JP2978293B2 - ダイヤモンド膜生成方法およびその装置 - Google Patents

ダイヤモンド膜生成方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気相法により基板上にダ
イヤモンド膜を生成するダイヤモンド膜の生成方法およ
びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドの合成方法には、近年低圧
CVD法で炭化水素または窒素、酸素などを含む有機化
合物と水素との混合ガスを熱フィラメント、マイクロ波
プラズマ、高周波プラズマ、直流放電プラズマ、直流ア
−ク放電などにより励起状態で合成する方法が知られて
いる。特開平1−282193号公報には、アセチレン
酸素火炎の不完全燃焼領域(アセチレンフェザ−と呼ば
れる)に基板を配置して基板上にダイヤモンドを析出さ
せる方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記の方法で使
用される、バ−ナ−では円錐状火炎が形成されるため、
ガス流の温度分布、生成活性種の濃度分布が均一ではな
く、形成されるダイヤモンド膜が均質とならないという
問題点を有する。本発明は上記の事情に鑑みてなされた
もので、CVD法のなかでも最も容易で成膜速度が速い
燃焼炎方法において、略平面状の火炎を形成して不完全
燃焼領域を略平盤状とすることで、ダイヤモンド膜生成
活性種の濃度分布を基板に対して均一にして、均質なダ
イヤモンド膜を生成することおよびその装置とすること
を目的とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明のダイヤモンド
膜生成方法は、炭素を含むダイヤモンド膜生成用原料を
燃焼させダイヤモンド膜生成用基板表面に不完全燃焼領
域を形成して、該不完全燃焼領域中に該基板の温度をダ
イヤモンド膜生成温度に維持することにより該基板表面
にダイヤモンド膜を生成する方法において、該不完全燃
焼領域を該基板表面に対して略平盤状に形成し、かつ該
不完全燃焼領域の外周に沿って可燃性の外気遮蔽ガス流
を流すことにより外気遮蔽ガス流で該不完全燃焼領域
覆うことを特徴とする。
【0005】本発明のダイヤモンド膜生成装置は、ホル
ダ−によって保持されダイヤモンド膜を生成するための
基板と、該基板と対向して配設されかつ炭素を含むダイ
ヤモンド膜生成用原料を整流して主流として噴出し前記
基板表面に略平盤状不完全燃焼領域を形成する主ノズル
と、該主ノズルの外周壁に設けられ該主ノズルから噴出
される主流に沿って流れることにより主流を覆い前記不
完全燃焼領域を安定化させる可燃性の外気遮断ガスの外
周流を噴出する副ノズルと、前記該基板の温度をダイヤ
モンド膜生成温度に維持するホルダ−とからなることを
特徴とする。第2のダイヤモンド膜生成装置は、ホルダ
ーによって保持されダイヤモンド膜を生成するための基
板と、該基板と対向して配設されかつ炭素を含むダイヤ
モンド膜生成用原料を整流して主流として噴出し前記基
板表面に略平盤状不完全燃焼領域を形成する主ノズル
と、該主ノズルの外周壁に設けられ該主ノズルから噴出
される主流に沿って流れることにより主流を覆い前記不
完全燃焼領域を安定化させる可燃性の外気遮断ガスの外
周流を噴出する副ノズルと、該主ノズルに設置し該主ノ
ズルから噴出される主流及び前記不完全燃焼領域の逆火
を防ぐ多孔質体から成る逆火防止手段と、前記該基板の
温度をダイヤモンド膜生成温度に維持するホルダーとか
らなる。
【0006】本発明のダイヤモンド膜生成用方法の最大
の特徴は、内炎を基板に対して略平面状に形成し、均一
なダイヤモンド生成活性種濃度場を実現することにあ
る。このために、ダイヤモンド生成用原料ガス、たとえ
ばアセチレンと酸素との混合気である場合には水素を添
加して、その燃焼速度を下げ、外周流により外気と遮断
することにより、内炎をバ−ナ縁から浮き上がらせてい
る。
【0007】一般に平板に一様流が衝突すると平板の前
方には淀み流が形成される。その淀み点近傍の流れ場は
平板に近づくほど減速するため安定となる。このような
淀み流の場に可燃性ガスを流し燃焼させると、平板に対
して平行に平面火炎が形成される。そして火炎面の位置
は、燃焼速度と火面に対して垂直方向の流速成分との
釣合いによって決まり、その安定範囲は、混合気組成と
速度勾配とに依存することが知られている。
【0008】アセチレン酸素火炎のように燃焼速度が非
常に速い場合には、逆火を防ぐために流速を上げて燃焼
させることが必要である。ところが、この淀み流の場に
これを適用させると、速度勾配が大きくなり、火炎は伸
長を強く受けて吹きとび、安定な燃焼火炎が形成できな
い。そこで、水素を添加し、燃焼速度を下げて、火炎の
吹き飛びを防ぐ。さらに、この火炎は当量比が2.5以
上の過濃度混合気を用いて形成するため、バ−ナ−出口
で外気との拡散により外炎を形成し、内炎はバ−ナ−縁
に付着してしまう。そこで、主流の外周を外気遮蔽ガス
流により覆い、内炎をバ−ナ−縁から浮き上がらせて、
基板前方に平面状の内炎を形成する。この平面火炎は、
基板前方の略平盤状の不完全燃焼領域のダイヤモンド生
成活性種の濃度場を基板に対して均一に形成するため、
基板上に均質なダイヤモンド膜が成膜される。
【0009】この平面火炎を安定に維持するには、火炎
に供給される膜生成用原料の主流を整流して供給するこ
とが好ましい。この整流により一様な流れ場が形成でき
乱れのない平面火炎が形成できる。さらに、主流の噴出
口での流速分布を均一にすることがバ−ナ−縁での速度
勾配を大きくするため、内炎が浮き上がりやすくなる。
【0010】従来の溶接バ−ナを用いた場合には、円錐
状の内炎と、その外周に不完全燃焼領域(フェザ−)、
そしてさらにその外周に外気との拡散により外炎が形成
される。ダイヤモンド生成活性種が生じるのはフェザ−
内部であるが、この領域の活性濃度場は、次の要因のた
め不均一である。一つは内炎が円錐状であるため選択拡
散により中心部の水素濃度が高くなること、一つは外炎
からの拡散によりフェザ−外面で反応が起こり、活性種
が消費されることである。このためフェザ−中の活性種
の濃度分布は均一ではない。したがって、本発明の方法
のように均質なダイヤモンド膜が得られない。
【0011】主流を形成するアセチレン酸素混合気には
水素を添加するのが最も好ましい。それは、燃焼速度を
下げて平面火炎を安定させるばかりでなく、ダイヤモン
ドと共に析出するグラファイトやアモルファスカ−ボン
と反応して取り除く、エッチング効果を持つからであ
る。このため生成されるダイヤモンド膜の質向上にも寄
与することになる。この混合気の混合比率はアセチレン
/酸素(体積流量比):1.0〜1.2、水素/酸素
(体積流量比):1以下が好ましい。さらに良質のダイ
ヤモンド生成のためには炭素原子/酸素原子の元素比C
/Oを1.0〜1.1にし、さらに水素添加量を少なく
して火炎温度を約3000K以上とするのが好ましい。
また、水素以外にもメタン、エタン、プロパン等の飽和
炭化水素は、水素ラジカルを発生し易く好ましい。さら
に都市ガス等の安価なものも添加剤として用いることが
できる。
【0012】外周遮蔽ガス流としては、水素、都市ガス
などの可燃性ガスの使用が好ましい。それは、可燃性ガ
スが燃焼して拡散火炎として主流を覆うので、外気中の
酸素は、拡散炎で消費され、主流への混入を完全に遮断
することができるからである。さらに拡散炎により外周
の温度が上昇するためガスの動粘性が上がり、乱れを抑
え、より安定な流れ場を形成することができるので好ま
しい。また都市ガスは安価であり好ましい
【0013】基板としてはダイヤモンドが付着しやすい
超硬合金、シリコン、炭化シリコン、アルミナ、タング
ステン、モリブデンなとが使用できる。この基板はホル
ダ−で支持されダイヤモンドを基板上に析出させるのに
適した温度に制御される。上記の方法を実現する本発明
の装置は、主流を噴出する主ノズルと、その主ノズルの
外周に外周遮蔽ガス流を形成する副ノズルと、基板を保
持したホルダ−とからなる。
【0014】主ノズル上流には、原料ガスを整流するデ
ィフュザ−、ダンピングチェンバが設けられている。ダ
ンピングチェンバには、複数の金網、ビ−ズあるいはハ
ニカム体を設け、通過する主流をより一様な気流に整流
する。副ノズルは、主ノズル口の外周に開口し、主流を
完全に覆うようにガス流を噴出させる。
【0015】安定な平面火炎を形成するために、主ノズ
ルの径Dと、主ノズルの開口面と基板との基板との間の
距離Lは、0.1・D<L<10・Dの関係が満たされ
ていることが好ましい。この距離Lが0.1・D以下で
は平面火炎が形成できる空間が保持できないので好まし
くない。また距離Lが10・Dを超えると外周流との混
合により、平面火炎の乱れが大きくなり生成膜の均一性
が損なわれるので好ましくない。より好ましい距離Lは
0.25・D以上である。0.25・D以下では火炎形
状がリング状になり、未燃ガス流が直接基板にあたるた
め、中心部分は成膜が行なわれない。
【0016】基板の火炎に対する接触面形状は、平面に
限らず円筒面、球面であってもよい。曲面あるいは凹凸
面であっても平面火炎が実現される程度の曲面あるいは
凹凸面であれば膜の形成は可能である。基板面は、バ−
ナ−軸に対して垂直に配置され、その前面で平面火炎を
形成し基板を所定のフェザ−領域に保持する。
【0017】ホルダ−は基板を保持し、基板の温度を制
御するための調整部が設けられている。成膜時の基板の
温度条件は約800℃に調整されるのが好ましい。この
基板の成膜表面の温度を制御するために冷却ホルダーの
調整部を用いて基板の裏側から冷却することで800〜
900℃となるように制御するのがより好ましい。
【0018】またこの装置での成膜は、減圧室内でも大
気圧下でもおこなうことができる。特に減圧室内では減
圧雰囲気中で化学平衡がラジカルを増加させる方向に変
化するため成膜に好ましい。さらに反応ガス供給装置を
等速で水平方向に移動させることで成膜面積を拡大する
ことができる。これは外周流ガスが基板を覆い燃焼する
ことにより基板の成膜面に酸素が進入するのを防ぎ、ダ
イヤモンド膜の酸化を防いでいるのでフェザー中心を基
板上移動して成膜面積を拡大することができる。さらに
主ノズルに多孔質板を配置すると、内炎の逆火が生じた
ときに消炎または火炎伝播を防ぐことができる。
【0019】
【作用】本発明の方法によれば、基板の前方に外周遮蔽
ガス流で覆われて形成される淀み流に基づく安定な平面
火炎を形成させる。この平面火炎で形成される不完全燃
焼領域は、従来の火炎に基板を配置した場合に比べ均一
な温度場、ダイヤモンド生成活性種の濃度場を実現する
ことができる。すなわち、外周遮蔽ガス流が主流を覆い
生成されるフェザ−を均一に形成保持できる。そのため
均質なダイヤモンド成膜が可能である。
【0020】また膜生成速度も速まり、膜質は従来のC
VD法と同等でありながら従来のCVD法の成膜速度で
ある数μm/Hrに比較して100μm/Hr程度に著
しく増加させることができる。
【0021】
【実施例】以下実施例により具体的に説明する。 (実施例1)第1図に実施例で使用した本発明の装置を
示す。この装置は反応ガス供給装置20と、基板3と、
基板3を保持するホルダ−4とから構成されている。
【0022】反応ガス供給装置20は、円筒状で頂部の
中心に開口し原料の燃焼ガスを噴出して燃焼させて内炎
9を形成する主ノズル1と、主ノズル1の周囲面にリン
グ状に開口し主流10の外周を覆う外周遮蔽ガス流8を
形成する副ノズル2とをもち、原料の反応ガスは下部か
ら導入され円筒状のディフューザ5で減速された後、ガ
ス流を整流する金網が数段配置されたダンピングチェン
バ6内で整流されて主ノズル1より吐出される。副ノズ
ル2はディフューザ5の上部に設けられた左右の導入管
で遮蔽用のガスが供給される。その頂部の導入管の下部
にはノズルを冷却する冷却水路が設けられノズル部の温
度上昇を抑制する。ホルダ−4は基板3を係止し主ノズ
ル1の上方に位置するように支持固定されている。
【0023】この主ノズル1の軸に対して垂直に基板3
の位置がホルダ−4によって保持され、配置されてい
る。そしてこの基板3に向かって主流10が噴出され基
板3の前方で平面状の内炎9が形成され、内炎9と基板
3の間にはダイヤモンド生成活性種を含むフェザ−7が
存在する。基板3はシリコンから成り、銀ペ−ストによ
ってホルダ−4に接着され、ダイヤモンド膜の生成温度
になる様に図示しない冷却手段がホルダ−4に設けられ
基板3の温度が800℃程度に調整される。
【0024】この装置を用い大気開放状態で成膜をおこ
なった。主ノズル1の出口径3mm、副ノズル2の外周
径5mm、ノズル1と基板3との間の距離4.5mmと
して、主流および外周遮蔽ガス流8を形成して成膜をお
こなった。主流は水素、アセチレン、酸素の混合気流
で、流量は水素2.8l/min、アセチレン4.9l
/min、酸素4.3l/min、外周遮蔽ガス流8は
水素で流量を3.0l/minにして燃焼させて平面火
炎を形成したところ、径が7mmの円盤状のフェザ−7
が形成された。基板表面温度を約800℃に保ち15分
間成膜したところ径7mmにわたって円形に均質なダイ
ヤモンド膜が形成されていることをSEM(走査型電子
顕微鏡)により確認した。その結果を図2に示す。
(a)、(b)はそれぞれ成膜面中心部、成膜面中心か
ら4mmの部分に形成されたダイヤモンド膜の観察結果
である。ここでいう成膜面中心とは主ノズル1の中心線
の延長と基板との交点をいう。 (実施例2)燃焼時の原料の解離を促進しダイヤモンド
生成活性種の相対濃度を増すために、図3に示すように
真空容器内に実施例1の成膜装置を設置し容器内を減圧
(50mbar)して成膜をおこなった。
【0025】容器30はステンレス製の耐圧性のある気
密構造となっており、図示しない台座によって支持され
ている。バキュームポンプ33はサージタンク32を通
して容器30内のガスを吸引し、容器30内を減圧す
る。容器内圧力は圧力計37によってモニターされる。
バーナー20はプレート36に固定されており、バーナ
ー20へは外部より原料ガスが供給される。基板3は冷
却装置を組込んだホルダ11の下面に銀ペーストによっ
て接着されており、ホルダ11はモ−タ31によって水
平方向に回動自在に保持されていて、該モ−タ31は支
柱38によってプレート36に固定されている、また観
察窓41を通して輻射温度計によって基板温度をモニタ
ーする。
【0026】プレート36は容器30から着脱自在であ
る。火炎の着火は容器30の外で行ない基板3とバーナ
ー20との距離を調整し、フェザー7を基板3の面上に
形成した後、バキュームポンプ33を作動させ圧力計3
7をモニターしながらバルブ39によってガスの排出量
を調整しながらプレート36を容器30に取付け、気密
になる様に図示しないボルトを締付ける。
【0027】さらに成膜を終了させたい時には、モ−タ
31によってホルダ11とともに基板3を水平方向に回
動させ、基板3を火炎領域外へと瞬時に移動する。これ
によってできあがった膜の再燃焼及び膜へのすす等の不
純物の混入を防止することができる。本実施例2のノズ
ル及び基板の詳細は図1に示すものと同様である。
【0028】主ノズルφ5mm、外周ノズル径φ7mm
のものを用い主ノズル1と基板3の距離を10mmとし
た。主流10の原料ガスは、水素、アセチレン、酸素の
流量を各0.5、1.6、1.5Nl/minとし、外
周遮蔽ガス流8は水素で流量を0.5Nl/minとし
てφ25mmのフェザ−7を形成した。なお、基板3は
約800℃に冷却保持した。この条件で1時間成膜した
ところφ25mmにわたり厚さ20μmの均質なダイヤ
モンド膜が生成した。
【0029】この結果、減圧により火炎面積を拡大し、
成膜速度を下げることなく均質な成膜面積を広げること
が可能であることがわかった。なお、減圧下ではダイヤ
モンド膜形成のための活性種のモル分率が増しているの
で、成膜に有利である。 (実施例3)生成ダイヤモンド膜の膜質は基板の表面温
度の影響をうける。そこで図4に示す水冷式の冷却ホル
ダーを使用することにより基板の成膜表面温度の変動を
少なくして、より均一な膜が形成できる。
【0030】この冷却ホルダー11は、下方開口で断面
一定のシリンダ孔11aとこのシリンダ孔11aの開口
端近くで内周面を一周するシール溝11bとシリンダ孔
11a内に軸芯方向に突出する冷却水吐出口11cとシ
リンダ孔11aの上方円周面に開口する冷却水出口11
dを持つホルダー本体111と、シール溝11bに保持
されたOーリング112とからなる。基板3はシリンダ
孔11a内に上端が挿入されO−リング112でシリン
ダ孔11a内に保持されている。基板3はその上端面A
がシリンダ孔11a内に挿入され冷却水と直接接触して
冷却される。すなわち、冷却水導入管13の開口が基板
3の近傍に位置して低温の冷却水が基板3の端面Aに常
時噴出されて基板3を冷却し、加温された冷却水は上昇
して上部の排水管14から排出される。この冷却により
基板3の端面Aの温度は一定に維持することができる。
【0031】O−リング112は基板3を冷却ホルダー
本体111に着脱可能に係止し、かつ基板3より冷却ホ
ルダー本体111への伝熱を避けるため直接の接触を避
けると共に冷却水のシールをしている。基板3の成膜表
面Bの温度制御は、冷却ホルダー本体111中の端面A
の冷却水による冷却と、基板3の厚みを調整することに
よりおこなうことができる。すなわち、基板3の冷却水
面側Aは冷却水の温度と注入される冷却水の流速を調整
することで20〜25℃程度に保持する。基板3の側面
Cは、燃焼ガスの再循環領域が形成されるが、外気など
の混入により火炎温度(3000K)に比べて低い温度
になっており火炎の流れが直接衝突しないので、側面C
からの熱の流入は端面Bからの火炎による熱の流入に比
べ充分小さくなっており、熱の流入量は殆ど無視でき
る。つまり端面Aと端面Bとの間は一次元的な温度分布
を形成し端面Bから端面Aにかけて温度はほぼ一様に低
下する。そのため、基板3の端面A、B間の距離を変え
ることにより基板3の成膜表面側の端面Bの温度は、端
面Aの冷却水での冷却により制御することができる。
【0032】基板3の端面Bからの熱流入は基板温度、
火炎(フェザー)温度、燃焼ガス流速によるが、火炎温
度が支配的である。また成膜面温度は基板3の厚さが厚
いほど、火炎温度が高いほど高くなる。基板3の成膜面
の温度は、800〜900℃に調節することで均一なダ
イヤモンド膜が形成できる。基板としてはMo材あるい
はMo材をSiなどでコーティングしたものなどで、φ
15×30mmの寸法のものを用いた。
【0033】O−リング112は耐熱性で220℃に耐
える材料で形成され冷却ホルダー本体111と基板3と
の間のクリアランスを0.2mmとして基板3から冷却
ホルダー本体111への伝熱を防止して冷却ホルダー本
体111の昇温を抑制している。図5に示すようにこの
冷却ホルダー本体11をホルダー4の代わりに用いて実
施例1と同様な条件で成膜をおこなった。この場合の基
板3の成膜表面の温度分布を輻射温度計により測定し
た。その結果を図6に示す。基板3の成膜表面の温度分
布は、平面火炎(フェザー)の中心部が815℃で外周
部が760℃で中心部より50℃程度低い。ただし成膜
する中心部の平面火炎(φ6〜7)付近の温度差は約2
0℃程度であった。したがって、この冷却ホルダー本体
11を使用すれば基板3の成膜面の温度差を約20℃の
範囲に制御することができる。この条件では成膜中に温
度変化がほとんどなく長時間の成膜が可能である。また
成膜後、形成された膜を剥がしてダイヤモンド箔として
用いることができ基板3の再使用も可能である。
【0034】なお、冷却ホルダーの導入管13の径φ
6、排出管14の径φ10、導入管13の吐出口と基板
3との間の距離は5mmとし冷却ホルダー11自体は銅
製とした。 (実施例4)本実施例3において反応ガス供給装置20
を横方向に水平に移動させることにより基板3への成膜
面積を拡大した。
【0035】この反応ガス供給装置20は、平面火炎を
形成するために副ノズル2より可燃性ガスを供給してい
るが、この外周遮蔽ガス流8が基板3を覆い外気からの
酸素を消費することにより、基板3に生成したダイヤモ
ンドの酸化を防ぐため、既に生成したダイヤモンド膜を
損なうことなく成膜領域の移動が可能である。図7に示
すようにこの装置は、冷却ホルダー本体111と、基板
3と、反応ガス供給装置20と反応ガス供給装置20の
支持可動部21とからなる。
【0036】支持可動部21は、水平の基台18と、基
台18上に載置され側面側に設けられた駆動装置(図示
せず)により水平方向に摺動自在に移動する微動装置1
7と、微動装置17の上部に水平に係止され反応ガス供
給装置20を基板3面に対して垂直に支持する板状の支
持台16とから構成されている。微動装置17を駆動さ
せる駆動装置19は、DCモータとギヤボックスからな
り駆動装置の作動により支持台16が反応ガス供給装置
20を垂直に保持したまま水平方向に定速(約1mm/
min)で垂直に保持し基板3面との距離を一定に保っ
て移動させることができる。
【0037】支持可動部21を駆動させて反応ガス供給
装置20を平行に移動させて、基板3上の平面火炎の中
心位置を定速で移動させることにより成膜領域を広げて
大面積のダイヤモンド膜を形成することができる。実施
例3と同じ条件で燃焼火炎を形成し反応ガス供給装置2
0を支持可動部21で水平に移動させると、基板上のフ
ェザ−の中心が水平方向に移動して成膜面積が拡大でき
る。基板3の直径を30mmとし冷却ホルダー本体11
1を係止し反応ガス供給装置20の移動速度を1mm/
minにすると基板3上に厚さ5μm程度のダイヤモン
ド膜を基板端面の全面に形成できる。 (実施例5)この例は主ノズル1の開口で逆火が生じた
ときに、消炎または上流への火炎伝播を防ぐ逆火防止装
置を設けたものである。したがって、この逆火防止装置
は消炎するために熱容量を大きくすると共に、燃焼ガス
が流出速度にむらがなく均一にするものであることが必
要である。
【0038】この場合反応ガス供給装置20は、図8に
示すように円筒状で上部開口が主ノズル1と、主ノズル
1の周面に沿ってリング状に開口する副ノズル2と、副
ノズル2の周面に密閉されたリング状の冷却水路と、外
周側面下部に設けられ副ノズル2の開口連通する複数
の外周遮蔽ガス導入管と、主ノズル1のダンピングチェ
ンバ6の下端部に原料ガス供給パイプが設けられ、主ノ
ズル1の開口端部には、逆火防止の多孔質板15が係止
されて構成されている。なおダンピングチェンバ6内に
は複数枚の金網が配置され原料ガスを整流してノズル開
口に供給する。
【0039】この多孔質板15は、熱容量が大きく、ほ
ぼ均質の孔径で通気抵抗が低く圧力損失が小さい板状物
である。この主ノズル1は内径が12mm、外径18m
mでありその出口部に15mmで厚さ2.5mmの焼結
金属(銅)の多孔質板15が係止されている。その出口
外周には径22mmの副ノズル2を設けた。主ノズル1
の開口の多孔質板15からは、20〜40m/secの
流速で原料ガスを供給した。また、主ノズル1と基板3
との間の距離は15mmとした。
【0040】この反応ガス供給装置で外周遮蔽ガス流8
を形成する水素ガスを15l/minの流速で供給し、
反応ガスとして、水素ガス30l/min,アセチレン
ガス65l/min,酸素ガス60l/minの流速で
混合して供給し成膜をおこなった。成膜を連続して1時
間おこなったが火炎の消炎および逆火はおきなかった。
また、得られたダイヤモンド膜は均一であった。
【0041】この多孔質板15には、燃焼ガスの流出速
度にむらがなく均一な流れとなるために表面の各孔の孔
径が十分に小さく均一で有るものを(0.1mm程度以
下)、そして大流量のガスの通過が可能で通気抵抗が低
く圧力損失が小さいものを使用する。多孔質板15とし
ては、たとえば、金網を積層体(目の細かいものと粗い
ものとを組合せて火炎側を細かくしたもの)、金属繊維
の焼結体(ステンレス、銅、ニッケルなどで空隙率50
〜70%)、金属およびセラミックス粉末からなる焼結
体あるいは発泡金属(ステンレス、銅、ニッケルなどで
空隙率30〜50%)、小さな直孔が多数開いた焼結ベ
ントあるいは細管を束ねたもの(ステンレス+銅、鉄+
銅など気孔率20〜40%)を用いることができる。
【0042】主ノズル1の開口に逆火防止器の多孔質板
15を設けた場合、主ノズル1出口直後では流れ場には
不均一性が存在するが、前方淀み流れは減速流れであり
乱れが減衰するため、基板3の成膜領域ではこの不均一
性は消滅して成膜の均質性は損なわれない。反応ガス供
給装置20を支持する支持台16を移動速度4mm/m
inで水平方向に移動させることで厚み5μmの細長形
状のダイヤモンド膜を形成した。なお、移動速度を遅く
する、あるいは何度も往復することによりさらに厚膜と
することが可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明の請求項1の方法によれば、フェ
ザ−が外周遮蔽ガス流で覆われているので安定な平面状
に形成できる。そのためフェザ−内の生成活性種の濃度
が均一となり均質なダイヤモンド膜を成膜することがで
きる。また本発明の請求項2の本装置によれば、混合気
の流速、組成、基板とノズル間の距離を調整することに
より、平面火炎の位置、面積をかえることが可能であ
り、ダイヤモンド成膜の大面積化に対応できる。また、
流れ場が安定で現象は一次元であるので容易に制御する
ことができる。
【0044】さらに本発明の請求項3の本装置によれ
ば、減圧により火炎面積を拡大し、成膜速度を下げるこ
となく均質な成膜面積を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の概略断面説明図である。
【図2】本発明の実施例1のダイヤモンド膜の結晶構造
のSEM写真図である。
【図3】本発明の実施例2のダイヤモンド膜生成装置の
概略断面図である。
【図4】本発明の実施例3の冷却装置の概略断面説明図
である。
【図5】本発明の実施例3の冷却装置を備えたダイヤモ
ンド膜生成装置の概略断面説明図である。
【図6】本発明の実施例4の基板の成膜表面の温度分布
の測定結果である。
【図7】本発明の実施例4の燃焼器移動装置の概略断面
説明図である。
【図8】本発明の実施例5の逆火防止装置の概略断面説
明図である。
【符号の説明】
1 主ノズル 2 副ノズル 3 基
板 4 ホルダ− 7 フェザ− 8 外
周遮蔽ガス流 9 内炎 10 主流 111
冷却ホルダー本体 112 O−リング 15 多孔質板 16
支持台 17 微動装置 20 反応ガス供給装置 21 支持可動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 正治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 内田 清 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−267193(JP,A) 特開 平3−33094(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素を含むダイヤモンド膜生成用原料を燃
    焼させダイヤモンド膜生成用基板表面に不完全燃焼領域
    を形成して、該不完全燃焼領域中に該基板の温度をダイ
    ヤモンド膜生成温度に維持することにより該基板表面に
    ダイヤモンド膜を生成する方法において、 該不完全燃焼領域を該基板表面に対して略平盤状に形成
    し、かつ該不完全燃焼領域の外周に沿って可燃性の外気
    遮蔽ガス流を流すことにより外気遮蔽ガス流で該不完全
    燃焼領域を覆うことを特徴とするダイヤモンド膜生成方
    法。
  2. 【請求項2】ホルダ−によって保持されダイヤモンド膜
    を生成するための基板と、該基板と対向して配設されか
    つ炭素を含むダイヤモンド膜生成用原料を整流して主流
    として噴出し前記基板表面に略平盤状不完全燃焼領域を
    形成する主ノズルと、該主ノズルの外周壁に設けられ該
    主ノズルから噴出される主流に沿って流れることにより
    主流を覆い前記不完全燃焼領域を安定化させる可燃性の
    外気遮断ガスの外周流を噴出する副ノズルと、前記該基
    板の温度をダイヤモンド膜生成温度に維持するホルダ−
    とからなることを特徴とするダイヤモンド膜生成装置。
  3. 【請求項3】前記主ノズルには、該主ノズルから噴出さ
    れる主流及び前記不完全燃焼領域での逆火を防ぐ多孔質
    体から成る逆火防止手段を設けたことを特徴とする請求
    項2に記載のダイヤモンド膜生成装置。
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