JPH07290422A - タンディッシュ上部ノズルの鋳込成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ガスリークのないガスバブリングを行うため
のタンディッシュ上部ノズルの鋳込成形方法を提供す
る。 【構成】 鋳込用治具上に上部及び下部双方のポーラス
質耐火物１ａ，１ｂを設置し、その外周面をそれぞれ独
立してガス導入パイプ６と直通するガスプール５を介し
て鉄皮２ａ，２ｂで被覆し、鋳込用治具とメタルケース
３の間に、キャスタブル緻密耐火材８を充填する。 【効果】 タンディッシュ上部ノズルの任意の位置にポ
ーラス質耐火物を設置でき、しかも各々のガスプールを
独立させることができる。また、緻密耐火材の使用によ
りキャスタブル−メタルケース境界部及びポーラス−キ
ャスタブル境界部からのガスリークを有効に防止でき
る。これらにより、効果的なガス吹き込みの結果、使用
中の上部ノズルの背圧低下もなくなり、介在物も有効に
除去でき、ノズル閉塞も有効に防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼の連続鋳造用のタン
ディッシュ内で使用されるタンディッシュ上部ノズルの
鋳込成形方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在では、溶湯をタンディッシュからモ
ールドに注入する際、Ａｌ₂Ｏ₃などの介在物の析出によ
るノズル閉塞防止対策として、上部ノズルによるガスバ
ブリングが広く実施されており、更に、ガス吹き込み量
を上下で独立に調整する２段式上部ノズルによりガスバ
ブリングが極めて有効に行えるものとなった。

【０００３】しかし、上記の様な構造の上部ノズルで
も、ガスリークを完全に防止しなければ、ガスの有効な
吹き分けは行い得ず、ノズル閉塞の防止にも限界が生じ
てくる。又、従来のポーラス体、非ポーラス体の一体成
形品においては特に上部ポーラス部へ直接ガス導入パイ
プを連結させる事はできず、現在では、ノズル側面に上
部ポーラス質耐火物へ通じるガスプールを形成し、ガス
導入パイプを配している。

【０００４】この形式のものにおけるガスリーク防止
は、図１に示す様にポーラス質耐火物１及び非ポーラス
質耐火物２の一体成形後に、この本体外周とメタルケー
ス３とのわずかな隙間に、耐熱接着性のモルタル４を充
填し、一体にセットする事によって行なわれている。し
かし、実使用時の熱履歴などによりモルタル４が収縮変
形してしまい、メタルケース３と本体との間に隙間が生
じ、これがガスリークの要因となっていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決すべき課
題として、従来の様なガスリークを防止し、有効的なガ
スバブリングを行う為の方法を検討すると共にその耐火
物の成形方法についての一例をも提供しようとするもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであってその要旨とするところ
は、ガス吹き込み機能を持つタンディッシュ上部ノズル
において、本体外周部がメタルケースで包囲され、かつ
ノズル内孔面に設置された上、下双方のポーラス質耐火
物の外周面をガス導入パイプと直通するガスプールを介
して鉄皮で被覆し、本体外周部とメタルケースの間に、
キャスタブル緻密耐火材を充填させて構成することを特
徴とするタンディッシュ上部ノズルの鋳込成形方法であ
る。

【０００７】

【実施例】上記上部ノズルの鋳込成形方法は、以下のも
のが考えられる。まず、図２に示すように、予めポーラ
ス質耐火物１ａ及び１ｂの外周面をガスプール５を介し
て鉄皮２ａ，２ｂで被覆し、メタルケース３内部のガス
吹き込み箇所に設置する。その後、ガス導入パイプ６も
予めセットしておく。次に図３に示すように、鋳込用治
具７にメタルケース３で包囲されたポーラス質耐火物本
体を逆さに固定する。この際、注入したキャスタブル緻
密耐火材８が、鋳込成形時に本体下端から流出するのを
防止する為に、下端部９をシールしておく事が望まし
い。

【０００８】そしてこれらのセットされた鋳込用治具ご
と振動台１０上に乗せ、適度な振動を与えながらミキサ
ーにて予め混練されたキャスタブル緻密耐火材８をノズ
ル本体底部のメタルケース３とポーラス質耐火物１ｂと
の間の隙間から投入していく。なおガス吹き内孔面に面
して配置されたポーラス質耐火物１ａ，１ｂは部分的に
配置している為、キャスタブル緻密耐火材８との境界部
が溶融金属に直接接する。従ってその部分からのガスリ
ークを防止する為に、キャスタブル耐火材８がポーラス
質耐火物１ａ，１ｂ境界部に若干浸透している事が望ま
しく、その為にはキャスタブル耐火材の材質，粒配，水
分，鋳込時間等に充分な配慮が必要となる。例えば、水
分量が過多であれば、確かに鋳込み時間は短縮されるが
ポーラス質耐火物への浸透が多すぎる事によって、有効
なガス吹き込みができなくなる。逆に過少であれば、ポ
ーラス質耐火物への適度な浸透及び作業性に問題がでて
くる。上記項目に注意して、キャスタブル緻密耐火材８
を投入し、所定の位置まで充填した後、自然乾燥，脱
型，強制乾燥等の各工程を経て完了する。なお、このキ
ャスタブル緻密耐火材の充填方法は、上記鋳込成形方法
に何ら限定されるものではない。

【０００９】このように、本実施例では、ポーラス質耐
火物１ａ，１ｂとメタルケース３との間に鋳込成形方法
によりキャスタブル緻密耐火材８が充填されており、こ
の鋳込成形されたキャスタブル緻密耐火材８は熱収縮が
小さく、かつ高強度である事からガスリークを有効に防
止し得るものとなっている。

【００１０】次に、以上の構成よりなる本実施例の試験
例を説明する。本実施例では、ノズル本体上部，下部双
方のポーラス質耐火物１ａ，１ｂにガス導入パイプ６が
ガスプール５を介し、被履された鉄皮２ａ，２ｂによっ
て直接連結されている。この為ガスはポーラス質耐火物
１ａ，１ｂより効果的に吐出されるものとなっている。
この様な構成の上部ノズルと、ポーラス質耐火物と鉄皮
との間にモルタルを充填した構造をもつ従来例とを比較
した。試験法は上部ノズルの加熱による背圧の変化を調
査した。この場合に加熱はガスバーナーで行い、３．０
ｌ／ｍｉｎの空気圧を流しつつ、ノズル孔内部の温度
を１６００℃まで上昇させ、３時間保持した。表１は、
上部ノズルの背圧の経時変化を示すものであり、これか
らも明らかな様に、本実施例によれば上部ノズル背圧の
低下も見られず、ガスリークが有効に防止し得る事がわ
かる。

【００１１】

【表１】

【００１２】尚、本発明に係るタンディッシュ上部ノズ
ルは外挿式または内挿式のいずれにも適用できることは
言うまでもない。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るタン
ディッシュ上部ノズルによって任意のガス吹き込み箇所
に、自由にポーラス質耐火物を設置でき、しかも確実に
各々のガスプールを独立させる事ができる為、介在物の
付着を防止できる。又、キャスタブル−メタルケース境
界部及び、ポーラス−キャスタブル境界部からのガスリ
ーンを有効に防止でき、効果的なガス吹き込みの結果、
使用中の上部ノズルの背圧低下もなくなり、介在物も有
効に除去でき、ノズル閉塞も有効に防止できるもので、
産業上の利用性は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来例のポーラス体、非ポーラス体の一体成形
品のタンディッシュ上部ノズルを示す縦断面図である。

【図２】本発明に係るタンディッシュ上部ノズルの成形
過程の一実施例を示す縦断面図である。

【図３】本体ポーラス質耐火物と外周メタルケースの間
にキャスタブル緻密耐火材を充填させる工程の一例を示
す説明図である。

【図４】本発明に係るタンディッシュ上部ノズルの一実
施例を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ ポーラス質耐火物 ２ 非ポーラス質耐火物 1a,1b ポーラス質耐火物 2a,2b 内面鉄皮 ３ 外周メタルケース ４ モルタル ５ ガスプール ６ ガス導入パイプ ７ 鋳込用治具 ８ キャスタブル緻密耐火材 ９ メタルケース下端部 10 振動台

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. ガス吹き込み機能を持つ、タンディッシュ上部ノズルに
   おいて、本体外周部がメタルケースで包囲され、かつノ
   ズル内孔面に上部及び下部双方のポーラス質耐火物を自
   由に設置し、その外周面をそれぞれ独立してガス導入パ
   イプと直通するガスプールを介して鉄皮で被覆し、本体
   外周部とメタルケースの間に、キャスタブル緻密耐火材
   を充填させて構成することを特徴とするタンディッシュ
   上部ノズルの鋳込成形方法。