JPH07286266A - 蒸着装置および蒸着方法 - Google Patents

蒸着装置および蒸着方法

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JPH07286266A
JPH07286266A JP10336094A JP10336094A JPH07286266A JP H07286266 A JPH07286266 A JP H07286266A JP 10336094 A JP10336094 A JP 10336094A JP 10336094 A JP10336094 A JP 10336094A JP H07286266 A JPH07286266 A JP H07286266A
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JP
Japan
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vapor deposition
supply
deposition material
crucible
substrate
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Application number
JP10336094A
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English (en)
Inventor
Junji Nakada
純司 中田
Makoto Kashiwatani
誠 柏谷
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な制御を行うことなく、基板の移送方向
及び該移送方向に対する幅方向の膜厚分布を均一化する
と共に、長時間の成膜において膜質を均一化させること
ができる安価な蒸着装置および蒸着方法を提供する。 【構成】 坩堝10内の蒸着材料12を電子ビーム7で加熱
溶融し、溶融蒸発した蒸着粒子をウェブ13に付着させて
金属薄膜を形成する為に、前記ウェブ13を前記坩堝10に
相対して冷却キャン4の周側面に沿って移送する。前記
蒸着材料12と同種類のワイヤ状の供給用蒸着材料16を前
記坩堝10内に連続的に供給し、前記供給用蒸着材料16を
供給する際の単位時間当たりの供給量(cm3 /分)が
前記坩堝10内に溶融して存在する蒸着材料12の溶融量
(cm3 )の5%以内となるように前記供給用蒸着材料
16を連続供給しながらウェブ13上に金属薄膜を形成する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸着材料を溶融、蒸発
し基板に付着させて金属薄膜を形成する蒸着装置および
蒸着方法に関するものであり、特に蒸着材料を坩堝内に
連続的に供給しつつ長時間の蒸発を行うことができる蒸
着装置および蒸着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、真空蒸着法やイオンプレーテン
グ法等によって金属薄膜を基板に被着させる場合には、
真空室内で坩堝内に設置した蒸着材料を例えば電子銃よ
り照射される電子ビームによって加熱溶融して溶湯とな
し、発生した蒸発粒子を基板上に沈着させて金属薄膜を
形成させる。
【0003】この時、前記坩堝内の溶湯の湯量は時間と
共に減少するが、湯量が減少すると前記溶湯の熱容量と
電子ビームのパワーの関係で溶湯温度が変化するため蒸
発速度が変化する。又、使用する蒸着材料が二種類以上
の金属材料からなる合金の場合、蒸着材料の組成によっ
ては飽和蒸気圧が異なるので、溶湯の組成も時間と共に
変化する。即ち、一方の飽和蒸気圧が他方の飽和蒸気圧
より高く、蒸発速度が早いと、時間と共に溶湯内及び蒸
気中の組成比が減少する。この為、前記溶湯の湯量及び
組成を一定に保つには、飽和蒸気圧の高い材料をより多
く供給し補正することが必要である。しかし、合金の材
料組成間の飽和蒸気圧がほぼ等しい場合は、蒸着材料と
同等組成を持つ供給用蒸着材料の補給を行う必要があ
る。
【0004】そして、これら供給用蒸着材料を坩堝内に
連続的に供給することにより、蒸着材料を長時間にわた
って連続的に蒸発させて大量の金属薄膜を連続被着でき
るようにした蒸着材料供給方法としては、特開平1−2
86119号、同5−78825号、及び同5−128
518号公報等に開示されているペレット材供給方法
や、特開平1−275747号、同2−250957
号、同3−20462号、同3−170662号、及び
同3−274263号公報等に開示されているロッド材
供給方法や、特開平2−23523号、同4−3010
71号公報等に開示されている板材供給方法や、特開平
5−48297号公報等に開示されているワイヤー材供
給方法などがある。
【0005】そして、供給用蒸着材料を坩堝内に連続的
に供給するこれら蒸着材料供給方法においては、金属薄
膜の膜厚分布の均一化や長時間成膜の安定化を図るため
に、溶湯を堰や仕切り板で蒸発領域と材料供給領域に分
離するものや、供給用蒸着材料の移送速度を正逆方向に
切り替えて蒸着材料の溶解量を制御するものなど種々提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如きペレット材供給方法の場合は、前記真空室内に蒸着
材料供給装置を設け、ここより供給管を通じてペレット
状の蒸着材料を坩堝内に適宜供給するものであり、基本
的に間欠供給であるので、蒸発レートが変動し易く金属
薄膜の膜厚分布を均一化し難いという問題がある。
【0007】更に、前記ロッド材供給方法、前記板材供
給方法及び前記ワイヤー材供給方法等のように、長尺状
の供給用蒸着材料を坩堝内に連続的に供給する供給方法
の場合、溶湯を蒸発領域と材料供給領域に分離するもの
は溶湯の液面面積が拡大し熱的なロスが大きくなると共
に、材料供給量が増大した際には坩堝内の蒸発領域と材
料供給領域の間に一定の温度勾配ができるため、該温度
勾配を考慮した加熱方法を採らなければ金属薄膜の膜厚
分布を均一化することが難しい。また、蒸着材料の移送
速度を正逆方向に切り替えて蒸着材料の溶解量を制御す
るものは、装置が非常に複雑であるという問題がある。
【0008】従って、本発明の目的は上記課題を解消す
ることに係り、複雑な制御を行うことなく、基板の移送
方向及び該移送方向に対する幅方向の膜厚分布を均一化
すると共に、長時間の成膜において膜質を均一化させる
ことができる安価な蒸着装置および蒸着方法を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、蒸
着材料を坩堝内で加熱溶融させ、蒸発した蒸着粒子を基
板に付着させて金属薄膜を形成する蒸着装置において、
前記基板を前記坩堝に相対して移送する移送手段と、単
位時間当たりの供給量(cm3 /分)が前記坩堝内に溶
融して存在する蒸着材料の溶融量(cm3 )の5%以内
となるように前記蒸着材料と同種類の長尺状の供給用蒸
着材料を前記坩堝内に連続的に供給する供給手段とを備
え、前記供給用蒸着材料を前記坩堝内に連続供給しなが
ら基板上に金属薄膜を形成することを特徴とする蒸着装
置により達成される。
【0010】又は、前記基板を前記坩堝に相対して移送
する移送手段と、前記蒸着材料と同種類の長尺状の供給
用蒸着材料を前記坩堝内に連続的に供給する供給手段
と、前記基板の移送方向に対する幅方向にわたって前記
坩堝内の蒸着材料を加熱する加熱手段とを備え、前記供
給用蒸着材料の供給位置が前記基板の移送方向に対する
幅方向にわたる溶融面の加熱領域近傍となるように前記
供給用蒸着材料を連続供給しながら基板上に金属薄膜を
形成することを特徴とする蒸着装置により達成される。
【0011】更に本発明の上記目的は、蒸着材料を坩堝
内で加熱溶融し、溶融蒸発した蒸着粒子を基板に付着さ
せて金属薄膜を形成する蒸着方法において、前記基板を
前記坩堝に相対して移送すると共に前記蒸着材料と同種
類の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩堝内に連続的に供
給し、前記供給用蒸着材料を供給する際の単位時間当た
りの供給量(cm3 /分)が前記坩堝内に溶融して存在
する蒸着材料の溶融量(cm3 )の5%以内となるよう
に前記供給用蒸着材料を連続供給しながら基板上に金属
薄膜を形成することを特徴とする蒸着方法により達成さ
れる。
【0012】又は、前記基板を前記坩堝に相対して移送
すると共に、前記蒸着材料と同種類で直径a(cm)を
有する長尺状の供給用蒸着材料を供給速度v(cm/
秒)で前記坩堝内に連続的に供給する際、前記直径aと
前記供給速度vの比v/aが50より小さくなるように
前記供給用蒸着材料を連続供給しながら基板上に金属薄
膜を形成することを特徴とする蒸着方法により達成され
る。
【0013】又は、前記基板を前記坩堝に相対して移送
すると共に前記蒸着材料と同種類の長尺状の供給用蒸着
材料を前記坩堝内に連続的に供給する際、前記坩堝内に
溶融して存在する蒸着材料の溶融面レベルが常に低下す
るように前記供給用蒸着材料の供給量を調整しながら基
板上に金属薄膜を形成することを特徴とする蒸着方法に
より達成される。
【0014】
【実施態様】以下、添付図面に基づいて本発明の一実施
態様に基づく蒸着装置を詳細に説明する。図1に示した
蒸着装置1は、真空排気装置3によって10-4Torr
〜10-6Torrの範囲内の圧力に必要に応じて保持さ
れる真空容器2と、該真空容器2内に配設された円筒状
の冷却キャン4と、該冷却キャン4の下方に配設された
蒸発源9と、該蒸発源9の坩堝10に相対するようにウ
ェブ13を前記冷却キャン4の周側面に沿って移送する
移送手段を構成する送り出しロール6及び巻取りロール
5と、前記坩堝10内に長尺状の供給用蒸着材料を連続
的に供給する供給手段であるワイヤー材料供給装置15
とを備えている。
【0015】本実施態様において金属薄膜を形成される
基板である前記ウェブ13は、例えばPET(ポリエチ
レンテレフタレート)等の高分子材料から成り、前記冷
却キャン4の周側面に沿って前記送り出しロール6から
送り出されると共に前記巻取りリール5に巻き取られ、
前記冷却キャン4の回転と同期して矢印X方向へ移動搬
送される。
【0016】前記蒸発源9は、蒸着粒子を前記ウェブ1
3上に付着させて金属薄膜を形成すべく蒸着材料12を
溶融蒸発させるための坩堝10と、該坩堝10内の前記
蒸着材料12を加熱溶融させる加熱手段である電子ビー
ム7と、前記坩堝10及び前記蒸着材料12の重量を測
定するための重量測定器11とを備えている。前記電子
ビーム7は、前記ウェブ13の移送方向に対する幅方向
にわたって前記坩堝10内の蒸着材料12を加熱し、該
ウェブ13の幅方向に沿った温度分布を前記蒸着材料1
2の溶融面に形成することができるように、2点蒸発点
や正弦波等のスキャン方法で前記蒸着材料12を走査加
熱する。
【0017】前記坩堝10は、MgO(マグネシア),
AlO(アルミナ),ZrO(ジルコニア)等の耐火物
からなり、図5に示すように前記ウェブ13のウェブ幅
方向に十分な容器長さL、ウェブ移送方向に容器幅W、
深さDを有する長方形の耐熱容器である。該坩堝10内
で加熱溶融される前記蒸着材料12としては、例えばF
e,Ni,Co等の強磁性金属材料及びそれらの合金が
用いられ、長尺状の供給用蒸着材料としては前記蒸着材
料12と同種類の素材で略円形断面を有するワイヤー状
に形成された供給用蒸着材料16が用いられる。
【0018】前記冷却キャン4と前記蒸発源9の間に
は、ウェブ13上への蒸着粒子の蒸着領域を制限するた
めのマスク8と、酸素等の反応ガスを蒸着領域へ導入す
るための反応ガス吹き出し部14と、蒸着粒子の蒸気流
を遮断可能な図示しないシャッター装置とが設けられて
いる。前記供給用蒸着材料16を前記坩堝10内に連続
的に供給するワイヤー材料供給装置15は、図2に示す
ように前記供給用蒸着材料16が巻装されたワイヤーリ
ール17と、該ワイヤーリール17からワイヤー状の前
記供給用蒸着材料16が巻きほぐれるのを防ぐために張
力(3〜15kgf)をかける張力調整装置18と、ワ
イヤーガイドローラー19と、前記ワイヤーリール17
に巻取られた前記供給用蒸着材料16の巻き癖を矯正す
るための矯正装置20,21と、前記供給用蒸着材料1
6を上下のローラーでチャックして引き出すためのピン
チローラー22と、該ピンチローラー22を駆動して供
給用蒸着材料16の送り出し速度を制御するための図示
しない駆動装置と、前記ピンチローラー22により引き
出された供給用蒸着材料16を坩堝10内の規定位置に
侵入させるための位置規制ローラー23とから構成され
る。尚、前記位置規制ローラー23は、前記坩堝10か
ら上方へ蒸発する蒸着粒子の蒸気流を遮らない位置に設
置される。又、上記各ローラーは、長尺状の供給用蒸着
材料16の連続引き出しに対しても表面の変形や異物の
付着が起こらないように、SK材(炭素工具鋼)に焼き
入れした材料や表面にニッケルメッキを施した材料が用
いられる。
【0019】前記矯正装置20,21は、前記ピンチロ
ーラー22により引き出された供給用蒸着材料16を上
下方向及び水平方向からそれぞれ挟持して巻き癖を矯正
するために、図3に示すような一対の固定ロール24,
24と、これら一対の固定ロール24,24間に橋架さ
れた前記供給用蒸着材料16を押圧付勢する押し付けロ
ール25とを備えている。前記押し付けロール25は、
調節ダイヤル26を回すことにより図3中の上下に可動
するように構成されており、押し付け力を調節可能とさ
れている。又、これら固定ロール24及び押し付けロー
ル25には、図4に示すように前記供給用蒸着材料16
を保持するための溝28が外周面に設けられており、移
送中の前記供給用蒸着材料16がこれら固定ロール24
及び押し付けロール25から脱落するのを防止されてい
る。
【0020】そこで、上記の如き蒸着装置1により前記
ウェブ13上に所望の金属薄膜を形成する際には、先
ず、前記坩堝10内に初期充填の蒸着材料12のインゴ
ットを入れ、前記真空排気装置3で前記真空容器2内を
排気する。その後、前記ウェブ13を前記冷却キャン4
の回転と同期して矢印X方向へ移動搬送し、図示しない
シャッターを開けて前記反応ガス吹き出し部14より反
応ガスを蒸着領域へ導入し、前記ウェブ13上に蒸着粒
子を付着させる。そして、真空度及び前記坩堝10とそ
の周辺が熱的平衡状態となって成膜状態が安定し、蒸発
レートが一定になった段階で前記ワイヤー材料供給装置
15によりワイヤー状の前記供給用蒸着材料16を坩堝
10内に連続供給する。
【0021】この際、前記ワイヤー材料供給装置15に
よる前記供給用蒸着材料16の送り出し速度を適宜制御
し、該供給用蒸着材料16の単位時間当たりの供給量
(cm3 /分)が前記坩堝10内に溶融して存在する前
記蒸着材料12の溶融量(cm3 )の5%以内、更に好
ましくは3%以内となるようにする。即ち、前記供給用
蒸着材料16の連続供給量の多少によって前記坩堝10
内の溶湯の温度分布は変化し、溶湯内容積が小さく熱容
量が小さい場合には、該溶湯の温度変化が非常に激しく
なり蒸発レートに悪影響を与え易くなる。そこで、該溶
湯の温度変化を小さくして蒸発レートの変動を抑えるこ
とにより、均一な膜厚分布をもった金属薄膜を形成する
ことができる。
【0022】また、前記供給用蒸着材料16の供給位置
が、前記電子ビーム7によって走査加熱された前記蒸着
材料12の溶融面の加熱領域近傍から外れると、前記供
給用蒸着材料16が供給された前記溶融面の熱的ロスの
影響で、該供給用蒸着材料16が供給された前記溶融面
近傍の蒸発レートが大きく減少し、金属薄膜の膜厚分布
が悪くなる。そこで、前記供給用蒸着材料16の供給位
置が、前記電子ビーム7によって走査加熱された前記蒸
着材料12の溶融面の加熱領域近傍となるようにして該
供給用蒸着材料16を連続供給すると、前記溶融面の熱
的ロスの影響が小さくなり、前記金属薄膜の膜厚分布を
均一にできる。更に好ましくは、前記供給用蒸着材料1
6の供給位置が前記蒸着材料12の溶融面の加熱領域の
中心部分となるようにして連続供給する。
【0023】更に、直径a(cm)を有するワイヤー状
の前記供給用蒸着材料16を供給速度v(cm/秒)で
前記坩堝10内に連続的に供給する際、前記ワイヤー材
料供給装置15による前記供給用蒸着材料16の送り出
し速度を適宜制御し、前記直径aと前記供給速度vの比
v/aが50より小さくなるように前記供給用蒸着材料
16を連続供給する。即ち、前記直径aと前記供給速度
vの比v/aが50より大きくなると、前記直径aに対
する前記供給速度vが速いために前記坩堝10内で前記
供給用蒸着材料16が溶融できなくなり、前記供給用蒸
着材料16の先端が坩堝外に飛び出す現象が頻繁に発生
する。又、前記直径aと前記供給速度vの比v/aは、
1.0以上であることが前記金属薄膜の膜厚変動を小さ
くするために優位である。
【0024】また更に、前記ウェブ13を前記坩堝10
に相対して移送すると共に前記供給用蒸着材料16を前
記坩堝10内に連続的に供給する際、前記ワイヤー材料
供給装置15による前記供給用蒸着材料16の送り出し
速度を適宜制御し、前記坩堝10内に溶融して存在する
蒸着材料12の溶融面レベルが常に低下するように前記
供給用蒸着材料16の供給量を調整しながら基板上に金
属薄膜を形成すると、前記ウェブ13の移送方向におけ
る膜厚の変動を小さくすることができる。
【0025】即ち、長尺の前記ウェブ13の連続成膜で
は、前記蒸着材料12の溶融面と前記坩堝10の坩堝最
上端との間の坩堝内壁面にかなりの量の堆積物が固着す
る。そして、前記蒸着材料12の蒸発によって溶湯面が
下降するよりも前記供給用蒸着材料16の連続供給によ
って溶湯面が上昇する割合が大きい場合には、前記堆積
物を再溶融することとなり、それに溶融熱が奪われて溶
融面温度が一時的に低下し、蒸発レートが減少する結果
となる。そこで、蒸発初期の段階から前記坩堝10内に
溶融して存在する蒸着材料12の溶融面レベルが常に低
下するように前記供給用蒸着材料16の供給量を調整す
れば、前記蒸着材料12の溶融面は前記堆積物に触れる
ことがなく、前記堆積物が溶融することによる熱的外乱
を受けることがない為、安定した材料供給及び蒸発が可
能となる。
【0026】従って、前記ワイヤー材料供給装置15に
よる前記供給用蒸着材料16の送り出し速度のみを適宜
制御して該供給用蒸着材料16の供給量を調整するとい
う簡単な制御方法や、前記供給用蒸着材料16の供給位
置が前記蒸着材料12の溶融面の加熱領域近傍となるよ
うにして連続供給するといった簡単な供給方法によっ
て、前記ウェブ13の移送方向及び該移送方向に対する
幅方向の膜厚分布を均一化すると共に、長時間の成膜に
おいて膜質を均一化させることができる安価な蒸着装置
および蒸着方法を提供することができた。
【0027】尚、上記実施態様においては、長尺状の供
給用蒸着材料としてワイヤー状の供給用蒸着材料16を
用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例
えば坩堝内に連続的に供給可能な長尺状のロッド材や板
材等からなる供給用蒸着材料を用いることもできる。ま
た、上記実施態様においては、加熱手段として電子ビー
ム7を用いたが、例えば抵抗加熱や高周波誘導加熱等の
他の加熱手段を用いることもできる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、蒸着材料を坩堝内で加
熱溶融させ、蒸発した蒸着粒子を基板に付着させて金属
薄膜を形成する蒸着装置において、前記基板を前記坩堝
に相対して移送する移送手段と、単位時間当たりの供給
量(cm3 /分)が前記坩堝内に溶融して存在する蒸着
材料の溶融量(cm3 )の5%以内となるように前記蒸
着材料と同種類の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩堝内
に連続的に供給する供給手段とを備え、前記供給用蒸着
材料を前記坩堝内に連続供給しながら基板上に金属薄膜
を形成する。
【0029】即ち、前記供給用蒸着材料の連続供給量の
多少によって前記坩堝内の溶湯の温度分布は変化し、溶
湯内容積が小さく熱容量が小さい場合には該溶湯の温度
変化が非常に激しくなり蒸発レートに悪影響を与え易く
なる。そこで、該溶湯の温度変化を小さくして蒸発レー
トの変動を抑えることにより、均一な膜厚分布をもった
金属薄膜を形成することができる。
【0030】又、本発明によれば、前記基板を前記坩堝
に相対して移送する移送手段と、前記蒸着材料と同種類
の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩堝内に連続的に供給
する供給手段と、前記基板の移送方向に対する幅方向に
わたって前記坩堝内の蒸着材料を加熱する加熱手段とを
備え、前記供給用蒸着材料の供給位置が前記基板の移送
方向に対する幅方向にわたる溶融面の加熱領域近傍とな
るように前記供給用蒸着材料を連続供給しながら基板上
に金属薄膜を形成する。
【0031】即ち、前記供給用蒸着材料の供給位置が、
前記加熱手段によって走査加熱された前記蒸着材料の溶
融面の加熱領域近傍となるようにして該供給用蒸着材料
を連続供給すると、前記溶融面の熱的ロスの影響が小さ
くなり、前記金属薄膜の膜厚分布を均一にできる。又、
本発明によれば、前記基板を前記坩堝に相対して移送す
ると共に、前記蒸着材料と同種類で直径a(cm)を有
する長尺状の供給用蒸着材料を供給速度v(cm/秒)
で前記坩堝内に連続的に供給する際、前記直径aと前記
供給速度vの比v/aが50より小さくなるように前記
供給用蒸着材料を連続供給しながら基板上に金属薄膜を
形成する。
【0032】即ち、前記直径aに対する前記供給速度v
が速すぎると、前記坩堝内で前記供給用蒸着材料が溶融
できなくなり、前記供給用蒸着材料の先端が坩堝外に飛
び出す現象が頻繁に発生してしまう。更に、前記直径a
と前記供給速度vの比v/aが1.0以上であると、金
属薄膜の膜厚変動が小さくなる。又、本発明によれば、
前記基板を前記坩堝に相対して移送すると共に前記蒸着
材料と同種類の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩堝内に
連続的に供給する際、前記坩堝内に溶融して存在する蒸
着材料の溶融面レベルが常に低下するように前記供給用
蒸着材料の供給量を調整しながら基板上に金属薄膜を形
成する。
【0033】即ち、蒸発初期の段階から前記坩堝内に溶
融して存在する蒸着材料の溶融面レベルが常に低下する
ように前記供給用蒸着材料の供給量を調整することによ
り、前記蒸着材料の溶融面は前記堆積物に触れることが
なく、前記堆積物が溶融することによる熱的外乱を受け
ることがない為、安定した材料供給及び蒸発が可能とな
る。
【0034】従って、前記ワイヤー材料供給装置による
前記供給用蒸着材料の送り出し速度のみを適宜制御して
該供給用蒸着材料の供給量を調整するという簡単な制御
方法や、前記供給用蒸着材料の供給位置が前記蒸着材料
の溶融面の加熱領域近傍となるようにして連続供給する
といった簡単な供給方法によって、前記基体の移送方向
及び該移送方向に対する幅方向の膜厚分布を均一化する
と共に、長時間の成膜において膜質を均一化させること
ができる安価な蒸着装置および蒸着方法を提供できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例によって本発明の効果
をより明確にすることができる。 (実施例1−1)上記実施態様における蒸着装置1を用
い、それぞれ異なる成膜速度(ウェブ搬送速度)及び異
なる溶融量の蒸着材料12において、ウェブ13(材
質:PETフィルム、幅:300mm、長さ:9000
m)上に連続で9000mにわたって膜厚1600Åの
酸化コバルト(CoO)膜の成膜を実施し、ウェブ13
の幅方向に中心位置で測定される膜厚の長手方向の変動
幅を比較した。
【0036】但し、各成膜速度はそれぞれ40,80,
120,200(m/分)とし、各成膜速度毎に材質が
マグネシア(MgO)から成る内容積の異なる4種類の
坩堝(容器長さL、ウェブ移送方向の容器幅W、深さ
D)10を用いることにより蒸着材料12の溶融量Bを
変えると共に、前記蒸着材料12にはコバルト(Co)
を用い、前記供給用蒸着材料16には直径0.45cm
のCoワイヤーを用いた。
【0037】また、前記冷却キャン4としては直径80
0mm、幅400mmのドラムを用いると共に、蒸着粒
子の蒸着領域を制限するための前記マスク8は、図1に
示したθmin 、θmax で定義される角度がそれぞれθ
min =45度、θmax =90度となるように設定した。
そして、それぞれ前記坩堝10内に初期充填のCoイン
ゴット入れ、前記真空排気装置3で前記真空容器2内を
5.0×10-5Torrまで排気した後、前記電子ビー
ム7を用いてCoインゴットを溶解する。完全に前記蒸
着材料12を溶解した後、前記ウェブ13を搬送し、図
示しないシャッターを開け、反応ガス吹き出し部からC
2 ガスを導入し基板表面に1600ÅのCoO膜を形
成した。その後、真空度及び前記坩堝10とその周辺が
熱的平衡状態となって成膜状態が安定し、蒸発レートが
一定になった段階で前記ワイヤー材料供給装置15によ
り前記供給用蒸着材料16を坩堝10内に連続供給す
る。
【0038】前記電子ビーム7のスキャン方法は正弦波
とし、前記蒸着材料12の溶湯面上のその振幅巾は前記
ウェブ13のウェブ幅に対して80%になるように設定
し、前記ウェブ13の幅方向の中心と前記電子ビーム7
の走査振幅の中心とが一致するように設定した。前記電
子ビーム7の投入電力は前記供給用蒸着材料16を供給
する直前の状態、つまり真空度及び前記坩堝10とその
周辺が熱的平衡状態に達し蒸発レートが一定になった時
の投入電力を基準として、それにそれぞれの成膜速度に
応じた前記供給用蒸着材料16の供給量の溶解熱に見合
った熱量を加えた値に設定し、成膜開始から終了まで一
定とした。
【0039】また、前記ワイヤー材料供給装置15によ
り供給する前記供給用蒸着材料16の前記坩堝10内へ
の供給速度は各成膜速度に応じて一定量とし、前記供給
用蒸着材料16の前記坩堝10内への供給位置は前記電
子ビーム7の走査振幅の中心線の位置に設定した。尚、
前記ウェブ13の幅方向における膜厚分布は前記電子ビ
ーム7のスキャン位置の設定を反映して前記ウェブ13
の幅方向の中心線を中心として左右対称な分布となるた
め、前記ウェブ13の幅方向の中心位置で測定される膜
厚は、前記供給用蒸着材料16の連続供給に対する膜厚
の長手方向の変動の影響を直接反映したものとなる。前
記ウェブ13の幅方向の中心位置の膜厚の測定は、その
測定位置に設置された光学濃度計を用いて連続で計測
し、記録した。膜厚変動幅は、前記供給用蒸着材料16
を供給した直後の光学濃度を基準として成膜終了までの
測定値の変動幅(±%)で評価した。膜厚の変動幅は最
大膜厚Dmax と最小膜厚Dmin を用いて、 膜厚変動=±((Dmax −Dmin )/(Dmax +Dmin
))×100(%) で定義した。その結果を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】(実施例1−2)蒸着材料12にCo80
20を用いると共に供給用蒸着材料16に直径0.3c
mのCo80Ni20ワイヤーを用い、前記実施例1−1と
同様の条件において成膜速度をそれぞれ40,80(m
/分)としてCo80Ni20膜を成膜し、ウェブ13の幅
方向に中心位置で測定される膜厚の長手方向の変動幅を
比較した。その結果を下記表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】上記表1及び表2から明らかな様に、蒸着
膜の成膜速度(ウェブ搬送速度)の違いや、前記坩堝1
0の内容積(蒸着材料12の溶融量B)の違いによら
ず、前記供給用蒸着材料16を連続供給する時の単位時
間当たりの供給用蒸着材料16の平均供給量A(cm3
/分)が、前記坩堝10内にすでに溶融して存在する前
記蒸着材料12の溶融量B(前記坩堝10の内容積(c
3 ))の5%以内、更に好ましくは3%以内となるよ
うにすれば、膜厚の変動幅が小さくなり、良好な蒸着膜
を形成することができる。これは、前記供給用蒸着材料
16の連続供給量の多少によって前記坩堝10内の温度
分布が変化し、前記蒸着材料12の溶融量Bが小さく熱
容量が小さい場合は湯温の温度変化が非常に激しくなり
蒸発レートに大きく影響するものと考えられる。また、
前記MgO製の坩堝に代えてアルミナ(AlO)、ジル
コニア(ZrO)製の坩堝を用いて成膜を行った場合も
同様の結果であった。
【0044】(実施例2)前記実施例1−1と同様の蒸
着装置1および蒸着方法において、電子ビーム7のスキ
ャン方法は正弦波及び2点蒸発点とし、蒸着材料12の
溶湯面上のその振幅巾は坩堝10の長辺方向の中心を基
準として±120mmに設定し、ウェブ13の幅方向の
中心と前記坩堝10の長辺方向の中心が一致するように
設定した。また、ウェブ搬送速度は80m/分、O2
ス導入量は1450cc/分、供給用蒸着材料16である
Coワイヤーの直径は0.45cm,0.55cm、供
給用蒸着材料16の供給速度はそれぞれそれぞれ178
cm/分、119cm/分とし、前記坩堝10のサイズ
は供給量との関係で膜厚変動の影響が出ない様に配慮し
て十分大きくし、容器長さL=47cm、ウェブ移送方
向の容器幅W=10cm、深さD=6cm、内容積=2
820cm3 とした。
【0045】膜厚分布の測定は前記実施例1−1と同様
の光学濃度計を用い、これをウェブ幅方向に掃引するこ
とによってウェブ幅方向の膜厚分布を測定した。前記坩
堝10内における蒸着材料12の溶湯面への前記供給用
蒸着材料16の供給位置は、図6に示す様に坩堝10内
の溶湯面を10領域に分割したそれぞれの位置とし、各
領域に前記供給用蒸着材料16を供給した場合のウェブ
幅方向の膜厚分布を調べた。ここで、分割領域32,3
3,34および分割領域37,38,39は2点蒸発点
41,42の間を3等分したものであり、分割領域33
及び分割領域38が2点蒸発点41,42の中心領域に
相当する。つまり、この領域が前記坩堝10内の溶湯面
のウェブ幅方向に沿って形成された温度分布の中心部分
に相当する。分割領域31,35及び分割領域36,4
0は前記2点蒸発点41,42の外側に位置する。前記
分割領域31,32,33,34,35のグループは反
冷却キャン側(図6中、下方)、前記分割領域36,3
7,38,39,40のグループは冷却キャン側(図6
中、下方)である。ウェブ幅方向の膜厚分布は各分割領
域に前記供給用蒸着材料16を供給した後、500mの
成膜を行って溶湯内温度が定常状態に達したことを確認
し、さらにその後の100mの成膜長を10分割してそ
の平均値をデータとした。各データにおける膜厚分布は
ウェブ13の幅方向90%の範囲における最大膜厚Dma
x と最小膜厚Dmin を用いて、 膜厚分布=±((Dmax −Dmin )/(Dmax +Dmin
))×100(%) で定義した。
【0046】前記供給用蒸着材料16の供給位置を前記
分割領域36,37,38,39,40に設定した場合
は、供給位置が冷却キャン側であるため供給用蒸着材料
16が蒸発を遮ることにより、膜厚が減少する影響が大
きかった。前記供給用蒸着材料16の供給位置が前記分
割領域31,32,33,34,35のグループについ
て膜厚分布を調べた結果を下記表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】上記表3より明らかなように、特に前記電
子ビーム7の照射領域の外側に当たる前記分割領域3
1,35では前記供給用蒸着材料16の供給による溶融
面の熱的ロスの影響で、該供給用蒸着材料16が供給さ
れた前記溶融面近傍の蒸発レートが大きく減少し、金属
薄膜の膜厚分布が悪くなる。前記電子ビーム7の照射領
域の内側では前記熱的ロスの影響は小さくなるが、ウェ
ブ幅方向に沿って形成された温度分布の中心部分に前記
供給用蒸着材料16を供給する方法が最も望ましく、金
属薄膜の膜厚分布を均一にできる。尚、前記電子ビーム
7のスキャン方法(本実施例の場合、2点蒸発源と正弦
波)による膜厚分布の値の絶対値には差異があるが、前
記供給用蒸着材料16の供給位置と膜厚分布の傾向は一
致している。また、前記供給用蒸着材料16の直径につ
いては、この実施例の範囲では差異がなかった。
【0049】(実施例3)前記実施例1−1と同様の蒸
着装置1および蒸着方法において、供給用蒸着材料16
であるCoワイヤーの直径aは0.2cm,0.3c
m,0.4cm,0.6cm,1.0cmまでの5種類
を用意し、前記供給用蒸着材料16の坩堝10への供給
位置は電子ビーム7の走査振幅の中心線の位置になるよ
うに設定した(前記実施例2における分割領域33の位
置)。前記電子ビーム7の坩堝長辺方向(ウェブ13の
幅方向と等しい)のスキャン方法は正弦波とし、ウェブ
搬送速度は40m/分,80m/分,120m/分,1
60m/分,200m/分と成膜速度を変化させ、それ
に応じて前記電子ビーム7の投入電力を設定し、同一膜
厚のCoO膜をウェブ13上に形成した。この時、前記
ワイヤー材料供給装置15によって供給する前記供給用
蒸着材料16の供給速度vは前記各成膜速度に応じて変
更した。前記坩堝10のサイズは供給量との関係で膜厚
変動の影響が出ない様に配慮して十分大きくし、容器長
さL=47cm、ウェブ移送方向の容器幅W=10c
m、深さD=6cm、内容積=2820cm3 とした。
そして、連続で9000mの成膜を実施し、前記実施例
1−1と同様の方法で前記供給用蒸着材料16の溶融の
安定性とウェブ幅方向の中心位置で測定される膜厚の長
手方向の変動幅を比較した。その結果を下記表4に示
す。
【0050】
【表4】
【0051】上記表4中の「*供給不可」というのは、
前記供給用蒸着材料16の供給速度vが速いため坩堝1
0内で該供給用蒸着材料16が溶融できなくなり、前記
供給用蒸着材料16の先端が坩堝外に飛び出す現象が頻
繁に発生することを意味する。従って、上記表4より明
らかなように、前記供給用蒸着材料16の直径aと前記
供給速度vの比v/aが50より小さくなるように前記
供給用蒸着材料16を連続供給することが必要であり、
更に、前記比v/aは1.0以上であることが膜厚変動
を小さくするうえで優位である。
【0052】(実施例4)前記実施例1−1と同様の蒸
着装置1および蒸着方法において、ウェブ搬送速度は8
0m/分、O2 ガス導入量は1450cc/分、供給用蒸
着材料16であるCoワイヤーの直径はそれぞれ0.4
5cm,0.55cm、前記供給用蒸着材料16の平均
供給速度はそれぞれ178cm/分,119cm/分と
し、前記坩堝10のサイズは供給量との関係で膜厚変動
の影響が出ない様に配慮して十分大きくし、容器長さL
=47cm、ウェブ移送方向の容器幅W=10cm、深
さD=6cm、内容積=2820cm3 とした。更に、
前記供給用蒸着材料16の坩堝10への供給位置は電子
ビーム7の走査振幅の中心線の位置になるように設定し
た(前記実施例2における分割領域33の位置)。前記
ワイヤー材料供給装置15によって供給する前記供給用
蒸着材料16の供給速度は、前記坩堝10内で溶融して
いる蒸着材料12の重量を測定するための重量測定器1
1の測定結果を基に前記前記供給用蒸着材料16の平均
供給速度を基準として可変し、その可変範囲をそれぞれ
±10%,±5%,±2%,−2%,−5%に設定して
前記実施例1−1と同様に連続で9000mの成膜を実
施し、ウェブ幅方向の中心位置で測定される膜厚の長手
方向の変動幅を比較した。その結果を下記表5に示す。
【0053】尚、前記可変範囲が±であるというのは前
記供給用蒸着材料16の供給量と蒸発量の時間的な遅れ
が生じるために坩堝10内の溶湯面レベルが時間的に上
下し平均して一定になることを意味し、前記可変範囲の
絶対値が大きいというのは前記供給用蒸着材料16の供
給量の可変量が大きく前記坩堝10内の溶湯面レベルの
変動幅も大きいことを意味する。一方、前記可変範囲が
−(マイナス)であるというのは蒸発初期の段階から前
記坩堝10内に溶融して存在する蒸着材料12の溶融面
レベルが常に低下するように前記供給用蒸着材料16の
供給量を調整することを意味し、その絶対値は溶湯面レ
ベルの低下させる度合いを示す。
【0054】
【表5】
【0055】上記表5より明らかなように、蒸発初期の
段階から坩堝内の溶湯面レベルが常に低下する状態にな
るように供給用蒸着材料の供給量を調整する方が膜厚の
長手方向の変動幅を小さくすることが可能である。この
理由は、長尺の前記ウェブ13の連続成膜では、前記蒸
着材料12の溶融面と前記坩堝10の坩堝最上端との間
の坩堝内壁面にかなりの量の堆積物が固着する。そし
て、前記蒸着材料12の蒸発によって溶湯面が下降する
よりも前記供給用蒸着材料16の連続供給によって溶湯
面が上昇する割合が大きい場合には、前記堆積物を再溶
融することとなり、それに溶融熱が奪われて溶融面温度
が一時的に低下し、蒸発レートが減少する結果となる。
そこで、蒸発初期の段階から前記坩堝10内に溶融して
存在する蒸着材料12の溶融面レベルが常に低下するよ
うに前記供給用蒸着材料16の供給量を調整すれば、前
記蒸着材料12の溶融面は前記堆積物に触れることがな
く、前記堆積物が溶融することによる熱的外乱を受ける
ことがない為、安定した材料供給及び蒸発が可能とな
る。尚、前記供給用蒸着材料16の直径については本実
施例の範囲では差異がなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に基づく蒸着装置の概要を
示す概略図である。
【図2】図1に示したワイヤー材料供給装置の概要を示
す概略図である。
【図3】図2に示したワイヤー材料供給装置における矯
正装置の要部拡大正面図である。
【図4】図3に示した固定ロールの側面図である。
【図5】本発明の実施例に用いた坩堝の全体斜視図であ
る。
【図6】坩堝内の溶湯面における分割領域を示す坩堝の
上面図である。
【符号の説明】
1 蒸着装置 2 真空容器 3 真空排気装置 4 冷却キャン 5 巻取りロール 6 送り出しロール 7 電子ビーム 8 マスク 9 蒸発源 10 坩堝 11 重量測定器 12 蒸着材料 13 ウェブ 14 反応ガス吹き出し部 15 ワイヤー材料供給装置 16 供給用蒸着材料

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着材料を坩堝内で加熱溶融させ、蒸発
    した蒸着粒子を基板に付着させて金属薄膜を形成する蒸
    着装置において、 前記基板を前記坩堝に相対して移送する移送手段と、単
    位時間当たりの供給量(cm3 /分)が前記坩堝内に溶
    融して存在する蒸着材料の溶融量(cm3 )の5%以内
    となるように前記蒸着材料と同種類の長尺状の供給用蒸
    着材料を前記坩堝内に連続的に供給する供給手段とを備
    え、前記供給用蒸着材料を前記坩堝内に連続供給しなが
    ら基板上に金属薄膜を形成することを特徴とする蒸着装
    置。
  2. 【請求項2】 蒸着材料を坩堝内で加熱溶融させ、蒸発
    した蒸着粒子を基板に付着させて金属薄膜を形成する蒸
    着装置において、 前記基板を前記坩堝に相対して移送する移送手段と、前
    記蒸着材料と同種類の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩
    堝内に連続的に供給する供給手段と、前記基板の移送方
    向に対する幅方向にわたって前記坩堝内の蒸着材料を加
    熱する加熱手段とを備え、前記供給用蒸着材料の供給位
    置が前記基板の移送方向に対する幅方向にわたる溶融面
    の加熱領域近傍となるように前記供給用蒸着材料を連続
    供給しながら基板上に金属薄膜を形成することを特徴と
    する蒸着装置。
  3. 【請求項3】 蒸着材料を坩堝内で加熱溶融し、溶融蒸
    発した蒸着粒子を基板に付着させて金属薄膜を形成する
    蒸着方法において、 前記基板を前記坩堝に相対して移送すると共に前記蒸着
    材料と同種類の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩堝内に
    連続的に供給し、前記供給用蒸着材料を供給する際の単
    位時間当たりの供給量(cm3 /分)が前記坩堝内に溶
    融して存在する蒸着材料の溶融量(cm3 )の5%以内
    となるように前記供給用蒸着材料を連続供給しながら基
    板上に金属薄膜を形成することを特徴とする蒸着方法。
  4. 【請求項4】 蒸着材料を坩堝内で加熱溶融し、溶融蒸
    発した蒸着粒子を基板に付着させて金属薄膜を形成する
    蒸着方法において、 前記基板を前記坩堝に相対して移送すると共に、前記蒸
    着材料と同種類で直径a(cm)を有する長尺状の供給
    用蒸着材料を供給速度v(cm/秒)で前記坩堝内に連
    続的に供給する際、前記直径aと前記供給速度vの比v
    /aが50より小さくなるように前記供給用蒸着材料を
    連続供給しながら基板上に金属薄膜を形成することを特
    徴とする蒸着方法。
  5. 【請求項5】 蒸着材料を坩堝内で加熱溶融し、溶融蒸
    発した蒸着粒子を基板に付着させて金属薄膜を形成する
    蒸着方法において、 前記基板を前記坩堝に相対して移送すると共に前記蒸着
    材料と同種類の長尺状の供給用蒸着材料を前記坩堝内に
    連続的に供給する際、前記坩堝内に溶融して存在する蒸
    着材料の溶融面レベルが常に低下するように前記供給用
    蒸着材料の供給量を調整しながら基板上に金属薄膜を形
    成することを特徴とする蒸着方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2270253A1 (en) * 2009-07-03 2011-01-05 Applied Materials, Inc. Bending fixture for homogenous and smooth operation of an evaporation source
JP2013204139A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Nec Corp 真空蒸着装置および真空蒸着方法
KR20180048975A (ko) 2015-10-06 2018-05-10 가부시키가이샤 아루박 재료 공급 장치 및 증착 장치
US10184169B2 (en) 2012-10-19 2019-01-22 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Method for supplying deposition material, method for producing substrate, control device and deposition device
CN111850504A (zh) * 2019-04-30 2020-10-30 领凡新能源科技(北京)有限公司 一种工艺腔室

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