JPH07291792A - ダイヤモンド膜形成装置 - Google Patents

ダイヤモンド膜形成装置

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JPH07291792A
JPH07291792A JP8846294A JP8846294A JPH07291792A JP H07291792 A JPH07291792 A JP H07291792A JP 8846294 A JP8846294 A JP 8846294A JP 8846294 A JP8846294 A JP 8846294A JP H07291792 A JPH07291792 A JP H07291792A
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JP
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substrate
diamond film
flame
film forming
flow
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JP8846294A
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English (en)
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Kiyoshi Uchida
清 内田
Akio Ito
明生 伊藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アセチレン酸素系の燃焼炎からダイヤモンド
を析出させて、ダイヤモンド膜を形成する装置におい
て、火炎の流れを安定化させ均一な膜を再現性良く生成
できるダイヤモンド膜形成装置とすることを目的とす
る。 【構成】 ダイヤモンド膜を形成する基板1を保持する
ホルダー2と、該基板1のダイヤモンド膜形成表面に対
向し該膜形成表面にダイヤモンド膜形成用原料用原料ガ
スからなる主流を供給するための主ノズル41と、該主
ノズルの外周遮断ガスを形成する副ノズル42とを具備
するダイヤモンド膜形成装置であって、前記ホルダー2
は前記ダイヤモンド膜形成表面を略連続する表面となり
該ダイヤモンド膜形成表面の周囲に延びる平面を形成す
る部材10をもつことを特徴とするダイヤモンド膜形成
装置。部材10の平面部分は、平面部11と凸状平面1
2とからなる。火炎中の燃焼ガスの流れ6を基板1のよ
り外周方向とし、ダイヤモンドの析出に悪影響を与える
火炎中の燃焼ガスの流れ6を排除する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気相法により基板上にダ
イヤモンド膜を生成するダイヤモンド膜形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドの合成方法には、近年低圧
CVD法で炭化水素または窒素、酸素などを含む有機化
合物と水素との混合ガスを熱フィラメント、マイクロ波
プラズマ、高周波プラズマ、直流放電プラズマ、直流ア
−ク放電などにより励起状態で合成する方法が知られて
いる。特開平1−282193号公報には、アセチレン
酸素火炎の不完全燃焼領域(アセチレンフェザ−と呼ば
れる)に基板を配置して基板上にダイヤモンドを析出さ
せる方法が開示されている。
【0003】このアセチレン酸素系の燃焼炎を用いて均
一でかつ大きな面積をもつダイヤモンドの膜を析出させ
ることは困難であった。これに対し本出願人はいわゆる
前方淀み流平面火炎法を発明し、特開平5−13988
7号として出願した。この方法およびその装置を使用す
ることにより上記の問題を解決し大きな面積に均一にダ
イヤモンド膜を合成することができるようになった。
【0004】すなわち、上記従来のダイヤモンド膜形成
装置は、図7に示すようにダイヤモンド膜を生成するた
めの基板21と、該基板21と対向して配設されかつ炭
素を含むダイヤモンド膜生成用原料を整流して主流とし
て噴出する主ノズル24と、該主ノズル24の外周壁に
設けられ該主ノズル24から噴出される主流に沿って流
れることにより主流を覆い外気遮断ガスの外周流を噴出
する副ノズル25とを有する反応ガス供給装置26と、
前記該基板21を保持し該基板21の温度をダイヤモン
ド膜生成温度に維持する冷却水導排水管23を備えたホ
ルダ−22とから構成されている。
【0005】上記のダイヤモンド膜生成装置では、図8
に示すように反応ガス供給部26から供給される反応ガ
スにより基板21表面近傍に内炎28を形成し、この内
炎28からダイヤモンドを基板21上に析出させる。す
なわち、基板21表面近傍に平行に形成された内炎28
は、基板21に対して均一なカーボン活性種の濃度場と
温度場を提供するため、基板21上の広い範囲にわたっ
て均一なダイヤモンドを析出させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記の装置で
は、非常に燃焼速度の高いアセチレン/水素/酸素系の
予備混合気を反応ガスに用いるため、基板21上に形成
する内炎28は安定性に欠ける点などの問題があった。
すなわち、図8および図9の火炎部の拡大図に示すよう
に内炎28は、基板21表面にバーナノズルから浮き上
がらせて形成させているため、わずかなアセチレン/酸
素比のふれや原料ガスの流速に対する主ノズル(図示し
ない)と基板21との距離のバランスのずれなどが影響
する。
【0007】この問題点を具体的な現象としてとらえる
と、たとえば、内炎28が上下に振動したり、ひどい時
には内炎28が付着火炎になったり、一度基板21に当
たった火炎が主ノズル側へ逆流するなどの火炎の遷移現
象が発生することがあった。これらは燃焼ガスの流れ方
そのものに起因するものである。この内炎28の振動や
遷移は、形成されるダイヤモンド膜31の品質のばらつ
きや、ときには基板21の温度の急変を引き起こし析出
中のダイヤモンド膜の剥離や割れを引き起こすことがあ
る。
【0008】基板21表面近傍に内炎28を形成した火
炎は基板21から離れた後、大気からの酸素の拡散によ
り外炎29を形成する。この外炎29中の燃焼ガスの流
れは基板21から離れた後も非常に速い流速を保ってい
る。この燃焼ガスの流れは、たとえば、基板21を上に
設置しバーナーを下に設置してダイヤモンドを析出させ
る場合、火炎は基板21表面に内炎28を形成後、基板
21から離れて後、対流により上方に向けて紡錘状の形
に形成される。この際、燃焼ガスの流れにより基板21
のエッジ部の後方側に渦流30を生じる。この渦流30
は不安定であり、わずかな外乱によって位置や大きさな
どので渦流30のできかたが変化する。この渦流30の
できかたにより内炎28が振動したり火炎の遷移を起こ
すことが判明した。
【0009】このことはモリブデン製の基板21を使用
した場合、数十分間の成膜を続けると基板21の析出面
の約1mm後方が酸化されてくびれてくる。この現象は
基板21の後方部に渦流30が生じ、これが大気を巻き
込み、高温部のモリブデンが酸化されるために発生する
ことでもわかる。また図9に示すようにダイアモンド膜
31がある厚さに成長すると、ダイヤモンド膜31は基
板21の大きさを超えて横方向(外周部から外側に)に
向けて成長しようとする。しかしこの突き出た部分は水
冷されている基板21により十分に冷却されないために
黒鉛状となり、異常に速い速度で成長しダイヤモンド膜
31の周囲につば状の黒鉛リング32を形成する。この
ような黒鉛リング32が基板21のエッジ部近辺に形成
されると上述した渦流30の発生がさらに激しくなり、
外炎29中の燃焼ガスの流れに遷移が発生し流れ方向が
変化しやすくなる。この渦流30の発生の仕方による外
炎29中の燃焼ガスの流れが内炎28を振動させたり内
炎28の安定化位置を変えたりする問題があった。した
がって、長時間かけて厚い膜を析出させる場合には、時
々析出する黒鉛リング32を機械的に欠き落とす必要が
あるなどの問題があった。
【0010】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、外炎中の燃焼ガスの流れまで含めて火炎を安定さ
せ、安定化された火炎により均一な膜を再現性良く生成
できるダイヤモンド膜形成装置とすることを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のダイヤモンド膜
形成装置は、ダイヤモンド膜を形成する基板を保持する
ホルダーと、該基板のダイヤモンド膜形成表面に対向し
該膜形成表面にダイヤモンド膜形成用原料ガスからなる
主流を供給するための主ノズルと、前記主流を外気から
遮断する遮断ガスを形成する副ノズルとを具備するダイ
ヤモンド膜形成装置であって、前記ホルダーは前記ダイ
ヤモンド膜形成表面と略連続する表面となり該ダイヤモ
ンド膜形成表面の周囲に延びる平面を形成する部材をも
つことを特徴とする。
【0012】本発明のダイヤモンド膜形成装置は、その
ホルダーに特色がある。即ち、ホルダーは前記ダイヤモ
ンド膜形成表面を略連続する表面となり該ダイヤモンド
膜形成表面の周囲に延びる平面を形成する部材をもつ。
この部材表面は基板のダイヤモンド膜形成表面と略連続
するもので、ダイヤモンド膜形成用原料ガスからなる主
流をダイヤモンド膜形成表面と同じ状態で、このダイヤ
モンド膜形成表面の周縁を含めこのダイヤモンド膜形成
表面の周囲に延びる部材表面にも流れる。このため、ダ
イヤモンド膜形成表面の周縁はその中心部分と同じ状態
のダイヤモンド膜が形成できる。
【0013】部材の表面は、ダイヤモンド膜形成表面の
周縁に延びる平面とこの平面の周囲に連続的に延びる凸
状表面とで構成することができる。このダイヤモンド膜
形成表面の周縁に延びる平面により、原料ガスからなる
主流は基板のダイヤモンド膜形成表面と同じ状態でこの
平面に沿って流れる。そして主流は、この平面の周囲に
連続的に延びる凸状表面に沿って流れ、主流の先端側に
発生する乱流を極力基板のダイヤモンド膜形成表面から
離れるようにしている。このため、主流の先端側に発生
する乱流はダイヤモンド膜形成表面に沿った部分の主流
に影響を与えない。このためダイヤモンド膜形成表面に
沿った部分の主流は常に安定した状態にあり、安定した
ダイヤモンド膜の形成が可能となる。
【0014】また、部材の表面は凸状の球状表面で形成
することができる。この凸状の球状表面でも主流はこの
凸状の球状表面に沿って流れ、ダイヤモンド膜形成表面
に沿った部分の主流は常に安定した状態にあり、安定し
たダイヤモンド膜の形成が可能となる。なお、部材は基
板と非接触で近接して配置されているのが好ましい。こ
れにより、ホルダーに保持される基板の交換が容易とな
る。
【0015】また、部材は水冷する必要から良熱伝導材
で形成するのが好ましい。
【0016】
【作用】本発明の装置は、基板の外周縁部にダイヤモン
ド膜形成表面に略連続した平面を形成するような部材を
基板の外周部に設けてある。このため火炎中の燃焼ガス
は基板、部材表面に沿って流れ、基板近辺には火炎流を
乱す渦流が発生しなくなるため基板の下部で非常に安定
した火炎が静かに燃焼する。これは速度の速い火炎中の
燃焼ガスの流を平面に沿って外周部に流すことにより中
心から離れるにしたがって面積が増大する。このため火
炎中の燃焼ガスの流速が低下し、この部材表面から火炎
が離れる際には激しい渦流の発生が抑えられるためであ
る。この結果、原料ガスの組成、全ガス流量、ノズル−
基板間距離などの成膜に重要なフアクターを大幅に変え
ることも可能となり、また内炎(平面火炎)の上下振動
が抑えられ基板表面に安定するため析出するダイヤモン
ド膜の純度が大幅に向上する。また膜の成長速度、純度
の再現性も大幅に向上する。
【0017】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 (実施例1)実施例1のダイヤモンド膜形成装置は、図
1に示すように、炭素を含むダイヤモンド膜生成用原料
を整流して主流として噴出する主ノズル41と、主ノズ
ル41から噴出される主流を覆う外気遮蔽ガス流を噴出
する副ノズル42とからなる反応ガス供給部4と、主ノ
ズル41に対向して配設された基板1と、基板1を保持
して基板1の温度をダイヤモンド膜形成温度に維持する
ホルダ−2と、基板1の先端面の外周縁から外方向に延
びる平面を有する部材10とからなる。このダイヤモン
ド膜形成装置の基板1と主ノズル41との間には外周が
外周流で覆われ略平盤状の不完全燃焼領域を形成して前
記ダイヤモンド膜生成用原料を燃焼させて、該略平盤状
の不完全燃焼領域中に配置された基板表面にダイヤモン
ド膜を形成するものである。
【0018】本発明のダイヤモンド膜形成装置の特徴
は、基板の先端の析出面に連続し基板の外周縁から外方
向に延びる平面の部材を形成したことにある。図2に例
示するように、この部材10は、前記ダイヤモンド膜形
成表面に略連続する平面部分を形成し該平面はつば状平
面11と凸状表面12からなる。部材10のつば状表面
11は、図3に例示するように基板1の下に形成される
火炎の流れ16を基板1の外周縁からより周方向に逃が
す流れとすることにある。この部材10のつば状表面1
1の存在は、基板1の周縁部で火炎が不安定となる渦流
7に基づく振動や遷移を防ぎ、基板1に対して略平面状
に形成した内炎5を安定化して均一なダイヤモンド生成
活性種濃度場を実現する装置とすることができる。そし
て渦流7が発生したとしても部材10の凸状平面12の
端部の上方であり基板1面下の内炎5への影響はなくな
る。
【0019】部材10は、図2に例示するように、基板
1の端面と連続する平面11と平面の周囲に凸状表面1
2からなり該平面部分を所定の位置に固定維持する固定
部13を設け螺子などの係止手段によりホルダー2の側
面に固定される。さらに上記の固定部13は火炎の流れ
6による部材10の温度上昇を防ぐため冷却手段14を
設けるのが好ましい。
【0020】部材10の平面部分の広がり面積は、原料
ガスの吹き出し速度、量によっても異なり一概には決め
られないが、概略バーナーノズル径の10倍以上が好ま
しい。部材10の平面の凸状表面12の形状は、火炎の
流れ6が平面に沿って流れた後凸状表面12から離れる
際に、再び渦流を発生しないように滑らかな曲面部分を
設け、これに沿って火炎を流し離れさせるのが好まし
い。また、部材10の外周端部に大きな曲率部分を設け
た球状表面としてもよい。この面に沿って火炎の流れを
外方向に流し離れさせることができる。
【0021】部材10は、水冷手段を施した銅などの熱
伝導性の高い金属などの良熱伝導材で形成するのが好ま
しい。水冷手段が施された部材10は、基板1と非接触
状態で近接して配置されていることが望ましい。冷却を
施された良熱伝導材で形成された部材10が、基板1に
接触すると基板表面の温度が低下し析出面の温度が不均
一となり、析出ダイヤモンド膜の均一性が損なわれるた
め、基板1と部材10とは接触しない程度の間隙Aを設
けるのが好ましい。また、部材10は強制的に冷却する
ことによって、水平方向に流れる火炎中の燃焼ガスの流
れ6から輻射される熱によるバーナー側への熱負荷を軽
減するのに役立てることができる。
【0022】また、基板1のダイヤモンド析出面と部材
10のつば状平面11との相対位置関係は、基板1のダ
イヤモンド析出面とつば状平面11とが完全に同一面に
なるか、基板1がやや外側に突き出た状態に設置するこ
とが望ましい。この突き出し量Bは、ノズル径および原
料ガスの組成によって決まる燃焼速度との兼ね合いで決
まるノズルからのガスの吹き出し流速に左右され、一概
には決められないが1mm以下、望ましくは0.5mm
以下であることが好ましい。突き出し量Bが負の場合、
すなわち基板1の析出面がつば状平面11より凹んでい
る場合には基板1に当たって外周方向に流れる火炎流が
壁に当たり基板面に対し垂直成分を持つ流れを発生する
ために、基板1に当たった火炎がバーナー側に逆流する
場合があるので好ましくない。
【0023】本装置で用いる反応ガスのアセチレン酸素
火炎のように燃焼速度が非常に速い場合には、逆火を防
ぐために流速を上げて燃焼させることが必要である。と
ころが、この淀み流の場にこれを適用させると、速度勾
配が大きくなり、火炎は伸長を強く受けて吹きとび、安
定な燃焼火炎が形成できない。そこで、水素を添加し、
燃焼速度を下げて、火炎の吹き飛びを防ぐ。さらに、こ
の火炎は当量比が2.5以上の過濃度混合気を用いて形
成するため、バ−ナ−出口で外気との拡散により外炎を
形成し、内炎はバ−ナ−縁に付着してしまう。そこで、
主流の外周を外気遮蔽ガス流により覆い、内炎をバ−ナ
−縁から浮き上がらせて、基板前方に平面状の内炎を形
成する。この平面火炎は、基板前方の略平盤状の不完全
燃焼領域のダイヤモンド生成活性種の濃度場を基板に対
して均一に形成するため、基板上に均質なダイヤモンド
膜が成膜される。
【0024】この平面火炎を安定に維持するには、火炎
に供給される膜生成用原料の主流を整流して供給するこ
とが好ましい。この整流により一様な流れ場が形成でき
乱れのない平面火炎が形成できる。さらに、主流の噴出
口での流速分布を均一にすることがバ−ナ−縁での速度
勾配を大きくするため、内炎が浮き上がりやすくなる。
【0025】従来の溶接バ−ナを用いた場合には、円錐
状の内炎と、その外周に不完全燃焼領域、そしてさらに
その外周に外気との拡散により外炎が形成される。ダイ
ヤモンド生成活性種が生じるのはフェザ−内部である
が、この領域の活性濃度場は、次の要因のため不均一で
ある。一つは内炎が円錐状であるため選択拡散により中
心部の水素濃度が高くなること、一つは外炎からの酸素
の拡散によりフェザ−外面で反応が起こり、活性種が消
費されることである。このためフェザ−中の活性種の濃
度分布は均一ではない。したがって、本発明の方法のよ
うに均質なダイヤモンド膜が得られない。
【0026】主流を形成するアセチレン酸素混合気には
水素を添加するのが最も好ましい。それは、燃焼速度を
下げて平面火炎を安定させるばかりでなく、ダイヤモン
ドと共に析出するグラファイトやアモルファスカ−ボン
と反応して取り除く、エッチング効果を持つからであ
る。このため生成されるダイヤモンド膜の質向上にも寄
与することになる。この混合気の混合比率はアセチレン
/酸素(体積流量比):1.0〜1.2、水素/酸素
(体積流量比):1以下が好ましい。さらに良質のダイ
ヤモンド生成のためには炭素原子/酸素原子の元素比C
/Oを1.0〜1.1にし、さらに水素添加量を少なく
して火炎温度を約3000K以上とするのが好ましい。
また、水素以外にもメタン、エタン、プロパン等の飽和
炭化水素は、水素ラジカルを発生し易く好ましい。さら
に都市ガス等の安価なものも添加剤として用いることが
できる。
【0027】外周遮蔽ガス流としては、水素、都市ガス
などの可燃性ガスの使用が好ましい。それは、可燃性ガ
スが燃焼して拡散火炎として主流を覆うので、外気中の
酸素は、拡散炎で消費され、主流への混入を完全に遮断
することができるからである。さらに拡散炎により外周
の温度が上昇するためガスの動粘性が上がり、乱れを抑
え、より安定な流れ場を形成することができるので好ま
しい。また都市ガスは安価であり好ましい。さらに外気
の酸素が主流に侵入するのを防ぐことができるものであ
れば、不活性ガスの窒素、アルゴンなどを使用すること
もできる。
【0028】基板としてはダイヤモンドが付着しやすい
超硬合金、シリコン、炭化シリコン、アルミナ、タング
ステン、モリブデンなとが使用できる。この基板はホル
ダ−で支持されダイヤモンドを基板上に析出させるのに
適した温度に制御される。そして、その形状は円柱状が
好ましい。主ノズル上流には、原料ガスを整流するディ
フュザ−、ダンピングチェンバが設けられている。ダン
ピングチェンバには、複数の金網、ビ−ズあるいはハニ
カム体を設け、通過する主流をより一様な気流に整流す
る。
【0029】副ノズルは、主ノズル口の外周に開口し、
主流を完全に覆うようにガス流を噴出させる。安定な平
面火炎を形成するために、主ノズルの径Dと、主ノズル
の開口面と基板との基板との間の距離Lは、0.1・D
<L<10・Dの関係が満たされていることが好まし
い。この距離Lが0.1・D以下では平面火炎が形成で
きる空間が保持できないので好ましくない。また距離L
が10・Dを超えると外周流との混合により、平面火炎
の乱れが大きくなり生成膜の均一性が損なわれるので好
ましくない。より好ましい距離Lは0.25・D以上で
ある。0.25・D以下では火炎形状がリング状にな
り、未燃ガス流が直接基板にあたるため、中心部分は成
膜が行なわれない。
【0030】基板面は、バ−ナ−軸に対して垂直に配置
され、その前面で平面火炎を形成し基板を所定のフェザ
−領域に保持する。ホルダ−は基板およびつば部を保持
し、基板の温度を制御するための調整部が設けられてい
る。成膜時の基板の温度条件は約800℃〜950℃に
調整されるのが好ましい。この基板の成膜表面の温度を
制御するために長さの異なる丸棒基板を用いるか、さら
に冷却ホルダーの調整部を用いて基板の裏側から冷却す
ることで800〜950℃となるように制御するのがよ
り好ましい。
【0031】またこの装置での成膜は、減圧室内でも大
気圧下でもおこなうことができる。特に減圧室内では減
圧雰囲気中で化学平衡がラジカルを増加させる方向に変
化するため成膜に好ましい。さらに反応ガス供給装置を
等速で水平方向に移動させることで成膜面積を拡大する
ことができる。これは外周流ガスが基板を覆い燃焼する
ことにより基板の成膜面に酸素が進入するのを防ぎ、ダ
イヤモンド膜の酸化を防いでいるのでフェザー中心を基
板上移動して成膜面積を拡大することができる。さらに
主ノズルに多孔質板を配置すると、内炎の逆火が生じた
ときに消炎または火炎伝播を防ぐことができる。
【0032】またつば状平面を設けて火炎を略水平方向
に流れるようにしたため、基板の外周部に火炎が流れ込
まなくなる。このため、析出したダイヤモンド膜は外周
部につば状の黒鉛リングが発生しなくなる。この結果、
黒鉛リングの後部での渦流の発生が抑えられ、火炎の遷
移の発生を全くなくすることができる。このことにより
基板表面温度の急激な変化が無くなりダイヤモンド膜の
剥離や割れが防げる。
【0033】さらに基板の外周部(横側)に火炎が流れ
込まないために、たとえば、円柱状に限らず目的とする
形状にあわせた析出面の形状を基板の先端部に形作り、
その形状に合った穴をつば状平面に開け、それをはめる
ことにより火炎の流れの不均一とすることなく目的形状
の膜を形成することができる。極端な例として星形の析
出面を形成すると、中心から各周辺部への距離が異なっ
ているため、従来では火炎が非常に不安定であったが本
発明のつば状面を形成によりなんら問題はなく形成でき
る。
【0034】火炎の遷移が防止できたことは、燃焼速度
が速く、逆火の可能性を常に持つアセチレン/水素/酸
素系予混合炎を扱う燃焼炎法の安全性を向上させる上で
も非常に効果が大きい。また基板の外周部に火炎が流れ
込むと、その部分に発生した渦流が外気を巻き込み、こ
の部分のモリブデン基板が酸化されてくびれてくるが、
本装置では、この部分に火炎が流れ込まなくなったため
くびれが皆無になり、モリブデン基板の寿命も大幅に改
善できた。
【0035】さらに周囲に設けるつば状平面の形状を例
えば扇型にするなどして連続して円形状に並べると、平
面火炎を連続して燃焼させたまま基板の交換が可能とな
り、連続成膜が可能になる。 (実施例2)図3に実施例2の装置の要部の模式図を示
す。この装置は反応ガス供給部4と、基板1と、基板1
を保持するホルダ−2とホルダー2に係止された部材1
0とから構成されている。
【0036】ホルダー2は一端が閉じられた筒状で基板
1の温度を制御するための冷却水が保持でき冷却水の注
排水する導管3が一対設けられている。ホルダー2の開
放口側にはモリブデン製で15mm×27mmの丸棒で
一端のダイヤモンド析出面には鏡面研磨が施され他の端
面は基板の温度を制御できるように冷却水と接触してろ
う付けなどでホルダー2に係止されている。そして基板
1の温度の制御はホルダー2に供給する冷却水導排水管
3に供給される冷却水の水量を調節することによりおこ
なう。ホルダー2の外周側面には、図2に示す形状の部
材10がホルダー2に係止されている。この部材10
は、ダイヤモンド膜形成表面を略連続するつば状平面部
11と該平面部分の周囲から延びる凸状の表面部12か
らなり、該つば状平面11を所定の位置に保持する筒状
の固定部13とからなり、固定部13には部材10の温
度を上昇を防ぐ冷却用の冷却水導管14が固定部の周囲
に係止され上端部にホルダー2に螺子で係止する螺子穴
15で螺子によりホルダー2に係止されている。この部
材10は、銅製で基板1が中心に挿入される穴をもち、
基板1と部材10との間隙Aは片側が0.1mmで、基
板1と部材10との段差Bは基板が0.5mm突き出し
て配置されている。
【0037】反応ガス供給部4は、円筒状で頂部の中心
に開口し原料の燃焼ガスを噴出して燃焼させて内炎5を
形成する主ノズル41と、主ノズル41の周囲面にリン
グ状に開口し主流の外周を覆う外周遮蔽ガス流を形成す
る副ノズル51とをもち、原料の反応ガスは下部から導
入され円筒状のディフューザで減速された後、ガス流を
整流する金網が数段配置されたダンピングチェンバ内で
整流されて主ノズル41より吐出される。副ノズル51
はディフューザの上部に設けられた左右の導入管で遮蔽
用のガスが供給される。その頂部の導入管の下部にはノ
ズルを冷却する冷却水路が設けられノズル部の温度上昇
を抑制する。ホルダ−2は基板1を係止し主ノズル41
の上方に位置するように支持固定されている。
【0038】この主ノズル41の軸に対して垂直に基板
1の位置がホルダ−2によって保持され、配置されてい
る。そしてこの基板1に向かって主流が噴出され基板2
の前方で平面状の内炎9が形成され、内炎5と基板3の
間にはダイヤモンド生成活性種を含むフェザ−が存在す
る。この装置を用い大気開放状態で成膜をおこなった。
主ノズル41の出口径3mm、副ノズル51の外周径5
mm、ノズルと基板1との間の距離4.5mmとして、
主流および外周遮蔽ガス流を形成して成膜をおこなっ
た。主流は水素、アセチレン、酸素の混合気流で、各ガ
スの総量で21.5l/minであり、その組成は水素
を4.3l/minとし、残りをアセチレンおよび酸素
でその流量比が炭素/酸素表示で1.00〜1.05に
なるように混合した。析出速度はC/Oが大きくなるほ
ど低下する。また、基板温度が高くなると膜質が低下す
る。この傾向は基板温度が900℃を超える場合に顕著
になる。
【0039】外周遮蔽ガス流は水素で流量を3.0l/
minにして燃焼させて平面火炎を形成したところ、径
が7mmの円盤状のフェザ−が形成された。図5に上記
の装置でC/O=1.01、基板温度885℃で1時間
かけて形成した膜(30μm)のラマン分光のスペクト
ルを示した。この図によれば、1333cmのダイヤモ
ンドに該当するピーク以外に非ダイヤモンド相に相当す
るピークは殆ど認められず、高純度の膜が得られた。 (実施例3)本実施例は、第4図に示すように部材1
0’を銅製でつば状平面11’および凸状平面12’を
曲面形状のものに変えた以外は実施例1と同一の製造装
置である。部材10’の平面部は外径60mm、曲率半
径50mm、厚さ5mmでホルダー2に固定部13が筒
状で側面に水冷手段14の冷却用のパイプが設けてあ
る。部材10’の曲面の中心部には、基板1用の窓が直
径15.2mmの穴が設けてある。この部分に基板1の
一端がつば部平面11より0.5mm突き出するような
段差Bを設けた。
【0040】実施例2と同様に反応ガスを総流量でC/
O=1.00、基板温度850℃で3時間保持して成膜
をおこなった。この間火炎の振動、遷移など全くなく、
火炎の流れ16はこのつば状平面12に沿って静かに流
れ曲面のなくなったところから静かに上方に向かって立
ち上がって流れた。基板1を火炎から取り出すと、基板
1の急激な温度降下により形成された膜は剥離して自立
膜となる。この膜は白色の半透明で厚さ28μmであっ
た。この膜のラマン分光の結果を図6に示す。この図に
よれば、1333cmのダイヤモンドに該当するピーク
以外に非ダイヤモンド相に相当するピークは殆ど認めら
れず、高純度の膜であった。
【0041】
【発明の効果】本発明のダイヤモンド膜形成装置は、基
板の外周辺部につば部を設けたので基板の周縁の火炎の
流れを安定化して燃焼できるので、ダイヤモンド析出に
最適の原料ガス組成、全ガス流量、ノズル−基板間距離
などを大幅な範囲内で変化できるようになり基板上に均
質なダイヤモンド膜を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は実施例1のダイヤモンド膜形成装置
の断面図である。
【図2】 この図は本発明のつば部の側断面図である。
【図3】 この図は実施例2の基板面に連続した平面の
つば部を設けたダイヤモンド膜形成装置である。
【図4】 この図は実施例3の基板面に連続した曲率平
面状のつば部を設けたダイヤモンド膜形成装置である。
【図5】 この図は本実施例2で得たダイヤモンド膜の
ラマンスペクトルである。
【図6】 この図は本実施例3で得たダイヤモンド膜の
ラマンスペクトルである。
【図7】 この図は従来ののダイヤモンド膜形成装置の
断面図である。
【図8】 この図は従来のダイヤモンド膜形成装置で火
炎の流れと渦流の発生を説明する模式図である。
【図9】 この図は従来のダイヤモンド膜形成装置でダ
イヤモンド膜析出時の黒鉛の析出とそれによる渦流の発
生を説明する模式図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド膜を形成する基板を保持す
    るホルダーと、該基板のダイヤモンド膜形成表面に対向
    し該膜形成表面にダイヤモンド膜形成用原料ガスからな
    る主流を供給するための主ノズルと、前記主流を外気か
    ら遮断する遮断ガスを形成する副ノズルとを具備するダ
    イヤモンド膜形成装置であって、 前記ホルダーは前記ダイヤモンド膜形成表面と略連続す
    る表面となり該ダイヤモンド膜形成表面の周囲に延びる
    平面を形成する部材をもつことを特徴とするダイヤモン
    ド膜形成装置。
  2. 【請求項2】 前記部材表面は前記ダイヤモンド膜形成
    表面を略連続する平面と該平面の周囲に連続する凸状の
    球状表面からなる請求項1記載のダイヤモンド膜形成装
    置。
  3. 【請求項3】 前記部材表面は凸状の球状表面からなる
    請求項1記載のダイヤモンド膜形成装置。
  4. 【請求項4】 前記部材は前記基板と非接触で近接して
    配置されている請求項1記載のダイヤモンド膜形成装
    置。
  5. 【請求項5】 前記部材はつば状表面を形成するつば部
    からなる請求項1記載のダイヤモンド膜形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014520201A (ja) * 2011-03-23 2014-08-21 ピルキントン グループ リミテッド 薄膜コーティングを被覆するための装置およびこのような装置を用いた被覆方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014520201A (ja) * 2011-03-23 2014-08-21 ピルキントン グループ リミテッド 薄膜コーティングを被覆するための装置およびこのような装置を用いた被覆方法
JP2017040004A (ja) * 2011-03-23 2017-02-23 ピルキントン グループ リミテッド 薄膜コーティングを被覆するための装置およびこのような装置を用いた被覆方法

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