JPH072821B2 - 艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH072821B2
JPH072821B2 JP23544985A JP23544985A JPH072821B2 JP H072821 B2 JPH072821 B2 JP H072821B2 JP 23544985 A JP23544985 A JP 23544985A JP 23544985 A JP23544985 A JP 23544985A JP H072821 B2 JPH072821 B2 JP H072821B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polymer
weight
content
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP23544985A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6296511A (ja
Inventor
弘昭 石川
正男 伊藤
Original Assignee
旭化成工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 旭化成工業株式会社 filed Critical 旭化成工業株式会社
Priority to JP23544985A priority Critical patent/JPH072821B2/ja
Publication of JPS6296511A publication Critical patent/JPS6296511A/ja
Publication of JPH072821B2 publication Critical patent/JPH072821B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ABS又は耐熱ABS組成物として普通に知られて
いるゴムとスチレン−アクリロニトリルタイプ共重合体
よりなる熱可塑性樹脂に関し、更に詳しくは、特別なグ
ラフト重合体を含有する、艶消し性の熱可塑性樹脂組成
物に関する。
[従来の技術] 従来より耐衝撃性熱可塑性樹脂として知られているABS
樹脂は、その優れた成形性、耐衝撃性及び良好な表面光
沢を有することから、種々の用途に使用されている。し
かしながら、一方では成形品の表面光沢の低いものが望
まれる用途があり、例えば自動車内装部品や家庭用電気
機器の外装部品の一部の用途では成形品表面を艶消し状
態として落着いた高級感のあるものにする場合がある。
従来より熱可塑性樹脂成形品の艶消し方法としては、
(1)無機質物質を樹脂にブレンドする方法、(2)成
形品表面を塗装加工する方法、(3)固形又はラテック
ス状のゴム質重合体を樹脂にブレンドする方法などが知
られている。しかしながら上記(1)の方法では、無機
質フィラーを多量に添加する為、耐衝撃性及び成形加工
性が著しく低下し、(2)の方法では、塗装工程が加わ
る為、生産性が低下し、コスト高となる。また(3)の
方法では、ゴム質重合体と樹脂の相溶性が悪い為、耐衝
撃性及び成形加工性が低下し、更に成形品の剛性及び熱
変形温度も低下してしまという問題がある。
[発明が解決しようとする問題点] かかる状況を背景に、本発明者等は、樹脂の耐衝撃性、
耐熱性、成形加工性を低下させることなく、艶消し性の
優れた樹脂を効率的に製造することを目的に鋭意検討し
本発明に到達した。
[問題を解決するための手段〕 従来、ABS樹脂に代表される熱可塑性樹脂の諸物性を改
良する目的で原料ゴム質重合体の粒子径、ゲル含量や、
グラフト共重合体のグラフト率などを制御する手法が採
られる場合が多かったが、本発明者等は、艶消し性の熱
可塑性樹脂を得るに際しては、これらの因子よりも、も
っと重要な因子として、樹脂中のグラフト共重合体の分
散ゴム粒子の形状及び膨潤指数があることを見出し、本
発明を完成したのである。後述するように、同一のゴム
質重合体を用いた場合に於ても、グラフト重合の条件に
より、分散ゴム粒子の形状や、膨潤指数が本発明の要件
を満たさない場合には、本発明の艶消し性のある樹脂組
成物は得られない。
本発明によって得られる熱可塑性樹脂組成物は、ジエン
系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びビ
ニルシアン化合物及び場合によりこれらと共重合可能な
ビニル単量体を含む混合物を共重合させて得られるグラ
フト重合体もしくは該グラフト重合体と芳香族ビニル化
合物とビニルシアン化合物を主成分とするマトリックス
重合体との混合物からなる樹脂組成物であって、 i)樹脂組成物中のゴム質重合体の含量が5〜40重量%
であり、 ii)樹脂組成物中のゴム質重合体を除いた部分に於る芳
香族ビニル化合物の含量が80〜60重量%、ビニルシアン
化合物の含量が20〜40重量%、これらと共重合可能なビ
ニル単量体の含量が0〜20重量%であり、 iii)樹脂組成物中に分散しているゴム質重合体粒子の
形状が不定形であり、 iv)樹脂組成物中のグラフト共重合体成分のトルエンに
よる膨潤指数が6.5〜15.0 の範囲にあることを特徴とする艶消し性の熱可塑性樹脂
組成物である。
本発明の樹脂組成物は、組成物中に分散しているゴム質
重合体粒子の形状が不定形であることが必要である。不
定形とは、第2図記載の電子顕微鏡写真から明らかなよ
うに、ゴム質重合体粒子の形状が球状でなく、かつ個々
の粒子に互いに類似性のないことをいう。分散粒子の形
状が球状である場合には、たとえ他の要件が満たされて
いても本発明の艶消し性のある樹脂組成物は得られな
い。組成物中のゴム質重合体粒子の形状を不定形とする
為には、ゴム質重合体として、実質的にゲルを含んでい
ないか、含んでいてもその含量が30%以下であるゴム質
重合体を用いることが好ましい。ゴム質重合体が30%を
越えるゲルを含んでいる場合には、本発明組成物のよう
な、衝撃強度と艶消し性を併せ持つ組成物を得ることが
困難となる。ゴム質重合体の組成は、ジエン系のもので
あれば特に制限は無く、例えば、ポリブタジエン、スチ
レン−ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体(NBR)などが挙げられるが、最
終的に得られる組成物の衝撃強度を高める為には、ゴム
質重合体中に占めるスチレン及び/又はアクリロニトリ
ルの割合は、30重量%以下であることが望ましい。上記
ゴム質重合体に、ビニル単量体混合物をグラフト共重合
させる方法としては、通常の乳化重合や塊状重合、塊状
・懸濁重合、溶液重合が適用できるが、本発明の目的に
は、乳化重合が最も適している。塊状重合、塊状・懸濁
重合あるいは、溶液重合を適用した場合、たとえ実質的
にゲルを含まないゴム質重合体を用いても、重合の段階
で、ゴム質重合体の架橋が過度に進んでしまう為、樹脂
組成物中に分散しているゴム質重合体粒子の形状は不定
形と成り難い。乳化重合の方法は、使用する重合開始剤
の量を除いては、特に制約は無く通常実施されている方
法に従えば良い。重合開始剤としては、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性
開始剤、あるいはクメンハイドロパーオキサイドなどの
有機過酸化物と、硫酸第一鉄塩などの鉄塩とからなるレ
ドックス系開始剤を用いることが出来る。重合開始剤の
量は、ゴム質重合体100重量部に対して、0.1〜0.4重量
部であることが好ましい。重合開始剤の量が、ゴム質重
合体100重量部に対して0.1重量部を越えない場合には、
艶消し性のある樹脂組成物は得られるものの、衝撃強度
が劣ったものとなってしまう。また重合開始剤の量が、
ゴム質重合体100重量部に対して0.4重量部を越える場合
には、樹脂組成物中の分散ゴム粒子の形状が球状のもの
となり、樹脂組成物は光沢の高いものとなってしまう。
乳化剤は通常の乳化重合に使用される乳化剤であれば特
に制限はなく、例えば脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪族
硫酸エステルのアルカリ金属塩あるいは不均化ロジン酸
のアルカリ金属塩などが使用できる。また必要に応じて
分子量調節剤を加えるが、例えばt-ドデシルメルカプタ
ン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン
などのメルカプタン類が用いられる。
上記ゴム質重合体にグラフト共重合させる芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、アルファメチルスチレン、
p-メチルスチレン、核ハロゲン置換スチレン等が挙げら
れる。又ビニルシアン化合物としてはアクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらの芳香族
ビニル化合物やビニルシアン化合物の他に必要に応じ、
これらと共重合可能なビニル単量体を加えても良く、例
えば、メチルメタクリレート、アクリル酸ブチル等の
(メタ)アクリル酸エステル化合物や、マレイミド、N-
アルキル又はアリール置換マレイミド等のマレイミド誘
導単量体を挙げることが出来る。
これらの全単量体混合物中に占めるビニルシアン化合物
の含有量は、10〜40重量%であり、15〜30重量%が好ま
しい。また全単量体混合物中に占めるビニル芳香族化合
物の含有量は、90〜60重量%であり、85〜70重量%が好
ましい。ビニルシアン化合物及び芳香族化合物の含有量
が上記範囲を逸脱する場合には、得られる樹脂組成物の
対衝撃性、成形加工性、剛性のいずれかが低下してしま
い好ましくない。またこれらと共重合可能なビニル単量
体が、全単量体混合物中に占める含有量は、0〜20重量
%である。共重合可能なビニル単量体の含有量が上記範
囲を逸脱する場合には、最終的に得られる樹脂組成物の
耐熱性、成形性、耐衝撃性のいずれかが低下してしまう
などの欠点が生じてくる。
次に本発明の熱可塑性樹脂組成物中のグラフト重合体成
分(ゴム質重合体及びゴム質重合体に芳香族ビニル化合
物及びビニルシアン化合物を主成分とする単量体混合物
が化学的に結合したグラフト成分により成っている。)
のトルエンによる膨潤指数は、6.5以上15.0以下である
ことが必要である。グラフト重合体成分の膨潤指数が6.
5未満である場合には、樹脂組成物中に分散しているゴ
ム質重合体粒子の形状が不定形であつても、充分な艶消
し性を有する樹脂組成物を得ることは出来ない。またグ
ラフト重合体成分の膨潤指数が15.0を越える場合には、
艶消し性は良いが、成形品の表面が荒れるようになり実
用的価値を失ってしまう。
上記単量体混合物が、前記のゴム質重合体にグラフトし
てなるグラフト重合体のグラフト率は、好ましくは20〜
80%であり、更に好ましくは30〜70%である。グラフト
率が20%未満では得られる樹脂組成物の耐衝撃性が劣っ
てしまい、またグラフト率が80%を越えると樹脂組成物
の艶消し性が劣ってしまう。グラフト率が30〜70%の範
囲にあれば、樹脂組成物は艶消し性と耐衝撃性ともに優
れたものとなる。
本発明の熱可塑性樹脂の全重量に占めるゴム質重合体の
含有量は、5〜40重量%であり、10〜30重量%が好まし
い。ゴム質重合体含量で5重量%に満たない場合には、
樹脂組成物の衝撃強度及び艶消し性が低下してしまう。
またゴム質重合体含量が40重量%を越えると樹脂組成物
の剛性及び成形性が低下してしまう。ゴム質重合体の含
有量を調節する方法としては、重合仕込みの段階で、あ
らかじめ所望量のゴム質重合体と単量体を調合して、単
一の工程で、グラフト共重合を行って最終の熱可塑性樹
脂組成物を得る方法(直重法)や、ゴム質重合体含量の
高い熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂のモノマー成分(ビ
ニル芳香族化合物、ビニルシアン化合物及び場合により
これと共重合可能なビニル単量体)よりなる共重合体と
を、別個に重合したのち、両者の混合比を変えて、ブレ
ンドすることにより、所望量のゴム質重合体を含む熱可
塑性樹脂を得る方法(グラフト・ブレンド法)などがあ
るが、本発明の要件を満たすものであれば、いずれの方
法によっても良い。
本発明の組成物の使用に際しては、通常添加される染顔
料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難
燃剤等を配合することが出来る。更に本発明の組成物に
無機充填剤等を配合して、本発明のより優れた効果を得
ることも出来る。更に本発明の組成物は、他の相溶性の
ある樹脂、例えばポリカーボネートとブレンドすること
により艶消し性樹脂を得ることも出来る。
本発明の組成物は、射出成形、押出成形等で、家電部
品、自動車部品等の各種成形品を成形することが可能で
ある。
次に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、
本発明はその趣旨を越えない限りこれらの実施例に制約
されるものではない。尚実施例で示す部数は、すべて重
量部である。
実施例、比較例で用いられる測定及び評価法を以下に示
す。
1)ゴム質重合体のゲル含有率 ゴム質重合体ラテックスをイソプロピルアルコールで凝
固、真空乾燥した後、試料約0.2gを精秤し、MEK/シクロ
ヘキサンの20/80wt%混合液50ml中に仕込み、24時間放
置した後、100メッシュの金網で別し、140℃、30分間
乾燥して、ゲル分の重量を求める。
2)グラフト率 熱可塑性樹脂の試料を1g精秤し、アセトン20mlと共に遠
心管に仕込み、2時間振とうし、21,000回転にて1時間
遠心分離を行った後、上澄液をデカンテーションする。
沈殿物に再びアセトン20mlを加え、振とう、遠心分離、
デカンテーションを繰り返す。残ったアセトン不溶部分
の重量を測定し、この重量と、グラフト共重合体の製造
に使用されたゴム質重合体の重量との差をゴム質重合体
に化学的に結合した単量体の重量として次式にて算出し
た。
3)グラフト重合体成分の膨潤度 2)のグラフト率測定で得たアセトン不溶部分を真空乾
燥してアセトンを除去した後、20mlのトルエンを添加
し、2時間振とうし、21,000回転にて1時間遠心分離を
行った後、上澄液をデカンテーションし、湿潤ゲルの重
量を測定する。次いで湿潤ゲルを130℃にて30分間乾燥
し、乾燥ゲルの重量を測定する。グラフト重合体成分の
膨潤指数を次式にて算出する。
4)物性測定用の試験片の成形条件 熱可塑性樹脂ペレットより下記条件にて試験片を作成し
た。
射出成形機:東芝機械(株)製IS-80A 成形条件:シリンダー温度 260℃ (実施例4のみ、240℃) 金型温度 60℃ 射出圧 SSP+10kg/cm2(ゲージ圧) 5)物性測定 i)衝撃強度: ASTM D256 試験片 1/2″×1/4″×5/2″(ノッチ付) ii)加熱変形温度: ASTM D648 試験片 1/2″×1/4″×5″(アニール無し) 荷重 18.6kg/cm2 iii)光沢度: 試験片 215×13×3mm 光沢測定 入射角、反射角;60゜ iv)メルトフローレート JIS K7210 測定温度 220℃ 荷重 10kg (6)樹脂中のゴム質重合体の粒子の形状 拡大率10,000〜25,000倍の電子顕微鏡写真による観察。
実施例、比較例で用いられるゴム質重合体及び希釈用共
重合体 I.ゴム質重合体E-1〜E-3の製造 i)ゴム質重合体E-1 耐圧反応釜に下記組成の重合液を仕込んだ。
イオン交換水 70(部) ブタジエン 18(部) アクリロニトリル 2(部) t-ドデシルメルカプタン 0.35(部) 過硫酸ナトリウム 0.075(部) 水酸化ナトリウム 0.03(部) 炭酸水素ナトリウム 0.1(部) 脂肪酸石ケンとロジン酸石ケンの混合物 0.1(部) 内温を62℃に保って、重合を開始し、3時間を経過した
時点より下記組成の重合液を5時間に渡り添加した。
ブタジエン 80(部) t-ドデシルメルカプタン 0.3(部) 過硫酸ナトリウム 0.1(部) 水酸化ナトリウム 0.1(部) 炭酸水素ナトリウム 0.4(部) 脂肪酸石ケンとロジン酸石ケンの混合物 1.0(部) イオン交換水 50(部) 重合液を添加終了後、直ちに内温を冷却し重合を終了し
た。モノマー添加率は65%であり、ゲル含有率は0%で
あった。また電子顕微鏡撮影による測定から、平均粒子
径は800Åであった。
ii)ゴム質重合体E-2 ゴム質重合体E-1の重合方法に於て、初期仕込み液及び
追添液中の石ケンの量を減じた他は同様にして重合を行
い、ゲル含有率0%、平均粒子径1500Åのゴムラテック
スを得た。
iii)ゴム質重合体E-3 ゴム質重合体E-1の重合に於て、重合温度を67℃とし、
追添液の添加終了後も更に3時間重合を継続した他は、
同様にして重合を行った。ゲル含有率74%、平均粒子径
1300Åのゴムラテックスを得た。
II.希釈用共重合体 i)耐熱共重合体ラテックス:M-1,M-2 乳化重合法により、下記組成の耐熱共重合体ラテックス
を得た。
M-1 組成:アクリロニトリル 22(重量%) スチレン 5(重量%) α−メチルスチレン 73(重量%) 極限粘度:0.37(dl/g) M-2 組成:M-1と同一。
極限粘度:0.31(dl/g) ii)AS樹脂ペレット:M-3 M-3 スタイラック AS 769(旭化成工業(株)製AS樹脂) 実施例1 ゴム質重合体ラテックス:E-1を用い、下記方法でグラフ
ト共重合を行った。
窒素で置換した反応器に ゴムラテックス(固形分換算) 60(部) アクリロニトリル 10(部) スチレン 20(部) α−メチルスチレン 10(部) t-ドデシルメルカプタン 0.30(部) クメンハイドロパーオキサイド 0.15(部) エチレンジアミン四酢酸ソーダー 0.025(部) ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.0436
(部) 硫酸第1鉄 0.0187(部) 脱イオン水 180(部) を仕込み、温度を70℃に保持して7時間に渡りグラフト
重合を行った。モノマーの転化率は85%であった。
次いでこのグラフト共重合体ラテックスを最終の熱可塑
性樹脂組成物中のゴム質重合体含量が18重量%となるよ
う、共重合体ラテックス:M-1と、ラテックス混合し、硫
酸アルミニウムにより凝固し、樹脂分を過、水洗、脱
水、乾燥して、粉末状の熱可塑性樹脂を得た。次いで粉
末状の熱可塑性樹脂を、30m/mのベント付2軸押出機に
てペレット化した。前記方法によるグラフト率は57%、
グラフト重合体成分の膨潤指数は7.1であった。組成物
中の分散ゴム粒子の形状は不定形であった。
前記方法により、樹脂組成物の物性を測定した。
実施例2 実施例1と同一の仕込み組成とし、モノマー及び触媒の
添加方法を変えてグラフト共重合を行った。
窒素で置換した反応器に ゴムラテックス(固形分換算) 60(部) 脱イオン水 130(部) を仕込み、温度を70℃に保持した。
次いで、 アクリロニトリル 10(部) スチレン 20(部) α−メチルスチレン 10(部) t-ドデシルメルカプタン 0.30(部) クメンハイドロパーオキサイド 0.15(部) エチレンジアミン四酢酸ソーダー 0.025(部) ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.0436
(部) 硫酸第1鉄 0.0187(部) 脱イオン水 50(部) を3時間に渡り添加し、更に2時間をかけて重合を終了
した。モノマーの転化率は、83%であった。
次いでこのグラフト共重合体ラテックスと共重合体ラテ
ックス:M-2を用い、実施例1と同様の方法で、ゴム質重
合体含量18重量%の熱可塑性樹脂を得た。グラフト率は
50%、グラフト重合体成分の膨潤指数は6.9であった。
組成物中の分散ゴム粒子の形状は、不定形であった。実
施例1と同様の方法で物性を測定した。
実施例3 ゴム質重合体ラテックスとしてE-2を用い、t-ドデシル
メルカプタンの量を0.20部、クメンハイドロパーオキサ
イドの量を0.20部とし、モノマー及び触媒の追添終了後
の重合継続時間を4時間とした他は、実施例2と同様の
方法で、グラフト共重合を行った。モノマーの転化率は
80%であった。
次いでこのグラフト共重合体ラテックスと共重合体ラテ
ックス:M-2を用い、実施例1と同様の方法でゴム質重合
体含量18重量%の熱可塑性樹脂を得た。グラフト率は36
%、グラフト重合体成分の膨潤指数は8.8であった。樹
脂中の分散粒子は不定形であった。実施例1と同様にし
て、物性測定を行った。
実施例4 実施例2で得たグラフト共重合体を硫酸アルミニウムに
より凝固し、樹脂分を過、水洗、脱水、乾燥して、粉
末状の高ゴム質含量の熱可塑性樹脂を得た。この高ゴム
質含量熱可塑性樹脂の粉末と共重合体M-3のペレット
を、30m/mのベント付2軸押出機にて混合造粒して、ゴ
ム質重合体含量18重量%の熱可塑性樹脂を得た。樹脂中
の分散粒子は不定形であった。またグラフト率は50%、
グラフト重合体成分の膨潤指数は6.9であった。実施例
1と同様にして物性を測定した。
実施例5 実施例2に於て、スチレン20部、α−メチルスチレン10
部をスチレン30部に変えた他は全く同様にしてグラフト
共重合を行った。モノマーの転化率は88%であった。以
後の操作は、実施例2と全く同一にしてゴム質重合体含
量18重量%の熱可塑性樹脂を得た。グラフト率は62%、
グラフト重合体成分の膨潤指数は7.0であった。組成物
中の分散ゴム粒子の形状は不定形であった。実施例1と
同様の方法で物性を測定した。
比較例1 実施例2に於て、クメンハイドロパーオキサイドの量を
0.35部、t-ドデシルメルカプタンの量を0.20部とし、モ
ノマー追添終了後の重合継続時間を4時間とした他は、
全て同一にしてグラフト共重合を行った。モノマーの転
化率は83%であった。得られたグラフト共重合体ラテッ
クスと共重合体ラテックス:M-1を用い、実施例1と同様
の方法でゴム質共重合体含量18重量%の熱可塑性樹脂を
得た。樹脂中の分散粒子は不定形をなしていた。またグ
ラフト率は75%、グラフト重合体成分の膨潤指数は6.1
であった。実施例1と同様にして物性を測定した。
比較例2 ゴム質重合体ラテックス:E-2を用い、下記方法でグラフ
ト共重合を行った。
窒素で置換した反応器に ゴムラテックス(固形分換算) 40(部) 脱イオン水 130(部) を仕込み、温度を70℃に保持した。
次いで、 アクリロニトリル 15(部) スチレン 30(部) α−メチルスチレン 15(部) t-ドデシルメルカプタン 0.3(部) クメンハイドロパーオキサイド 0.4(部) エチレンジアミン四酢酸ソーダー 0.025(部) ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.32
(部) 硫酸第1鉄 0.0187(部) 脱イオン水 50(部) を6時間に渡り添加し、更に2時間を要して重合を終了
した。モノマーの転化率は、90%であった。このグラフ
ト共重合体ラテックスと共重合体ラテックス:M-1を、最
終の熱可塑性樹脂組成物中のゴム質重合体含量18重量%
となるように、ラテックス混合し、実施例1と同様にし
て熱可塑性樹脂を得た。樹脂中の分散粒子は球状をなし
ていた。グラフト率は73%、グラフト重合体成分の膨潤
指数は5.1であった。実施例1と同様にして物性測定を
行った。
比較例3 ゴム質重合体としてE-3を用い、モノマー、触媒の添加
時間を4時間、添加終了後の重合継続時間を2時間とし
た以外は、実施例3と同様にしてグラフト共重合を行っ
た。実施例1と同様の方法でゴム質重合体含量18重量%
の熱可塑性樹脂を得た。樹脂中の分散粒子は球状であっ
た。グラフト率は43%、グラフト重合体成分の膨潤指数
は5.9であった。実施例1と同様にして物性の測定を行
った。
以上の実施例及び比較例の物性を表1に示す。また実施
例及び比較例の膨潤指数と光沢度の関係を第1図に示
す。
表1及び第1図より樹脂中の分散粒子の形状が球状であ
る場合には光沢の高いものとなってしまい、またたとえ
分散粒子の形状が不定形であっても、膨潤指数が本発明
の要件を満たさない場合には、艶消し性の樹脂組成物は
得られない。
[発明の効果] 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のように組成物中
のグラフト共重合体の分散ゴム粒子の形状及び組成物中
のアセトン不溶分のトルエンによる膨潤指数を特定のも
のとしたことにより耐衝撃性、耐熱性、成形加工性を低
下させることなく、優れた艶消し性を示すものであり、
その工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例及び比較例のグラフト重合体成分の膨潤
指数と光沢度の関係を示すグラフであり、第2図は本発
明(実施例1)の熱可塑性樹脂組成物中の分散粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族
    ビニル化合物及びビニルシアン化合物及び場合によりこ
    れらと共重合可能なビニル単量体を含む混合物を共重合
    させて得られるグラフト重合体、もしくは該グラフト重
    合体と芳香族ビニル化合物とビニルシアン化合物を主成
    分とするマトリックス重合体との混合物からなる樹脂組
    成物であって i)樹脂組成物中のゴム質重合体の含量が5〜40重量%
    であり、 ii)樹脂組成物中のゴム質重合体を除いた部分に於る芳
    香族ビニル化合物の含量が80〜60重量%、ビニルシアン
    化合物の含量が20〜40重量%、これらと共重合可能なビ
    ニル単量体の含量が0〜20重量%であり、 iii)樹脂組成物中に分散しているゴム質重合体粒子の
    形状が不定形であり、 iv)樹脂組成物中のグラフト共重合体成分のトルエンに
    よる膨潤指数が6.5〜15.0 の範囲にある熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族
    ビニル化合物及びビニルシアン化合物及び場合によりこ
    れらと共重合可能なビニル単量体を含む混合物を共重合
    させて得られるグラフト重合体、もしくは該グラフト重
    合体と芳香族ビニル化合物とビニルシアン化合物を主成
    分とするマトリックス重合体との混合物からなる樹脂組
    成物であって i)樹脂組成物中のゴム質重合体の含量が5〜40重量%
    であり、 ii)樹脂組成物中のゴム質重合体を除いた部分に於る芳
    香族ビニル化合物の含量が80〜60重量%、ビニルシアン
    化合物の含量が20〜40重量%、これらと共重合可能なビ
    ニル単量体の含量が0〜20重量%であり、 iii)樹脂組成物中に分散しているゴム質重合体粒子の
    形状が不定形であり、 iv)樹脂組成物中のグラフト共重合体成分のトルエンに
    よる膨潤指数が6.5〜15.0 の範囲にある樹脂組成物を得るに際して、ゲル含量が30
    %以下のジエン系ゴム質重合体ラテックスの存在下に、
    芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物及び場合によ
    りこれらと共重合可能なビニル単量体混合物を、ゴム質
    重合体ラテックス100重量部(固形分換算)当り、0.10
    〜0.40重量部の重合開始剤を用いて、水性乳化グラフト
    重合を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造
    方法。
JP23544985A 1985-10-23 1985-10-23 艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 Expired - Fee Related JPH072821B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23544985A JPH072821B2 (ja) 1985-10-23 1985-10-23 艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23544985A JPH072821B2 (ja) 1985-10-23 1985-10-23 艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6296511A JPS6296511A (ja) 1987-05-06
JPH072821B2 true JPH072821B2 (ja) 1995-01-18

Family

ID=16986272

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23544985A Expired - Fee Related JPH072821B2 (ja) 1985-10-23 1985-10-23 艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH072821B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2727695B2 (ja) * 1989-01-23 1998-03-11 日立化成工業株式会社 艶消し剤,その製造法,艶消し熱可塑性樹脂組成物及び成形品
KR100992537B1 (ko) * 2007-12-31 2010-11-05 제일모직주식회사 표면 질감이 우수한 저광 열가소성 수지 조성물 및 그 성형품
JP5248427B2 (ja) * 2009-07-06 2013-07-31 株式会社クラレ メタクリル系樹脂組成物及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6296511A (ja) 1987-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0222924B1 (en) Process for producing maleimide copolymer and thermoplastic resin composition comprising the copolymer
JP2726918B2 (ja) 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物
EP0134519A2 (en) Thermoplastic resin composition
JPH0742384B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
EP0146035B2 (en) Thermoplastic resin having excellent impact resistance and heat resistance
EP0208382B1 (en) Rubber-reinforced styrenic polymer resins having improved flow and gloss characteristics
GB1585390A (en) Ionic sulphonate-modified thermoplastic resins
EP0284428B1 (en) Graft copolymer and styrene based resin composition
JPH072821B2 (ja) 艶消し性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
US4748205A (en) Thermoplastic resin composition
US5990240A (en) Rubber-containing resin composition and styrene resin composition containing the same
JP3177151B2 (ja) ゴム状重合体ラテックスの製造方法、それを用いたグラフト共重合体の製造方法およびグラフト共重合体を用いたabs系樹脂組成物
JP3850504B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS6347744B2 (ja)
JP3286971B2 (ja) スチレン系共重合体、該共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物及びそれらの製造法
JP3978272B2 (ja) 制振性熱可塑性樹脂組成物
JPH0414688B2 (ja)
JP3222751B2 (ja) 成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPS5928584B2 (ja) 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物
JPH0762099B2 (ja) 樹脂組成物の製法
EP0870799A1 (en) Rubber latex, graft copolymer, and thermoplastic resin composition
JPS6346781B2 (ja)
JPH1030047A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
KR100208576B1 (ko) 스티렌계 수지 조성물
JPH0312101B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees