JPH07226793A - 信号伝達系の応答の変化を検出する装置 - Google Patents

信号伝達系の応答の変化を検出する装置

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JPH07226793A
JPH07226793A JP6037984A JP3798494A JPH07226793A JP H07226793 A JPH07226793 A JP H07226793A JP 6037984 A JP6037984 A JP 6037984A JP 3798494 A JP3798494 A JP 3798494A JP H07226793 A JPH07226793 A JP H07226793A
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transmission system
signal transmission
change
echo
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JP6037984A
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Kensaku Fujii
健作 藤井
Toshiro Oga
寿郎 大賀
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】特性が未知の信号伝達系に送出した既知の信号
とその応答とからその信号伝達系の特性を推定するシス
テムに関し、ダドルトークとエコー経路変動を区別する
検出を、短時間のうちに、小さい回路規模と演算量で、
精度よく行えるようにする。 【構成】特性が未知の信号伝達系の応答と装置内で合成
した疑似応答との差分と、疑似応答との相関値を求める
相関計算手段101と、疑似応答または応答のパワーを
求めるパワー計算手段102と、相関値をパワーで正規
化する正規化手段103と、正規化値を所定の第1の検
出閾値EF と比較して信号伝達系の応答の変化が信号伝
達系の応答特性の変化によるものであることを判定する
判定手段104とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特性が未知の信号伝達
系に送出した既知の信号とその応答とからその信号伝達
系の特性を推定するシステムに関し、信号伝達系の応答
の変化、すなわち応答に未知の信号が重畳されたこと
(エコーキャンセラにおいてはダブルトークと呼ばれ
る)と信号伝達系の特性が変動したこと(同エコー経路
変動)とを区別して検出する装置の改良に関する。
【0002】図14は本発明の適用によって動作の改善
が期待される装置の構成例である。この装置は会議電話
装置と呼ばれ、手放しで双方向同時に通話できるように
スピーカ1とマイクロホン2の間の音響結合を低減する
目的で音響エコーキャンセラ21’が導入されている。
そして、回路20’はマイクロホン2に入力した音響伝
達系の応答の変化(未知信号の重畳=ダブルトークの発
生、応答特性の変化=エコー経路変動)を検出する回路
で、フィルタ係数更新回路4に対して係数更新の休止、
続行、再開を指示し、音響エコーキャンセラ21’によ
る上記音響結合の低減量を大きく保つ機能を持つ。
【0003】この装置において、エコー gj =Σhj (i) Xj (i) (1) j:時刻(サンプルタイム・インデックス、イタレーシ
ョン) Σ:i=1〜Iの加算 hj (i) :スピーカからマイクロホンに至る音響伝達系
のインパルス応答 Xj (i) :遠端話者音声 は、音響伝達系の応答(マイクロホン出力) Yj =gj +Sj (2) Sj :近端話者音声 から疑似エコー生成フィルタ3の出力(疑似エコー) Gj =ΣHj (i) Xj (i) (3) Hj (i) :疑似エコー生成フィルタの係数 を差し引くことによって相殺され、その結果として得ら
れる相殺の程度は、フィルタ係数更新回路4によって与
えられるフィルタの係数Hj (i) とインパルス応答hj
(i) との差 Δj (i) =hj (i) −Hj (i) (4) によって測られる。また、このエコーキャンセラ導入の
効果は、差分(残留エコー) ej =Yj −Gj (5) =ΣΔj (i) Xj (i) +Sj (6) が最も小さくなるときにおいて最大となり、フィルタ係
数更新回路4はこの差分ej が最小となるように疑似エ
コー生成フィルタ3の係数を更新する。
【0004】ここで問題となるのは、フィルタ係数Hj
(i) の修正に必要な情報を含む上記Δj (i) の正確な観
測を妨害する雑音としての効果を近端話者音声Sj が持
つことである。明らかに、その差Δj (i) が精度よく観
測されなければ、係数Hj (i) の修正に参考となる情報
は得られず、その正確な情報が得られなければ、差Δj
(i) を十分に小さくしてエコーの消去量を大きくするこ
とはできない。エコーキャンセラでは応答Yj に近端話
者音声Sj が重畳されて得られることをダブルトークと
呼び、このダブルトークの発生があっても疑似エコー生
成フィルタ3の係数が乱れる(差Δj (i) が大きくな
る)ことなく、シングルトーク(遠端話者だけが発生し
ている状態:Sj =0)時のエコー消去量がそのまま維
持されるように処置することが不可欠となっている。
【0005】この処置は、図15に示す能動騒音制御シ
ステムにおいても同様に必要であることが指摘される。
すなわち、能動騒音制御システムはエコーキャンセラと
同様の原理に従い、騒音制御フィルタ3で合成した疑似
騒音(疑似エコーに相当)Gj を騒音(エコーに相当)
j に逆位相で重ね合わせる(減算する)ことによって
相殺する。また、その騒音制御フィルタ3の係数は誤差
採取マイクロホン303位置において生じる差分e
j (=gj −Gj )が最小となるように調整される。従
って、この差分ej にダクト300の出口から入り込ん
だ室内騒音Nj が重畳するとき、その室内騒音Nj は明
らかに騒音制御フィルタ3のフィルタ係数の更新に対し
て音響エコーキャンセラ21における近端話者音声Sj
と同様な効果をもたらす。
【0006】このため、エコーキャンセラや能動騒音制
御システムでは、通常、ダブルトーク検出回路5を別に
設け、同回路がダブルトークの発生(近端話者音声や室
内騒音)を検出した時には、疑似エコー生成フィルタ
(騒音制御フィルタ)の係数更新を休止する構成をと
る。
【0007】このダブルトーク検出法については従来よ
り種々の方法が知られている。その一つは、図2に示す
『マイクロホン出力Yj と遠端話者音声Xj の短時間平
均パワー比の変化からダブルトークを検出する方法』
(例えば後掲の参考文献1)である。すなわち、この構
成において、上記短時間平均パワー比 RYX=PY /PX (7) PY :マイクロホン出力Yj の短時間平均パワー PX :遠端話者音声Xj の短時間平均パワー は、遠端話者音声Xj と近端話者音声Sj を互いに独立
と仮定し、加算項数Jを十分に大きくとることにより RYX=σh 2 +σS 2 /σX 2 (8) σh 2 :エコー経路のパワー利得 σS 2 :近端話者音声の平均パワー σX 2 :遠端話者音声の平均パワー と近似される。また、当然ながらシングルトーク時にお
いて同パワー比は RYX=σh 2 (9) となり、この両式を比較すればダブルトークはパワー比
YXの増大からその発生が検出されることは明らかであ
る。
【0008】ところが、この方法には次の欠点があるこ
とが指摘される。すなわち、 エコーが近端話者音声に比べて大きいときには、近
端話者音声がエコーに埋もれて検出されにくい場合があ
る. 伝達系のインパルス応答の持続時間が長いときに
は、エコーを近端話者音声と誤判定することがないよう
に加算項数Jを十分に大きくとる必要から検出に時間が
かかり、その間にフィルタ係数が大きく乱れてしまう. 音響結合が増大(σh 2 の増大)するエコー経路変
動をもダブルトークと判定し、係数更新を休止する誤動
作を引き起こす.ことである。これらの欠点が、ダブル
トークの判定にエコーを含む信号のパワーを用いた点に
起因することは、式(8)を構成する成分(エコー経路
のパワー利得の存在)から容易に推察される。
【0009】そこで、この欠点、を解消する第2の
方法として、残留エコーej と遠端話者音声Xj の瞬時
パワーの比の変化からダブルトークを検出する方法(参
考文献2)が提案されている。すなわち、上記瞬時パワ
ー比 REX=pE /pX (10) pE :残留エコーej の瞬時パワー pX :遠端話者音声Xj の瞬時パワー に対して、遠端話者音声Xj と近端話者音声Yj を互い
に独立と仮定すれば、同瞬時パワー比は REX=pd +pS /pX (11) pd :推定誤差Δj の瞬時パワー pS :近端話者音声Xj の瞬時パワー と近似され、シングルトーク時において同瞬時パワー比
は REX=pd となることから、この瞬時パワー比REXの増加によりダ
ブルトークを検出できる
【0010】ここにおいて、エコーが十分に相殺されて
おれば、この瞬時パワー比REXと式(8)として与えた
短時間平均パワー比RYXとの比較において、 pd ≪σh 2 (12) の関係が成立することから、上記短時間平均パワー比R
YXを用いるダブルトーク検出方法の欠点は、この瞬時
パワー比REXを用いるダブルトーク検出方法によって解
決されることは明らかである。さらに、欠点もこの方
法においてはエコーが除かれていることから、エコーを
ダブルトークと判定する危険は小さく、従って、加算項
数が少なくて済む瞬時パワーの採用が可能となることか
ら解決され、検出に要する時間の大幅な短縮が実現され
る。
【0011】問題は、エコー経路変動による残留エコー
の増加とダブルトークによる残留エコーの増加とが区別
できないことである。また当然ながら、この方法によっ
ても上記欠点は解消されない。エコーキャンセラにお
いて、係数更新は、エコー経路変動が起こった場合には
休止してはならず、ダブルトークの場合には休止しなけ
ればならない。この区別が明確にできなければ、エコー
キャンセラはその消去量を常時十分な大きさで維持する
ことが困難となる。
【0012】しかしながら、この瞬時パワー比REXを用
いるダブルトーク検出方法は、エコー経路変動の検出法
さえ見出されるならば、上記欠点も併せて解決できる
検出遅延の少ない優れた方法となり得る。また、これば
かりでなく、エコー経路変動が検出できれば、収束の高
速化を実現する手法(例えば参考文献3あるいは参考文
献4)の採用も可能となる。
【0013】以上、信号伝達系の応答の変化、すなわ
ち、ダブルトークの発生とエコー経路変動とを区別して
検出できる手法の確立が強く望まれている所以である。
【0014】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、そのダブルトークとエコー経路変動を区別して検
出する方法(エコー経路変動検出法)はいくつか提案さ
れている。第1の方法として、継続時間の統計的性質を
利用したダブルトーク検出方法(参考文献5)がある。
すなわち、ダブルトークが3秒を超えて継続することが
まれであることを利用し、瞬時パワー比REXの増加が3
秒以上継続した場合は、エコー経路変動と判定して係数
更新の休止を解除する方法である。しかしながら、この
方法は必然的に、3秒以上の継続時間を持つダブルトー
クはエコー経路変動と誤判定されること、そして、エコ
ー経路変動と判定するまでに要する時間が3秒と長いこ
とを欠点として持つ。エコーキャンセラはエコー経路変
動と判定されるまでの時間が長いと、エコーの消去量を
十分に大きくとることができず、この間においてハウリ
ングが発生する可能性を無視することはできない。
【0015】第2の方法として、小型の検出用エコーキ
ャンセラを併用する方法(参考文献6)が提案されてい
る。すなわち、検出用エコーキャンセラを別に用意し、
上記瞬時パワー比REXの増加に対しては、直ちにダブル
トークと判定して主エコーキャンセラの係数更新を休止
する方法である。但し、検出用エコーキャンセラはダブ
ルトークと判定されたときにおいても係数更新を続行す
るように構成される。このとき、その検出用エコーキャ
ンセラで観測される瞬時パワー比REXはその増加がエコ
ー経路変動によるものであれば、フィルタ係数の更新に
連れて減少し、ダブルトークによるものであれば大きい
まま減少しない。すなわち、この反応の違いからエコー
経路変動とダブルトークの判別が可能となる。
【0016】この方法の欠点は二重にエコーキャンセラ
を用意しなければならず、従って、回路規模が大きくな
ること、また、タップ長の長いエコーキャンセラでは収
束が遅く、瞬時パワー比REXの減少の程度からエコー経
路変動と判定できるまでには時間がかかるため、主エコ
ーキャンセラに対して係数更新の再開が遅くなることで
ある。
【0017】この検出の高速化を実現する方法として本
発明者等によって提案された第3の方法が、残響特性が
指数関数的に減少することを利用して検出する方法(参
考文献7)である。すなわち、マイクロホン出力Yj
タップmを除いて合成した疑似エコーを加えるとき、同
出力は、 Yj (m) =hj (m) Xj (m) +Σm Δj (i) Xj (i) +Sj (13) Σm :I=mを除くI=1〜Iの加算 となって:エコーの第m番目の成分が残されることを利
用するのである。この手法において、疑似エコーの第m
番目の成分との積 Yj (m) Hj (m) Xj (m) =〔hj (m) Xj (m) +Σm Δj (i) Xj (i) +Sj 〕Hj (m) Xj (m) (14) は、遠端話者音声Xj と近端話者音声Sj の間に相関が
ないと仮定されること、また、フィルタ係数の更新過程
が収束した後においては、 Hj (m) ≒hj (m) (15) と近似されること、そして、タップmを除く推定誤差Δ
j (i) とフィルタ係数Hj (m) とも互いに独立であるこ
とから、平均値 P(m) ≒hj 2 (m) Xj 2 (m) (16) を中心とする確率変数となる。
【0018】そこで、この積をm=1〜I/2とI/2
+1〜Iについて加算し、その確率変数としての分散を
抑えて近端話者音声Sj の影響を小さくし、その比 R= 1Σhj 2 (m) Xj 2 (m) / 2Σhj 2 (m) Xj 2 (m) (17)1 Σ:m=1〜I/2の加算2 Σ:m=I/2+1〜Iの加算 を計算すれば、その結果は、残響特性が指数関数的に減
少する(文献8)ことから、収束後においてR<1の関
係を満たす。これは遅延の大きい部分ほどエコーのパワ
ーが小さくなるためである。反対に、エコー経路が変動
し、hj (m) とHj (m) が異なる値をとれば、明らかに
式(14)の平均値は0となり、従って、比Rに対して
エコー経路変動が生じたときにおいては、R<1の関係
が大きく崩されることになる。加えて、エコー経路変動
は一瞬の間にこのR<1の関係を崩すことから、この方
法の採用によって検出遅延の大幅な短縮が可能となる。
【0019】この方法の欠点は音声のパワー変化が比R
に現れ、音声のパワー変化をエコー経路変動と判定する
誤動作を引き起こす危険があること、第m番目の成分を
除く疑似エコーの加算と疑似エコーの各成分との積を求
める計算量が多く、演算量の削減がこの方法によっては
実現されないことである。
【0020】本発明はこれらの問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、ダブルトークと
エコー経路変動を区別する検出を、短時間のうちに、小
さい回路規模と演算量で、精度よく行えるようにするこ
とにある。
【0021】
【課題を解決するための手段および作用】図1は本発明
の原理説明図である。上述の課題を解決するために、本
発明においては、特性が未知の信号伝達系の特性を推定
する演算回路を備えて、この演算回路によって信号伝達
系の応答の疑似応答を生成する装置における信号伝達系
の応答の変化を検出する装置であって、特性が未知の信
号伝達系の応答と装置内で合成した疑似応答との差分
と、疑似応答との相関値を求める相関計算手段101
と、疑似応答または応答のパワーを求めるパワー計算手
段102と、相関計算手段101の相関値をパワー計算
手段102で求めたパワーで正規化する正規化手段10
3と、正規化手段で求めた値を所定の第1の検出閾値E
F と比較して第1の検出閾値EF を超えたことをもって
信号伝達系の応答の変化が信号伝達系の応答特性の変化
によるものであることを判定する判定手段104とを備
えたことを特徴とする信号伝達系の応答の変化を検出す
る装置が提供される。
【0022】この装置においては、相関計算手段101
で差分と疑似応答との相関値(すなわち積)を求め、一
方、パワー計算手段102で疑似応答(または応答)の
パワーを求め、正規化手段103で上記パワーにより相
関値を正規化し(すなわち比を求め)、この正規化した
値(比)が所定の第1の閾値EF を超えたことを判定手
段104で判定することで、信号伝達系の応答特性の変
化があったことを検出する。
【0023】パワー計算手段102で計算するパワーは
疑似応答のパワーに代えて応答のパワーとすることもで
き、その場合、信号伝達系の応答特性の変化による場合
と応答に未知の信号が重畳した結果による場合との識別
間隔が広がり、一層確実に検出が行えるようになる。
【0024】また本発明においては、信号伝達系の応答
の変化を、応答に未知の信号が重畳した結果によるもの
と信号伝達系の応答特性の変化によるものとを含めて検
出する第2の検出装置を更に備え、請求項1記載の装置
による検出結果と組み合わせることで、上記信号伝達系
の応答の変化の要因を区別して検出できるようにしたこ
とを特徴とする信号伝達系の応答の変化を検出する装置
が提供される。
【0025】この装置においては、第2の検出装置によ
り信号伝達系の応答の変化が検出された場合、当該信号
伝達系の応答の変化は、請求項1の装置により信号伝達
系の応答特性の変化が検出されている場合には信号伝達
系の応答特性の変化によるものと判定され、一方、応答
特性の変化が検出されていない場合には、応答に未知の
信号が重畳した結果によるものと判定され、両者を区別
することが可能となる。
【0026】この第2の検出装置は、信号伝達系の応答
の変化を、信号伝達系の応答および装置内で合成した疑
似応答の差分と該信号伝達系へ送出した信号とのパワー
比、応答と信号伝達系へ送出した信号とのパワー比、あ
るいは差分と疑似応答のパワー比をパラメータとしてそ
れを所定の第2の検出閾値(ES )と比較することで、
検出するよう構成することができる。
【0027】また上記第2の検出装置では、第2の検出
閾値(ES )を、最低限確保すべき該応答の消去量程度
に選ぶよう構成することができる。
【0028】また上記第2の検出装置で応答の変化の検
出に用いるパラメータとして、パワー比を立上りが急峻
で立下りが緩やかな時定数の低域フィルタに印加して得
られた出力を用いるよう構成することができる。
【0029】このような低域フィルタを用いると、上記
パワー比の瞬間的な変動による誤判定を防止し、信頼性
の高い判定を行うことが可能となる。
【0030】また信号伝達系の特性を推定する演算回路
の入力に、応答に未知の信号が重畳していることを見出
すに要する時間以上の遅延を与える遅延手段を更に備え
た構成とすることができる。
【0031】かかる遅延手段を加えることで、応答に未
知の信号が重畳するなどして演算回路の係数更新を乱す
前に、その重畳を検出して演算回路の係数更新を停止す
ることが可能となる。
【0032】また上記遅延手段に対して、応答の変化が
未知信号の重畳によるものと判定されたとき、あるいは
その重畳が解消されたと判断されたときには、その保持
内容をリセットする機能を付与した構成とすることがで
きる。
【0033】かかるリセット機構を導入することで、未
知信号の重畳による演算回路への影響を遅延手段のリセ
ットにより無くすことができ、演算回路の係数更新が乱
されることを防止できる。
【0034】また第2の検出装置に用いるパワーを計算
する加算数をd、上記遅延手段の遅延量をDとした場合
に、該パワー比が検出閾値(ES )を下回ってからD/
d程度以上の時間は該応答の変化が継続していると判断
するよう構成することができる。
【0035】かかる構成とすることで、パワー比の瞬間
的な変動に対して誤判定が生じることを防止でき、か
つ、遅延手段に未知信号の重畳による影響が残存するこ
とを防止できる。
【0036】また第2の検出装置の検出閾値(ES )と
して、パワー比を立上り時定数が長く、立下り時定数が
短い低域フィルタに印加したときの応答の定数倍を用い
るよう構成することができる。
【0037】このようにすることで、周囲騒音の影響を
考慮して第2の検出閾値(ES )を設定することができ
るようになる。
【0038】また応答の変化を検出してから請求項1記
載の装置の正規化手段の正規化結果の算術平均を計算す
る算術平均計算手段と、第1の検出閾値(EF )を除々
に小さくする閾値可変手段とを備え、閾値可変手段で該
第1の検出閾値を除々に小さくしつつ算術平均計算手段
の算術平均と比較することで、信号伝達系の応答特性の
変化の生起を検出するよう構成することができる。
【0039】このようにすれば、信号伝達系の応答の変
化が、未知信号の重畳によるものか、応答特性の変化に
よるものかを一層確実に区別して検出することが可能と
なる。
【0040】また応答の変化を検出してから請求項1記
載の装置の正規化手段の正規化結果の算術平均を計算す
る算術平均計算手段を備え、ある一定の時間をおいた後
に該第1の検出閾値(EF )と比較することで、信号伝
達系の応答特性の変化の生起を検出するよう構成するこ
とができる。
【0041】このようにすれば、信号伝達系の応答の変
化が、未知信号の重畳によるものか、応答特性の変化に
よるものかを一層確実に区別して検出することが可能と
なる。
【0042】
【実施例】図2には本発明の実施例を示す図である。こ
の実施例は本発明の信号伝達系の応答の変化を検出する
装置をエコーキャンセラに適用した場合のものである。
図2において、1は遠端話者音声Xj を放音するスピー
カ、2は近端話者音声Sj等を入力するマイクロホン、
3は遠端話者音声Xj に基づいて疑似エコーGj を合成
する疑似エコー生成フィルタ、4は疑似エコー生成フィ
ルタ3の係数を更新するフィルタ係数更新回路、7はマ
イクロホン2で収集した応答Yj から疑似エコー生成フ
ィルタ3で生成した疑似エコーGj を差し引く減算器、
8は減算器7からの残留エコーej のフィルタ係数更新
回路4への入力をD標本化周期分だけ遅延させるシフト
レジスタ、9は遠端話者音声Xj のフィルタ係数更新回
路4への入力をD標本化周期分だけ遅延させるシフトレ
ジスタである。音響エコーキャンセラ21はこれらの回
路で構成される。
【0043】一方、20は信号伝達系の応答の変化(す
なわちダブルトークとエコー経路変動)を検出する回路
であり、ダブルトーク検出回路5とエコー経路変動検出
回路6とで構成される。ダブルトーク検出回路5は従来
と同様にダブルトークとエコー経路変動を区別なく検出
する回路であり、この検出を残留エコーej と疑似エコ
ーGj に基づいて行っている。このダブルトーク検出回
路5の検出出力はフィルタ係数更新回路4に対して更新
中断を指示する信号として用いられると共に、シフトレ
ジスタ8にその内容をリサットする信号として入力れれ
る。またエコー経路変動検出回路6は信号伝達系の応答
変化がエコー経路変動によるものか否かを検出する回路
であり、この検出を応答Yj 、残留エコーej 、疑似エ
コーGjに基づいて行っており、このエコー経路変動検
出回路6の出力はフィルタ係数更新回路4にその係数更
新の中断を禁止する信号として入力される。
【0044】図3には上述のエコー経路変動検出回路6
の構成例が示される。図示の如く、残留エコーej と疑
似エコーGj の積(すなわち相関値)を求める乗算器6
1、乗算器61の出力の累積加算を行う積分回路62、
疑似エコーGj (あるいは系の応答Yj )を自乗してそ
の瞬時パワーを求める乗算器65、乗算器65の瞬時パ
ワーの累積加算を行う積分回路66、積分回路62の出
力(相関値)を積分回路66の出力(瞬時パワー)で正
規化するために除算して両積分結果の比RGG(乗算器6
5への入力が応答Yj のときにはReY)を計算する比計
算回路63、比計算回路63の出力の比RGGを所定の検
出閾値EF と比較してエコー経路変動の有無の判定を行
う判定回路64、その判定結果の出力端子604、残留
エコーej の入力端子601、疑似エコーGj の入力端
子602、疑似エコーGj (または未知系の応答Yj
の入力端子603を含み構成される。なお、正規化パワ
ーとして疑似エコーGj の瞬時パワーを採用する場合は
端子603は端子602に共通となる。
【0045】図4には上述のダブルトーク検出回路5の
構成例が示される。ダブルトーク検出回路5は、残留エ
コーej と疑似エコーGj の瞬時パワー比ReGを計算す
る瞬時パワー比計算回路51と、瞬時パワー比ReGを通
す低域フィルタ52と、低域フィルタ52の出力を所定
の検出閾値ES と比較してダブルトークを判定する比較
器53を含み構成される。瞬時パワー比計算回路51
は、残留エコーej を自乗し累積加算することで瞬時パ
ワーPe を計算する乗算器511と積分回路513、疑
似エコーGj を自乗し累積加算することで瞬時パワーP
G を計算する乗算器512と積分回路514、瞬時パワ
ーPe とPG の比ReGを計算する除算器515を含み構
成される。この積分回路513、514はJ個分の累積
加算器からなる。また、低域フィルタ52は、立上りが
速く、立下りが遅い入出力特性を持つもので、比較器5
21、セレクタ522、1標本化周期遅延措置523、
加算器524、乗算器525、526を含み構成され
る。
【0046】この実施例の回路では、エコー経路変動と
ダブルトークを確実に識別するため、そしてダブルトー
ク発生時においても安定したエコー消去量の維持を確実
にするために、各回路の具体的な構成に対して以下の内
容を折り込んでいる。
【0047】(1)エコー経路変動検出回路6 本エコー経路変動検出回路6でエコー経路変動を検出す
る原理は簡単である。まず、残留エコーej と疑似エコ
ーGj との積と、疑似エコーGj の自乗値をj=nJ+
1〜(n+1)Jまで加算することにより、 PeG 3Σej j (18) = 3Σ〔ΣΔj (i) Xj (i) +Sj 〕ΣHj (i) Xj (i) (19) PG 3ΣGj 2 (20)3 Σ:j=nJ+1〜(n+1)Jの加算、以下同じ n:加算区間の番号 J:瞬時パワーを計算する加算項数 を得る。このとき、推定誤差Δj (i) は収束後において
十分に小さく、フィルタ係数Hj (i) と近端話者音声S
j の間には相関はないと仮定できるので、この両者の比 RGG=PeG/PG (21) は収束後においてダブルトークが発生しても RGG=0 (22) と近似されると期待できる。一方、エコー経路が変動し
てインパルス応答hj (i) とフィルタ係数Hj (i) が不
一致となったときには、式(19)は、 PeG 3Σ〔Σhj (i) Xj (i) −ΣHj (i) Xj (i) +Sj 〕ΣHj (i) Xj (i) = 3Σ〔Σhj (i) Xj (i) +Sj 〕ΣHj (i) Xj (i) −Gj 2 (23) と置き換えられる。このとき、フィルタ係数Hj (i) と
インパルス応答hj (i)および近端話者音声Sj とは互
いに独立と仮定できるので、上記パワー比RGGはエコー
経路変動時において、 RGG=−1 (24) に近似される。従って、検出閾値EF をこの−1と0の
間におけば、 RGG≦EF (25) となるときには、エコー経路変動と判定することが可能
となる(請求項1)。
【0048】また、この方法は次のように変更が可能で
ある。すなわち、相関PeGの正規化を伝達系の応答(マ
イクロホン出力)Yj の瞬時パワー PY =ΣYj 2 (26) で行い、同比RGGを、 ReY=PeG/PY (27) と置き換えても同様の効果が得られる。この場合、瞬時
パワーPY はシングルトーク時においてエコーgj の瞬
時パワーgj 2 に等しく、収束後においてはほぼ疑似エ
コーGj の瞬時パワーPG に等しくなるので、この比R
eYを用いて検出する場合でもエコー経路変動に対しては
疑似エコーの瞬時パワーで正規化したときと同じ結果が
得られる。反対に、ダブルトークのときにはマイクロホ
ン出力Yjに近端話者音声Sj が含まれることから瞬時
パワーPY が増大し、その結果として比ReYは抑えられ
るため、ダブルトークとエコー経路変動の識別間隔が広
がるという利点が得られる(請求項1)。
【0049】但し、PeGは残留エコーej と疑似エコー
j の相関、PG は疑似エコーGjの瞬時パワー、PY
は伝達系の応答の瞬時パワーを等価的に与えるものであ
ればよく、例えば、その加算をフィルタ係数a<1の一
次巡回型フィルタで実行する構成とすることも可能であ
る。
【0050】以上のエコー経路変動検出法は、後述する
本実施例のダブルトーク検出回路と併用する場合の他
に、例えば前述した残留エコーej と遠端話者音声Xj
との瞬時パワー比REXの増大により信号伝達系の応答変
化(ダブルトークとエコー経路変動)を検出する方法と
併用することができ、この場合、ダブルトークは、 RGG>EF (28) となるから、この結果を用いて、ダブルトークをエコー
経路変動とを区別して高速に検出することが可能となる
(請求項3)。
【0051】また、当然のことながら、このエコー経路
変動検出法を、前述したマイクロホン出力Yj と遠端話
者音声Xj との短時間平均パワー比ReYを用いる信号伝
達系の応答変化(ダブルトークとエコー経路変動)の検
出法と併用すれば、同検出法においても、前記欠点は
解消されることとなり、近端話者がマイクロホン近くに
位置し、マイクロホンとスピーカとの距離が十分である
(エコーに比べて近端話者音声の方が大)場合には、同
法も有効なダブルトーク検出法としての採用が可能とな
る(請求項3)。
【0052】(2)シフトレジスタ8、9 まず、ダブルトーク検出には時間がかかること、そし
て、そのダブルトークはエコー消去量を急減させるこ
と、しかもその急峻さは、その検出遅延が短い『残留エ
コーej と遠端話者音声Xj の瞬時パワー比REXを用い
た』ダブルトーク検出法においてもエコー消去量をその
まま維持することは困難であること(参考文献9)が指
摘される。図2に示す遅延がD標本化周期のシフトレジ
スタ8、9はこの検出遅延を補償するための素子であ
る。このように係数更新過程に遅延を挿入する構成(参
考文献)をとるとき、フィルタ係数Hj (i) の乱れは
その遅延分だけ遅れることになる。従って、その遅延を
ダブルトーク検出に要する時間以上に選び、その間にダ
ブルトークを検出して係数更新を休止すれば、ダブルト
ークに対してフィルタ係数の乱れが全くないエコーキャ
ンセラが実現される(請求項6)。
【0053】この手法の動作については既に解析され、
一定の条件を満たせばその遅延の挿入によってもフィル
タ係数の更新は安定的に実行されることが明らかになっ
ている(文献10)。
【0054】(3)ダブルトーク検出回路5における瞬
時パワー比計算回路51 (3−1)ダブルトークは前述した式(7)のパワー比
YX、あるいは式(10)の瞬時パワー比REXの変化か
ら検出する以外に、残留エコーej の瞬時パワー Pe 3Σej 2 (29) と、式(20)の疑似エコーGj の瞬時パワーPG との
比 ReG=Pe /PG (30) を用いても検出することができる。また、その方が正確
である。
【0055】すなわち、式(1)、(3)から分かるよ
うに、フィルタ係数Hj (i) の更新に利用される遠端話
者音声はエコーや疑似エコーを構成している成分X
j (i) であり、フィルタ係数Hj (i) が乱れてエコーの
消去量が減少するのは、この遠端話者音声Xj (i) と近
端話者音声とのパワー比が低下したときである。ダブル
トークを検出して係数更新を休止しなければならないタ
イミングは、このパワー比が低下した時点なのである
が、スピーカとマイクロホン間の距離(遅延)を考えれ
ば、時刻jにおいてスピーカから出力された音声Xj
その出力時点においてエコーや疑似エコーを構成してい
ない。もちろん、時刻jにおいてスピーカから出力され
た信号Xj もいずれエコーや疑似エコーを構成するので
あるから、パワー比を計算する加算項数Jを多くとれ
ば、信号Xj をもって正規化する近似も成り立つとは言
える。しかしながら、残留エコーをダブルトーク検出に
利用したいのは加算項数を減らしたいがためであり、こ
こで加算項数Jを多くとることは矛盾である。
【0056】(3−2)上記のように、残留エコーej
と疑似エコーGj の瞬時パワー比ReGをパラメータとし
てダブルトークの検出を行うとき、検出閾値の設定が簡
単になる。すなわち、エコーの消去量は(gj −Gj
とgj のパワー比で測ることができ、周囲騒音が低い場
合には収束後において差分(gj −Gj )は残留エコー
j に、またエコーgj は疑似エコーGj にほぼ等しい
ことから、同パワー比は式(30)に与える比ReGに近
似される。一方、エコーキャンセラの安定した動作の実
現に必要な最低限確保されるべきエコーの消去量ES
エコーキャンセラの設定時に決定され、当然ながら、そ
の消去量ES はダブルトーク時においても確保されなけ
ればならない。従って、パワー比ReGを監視し、 ReG>ES (31) となった場合をダブルトークと判定して係数更新を休止
する(参考文献7)ように検出閾値を設定してダブルト
ーク検出回路を構成すれば、エコーキャンセラは常に所
要消去量ES が保証されることになる(請求項4)。も
ちろん、この効果は上記パワー比ReGに代えてその逆数
である RGe=PG /Pe (32) を用いて構成しても同じであり、また、その検出閾値を
所要消去量ES に若干の余裕を持たせた値としても、本
発明の原理に変わりはない。
【0057】よって、本実施例では、ダブルトーク検出
回路5には、図4に示すような、残留エコーej と疑似
エコーGj の瞬時パワー比ReGを瞬時パワー比計算回路
51により計算して、これを比較器53で所定の検出閾
値ES と比較する回路構成を用いている。なお、低域フ
ィルタ52の効果については次に述べる。
【0058】(4)ダブルトーク検出回路5における低
域フィルタ52 以上の構成によって特性が未知の信号伝達系の変化(応
答特性の変化=エコー経路変動あるいは未知信号の重畳
=ダブルトーク)の発生が検出されるが、例えば、式
(27)の瞬時パワー比ReYをパラメータとしてエコー
経路が変動したことを検出し、フィルタ係数Hj (i) の
更新を続行したとき、同比ReYはフィルタ係数Hj (i)
が伝達系のインパルス応答hj (i) に近づくに連れて減
少するため、いずれ検出閾値EF を下回るようになる。
しかも、このときにおいてもエコーの消去量はまだ十分
得られていないために、 ReG>ES (33) ReY<EF (34) となるときが来る。このとき、式(33)でダブルトー
ク検出回路5はダブルトークと判定し、式(34)でエ
コー経路変動検出回路6はエコー経路変動無しと判定す
るので、実際にはダブルトークは生じてないにもかかわ
らず、その伝達系の応答の変化は当然ながらダブルトー
クと判定され、エコーの消去量が十分に得られていない
(すなわち係数更新を続行したい)にもかかわらず、フ
ィルタ係数の更新が中止されることになる。
【0059】この誤動作を防止するためには、エコー経
路変動と判定された後は、エコーの消去量が規定値以上
得られるまでダブルトークとしない処置が必要となる。
ところが、エコーの消去量が規定値以上となったかを判
断するパラメータとなる比ReGは瞬時パワーで与えられ
ているために各時刻でのその変化は大きく、設定した閾
値ES を下回ったとしても瞬間的なもので、消去量はま
だ十分でない可能性が非常に高い。この可能性を小さく
抑える方法として瞬時パワーを計算する加算項数Jを大
きくする方法も有効ではあるが、それでは検出遅延が大
きくなって比ReGを用いた効果が失われる。そこで、要
は立上りが速く、立下りが遅い低域フィルタに比ReG
印加し、瞬間的な比ReGの低下に対して緩やかな反応と
なったその出力をパラメータとしてダブルトークを検出
する構成とすればよい(請求項5)。
【0060】図4に示す低域フィルタ52はこの特性を
実現する回路で、比較器521、セレクタ522、1標
本化周期遅延素子523、加算器524、乗算器52
5、526とから構成される。すなわち、比較器521
は乗算器526の出力と除算器515の出力ReGとを比
較し、比ReGの方が大きいときには比ReGを、小さいと
きには加算器524の出力を選択するようにセレクタ5
22を指示するものである。また、αは1未満の定数と
している。このとき、低域フィルタ52の立上り特性は
瞬時、立下りは定数αの大きさで決まる時定数で減少す
る特性となる。
【0061】このような構成においては、瞬時パワー比
計算回路51で算出した瞬時パワー比ReGを低域フィル
タ52に通してその低下を緩やかにし、この低域フィル
タ52から出力された瞬時パワー比ReG’を比較器53
で所定の検出閾値ES と比較しているから、瞬時パワー
比ReGの瞬間的な低下は無視され、よって、エコー経路
変動時におけるフィルタ係数の更新は、エコーの消去量
が初めに設定した大きさES となるまで続行されること
になる。
【0062】図5、図6は上記(1)〜(4)の構成を
用いてエコー経路変動を検出するシミュレーションの結
果を示したものである。両図において、横軸はイタレー
ション、縦軸は上側が瞬時パワー比ReG(ReY’)と下
側が比ReYを示し、図中の(イ)は瞬時パワー比計算回
路51出力の瞬時パワー比ReY、(ロ)はその瞬時パワ
ー比ReYを低域フィルタ52に通した瞬時パワー比
eY’である。また、両図の(b)は瞬時パワー比ReG
(ReG’)を1000倍に拡大して閾値ES (ここでは
0.001としている)付近の変化を分かりやすく示し
たものである。そして、図5は時刻tにおいてエコー経
路変動を発生させたときの、図6は同時刻tにおいてダ
ブルトーク(周囲騒音を約41dBから約−1dBに変化さ
せてダブルトークに代用している)を発生させたときの
検出用パラメータReYとReGの変化である。但し、フィ
ルタ係数の更新アルゴリズムとして学習同定法を用い、
ステップゲインK=0.5とした。また、信号伝達系の
インパルス応答の長さIを512、瞬時パワーを計算す
る加算項数Jは32、フィルタ係数更新回路4の入力に
挿入されたシフトレジスタ8、9の遅延は128標本化
周期、比ReGを印加する低域フィルタ52の係数α=
0.875とした。
【0063】図5において、時刻tでエコー経路変動が
起こると、比ReYは検出閾値EF =−0.25を瞬時に
して超え、この場合の応答の変化はエコー経路変動と判
定されてフィルタ係数は引き続いて更新される。従っ
て、比ReYはフィルタ係数の更新に連れて0に近づき、
その検出閾値EF を下回るようになるが、比ReG’が閾
値ES 以上となっているので、エコー経路変動による係
数の乱れは解消されていないとしてフィルタ係数は引き
続いて更新される。このフィルタ係数の更新は比ReG
が閾値ES 以下となるまで続く。
【0064】また、図6において、時刻tでダブルトー
クが発生しても、ReYは検出閾値EF を超えないので、
信号伝達系の応答の変化はダブルトークの発生によるも
のと判断され、フィルタ係数Hj (i) の更新が休止され
る。この休止は比ReG’が閾値ES を下回ったときまで
続けられる。図5、図6の結果は本発明の有効性を例証
している。
【0065】(5)シフトレジスタ8のリセット機構 ここで、注意しなければならないことは、信号伝達系の
応答の変化が同検出回路によって『ダブルトークからシ
ングルトークに戻った』と判断された時点においても、
シフトレジスタ8にはまだ近端話者音声を含む残留エコ
ーが残されている可能性がある、ということである。低
域フィルタ52の立下り時定数を短く、またシフトレジ
スタ8による遅延Dを大きく選んだ場合、その可能性は
とくに高い。従って、シングルトークと判定された時点
で直ちに係数更新の休止を解除すれば、このシフトレジ
スタ8に残された近端話者音声を含む残留エコーによっ
てフィルタ係数が乱れ、係数更新の休止処理の意味が失
われるおそれがある。すなわち、信号伝達系の応答の変
化を検出する回路20がダブルトークと判定されている
間、あるいはシングルトークに戻ったと判断された時点
で、シフトレジスタ8をリセットする処置が必要とな
る。この処置はダブルトーク検出回路5の出力でシフト
レジスタ8をリセットすることで実現される(請求項
7)。
【0066】(6)低域フィルタ52の代替え回路 フィルタ係数更新回路4のフィルタ係数更新の休止は、
その休止期間中エコー経路変動に追随できない、という
点においても危険な処理でもある。もちろん、ダブルト
ークの発生中は止むを得ないとしても、ダブルトークが
終息したらできるだけ早くフィルタ係数の更新を再開す
ることが望ましい。ところが、図4に示す低域フィルタ
52を挿入することで瞬時パワー比ReGの瞬時的な低下
をシングルトークと判定しないようにする構成では、大
きな近端話者音声Sj の入力に対してその影響が低域フ
ィルタ52に残存する時間が長くなるから、シングルト
ークとなった後も比較器53でダブルトークと判定され
る時間が長くなってしまう。
【0067】そこで、低域フィルタ52の代わりに図7
に示すような回路を瞬時パワー比計算回路51の後段に
挿入して信号伝達系の応答の変化を検出する回路を構成
してもよい。図7に示す比較器542は比ReGが検出閾
値ES を上回ったときには信号伝達系の応答に変化があ
ったとして、カウンタ543に0をセットすると同時に
レジスタ544に『応答変化の発生』を記憶させる。ま
た、カウンタ543は比較器542が信号伝達系の応答
に変化があったと判定している間は0に固定される。次
に、比ReGが検出閾値ES を下回ると、比較器542は
信号伝達系の応答変化が終了したと判定し、カウンタ5
43に対して計数の開始とレジスタ544に対して『応
答変化の終了』を指示する。このとき、レジスタ544
に対する指示はカウンタ543の計数値が一定数に達す
るまでは無視される。この状態は比較器542が『応答
変化の発生』を検出するまで続き、カウンタ543の計
数値が一定数に達すると、カウンタ543は計数値を固
定し、レジスタ544は比較器542からの指示に従っ
てその記憶内容を『応答変化の終了』に変更する。
【0068】この間、カウンタ543によって計数され
る数は、シフトレジスタ8に入力された近端話者音声を
含む残留エコーが排出される時間以上で、シフトレジス
タ8の遅延の量をD、瞬時パワーPe 、PG を計算する
加算項数をdとすると、D/d以上でなければならない
(請求項8)。このように構成することで、比ReGが瞬
時的に検出閾値ES を下回っただけで『応答変化の終
了』と判定されることを防止するとともに、シフトレジ
スタ8内のダブルトーク等の残留エコーの影響が排出さ
れる時間以上、検出閾値ES を下回る状態が継続したと
きには直ちに『応答変化の終了』と判定することができ
るようになる。
【0069】(7)周囲騒音の大きさに対応した検出閾
値ES を設定する回路(図8) 以上の実施例は、設計時に与えた値ES を閾値としてダ
ブルトークの発生を検出するように構成されているが、
周囲騒音の大きさが不明な場合や緩やかに変動する場合
でもその検出が可能となるように、シングルトーク時に
観測した比ReGから閾値を設定してその検出に供するこ
ともできる。このシングルトーク時の比ReGから閾値を
見出す最も簡単な方法は、立上り時定数が長く、立下り
時定数が短い低域フィルタに比ReGを加えてその出力の
定数倍を閾値とすることである。(請求項9)
【0070】すなわち、近端話者もいずれその発声を停
止させ、シングルトークの区間が出現する。このとき、
前者の低域フィルタの立下り時定数は短く設定されてい
るので、同低域フィルタの出力はシングルトーク区間の
比ReGに対応する大きさまで急減することになる。とこ
ろが、一旦この大きさまで下がると、次にダブルトーク
となっても、低域フィルタの出力は長い時定数のために
ゆっくりとしか上昇せず、従って、同低域フィルタの出
力はシングルトーク区間の比ReGにほぼ対応する大きさ
に維持されることになる。すなわち、この低域フィルタ
の出力を元に検出閾値を設定すれば、周囲騒音の大きさ
に対応した閾値の設定が可能となる。
【0071】図8はその構成例であり、比較器910、
Aカウンタ920、Bカウンタ921、セレタク93
0、加算器940、単位遅延シフトレジスタ941、乗
算器942、セレクタ960を含み構成される。同図に
おいてダブルトーク検出閾値は各素子が次のように動作
することによって算出される。
【0072】(a)比較器910は入力端子901から
入力した比ReG〔瞬時パワーを計算する積分回路の加算
項数は図5に示す積分回路523、524の加算項数に
等しくとってもよいが、多くした方が比較器910以下
の単位時間当たりの処理量が削減される〕と単位遅延シ
フトレジスタ941の出力とを比較し、前者A>後者B
となるときには、Aカウンタ920に対して計数の開始
を指示し、Bカウンタ921の値は0に固定する。反対
に、前者A≦後者BとなるときにはBカウンタ921に
は計数の開始を指示し、Aカウンタ920には0を設定
する。
【0073】(b)次に、AカウンタとBカウンタはそ
の計数値が予め定めた数に達するまでは0を出力し、達
したときには1を出力し、次の時刻に計数値を0に戻
す。
【0074】(c)セレクタ930はC=1、D=0す
なわちAカウンタ920が1を出力したときにはαを、
C=0、D=1すなわちBカウンタ921が1を出力し
た時には−βを、C=0、D=0のときには0を選択す
る。このとき、βに比較してαを大きく選ぶか、Aカウ
ンタが1を出力するまでに要する計数値をBカウンタの
それよりも大きく設定しておけば、加算器940と単位
遅延シフトレジスタ941で構成される回路の積分出力
に対して立上りが遅く、立下りのはやい特性が実現され
る。
【0075】(d)最後に乗算器942はその積分出力
に対して定数kを乗じて検出閾値とし、レジスタ960
は乗算器942の与える検出閾値が上記所要消去量ES
を下回るときには閾値をES に選んで保持することによ
り、フィルタ係数の更新が休止される頻度を減らしてい
る。
【0076】(8)ダブルトーク検出回路5における検
出閾値EF を変化させつつ信号伝達系の応答特性の変化
を検出する回路 次に、式(23)から分かるように、エコー経路変動が
わずかである(すなわちフィルタ整数Hj (i) とインパ
ルス応答hj (i) が似ている)場合、比ReYあるいはR
GGは小さな値をとる。それは変動量にも関係するが、そ
れが検出閾値EF を下回る場合も十分にあり得る。とす
れば、このときには信号伝達系の応答の変化はダブトト
ークと判定されて、フィルタ係数の更新が停止される可
能性も否定できない。しかしながら一方において、その
検出閾値EF を小さくすればダブトトークをエコー経路
変動としてフィルタ係数の更新を続行する可能性もある
ので、検出閾値EF を単純に小さくするだけではその誤
りが多くなるだけである。そこで、この微妙な場合にお
いても明確に切り分けできるように、検出閾値EFの設
定を次のように行う。
【0077】図9において、入力端子1001には図3
の比計算回路63で計算された比ReYが、入力端子10
02にはダブルトーク検出回路5からの信号伝達系の応
答の変化を検出した信号(比ReGにより検出した信号)
がそれぞれ入力される。また比較器1060は図3にお
ける判定回路64に相当する。入力端子1002から信
号伝達系の応答が変化したとする判定結果を受けたと
き、カウンタ1030には1が設定され、Aセレタク1
020においては、入力端子1001より得た比ReY
選択される。同時に、単位遅延シフトレジスタ1042
のリセット状態が解除され、単位遅延シフトレジスタ1
052には閾値EF が設定される。このとき、Aセレク
タ1020で選択された比ReYは加算器1041、除算
器1043を経て比較器1060に達する。この一連の
動作は入力端子1002から得る判定結果(ReG判定結
果)が『応答の発生』となっている間は続く。(なお、
この判定結果は比ReYによるものでもよく、その場合、
比ReYの変化が閾値以上となった時に積分を開始し、そ
の減少でダブルトーク一定でエコー経路変動とする。)
この間、比ReYは単位遅延シフトレジスタ1042と加
算器1041で構成される積分回路によって加算される
とともに、カウンタ1030の計数値は一つずつ大きく
なる。除算機1043はこの積分回路の出力をカウンタ
1030の計数値で除算するから、比ReYの算術平均を
出力する。
【0078】この効果は、図10、図11に示す例に示
される。すなわち、応答変化がエコー経路変動により生
じた場合を示す図10の例において、検出閾値EF を1
と大きくとったときには、『応答変化の発生』は誤って
ダブルトークと判定され、フィルタ係数の更新が休止さ
れる。このとき、比ReYの算術平均値は図11に示す一
定の値に収束する。一方、『応答変化の発生』が真にダ
ブルトークであったときには、比ReYの算術平均は図1
0に示すように急減する。従って、検出閾値EF はダブ
ルトークをエコー経路変動と判定することがないように
初めは高く設定しておき、徐々に閾値を小さくしていく
構成をとれば、エコー経路変動をダブルトークと判定す
る誤りは減少する(請求項10)。
【0079】図9における算出回路1050はこの可変
検出閾値EF ’の算出回路で、『応答変化の発生』を入
力端子1002を通じて受け取ったとき、単位遅延シフ
トレジスタ1052には検出閾値EF が設定され、以
後、係数γ(<1)を巡回係数とする循環回路によっ
て、閾値はEF からEF γi (iはカウンタ出力)に従
って小さくなる。また、Bセレクタ1053は閾値に下
限を設けるために挿入された素子で、ダブルトークをエ
コー経路変動とする誤りを抑えている。
【0080】図12はインパルス応答hj (i) の第1番
目の標本値の極性(+−)を時刻tで反対にしてエコー
経路変動とした場合の例である。このとき、エコー経路
の変動量が小さいので、比ReYは大きくならず、図11
のダブルトークの場合よりも小さな値となっている。と
ころが、既に述べたように、比ReYの算術平均値は、ダ
ブルトークであれば急速に減少するのに対して、エコー
経路変動の場合は一定値を保つようになる。図12に示
すEA は上記手法に従って計算した可変閾値(初期値−
1.0、最小値−0.03125)であり、エコー経路
変動の場合の比ReYの算術平均値はいずれ可変閾値を上
回り、エコー経路変動と判定されることを示している。
図13は本発明の方式により、エコー経路変動が検出さ
れ、比ReG(エコーの消去量に対応)が減少することを
示す例である。途中、可変閾値EA が急減しているの
は、エコー経路変動によるフィルタ係数の乱れが修復さ
れたために、検出閾値が−1に設定されたことを示して
いる。また、比ReYの算術平均値が0に急変したのも、
エコー経路変動によるフィルタ係数の乱れが修復された
ために、初期値0が設定されたためである。
【0081】図10と図11の比較から、簡易的な方法
としてエコー経路変動の判定はカウンタ計数値1では行
わず、2以上の計数値で初めて行うとする方法が見出さ
れる。このとき、検出遅延は大きくなるけれども、簡単
な回路での検出誤りの抑制が可能となる(請求項1
1)。
【0082】以上の実施例は本発明を会議電話装置の音
響エコーキャンセラに適用した場合のものであるが、本
発明はこれに限られるものではなく、例えばハンズフリ
ー型の拡声電話機その他のエコーキャンセラに適用する
ことも勿論可能であり、また前述した能動騒音制御シス
テムに本発明を適用することも可能である。
【0083】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、未知の信号伝達系の応答の変化の検出を、信号伝達
系の応答特性の変化による場合と応答に未知の信号が重
畳した結果による場合とを区別しつつ、短時間のうち
に、小回路規模、小演算量で短時間のうちに精度よく行
えるようになる。
【0084】
【参考文献】
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『共通の適応制御部をもつ多重エコーキャンセラ』、信
学技報CS78−23(1978) 文献2:古屋宣二,福士雄三,伊藤栄紀,田辺淳二,萩
原幸雄、『適応型エコーキャンセラにおける重畳通話検
出の1方式』、昭和59年信学会総全大、2343(1
984) 文献3:宇佐川毅,松藤克明,松尾秀之,江端正直、
『可変タップ長LMSアルゴリズムの収束特性につい
て』、平4音響学会春季全大,3−5−14(199
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正定数の最適制御』、信学論(A),J75−A,No.
6、PP.975−983(1992) 文献5:南重信,川崎忠道、『継続時間の統計的性質を
利用したダブルトーク検出方式』、昭59信学通信全
大,589(1984) 文献6:古川博基,茨木悟,直野博之、『適応型エコー
キャンセラ用双方向同時通信検出方法』、昭61音響学
会春季全大,2−4−9(1986) 文献7:藤井健作,大賀寿郎、『音響エコーキャンセラ
のためのダブルトークとエコー経路変動検出に関する検
討』、信学技報,EA91−82(1992) 文献8:牧野昭二,小泉宣夫、『エコーキャンセラの室
内音場における適応特性の改善について』、信学論
(A),J71−A,No.12,PP.2212−221
4(1988) 文献9:K.FUJII and J.OHGA "Compensation for the d
ouble-talk detectiondelay in echo canceller system
s" ,Tans.IEICE,vol.E76-A,No.7,pp.1143-1146(July,19
93) 文献10:藤井健作,大賀寿郎、『ダブルトーク検出遅
延を保証する■Delayed-E/X'NLMS 法の収束条件に関す
る検討』、信学技報,DSP93−41(1993)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原理説明図である。
【図2】本発明の一実施例としての信号伝達系の応答の
変化を検出する装置を用いた音響エコーキャンセラを示
す図である。
【図3】実施例装置におけるエコー経路変動検出回路の
構成例を示す図である。
【図4】実施例装置におけるダブルトーク検出回路の構
成例を示す図である。
【図5】実施例装置におけるエコー経路変動時の比
eY、ReGの変化の様子を示す図である。
【図6】実施例装置におけるダブルトーク時の比ReY
eGの変化の様子を示す図である。
【図7】実施例装置におけるダブルトーク検出回路内の
低域フィルタの代わりに用いる回路の例である。
【図8】実施例装置におけるダブルトーク検出回路の他
の実施例を示す図である。
【図9】実施例装置におけるエコー経路変動検出回路の
他の実施例を示す図である。
【図10】図9の回路におけるエコー経路変動時の比R
eYの算術平均値の変化の様子を示す図である。
【図11】図9の回路におけるダブルトーク時の比ReY
の算術平均値の変化の様子を示す図である。
【図12】図9の回路におけるエコー経路変動時の比R
eYの算術平均値と可変検出閾値EA の変化の様子を示す
図である。
【図13】図9の回路における可変検出閾値EA による
小さなエコー経路変動の検出の様子を示す図である。
【図14】会議電話装置に用いる音響エコーキャンセラ
の例を示す図である。
【図15】能動騒音制御システムの例を示す図である。
【符号の説明】
1 スピーカ 2 マイクロホン 3 疑似エコー生成フィルタ 4 フィルタ係数更新回路 5 ダブルトーク検出回路 6 エコー経路変動検出回路 7 減算器 8、9 D標本化周期シフトレジスタ 20 信号伝達系の応答の変化を検出する回路 21 音響エコーキャンセラ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特性が未知の信号伝達系の特性を推定す
    る演算回路を備えて該演算回路によって該信号伝達系の
    応答の疑似応答を生成する装置における該信号伝達系の
    応答の変化を検出する装置であって、 特性が未知の信号伝達系の応答と装置内で合成した疑似
    応答との差分と、該疑似応答との相関値を求める相関計
    算手段(101)と、 該疑似応答または該応答のパワーを求めるパワー計算手
    段(102)と、 該相関計算手段の相関値を該パワー計算手段で求めたパ
    ワーで正規化する正規化手段(103)と、 該正規化手段で求めた値を所定の第1の検出閾値
    (EF )と比較して該第1の検出閾値を超えたことをも
    って該信号伝達系の応答の変化が該信号伝達系の応答特
    性の変化によるものであることを判定する判定手段(1
    04)とを備えたことを特徴とする信号伝達系の応答の
    変化を検出する装置。
  2. 【請求項2】 信号伝達系の応答の変化を、該応答に未
    知の信号が重畳した結果によるものと該信号伝達系の応
    答特性の変化によるものとを含めて検出する第2の検出
    装置を更に備え、請求項1記載の装置による検出結果と
    組み合わせることで、上記信号伝達系の応答の変化の要
    因を区別して検出できるようにしたことを特徴とする信
    号伝達系の応答の変化を検出する装置。
  3. 【請求項3】 該第2の検出装置は該信号伝達系の応答
    および装置内で合成した疑似応答の差分と該信号伝達系
    へ送出した信号とのパワー比、該応答と該信号伝達系へ
    送出した信号とのパワー比、あるいは該差分と該疑似応
    答のパワー比をパラメータとしてそれを所定の第2の検
    出閾値(ES )と比較することで該信号伝達系の応答の
    変化を検出するものであることを特徴とする請求項2記
    載の信号伝達系の応答の変化を検出する装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の装置において、 該第2の検出閾値(ES )を、最低限確保すべき該応答
    の消去量程度に選ぶことを特徴とする信号伝達系の応答
    の変化を検出する装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の装置において、 第2の検出装置で応答の変化の検出に用いるパラメータ
    として、該パワー比を立上りが急峻で立下りが緩やかな
    時定数の低域フィルタに印加して得られた出力を用いる
    ことを特徴とする請求項4記載の信号伝達系の応答の変
    化を検出する装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の装置にお
    いて、 該信号伝達系の特性を推定する演算回路の入力に、該応
    答に未知の信号が重畳していることを見出すに要する時
    間以上の遅延を与える遅延手段を更に備えたことを特徴
    とする信号伝達系の応答の変化を検出する装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の装置において、 上記遅延手段に対して、該応答の変化が未知信号の重畳
    によるものと判定されたとき、あるいはその重畳が解消
    されたと判断されたときには、その保持内容をリセット
    する機能を付与したことを特徴とする信号伝達系の応答
    の変化を検出する装置。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の装置において、 該第2の検出装置に用いるパワーを計算する加算数を
    d、上記遅延手段の遅延量をDとした場合に、該パワー
    比が検出閾値(ES )を下回ってからD/d程度以上の
    時間は該応答の変化が継続していると判断することを特
    徴とする信号伝達系の応答の変化を検出する装置。
  9. 【請求項9】 請求項3記載の装置において、 該第2の検出装置の検出閾値(ES )として、該パワー
    比を立上り時定数が長く、立下り時定数が短い低域フィ
    ルタに印加したときの応答の定数倍を用いることを特徴
    とする信号伝達系の応答の変化を検出する装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜3のいずれかに記載の装置
    において、 応答の変化を検出してから請求項1記載の装置の正規化
    手段の正規化結果の算術平均を計算する算術平均計算手
    段と、該第1の検出閾値(EF )を除々に小さくする閾
    値可変手段とを備え、該閾値可変手段で該第1の検出閾
    値を除々に小さくしつつ該算術平均計算手段の算術平均
    と比較することで、信号伝達系の応答特性の変化の生起
    を検出することを特徴とする信号伝達系の応答の変化を
    検出する装置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜3のいずれかに記載の装置
    において、 応答の変化を検出してから請求項1記載の装置の正規化
    手段の正規化結果の算術平均を計算する算術平均計算手
    段を備え、ある一定の時間をおいた後に該第1の検出閾
    値(EF )と比較することで、信号伝達系の応答特性の
    変化の生起を検出することを特徴とする信号伝達系の応
    答の変化を検出する装置。
  12. 【請求項12】 特性が未知の信号伝達系の特性を推定
    する演算回路を備えて該演算回路によって該信号伝達系
    の応答の疑似応答を生成する装置における該信号伝達系
    の応答の変化を検出する装置であって、 特性が未知の信号伝達系の応答と装置内で合成した疑似
    応答との差分のパワーを求める差分パワー計算手段と、 該疑似応答のパワーを求める疑似応答パワー計算手段
    と、 該差分のパワーと該疑似応答のパワーとのパワー比を求
    めるパワー比計算手段と、 該パワー比を所定の検出閾値(ES )と比較して該検出
    閾値を超えたことをもって該信号伝達系の応答の変化が
    生じたことを判定する判定回路とを備えたことを特徴と
    する信号伝達系の応答の変化を検出する装置。
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