JPH07290281A - 表面にフラックス層を有するAl合金ろう材およびAl合金ブレージングシートの各製造方法 - Google Patents

表面にフラックス層を有するAl合金ろう材およびAl合金ブレージングシートの各製造方法

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JPH07290281A
JPH07290281A JP8987294A JP8987294A JPH07290281A JP H07290281 A JPH07290281 A JP H07290281A JP 8987294 A JP8987294 A JP 8987294A JP 8987294 A JP8987294 A JP 8987294A JP H07290281 A JPH07290281 A JP H07290281A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 必要な部分にのみ必要な量のフラックスを供
給でき、かつろう材として種々の機能をさらに向上させ
た、Al合金ろう材およびAl合金ブレージングシート
を簡単な方法で製造する。 【構成】 Al合金ろう材の製造方法は、Alろう合金
からなるろう材シート1の少なくとも片面に、フラック
スを付着させてフラックス層2を形成し、次いでこれを
圧延して前記ろう材シート1と前記フラックス層2とを
密着させるAl合金ろう材の製造方法であって、前記ろ
う材シート1は、AlおよびSiを含有し、さらにM
g、Bi、In、Znの1種または2種以上を含有する
とともに、Si含有量が6〜15wt%、Mg含有量が
0.1〜2wt%、Bi含有量が0.1〜0.5wt%、I
n含有量が0.1〜0.5wt%、Zn含有量が5〜40
wt%となされたAlろう合金からなることを特徴とす
る。また、Al合金ブレージングシートの製造方法は、
前記方法において前記ろう材シートをブレージングシー
トに置き換えることにより、皮材の表面にフラックスが
存在するAl合金ブレージングシートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウムまたは
その合金材、あるいはこれらと異種金属材とのろう付に
用いられるAl合金ろう材およびAl合金ブレージング
シートの各製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウムまたはその合金材、
あるいはこれらと異種金属材とのろう付は、接合部にろ
う材を供給するとともに、フラックス懸濁液を接合部に
塗布しこの状態で加熱するか、またはフラックスをガス
状にしてろう付炉の雰囲気中に供給しつつ加熱すること
により行われていた。しかしながら、このようなフラッ
クスろう付では、ろう材とフラックスとを別々に接合部
に供給しなければならないために、ろう付作業が面倒で
あること、フラックス使用量の均一化が困難であるこ
と、過剰量のフラックスがろう付品やろう付炉を汚染す
ること等の問題点があった。
【0003】そこで、これらの問題点を解決するため
に、本出願人によってフラックスを含有する種々のAl
合金ろう材が開発された(例えば、特願平3−3469
94号に記載のろう材)。このフラックス含有Al合金
ろう材は、ろう材成分およびフラックス成分であるAl
粉末、Si粉末、Al−Si合金粉末、KF−AlF
共晶粉末等を所定割合に混合した混合粉末を真空脱ガス
したのちに圧粉固形化し、さらに所要形状に二次成形さ
れたものであり、フラックスがろう材組織全体に均一に
分布するものである。また、前記フラックス含有Al合
金ろう材を皮材として芯材の片面または両面にクラッド
したフラックス含有Al合金ブレージングシートも開発
された(特願平3−347010号等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記フラック
ス含有ろう材およびフラックス含有Al合金ブレージン
グシートの皮材の製造は、混合粉末を調製して圧粉成形
し、さらに二次成形するという複雑な工程によらなけれ
ばならないという問題点があった。
【0005】また一般に、ろう付接合においては、接合
部材とろう材との界面に適量のフラックスを供給するこ
とによって良好なろう付が達成される。前述のフラック
ス含有Al合金ろう材またはフラックス含有Al合金ブ
レージングシートを用いてろう付する場合は、該ろう材
の接合部材と接しているろう材表層部に存在するフラッ
クスが前記界面に供給されてろう付性を向上させてい
る。すなわち、前記フラックス含有Al合金ろう材また
はフラックス含有Al合金ブレージングシートはろう材
組織全体にフラックスが均一に分布しているにもかかわ
らず、ろう付に関与してフラックス作用を発揮している
のは主として表層部に存在するフラックスであり、中心
部に存在するフラックスはろう付性の向上にあまり寄与
していない。それどころか、中心部に存在するフラック
スはピンホールやブローホール等の欠陥を生じさせる場
合がある。また、フラックス含有Al合金ろう材または
フラックス含有Al合金ブレージングシートの製造に際
しては、ろう付に必要とされる以上に多量のフラックス
を要し、フラックスが無駄になり製造コストを増大させ
るという問題点もある。
【0006】この発明は、前述されたような問題点を解
消することを目的として、必要な部分にのみ必要な量の
フラックスを供給でき、かつろう材として種々の機能を
一層向上させた、表面にフラックス層を有するAl合金
ろう材およびAl合金ブレージングシートを簡単な方法
で製造できる方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる表面に
フラックス層を有するAl合金ろう材の製造方法は、前
記目的を達成するために、Alろう合金からなるろう材
シート(1)の少なくとも片面に、フラックスを付着さ
せてフラックス層(2)を形成し、次いでこれを圧延し
て前記ろう材シート(1)と前記フラックス層(2)と
を密着させるAl合金ろう材の製造方法であって、前記
ろう材シート(1)は、AlおよびSiを含有し、さら
にMg、Bi、In、Znの1種または2種以上を含有
するとともに、Si含有量が6〜15wt%、Mg含有量
が0.1〜2wt%、Bi含有量が0.1〜0.5wt%、
In含有量が0.1〜0.5wt%、Zn含有量が5〜4
0wt%となされたAlろう合金からなることを特徴とす
るものである。また、この発明の表面にフラックス層を
有するAl合金ブレージングシートの製造方法は、前記
Al合金ろう材の製造方法におけるろう材シート(1)
をブレージングシート(6)に置き換えたものであり、
AlまたはAl合金からなる芯材(4)の少なくとも片
面にAlろう合金からなる皮材(5)がクラッドされて
形成されたブレージングシート(6)の少なくとも一方
の前記皮材(5)の表面に、フラックスを付着させてフ
ラックス層(2)を形成し、次いでこれを圧延して前記
ブレージングシート(6)と前記フラックス層(2)と
を密着させるAl合金ブレージングシートの製造方法で
あって、前記皮材(5)は、AlおよびSiを含有し、
さらにMg、Bi、In、Znの1種または2種以上を
含有するとともに、Si含有量が6〜15wt%、Mg含
有量が0.1〜2wt%、Bi含有量が0.1〜0.5wt
%、In含有量が0.1〜0.5wt%、Zn含有量が5
〜40wt%となされたAlろう合金からなることことを
特徴とするものである。なお、この明細書において「シ
ート」の語はフィルム状のものも含む意味で用いる。
【0008】前記Al合金ろう材およびAl合金ブレー
ジングシートの各製造方法において、ろう材シート
(1)を構成するAlろう合金およびブレージングシー
ト(6)の皮材(5)を構成するAlろう合金は、いず
れも接合用ろう材として機能するものである。Alろう
合金を構成する各元素のうち、SiはAlろう合金の融
点を下げるための必須成分であり、Si含有量が6wt%
未満あるいは15wt%を超えると、液相線温度が高くな
ってろう付が困難となるため、Si含有量は6〜15wt
%とする必要がある。Si含有量の好ましい下限値は8
wt%であり、好ましい上限値は12wt%である。
【0009】前記Alろう合金の構成元素であるMg、
Bi、In、Znは、いずれか1種または2種以上を添
加することにより、ろう材としての種々の機能をさらに
向上させるものである。即ち、Mgは、ろう材の強度を
向上させるものである。Mg含有量が0.1wt%未満で
は強度向上効果が乏しく、2wt%を超えて添加しても却
って強度が低下するため、Mg含有量は0.1wt%〜2
wt%とする必要がある。Mg含有量の好ましい上限値は
1wt%である。Biは、ろうの流れ性を向上させて接合
部へのろうの充填を容易にするものである。Bi含有量
が0.1wt%未満では流れ性向上効果に乏しく、0.5
wt%を超えて添加しても前記効果が飽和するため、Bi
含有量は0.1wt%〜0.5wt%とする必要がある。B
i含有量の好ましい下限値は0.1wt%であり、好まし
い上限値は0.3wt%である。Inはろう材の電位を卑
としてその犠牲陽極効果によりろう付品の耐食性を向上
させる。In含有量が0.1wt%未満では耐食性向上効
果に乏しく、0.5wt%を超えて添加しても前記効果が
飽和するため、In含有量は0.1wt%〜0.5wt%と
する必要がある。In含有量の好ましい下限値は0.1
wt%であり、好ましい上限値は0.2wt%である。ま
た、ZnはAlろう合金の融点を下げる効果があり、S
iとの併用によりさらに低融点のAlろう合金とするこ
とができる。Zn含有量が5wt%未満あるいは40wt%
を超えると、液相線温度が高くなってろう付が困難とな
るため、Zn含有量は5〜40wt%とする必要がある。
Zn含有量の好ましい下限値は10wt%であり、好まし
い上限値は20wt%である。またさらに、前記各Alろ
う合金において、前記成分以外の残部組成は、一般的に
はAlおよび不可避不純物であるが、前記以外の他の金
属を添加しても良い。
【0010】なお、前記ブレージングシート(6)の芯
材(4)を構成するAlまたはAl合金としては、従来
の方法で製造されるAlブレージングシートの芯材とし
て使用されるものあれば何でも使用でき、例えば、JI
SA3003、A3005等の3000系Al合金や、
A6951等の6000系Al合金を例示できる。ま
た、圧延後もAl合金ろう材またはAl合金ブレージン
グシートとして必要とされる厚さを確保するために、前
記ろう材シート(1)またはブレージングシート(6)
は、厚さが0.1mm以上のものを使用することが好まし
い。
【0011】この発明に使用するフラックスは、前記A
lろう合金との関係で605℃以下で溶融するものであ
ればその種類は特に限定されるものではなく、弗化物系
または塩化物系のフラックスを使用できる。弗化物系フ
ラックスとしては、一般式;KαAlα+3(αは1以
上の整数)で表されるKAlF,KAlFおよび
AlF、KFとAlFとの混合物または共晶組
成物、フルオロアルミン酸カリウム錯体等を例示でき、
これらを単体または2種以上を混合して用いれば良い。
また、塩化物系フラックスとしては、BaCl、Na
Cl、KCl、ZnCl、BaCl−NaCl−K
Cl共晶組成物等を例示でき、これらを単体または2種
以上を混合して用いれば良い。前記フラックスは、懸濁
液に調製することを考慮して、粒径を1〜200μmに
粒度調整しておくことが好ましい。特に好ましい粒度の
下限値は5μmであり、上限値は100μmである。
【0012】前記フラックスの付着方法は特に限定され
ることはないが、好ましくはフラックス懸濁液を塗布す
ることにより付着させる方法を例示できる。例えば、ア
ルコール類や水等の分散剤により所定濃度のフラックス
懸濁液を調製する。そして、前記Al合金ろう材であれ
ばろう材シート(1)の少なくとも片面に前記フラック
ス懸濁液を塗布し、要すれば乾燥させてフラックス層
(2)を形成する。また、前記Al合金ブレージングシ
ート(7)の場合は、芯材(4)の片面のみに皮材
(5)がクラッドされたブレージングシート(6)であ
ればその皮材(5)の表面、芯材(4)の両面に皮材
(5)がクラッドされたブレージングシートであればそ
れらの皮材(5)の少なくとも一方の表面に、前記フラ
ックス懸濁液を塗布し、要すれば乾燥させてフラックス
層(2)を形成する。前記ろう材シート(1)またはブ
レージングシート(6)へのフラックスの付着量は、該
フラックス懸濁液の濃度および/または塗布回数により
調節すれば良い。フラックスの付着量が前記ろう材シー
ト(1)またはブレージングシート(6)に対する付着
面積に対して、片面につき0.3g/m2 未満では十分
なフラックス効果が得られず、100g/m2 を超える
とフラックス層(2)のろう材シート(1)またはブレ
ージングシート(6)に対する密着性が悪くなるため、
0.3〜100g/m2 程度とするのが良い。Al合金
ろう材では、フラックスの付着量の好ましい下限値は1
g/m2 であり、好ましい上限値は50g/m2 であ
る。また、Al合金ブレージングシートでは、フラック
スの付着量の好ましい下限値は0.3g/m2 であり、
好ましい上限値は50g/m2 である。
【0013】前述のようなフラックスの付着により片面
または両面にフラックス層(2)を形成したろう材シー
ト(1)またはブレージングシート(6)は、図1に示
すように、1対の圧延ロール(8)間に挟んで圧延する
ことによってこれらを密着させ、Al合金ろう材(3)
またはAl合金ブレージングシート(7)に製作され
る。圧延は、酸化膜の形成を抑制するためには冷間で行
う方が良いが、フラックスの付着量が多い場合など、よ
り高い密着性が要求されるときは熱間で圧延しても良い
し、冷間圧延と熱間圧延を併用しても良い。また、十分
な密着性を得るために1回につき5%以上の圧加率で圧
延することが必要であり、圧加率が高すぎるとろう材が
割れたりフラックスが圧着されなかったりするため、5
〜60%圧加率で圧延することが好ましい。圧加率の好
ましい下限値は30%であり、好ましい上限値は50%
である。なお、前記圧延は、図1に示すように、1枚の
ろう材シート(1)またはブレージングシート(6)に
ついて行う他、図2に示すように、2枚以上のろう材シ
ート(1)またはブレージングシート(6)を重ねて同
時に圧延しても良い。ただし、2枚以上を同時に圧延す
るときは、これらが圧着されないようにフラックス層
(2)(2)同士を合わせて圧延することが好ましい。
【0014】このような方法で製造されたAl合金ろう
材(3)またはAl合金ブレージングシート(7)は、
接合部に応じた形状あるいは接合品に必要な形状に適宜
切断し、または切断片を成形してろう付に供する。しか
し、Al合金ろう材(3)またはAl合金ブレージング
シート(7)は、フラックスが圧着されているうえに圧
延によって硬化して折れやすくなっているため、これら
(3)(7)を成形して使用する場合は、圧延後に焼鈍
して柔らかくして使用することが好ましい。焼鈍は27
0〜500℃で40〜60分程度で良く、特に大気中で
は270〜300℃、不活性ガス中では270〜500
℃で焼鈍するのが好ましい。
【0015】
【作用】この発明の方法によれば、ろう材シート(1)
の少なくとも片面、または芯材(4)の少なくとも片面
に皮材(5)がクラッドされて形成されたブレージング
シート(6)の少なくとも一方の皮材(5)の表面にフ
ラックスを付着させてフラックス層(2)を形成し、次
いでこれを圧延するという簡単な方法により、前記フラ
ックス層(2)がこれらのシート(1)(6)に密着し
て一体化された複層のAl合金ろう材(3)またはAl
合金ブレージングシート(7)を製造することができ
る。
【0016】このような方法で製造されたAl合金ろう
材(3)およびAl合金ブレージングシート(7)にお
いては、フラックスが表面にのみ存在しているため、ろ
う付時の加熱により、フラックスは接合部材と該Al合
金ろう材(3)あるいは該Al合金ブレージングシート
(7)との界面に選択的に供給される。また、前記ろう
材シート(1)または皮材(5)を構成するAlろう合
金は、Mgの添加により強度が向上し、Biの添加によ
りろうの流れ性が向上し、Inの添加によりその犠牲陽
極効果により接合部の耐食性が向上し、Znの添加によ
りろう材の融点が降下する。
【0017】
【実施例】次に、この発明のAl合金ろう材およびAl
合金ブレージングシートの各製造方法の具体的実施例に
ついて説明する。各製造方法において、フラックスとし
て、平均粒径15μmのKFとAlF3の共晶組成物か
らなる弗化物系フラックス、および平均粒径15μmの
BaCl2 −NaCl−KCl共晶組成物からなる塩化
物系フラックスを使用した。
【0018】[Al合金ろう材]以下に、各実施例およ
び比較例のAl合金ろう材の製造方法および、製作した
ろう材によるろう付試験について詳述する。
【0019】(実施例1〜13、比較例1〜2)ろう材
シートとして、後掲の表1に示す各組成のAlろう合金
からなり、厚さ0.8mmのものを使用した。まず、前記
フラックスをエチルアルコールに分散させて各所定濃度
の懸濁液に調製した。次いで、図1に示すように、前記
ろう材シート(1)の両面にフラックス懸濁液を塗布し
たのち乾燥させてフラックス層(2)を形成し、480
℃の熱間で表1に示す圧加率で圧延して3層構造のAl
合金ろう材(3)を得た。表1に、Alろう合金組成、
フラックスの種類と付着量、圧加率を示す。なお、実施
例12では圧加率5%の圧延を3回行った。次に、A6
063Al合金製ブロックとA1100Al合金製押出
チューブとで継手を組立て、接合部に適宜切断した前記
Al合金ろう材を置き、N2 ガス中で雰囲気加熱を行っ
てろう付した。ろう付は実施例5、7は590℃×5分
間、その他は610℃×5分間の加熱により行った。
【0020】(実施例14)実施例8で製作したAl合
金ろう材(3)を大気中で300℃で60分間焼鈍し
た。次に、前記Al合金ろう材を切断してリング状に成
形するとともに、A6063Al合金製押出チューブと
A1100Al合金製押出チューブとで継手を組立て、
接合部に該Al合金ろう材を置き、N2 ガス中で610
℃×5分間の雰囲気加熱を行ってろう付した。
【0021】(比較例3〜4)A6063Al合金製ブ
ロックとA1100Al合金製押出チューブとで継手を
組立て、接合部に実施例8〜14と同一組成のろう材シ
ートを適宜切断したものを置くとともに、弗化物系フラ
ックス懸濁液を塗布し、N2 ガス中で610℃×5分間
の雰囲気加熱を行ってろう付した。フラックス付着量
は、比較例3では実施例10と同じ40g/m2 、比較
例4では従来の塗布量と同等の400g/m2 とした。
【0022】(比較例5)平均粒径44μmのAl粉末
72wt%、平均粒径5μmのSi粉末8wt%、平均粒径
15μmのKF−AlF3 共晶粉末20wt%を出発材料
として、これらの混合分末を特願平3−346994号
に記載の方法に準じて圧粉体に成形し、さらにこの圧粉
体を管体に押出して、フラックスがろう材全体に均一に
分布したフラックス含有ろう材を製作した。次に、A6
063Al合金製押出チューブとA1100Al合金製
押出チューブとで継手を組立て、接合部に前記フラック
ス含有ろう材を適宜切断したリング状のろう材を置き、
2 ガス中で610℃×5分間雰囲気加熱を行ってろう
付した。
【0023】(比較例6)平均粒径44μmのAl粉末
72wt%、平均粒径5μmのSi粉末8wt%および平均
粒径15μmのKF−AlF3 共晶粉末20wt%にエチ
ルアルコールを加えて良く混ぜ、ペースト状のフラック
ス含有Al合金ろう材を調製した。次に、A6063A
l合金製ブロックとA1100Al合金製押出チューブ
とで継手を組立て、接合部に前記ペースト状のフラック
ス含有Al合金ろう材を塗布し、N2 ガス中で610℃
×5分間雰囲気加熱を行ってろう付した。
【0024】以上の各ろう付品につき、ろう付性、欠陥
率、外観状態、強度および耐食性について、次のような
方法で評価した。評価結果を表1に併せて示す。 (ろう付性)ろうの充填率によって次のように評価し
た。 ◎;98%以上 ○;90%以上98%未
満 △;70%以上90%未満 ×;70%未満 (欠陥率)ろう付品についてX線で透視観察し、ろう材
面積に対するピンホールおよびブローホールの面積率
(%)によって評価した。 (外観状態)ろう付品を目視観察して次のように評価し
た。 ○;極めて清浄 ×;フラックスの残留が認められ
た。 (強度)ろう付品を縦に4つ割りにして引張試験を行
い、次のように評価した。 ◎;母材が破断した。 ○;ろう付継手部が破断した。 (耐食性)JISZ2371に殉じる塩水分噴霧を10
00時間施し、接合部の腐食状態を調べて次のように耐
食性を評価した。 ◎;腐食が認められなかった ○;一部に腐食が認め
られた。
【0025】
【表1】
【0026】[Al合金ブレージングシート]以下に、
各実施例および比較例のAl合金ブレージングシートの
製造方法および、製作したブレージングシートのろう付
試験について詳述する。
【0027】(実施例15〜27、比較例7〜8)Al
合金ブレージングシートの製造材料として、A3003
Al合金からなる芯材(4)の両面に、後掲の表2の組
成のAlろう合金からなる皮材(5)(5)をクラッド
した厚さ1.0mmのブレージングシート(6)を使用し
た。なお、前記ブレージングシート(6)の皮材(5)
(5)のクラッド率は、片面につき10%である。ま
ず、前記フラックスをエチルアルコールに分散させて各
所定濃度の懸濁液に調製した。次いで、図1に示すよう
に、前記ブレージングシート(6)の両面にフラックス
懸濁液を塗布したのち乾燥させてフラックス層(2)を
形成し、480℃の熱間で表2に示す圧加率で圧延し
て、図3に示すような5層構造のAl合金ブレージング
シート(7)を得た。さらに、これらのAl合金ブレー
ジングシート(7)を、大気中で300℃で60分間焼
鈍した。表2に、皮材(Alろう合金)組成、フラック
スの種類と付着量、圧加率を示す。なお、実施例26で
は圧加率5%の圧延を3回行った。次に、前記Al合金
ブレージングシート(7)をフィン材に成形し、このフ
ィン材とA1100Al合金からなる厚さ0.8mmの押
出チューブとによりコルゲート型熱交換器を仮組し、N
2 ガス中で雰囲気加熱を行いろう付した。加熱は、実施
例19、21については590℃×5分間、その他は6
10℃×5分間とした。
【0028】(比較例9、10)実施例22〜27と同
一組成の皮材(5)(5)を有するブレージングシート
(6)をフィン材に成形し、このフィン材とA1100
Al合金からなる厚さ0.8mmの押出チューブとにより
コルゲート型熱交換器を仮組するとともに、接合部に弗
化物系フラックス懸濁液を塗布し、N2 ガス中で610
℃×5分間の雰囲気加熱を行ってろう付した。フラック
ス付着量は、比較例9では実施例24と同じ40g/m
2 、比較例10では従来の塗布量と同等の400g/m
2 とした。
【0029】(比較例11)前記Al合金ろう材の比較
例5と同じ方法で、ろう成分とフラックス成分の混合粉
末を圧粉体に成形したのち平板に押出してフラックス含
有Al合金ろう材を製作し、特願平3−347010号
に記載の方法に準じて、A3003Al合金からなる芯
材の両面に該フラックス含有Al合金ろう材を熱間圧延
および冷間圧延によって圧接し、厚さ0.2mm、クラッ
ド率10%のフラックス含有Al合金ブレージングシー
トを製作した。即ち、このブレージングシートの皮材に
はフラックスが均一に分布している。次に、前記フラッ
クス含有Al合金ブレージングシートをフィン材に成形
し、このフィン材とA1100Al合金からなる厚さ
0.8mmの押出チューブとによりコルゲート型熱交換器
を仮組し、N2 ガス中で610℃×5分間の雰囲気加熱
を行ってろう付した。
【0030】以上のような方法でろう付けしたコルゲー
ト型熱交換器の試験品について、前述のAl合金ろう材
と同じ方法により、ろう付性、欠陥率、外観状態、強度
および耐食性を評価した。評価結果を表2に併せて示
す。
【0031】
【表2】
【0032】この発明の実施例にかかるAl合金ろう材
(3)およびAl合金ブレージングシート(7)は、い
ずれも接合界面に選択的にフラックスが過不足なく供給
されてろうは良好に充填され、かつ欠陥もなかった。ま
た、ほとんどフラックス残渣もなくろう付後の外観状態
も良好であった。さらに、Mgの添加により強度が向上
することを、Biの添加によりろうの流れ性が良くなっ
てろう付性が一層向上することを、Inの添加により耐
食性が向上することを、Znの添加によりろう材の融点
を降下させて低温でのろう付が可能になることも確認し
えた。なお、実施例14のようにAl合金ろう材(3)
をリング状に成形して使用する場合やAl合金ブレージ
ングシート(7)をフィン材に加工して使用する場合
は、これらを焼鈍によって柔らかくすることによって折
れることなく良好に曲げ加工することができた。これら
の実施例に対して、フラックスを別途供給した比較例
3、4、9および10は、フラックスの付着量が実施例
と同量では良好にろう付できず、10倍量を使用すると
良好なろう付は可能であったがフラックス残渣が非常に
多く外観状態が極めて悪かった。また、比較例5、6お
よび11はフラックスがろう材全体に分布してるために
接合界面のみにフラックスを供給することができず、欠
陥が生じた。
【0033】
【発明の効果】以上のように、この発明の表面にフラッ
クス層を有するAl合金ろう材の製造方法は、Alろう
合金からなるろう材シートの少なくとも片面に、フラッ
クスを付着させてフラックス層を形成し、次いでこれを
圧延して前記ろう材シートと前記フラックス層とを密着
させるAl合金ろう材の製造方法であって、前記ろう材
シートは、AlおよびSiを含有し、さらにMg、B
i、In、Znの1種または2種以上を含有するととも
に、Si含有量が6〜15wt%、Mg含有量が0.1〜
2wt%、Bi含有量が0.1〜0.5wt%、In含有量
が0.1〜0.5wt%、Zn含有量が5〜40wt%とな
されたAlろう合金からなるものであるから、表面のみ
にフラックスが存在するAl合金ろう材を簡単な工程で
製造できる。また、この方法において前記ろう材シート
をブレージングシートに置き換えることにより、皮材の
表面のみにフラックスが存在するAl合金ブレージング
シートを同様の簡単な工程で製造できる。
【0034】これらの方法で製造されたAl合金ろう材
およびAl合金ブレージングシートを用いたろう付で
は、ろう材および接合部材と該Al合金ろう材またはA
l合金ブレージングシートとの界面のみに必要量のフラ
ックスを供給することができる。その結果、ろう材の中
心部にフラックスが存在せず、ろう付部にピンホールや
ブローホール等の欠陥の発生を抑制することができる。
また、従来のろう材全体にフラックスが分布するフラッ
クス含有Al合金ろう材に比べて少量のフラックスで同
等の良好なろう付性が得られ、上述のように製造工程が
簡単であることとも相俟って、Al合金ろう材またはA
l合金ブレージングシートの製造コストを低減できる。
【0035】さらに、前記Alろう合金および皮材を構
成するAlろう合金の組成において、AlおよびSiの
他に、Mgの添加により強度を向上させ、Biの添加に
よりろうの流れ性を良くしてろう付性を一層向上させ、
Inの添加により耐食性を向上させることにより、高い
機能を有するAl合金ろう材またはAl合金ブレージン
グシートを製造できるとともに、Znの添加によりろう
材の融点を降下させて低温ろう付にも使用可能なAl合
金ろう材またはAl合金ブレージングシートを製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる、表面にフラックス
層を有するAl合金ろう材およびAl合金ブレージング
シートの各製造方法を示す断面図である。
【図2】この発明にかかる表面にフラックス層を有する
Al合金ろう材およびAl合金ブレージングシートの他
の各製造方法を示す断面図である。
【図3】この発明の表面にフラックス層を有するAl合
金ブレージングシートの製造方法によって製造されたA
l合金ブレージングシートの断面図である。
【符号の説明】
1…ろう材シート 2…フラックス層 4…芯材 5…皮材 6…ブレージングシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/00 J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alろう合金からなるろう材シート
    (1)の少なくとも片面に、フラックスを付着させてフ
    ラックス層(2)を形成し、次いでこれを圧延して前記
    ろう材シート(1)と前記フラックス層(2)とを密着
    させるAl合金ろう材の製造方法であって、 前記ろう材シート(1)は、AlおよびSiを含有し、
    さらにMg、Bi、In、Znの1種または2種以上を
    含有するとともに、Si含有量が6〜15wt%、Mg含
    有量が0.1〜2wt%、Bi含有量が0.1〜0.5wt
    %、In含有量が0.1〜0.5wt%、Zn含有量が5
    〜40wt%となされたAlろう合金からなることを特徴
    とする、表面にフラックス層を有すAl合金ろう材の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 AlまたはAl合金からなる芯材(4)
    の少なくとも片面にAlろう合金からなる皮材(5)が
    クラッドされて形成されたブレージングシート(6)の
    少なくとも一方の前記皮材(5)の表面に、フラックス
    を付着させてフラックス層(2)を形成し、次いでこれ
    を圧延して前記ブレージングシート(6)と前記フラッ
    クス層(2)とを密着させるAl合金ブレージングシー
    トの製造方法であって、 前記皮材(5)は、AlおよびSiを含有し、さらにM
    g、Bi、In、Znの1種または2種以上を含有する
    とともに、Si含有量が6〜15wt%、Mg含有量が
    0.1〜2wt%、Bi含有量が0.1〜0.5wt%、I
    n含有量が0.1〜0.5wt%、Zn含有量が5〜40
    wt%となされたAlろう合金からなることを特徴とす
    る、表面にフラックス層を有するAl合金ブレージング
    シートの製造方法。
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