JPH0728371Y2 - 用心錠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えば玄関用扉等に使用し、必要に応じて開
扉角度を制限して外来者の確認、又は無用の人の侵入を
阻止し、防犯効果を達成する為のアーム式用心錠に関す
る。

［従来の技術］ 従来、アーム式用心錠において、扉に出没自在なデッド
ボルトを有する錠本体を取付けると共に、扉枠には、上
端に摺動孔（ガイド孔）を設けた取付板を取付け、下端
に上記デッドボルトと係脱自在な係合孔を、上端に移動
ピン（ガイドピン）を各々設けた開扉規制用アームを、
上記摺動孔に移動ピンを嵌合し、かつ復帰用バネを介在
して上記取付板に摺動自在に取付けてなるものは、本願
人が提案した実願昭62-183104号（以下これを先願と称
す）及び実開昭60-70166号公報（以下これを公開公報と
称す）により知られている。

［考案が解決しようとする課題］ 上記先願の用心錠にあっては、ガイドピンの移動軌跡に
沿うガイド孔が取付板の巾方向に大きく設けるようにな
るので巾が大きくなり、扉厚の小さい扉には取付けがで
きず、又アームの軌跡がガイド孔によって規制される
為、該アームを持ち出した状態で上下方向へ無理に動か
すと破損する可能性がある。

一方、上記公開公報に開示の用心錠にあっては、アーム
（規制部材）が移動ピンによって取付板に片持ち状態で
支持されている為、作業中に移動ピンが傾いて摺動し、
摺動抵抗が大きくなると共に、アームが引張られたと
き、該アームの移動ピン取付部に無理な力が作用し破損
し易い耐久性上の問題点がある。

又、アーム復帰用バネ及びスライダーが、取付板の裏側
に配設した構成である為、当該用心錠の厚さが大きくな
り、扉枠の堀込みを深くする必要があって取付けに手間
及び時間がかかり、又余裕のある大径のバネを使用する
ことはできない。

又、先願及び公開公報の両用心錠では用心状態におい
て、摺動孔が目立つ為、外観上の意匠感が悪い共通の問
題点がある。

本考案は、上記従来の技術の有するこのような問題点に
鑑みてなされたもので、その目的とするところは、巾及
び厚さを小さくできることにより薄肉の扉にも取付可能
で、かつ取付け作業も容易であると共に、作動面、強度
面で有利であり、しかも摺動ピンの摺動部が目立たず意
匠的にも優れた用心錠を提供しようとするものである。

［課題を解決する為の手段］ 上記目的を達成する為に、本考案の用心錠は、扉に取付
けた錠本体から多段に出没自在なデッドボルトが扉枠に
はめ込み固定された取付板に収容される開扉規制アーム
の係合孔に係合して施錠状態と用心状態とに切換え可能
に設けてなる用心錠において、扉と対向する開扉規制用
アームが出没自在な平坦面に形成される凹部と、前記凹
部と垂直にしかも開扉規制用アームの中狭部と対向する
面に仕切り壁を設け仕切り壁に縦長窓孔部を穿設し、前
記仕切り壁に沿って窓孔部より長い溝孔部を形成し、当
該溝孔部に復帰用バネを収容すると共に、前記開扉規制
用アームの小孔を有する上端部を窓孔部を介して溝孔部
まで突出せしめ、前記小孔に摺動ピンを嵌合固定し、摺
動ピンを溝孔部に沿って摺動自在にかつ、前記復帰用バ
ネを開扉規制用アームの上端部へ弾発伏勢して、アーム
を取付板の凹部に出没自在に収容するよう構成したこと
を特徴としている。

［作用］ 閉扉状態では、アームは復帰用バネによって反デッドボ
ルト側に押圧移動し、取付板の凹部に復帰用バネと平行
に収容され、係合孔がデッドボルトと係合可能な位置に
保持されている 上述閉扉状態にて錠本体のサムターンを所定方向へ回転
操作し、デッドボルトを一段階突出させ係合孔と係合さ
せた後、扉を開くと、デッドボルトによりアームの下端
部が扉開き方向に引き出されるので、摺動ピンは復帰用
バネを圧縮しながら溝孔部に沿ってデッドボルト側へ摺
動し、該溝孔部の有効ストロークだけ下降して窓孔部の
下側端面に当たって停止し、当該アームは開扉する扉に
従って突出し所定量移動して停止するので、扉はそれ以
上開かなくなる。つまり扉は用心状態となり、扉と扉枠
間に、外部をのぞき見る程度の隙間が形成される。

又、上述閉扉状態でサムターンを操作して、デッドボル
トを二段階突出させると、該デッドボルトは、上記開扉
規制用アームの係合孔を貫通して取付枠の係合孔に係合
し、施錠状態となる。

上述用心状態にて扉を閉じると、復帰用バネにより摺動
ピンは上方即ち反デッドボルト側に摺動復帰するので、
該摺動ピンは溝孔部内を上方に摺動し、アームは、凹部
内に溝孔部と平行に収容復帰する。

［実施例］ 以下、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図乃至第６図に示したように、錠本体１は扉２の開
放端側に埋込み固定され、該扉２の内側に突出したサム
ターン３の正転、逆転操作によりデッドボルト４は扉２
の開放端面2aから出没するよう形成されている。

上記錠本体１は、デッドボルト４が錠本体１に収容され
る位置で扉開放状態となり又、二段階に錠本体１から突
出し、デッドボルト４が第１図において実線で示される
位置で扉２が用心状態となり、破線で示される位置で施
錠状態となるよう設けられている。

一方、閉扉状態において、扉２の開放端面2aと対向する
扉枠５の開口面5aには縦長の取付板６が埋め込まれた状
態で取付ネジ７…にて固定させてある。

上記取付板６は、開扉規制用アーム８を収容する凹部6a
が第２図において開扉側端面からアーム８が近接する仕
切り壁6hまでの間が内側面に開口して縦長の平坦面に形
成させてある。

上記アーム８は、下部即ちデッドボルト側を拡巾部8a
に、上部を一側が欠除されることにより狭巾部8bに形成
させてあるので、該アーム８の形状に対応させて上記凹
部6aは上部を狭巾に、下部を拡巾にアーム８の平面形状
に略相似形に形成させてある。

又、上記取付板６は、その上部一側に、アーム８の巾狭
部8bの当接する仕切り壁6hを挟んで後述する摺動ピンと
バネが収容される縦長の溝孔部6bが裏面に本実施例では
段付溝錠に開口して形成させてあり表側は閉塞されてい
る。

この溝孔部6bは、取付板６の巾方向一側にあって、凹部
６の面に垂直な仕切り壁6hによって区切られ、該仕切り
壁6hには凹部6aと面一でしかもアーム６が挿通可能な大
きさの窓孔が溝部6bの長さより短く穿設された窓孔部6c
により、上記凹部6aの狭巾に形成されている上部一側と
連通した状態にて、設けられている。溝孔部6bの中間部
には、後述する摺動ピンが当接して下降限となる段差部
6dが嵌合されている。

上記溝孔部6bの開口部は、取付板６の裏面に止めネジ
（図示せず）にて固定されるカバー９により閉塞され、
該溝孔部6bに内装される後述の摺動ピン10、バネ11の飛
び出しを阻止すると共に、異物が摺動ピン10、バネ11に
付着しないようにしてある。

又、取付板の下端部には、上記デッドボルト４が二段階
に突出された時、該デッドボルト４を係合可能な係合孔
6eが穿設貫通させてあり、これによりデッドボルト４が
図１の破線に示される位置まで突出可能となり施錠機能
が得られるようにしてある。

上記アーム８は、下端部の広巾に形成される部分に上記
デットボルト４が係脱自在に係合する係合孔8cを貫通さ
せてあると共に、上端部8dは取付板６の凹部6aに略相似
形状に形成された巾狭部8bの上端に位置し、窓孔部6cを
挿通して前記溝孔部6bに達する半円形の凸部に形成さ
れ、半円形の凸部中央には小孔8eが設けられている。

小孔8eには取付板６の裏側に開口する溝孔部6b側から摺
動ピン10が挿入されアーム８の上端部8dに設けた小孔8e
に嵌合して固定した後、裏側の開口部をカバー９で閉塞
する。

このようにして溝孔部6bに内装された摺動ピン10におけ
る両端部10a、10bの周面は、上記溝孔部6bの広巾溝側面
6fや狭巾溝側面6gに摺動可能に当接され、該摺動ピン10
は両端支持となるので、安定した摺動運動が得られ又、
窓孔部6cからの離脱が阻止され、アーム８は取付板６に
対し、第２図中二点破線で示した如く開扉して用心状態
位置へ安定した移動を可能にかつ離脱不能に取付けられ
ていることにより開扉から閉扉になる際アーム８を取付
板６内に収容が円滑に安定した摺動運動で行い得る。

又、上記溝孔部6bにはアーム８の復帰用バネ11が内装さ
れ、該バネ11により摺動ピン10は上方へ押し上げ付勢さ
れている。

［考案の効果］ 本考案は、以上説明したように構成されているので、ア
ーム収容用凹部6aの狭巾に形成した上部一側に摺動ピン
10、アーム復帰用バネ11が収容される溝孔部6bを並設し
たことにより、取付板６を可能な限り巾狭く形成するこ
とができるので、薄肉の扉にも取付可能となると共に、
巾方向と直角方向の厚さも薄くできるので、取付板６を
扉枠５に埋み込み固定する為の凹部の掘込み深さが浅く
てすむので、取付けを容易にして短時間に行うことが出
来る。

又、溝孔部6bの広巾溝側面6fや狭巾溝側面6gに、アーム
８と一体の摺動ピン10の両端部が摺動可能に当接されて
両端支持される為、作動中、摺動ピン10が傾いて摺動す
ることはないので摺動抵抗が小さく、かつアーム８の摺
動ピン10取付部に無理な力が加わることはなく、又アー
ム８はどの位置でも回転できる為、不用意にアーム８を
作動しても破損するおそれがないから作動面、強度面で
有利となり、耐久性を向上できると共に、用心状態、通
常の開扉状態、何れの場合も表面に長孔等が目立たず外
観上も優れた意匠感が得られるなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る用心錠の実施例を示す閉扉状態の
側面図、第２図は第１図におけるII-II線矢視図、第３
図第２図におけるIII-III線矢視横断面図、第４図は第
３図におけるＡ部の拡大断面図、第５図は第２図におけ
るＶ−Ｖ線矢視断面図、第６図は同実施例における取付
板の裏面図である。 １……錠本体、２……扉 ４……デッドボルト、６……取付板 6a……凹部、6b……溝孔部 6c……窓孔部、6h……仕切り壁 ８……アーム、8c……係合孔 8d……上端部、8e……小孔 ９……カバー、10……摺動ピン 11……バネ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扉に取付けた錠本体から多段に出没自在な
   デッドボルトが扉枠にはめ込み固定された取付板に収容
   される開扉規制アームの係合孔に係合して施錠状態と用
   心状態とに切換え可能に設けてなる用心錠において、扉
   と対向する面に開扉規制用アームが出没自在な平坦面に
   形成される凹部と前記凹部と垂直にしかも開扉規制用ア
   ームの中狭部と対向する面に仕切り壁を設け仕切り壁に
   縦長窓孔部を穿設し、前記仕切り壁に沿って窓孔部より
   長い溝孔部を形成し、当該溝孔部に復帰用バネを収容す
   ると共に、前記開扉規制用アームの小孔を有する上端部
   を窓孔部を介して溝孔部まで突出せしめ、前記小孔に摺
   動ピンを嵌合固定し、摺動ピンを溝孔部に沿って摺動自
   在にかつ、前記復帰用バネを開扉規制用アームの上端部
   へ弾発伏勢して、アームを取付板の凹部に出没自在に収
   容するよう構成したことを特徴とする用心錠。