4電極側端部から蛍光面までの距離を
340mmとした。外側電子ビームと、中央電子とは、水
平方向に6.6mm離れているので、STCをとるために
必要な、スポット移動距離は6.6mmであるが、実際に
は、色純度調整の自由度を残すため、6.1mm程度に設
計する場合が多い。この移動距離を確保するためには、
b2の値は、5.8mmとなる。
記寸法と同一寸法としたとき、外側開孔113、11
3′、123、123′の水平方向径b2の値と、外側
電子ビームの蛍光面上での水平方向スポット移動距離の
関係を計算機シミュレーションによって求めたものであ
る。G3電極には7kV、G4電極には25kVを印加
し、G3電極のG4電極側端部から蛍光面までの距離を
340mmとした。外側電子ビームと、中央電子とは、水
平方向に6.6mm離れているので、STCをとるために
必要な、スポット移動距離は6.6mmであるが、実際に
は、色純度調整の自由度を残すため、6.1mm程度に設
計する場合が多い。この移動距離を確保するためには、
b2の値は、5.8mmとなる。
【0039】図7は、本発明のカラーブラウン管の他の
電子銃の要部断面図であり、G3電極の垂直方向の断面
を示す図である。電極112に設けられた開孔41、4
1′、42は、2つの円弧の端点を平行な二直線で結ん
だ形状をしている。開孔が楕円であるものよりも蛍光面
でのスポット形状は悪化するが、開孔が円弧と直線より
成るため、容易に、また、精度良く工作できるという長
所をもつ。本電子銃においても、開孔の水平方向径は垂
直方向径よりも小さい。
電子銃の要部断面図であり、G3電極の垂直方向の断面
を示す図である。電極112に設けられた開孔41、4
1′、42は、2つの円弧の端点を平行な二直線で結ん
だ形状をしている。開孔が楕円であるものよりも蛍光面
でのスポット形状は悪化するが、開孔が円弧と直線より
成るため、容易に、また、精度良く工作できるという長
所をもつ。本電子銃においても、開孔の水平方向径は垂
直方向径よりも小さい。
【0040】図8及び図9は、さらに他の電子銃の要部
断面図であり、それぞれG3電極、G4電極の垂直方向
の断面を示す図である。中央の開孔52、62は垂直方
向の対象軸をもつが外側の開孔51、51′、61、6
1′は垂直方向の対象軸をもたない。外側開孔51、5
1′、61、61′は長径が同一で、短径の異なる2つ
の楕円を組み合わせたものであり、G3電極の外側開孔
51、51′は外側に組み合わされた楕円の短径よりも
小さくなっている。G3電極の外側開孔をこの様な形状
にすると、図4の113、113′の様に開孔が、1つ
の楕円の場合よりも、電子ビーム中央方向へ集中させる
力が強くなるので、水平方向の径をより小さくしても、
STCをとることができる。
断面図であり、それぞれG3電極、G4電極の垂直方向
の断面を示す図である。中央の開孔52、62は垂直方
向の対象軸をもつが外側の開孔51、51′、61、6
1′は垂直方向の対象軸をもたない。外側開孔51、5
1′、61、61′は長径が同一で、短径の異なる2つ
の楕円を組み合わせたものであり、G3電極の外側開孔
51、51′は外側に組み合わされた楕円の短径よりも
小さくなっている。G3電極の外側開孔をこの様な形状
にすると、図4の113、113′の様に開孔が、1つ
の楕円の場合よりも、電子ビーム中央方向へ集中させる
力が強くなるので、水平方向の径をより小さくしても、
STCをとることができる。
【0041】逆に、G4電極では、図9の61、61′
の様に、外側開孔を内側の楕円の短径が外側の楕円の短
径よりも小さい2つの楕円を組み合わせて構成すると、
電子ビームを中央方向へ集中させる力が強くなる。
の様に、外側開孔を内側の楕円の短径が外側の楕円の短
径よりも小さい2つの楕円を組み合わせて構成すると、
電子ビームを中央方向へ集中させる力が強くなる。
【0042】この様に、外側の開孔を垂直方向に対して
非対称にすると、電子ビームに対する集中力が増し、S
TCがとり易くなる。また、集中力が強すぎる場合は、
図8の開孔をG4電極側に、図9の開孔をG3電極側に
用いれば、集中力を弱めることもできる。
非対称にすると、電子ビームに対する集中力が増し、S
TCがとり易くなる。また、集中力が強すぎる場合は、
図8の開孔をG4電極側に、図9の開孔をG3電極側に
用いれば、集中力を弱めることもできる。
【0043】このようにして、電子銃外形を制約された
中で、同一水平面に赤、緑、青3色に対応する主レンズ
を並列させる際に可能な、最大の径をもつ円筒電極をつ
き合わせた場合よりも、集束作用の弱い主レンズを構成
することができるので、カラーブラウン管のフォーカス
特性を格段に改善できる効果がある。
中で、同一水平面に赤、緑、青3色に対応する主レンズ
を並列させる際に可能な、最大の径をもつ円筒電極をつ
き合わせた場合よりも、集束作用の弱い主レンズを構成
することができるので、カラーブラウン管のフォーカス
特性を格段に改善できる効果がある。
【0044】さらに、主レンズを構成するG3電極とG
4電極に形成される外側開孔の中心軸を偏位させること
なく、極板の後退量、及び該極板に形成される開孔形状
を適正に選ぶことにより、STCをとることができるの
で、組立時に、G3電極、G4電極に対し、同径、同軸
の治具を用いることができ、組立精度を向上させること
ができる。
4電極に形成される外側開孔の中心軸を偏位させること
なく、極板の後退量、及び該極板に形成される開孔形状
を適正に選ぶことにより、STCをとることができるの
で、組立時に、G3電極、G4電極に対し、同径、同軸
の治具を用いることができ、組立精度を向上させること
ができる。
【0045】図10は他の電子銃の一部破断斜視図であ
る。極板133、143は、中央ビームに対しては図4
の極板と同様に楕円の開孔135、145をそれぞれ有
するが、両側のサイドビームに対しては楕円開孔は半分
に切断され、左右両端で外周電極131、141と接す
る部分が取り除かれている。中央ビームの通路は、極板
133、143にそれぞれ形成された開孔135、14
5によって取り囲まれているが、両側のサイドビームの
通路は、極板133、143の端部によって部分的に取
り囲まれ、残りの部分は外周電極131、141によっ
て取り囲まれている。かかる構成により、サイドビーム
用の主レンズ口径として最大限に大きくとることがで
き、しかも、極板の面積が小さいので、平面度を高くし
易く、また、高い精度を要求される楕円開孔の成形部分
が少ないので加工が容易になるという利点を有する。d
3、d4は後退量を示し、同一又は異なる値のいずれかが
採用される。
る。極板133、143は、中央ビームに対しては図4
の極板と同様に楕円の開孔135、145をそれぞれ有
するが、両側のサイドビームに対しては楕円開孔は半分
に切断され、左右両端で外周電極131、141と接す
る部分が取り除かれている。中央ビームの通路は、極板
133、143にそれぞれ形成された開孔135、14
5によって取り囲まれているが、両側のサイドビームの
通路は、極板133、143の端部によって部分的に取
り囲まれ、残りの部分は外周電極131、141によっ
て取り囲まれている。かかる構成により、サイドビーム
用の主レンズ口径として最大限に大きくとることがで
き、しかも、極板の面積が小さいので、平面度を高くし
易く、また、高い精度を要求される楕円開孔の成形部分
が少ないので加工が容易になるという利点を有する。d
3、d4は後退量を示し、同一又は異なる値のいずれかが
採用される。
【0046】図10の電子銃では、開孔形状を楕円とし
たが、開孔の垂直方向径が、水平方向径よりも大きけれ
ば他の形状でも非点収差を取り除くことができる。
たが、開孔の垂直方向径が、水平方向径よりも大きけれ
ば他の形状でも非点収差を取り除くことができる。
【0047】また、図11に示したように極板133、
143を湾曲させ、極板の後退量を連続的に変化させる
構造によっても、非点収差の除去は可能である。このと
き開孔135、145の垂直方向径を必ずしも水平方向
径より大きい必要は無い。G3電極の極板133を図示
のようにG4電極側に凸とすると、水平方向集束力を強
くすることができ、また、逆にG4電極の極板をG3電
極側に凸とすると垂直方向集束力を強くすることができ
る。
143を湾曲させ、極板の後退量を連続的に変化させる
構造によっても、非点収差の除去は可能である。このと
き開孔135、145の垂直方向径を必ずしも水平方向
径より大きい必要は無い。G3電極の極板133を図示
のようにG4電極側に凸とすると、水平方向集束力を強
くすることができ、また、逆にG4電極の極板をG3電
極側に凸とすると垂直方向集束力を強くすることができ
る。
【0048】また、図12に示したように、開孔13
5、145の周辺に突出部137、147を設け、この
突出部の突出量を調節することにより非点収差を補正す
ることもできる。この場合も、開孔の垂直方向径が水平
方向径より大きい必要は無い。
5、145の周辺に突出部137、147を設け、この
突出部の突出量を調節することにより非点収差を補正す
ることもできる。この場合も、開孔の垂直方向径が水平
方向径より大きい必要は無い。
【0049】図11、図12の電子銃とも、開孔を真円
としたままで非点収差を補正することが可能であり、こ
の場合、部品加工、電極組み立てともに、非円形開孔の
場合よりも容易になるという利点を有する。
としたままで非点収差を補正することが可能であり、こ
の場合、部品加工、電極組み立てともに、非円形開孔の
場合よりも容易になるという利点を有する。
【0050】この電子銃によれば、サイドビームの内側
方向に発生するハローを除去し、電子銃主レンズの実効
開孔径を十分に拡大することができ、カラー受像管のフ
ォーカス特性を格段に改善できる効果がある。また主レ
ンズの互いに対向する極板の面積が小さいため、加工時
に平面度をとり易く、しかも加工の箇所が比較的に少な
いため成形が容易であるという長所もある。
方向に発生するハローを除去し、電子銃主レンズの実効
開孔径を十分に拡大することができ、カラー受像管のフ
ォーカス特性を格段に改善できる効果がある。また主レ
ンズの互いに対向する極板の面積が小さいため、加工時
に平面度をとり易く、しかも加工の箇所が比較的に少な
いため成形が容易であるという長所もある。
【0051】なお、これらの電子銃は、上述したバイポ
テンシャル型、またはその他の形の主レンズにも適用で
きることは勿論である。また、上述の説明では、主レン
ズを構成する1対の電極の双方の開孔について述べた
が、いずれか一方の電極にのみ適用しても同様の効果が
得られる。
テンシャル型、またはその他の形の主レンズにも適用で
きることは勿論である。また、上述の説明では、主レン
ズを構成する1対の電極の双方の開孔について述べた
が、いずれか一方の電極にのみ適用しても同様の効果が
得られる。
【0052】図13は、本発明が適用可能な第1〜6グ
リッドを有する他の電子銃の正面図(a)、側面図
(b)、背面図(c)及び平面図(d)を示す。図中、
1111(G1)は第1グリッド、1112(G2)は
第2グリッド、1113は第3グリッド、1114は第
4グリッド、1115は第5グリッド、1116は第6
グリッド、1119はカソードである。この電子銃は複
数の主レンズを用い、良好なフォーカス特性が得られ
る。明るく高解像度の画像を得るためには、陽極電圧E
bの値を高くする必要があり、通常Ebは25〜35kV
である。フォーカス電圧Ec3はEbの30%程度で、第
2グリッド1112の印加電圧Ec2は400〜700V
程度、第1グリッド1111は接地され、カソード11
19には各絵素の明るさに対応した200V以下の信号
用の電圧Ekが印加される。また、1127は第3グリ
ッド給電線、1128は第5グリッド給電線で、第3グ
リッド給電線1127は図13(b)、(c)に示す様に
その一端1127aを第3グリッド1113に固定する
と共に中間部1127bの一部を管軸と直交する平面と
ほぼ平行に延びる折曲部1127cとし、この折曲部1
127cを第3グリッド1113の管軸方向の全長l内
でビードガラス1120の背面とネック管内壁面(図示
せず)との中間を通過させ、かつ他端1127dは図示
しないステムリードと接続している。これによりシール
ドワイヤと同様な作用を行わせる。一方第3グリッド1
1113と第5グリッド1115とを接続する第5グリ
ッド給電線1128は、図13(a)、(b)に示す様
に、一端1128aを第3グリッド1113と、また他
端1128dを第5グリッド1115とそれぞれ固定す
ると共に中間部1128の一部を管軸と直交する平面と
ほぼ平行に延びる折曲部1128cとし、この折曲部1
128cを第3グリッド1113の管軸方向の全長l内
でかつ前記折曲部1127cと管軸をはさんで管軸と直
交する同一平面で対称的に配置してビードガラス112
0の背面とネック管内壁面(図示せず)との中間を通過
させ、シールドワイヤと同様な作用を行わせる。すなわ
ち、給電線1127C、1128Cは管軸をはさみ、か
つ管軸と直交する同一平面内で対称的に配置したことか
ら、片側のみにシールドワイヤを配置するものに比べ、
ネック管内の全周に亘ってアーク放電抑制効果等を呈す
るという優れた特長を有するものである。
リッドを有する他の電子銃の正面図(a)、側面図
(b)、背面図(c)及び平面図(d)を示す。図中、
1111(G1)は第1グリッド、1112(G2)は
第2グリッド、1113は第3グリッド、1114は第
4グリッド、1115は第5グリッド、1116は第6
グリッド、1119はカソードである。この電子銃は複
数の主レンズを用い、良好なフォーカス特性が得られ
る。明るく高解像度の画像を得るためには、陽極電圧E
bの値を高くする必要があり、通常Ebは25〜35kV
である。フォーカス電圧Ec3はEbの30%程度で、第
2グリッド1112の印加電圧Ec2は400〜700V
程度、第1グリッド1111は接地され、カソード11
19には各絵素の明るさに対応した200V以下の信号
用の電圧Ekが印加される。また、1127は第3グリ
ッド給電線、1128は第5グリッド給電線で、第3グ
リッド給電線1127は図13(b)、(c)に示す様に
その一端1127aを第3グリッド1113に固定する
と共に中間部1127bの一部を管軸と直交する平面と
ほぼ平行に延びる折曲部1127cとし、この折曲部1
127cを第3グリッド1113の管軸方向の全長l内
でビードガラス1120の背面とネック管内壁面(図示
せず)との中間を通過させ、かつ他端1127dは図示
しないステムリードと接続している。これによりシール
ドワイヤと同様な作用を行わせる。一方第3グリッド1
1113と第5グリッド1115とを接続する第5グリ
ッド給電線1128は、図13(a)、(b)に示す様
に、一端1128aを第3グリッド1113と、また他
端1128dを第5グリッド1115とそれぞれ固定す
ると共に中間部1128の一部を管軸と直交する平面と
ほぼ平行に延びる折曲部1128cとし、この折曲部1
128cを第3グリッド1113の管軸方向の全長l内
でかつ前記折曲部1127cと管軸をはさんで管軸と直
交する同一平面で対称的に配置してビードガラス112
0の背面とネック管内壁面(図示せず)との中間を通過
させ、シールドワイヤと同様な作用を行わせる。すなわ
ち、給電線1127C、1128Cは管軸をはさみ、か
つ管軸と直交する同一平面内で対称的に配置したことか
ら、片側のみにシールドワイヤを配置するものに比べ、
ネック管内の全周に亘ってアーク放電抑制効果等を呈す
るという優れた特長を有するものである。
【0053】また、本電子銃のように第3グリッドの管
軸方向の全長内でかつ管軸をはさんで対称的に両折曲部
1127c、1128cを配置することにより、アーク
放電発生回数を従来のものに比べ数分の一以下に低減で
きると共に、暗電流値を同じく数百分の一以下に低減す
ることができる。すなわち、ビードガラスおよびネック
管壁を陽極電圧からしゃへいするという点では陽極電圧
が印加される電極に近い位置に折曲部を設けた方が良い
が、給電線の折曲部要局部的電界集中をひき起し、却っ
てアーク放電が発生し易くなってしまうことも起り得
る。一方フォーカス電圧印加用給電線の折曲部が第2グ
リッド電極側に近接し過ぎると、フォーカス電圧は陽極
電圧につぐ高電圧なので、フォーカス電圧印加用給電線
の折曲部と第2グリッド電極等の低電圧印加電極とアー
ク放電を発生する危険が大になる。
軸方向の全長内でかつ管軸をはさんで対称的に両折曲部
1127c、1128cを配置することにより、アーク
放電発生回数を従来のものに比べ数分の一以下に低減で
きると共に、暗電流値を同じく数百分の一以下に低減す
ることができる。すなわち、ビードガラスおよびネック
管壁を陽極電圧からしゃへいするという点では陽極電圧
が印加される電極に近い位置に折曲部を設けた方が良い
が、給電線の折曲部要局部的電界集中をひき起し、却っ
てアーク放電が発生し易くなってしまうことも起り得
る。一方フォーカス電圧印加用給電線の折曲部が第2グ
リッド電極側に近接し過ぎると、フォーカス電圧は陽極
電圧につぐ高電圧なので、フォーカス電圧印加用給電線
の折曲部と第2グリッド電極等の低電圧印加電極とアー
ク放電を発生する危険が大になる。
【0054】フォーカス電圧印加用給電線の上記折曲部
の位置については、種々の実験を基にアーク放電発生抑
制効果、暗電流抑制効果および電極組立作業性等の面か
ら検討した結果折曲部は第3グリッドの管軸方向の全長
l内で側面に対向する位置に設けることが最適である。
の位置については、種々の実験を基にアーク放電発生抑
制効果、暗電流抑制効果および電極組立作業性等の面か
ら検討した結果折曲部は第3グリッドの管軸方向の全長
l内で側面に対向する位置に設けることが最適である。
【0055】この電子銃によれば、給電線の両端が電極
等に固定されているため、迷走電子の発生源となる恐れ
もなく、アーク放電発生防止、暗電流抑制の効果があ
る。
等に固定されているため、迷走電子の発生源となる恐れ
もなく、アーク放電発生防止、暗電流抑制の効果があ
る。
【0056】次に、図14は蛍光面4及びシャドウマス
ク5の一例の詳細を示すもので、パネル部の内面に形成
された蛍光面4は垂直方向に切目なく延在する光吸収細
条224を多数水平方向に並列し、これら光吸収細条2
24間に夫々発光色が異なり、かつ垂直方向全体に亘っ
て切目なく延在する複数の蛍光体細条225R(赤)、2
25G(緑)、225B(青)を水平方向に一定順序に多数
配列しており、また前記パネル内面に対応して曲面で前
記蛍光面4に対応して配置され、前記垂直方向全体に亘
って切目なく延在する蛍光体細条225に対応して垂直
方向に細長く、かつ垂直方向にブリッジ部229を介し
て多数分離形成されたスリット状透孔228を水平方向
に所定ピッチで列状に配列したシャドウマスク5を示
す。
ク5の一例の詳細を示すもので、パネル部の内面に形成
された蛍光面4は垂直方向に切目なく延在する光吸収細
条224を多数水平方向に並列し、これら光吸収細条2
24間に夫々発光色が異なり、かつ垂直方向全体に亘っ
て切目なく延在する複数の蛍光体細条225R(赤)、2
25G(緑)、225B(青)を水平方向に一定順序に多数
配列しており、また前記パネル内面に対応して曲面で前
記蛍光面4に対応して配置され、前記垂直方向全体に亘
って切目なく延在する蛍光体細条225に対応して垂直
方向に細長く、かつ垂直方向にブリッジ部229を介し
て多数分離形成されたスリット状透孔228を水平方向
に所定ピッチで列状に配列したシャドウマスク5を示
す。
【0057】また蛍光面4の別の形状としては図15に
示すようにドット状の蛍光体細点226R(赤)、226
G(緑)、226B(青)と、そのまわりを埋める光吸収膜
227とを有している。
示すようにドット状の蛍光体細点226R(赤)、226
G(緑)、226B(青)と、そのまわりを埋める光吸収膜
227とを有している。
【0058】また、前記シャドウマスク5としては、鋼
板材と、熱膨張係数の小さなアンバー材等で形成されて
いる。さらに、シャドウマスク5には、図示しないが熱
膨張を抑制する例えばビスマス等が被覆される構成もあ
る。また、スリット状透孔228に代えて丸孔の透孔も
用いられる。
板材と、熱膨張係数の小さなアンバー材等で形成されて
いる。さらに、シャドウマスク5には、図示しないが熱
膨張を抑制する例えばビスマス等が被覆される構成もあ
る。また、スリット状透孔228に代えて丸孔の透孔も
用いられる。
【0059】以上本発明を実施例に基づいて具体的に説
明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能で
あることは勿論である。例えば、図1、図2を用いて説
明した上記実施例では、Ba拡散吸収用の金属として金
を用いたが、金に限定されず、銀や白金、あるいはこれ
らの合金を用いることも可能で、金と同様な効果を奏す
る。また、図2の実施例では、Ba拡散吸収用の被覆膜
78を、電界強度が最も高いため最も効果の大きいG2
電極72のG3電極側の電極面だけに設けたが、他のグ
リッド電極、例えばG1電極71のG2電極72側の通
過孔の周囲の電極面に設けてもよい。また、グリッド電
極の片側の電極面の通過孔の周囲だけに限らず、両側の
電極面の通過孔の周囲や通過孔の内壁に設けてもよい。
さらに、本発明の電子銃は、投写型陰極線管(PR
T)、直視型の陰極線管(CRT)、カラーピクチャー
チューブ(CPT)、カラーディスプレイチューブ(C
DT)等、熱電子を放出する陰極を有する電子管に備え
られる電子銃全般に適用可能である。
明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能で
あることは勿論である。例えば、図1、図2を用いて説
明した上記実施例では、Ba拡散吸収用の金属として金
を用いたが、金に限定されず、銀や白金、あるいはこれ
らの合金を用いることも可能で、金と同様な効果を奏す
る。また、図2の実施例では、Ba拡散吸収用の被覆膜
78を、電界強度が最も高いため最も効果の大きいG2
電極72のG3電極側の電極面だけに設けたが、他のグ
リッド電極、例えばG1電極71のG2電極72側の通
過孔の周囲の電極面に設けてもよい。また、グリッド電
極の片側の電極面の通過孔の周囲だけに限らず、両側の
電極面の通過孔の周囲や通過孔の内壁に設けてもよい。
さらに、本発明の電子銃は、投写型陰極線管(PR
T)、直視型の陰極線管(CRT)、カラーピクチャー
チューブ(CPT)、カラーディスプレイチューブ(C
DT)等、熱電子を放出する陰極を有する電子管に備え
られる電子銃全般に適用可能である。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
グリッド電極の電子ビームの通過孔の周囲に、陰極から
飛散して来るBaを拡散吸収する金属被覆膜を設けたこ
とにより、グリッド電極のフィールドエミッションの発
生を抑制できるので、画面の不要な輝点の発生を抑制で
き、画質を向上できる。しかも、緻密で強固な被覆膜を
工業的に能率の良い方法で形成することができる。した
がって、安価で信頼性の高い電子銃および電子管を提供
することができる。
グリッド電極の電子ビームの通過孔の周囲に、陰極から
飛散して来るBaを拡散吸収する金属被覆膜を設けたこ
とにより、グリッド電極のフィールドエミッションの発
生を抑制できるので、画面の不要な輝点の発生を抑制で
き、画質を向上できる。しかも、緻密で強固な被覆膜を
工業的に能率の良い方法で形成することができる。した
がって、安価で信頼性の高い電子銃および電子管を提供
することができる。
【図1】本発明の一実施例の電子銃の製造方法に用いる
製造装置の構成を示す概略図である。
製造装置の構成を示す概略図である。
【図2】(a)は本発明の一実施例である投写型ブラウ
ン管に備えられる電子銃の一部断面側面図、(b)は
(a)に示したG2電極の断面図、(c)は(a)の矢
印A方向から見たG2電極の正面図である。
ン管に備えられる電子銃の一部断面側面図、(b)は
(a)に示したG2電極の断面図、(c)は(a)の矢
印A方向から見たG2電極の正面図である。
【図3】本発明が適用可能なカラー陰極線管の断面図で
ある。
ある。
【図4】本発明が適用可能な電子銃の要部を示す断面図
である。
である。
【図5】図4に示す電子銃の特性図である。
【図6】図4に示す電子銃の特性図である。
【図7】本発明が適用可能な他の電子銃の要部断面図で
ある。
ある。
【図8】本発明が適用可能な更に他の電子銃の要部断面
図である。
図である。
【図9】本発明が適用可能な更に他の電子銃の要部断面
図である。
図である。
【図10】本発明が適用可能な更に他の電子銃の要部の
一部切欠斜視図である。
一部切欠斜視図である。
【図11】本発明が適用可能な更に他の電子銃の要部の
一部切欠斜視図である。
一部切欠斜視図である。
【図12】本発明が適用可能な更に他の電子銃の要部の
一部切欠斜視図である。
一部切欠斜視図である。
【図13】本発明が適用可能な更に他の電子銃の正面
図、側面図、背面図及び平面図である。
図、側面図、背面図及び平面図である。
【図14】本発明が適用可能な陰極線管の蛍光面及びシ
ャドウマスクの一例の要部を示す一部欠斜視図である。
ャドウマスクの一例の要部を示す一部欠斜視図である。
【図15】本発明が適用可能な陰極線管の他の蛍光面の
要部を示す平面図である。
要部を示す平面図である。
11…電子銃、20…金属蒸気生成用容器、21、29
…排気管、22、30…不活性ガスの導入管、23…金
の蒸発原料、24、31…ヒータ、25…金の超微粒
子、26…搬送管、27…調節弁、28…蒸着処理容
器、32…ノズル、70…陰極、71…G1電極、72
…G2電極、73…G3電極、74…G4電極、75…
G5電極、76…ビードガラス、77…通過孔、78…
金の被覆膜。
…排気管、22、30…不活性ガスの導入管、23…金
の蒸発原料、24、31…ヒータ、25…金の超微粒
子、26…搬送管、27…調節弁、28…蒸着処理容
器、32…ノズル、70…陰極、71…G1電極、72
…G2電極、73…G3電極、74…G4電極、75…
G5電極、76…ビードガラス、77…通過孔、78…
金の被覆膜。
Claims (2)
- 【請求項1】陰極と、複数個のグリッド電極から構成さ
れ、前記陰極から放出される電子ビームを制御、集束す
るレンズ系とを含んで成る電子銃において、少なくとも
1個の前記グリッド電極の前記電子ビームの通過孔の周
囲の電極面に、バリウムを拡散吸収する金属材料の超微
粒子から成る金属被覆膜を設けたことを特徴とする電子
銃。 - 【請求項2】陰極と、複数個のグリッド電極から構成さ
れ、前記陰極から放出される電子ビームを制御、集束す
るレンズ系とを含んで成る電子銃の製造方法において、
少なくとも1個の前記グリッド電極の前記電子ビームの
通過孔の周囲の電極面に、バリウムを拡散吸収する金属
被覆膜を設ける際、前記金属被覆膜生成用の金属材料の
超微粒子を生成し、前記超微粒子を前記通過孔の周囲の
電極面に、ノズルを介して吹き付けて設ける工程を含ん
で成ることを特徴とする電子銃の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16990693A JPH0729509A (ja) | 1993-07-09 | 1993-07-09 | 電子銃およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16990693A JPH0729509A (ja) | 1993-07-09 | 1993-07-09 | 電子銃およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0729509A true JPH0729509A (ja) | 1995-01-31 |
Family
ID=15895166
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16990693A Pending JPH0729509A (ja) | 1993-07-09 | 1993-07-09 | 電子銃およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0729509A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6111350A (en) * | 1997-09-05 | 2000-08-29 | Hitachi, Ltd. | Color cathode ray tube having an improved electron gun |
-
1993
- 1993-07-09 JP JP16990693A patent/JPH0729509A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6111350A (en) * | 1997-09-05 | 2000-08-29 | Hitachi, Ltd. | Color cathode ray tube having an improved electron gun |
US6445116B1 (en) | 1997-09-05 | 2002-09-03 | Hitachi, Ltd. | Color cathode ray tube having an improved electron gun |
US6624562B2 (en) | 1997-09-05 | 2003-09-23 | Hitachi, Ltd. | Color cathode ray tube having an improved electron gun |
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