JPH07292145A - 発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物及び架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents

発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物及び架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体

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JPH07292145A
JPH07292145A JP8983994A JP8983994A JPH07292145A JP H07292145 A JPH07292145 A JP H07292145A JP 8983994 A JP8983994 A JP 8983994A JP 8983994 A JP8983994 A JP 8983994A JP H07292145 A JPH07292145 A JP H07292145A
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resin
polyolefin
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謙治 居内
Koichi Shibayama
晃一 柴山
Masao Ogasa
眞男 小笠
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐放射線性を有するポリプロピレン系樹
脂を選択的に用いることにより、電離性放射線を照射し
た際にも、分子量の低下等による発泡体の性能を損なわ
ない架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体、及び該架橋発泡
体を与えることができる発泡性ポリオレフィン系樹脂組
成物を提供すること。 【構成】 キシレン抽出法により25℃で測定した膨潤
比が15%以上であって、結晶化度が30〜50%の範
囲内にあるポリプロピレン系樹脂と、ポリエチレン系樹
脂とを含有する樹脂成分中に、多官能モノマーからなる
架橋助剤、及び熱分解型発泡剤を添加してなる発泡性ポ
リオレフィン系樹脂組成物。該発泡性ポリオレフィン系
樹脂組成物を所望の形状に成形した後、電離性放射線を
照射して架橋し、次いで、加熱発泡してなる架橋ポリオ
レフィン系樹脂発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業用の利用分野】本発明は、発泡性ポリオレフィン
系樹脂組成物及び架橋発泡体に関し、更に詳しくは、電
離性放射線の照射による架橋時の樹脂の劣化が抑制さ
れ、外観、成形加工性、強靭性、耐熱性、気泡構造の均
一性などに優れた架橋発泡体を与えることができる発泡
性ポリオレフィン系樹脂組成物、及びが樹脂組成物を架
橋・発泡してなる架橋発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた
耐熱性及び断熱性を有しているため、断熱材やクッショ
ン材、雑貨などとして広く使用されており、さらに最近
では、車両用内装材等として、天井、ドア、インスツル
メントパネルなどの断熱材に利用されている。従来よ
り、ポリオレフィン系樹脂の発泡体を製造する場合、熱
分解型発泡剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を
シート状物などの所望の形状に成形した後、加熱発泡時
に必要な粘弾性を得るために架橋している。架橋方法に
は、過酸化物架橋、水架橋、照射架橋など各種の方法が
あるが、その中でも、電離性放射線を照射して架橋させ
る方法が代表的なものである。
【0003】ところが、一般的にポリプロピレン系樹脂
は、放射線に対して崩壊性であるため、照射時にポリマ
ー主鎖の切断が起きて樹脂が劣化してしまうという問題
点があった。照射架橋時に分子量の低下等の樹脂の劣化
が生じると、外観、耐熱性、気泡構造などに劣る架橋発
泡体しか得ることができない。しかも、得られた架橋発
泡体は、複雑な形状や深い形状の成形体に二次加工する
ことが困難である。
【0004】そこで、ポリプロピレン系樹脂を主成分と
するポリオレフィン系樹脂の架橋発泡体を製造する場合
には、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート
などの多官能モノマーを架橋助剤として添加したり(特
公昭46−38716号など)、酸化防止剤を添加する
ことが行われている。しかしながら、これらの工夫を施
していても、電離性放射線を照射してポリプロピレン系
樹脂を架橋させると、架橋反応に並行して分子鎖の切断
による分子量の低下が必然的に発生する。また、添加剤
を多く添加することは、工程的にも、物性の面からも不
利である。
【0005】ポリプロピレン系樹脂自体の耐放射線性を
高めることができれば、照射による樹脂の劣化を抑制し
て、外観及び物性が共に優れた架橋発泡体を得ることが
可能であるが、従来、ポリプロピレン系樹脂自体の耐放
射線性の改良に関する提案はなされていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
耐放射線性を有するポリプロピレン系樹脂を選択的に用
いることにより、電離性放射線を照射した際にも、分子
量の低下等による発泡体の性能を損なわない架橋ポリオ
レフィン系樹脂発泡体、及び該架橋発泡体を与えること
ができる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供する
ことにある。
【0007】本発明者らは、架橋助剤や酸化防止剤など
の添加剤成分によるポリオレフィン系樹脂の架橋特性の
改善のみならず、ポリプロピレン系樹脂自体の耐放射線
性を高めることができれば、優れた諸特性を有する架橋
発泡体が得られるのではないかと考え、鋭意研究した結
果、特定の物性を有するポリプロピレン系樹脂が、顕著
に高い耐放射線性を示すことを見出した。そして、該ポ
リプロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物を用いると、
外観、成形加工性、強靭性、耐熱性、気泡構造の均一性
などの諸特性に優れた架橋発泡体の得られることを見出
した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至
ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
キシレン抽出法により25℃で測定した膨潤比が15%
以上であって、結晶化度が30〜50%の範囲内にある
ポリプロピレン系樹脂と、(B)ポリエチレン系樹脂と
を含有する樹脂成分中に、(C)多官能モノマーからな
る架橋助剤、及び(D)熱分解型発泡剤を添加してなる
ことを特徴とする発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物が
提供される。また、本発明によれば、上記の発泡性ポリ
オレフィン系樹脂組成物を所望の形状に成形した後、電
離性放射線を照射して架橋し、次いで、加熱発泡してな
ることを特徴とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が
提供される。
【0009】更に、本発明の好ましい実施態様または他
の実施態様として、以下の1〜4が提供される。 1.樹脂成分が、(A)ポリプロピレン系樹脂45〜9
0重量%と、(B)ポリエチレン系樹脂55〜10重量
%を含有するものである前記発泡性組成物、及び架橋発
泡体。 2.(A)ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス
(MI)が0.3〜10で、(B)ポリエチレン系樹脂
のMIが1〜25である前記発泡性組成物、及び架橋発
泡体。 3.(A)ポリプロピレン系樹脂が、膨潤比が18%以
上で、結晶化度が35〜45%の範囲内にあるものであ
る前記発泡性組成物、及び架橋発泡体。 4.前記発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を、熱分解
型発泡剤の分解温度未満の温度で所望の形状に成形した
後、電離性放射線を照射して架橋させ、次いで、熱分解
型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させることを特
徴とする架橋 発泡体の製造方法。
【0010】以下、本発明について詳述する。ポリプロピレン系樹脂 本発明で用いるポリプロプレン系樹脂は、前記特性を有
するものであれば、特に限定されるものではなく、ポリ
プロピレン単独重合体またはプロピレンを主成分とする
共重合体、更にはこれらの混合物のいずれでもよい。共
重合体としては、プロピレン−αオレフィン共重合体が
好ましい。共重合成分のαオレフィンとしては、エチレ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示される。共
重合体中、プロピレンの割合は、好ましくは80重量%
以上、より好ましくは85重量%以上である。本発明で
使用するポリプロピレン系樹脂は、キシレン抽出法によ
り25℃で測定した膨潤比が15%以上であって、結晶
化度が30〜50%の範囲内にあるポリプロピレン系樹
脂である。
【0011】本発明者らは、ポリプロピレン系樹脂の耐
放射線性の指標として、膨潤比及び結晶化度を使用でき
ることを見出した。後記するように、高結晶化度のポリ
プロピレン系樹脂は、放射線照射により劣化し易いα晶
を多く含むため、結晶化度を中程度とすることが耐放射
線性を高める上で有効である。一方、同一の結晶化度の
ポリプロピレン系樹脂は、球晶サイズが大きいほど、放
射線照射により球晶間のタイ分子の切断が発生し易いた
め、球晶サイズを小さくすることが耐放射線性を高める
上で有効である。球晶サイズの大きさは、膨潤比を指標
として表すことができ、これが大きいほど球晶サイズが
小さく耐放射線性に優れていることを示す。したがっ
て、膨潤比が大きく、かつ、結晶化度が中程度のポリプ
ロピレン系樹脂を選択的に使用すれば、耐放射線性を顕
著に高めることができる。
【0012】本発明における膨潤比の測定方法は、次の
通りである。ポリプロピレン系樹脂を200℃で厚さ1
mmのシート状に成形し、得られたシート状試料を重量
比で100倍以上のキシレン中に、25℃で24時間浸
漬する。次いで、シート状試料をキシレン中から引き上
げ、引き上げた直後の試料の重量をもとの試料の重量で
除し、その際の重量増加率(%)を算出する。これを常
温膨潤比と称する。
【0013】本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の常
温膨潤比は、15%以上であることが必要であり、好ま
しくは18%以上である。ポリプロピレン系樹脂の常温
膨潤比が15%より小さいと、放射線照射時に、分子鎖
の切断に伴う分子量の低下の程度が大きくなるため、架
橋体中に均一な架橋を展開させることが困難となり、そ
の結果、良好な物性を有する架橋発泡体を製造すること
が困難になる。
【0014】本発明における結晶化度の測定方法は、次
の通りである。ポリプロピレン系樹脂を170℃で2分
間プレスして1mm厚に圧縮成形し、次いで、常温まで
徐冷してフィルム試料を作成する。このフィルムを広角
X線回折装置を用いて、CuKα線(波長=1.540
52Å)により、出力9kW(50kV×180m
A)、積算回数3回、10°〜30°の範囲で、多重ピ
ーク回折法にて求める。
【0015】本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の結
晶化度は、30〜50%である必要があり、好ましくは
35〜45%である。結晶化度が50%を越えると、ポ
リプロピレン系樹脂の架橋効率が十分ではなくなり、架
橋させるために多量の電離性放射線を照射したり、多量
の架橋助剤を添加したりする必要があり、その結果、照
射時の分子鎖の切断による劣化や、架橋助剤の樹脂表面
部分への滲出(ブリードアウト)等の問題が生じて、十
分な強度と耐熱性を有する架橋発泡体を得ることが困難
になる。一方、結晶化度が30%未満であると、樹脂そ
のものの強度や耐熱性が不足するため、得られる架橋発
泡体の強度や耐熱性がやはり不十分となる。
【0016】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂の
メルトインデックス(MI)は、好ましくは0.3〜1
0、より好ましくは0.5〜8である。ポリプロピレン
系樹脂のMIは、低すぎると押し出しが困難であり、逆
に、高すぎると耐熱性が不十分となる。
【0017】ポリエチレン系樹脂 本発明で使用するポリエチレン系樹脂は、エチレンの単
独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα−オレ
フィンなどとの共重合体、及びこれらの混合物などを挙
げることができる。エチレン単独重合体としては、低密
度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レンなどがある。エチレンを主成分とする共重合体とし
ては、エチレン−αオレフィン共重合体を挙げることが
できる。共重合成分のαオレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メ
チル1−ペンテン、1−オクテン等が例示され、これら
は1種または2種以上を組み合わせてエチレンと共重合
させることができる。また、エチレンと(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル類と
の共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体なども
使用できる。共重合体中、エチレンの割合は、好ましく
は80重量%以上である。
【0018】ポリエチレン系樹脂のMIは、好ましくは
1〜25、より好ましくは3〜20である。ポリエチレ
ン系樹脂のMIは、低すぎると押し出しが困難であり、
逆に、高すぎると耐熱性が不十分となる。
【0019】発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物 本発明の発泡性樹脂組成物は、前記特定のポリプロピレ
ン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを樹脂成分として含有
する。本発明におけるポリプロピレン系樹脂とポリエチ
レン系樹脂の配合比率は、好ましくは、ポリプロピレン
系樹脂が45〜90重量%で、ポリエチレン系樹脂が5
5〜10重量%であり、より好ましくは、ポリプロピレ
ン系樹脂50〜80重量%とポリエチレン系樹脂50〜
20重量%である。ポリプロピレン系樹脂の配合比率が
90重量%を越えると架橋発泡体が必要以上に硬いもの
となり、逆に、45重量%未満であると架橋発泡体の強
度及び耐熱性が低下するため、好ましくない。
【0020】本発明の発泡性ポリオレフィン系組成物
は、必須成分として、前記樹脂成分の他に、架橋助剤と
して多官能モノマー、及び発泡剤として熱分解型発泡剤
を含有する。本発明で架橋助剤として用いる多官能モノ
マーとしては、ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、
ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジ
ベンジル、ジビニルピリジン、及びこれらの核置換体や
近縁同族体;トリメリット酸トリアリルエステル、フタ
ル酸ジアリルエステル等の芳香族カルボン酸アリルエス
テル、及びこれらの核置換化合物;酢酸アリル、プロピ
オン酸アリル、コハク酸ジアリル、マロン酸ジアリル、
トリカリバリル酸トリアリル等の脂肪族カルボン酸アリ
ルエステル、及びこれらの置換体;イソブチルメタクリ
レート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ス
テアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレー
ト、トリデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の化合物が
例示される。これらは、それぞれ単独で用いることがで
きるが、異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0021】これらの多官能モノマーは、樹脂成分10
0重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、よ
り好ましくは1〜7重量部の割合で使用する。多官能モ
ノマーの配合割合が少なすぎると架橋が不十分となり、
逆に、多すぎると架橋が不均一となったり、あるいは架
橋密度が上がりすぎて成形加工性が低下する。
【0022】本発明で使用する熱分解型発泡剤は、加熱
により分解して気体を発生する化合物であり、ポリプロ
ピレン系樹脂の融点以上の分解温度を有するものであれ
ば特に限定されない。このような化合物としては、例え
ば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラ
ジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、トルエンス
ルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンス
ルホニルヒドラジド)等が挙げられる。
【0023】熱分解型発泡剤は、樹脂成分100重量部
に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは
4〜25重量部であり、所望の発泡倍率等に応じて適宜
定めることができる。熱分解型発泡剤の添加量が少なす
ぎると得られる架橋発泡体の発泡倍率が低下し、多すぎ
ると得られる架橋発泡体の強度が不足する。
【0024】本発明の発泡性ポリオレフィン系樹脂組成
物には、所望により、過酸化ベンゾイルで例示されるラ
ジカル発生剤、フェノール系抗酸化剤、リン系抗酸化
剤、アミン系抗酸化剤、イオウ系抗酸化剤で例示される
酸化防止剤や金属害防止剤等の安定剤、難燃剤、充填
剤、帯電防止剤、顔料等を添加することができる。
【0025】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体 本発明の架橋発泡体を得るには、先ず、発泡性ポリオレ
フィン系樹脂組成物を調製して所望の形状に成形し、次
いで、電離性放射線を照射して架橋した後、加熱発泡さ
せる。発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物は、各成分を
単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール
等の混練装置を用いて、熱分解型発泡剤の分解温度未満
の温度で溶融混練して、所望の形状、通常はシート状に
成形する。次いで、発泡性樹脂組成物からなる成形物に
電離性放射線を照射して架橋し、しかる後、熱分解型発
泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させると、架橋発泡
体を得ることができる。なお、架橋発泡体の形状は、シ
ート状のものに限定されず、板状、チューブ状など如何
なるものであってもよい。
【0026】電離性放射線としては、α線、β線、γ
線、電子線等を挙げることができ、特に電子線が好まし
い。照射線量は、通常、1〜20Mrad、好ましくは
1〜8Mradである。照射線量が低すぎると、架橋度
が低下して架橋発泡体の強度が不足し、かつ、十分な発
泡倍率が得られない。逆に、照射線量が高すぎると、架
橋発泡体は必要以上に硬いものとなり、所望の柔軟性が
得られない。発泡方法としては、熱風発泡、押出発泡、
バッチ式の発泡など任意の方法が採用できる。
【0027】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
は、架橋の際に電離性放射線を照射しても、分子量の低
下等の樹脂の劣化が抑制されているため、高発泡倍率が
可能であり、かつ、均一気泡分布の独立気泡を有し、外
観が良好で、しかも耐熱性、柔軟性、強靭性、成形性、
圧縮歪回復性に優れており、複雑で深い形状の成形体に
加工することができる。
【0028】
【作用】かかる結果をもたらした理由は、必ずしも明確
ではないが、以下のように推測される。ポリプロピレン
系樹脂は、電離性放射線に対して劣化性であり、照射架
橋の際の分子鎖の切断が問題になる。ポリプロピレン系
樹脂用の架橋助剤として、多くの化合物が検討されてい
るが、どのような架橋助剤を用いても劣化を完全に防ぐ
ことは困難であり、ポリプロピレン系樹脂そのものが有
する耐放射線性の度合を高めることが望ましい。
【0029】ポリプロピレン系樹脂の結晶形態は、α
晶、β晶、スメチカ晶に分類されているが、放射線照射
によって劣化する部分は、主にα晶であると考えられ
る。高結晶化度のポリプロピレン系樹脂は、結晶中にα
晶の占める割合が多く、放射線照射によって劣化する度
合も大きいと考えられる。
【0030】一方、球晶形態という面から見ると、放射
線照射による劣化の度合は、球晶サイズの大きさに依存
すると考えられる。すなわち、同一の結晶化度のポリプ
ロピレン系樹脂の場合、球晶サイズが大きいほど、球晶
間のタイ分子の切断が発生し易く、放射線照射による力
学的特性の低下が顕著になると考えられる。球晶サイズ
は、偏光顕微鏡によって観察が可能であるが、簡便に
は、常温膨潤比を球晶サイズの指標とすることができ
る。球晶サイズが小さいほど、球晶間に溶媒が侵入する
度合いが大きくなると考えられるため、常温膨潤比が大
きく表れる。
【0031】したがって、結晶化度が中程度で、かつ、
常温膨潤比が大きいポリプロピレン系樹脂を選択的に使
用すれば、耐放射線性に優れているため、得られる架橋
発泡体は、ポリプロピレン系樹脂の劣化の度合が小さ
く、良好な物性を示すことができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。
【0033】なお、物性の測定法は、以下の通りであ
る。 (1)メルトインデックス(MI) ASTM D−1238に従って求めた。 (2)結晶化度 ポリプロピレン系樹脂を170℃で2分間プレスして1
mm厚に圧縮成形し、その後、常温まで徐冷させ測定用
のフィルムを作成した。このフィルムをリガク(株)製
広角X線回折装置(形式:RINT1400)を用い
て、X線はCuKα線(波長:1.54052Å)で、
出力を9kW(50kV×180mA)、積算回数3回
で、10℃〜30℃の範囲で多重ピーク回折法にて求め
た。
【0034】(3)常温膨潤比 ポリプロピレン系樹脂を200℃で厚さ1mmのシート
状に成形し、得られたシート状試料を重量比で100倍
以上のキシレン中に、25℃で24時間浸漬する。次い
で、シート状試料をキシレン中から引き上げ、引き上げ
た直後の試料の重量をもとの試料の重量で除し、その際
の重量増加率(%)を算出する。 (4)架橋度 架橋度の測定は、重量a(g)の発泡体を気泡をつぶし
た状態で、120℃で24時間キシレン中で抽出し、そ
の後、200メッシュの金網で濾過した際の残存物の乾
燥重量b(g)から、下式によって算出する。 架橋度(%)=(b/a)×100
【0035】(5)H/D 発泡体を遠赤外線ヒーターにて発泡体の表面温度が15
0〜160℃になるように加熱し、円柱状メス型金型
(直径100mm、深さは10〜150mmの範囲、1
0mm刻み)を用いて真空成形を行い、その成形時の深
さH(破断しない最大の深さ)と直径Dの比を求める。
H/D値が大きいほど、真空成形などの成形加工性が良
好である。 (6)外観 発泡体を目視にて、ヤブレ、フクレ、ヘコミ、表面荒れ
等が観察されなかった場合は○、一箇所でも確認された
場合は×とした。
【0036】(7)耐熱性 発泡体を140℃にて100kg/cm2の圧力でプレ
スし、シート中のセルが破壊しない場合を○、破壊する
場合を×と評価した。 (8)気泡構造 発泡体の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、20
μm以下の径をもつ気泡を極小気泡とし、極小気泡が存
在しなければ○、存在すれば×とした。
【0037】[実施例1]ポリプロピレン系樹脂(常温
膨潤比22%、MI=2.0、結晶化度40%)65重
量部とポリエチレン系樹脂(密度0.920、MI=
8)35重量部からなる樹脂成分に、架橋助剤としてジ
ビニルベンゼン6.5重量部、熱分解型発泡剤としてア
ゾジカルボンアミド12重量部を添加し、酸化防止剤と
して2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重
量部及びジラウリルチオジプロピオネート0.3重量
部、金属害防止剤としてメチルベンゾトリアゾール0.
5重量部を、2軸押出機(池貝鉄工社製・形式:PCM
87)に供給し、温度180℃で溶融混練して押出し、
厚さ1.0mmのシートを得た。得られた樹脂シート
に、加速電圧700kVで電子線4.0Mradを照射
して架橋させた(架橋度45%)。架橋シートをオープ
ンに入れ、温度250℃で5分間自由発泡させて、発泡
倍率24倍のポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を得た。
評価結果を表1に示す。
【0038】[実施例2〜4、比較例1〜4]ポリプロ
ピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及び架橋助剤を表
1〜2に示す配合にした以外は実施例1と同様にして、
発泡性樹脂組成物シートを作成し、電子線を照射した
後、加熱発泡させて架橋発泡体を得た。評価結果を表1
〜2に示す。
【0039】
【表1】 (*1)DVB:ジビニルベンゼン (*2)TMPT:トリメチロールプロパントリメタク
リレート (*3)DAP:フタル酸ジアリルエステル
【0040】
【表2】 (*1)DVB:ジビニルベンゼン (*2)TMPT:トリメチロールプロパントリメタク
リレート
【0041】表1〜2の結果から明らかなように、結晶
化度及び常温膨潤比が本発明で規定する範囲内のポリプ
ロピレン系樹脂を用いた本発明の架橋発泡体(実施例1
〜4)は、外観、成形加工性、耐熱性、気泡構造などが
共に優れている。これに対して、常温膨潤比が小さかっ
たり(比較例1〜2)、結晶化度が高すぎたり(比較例
3)、結晶化度が低すぎると(比較例4)、いずれの特
性も低下することがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、電離性放射線の照射に
よる架橋時の樹脂の劣化が抑制され、外観、成形加工
性、強靭性、耐熱性、気泡構造の均一性などに優れた架
橋発泡体を与えることができる発泡性ポリオレフィン系
樹脂組成物、及びが樹脂組成物を架橋・発泡してなる架
橋発泡体を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)キシレン抽出法により25℃で測
    定した膨潤比が15%以上であって、結晶化度が30〜
    50%の範囲内にあるポリプロピレン系樹脂と、(B)
    ポリエチレン系樹脂とを含有する樹脂成分中に、(C)
    多官能モノマーからなる架橋助剤、及び(D)熱分解型
    発泡剤を添加してなることを特徴とする発泡性ポリオレ
    フィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発泡性ポリオレフィン系
    樹脂組成物を所望の形状に成形した後、電離性放射線を
    照射して架橋し、次いで、加熱発泡してなることを特徴
    とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103467842A (zh) * 2013-08-22 2013-12-25 湖北祥源新材科技有限公司 一种电子加速器辐照交联纯聚丙烯发泡片材及制备方法
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