JPH113669A - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JPH113669A
JPH113669A JP15374597A JP15374597A JPH113669A JP H113669 A JPH113669 A JP H113669A JP 15374597 A JP15374597 A JP 15374597A JP 15374597 A JP15374597 A JP 15374597A JP H113669 A JPH113669 A JP H113669A
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JP
Japan
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grid electrode
conductive film
ray tube
cathode ray
electrode
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JP15374597A
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Kotaro Amano
高太郎 天野
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Original Assignee
Sony Corp
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ネック管部内における2次電子放出が防止さ
れ、管内での沿面放電の発生を防止して、電子銃の耐圧
特性を向上した陰極線管を提供する。 【解決手段】 第2グリッド電極3と中間電極7との間
隙に対向するネックガラス12内壁面上と、さらに、ネ
ックガラス12と対向している側のビードガラス11の
表面で、中間電極7と第3グリッド電極4との間隙に対
向する位置とに導電膜15を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリフォーカスレ
ンズ部に中間電極を有するユニポテンシャル型の陰極線
管の管内放電の抑制、耐圧向上に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータや高精細度テレビジ
ョンの普及と相まって、電子銃の解像度向上に対する要
求がますます強くなって来ているが、その実現のため
に、アノード電極とフォーカス電極の間にその中間の電
位を有する中間電極を設け、電位勾配をゆるやかにし
て、ビームスポット径を改善し、高解像度の陰極線管装
置を提供する技術がある。この技術はユニポテンシャル
型の陰極線管にも適用されており、その一例を1ガン3
ビーム型の電子銃でもって、説明する。図8はこの電子
銃の概略構成図であり、本電子銃は、カソード1と同心
軸上に順次、第1グリッド電極2、第2グリッド電極
3、第3グリッド電極4、第4グリッド電極(フォーカ
ス電極)5、アノード電極6および最終段にコンバージ
ェンスプレート9が配列され、第1グリッド電極2、第
2グリッド電極3および第3グリッド電極4でプリフォ
ーカスレンズを構成し、第3グリッド電極4、第4グリ
ッド電極(フォーカス電極)5およびアノード電極6で
ユニポテンシャル型のメインレンズを形成している。さ
らに、第2グリッド電極3と第3グリッド電極4との間
に中間電極7を備え、また、フォーカス電極を2分割し
て、その間に前述の中間電極7と同電位の補助電極8を
配設しビームスポット形状の改善を図っている。そし
て、これらの電極を2本のビードガラス11(1本は図
示せず)とサポートピン10でそれぞれの位置関係を保
持し、さらにスプリング支持片13でネックガラス12
の内面に保持されている。
【0003】上述のような電子銃構成をとることによ
り、コンピュータディスプレイ等の高精細度カラー陰極
線管はスポットサイズの小さい電子ビームを得ることが
できるが、これらのカラー陰極線管は通常27〜30k
V以上の高電圧で駆動されているから、陰極線管内で、
しばしば放電が発生することがある。この管内放電の発
生原因については、従来から色々と研究され、対策がと
られてきている。たとえば、陰極線管内で使用している
金属部品のバリや陰極線管の製造工程で管内に混入した
ごみ等を除去するために、製造工程の最終段階で、陰極
線管の各電極に高圧をかけ、強制放電を促して、将来の
放電発生の要因となりそうなものを除去するノッキング
作業は殆どの陰極線管の製造工程で実施されている。
【0004】また、管内放電には、上述の金属部品のバ
リや管内のごみ等が原因となる以外に、管内の絶縁体表
面、特にネックガラス内壁面に帯電した電荷が局部的に
集中し、狭い管内で絶縁破壊を誘起することがある。こ
の対策として、電子銃のグリッド電極の外周に金属線を
溶着し、高周波加熱等で、その一部を蒸発させ、ネック
ガラス内壁面やビードガラス表面に金属蒸着膜を形成し
て、管内の電位分布を安定化し、管内放電を抑制する技
術がある。その実施例のネック管部の概略構成図を図9
(a)に示し、図9(a)のB−B線における断面図を
図9(b)に示す。これは、第1グリッド電極2上で、
ビードガラス11を囲繞するようにして金属線14を溶
着した電子銃を作製し、この電子銃をネック管部に封入
後、高周波加熱によりネックガラス12内壁面に金属蒸
着膜を形成している。
【0005】しかし、この方法を用いた場合、電子銃の
構造と電気的、耐圧的な制約により、実際、放電抑制効
果がある金属線14の取り付け位置は、第1グリッド電
極2上のみである。このことにより、金属線14の高周
波加熱による金属蒸着膜の形成位置も制約される。この
場合における金属蒸着膜の位置は、放電抑制効果から見
た場合、必ずしも最適な位置ではない。さらに、金属線
14は平滑なビードガラス9を取り囲むように取り付け
られるので、ごみが付着しやすく傷がつきやすい。この
ようなことが発生すると、金属線14から不要な2次電
子の輻射が発生し、逆に放電の原因となる。さらに、金
属線14のネックガラス12内壁面への接近の虞から電
子銃の外径が制約され、電子銃レンズの大口径化を難し
くする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な問題を解決するためになされたもので、ネック管部内
における2次電子放出が防止され、管内の沿面放電が少
なく、電子銃の耐圧特性を向上した陰極線管を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の陰極線管は、第1グリッド電極、第2グ
リッド電極および第3グリッド電極でプリフォーカスレ
ンズを構成すると共に、第2グリッド電極と第3グリッ
ド電極との間に、第2グリッド電極の電位と第3グリッ
ド電極の電位の中間の電位を有する中間電極を具備する
陰極線管であって、第2グリッド電極と対向するネック
ガラス内壁面に導電膜を有するものである。さらに、第
1グリッド電極と、この第1グリッド電極と隣接してビ
ードガラスを保持しているサポートピンとの間隙に対向
するネックガラス内壁面にも、導電膜を有してもよい。
【0008】また、上述の陰極線管において、導電膜
を、第2グリッド電極と中間電極との間隙に対向するネ
ックガラス内壁と、中間電極と第3グリッド電極との間
隙に対向するビードガラスのネックガラスと対面する面
上に配するものでもよい。
【0009】そして、上述の導電膜の管軸方向の幅は、
10mm以下とする。
【0010】このような導電膜で構成された本発明の陰
極線管は、導電膜により、管内での不要な2次電子放射
が抑制され、管内の沿面放電が防止された耐圧特性の高
い陰極線管となる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、第1グリッド電極、第
2グリッド電極および第3グリッド電極でプリフォーカ
スレンズを構成すると共に、第2グリッド電極と第3グ
リッド電極との間に、第2グリッド電極の電位と第3グ
リッド電極の電位の中間の電位を有する中間電極を具備
する陰極線管に適用されるもので、第1の実施の形態例
の陰極線管は、第2グリッド電極と対向するネックガラ
ス内壁面と、第1グリッド電極とこの第1グリッド電極
と隣接してビードガラスを保持しているサポートピンと
の間隙に対向するネックガラス内壁面とに、金属または
金属酸化物の導電膜を有するものである。
【0012】まず、陰極線管内で発生する放電のメカニ
ズムを分析し、この放電抑制の原理について詳細に説明
する。
【0013】陰極線管内で発生する放電は、その発生場
所によって、大別して2種類の放電に分けられる。1つ
は、電子レンズを構成する複数個の電極の間隙における
真空空間で発生する真空放電であり、もう1つは、真空
中にあるネックガラスやビードガラス、あるいは内部分
割抵抗などの絶縁体表面で発生する真空沿面放電であ
る。このうち、真空放電は電極に付着した異物や電極上
の傷によって引き起こされると考えられる。真空放電
は、発生するとその放電電流により異物や傷などが取り
除かれることが多いので、比較的陰極線管の使用初期に
おいて単発的に発生し、それより以降は発生しづらくな
る。これに対し、真空沿面放電は、陰極線管内に存在す
る種々の電子放射源により発生する。
【0014】この電子放射源から放射される代表的なも
のは次のようなものである。まず第1には、不要な熱電
子放射によるものである。陰極線管の電子ビームの電子
供給は、ヒータにより加熱されたカソード材料から発す
る熱電子によるものであるが、このカソード材料が、陰
極線管の製造工程において、時には、所定の位置以外に
付着し、且つ、これが同一ヒータによって加熱されうる
場所にあると、ここから不要な熱電子が放射されること
になる。こうして放射された不要な電子は、ヒータ付近
にあるフォーカス電極等に所定の電圧を印加するリード
線などの相対的により高い電圧を有する部材によって加
速されて、それらの一部の電子はネックガラスやビード
ガラスなどの絶縁体に到達し、沿面放電を引き起こす。
【0015】2番目は、電極間隙からの漏れ電子であ
る。電子レンズを構成する電極間隙は最大数mm程度の
大きさである。カソードから放射された電子ビームは円
筒形をした各電極内部を進んでいくが、この電子ビーム
は特定の広がり(ビーム径)をもっているので、このう
ち、ごく一部の電子は電子ビームの軌道をずれて電極間
隙から電子銃外部に漏れて絶縁体へと至り、沿面放電の
発生源となる。
【0016】3番目は、散乱電子である。陰極線管の前
面ガラスの内面には、電子が衝突することによって発光
する蛍光体が塗布され、R、G、B、3色の蛍光面を形
成している。また、カラー陰極線管の場合には、アパー
チャーグリルあるいはシャドーマスクと呼ばれる色選別
電極が装着されている。高電圧によって加速された電子
が、この蛍光体や色選別電極に衝突すると、弾性散乱を
起こして2次電子として放出される。このようにして放
出された電子は、陰極線管内を飛行し、その一部は電子
銃とネックガラスの隙間からネック管部内へ飛来し、絶
縁体に衝突して沿面放電を引き起こす原因となる。
【0017】4番目は、真空放電と同様に、電極に付着
した異物や傷に電界集中することによって放出される冷
電子である。
【0018】以上の様に、沿面放電を引き起こす原因と
なる不要電子放射はいくつもの種類があり、このうち、
漏れ電子や散乱電子は正常な陰極線管でも動作中には必
ず発生するものである。また、熱電子放射や冷電子放出
の場合においても、沿面放電の火花放電時の陰極と電子
放出源とは必ずしも一致しないので、沿面での火花放電
が発生したとしても、電子放出源がその電流の衝撃によ
って清浄化されない場合が多い。これらのことから、陰
極線管内の沿面放電は、陰極線管の寿命の中で、長期に
わたり、散発的に発生しやすく、ときには、多発する虞
さえある。
【0019】以上は、不要な電子放射が真空沿面放電を
引き起こす電子について述べてきたが、この不要な電子
がどのようにして真空沿面放電を引き起こすか、その過
程についてはこれまでに十分解明されていない。しか
し、不要電子放射から真空沿面放電に至る過程の中で、
絶縁体表面で発生する2次電子放出雪崩と呼ばれるプロ
セスが非常に重要な役割を担っていることが解ってい
る。この2次電子放出雪崩とは、次のような現象であ
る。電子が絶縁体に衝突すると絶縁体表面から2次電子
が放出される。この時、周囲の電場の条件が合致してい
れば、放出された2次電子は、再び絶縁体に衝突して2
次電子を放出する。ここで、衝突する電子の量に対する
放出される2次電子の量は、絶縁体材料と衝突する電子
のエネルギーに依存する。絶縁体材料とエネルギーによ
っては、放出される2次電子の量が衝突電子の量より大
きくなる。このような条件で、2次電子の放出と絶縁体
への再衝突を繰り返せば、非常に大きな電流が絶縁体表
面に流れるようになる。この現象が2次電子放出雪崩で
ある。この場合、絶縁体表面では、付着する電子よりも
放出される電子の方が多くなるので、絶縁体表面は正に
帯電する。2次電子放出雪崩が発生すると、電子衝撃に
より絶縁体表面から吸着ガスが放出され、このガスと電
子との衝突によりガスが電離してプラズマ状態になり、
絶縁体表面は非常に良好な導電性を得ることになる。こ
のようなプラズマチャンネルが生成されると、外部回路
からの電流供給により、放電に至ると考えられる。
【0020】ところで、上述のような放電現象を抑制す
る方法として、金属などの導電膜を絶縁体表面上に形成
する放電抑止方法がある。この方策は、主に上述した2
次電子放出雪崩に対するものである。そこで、導電膜が
2次電子放出雪崩を抑制するメカニズムについて説明す
る。
【0021】まず、真空中の絶縁体表面での2次電子放
出雪崩が発生する条件は、以下のように示される。図3
に示すように、真空中に絶縁体が存在し、その表面近辺
の真空空間において一様な電界が広がっていると仮定す
る。ここで、ネック管部の管軸方向をX方向とし、この
管軸に対し垂直な方向をY方向とし、絶縁体の表面はX
方向に沿って位置するものとする。したがって、2次電
子放出雪崩を引き起こす源の電子放射源から飛来する電
子はY軸方向から絶縁体に入射、衝突するものとする。
この飛来した電子が絶縁体と衝突し、2次電子が放出さ
れる方向は、実際には、ランダムであるが、平均的には
絶縁体表面に対し、垂直方向である。また、この真空空
間のX方向およびY方向の電界強度を、それぞれEx、
Eyで表す。
【0022】ここで、飛来した電子が絶縁体と衝突した
点をX、Y軸の原点にとり、飛び出した2次電子の軌道
を電子の運動方程式により求めると、図3の軌跡を描
き、元の絶縁体に戻る。この2次電子が飛んだX方向の
最大距離をδx、Y方向の最大距離をδyとすると、δ
x、δyはそれぞれ下記(1)(2)式で表される。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】 ここで、Aoは2次電子の放出エネルギーを表す。
【0025】この放出エネルギーAoと絶縁体に衝突し
たときの電子の入射エネルギーAとの関係は下記(3)
式で表される。
【数3】
【0026】一方、絶縁体材料に衝突したときの電子の
入射エネルギーAとそこから放出される2次電子の増幅
率の関係は、一般的に図4のような関係で示される。上
述の2次電子の運動式との関係から、入射エネルギーA
が図4の2次電子増幅率が1を超える範囲を満たす電界
の条件が求められる。この結果を図5に示す。この図に
おいて、斜線で示す電界範囲が2次電子放出雪崩を発生
させる電界条件となる。
【0027】さらに、放電につながるプラズマチャンネ
ルを形成することができる電子やガスの密度は、2次電
子放出と絶縁体との衝突までのサイクルが十分に短いも
のでなければならない。そこで、δyを0.1mm以下
とすると、短いサイクルで2次電子放出と衝突を繰り返
す場合の電界の条件が求められる。この条件を満たす電
界範囲を図6の斜線部分で示す。
【0028】以上の2つの条件から2次電子放出雪崩と
みなせるような2次電子放出と衝突の繰り返しを発生さ
せる電界の条件が得られ、この電界範囲を図7の格子状
領域で示す。
【0029】以上のように、2次電子放出雪崩が発生す
る場合の条件を満たす電界範囲が求められたが、金属な
どの導電膜が絶縁体表面に存在する場合は、導電膜は同
電位となり、導電膜付近の電界は導電膜に平行な方向に
向かう。電界がこのようになると、2次電子放出雪崩を
発生させる電界の条件の範囲外になり、2次電子放出雪
崩は発生しなくなる。これが導電膜の放電抑制効果のメ
カニズムである。
【0030】上述の2次電子放出雪崩に関する解析手法
を用いて、従来の技術で記した中間電極を備えたユニポ
テンシャル型の陰極線管(図8参照)における2次電子
放出雪崩を発生させる電界条件を求め、逆に、その電界
条件を満たす場所をネック管部について調べると、ネッ
クガラス12のビードガラス11を含んだ断面について
は、第2グリッド電極3と中間電極7との間隙に当たる
部分であり、その面に直行する断面では、サポートピン
10の側面部と第2グリッド電極3に当たる部分である
ことが判明した。一方、ビードガラス11については、
ネックガラス12と対面する面上で、中間電極7と第3
グリッド電極4との間隙に当たる部分であることが明ら
かになった。そして、その範囲は電子銃の軸方向に対し
10mm以内の範囲である。したがって、導電膜は、上
述の範囲を覆う程度に形成することが2次電子放出雪崩
の発生を抑制することとなる。
【0031】第1の実施の形態例 上述の放電解析から求めた2次電子放出雪崩を抑制する
導電膜をネックガラス内壁面に形成した陰極線管のネッ
ク管部の構成図を図1に示す。本例に用いた陰極線管
は、従来の技術で記した中間電極を備えたユニポテンシ
ャル型の1ガン3ビームの陰極線管と同型のものであ
り、導電膜を付加する以外の電子銃の基本的構成は同じ
であるので、導電膜を除く電子銃の構成についての説明
は省略する。なお、図中の符号において、従来の技術で
記したものと同一部材または同一機能のものは、同一符
号で示す。
【0032】図1(a)において、導電膜15は、上述
の解析手法により、2次電子放出雪崩が発生しやすい絶
縁体表面、すなわち、第2グリッド電極3と対向するネ
ックガラス12の内壁面と、サポートピン10と第1グ
リッド電極2との間隙と対向するネックガラス12の内
壁面に形成されている。また、導電膜15の管軸方向の
幅は、放電抑制効果を得るために、10mm以下にする
のがよい。
【0033】さらに、ネックガラス12の内壁面の導電
膜15は、図1(a)のA−A線上の断面図である図1
(b)に示すように、ネックガラス12の内壁面の周方
向に沿って、複数個の円弧状(図は4個)に分割、配設
され、そのうちの少なくとも1個の導電膜15はビード
ガラス11と対向している。これは、CRT製造工程中
の電子銃封入工程において、組立てられた電子銃をネッ
ク管部内に挿入するとき、電子銃に付帯してネックガラ
ス12内で電子銃を保持するスプリング支持片13(図
1(a)参照)が導電膜15の一部を剥がしたり、傷つ
けたりして、放電を誘起する虞があるので、電子銃挿入
時のスプリング支持片13の通過路上には、導電膜15
を配設しないようにしたものである。
【0034】導電膜15の作用は、陰極線管内の種々の
不要な電子放射源から引き起こされる2次電子放出雪崩
の条件を満たす電界を陰極線管内に形成しないようにす
るものである。上述のような最も2次電子放出雪崩が発
生しやすい位置に導電膜15を配すると、この導電膜1
5の周辺の電界は、2次電子放出雪崩を引き起こす範囲
の電界外になってしまい、本実施の形態例の陰極線管で
は、2次電子放出雪崩による沿面放電はきわめて抑制さ
れる。
【0035】第2の実施の形態例 第1の実施の形態例と同様の陰極線管を用い、導電膜1
5の位置のみを変更した。本実施の形態例の陰極線管の
ネック管部の概略構成を図2に示す。この陰極線管のネ
ックガラス12内壁面上の導電膜15は、第2グリッド
電極と中間電極7との間隙に対向する面に配設し、さら
に、ビードガラス11のネックガラス12と対向してい
る面で、中間電極7と第3グリッド電極4との間隙に対
向する位置に導電膜15を配設する。なお、ビードガラ
ス11面上の導電膜15の管軸方向の幅は、放電抑制効
果を得るために、10mm以下にするのがよい。
【0036】この導電膜15は、第1の実施の形態例と
同様な働きをするが、ネックガラス12内壁面上の導電
膜15と、ビードガラス11表面上の導電膜15とは、
互いの放電抑止力が相まって、より強い放電抑制効果を
生み出すことができる。
【0037】以上のように、このタイプの電子銃の特徴
であるステムから高圧電極までの短い距離の中でも、却
って放電を起こしやすくするほどの広い範囲に導体膜を
形成する必要が無い。ここで、注意すべき点は、2次電
子放出の際、その増幅率に従った帯電が絶縁体表面に発
生し、電界を動的に変化させるという点であり、その解
析は容易ではない。しかしながら、最も強く依存してい
るのは帯電が無い状態での電界であり、その結果に基づ
いても、十分に効果が得られる。そこで、本発明では、
これらの部分に導電膜を独立に形成するものである。
【0038】また、上述の導電膜15は、電子銃の組立
工程前の工程において、ビードガラス11、ネックガラ
ス12の単品状態でもって、それぞれ所定の場所に、た
とえばクロム、ニッケル、チタン等の金属や酸化インジ
ウムや酸化アンチモン等の酸化物をスパッタリング法や
粉末ガラスペーストと混合して塗布して焼結する方法、
あるいは導電微粉末をバインダと混合し塗布後焼結する
方法等で形成する。勿論、電子銃組立て後、上述の作業
を行ってもよい。
【0039】以上、本発明の実施の形態例を説明した
が、本発明は、この実施の形態例に何ら限定されるもの
ではない。実施の形態例では複数の導電膜を組み合わせ
た陰極線管であったが、導電膜は、少なくともどこか一
カ所に形成することで放電抑制効果を得ることができ
る。たとえば、第2グリッド電極と対向するネックガラ
ス内壁面のみに導電膜を形成してもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ネ
ックガラス内壁またはビードガラス表面に形成した導電
膜により、陰極線管内の種々の電子放射源から引き起こ
される2次電子放出雪崩の発生を防ぎ、管内の絶縁体表
面での沿面放電を抑制することができる。さらに、副次
的な効果として、次のような効果も得られる。陰極線管
の耐電圧特性を向上させることを目的に、陰極線管の製
造工程内で管内を高真空状態に保つ作業が行われた後
に、電子銃に通常使用する2倍以上の高電圧を印加し
て、電極間で真空放電を発生させて電極上にある異物や
傷を取り除いている(ノッキング工程)。しかし、この
途中で真空沿面放電が発生すると、先に述べた理由によ
り、異物や傷の除去が十分に行われなくなる。本発明を
用いた場合、この作業における真空沿面放電も防止する
ことができるため、十分なノッキング効果が得られるの
で、電子銃の耐圧特性がさらに向上する。また、ネック
ガラス内の電位が安定化することにより、ネックガラス
と電子銃の間隙のクリアランスを小さくでき、電子銃の
レンズ径の大口径化が容易になり、フォーカス特性を向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の第1の実施の形態例の陰極
線管のネック管部要部の模式的断面図で、(b)はその
A−A線断面図である。
【図2】 第2の実施の形態例の陰極線管のネック管部
要部の模式的断面図である。
【図3】 2次電子の軌道を説明する図である。
【図4】 入射エネルギーと2次電子増幅率との関係を
示す図である。
【図5】 2次電子放出雪崩が発生する電界条件を示す
図である。
【図6】 2次電子放出雪崩が発生する電界条件を示す
図である。
【図7】 2次電子放出雪崩が発生する電界条件を示す
図である。
【図8】 従来の陰極線管のネック管部要部の模式的断
面図である。
【図9】 (a)は従来方法で放電対策した陰極線管の
ネック管部要部の模式的断面図で、(b)はそのB−B
線断面図である。
【符号の説明】
1…カソード、2…第1グリッド電極、3…第2グリッ
ド電極、4…第3グリッド電極、5…第4グリッド電
極、6…アノード電極、7…中間電極、8…補助電極、
9…コンバージェンスプレート、10…サポートピン、
11…ビードガラス、12…ネックガラス、13…スプ
リング支持片、14…金属線、15…導電膜。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1グリッド電極、第2グリッド電極お
    よび第3グリッド電極でプリフォーカスレンズを構成す
    ると共に、前記第2グリッド電極と前記第3グリッド電
    極との間に、前記第2グリッド電極の電位と前記第3グ
    リッド電極の電位の中間の電位を有する中間電極を具備
    する陰極線管において、 前記第2グリッド電極と対向するネックガラス内壁面に
    導電膜を有することを特徴とする陰極線管。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の陰極線管において、 前記第1グリッド電極と該第1グリッド電極と隣接して
    ビードガラスを保持するサポートピンとの間隙に対向す
    るネックガラス内壁面に、さらに導電膜を有することを
    特徴とする陰極線管。
  3. 【請求項3】 第1グリッド電極、第2グリッド電極お
    よび第3グリッド電極でプリフォーカスレンズを構成す
    ると共に、前記第2グリッド電極と前記第3グリッド電
    極との間に、前記第2グリッド電極の電位と前記第3グ
    リッド電極の電位の中間の電位を有する中間電極を具備
    する陰極線管において、 前記第2グリッド電極と前記中間電極との間隙に対向す
    るネックガラス内壁面に導電膜を有すると共に、前記中
    間電極と第3グリッド電極との間隙に対向するビードガ
    ラスの前記ネックガラスと対面する面上に導電膜を有す
    ることを特徴とする陰極線管。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の陰極線管において、 前記ネックガラス内壁面および前記ビードガラスの面上
    の導電膜の管軸方向の幅は、10mm以下であることを
    特徴とする陰極線管。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の陰極線管において、 管軸と直交する断面における前記ネックガラス内壁面上
    の前記導電膜は、前記ネックガラス内壁面の周方向に沿
    って、1個乃至複数個の円弧状断面を有し、少なくとも
    前記1個の円弧状断面の導電膜は前記ビードガラスと対
    向することを特徴とする陰極線管。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の陰極線管において、 前記導電膜は、少なくとも、クロム、ニッケル、チタ
    ン、酸化錫、酸化インジウムをドープした酸化錫、およ
    び酸化インジウムと酸化アンチモンをドープした酸化錫
    のいずれか1つを含むことを特徴とする陰極線管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016054072A (ja) * 2014-09-03 2016-04-14 株式会社ニューフレアテクノロジー 電子銃用サポート部材および電子銃装置

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JP2016054072A (ja) * 2014-09-03 2016-04-14 株式会社ニューフレアテクノロジー 電子銃用サポート部材および電子銃装置

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