JPH07288493A - ダブルトーク検出装置 - Google Patents

ダブルトーク検出装置

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JPH07288493A
JPH07288493A JP7842994A JP7842994A JPH07288493A JP H07288493 A JPH07288493 A JP H07288493A JP 7842994 A JP7842994 A JP 7842994A JP 7842994 A JP7842994 A JP 7842994A JP H07288493 A JPH07288493 A JP H07288493A
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JP7842994A
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Kensaku Fujii
健作 藤井
Toshiro Oga
寿郎 大賀
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】エコーキャンセラにおいて擬似エコーを生成す
る適応フィルタの係数を更新する処理方法に関し、エコ
ーに混入した妨害信号の増大を検出して係数更新を休止
するための、ダブルトーク検出装置を提供することを目
的とする。 【構成】エコーキャンセラ100においては、入力信号
を特性が未知の信号伝達系に送出したときの応答とこの
応答を模擬する擬似応答との差分によって入力信号成分
を打ち消した出力信号を得るととにもに、出力信号と入
力信号とから定まる特性によって擬似応答を生成する。
この場合に、検出手段160を設けて、信号伝達系の応
答と擬似応答の積和と、擬似応答の自乗和との比を求
め、この比の値を0と1の中間に設定した閾値と比較し
て閾値以下になったとき、信号伝達系の応答特性が変化
したことを検出するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エコーキャンセラにお
いて擬似エコーを生成する適応フィルタの係数を更新す
る処理方法に関し、特にエコーに混入した妨害信号が一
定以上の大きさになったことを検出して係数更新を休止
するための、ダブルトーク検出装置に関するものであ
る。
【0002】図12は、従来の、および本発明が適用さ
れるエコーキャンセラの構成例を示したものである。図
中、100はダブルトーク検出回路を示し、201は遠
端話者の音声を伝送するスピーカ、202は近端話者の
音声を受けるマイクロフォン、211は適応フィルタ、
212は適応フィルタ211の係数を更新するための係
数更新回路、213は減算器である。
【0003】図12は、音響エコーキャンセラを示し、
スピーカ201からマイクロフォン202へ回り込んだ
エコーgj を、マイクロフォン202の出力Yj から、
適応フィルタ211の出力(擬似エコー)Gj を差し引
くことによって相殺する。
【0004】ここで、エコーgj は次式で表される。 gj =Σhj (i) Xj (i) …(1) j :時刻(Sample time index, itertion) Σ :i=1〜Iの加算 hj (i) :スピーカからマイクロフォンに至る音響伝達
系(エコー経路)のインパルス応答 Xj (i) :遠端話者音声
【0005】また、マイクロフォン出力Yj は次式で表
される。 Yj =gj +Sj +Nj …(2) Sj :近端話者音声 Nj :周囲騒音
【0006】適応フィルタ出力(擬似エコー)Gj は、
次式のようになる。 Gj =ΣHj (i) Xj (i) …(3) Hj (i) :適応フィルタの係数
【0007】この場合における相殺の程度は、係数更新
回路212によって与えられる、適応フィルタ係数Hj
(i) とインパルス応答hj (i) との差 Δj (i) =hj (i) −Hj (i) …(4) によって測られる。
【0008】また、このエコーキャンセラ導入の効果
は、次式で示す差分(残留エコー) Ej =Yj −Gj …(5) =ΣΔj (i) Xj (i) +Sj +Nj …(6) が最も小さくなるとき最大となり、係数更新回路212
は、この差分Ej が最小になるように、適応フィルタ2
11の係数を更新する。
【0009】ここで、問題となることは、近端話者音声
j が、適応フィルタの係数Hj (i) の修正に必要な情
報を含む上述の差分Δj (i) の正確な観測を妨害する、
雑音としての効果を持つことである。
【0010】明らかに、差分Δj (i) が精度よく観測さ
れなければ、係数Hj (i) の修正に参考となる情報は得
られず、その正確な情報が得られなければ、差分Δ
j (i) を十分小さくして、エコーの消去量を大きくする
ことはできない。
【0011】図12に示された音響エコーキャンセラで
は、マイクロフォン出力Yj に近端話者音声Sj が重畳
して得られることをダブルトークと呼び、このダブルト
ークの発生があっても、適応フィルタの係数が乱れる
(すなわち差分Δj (i) が大きくなる)ことなく、遠端
話者だけが発声している状態(すなわちSj =0の状
態)であるシングルトーク時のエコー消去量が、そのま
ま維持されるように処理が行われることが不可欠であ
る。
【0012】そこで、エコーキャンセラにおいては、通
常、ダブルトークの発生(すなわち音響エコーキャンセ
ラでは、近端話者音声の発生)を検出するダブルトーク
検出回路100を別に設けて、この回路においてダブル
トークを検出したとき、係数更新回路212による、適
応フィルタ211の係数更新を休止する構成をとってい
る。
【0013】ダブルトークの検出方法については、従来
から種々の方法が知られている。第1の方法は、『マイ
クロフォン出力Yj と遠端話者音声Xj の短時間平均パ
ワー比の変化からダブルトークを検出する方法』であ
る。図12に示されたダブルトーク検出回路100は、
この方法を想定して結線されている。
【0014】この方法は、すでに例えば〔(1) 来山征
士, 田村潤三, 山本誠一, 石上彦一『共通の適応制御部
をもつ多重エコーキャンセラ』, 電子情報通信学会技術
報告CS78-28 (1978)〕において提案されている。
【0015】図12の構成において、短時間平均パワー
比RYXは次式によって示される。 RYX=PY /PX …(7) PY :マイクロフォン出力Yj の短時間平均パワー PX :遠端話者音声Xj の短時間平均パワー
【0016】遠端話者音声Xj と近端話者音声Sj およ
び周囲騒音Nj が互いに独立と仮定して、加算項数Jを
十分に大きくとることによって、短時間平均パワー比R
YXは、次のように近似される。 RYX=σh 2 +σS 2 /σX 2 …(8) σh 2 :エコー経路のパワー利得 σS 2 :(近端話者音声+周囲騒音)の平均パワー σX 2 :遠端話者音声の平均パワー
【0017】また当然ながら、シングルトーク時におい
ては、短時間平均パワー比RYXは、次のようになる。 RYX=σh 2 …(9)
【0018】(8) 式と(9) 式とを比較することによっ
て、ダブルトークは、パワー比RYXの増大によってその
発生が検出されることが明らかである。
【0019】ところが、この方法によった場合、次のよ
うな欠点があることが指摘される。 (1) エコーが近端話者音声に比べて大きいときは、近端
話者音声がエコーに埋もれて検出されにくい場合があ
る。
【0020】(2) エコー経路のインパルス応答の持続時
間が長いときは、エコーを近端話者音声と誤判定するこ
とがないように、加算項数Jを十分に大きくする必要が
あるが、加算項数Jを大きくすると、ダブルトークの検
出に時間がかかり、その間にフィルタ係数が大きく乱れ
てしまう。 (3) 音響結合が増大(σh 2 が増加)するようなエコー
経路変動があった場合も、ダブルトークと判定して、係
数更新を休止する誤動作を引き起こす。
【0021】これらの欠点が、ダブルトークの判定にエ
コーを含む信号のパワーを用いた点に起因することは、
式(8) を構成する成分中に、エコー経路のパワー利得が
存在することから容易に推察されるところである。
【0022】そこで、この欠点(1),(2) を解消可能な第
2の方法として、残留エコーEj と、遠端話者音声Xj
の瞬時パワーの比の変化から、ダブルトークを検出する
方法〔(2) 古屋宣二, 福士雄三, 伊藤栄紀, 田辺淳二,
荻原幸雄『適応型エコーキャンセラにおける重畳通話検
出の1方式と実験結果』,昭59信学会総全大,2343(198
4) 〕が提案されている。
【0023】この場合の瞬時パワー比REXは、次式によ
って示される。 REX=pE /pX …(10) pE :残留エコーの瞬時パワー pX :遠端話者音声の瞬時パワー
【0024】前述の場合と同様に、遠端話者音声Xj
近端話者音声Sj および周囲騒音N j が互いに独立と仮
定することによって、この瞬時パワーの比は、次のよう
に近似される。 REX=pd +pS /pX …(11) pd :推定誤差Δj の瞬時パワー pS :(近端話者音声Sj +周囲騒音Nj )の瞬時バワ
【0025】この際、エコーが十分に相殺されていれ
ば、この瞬時パワー比REXと、式(8)として与えたパワ
ー比RYXとの比較において、 pd ≪σh 2 …(12) の関係が成立することから、上述の欠点(1) は、この方
法によって解決されることは明らかである。
【0026】さらにこの方法においては、エコーが除か
れていることから、エコーをダブルトークと判定する危
険は小さく、従って、加算項数が少なくてすむ瞬時パワ
ーの採用が可能となることから、上述の欠点(2) も解決
され、検出に要する時間の大幅な短縮が実現される。
【0027】残る問題は、このようにしても、エコー経
路変動による残留エコーの増加と、ダブルトークによる
残留エコーの増加とは、区別することができないことで
ある。また、当然ながら、この方法によっても、上述の
欠点(3) は解消されない。
【0028】エコーキャンセラにおいては、エコー経路
変動が生じた場合には、適応フィルタの係数更新は休止
してはならず、一方、ダブルトークの場合には、係数更
新を休止しなければならない。そこで、エコー経路変動
の場合と、ダブルトークの場合との区別が明確にできな
ければ、エコーキャンセラのエコー消去量を、常時、十
分な大きさで維持することが困難となる。
【0029】しかしながら、上述の瞬時パワー比REX
用いる方法は、『エコー経路変動の検出方法さえ見いだ
すことができれば』、上述の欠点(3) をも併せて解消で
きる、検出遅延の少ない優れた解決手段となり得る。
【0030】またそれだけでなく、エコー経路変動の検
出が可能になれば、〔(3) 宇佐川毅, 松藤克明, 松尾秀
之, 江端正直『可変タップ長LMSアルゴリズムの収束
特性について』,平4音響学会春季全大,3-5-14(199
2)〕または〔(4) 藤井健作, 大賀寿郎『学習同定法にお
ける修正定数の最適制御』,電子情報通信学会論文誌
(A),J75-A,No.6,pp.975-983(1992) 〕に記載されてい
る、エコーキャンセラの収束の高速化を実現する手法も
採用可能となる。
【0031】このように、信号伝達系の応答の変化、す
なわちダブルトークの発生とエコー経路変動とを区別し
て検出できる手法の確立が、強く要望されている。
【0032】
【従来の技術】従来から、ダブルトークの発生とエコー
経路変動とを区別して検出する方法(エコー経路変動検
出法)としては、いくつかの提案がなされている。
【0033】第1の方法として、〔(5) 南重信, 川崎忠
道『継続時間の統計的性質を利用したダブルトーク検出
方式』, 昭59信学通信全大,589(1984)〕に記載された方
法がある。
【0034】すなわち、ダブルトークが3秒を超えて継
続することがまれであることを利用して、瞬時パワー比
EXがある程度以上の大きさで3秒以上継続した場合
は、エコー経路変動と判定して、適応フィルタ係数更新
の休止を解除する方法である。
【0035】しかしながら、この方法は必然的に『3秒
以上の継続時間を持つダブルトークは、エコー経路変動
と誤判定されること、そして、エコー経路変動と判定す
るまでに要する時間が3秒以上であって長い』という欠
点を持っている。エコーキャンセラは、この長い判定時
間の間、エコーの消去量を十分に大きくとることができ
ず、この間において、ハウリングが発生する可能性を無
視することはできない。
【0036】第2の方法として、小型のエコー経路変動
検出用エコーキャンセラを併用する方法〔(6) 古川博
基,茨木悟,直野博之『適応型エコーキャンセラ用双方
向同時通話検出法』,昭61音響学会春季全大,2-4-9(19
86) 〕がある。すなわち、検出用エコーキャンセラを別
に用意して、瞬時パワー比REXの増加に対しては、直ち
にダブルトークと判定して、主エコーキャンセラの係数
更新を休止する方法である。ただし、検出用エコーキャ
ンセラは、ダブルトークと判定されたときでも、係数更
新を続行するように構成される。
【0037】この場合、検出用エコーキャンセラで観測
される瞬時パワー比REXは、その増加がエコー経路変動
によるものであれば、フィルタ係数の更新につれて減少
するが、ダブルトークによるものであれば、大きいまま
で減少しない。すなわち、このような反応の仕方の違い
から、エコー経路変動と、ダブルトークとの判別が可能
となる。
【0038】この方法の欠点は、エコーキャンセラを二
重に用意しなければならず、従って、回路規模が大きく
なることと、長いタップ長のエコーキャンセラでは収束
が遅く、瞬時パワー比REXの減少の程度からエコー経路
変動と判定できるまでには時間がかかるため、主エコー
キャンセラに対して係数更新の再開が遅くなることであ
る。
【0039】第3の方法として、この場合の検出の高速
化を実現する方法として、本発明者によって考案され
た、残響特性が指数関数的に減少することを利用して検
出する方法〔(7) 藤井健作, 大賀寿郎『音響エコーキャ
ンセラのためのダブルトークとエコー経路変動検出に関
する検討』, 電子情報通信学会技術報告,EA91-82(199
2)〕がある。
【0040】すなわち、マイクロフォン出力Yj にタッ
プmを除いて合成した擬似エコーを加えると、マイクロ
フォン出力は、次のようになる。 Yj (m) =hj (m) Xj (m) +Σm Δj (i) Xj (i) +Sj …(13) Σm :i=mを除くi=1〜Iの加算
【0041】このように、エコーの第m番目の成分が残
されることを利用する。この手法において、擬似エコー
の第m番目の成分との積 Yj (m) Hj (m) Xj (m) =[ hj (m) Xj (m) +Σm Δj (i) Xj (i) +Sj +Nj ] Hj (m) Xj (m) …(14) は、遠端話者音声Xj と近端話者音声Sj および周囲騒
音Nj の間に相関がないと仮定されること、またフィル
タ係数の更新過程が収束した後においては、 Hj (m) ≒hj (m) …(15) と近似されること、そして、タップmを除く推定誤差Δ
j (i) とフィルタ係数H j (m) とも互いに独立であると
仮定できることから、平均値 P(m) ≒hj (m) Xj 2(m) …(16) を中心とする確率変数となる。
【0042】そこで、この積を、m=1〜I/2と (I
/2) +1〜Iについて加算し、その確率変数としての
分散を抑えて近端話者音声Sj の影響を小さくして、そ
の比
【数1】 を計算すれば、その結果は、残響特性が指数関数的に減
少する〔(8) 牧野昭二,小泉宣夫『エコーキャンセラの
室内音場における適応特性の改善について』, 電子情報
通信学会論文誌(A), J71-A, No.12, pp.2212-2214(198
8) 〕ことから、収束後において、R<1の関係を満た
す。これは、遅延の大きい部分ほど、エコーのパワーが
小さくなるためである。
【0043】逆に、エコー経路が変動し、hj (m) とH
j (m) が異なる値をとれば、明らかに、式(14)の平均値
は0となり、従って、比Rに対してエコー経路変動が生
じたときは、R<1の関係が大きく崩されることにな
る。さらに、エコー経路変動は、一瞬のうちに、このR
<1の関係を崩すことから、この方法の採用によって、
検出遅延の大幅な短縮が可能となる。
【0044】この方法によった場合は、音声のパワー変
化が比Rに現れ、音声のパワー変化をエコー経路変動と
判定する誤動作を引き起こす危険があることと、第m番
目の成分を除く擬似エコーの加算と擬似エコーの各成分
との積を求める計算量が多く、この方法によっては、演
算量の削減が実現されないという欠点がある。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の、
ダブルトークの発生と、エコー経路変動とを区別して検
出する方法は、いずれも欠点を有するものであった。本
発明は、このような従来技術の課題を解決しようとする
ものであって、未知系の応答と、その擬似応答との積和
の大小から、エコー経路変動を検出することによって、
ダブルトークの発生と、エコー経路変動とを区別して検
出することができる、ダブルトーク検出装置を提供する
ことを目的としている。
【0046】
【課題を解決するための手段】図1は、本発明の原理的
構成を示したものであって、ダブルトークの発生とエコ
ー経路変動とを区別して検出する装置の構成を示してい
る。
【0047】図1において、101は系の応答Yj の入
力端子、102は擬似エコーGj の入力端子、103は
残留エコーej の入力端子、160はエコー経路変動を
検出する第1の検出手段、170はダブルトークの発生
またはエコー経路変動を検出する第2の検出手段であ
る。
【0048】検出手段160において、110は乗算器
であって、系の応答Yj と擬似エコーGj の積を演算す
る。120は加算回路であって、乗算器110の乗算結
果を加算する。111は乗算器であって、擬似エコーG
j の自乗を演算する。121は加算回路であって、乗算
器111の乗算結果を加算する。130は除算器であっ
て、加算回路120の出力を加算回路121の出力で除
算して比を求める。140は比較器であって、除算器1
30で求められた比を予め定められた検出閾値と比較し
て、エコー経路変動を検出する。
【0049】検出手段170において、112は乗算器
であって、残留エコーej の自乗を演算する。122は
加算回路であって、乗算器112の乗算結果を加算す
る。123は加算回路であって、乗算器111の乗算結
果を加算する。131は除算器であって、加算回路12
2の出力を加算回路123の出力で除算して比を求め
る。141は比較器であって、除算器131で求められ
た比を予め定められた検出閾値と比較して、ダブルトー
クの発生およびエコー経路変動を検出する。
【0050】150は判定回路であって、検出手段16
0,170の検出結果を受けて、エコー経路変動か、ま
たはダブルトークの発生かの判定を行う。判定回路15
0の判定結果の出力は、出力端子104を経て、例えば
図12に示された係数更新回路212に伝えられる。
【0051】本発明においては、このような構成におい
て、次の各手段を備える。 (1) 入力信号を特性が未知の信号伝達系に送出したとき
の応答とこの応答を模擬する擬似応答との差分によって
入力信号成分を打ち消した出力信号を得るとともに、出
力信号と入力信号とから定まる特性によって、擬似応答
を生成するエコーキャンセラにおいて、信号伝達系の応
答と擬似応答の積和と、擬似応答の自乗和との比を求
め、この比の値を0と1の中間に設定した閾値と比較し
て閾値以下になったとき、信号伝達系の応答特性が変化
したことを検出する検出手段を設ける。
【0052】(2) 入力信号を特性が未知の信号伝達系に
送出したときの応答とこの応答を模擬する擬似応答との
差分によって入力信号成分を打ち消した出力信号を得る
とともに、出力信号と入力信号とから定まる特性によっ
て、擬似応答を生成するエコーキャンセラにおいて、信
号伝達系の応答と擬似応答との差分の自乗和と、擬似応
答の自乗和との比を求め、この比の値が予め設定した閾
値を超えて大きくなったとき、信号伝達系の応答特性の
変化および応答への雑音の混入の発生を検出する検出手
段を設ける。
【0053】(3) 入力信号を特性が未知の信号伝達系に
送出したときの応答とこの応答を模擬する擬似応答との
差分によって入力信号成分を打ち消した出力信号を得る
とともに、出力信号と入力信号とから定まる特性によっ
て、擬似応答を生成するエコーキャンセラにおいて、信
号伝達系の応答と擬似応答の積和と、擬似応答の自乗和
との比を求め、この比の値を0と1の中間に設定した閾
値と比較して閾値以下になったとき、信号伝達系の応答
特性が変化したことを検出する第1の検出手段と、信号
伝達系の応答と擬似応答との差分の自乗和と、擬似応答
の自乗和との比を求め、この比の値が予め設定した閾値
を超えて大きくなったとき、信号伝達系の応答特性が変
化し、または応答に雑音が混入したことを検出する第2
の検出手段とを設け、第1の検出手段の検出出力と、第
2の検出手段の検出出力とから、応答への雑音の混入の
発生を判定する。
【0054】(4) (2) または(3) の場合に、第2の検出
手段が、信号伝達系の応答と擬似応答との差分の自乗和
とこの擬似応答の自乗和との比に、学習同定法における
ステップゲインK(0<K<2)の1/2を乗じた値の
変化を監視して、この値が予め設定した閾値を超えて大
きくなったとき、信号伝達系の応答特性の変動および応
答への雑音の混入の発生を検出する。
【0055】(5) (1) ないし(4) のいずれかの場合に、
擬似応答を生成する装置が、適応フィルタと、出力信号
と入力信号とから定まる係数をこの適応フィルタに設定
する係数更新回路とからなるとともに、係数更新回路の
入力にダブルトークの検出に要する時間以上の遅延を与
えるシフトレジスタを前置する。
【0056】(6) (2) または(3) の場合に、差分の自乗
和と擬似応答の自乗和との比を、立ち上がりが瞬時で、
立ち下がりがゆるやかな応答特性を有する低域フィルタ
に印加し、この低域フィルタの出力と閾値とを比較する
ことによって、信号伝達系の応答特性の変化および応答
への雑音の混入の発生を検出する。
【0057】(7) (3) の場合に、第2の検出手段によっ
て信号伝達系の応答特性の変化および応答への雑音の混
入の発生が検出されたときから、標本化周期ごとに、第
1の検出手段において、信号伝達系の応答と擬似応答の
積和と擬似応答の自乗和との比を、積和と自乗和との項
数を増加させながら求めて、この比と予め設定した閾値
との比較から、信号伝達系の応答特性が変化したことを
検出する。
【0058】(8) (7) の場合に、低域フィルタの出力と
の比較のたびに、検出閾値を順次小さい値にする。
【0059】(9) (5) の場合に、信号伝達系の応答への
雑音の混入が判定されたとき、またはこの雑音の混入が
解消されたと判断されたとき、シフトレジスタの保持内
容を0にする機能を付与する。
【0060】(10) (5)の場合に、信号伝達系の応答と擬
似応答の積和と擬似応答の自乗和、または信号伝達系の
応答と擬似応答との差分の自乗和と擬似応答の自乗和を
計算する加算項数をdとし、シフトレジスタの遅延をD
としたとき、計算結果が閾値を下回ってからD/d程度
以上の時間は、信号伝達系の応答特性が変化し、または
応答への雑音の混入が継続していると判断する。
【0061】(11) (5)の場合に、信号伝達系の応答と擬
似応答の積和と擬似応答の自乗和の比、または信号伝達
系の応答と擬似応答との差分の自乗和と擬似応答の自乗
和の比を、立ち上がり時定数が長く、立ち下がり時定数
が短い低域フィルタに印加したときの応答の定数倍を検
出閾値として用いる。
【0062】
【作用】図12に示された音響エコーキャンセラにおい
て、エコー経路変動とは、式(2) に示されたマイクロフ
ォン出力Yj を構成するエコーに関して、gj ≠G
j (擬似エコー)となることであり、ダブルトークと
は、同じくgj ≒Gj であって、かつ、近端話者音声S
j に関して、Sj ≠0となることである。
【0063】従って、近端話者音声Sj と周囲騒音(S
j +Nj )および擬似エコーGj とは、互いに独立した
信号であることを考慮すれば、この関係は、マイクロフ
ォン出力Yj と擬似エコーGj の相関の大小から、ダブ
ルトークの発生と、エコー経路変動との識別が可能とな
ることを意味する。
【0064】例えば、次式で示されるマイクロフォン出
力と擬似エコーとの積和
【数2】 に関して、ダブルトーク(gj ≒Gj )はエコーのパワ
ーを平均とする確率分布
【数3】 を与え、また、エコー経路変動(gj ≠Gj )は平均値
0の確率分布
【数4】 を構成する。
【0065】両式(19),(20) は、明らかに異なる平均値
の分布を与えるので、ダブルトークの発生と、エコー経
路変動とは、この両分布の中間に設けた閾値との比較か
ら識別可能となる。
【0066】図2は、積和PYG(n) の度数分布を示した
ものであって、ダブルトークの発生とエコー経路変動と
の識別の例を示し、近端話者音声と遠端話者音声とを白
色雑音で代用して、積和PYG(n) の度数分布を計算した
結果を示している。
【0067】ここでダブルトークの発生は、エコー対周
囲騒音比約30dBから0dBへの減少として表し、エコー
経路変動は予め用意した2種類の特性を切り換えて与え
た。また、加算数Jを64、適応フィルタのタップ数I
を512、ダブルトークの発生とエコー経路変動の生起
度数をそれぞれ131072(=217)、適応フィルタ
係数の推定誤差を約−30dBとし、エコー経路変動のイ
ンパルス応答は定常であって、その振幅包絡は、次式に
よって与えられるとした。 h(i) = exp〔−6.9(i−1)/I〕 …(21)
【0068】図2から明らかなように、積和PYG(n) は
ダブルトークの発生と、エコー経路変動とで異なる平均
値の分布を構成することと、従って両者は、識別可能と
なることが示されている。
【0069】この場合の問題点として、式(19),(20) か
らわかるように、ダブルトークの発生の場合の平均値の
分布と、エコー経路変動の場合の平均値の分布との間の
距離が、エコーのパワーに対応して伸縮するため、実際
の音声に対しては、常に識別可能とはならない。
【0070】図3は、音声波形の例を示したものであ
る。遠端話者音声においてその振幅変化は必然であり、
遠端話者音声が小さくなって両分布間の距離が短くなっ
たときは、当然、識別誤りが急増する。
【0071】そこで、このような振幅変動を吸収する対
策として、次のような修正を加えることとする。すなわ
ち、積和PYG(n) に代えて、これを擬似エコーのパワー
【数5】 で正規化した比 RYG(n) =PYG(n) /PGG(n) …(23) を、ダブルトークの発生と、エコー経路変動との識別パ
ラメータとして用いる。
【0072】このとき、比RYG(n) は、ダブルトーク発
生(gj ≒Gj )のときにおいて、
【数6】 を与え、エコー経路変動(gj ≠Gj )のときは、
【数7】 となる平均値0の確率分布を構成する。式(24)と式(25)
によって与えられる両分布間の距離は、遠端話者音声の
振幅変動に無関係に、常に一定値“1”を維持する。
【0073】図4は、RYG(n) の度数分布(1) を示した
ものであって、図2に示された積和PYG(n) の度数分布
の計算に用いた白色雑音に代えて、図3に示された音声
信号を遠端話者音声として与え、図2の場合と同様の条
件を設定して計算したものである。
【0074】ただし、無音声区間については、エコー経
路変動とダブルトークの発生との識別対象から除外して
計算し、また、ダブルトークとエコー経路変動の生起度
数は、それぞれ1867個である。図4に示す例におい
て明らかなように、比RYG(n) は、音声の振幅変動をよ
く吸収して、ダブルトークに対して一定の大きさの平均
値を与えている。
【0075】このような識別法において、ダブルトーク
の発生とエコー経路変動との識別誤りを少なくするため
の対策の一つは、比RYG(n) が構成する分布における、
分散を小さく抑えることである。この場合、分散の抑制
は、加算数Jを大きくすることによって実現されること
は明らかである。
【0076】図5は、RYG(n) の度数分布(2) を示した
ものであって、白色雑音の場合に加算数J=128とし
た例を示し、図2に示された加算数=64の場合と比較
して、ダブルトーク発生の場合と、エコー経路変動の場
合との分布の重なりが解消されたことが示されている。
【0077】従って、この分布の中間に閾値を設定し
て、比RYG(n) と比較することによって、ダブルトーク
の発生とエコー経路変動とを、誤りなく識別することが
可能となり、ダブルトーク検出方式を構成することがで
きる〔請求項1〕。
【0078】一方、エコーキャンセラシステムにおける
ダブルトーク検出の目的は、システムの安定した動作が
保証されるようなエコー消去量を、常時、確保すること
にある。これは、ダブルトークの発生によっても、所要
量以上にエコー消去量が確保されている状態では、ダブ
ルトーク検出が不必要であることを意味している。従っ
て、この場合の所要エコー消去量が、適応フィルタの係
数更新を継続するか休止するかを決定する境界となる。
そこで、ダブルトーク検出は、この所要エコー消去量を
検出閾値として、エコー消去量をパラメータとして行う
のが合理的である。
【0079】ここで、必要となるエコー消去量の減少特
性は、学習同定法の1次巡回型フィルタ表現である、
〔(9) 藤井健作, 坂井良弘, 増田浩幸, 大賀寿郎『学習
同定法の新しい表現と安定条件』, 電子情報通信学会論
文誌(A),Vol.J73-A,No.11,pp.1769-1775(平2-11) 〕
から導出された、適応フィルタ係数の収束特性を記述す
る式〔(10)藤井健作, 坂井良弘, 大賀寿郎『学習同定法
の低域フィルタ表現から導出される収束特性の定式化と
演算量削減法』, 電子情報通信学会論文誌(A),Vol.
J74-A,No.7,pp.966-973(平3-7)〕から定式化することが
できる。
【0080】すなわち、この記述式によれば、適応フィ
ルタ係数の推定誤差は、エコー経路変動に起因する成分
と、周囲騒音を含むダブルトークに相当する近端話者音
声に起因する成分との2つから構成される。このうち、
エコー経路利得に起因する成分は収束後には消失するこ
とから、ダブルトーク検出を行う必要のある定常期にお
いては、この成分は無視して考えることができる。
【0081】これに加えて、エコー消去量は、エコーを
擬似エコーで相殺した後に残った信号成分と、エコーと
のパワー比で与えられることから、ダブルトーク発生に
よるエコー消去量の減少特性は、最終的に次式によって
求めることができる。 Cj =RSE(K2 /I)+Cj-1 β …(26) ここで、 RSE=σS+N 2 /Pg …(27) β=1−K(2−K)/I …(28) σS+N 2 :近端話者音声と周囲騒音の平均パワー Pg :エコーの平均パワー K :ステップゲイン(0<K<2)
【0082】なお、(26)式は以下のようにして導出され
る。学習同定法の1次巡回型フィルタ表現から導出され
る適応フィルタ係数の推定誤差の収束過程は、上記文献
(10)から、次のように与えられる。 Pej =Phj +Pqj …(30) Phj =h2 α0 2j …(31) Pqj =[(I−1)(h2 α0 2(j-1) +Pqj-1)+σS+N 2 /σX 2](1−α0) +Pqj-1 α0 2 …(32)
【0083】ただし、推定誤差Pej は、適応フィルタの
タップごとに生じる時刻jにおける誤差の平均である。
また各記号は、それぞれ次のような意味を有している。 h2 : エコー経路のインパルス応答の標本値の自乗平
均 σX 2 : 遠端話者音声の平均パワー
【0084】ここで、上式(30),(31)における、エコー
利得に起因する成分h2 α0 2j は、α0 <1であるか
ら、収束後において0となる。従って、ダブルトーク検
出を行う必要のある定常期において、式(29)と式(31)は
次のように書き改められる。 Pej =Pqj …(33) Pqj =[(I−1)Pqj-1 +σS+N 2 /σX 2](1−α0)2 +Pqj-1 α0 2 =[(I−1)(1−α0)2 +α0 2]Pq j-1 +(1−α0)2 σS+N 2 /σX 2 =βPqj-1 + (1−α0)2 ( σS+N 2 /σX 2) …(34)
【0085】ただし、βは次のものを表している。 β= ( I−1)(1−α0)2 +α0 2 = ( I−1)(K/I)2+( 1−K/I)2 =1−K( 2−K)/I …(35)
【0086】すなわち、推定誤差の収束過程は、式(34)
の第2項を入力とする係数βの1次巡回型フィルタの応
答として理解される。一方、エコーを擬似エコーで相殺
したとき、残った残差のパワーは、上述の推定誤差と遠
端話者音声のパワーの積のタップ数倍となる。すなわ
ち、残差のパワーの変化は、式(34)の第2項にIσX 2
を乗じることによって、次式から計算される。 Pcj =βPcj-1 +IσS+N 2 (1−α0)2 …(36)
【0087】さらに、エコー消去量は、この残差とエコ
ーのパワー比で与えられることから、その変化Cj は、
式(36)の第2項をエコーの平均パワー Pg =Ih2 σX 2 との比で置き換えた結果として計算される。
【0088】このとき、エコー消去量の減少特性は、次
のように表される。 Cj =βCj-1 +IσS+N 2 (1−α0)2 /Pg =βCj-1 +(σS+N 2 /Pg )(K2 /I) =βCj-1 +RSE( K2 /I) …(38) ただし、 RSE=σS+N 2 /Pg …(39)
【0089】以上述べたように、式(26)が与えるエコー
消去量を検出パラメータとして監視し、確保したいエコ
ー消去量C0 をエコー消去量Cj が上回るとき、ダブル
トーク発生と判定して、適用フィルタ係数の更新を休止
すれば、予め設定したエコー消去量を常時確保すること
が可能なエコーキャンセラを構成することができる。
【0090】この際、問題となるのは、このエコー消去
量の計算のなかに、直接観測できない信号(周囲騒音,
近端話者音声,エコー)によって構成されるパワー比R
SEの算出が必要なことである。しかしながら、その近似
的な計算は可能である。
【0091】第1に、エコーはエコーキャンセラの安定
性が保証される程度に、エコー消去量が確保されている
場合には、擬似エコーで近似することができ、パワー比
SEの分母におけるエコーのパワーPg は、擬似エコー
のパワーPG で代用することができる。
【0092】第2に、パワー比RSEの分子は、残留エコ
ーのパワーから計算することが可能である。すなわち、
適応フィルタ係数が収束した後において与えられる残留
エコーのパワーは、次式によって与えられる〔上記文献
(10)〕。 PE =σS+N 2 +σS+N 2 K/(2−K) …(40)
【0093】上式(40)を整理することによって、パワー
比RSEの分子は次のように表すことができる。 σS+N 2 =PE (2−K)/2 …(41)
【0094】また、この近似が与える比 RSE=PE (2−K)/(2PG ) …(42) は、ダブルトークの発生によるエコー消去量の減少特性
をよく表す比となることが確認されている〔上記文献
(7) 〕。
【0095】さらに、ここでダブルトーク発生時におけ
るエコー消去量の減少特性の急峻さ〔上記文献(7) 〕を
利用することができる。すなわち、エコー消去量がダブ
ルトークによって、式(26)から計算される飽和値の近く
まで、瞬時に大きく減少するならば、ダブルトークの発
生と同時に、エコー消去量の飽和値に達するものとし
て、計算を簡略化することができる。この場合の飽和値
は、上述の式(26),(42)から、次のように求めることが
できる。 C≒(PE /PG )(K/2) …(43)
【0096】このようにすることによって、ダブルトー
クの検出は、式(43)の計算だけで済むようになるととも
に、検出閾値を予めK/2で補正しておけば、ダブルト
ーク検出に必要な計算は、PE /PG だけとなる。
【0097】なお、式(43)は次のようにして導出され
る。まず、ダブルトークによって減少するエコー消去量
の飽和値は、式(26)から計算される入力RSE(K2
I)に対する係数βの1次巡回型フィルタのj→∞にお
ける値 C=RSE(K2 /I)/(1−β) …(44) から計算することができる。すなわち、式(44)に式(28)
を代入して得た C=RSE(K2 /I)/〔K(2−K)/I〕 …(45) =RSEK/(2−K) に式(42)を代入することによって、式(43)が得られる。
【0098】以上述べたところから明らかなように、式
(43)から得たエコー消去量と、確保すべきエコー消去量
0 とを比較して、ダブルトークの発生またはエコー経
路変動を検出し、上述のエコー経路変動検出法によって
得た結果とを併用することによって、ダブルトークの検
出が可能となる〔請求項2〕。
【0099】また前述のように、検出閾値をC0 K/2
とするか、または閾値の補正を行わず、近似的に閾値を
0 のままにとどめることによって、計算量を減少させ
た構成も可能である〔請求項3〕。
【0100】なお、この場合の検出閾値を、所要エコー
消去量Es に若干の余裕を持たせた値としても、本発明
の原理には変わりはない。
【0101】
【実施例】本発明の原理を実用システムに適用する際に
は、以下に述べる各種の修正を織り込むことによって、
さらに効果を大きくすることができる。
【0102】(1) まず、ダブルトーク検出には時間がか
かること、そしてダブルトークはエコー消去量を急減さ
せること、しかもこの場合の急峻さは、検出遅延が短い
『残留エコーと遠端話者音声の瞬時パワー比を用いた』
ダブルトーク検出法においても、エコー消去量をそのま
ま維持することは困難であること〔参考文献(7)〕また
は〔(11)K.FUJII and J.OHGA "Compensation for the d
ouble-talk detection deley in echo canceller syste
ms",Trans.IEICE,vol.E76-A,No.7,pp.1143-1146(July,1
993)〕が指摘される。
【0103】図6は、本発明の一実施例を示したもので
あって、図12におけると同じものを同じ番号で示し、
410,411はそれぞれ遅延がD標本化周期のシフト
レジスタであって、上述の検出遅延を補償するために設
けられている。
【0104】このように、係数更新過程に遅延を挿入す
る構成〔参考文献(11)〕をとる場合、適応フィルタ係数
i (i) の乱れは、遅延分だけ遅れることになる。従っ
て、この遅延をダブルトーク検出に必要な時間以上に選
び、その間にダブルトークを検出して係数更新を休止す
れば、ダブルトークに対して係数の乱れが全くないエコ
ーキャンセラを実現することができる〔請求項4〕。
【0105】この手法の動作についてはすでに解析が行
われ、一定の条件を満たせば、この遅延の挿入によって
も、フィルタ係数の更新は安定に実行されることが明ら
かになっている〔(12)藤井健作, 大賀寿郎『ダブルトー
ク検出遅延を補償する`Delayed-E/X'NLMS 法の収束条件
に関する検討』,電子情報通信学会技術報告,DSP93-41
(1993) 〕。
【0106】(2) 同様に、ダブルトークとエコー経路変
動の識別誤りを抑制するために、加算項数Jを大きくと
った場合には、エコー経路変動の検出遅延は当然ながら
その分だけ大きくなる。そして、過大な検出遅延はエコ
ー消去量の回復を遅らせ、エコーキャンセラの動作を不
安定にする要因となる。
【0107】そこで、このように識別誤りと検出遅延と
に対して、背反する結果を与えることとなる加算項数J
の決定に関して、次のような妥協を行う。すなわち、エ
コー経路変動とダブルトークの識別に、複数回の試行を
許容する。
【0108】例えば、識別閾値を0まで下げて、上述の
比RYG(n) が負となるときだけ、エコー経路変動と判定
するように制限すれば、ダブルトークをエコー経路変動
と誤る確率を0 とすることができる。
【0109】図7は、RYG(n) の度数分布(3) を示した
ものであって、白色雑音の場合に加算項数J=64とし
た例を示している。この場合に、エコー経路変動が与え
る比RYG(n) は、式(25)から明らかなように、平均値0
の確率分布を形成することから、識別閾値を0としたと
き、比RYG(n) が負となるときのみをエコー経路変動と
判定するようにすれば、第1回目の試行で、エコー経路
変動の半分の度数が検出される。
【0110】従って、以後、このような判定を繰り返せ
ば、エコー経路変動の検出完了率は、3/4,7/8,
…のように順次増加する。このように、加算項数Jを小
さくすると同時に閾値を下げて、複数回の試行を許容す
るならば、1回の試行で検出を完了させる場合と比べ
て、短い遅延でエコー経路変動が検出される可能性が高
くなる。
【0111】(3) このような検出完了率の増加は、次の
ような修正を加えることによって、さらに加速させるこ
とができる。エコー経路変動とダブルトークとの識別が
必要になるのは、残留エコーEj が増加したときであ
る。従って、残留エコーEjの増加を検出したときか
ら、比RYG(n) の計算を開始する構成とすることもでき
る。
【0112】例えば、残留エコーEj の増加の検出時刻
をj=Lとしたとき、比RYG(n)の計算の開始からk標
本化周期後には、
【数8】 と表される比が得られる。
【0113】従って、この比RYG(k) について、k=6
4となったところで、第1回目の判定を加え、以後、標
本化周期ごとに得られる比RYG(k) について判定を繰り
返せば、判定試行回数は飛躍的に増加する。この場合の
試行回数は、1回の試行で判定を完了させる、図5に示
された例の加算項数J=128に相当するk=128の
時点までに65回にもなる。この場合、エコー経路変動
が検出されずに残される確率は、1/265に急減する。
【0114】もしも、検出ずみとなる確率を99%以上
にしようとすれば、これは第1回目の試行からわずか6
標本周期後のk=70において達成されることになり、
明らかに、このような修正によって、検出遅延は大幅に
短縮される〔請求項5〕。
【0115】さらに、比RYG(k) の分散は、kの増加と
ともに小さくなることに着目すれば、検出閾値をその初
期値0から次第に大きくすることによって、検出率を向
上させる方法が見いだされる〔請求項6〕。
【0116】このように検出閾値を可変とする方法は、
小さなエコー経路変動(擬似エコーとエコー経路変動後
のエコーに相関が残る)に対しても、検出が容易になる
利点を有している。
【0117】図8は、適応フィルタ係数更新の休止と継
続の判定手順を示したものであって、以上において述べ
た方法を総合して示し、(a) は残留エコーと擬似エコー
のパワー比Cの変化からダブルトーク発生またはエコー
経路変動を検出する手順、(b) はダブルトーク発生とエ
コー経路変動との識別手順である。
【0118】図中において、記号Jは残留エコーと擬似
エコーのパワーを計算する加算項数、C0 はエコーキャ
ンセラのレベルダイヤグラムから決定される、安定した
動作を保証するエコー消去量にK/2を乗じて補正した
検出閾値である。R0はエコー経路変動とダブルトーク
発生の識別閾値であって、初期値0から定数a(<1)
を等比として1に漸近する。
【0119】また、k0 はダブルトーク発生とエコー経
路変動の判定が初めて可能になる加算項数、km は最終
的な判定を下す加算項数、DFT=1は係数更新の休止
を指示するフラグ、DFT=0は係数更新の継続を指示
するフラグである。
【0120】図8に示す手順において、適応フィルタ係
数更新の継続と休止とは、次の処理手順から決定され
る。 [1] 通常時(C≦C0 ) 経路(1),(2) を通る処理を繰り返して、適応フィルタ係
数の更新を継続(DFT=0)する。
【0121】[2] ダブルトークの発生時(C>C0,YG
>R0 ) C>C0 の判定を受けたときの、第1回目の処理は、
(3),(4),(5) の処理経路を経て、係数更新の休止がまず
指示される。第2回目の処理から第k0回目までは、
(6),(7),(5) を通る処理を繰り返す。その後、第k0
1回目から第km 回目にかけて、処理経路(8) を通るダ
ブルトーク発生とエコー経路変動との判定を繰り返し、
第km 回目までにエコー経路変動(RYG≦R0)と判定さ
れないときは、ダブルトーク発生とみなされる。
【0122】以後、(9) の処理経路を通って係数更新の
休止が継続される。その後、ダブルトークが終了して、
C≦C0 となると、再び処理経路(1) を通るようになる
ので、適応フィルタ係数の更新は、自動的に再開(DF
T=0)され、通常時の経路である(1),(2) を通る処理
に戻る。
【0123】[3] エコー経路変動時(C>C0,YG≦R
0 ) 第k0 回目までの処理経路は、ダブルトーク発生の場合
と同じである。そして、第k0 +1回目からは、処理経
路(8) を通る、ダブルトーク発生とエコー経路変動の判
定を繰り返して行い、RYG≦R0 となったときに、エコ
ー経路変動(DFT=0)と判定する。
【0124】同時に、処理経路(11)においてk=km
与えて、以後の処理経路を(6),(9) として、適応フィル
タ係数の収束からC≦C0 となるのを待てば、収束後に
おいて自動的に通常時の経路(1),(2) を通る処理に戻
る。
【0125】(4) さらに、以上に述べた処理を具体化す
る場合、次の点にも考慮することが必要である。すなわ
ち、エコー経路が変動したことを検出し、適応フィルタ
係数Hj (i) の更新を続行したとき、パワー比Cは、フ
ィルタ係数Hj (i) が伝達系のインパルス応答hj (i)
に近づくにつれて減少するが、パワー比Cは瞬時パワー
で計算されているのでその変化が大きい。そのため、設
定した閾値C0を下回ったとしても、瞬間的なものであ
って、ダブルトークはまだ終わっていない可能性が非常
に高い。
【0126】このような可能性を抑制する方法として、
瞬時パワーを計算する加算項数Jを大きくする方法も有
効ではあるが、加算項数Jを大きくすると、検出遅延が
大きくなってしまう。
【0127】そこで、立ち上がりが瞬時で、立ち下がり
がゆるやかな低域フィルタにパワー比Cを印加して、そ
の出力と閾値C0 とを比較して検出を行うように変更す
ることによって、瞬間的なパワー比Cの低下に対しても
穏やかな減少となるようにして、この出力をパラメータ
としてダブルトークを検出する構成とすればよい〔請求
項7〕。
【0128】図9は、パワー比Cの変動を緩和するフィ
ルタを追加した検出回路を示したものであって、このよ
うな特性を実現する低域フィルタ500と、残留エコー
j と擬似エコーGj の瞬時パワー比Cを計算する演算
回路520と、検出閾値C0 との比較を行う比較器53
0とからなることが示されている。また、510は残留
エコーEj の入力端子、511は擬似エコーGj の入力
端子、512は検出出力端子である。
【0129】低域フィルタ500において、501は比
較器、502はセレクタ、503は1標本化周期遅延素
子、504は加算器、505,506は乗算器である。
また演算回路520において、521,522は乗算
器、523,524はJ個分の累積加算器、525は除
算器である。
【0130】比較器501は、乗算器505の出力と、
演算回路520における除算器525の出力であるパワ
ー比Cとを比較して、パワー比Cの方が大きいときはパ
ワー比Cを、パワー比Cの方が小さいときは加算器50
4の出力を選択するように、セレクタ502に指示す
る。また乗算器506において乗算する係数αは、1未
満の定数とする。この場合、低域フィルタ500の立ち
上がり特性は瞬時であり、立ち下がり特性は係数αの大
きさで決まる時定数で減少する特性となる。
【0131】(5) ここで注意しなければならないこと
は、信号伝達系の応答の変化が、検出回路によって、
『ダブルトークからシングルトークに戻った』と判断さ
れた時点においても、図6に示されたシフトレジスタ4
10には、近端話者音声を含む残留エコーがまだ残され
ている可能性があるということである。図9に示された
低域フィルタ500の立ち下がり時定数を短くし、遅延
Dを大きく選んだ場合、このような可能性は特に高い。
【0132】従って、シングルトークと判定された時点
で、直ちに係数更新の休止を解除すれば、シフトレジス
タ410に残された近端話者音声を含む残留エコーによ
ってフィルタ係数が乱れ、係数更新の休止処理の意味が
失われる恐れがある。
【0133】そこで、信号伝達系の応答の変化を検出す
る回路において、ダブルトークと判定されている間、ま
たはダブルトークからシングルトークに戻ったと判断さ
れた時点で、シフトレジスタ410をリセットする処置
が必要となる〔請求項8〕。
【0134】(6) フィルタ係数更新を休止することは、
エコー経路変動が生じた場合に追随できなくなるので、
危険な処理でもある。そこで、ダブルトークの発生中は
止むを得ないとしても、ダブルトークが終息したとき
は、できるだけ早くフィルタ係数の更新を再開すること
が望ましい。ところが、図9に示された構成で、低域フ
ィルタ500を用いて、パワー比Cの瞬時的な低下をシ
ングルトークと判定しないようにした場合は、大きな近
端話者音声の入力に対して、シングルトークになった後
も、ダブルトークと判定される時間が長くなる。
【0135】図10は、エコー経路変動またはダブルト
ークの発生を検出する回路であって、810はパワー比
Cと検出閾値C0 とを比較して出力を発生する比較器、
820は比較器810の出力に応じて計数を開始するカ
ウンタ、830は比較器810の出力とカウンタ820
の計数値とに応じて状態を変化するレジスタである。
【0136】比較器810は、パワー比Cが検出閾値C
0 を上回ったときは、ダブルトークの発生またはエコー
経路変動があったとして、カウンタ820に0をセット
するとともに、レジスタ830に『変化の発生』を記憶
させる。またカウンタ820は、比較器810が、変化
があったと判定している間は、0に固定されている。
【0137】比Cが検出閾値C0 を下回ると、比較器8
10は変化が終了したと判定して、カウンタ820に対
して計数の開始を指示するとともに、レジスタ830に
対して『変化の終了』を指示する。このとき、レジスタ
830に対する指示は、カウンタ820の計数値が一定
数に達するまでは無視される。この状態は比較器810
が『変化の発生』を検出するまで続き、カウンタ820
の計数値が一定数に達すると、カウンタ820は計数値
を固定し、レジスタ830は比較器810の指示に従っ
て、その記憶内容を『変化の終了』に変更する。
【0138】この間、カウンタ820によって計数され
る数は、図7に示されたシフトレジスタ410から近端
話者音声を含む残留エコーが排出される時間以上であっ
て、シフトレジスタ410の遅延の量をD,瞬時パワー
E,G を計算する加算項数をdとすると、D/d以上
でなければならない〔請求項9〕。
【0139】(7) 上述の実施例においては、設計時に与
えた検出閾値C0 を用いてダブルトークの発生を検出す
るように構成されているが、周囲騒音の大きさが不明な
場合や、それが緩やかに変動する場合でも、ダブルトー
クの検出が可能になるようにするため、シングルトーク
時に観測したパワー比Cから閾値を決定して、ダブルト
ークの検出を行うこともできる。
【0140】シングルトーク時のパワー比Cから、閾値
を見いだす最も簡単な方法は、立ち上がり時定数が長
く、立ち下がり時定数が短い低域フィルタにパワー比C
を加えて、その出力の定数倍を閾値として用いることで
ある〔請求項10〕。
【0141】すなわち、近端話者もいずれはその音声を
停止させるので、シングルトークの区間が出現する。こ
のとき、前述の低域フィルタの立ち下がり時定数が短く
設定されているので、この低域フィルタの出力は、シン
グルトーク区間のパワー比Cに対応する大きさまで急減
することになる。
【0142】ところが、一旦、この大きさまで低下する
と、次にダブルトーク状態になっても、長い時定数のた
めに低域フィルタの出力はゆっくりと上昇する。従っ
て、この低域フィルタの出力は、シングルトーン区間の
パワー比Cにほぼ対応する大きさに維持されることにな
る。このように、この低域フィルタの出力を基に検出閾
値を設定することによって、周囲騒音の大きさに対応し
たダブルトーク検出閾値の設定が可能となる。
【0143】図11は、ダブルトーク検出閾値の設定回
路を示したものであって、910は比較器、920はカ
ウンタA、921はカウンタB、930はセレクタ、9
40は加算器、941は単位遅延シフトレジスタ、94
2は乗算器、960はレジスタである。また901は入
力端子、902は出力端子である。
【0144】(a) 比較器910は、入力端子901から
入力したパワー比Cの値(W1 )と、単位遅延シフトレ
ジスタ941の出力(W2 )とを比較して、W1 >W2
となったとき、カウンタA920に対して計数の開始を
指示し、カウンタB921の値は0に固定する。逆に、
1 ≦W2 となったとき、カウンタB921に対して計
数の開始を指示し、カウンタA920には0を設定す
る。
【0145】なおこの場合、パワー比Cを求めるための
瞬時パワーを計算する積分回路の加算項数は、図9に示
された積分回路523,524における加算項数と等し
くとってもよいが、加算項数をこれより多くした方が、
比較器910以降の部分の、単位時間あたりの処理量が
削減される。
【0146】(b) 次に、カウンタA920とカウンタB
921は、その計数値が予め定めた数に達するまでは0
を出力し、所定値に達したときには1を出力して、次の
時刻に計数値を0に戻す。
【0147】(c) セレクタ930は、W3 =1,W4
0のとき、すなわちカウンタA920が1を出力したと
きαを選択し、W3 =0、W4 =1のとき、すなわちカ
ウンタB921が1を出力したとき−βを選択し、W3
=0、W4 =0のとき0を選択する。このとき、βに比
較してαを大きく選ぶか、またはカウンタA920が1
を出力するまでに要する計数値をカウンタB921が1
を出力するまでに要する計数値より大きく設定しておけ
ば、加算器940と単位遅延シフトレジスタ941とで
構成される回路の積分出力に対して、立ち下がりが遅
く、立ち上がりが早い特性を実現することができる。
【0148】(d) 最後に、乗算器942はその積分出力
に対して定数kを乗じて検出閾値を発生し、レジスタ9
60は乗算器942の与える検出閾値が、上述の所要消
去量C0 を下回るときには、閾値をC0 に選んで保持す
ることによって、フィルタ計数の更新が休止される頻度
を減少させるようにする。
【0149】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エ
コーキャンセラにおいて、エコー経路変動とダブルトー
クの発生とを、明確に区別して検出することができる。
また、この際の検出時における遅延を少なくすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成を示す図である。
【図2】積和PYG(n) の度数分布を示す図である。
【図3】音声波形の例を示す図である。
【図4】RYG(n) の度数分布(1) を示す図である。
【図5】RYG(n) の度数分布(2) を示す図である。
【図6】本発明の一実施例を示す図である。
【図7】RYG(n) の度数分布(3) を示す図である。
【図8】適応フィルタ係数更新の休止と継続の判定手順
を示す図である。
【図9】パワー比Cの変動を緩和するフィルタを追加し
た検出回路を示す図である。
【図10】エコー経路変動またはダブルトークの発生を
検出する回路を示す図である。
【図11】ダブルトーク検出閾値の設定回路を示す図で
ある。
【図12】従来の、および本発明が適用されるエコーキ
ャンセラの構成例を示す図である。
【符号の説明】
160 検出手段 170 検出手段 211 適応フィルタ 212 係数更新回路 410 シフトレジスタ 411 シフトレジスタ 500 低域フィルタ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を特性が未知の信号伝達系に送
    出したときの応答と該応答を模擬する擬似応答との差分
    によって該信号成分を打ち消した出力信号を得るととも
    に、該出力信号と前記入力信号とから定まる特性によっ
    て前記擬似応答を生成するエコーキャンセラにおいて、 前記信号伝達系の応答と擬似応答の積和と、該擬似応答
    の自乗和との比を求め、該比の値を0と1の中間に設定
    した閾値と比較して該閾値以下になったとき、前記信号
    伝達系の応答特性が変化したことを検出する検出手段
    (160)を設けたことを特徴とするダブルトーク検出
    装置。
  2. 【請求項2】 入力信号を特性が未知の信号伝達系に送
    出したときの応答と該応答を模擬する擬似応答との差分
    によって該信号成分を打ち消した出力信号を得るととも
    に、該出力信号と前記入力信号とから定まる特性によっ
    て前記擬似応答を生成するエコーキャンセラにおいて、 前記信号伝達系の応答と擬似応答との差分の自乗和と該
    擬似応答の自乗和との比を求め、該比の値が予め設定し
    た閾値を超えて大きくなったとき、該信号伝達系の応答
    特性の変化および該応答への雑音の混入の発生を検出す
    る検出手段(170)を設けたことを特徴とするダブル
    トーク検出装置。
  3. 【請求項3】 入力信号を特性が未知の信号伝達系に送
    出したときの応答と該応答を模擬する擬似応答との差分
    によって該信号成分を打ち消した出力信号を得るととも
    に、該出力信号と前記入力信号とから定まる特性によっ
    て前記擬似応答を生成するエコーキャンセラにおいて、 前記信号伝達系の応答と擬似応答の積和と、該擬似応答
    の自乗和との比を求め、該比の値を0と1の中間に設定
    した閾値と比較して該閾値以下になったとき、前記信号
    伝達系の応答特性が変化したことを検出する第1の検出
    手段(160)と、 前記信号伝達系の応答と擬似応答との差分の自乗和と該
    擬似応答の自乗和との比を求め、該比の値が予め設定し
    た閾値を超えて大きくなったとき、該信号伝達系の応答
    特性の変化および該応答への雑音の混入の発生を検出す
    る第2の検出手段(170)とを設け、 該第1の検出手段(160)の検出出力と、該第2の検
    出手段(170)の検出出力とから該応答への雑音の混
    入の発生を判定することを特徴とするダブルトーク検出
    装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の検出手段(170)が、前記
    信号伝達系の応答と擬似応答との差分の自乗和と該擬似
    応答の自乗和との比に学習同定法におけるステップゲイ
    ンK(0<K<2)の1/2を乗じた値の変化を監視し
    て、該値が予め設定した閾値を超えて大きくなったと
    き、該信号伝達系の応答特性の変動および該応答への雑
    音の混入の発生を検出することを特徴とする請求項2ま
    たは3に記載のダブルトーク検出装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のダ
    ブルトーク検出装置において、前記擬似応答を生成する
    装置が、適応フィルタ(211)と、前記出力信号と前
    記入力信号とから定まる係数を該適応フィルタ(21
    1)に設定する係数更新回路(212)とからなるとと
    もに、該係数更新回路(212)の入力にダブルトーク
    の検出に要する時間以上の遅延を与えるシフトレジスタ
    (410,411)を前置したことを特徴とするダブル
    トーク検出装置。
  6. 【請求項6】 請求項2または3に記載のダブルトーク
    検出装置において、前記差分の自乗和と該擬似応答の自
    乗和との比を、立ち上がりが瞬時で、立ち下がりが緩や
    かな応答特性を有する低域フィルタ(500)に印加
    し、該低域フィルタ(500)の出力と閾値とを比較す
    ることによって、該信号伝達系の応答特性の変化および
    該応答への雑音の混入の発生を検出することを特徴とす
    るダブルトーク検出装置。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載のダブルトーク検出装置
    において、前記第2の検出手段(170)によって該信
    号伝達系の応答特性の変化または該応答への雑音の混入
    の発生が検出されたときから、標本化周期ごとに、前記
    第1の検出手段(160)において前記積和と自乗和と
    の項数を増加させながら前記比を求めて、該比と予め設
    定した閾値との比較から該信号伝達系の応答特性が変化
    したことを検出することを特徴とするダブルトーク検出
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のダブルトーク検出装置
    において、前記閾値を比較のたびに順次小さい値とする
    ことを特徴とするダブルトーク検出装置。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載のダブルトーク検出装置
    において、前記信号伝達系の応答への雑音の混入が判定
    されたとき、または該雑音の混入が解消されたと判断さ
    れたとき、前記シフトレジスタ(410,411)の保
    持内容を0にする機能を付与することを特徴とするダブ
    ルトーク検出装置。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載のダブルトーク検出装
    置において、前記信号伝達系の応答と擬似応答の積和と
    該擬似応答の自乗和、または前記信号伝達系の応答と擬
    似応答との差分の自乗和と該擬似応答の自乗和を計算す
    る加算項数をdとし、前記シフトレジスタ(410,4
    11)の遅延をDとしたとき、前記計算結果が閾値を下
    回ってからD/d程度以上の時間は、該信号伝達系の応
    答特性が変化し、または該応答への雑音の混入が継続し
    ていると判断することを特徴とするダブルトーク検出装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項5に記載のダブルトーク検出
    装置において、前記信号伝達系の応答と擬似応答の積和
    と該擬似応答の自乗和の比、または前記信号伝達系の応
    答と擬似応答との差分の自乗和と該擬似応答の自乗和の
    比を、立ち上がり時定数が長く、立ち下がり時定数が短
    い低域フィルタに印加したときの応答の定数倍を前記閾
    値として用いることを特徴とするダブルトーク検出装
    置。
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