JP2019178370A - 蒸着装置 - Google Patents

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和生 福田
義郎 室伏
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Abstract

【課題】長尺フィルムの蒸着において、蒸着装置内の特定の箇所に蒸着物が過度に付着することによる蒸着物の落下や、蒸着物のせり出しによる蒸着膜の膜厚低下を防ぎ、高い生産性で安定したガスバリア性フィルムを得ることができる蒸着装置の提供。【解決手段】反応性蒸着を行うロール・ツー・ロール方式の蒸着装置であって、金属を蒸発させる蒸発源21と、それに対向するフィルム基材30を搬送するための搬送機構22と、蒸発源と搬送機能の間に配設された固定防着板23と、蒸発源から搬送機構の方向に向う金属蒸気流26を横切る方向にプラズマ27を引き出すためのプラズマ源24と、該金属蒸気流を挟んで該プラズマ源に対向する位置に配設された前記固定防着板を防着するための可動式防着板25とを具備し、可動式防着板の端部に堆積した蒸着物の堆積量に応じて、可動式防着板を金属蒸気流から退行させる機構を有することを特徴とする蒸着装置。【選択図】図2

Description

本発明は、蒸着装置に関する。さらに詳細には、長尺のフィルム基材に連続的に反応性蒸着を行うロール・ツー・ロール方式の蒸着装置であって、高い成膜速度で長時間、生産性良く蒸着することができる蒸着装置に関する。
フィルム基材に真空蒸着により、金属や金属酸化物薄膜を形成したガスバリア性フィルムが包装材料として使用されている。
このガスバリア性フィルムを積層した食品用包装材料は、ガスバリア性、耐水性、耐湿性に優れ、ボイル耐性、レトルト耐性、環境対応性にも優れた包装材料として好適に使用されている。なかでも金属酸化物薄膜を形成したものは、透明性により内容物が視認できる上、電子レンジ適性による利便性から広範に使用されている。
この様な透明ガスバリア性フィルムの製造法は反応性蒸着法が主流である。真空チャンバー中で金属を溶融して蒸発させるとともに、真空雰囲気に酸素ガスを流してフィルム基材上に金属酸化物を合成する方法である。金属アルミニウムを蒸着しながら酸素ガスを反応させて作成する酸化アルミニウムが透明ガスバリア性フィルムの材料として多く使われている。
ところで、近年の反応性蒸着技術は、充分なガスバリア性能を維持しつつ光線透過率を上げることを指向しており、その方法の一つとして、蒸着プロセスでのプラズマ活性化により酸化度を上げて金属酸化物の光線透過率を上げる方法が開発されている。その中でも特許文献1に開示されるようなホローカソード方式のイオン源によりイオン化した希ガスを引き出して、反応性ガスである酸素や蒸発した金属蒸気を高度にプラズマ化し、フィルム表面での薄膜成長のための反応プロセスを促進する方法は、高密度かつ高酸化度の蒸着膜を形成することができ、これまでになかった透明性とガスバリア性能を同時に満たす方法として注目されている。
このような蒸着工程においては、蒸着中にフィルム以外にも蒸着物が飛来し付着する。このため、走行するフィルム基材の蒸着領域以外をマスクし、不要な蒸着物を受ける防着板が設置される。しかし、ガスバリア性能を向上させるため膜厚を上げるとともに、生産性を上げるために1回のバッチあたり蒸着できるフィルム基材を長くしようとすると、防着板に堆積する蒸着物が大量になり、蒸着物が落下したり、蒸着物がせり出してきて蒸発蒸気を妨げたりする問題が顕在化してきた。この現象は前述のプラズマによる活性化を伴う反応性蒸着において特に顕著となる。
こういった防着板に大量に付着した蒸着物が落下することを防ぐために、特許文献2に示すような防着板の材質を工夫したり、特許文献3に示すような駆動方式の防着板により、防着板の特定の箇所に一定量以上の蒸着物が堆積しないようにしたりする工夫がされているが、上述の様な大量の蒸着物が堆積する蒸着工程に適用することは困難であった。
特開2016−203427号公報 特開2005−133133号公報 特開平7−65369号公報
本発明の蒸着装置は、このような従来技術では対処できなかった問題を解決しようとするものである。長尺フィルムの蒸着において、蒸着装置内の特定の箇所に蒸着物が過度に付着することによる蒸着物の落下や、蒸着物の防着板からのせり出しによる蒸着膜の膜厚低下を防ぎ、高い生産性で安定したガスバリア性フィルムを得ることができる蒸着装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(1)長尺のフィルム基材に連続的に反応性蒸着を行うロール・ツー・ロール方式の蒸着装置であって、金属を蒸発させる蒸発源と、それに対向するフィルム基材を搬送するための搬送機構と、蒸発源と搬送機能の間に配設された固定防着板と、蒸発源から搬送機構の方向に向う金属蒸気流を横切る方向にプラズマを引き出すためのプラズマ源と、該金属蒸気流を挟んで該プラズマ源に対向する位置に配設された前記固定防着板を防着するための可動式防着板とを具備し、可動式防着板の端部に堆積した蒸着物の堆積量に応じて、可動式防着板を金属蒸気流から退行させる機構を有することを特徴とする蒸着装置。
(2)前記可動式防着板のプラズマ源に対向する端面の法線方向と金属蒸気流が向う方向の成す角度が鋭角であることを特徴とする(1)に記載の蒸着装置。
(3)前記可動式防着板の端面に、厚さ方向の熱貫流率が7500W/mK以下である断熱板を装着していることを特徴とする(1)または(2)に記載の蒸着装置。
(4)前記断熱板が炭素繊維強化炭素複合材料であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の蒸着装置。
(5)前記可動式防着板が、蒸発源の昇温時において前記搬送機構および基材フィルムを蒸発源からの金属蒸気流や熱から遮蔽するシャッターを兼ねることを特徴とする(1)〜(4)何れかに一つに記載の蒸着装置。
本発明の蒸着装置により、長尺フィルムの蒸着において、蒸着装置内の特定の箇所に蒸着物が過度に付着することによる蒸着物の落下や、蒸着物の防着板からのせり出しによる蒸着膜の膜厚低下を防ぎ、高い生産性で安定したガスバリア性フィルムを得ることができる。
本発明の蒸着装置の一例を示す。 本発明の蒸着装置の蒸発源周辺の構成を示す。 固定防着板のみの蒸着装置による蒸着物の付着状態を示す。 本発明の蒸着装置による可動防着板部の蒸着物の付着状態を示す。 本発明の蒸着装置にて可動防着板が退行しすぎたために、可動防着板の上の固定防着板に蒸着物が大量に付着した例を示す。 本発明の蒸着装置において、可動防着板がシャッター兼ねる場合の動作を示す。
本発明は、長尺のフィルム基材に連続的に反応性蒸着を行うロール・ツー・ロール方式の蒸着装置であって、金属を蒸発させる蒸発源と、それに対向するフィルム基材を搬送するための搬送機構と、蒸発源と搬送機能の間に配設された固定防着板と、蒸発源から搬送機構の方向に向う金属蒸気流を横切る方向にプラズマを引き出すためのプラズマ源と、該金属蒸気流を挟んで該プラズマ源に対向する位置に配設された前記固定防着板を防着するための可動式防着板とを具備し、可動式防着板の端部に堆積した蒸着物の堆積量に応じて、可動式防着板を金属蒸気流から退行させる機構を有することを特徴とする蒸着装置である。
図1に本発明の蒸着装置を、ボートによる抵抗加熱方式を例として示す。真空チャンバー11は真空ポンプ12によって排気され、一定レベルの真空度を保つ。フィルムロールが巻き出しロール14にセットされ、巻き出された長尺のフィルム基材15は搬送機構である冷却ドラム2に巻かれて蒸発源であるボート1の上を通過し、その際にボートより蒸発した金属がガス配管10から供給された酸素などのガスと反応し、反応性蒸着により金属化合物がフィルム基材上に堆積する。金属と反応性ガスとの反応を促進するためにプラズマ源4から金属蒸気流6を横切る方向にプラズマ7を引き出して、反応性ガスと蒸発金属にエネルギーを与える。その後、フィルム基材は巻き取りロール13に巻き取られる。なお、スペースに余裕があれば、蒸発源が昇温され安定するまで搬送機構および基材フィルムを蒸発源からの金属蒸気流や熱から遮蔽するシャッター9を設け、シャッターを閉じた状態で低速でフィルム基材が搬送され、蒸発源の条件が安定した後にシャッターを開けて、定常の高速での蒸着状態に移行する。
本発明の蒸着装置においては、走行するフィルム基材の蒸着領域以外をマスクし不要な蒸着物を受けるための固定防着板3に加えて、固定防着板3を防着するため、上記プラズマ源4に対向する位置に可動式防着板5を設けることが特徴である。
固定防着板3を設ける意味は以下のとおりである。すなわち、蒸発源の溶融金属面の中心からの法線方向からの角度θに対しては、cosθ(nは1〜2)に比例した蒸着量となり、法線方向から外れる方向にはより弱い金属蒸気流が飛来する。反応性蒸着においては、該法線方向の金属蒸気流の強度に合わせた反応性ガスの供給量により生成物の組成を決定する条件が設定されているため、法線方向から大きく外れた方向に形成された蒸着膜は、反応性ガスが相対的に多く取り込まれた結果、ガスバリア性能を阻害する多孔質な生成物となる傾向にあり、蒸着されるべきフィルム基材の面を規定するための防着板3がマスクとして配設される。
本発明における可動防着板5は、蒸発源からの金属蒸気流6を挟んで、プラズマ源4に対向する位置に設置される。蒸発源からの金属蒸気流を挟んで、プラズマ源に対向する位置に固定の構造物、例えば固定防着板を設けた場合は、図3に示すようにひさしの様な形状の蒸着物36が急速に成長し、金属蒸気流を遮ることで蒸着速度が大きく低下することが問題であった。このように、ひさし状の蒸着物が成長する現象は、対向するプラズマ源からのプラズマが照射されることで照射される方向に向って選択的に蒸着物が成長するものと考えられ、指向性を持ったプラズマ源を使用する場合に特に顕著な現象である。上記位置に可動防着板を設置することで、可動防着板の端面に堆積した蒸着物の堆積量に応じて、可動防着板を退行させることができる。
図2には蒸発源付近の拡大図を示す。蒸着を開始した初期には可動防着板25の先端は、固定防着板23の下面に蒸着物が飛来しないような位置にセットされる。すなわち、蒸着源の反対側の端と固定防着板23の下面先端とを結ぶ線上の位置とする。この状態を図2に点線にて示す。
蒸着が始まって可動防着板端面に蒸着物が堆積し始めると、付着した堆積分だけ、可動式防着板を退行させる。その状態を図4に示す。図2の初期位置から蒸着中に随時連続的に可動防着板を退行する向きに移動させる。退行の程度としては、蒸着物の先端が初期の可動式防着板の先端とほぼ同じ位置に留まるように制御することが好ましい。
具体的には、覗き窓を通して蒸着中の堆積物の成長を観察して最適な動きを決定し、プログラムによって設定しても良い。例えば60,000mの長尺フィルムの加工例では、最初の10,000mまでは退行を行わず、10,000mから60,000mまでは距離に比例して退行させる様な制御が良好である。
可動防着板の移動距離が大きい場合は、蒸着物の先端が可動防着板の初期位置よりも大きく後退することになり、図5に示すように可動防着板上の固定防着板下面へ蒸着物が付着するため、適切な退行速度を設定することが重要である。したがって、蒸着物の先端の位置は、可動防着板先端の初期位置から後方に20mm以下に調整することが望ましい。
退行の仕方は、連続的であるのが理想的であるが、制御を簡単にするために不連続な段階的移動であっても良い。例えば、2000mに1回、数mm退行させても良い。
図2に示すように、可動防着板25の先端の端面の法線方向31と金属蒸気流26の向う方向32とが成す角度(以下、端面傾斜角度と略称する)は、鋭角、すなわち90°未満にすることが好ましい。端面傾斜角度の範囲としては、75゜から45゜がさらに好ましい。これによって、可動防着板端面の上部が蒸発物の飛散する経路から後退し、cosθ則に従って蒸着物の付着が低減する。可動防着板の厚さT、端面傾斜角度Φとした場合、端面上部の角は、T×tan(90゜−Φ)だけ後退する。厚さ35mmの可動防着板において端面傾斜角度を60゜とした場合17.8mmに過ぎないが、cosθ則によれば、θが30゜を超えた領域では角度による変化が極めて大きいので、有用な役割を果たす。
可動防着板の端面傾斜角度は小さいほど堆積は減少するが、一定角度以下では効果は同じである。また、角度が小さすぎると可動防着板先端付近の板としての厚さが薄くなり、機械的強度が低下する、可動防着板内部の冷却水の通路が設けにくくなるといった支障が出るので、端面傾斜角度は45゜以上が望ましい。
さらに、可動防着板端面の表面を高温に保つことによって、堆積した蒸着物の密度が上がるため体積が小さくなる。その結果、蒸着物の堆積量を低くすることができる。また、硬い塊となるため蒸着中に落下してトラブルを発生させることも防止できる。
防着板として、一般にはステンレスがよく使われる。ステンレスは、金属のなかでは熱伝導率は低い部類であるものの、本発明の可動防着板の目的にはなお大きい傾向にある。また、水冷もされているので端面の表面のみを高温に保ちにくい。そこで、熱伝導率の低い板を先端部に装着する。この板の垂直な方向の熱伝導率は10W/mK以下であることが望ましい。
可動防着板端面の材料としては、炭素繊維強化炭素複合材料(Carbon Fiber Reinforced Carbon Composite、CFC)が適している。炭素繊維で補強された炭素複合材料であり、断熱性と耐熱性、強度を兼ね備える。炭素のみの組成であることから高温での分解が起こりにくく、熱膨張率が低く寸法が安定しており、真空中で加熱されてもガス発生が少ないといった長所を持つ。
CFCの熱伝導率は、含まれる炭素繊維の方向に大きく、垂直な方向では小さい。板状の材料では、炭素繊維は概ね平面内に向いている。可動防着板に設置する場合には、先端部の平面に取り付けるため、CFC内での熱伝導は厚さ方向となるので、炭素繊維に対して垂直な方向の熱伝導率が可動防着板への熱の流入に寄与する。
したがって、本発明の目的のためには、炭素繊維に対して垂直な方向の熱伝導率を指標とすることができ、その値が低いほど好ましい。1〜17W/mK程度のものが市販されており、この中から適切なものを選ぶことができる。
可動防着板端面の厚さに関しては、薄すぎれば取り扱いで破損しやすく、熱伝導は大きくなり、逆に厚ければ熱伝導が小さくなるが、一定厚さ以上ではその効果は変わらず、価格上昇、入手性などの支障が出るため、1mmから10mm程度が望ましい。使用しやすいのは1.5mmから5mm程度である。
熱伝導率が低いほど、CFCが厚いほど、熱伝導は低くなる。熱伝導は可動防着板の主な材料であるステンレスよりは小さいことが望ましい。熱伝導率÷厚さによって求められる垂直な方向の熱貫流率が、7500W/mK以下となることが好ましい。2500W/mK以下であればなお効果的である。
熱貫流率は少ないほど熱を通しにくく望ましい。使用可能な材料として、熱伝導率4W/mK、厚さ10mmを用いれば400W/mKとなる。入手・装着性なども考慮した使いやすい材料の組み合わせとしては、5W/mKの熱伝導率に対して2mmの厚さを用い、2500W/mKとなる。
断熱性を増すために、さらに熱伝導性の低いフェルト状の炭素繊維などを、上記CFC製の断熱板と可動防着板の間に挟んでもよい。上記CFC製の断熱板の保持方法を工夫して、わずかな隙間を離して可動防着板に装着してもよい。
本発明の蒸着装置においては、スペースに余裕がある場合は、本発明における可動防着板の上下いずれかにシャッターを設けて、シャッターを閉じた状態で蒸着の条件が安定するまで条件設定を行うことができるが、本発明の可動防着板をシャッターに兼ねたものとすることが、省スペースという点から好ましい。図6に示すように、蒸着準備段階では蒸発源と搬送機構間を完全に遮る位置まで進行させてシャッターとして閉じ、定常状態でスタートする際には本発明の可動防着板の初期位置に速やかに退行させて、蒸着中には本発明の退行動作に移行させることが好ましい。
こうした方法によって製造したロールフィルムは、可動防着板の先端端面への蒸着物の堆積が抑制されて、高い透明性を維持しつつ長尺フィルムのロールフィルムの全長にわたって蒸着膜厚が低減せず、均一なガスバリア性能を有する。
本発明の蒸着装置により、高品質の耐湿熱性の透明ガスバリアフィルムが高い生産性で製造できる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお実施例および比較例中の物性は次のようにして測定した。
(酸化アルミニウムの膜厚の変化率)
蛍光X線式膜厚計(島津エネルギー分散型蛍光X線分析装置Rayny EDX−700)により、照射したX線に対してアルミニウムから発生する蛍光X線のカウント値を、既知の膜厚の試料のカウント値を用い比例計算して得た。フィルム幅方向5点の平均値を計算した。
上記既知の酸化アルミニウムの膜厚は、透明蒸着したフィルム試料をFIB法によって超薄切片にして、透過型電子顕微鏡(日立製H−9000UHR)にて加速電圧300kVの条件で断面観察し、その画像から読み取った。
蒸着初期の酸化アルミニウムの膜厚に対する蒸着最終の酸化アルミニウムの膜厚の変化率が20%以下を好適な範囲とした。
(実施例1)
フィルム巻き出し部には、フィルム基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラー」(登録商標)P60、厚さ12μm、幅2000mm)、長さ60,000mをセットし、到達圧力1×10−2Paまで真空引きした。
蒸発源として、抵抗加熱式の窒化ホウ素を主成分とするセラミック製ボートを用い、ボート上にアルミニウムワイヤーを送って蒸発させ、真空雰囲気にガスノズルより酸素ガスを供給し反応性蒸着とした。フィルム速度を8m/秒で走行させ、アルミニウムワイヤーの供給速度を酸化アルミニウム膜の膜厚が初期設定値15nmとなるようにしてスタートした。このアルミニウムワイヤーの供給速度は蒸着の間一定とした。
蒸発源の斜め上にはプラズマ源があり、ホローカソード方式のプラズマ源にアルゴンガスを流し放電させてプラズマを励起した。プラズマ源からプラズマをボートの直上に引き出し、フィルム面に向かうアルミニウム蒸気および酸素ガスを活性化した。蒸着中のフィルムの透過率を高い精度でモニターし、フィルム単独の透過率100%に対して、蒸着後の透過率が99.5%となるような透過率一定制御を酸素の供給量に対して行った。
可動防着板の端面傾斜角度は60゜とした。厚さ35mmの可動防着板に対して、幅35mm、長さ3600mm、2mm厚のCFCの断熱板をM5mmのねじを30cm毎に配置して固定した。CFCの熱伝導率は5W/mKであり、熱貫流率は2500W/mKであった。可動防着板を初期位置は図2に示すように可動防着板上の防着板やワイヤー供給部を塞ぎ蒸着物が付着しない位置に設置した。可動防着板は蒸着が始まって10,000mを加工した時点から10,000m当たり6mmの一定速度で開くように制御した。開始時から蒸着終了時にかけての移動長は30mmとした。
製造されたフィルムの酸化アルミニウムの膜厚を測定して、最初15.3nm、最後は14.3nm、変化率は6.5%であった。
可動防着板先端に付着した蒸着物の堆積量は34mmであって、30mmの移動長を差し引いて可動防着板先端の初期位置に対して4mm突出していた。可動防着板上部の防着板への堆積物は殆ど認められず、良好な防着効果が認められた。
これらの結果を以下表1にまとめた。
(実施例2)
実施例1において、10,000m加工後からの可動防着板の移動長を10,000m当たり4mmとし、計20mmの移動長とした。
(実施例3)
実施例1において、可動防着板先端のCFCの断熱板を装着しなかった。
(実施例4)
実施例1において、可動防着板の端面傾斜角度を50゜とした。
(実施例5)
実施例1において、可動防着板の端面傾斜角度を70゜とした。
(比較例)
図3に示したように、防着板端面の傾斜角度を90゜とした。先端へのCFC性の断熱板は装着せず、蒸着中の移動は行わず初期位置のまま固定とした。防着板先端への蒸着物の堆積が多く、その結果膜厚の変化率が大きくなった。

1、21・・・ ボート(蒸発源)
2、22・・・ 冷却ドラム(搬送機構)
3、23・・・ 固定防着板
4、24・・・ プラズマ源
5、25、45、55、65・・・ 可動防着板
6、26・・・ 金属蒸気流
7、27・・・ プラズマ
8、28・・・ 金属ワイヤー
9・・・ シャッター
10・・・ ガス導入部
11・・・ 真空チャンバー
12・・・ 真空ポンプ
13・・・ 巻出しロール
14・・・ 巻取りロール
15、30・・・ フィルム基材
29・・・ 断熱板
31・・・ 可動防着板端面の法線方向
32・・・ 金属蒸気流が向う方向
33・・・ 上記2方向の成す角度(鋭角)
34・・・ 固定防着板
37、47、57・・・ 固定防着板に堆積した蒸着物
46、56・・・ 可動防着板に堆積した蒸着物
68・・・ シャッターを兼ねる可動防着板が閉まった状態

Claims (5)

  1. 長尺のフィルム基材に連続的に反応性蒸着を行うロール・ツー・ロール方式の蒸着装置であって、金属を蒸発させる蒸発源と、それに対向するフィルム基材を搬送するための搬送機構と、蒸発源と搬送機能の間に配設された固定防着板と、蒸発源から搬送機構の方向に向う金属蒸気流を横切る方向にプラズマを引き出すためのプラズマ源と、該金属蒸気流を挟んで該プラズマ源に対向する位置に配設された前記固定防着板を防着するための可動式防着板とを具備し、可動式防着板の端部に堆積した蒸着物の堆積量に応じて、可動式防着板を金属蒸気流から退行させる機構を有することを特徴とする蒸着装置。
  2. 前記可動式防着板のプラズマ源に対向する端面の法線方向と金属蒸気流が向う方向の成す角度が鋭角であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
  3. 前記可動式防着板の端面に、厚さ方向の熱貫流率が7500W/mK以下である断熱板を装着していることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着装置。
  4. 前記断熱板が炭素繊維強化炭素複合材料(CFC)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着装置。
  5. 前記可動式防着板が、蒸発源の昇温時において前記搬送機構および基材フィルムを蒸発源からの金属蒸気流や熱から遮蔽するシャッターを兼ねることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024070473A1 (ja) * 2022-09-26 2024-04-04 キヤノントッキ株式会社 成膜装置および成膜方法

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