JPH07279805A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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JPH07279805A
JPH07279805A JP6072289A JP7228994A JPH07279805A JP H07279805 A JPH07279805 A JP H07279805A JP 6072289 A JP6072289 A JP 6072289A JP 7228994 A JP7228994 A JP 7228994A JP H07279805 A JPH07279805 A JP H07279805A
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】低電圧時の点火性能を確保しつつ、内燃機関の
始動性を向上させる。 【構成】点火時期制御装置はCPU38、バックアップI
C42及びアンドゲート53を備える。演算処理回路からな
るCPU38はエンジンの運転状態に応じた点火時期を算
出し、ソフト点火信号IGTsを出力する。CPU38はスタ
ータ信号STA がオン(信号レベル「H」)であり、かつ
運転状態が予め定めた領域に属しているとき、エンジン
が実質的に始動状態であることを示す疑似スタータ信号
STAout(信号レベル「H」)を出力する。アンドゲート
53は、スタータ信号STA と疑似スタータ信号STAoutとを
入力し、その論理積信号をスタータ信号STA としてバッ
クアップIC42に出力する。バックアップIC42は、ス
タータ信号STA の信号レベルが「H」のときハード点火
信号IGThを、「L」のときソフト点火信IGTsを、出力イ
ンタフェース回路46を介して点火装置に出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車等に搭載される内
燃機関において、空気及び燃料よりなる混合気に点火す
る時期を制御するための点火時期制御装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車用内燃機関の点火時
期制御に際しては、通常マイクロコンピュータが用いら
れている。マイクロコンピュータは、そのときの内燃機
関の運転状態に応じた点火時期を演算し、その点火時期
に従って点火装置に点火動作を行わせるための点火信号
(ソフト点火信号)を出力する。このソフト点火信号に
応じて点火装置が作動して点火が行われる。
【0003】このマイクロコンピュータを用いた制御に
よると、始動時以外にはそのときの内燃機関の運転状態
に適した時期で点火を行うことができるものの、始動時
には次のような問題があった。
【0004】上記マイクロコンピュータは、自身の作動
保障最小電圧(例えば、3.7ボルト)以上の電圧が電
源(車載バッテリ)から供給されたときに作動するよう
になっている。これに対し、内燃機関の始動時以外に
は、車載バッテリからこの作動保障最小電圧以上の電圧
がマイクロコンピュータに供給され、所定の点火時期制
御が行われる。しかし、始動時には、スタータの駆動等
のために車載バッテリの電圧が瞬間的に大きく低下す
る。そして、この低下にともない、マイクロコンピュー
タに供給される電圧が作動保障最小電圧を下回ると、適
正な点火時期制御が行われなくなる。
【0005】そこで、このようなエンジン始動時にも点
火を確実に行うために、マイクロコンピュータよりも低
い作動保障最小電圧(例えば、3ボルト)を有するバッ
クアップICを併用した点火時期制御が採用されてい
る。
【0006】このバックアップICは、機関始動のため
にスタータが駆動されていないときには、マイクロコン
ピュータからのソフト点火信号を点火装置に出力する。
また、バックアップICは、スタータが駆動していると
きには、予め定められた点火時期(例えば上死点前5°
CA、CAはクランク角)に点火を行わせるためのハー
ド点火信号を点火装置に出力する。このような、内燃機
関の始動時にハード点火信号をソフト点火信号に優先し
て出力させる技術は、例えば特開昭55−109759
号公報に開示されている。
【0007】この点火時期制御によると、車載バッテリ
の電圧の低下によりマイクロコンピュータが正常に作動
しなくなっても、スタータが駆動されていれば、バック
アップICからハード点火信号が出力される。そのた
め、この信号に基づき予め定めた点火時期(上死点前5
°CA)に点火が行われ、低電圧時の点火性能が確保さ
れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では、
燃費の向上を目的として内燃機関の高圧縮比化が進めら
れている。圧縮比は、ピストンが下死点まで移動したと
きのシリンダの容積と、ピストンが上死点まで移動した
ときにシリンダ頂部に残された容積(燃焼室の容積)と
の比である。反面、高圧縮比化にともない、低温始動時
に始動性が低下したり、高温始動時にノッキングが発生
したりする。低温始動時の始動性を向上させるには点火
時期を進角させ、高温始動時のノッキングを防止するに
は点火時期を遅角させればよい。このように、始動時と
いっても様々な状態があり、状態毎の要求特性を満たす
には、その状態に適した時期に点火を行うことが望まし
い。
【0009】しかしながら、前記従来技術では、内燃機
関の始動のためにスタータが駆動されていれば一律にハ
ード点火信号を点火装置に出力して、上死点前5°CA
に点火を行うようにしている。このため、内燃機関の始
動時に車載バッテリの電圧が低下した場合に点火を確実
に行うことができるものの、そのハード点火信号の設定
状況以外の始動時には、始動性が低下する問題があっ
た。
【0010】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、低電圧時の点火性能を確保しつ
つ、内燃機関の始動性を向上させることができる内燃機
関の点火時期制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、図1に示すように、内燃機関M1に設けら
れた点火手段M2と、前記内燃機関M1のスタータM3
の駆動状態を検出して、その駆動時には始動検出信号を
出力する始動検出手段M4と、前記内燃機関M1の運転
状態を検出する運転状態検出手段M5と、演算処理回路
からなり、その第1の作動保障最小電圧以上の電圧が電
源M6から供給されたときに作動し、前記運転状態検出
手段M5による機関運転状態に応じた点火手段M2の点
火時期を算出するとともに、その点火時期に従い点火手
段M2に点火動作を行わせるためのソフト点火信号を出
力するソフト点火用処理手段M7と、前記第1の作動保
障最小電圧よりも低く設定された第2の作動保障最小電
圧以上の電圧が前記電源M6から供給されたときに作動
し、前記始動検出手段M4から始動検出信号が出力され
ていないときには、ソフト点火用処理手段M7からのソ
フト点火信号を点火手段M2に出力し、始動検出手段M
4から始動検出信号が出力されたときには、予め定めら
れた点火時期に従い点火手段M2に点火動作を行わせる
ためのハード点火信号を点火手段M2に出力するハード
点火用処理手段M8とを備えた内燃機関の点火時期制御
装置であって、前記ソフト点火用処理手段M7は、前記
始動検出手段M4から始動検出信号が出力され、かつ前
記運転状態検出手段M5による機関運転状態が予め定め
た領域に属しているとき、内燃機関M1が実質的に始動
状態であることを示す疑似信号を出力する機能を有し、
さらに、前記始動検出手段M4からの始動検出信号と、
前記ソフト点火用処理手段M7からの疑似信号とを入力
し、その論理積信号を前記始動検出信号としてハード点
火用処理手段M8に出力するアンドゲートM9を設けて
いる。
【0012】
【作用】始動検出手段M4は、内燃機関M1のスタータ
M3の駆動状態を検出し、その駆動時に始動検出信号を
出力する。運転状態検出手段M5は、内燃機関M1の運
転状態を検出する。
【0013】電源M6からソフト点火用処理手段M7及
びハード点火用処理手段M8に対し、そのソフト点火用
処理手段M7の第1の作動保障最小電圧以上の電圧が供
給されたとき、次のようにして点火が行われる。
【0014】ソフト点火用処理手段M7は、運転状態検
出手段M5による機関運転状態に応じた点火手段M2の
点火時期を算出し、その点火時期に従いソフト点火信号
を出力する。
【0015】また、ソフト点火用処理手段M7は、始動
検出手段M4から始動検出信号が出力され、かつ運転状
態検出手段M5による機関運転状態が予め定めた領域に
属しているとき、内燃機関M1が実質的に始動状態であ
ることを示す疑似信号を出力する。
【0016】アンドゲートM9は、始動検出手段M4か
らの始動検出信号と、ソフト点火用処理手段M7からの
疑似信号とを入力し、その論理積信号を始動検出信号と
してハード点火用処理手段M8に出力する。
【0017】ハード点火用処理手段M8は、アンドゲー
トM9から始動検出信号が出力されていないとき、ソフ
ト点火用処理手段M7からのソフト点火信号を点火手段
M2に出力する。この出力により、点火手段M2はその
ときの機関運転状態に応じた点火時期に点火動作を行
う。また、ハード点火用処理手段M8は、アンドゲート
M9から始動検出信号が出力されたときにはハード点火
信号を点火手段M2に出力する。この出力により、点火
手段M2は予め定められた点火時期に点火動作を行う。
【0018】このように、スタータM3の駆動によって
内燃機関M1が始動され、しかも機関運転状態が予め定
めた領域に属している場合にのみ、点火手段M2はハー
ド点火信号に従い予め定められた点火時期で点火動作を
行う。スタータM3の駆動によって内燃機関M1が始動
されている場合であっても、機関運転状態が予め定めた
領域から外れていると、点火手段M2はソフト点火用処
理手段M7からのソフト点火信号に従って、そのときの
機関運転状態に適した点火時期に点火動作を行う。
【0019】従って、始動検出手段M4から始動検出信
号が出力されたら、一律に予め定められた点火時期で点
火動作を行う場合に比べ、機関運転状態に適したきめ細
かな点火時期制御が可能となる。
【0020】一方、内燃機関M1の始動時に電源M6の
電圧が低下し、その電圧が第2の作動保障最小電圧以上
で、かつ第1の作動保障最小電圧よりも低くなると、次
のようにして点火が行われる。この場合、ソフト点火用
処理手段M7は正常に作動しなくなる。しかし、ハード
点火用処理手段M8は正常に作動し、ハード点火信号を
点火手段M2に出力する。そのため、このような電圧の
低下時にも、点火手段M2により点火が確実に行われ
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図2〜
図6に従って説明する。図2は、車両に搭載された内燃
機関としてのガソリンエンジン(以下、単にエンジンと
いう)1の概略構成図である。エンジン1のシリンダブ
ロック1aには、紙面の厚み方向へ向けて複数の気筒
(シリンダ、図では1つのみ図示)2が並設されてい
る。各シリンダ2内にはピストン3が往復動可能に収容
されている。各ピストン3は、コネクティングロッド4
によって共通のクランクシャフト5に連結されている。
【0022】各シリンダ2におけるピストン3の上方に
は燃焼室6が形成されている。各燃焼室6は、シリンダ
ヘッド1bに形成された気筒毎の吸気ポート7を介して
共通の吸気通路8に連通されている。各吸気ポート7
は、シリンダヘッド1bに取付けられた吸気弁9によっ
て周期的に開放及び閉塞される。また、各燃焼室6は、
シリンダヘッド1bに形成された気筒毎の排気ポート1
0を介して共通の排気通路11に連通されている。各排
気ポート10は、シリンダヘッド1bに取付けられた排
気弁12によって周期的に開放及び閉塞される。
【0023】前記吸気通路8はエンジン1の外部の空気
を燃焼室6へ導くための通路である。吸気通路8は、エ
アクリーナ13、スロットルボディ14、サージタンク
15及び吸気マニホルド16を含んでいる。
【0024】スロットルボディ14内には、スロットル
弁17が軸18により支持されている。軸18はケーブ
ル等によってアクセルペダル(図示しない)に連結され
ている。そして、運転者によりアクセルペダルが踏み込
まれると、その踏み込み動作がケーブル等を介して軸1
8に伝達され、スロットル弁17が軸18と一体で回動
する。スロットル弁17の回動角度に応じて吸気通路8
の流路面積が変化し、その吸気通路8を流れる空気(吸
入空気)の量が調節される。サージタンク15は、吸入
空気の脈動を平滑化させたり、気筒間での吸気干渉を防
止するためのタンクである。
【0025】吸気マニホルド16には、各燃焼室6に燃
料を供給するための電磁式の燃料噴射弁19が取付けら
れている。燃料噴射弁19はニードルバルブ及びソレノ
イドコイルを備え、そのソレノイドコイルが通電される
ことによりニードルバルブが移動して、噴射口が開かれ
る。噴射口の開放にともない高圧の燃料が噴射される。
そして、噴射された燃料と吸入空気とからなる混合気
は、吸気弁9の開かれる際に吸気ポート7を通じて燃焼
室6内へ導入される。
【0026】エンジン1には、混合気に着火するための
半導体点火方式の点火装置20が設けられている。この
点火装置20はイグナイタ21、イグニションコイル2
2、ディストリビュータ23及び気筒毎の点火プラグ2
4を備え、点火手段を構成している。
【0027】イグナイタ21は外部(後記する電子制御
装置)からの点火信号に基づきイグニションコイル22
の一次側コイルへの通電を許容あるいは遮断する。一次
側コイルへの通電が遮断されると、イグニションコイル
22の二次側コイルに高圧の二次電圧が発生する。この
二次電圧は、ディストリビュータ23によって各点火プ
ラグ24に分配される。すると、点火プラグ24の電極
間に電流が流れ(放電が起こり)、火花が発生する。
【0028】この点火によって各燃焼室6内の混合気が
燃焼され、ピストン3がシリンダ2内を往復動する。こ
の往復運動がコネクティングロッド4によって回転運動
に変換され、クランクシャフト5が回転駆動される。燃
焼によって生じた燃焼室6内のガス(排気ガス)は、排
気弁12が開かれる際に排気ポート10から排気通路1
1へ排出される。
【0029】排気通路11は排気ガスをエンジン1の外
部へ導出するための通路であり、排気マニホルド25及
び触媒コンバータ26を含んでいる。触媒コンバータ2
6には、排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素
(CO)及び酸化窒素(NOx)を浄化させるための触
媒26aが内蔵されている。
【0030】さらに、シリンダブロック1aには、エン
ジン1を始動させるためのスタータ27が取付けられて
いる。スタータ27は、車載バッテリ28を電源とする
短時間定格の直流モータを備えている。スタータ27で
は、イグニションスイッチ29がスタート位置に回され
たときに、直流モータの駆動ギヤ(ピニオン)がフライ
ホイールのリングギヤにかみ合い、クランクシャフト5
を回転させる。一旦エンジン1が始動すると、駆動ギヤ
はリングギヤから自動的に戻るようになっている。
【0031】前記エンジン1及び車両の各部には、エア
フロメータ31、スロットルセンサ32、水温センサ3
3、回転速度センサ34、基準位置センサ35及び車速
センサ36が配設されている。これらのセンサ31〜3
6はエンジン1の運転状態を検出するための運転状態検
出手段を構成している。
【0032】エアフロメータ31は吸入空気の量を計測
するための流量計である。本実施例では、このエアフロ
メータ31として、吸入空気が通過するときに生ずる圧
力差によってメジャリングプレート(ベーン)が押し開
かれるタイプが用いられている。
【0033】スロットルセンサ32はスロットルボディ
14に取付けられている。スロットルセンサ32は、ス
ロットル弁17によって吸気通路8が閉塞されたときア
イドル信号を出力し、吸気通路8がわずかでも開かれて
いるとき、スロットル弁17の回動角度(スロットル開
度TA)を検出する。
【0034】水温センサ33はエンジン1の冷却水の温
度(冷却水温THW)を検出するためのセンサであり、
ウォータアウトレット部等の冷却水の通路部分に取付け
られている。水温センサ33は温度によって抵抗値が大
きく変化するサーミスタを内蔵している。水温センサ3
3はサーミスタの抵抗値の変化によって冷却水温の変化
を検出する。
【0035】回転速度センサ34はクランクシャフト5
の回転速度(エンジン回転速度NE)を検出するための
ものであり、ディストリビュータ23に内蔵されてい
る。このセンサ34は、自身の外周に多数の突起を有す
るタイミングロータと、その外側に配置されたピックア
ップコイルとからなる。回転速度センサ34は、クラン
クシャフト5の回転にともないタイミングロータ上の突
起がピックアップコイルの前方を通過する毎に、パルス
状の回転速度信号を出力する。
【0036】基準位置センサ35は、特定気筒における
クランクシャフト5の回転角度(クランク角)の基準位
置(例えば圧縮上死点)を検出するためのものであり、
ディストリビュータ23に内蔵されている。クランク角
は°CA(CAはcrank angle の略称である)で表され
る。基準位置センサ35は、自身の外周に1個の突起を
有するタイミングロータと、その外側に配置されたピッ
クアップコイルとからなる。このセンサ35は、クラン
クシャフト5の回転にともないタイミングロータ上の1
個の突起がピックアップコイルの前方を通過する毎に、
パルス状の基準位置信号を出力する。
【0037】車速センサ36は、エンジン1に連結され
て変速状態を切換えるための変速機30に取付けられて
いる。車速センサ36は、変速機30のギヤの回転にと
もない回転するロータマグネットと、そのロータマグネ
ットの回転によりオン・オフするリードスイッチとを備
え、ロータマグネットが1回転する間に複数(例えば4
つ)のパルス信号を出力する。従って、単位時間当たり
のパルス信号の数に基づき、ロータマグネットの回転
数、すなわち、車速SPDを検知することが可能であ
る。
【0038】車両には、上記エアフロメータ31及び各
センサ32〜36の検出信号に基づき、点火装置20の
作動を制御するために、電子制御装置(Electronic Con
trolUnit 、以下ECUという)37が設けられてい
る。
【0039】図3に示すようにECU37は、始動検出
手段及びソフト点火用処理手段としての中央処理装置
(以下CPUという)38、読み出し専用メモリ(以下
ROMという) 39、ランダムアクセスメモリ(以下R
AMという)40、バックアップRAM41、ハード点
火用処理手段としてのバックアップIC42、A/Dコ
ンバータ43、入力インタフェース回路45及び出力イ
ンタフェース回路46を備え、これらは互いにバス47
によって接続されている。また、ECU37は入力イン
タフェース回路44を備えている。
【0040】ROM39は制御プログラム及び初期デー
タを予め記憶している。CPU38は演算処理回路から
なり、その第1の作動保障最小電圧V1(約3.7ボル
ト)以上の電圧が供給されたとき作動し、前記制御プロ
グラム及び初期データに従って各種演算処理を実行す
る。RAM40はCPU38による演算結果を一時的に
記憶する。バックアップRAM41は、ECU37に対
する電力供給が停止された後にも、RAM40内の各種
データを保持するためのものである。
【0041】バックアップIC42は、ソフトウェアに
よらずに、アンド回路、オア回路等のゲート回路によっ
てハード的にロジックを構成した周知のものである。バ
ックアップIC42は、エンジン1の始動時にCPU3
8に供給される電圧が第1の作動保障最小電圧V1より
も低くなり、そのCPU38の作動が不安定になった場
合にも、点火装置20を作動させるためのものである。
そのために、バックアップIC42は、前記第1の作動
保障最小電圧V1よりも低く設定された第2の作動保障
最小電圧V2(約3.0ボルト)以上の電圧が供給され
たときに作動するようになっている。
【0042】CPU38、バックアップRAM41及び
バックアップIC42は、電源IC48を介して車載バ
ッテリ28に接続されている。電源IC48は、車載バ
ッテリ28の電圧(約12ボルト)を、CPU38、バ
ックアップRAM41及びバックアップIC42の作動
保障最大電圧以下(通常5ボルト)まで下げるためのも
のである。
【0043】エアフロメータ31からの吸入空気量信
号、水温センサ33からの冷却水温信号及びスロットル
センサ32からのスロットル開度信号は入力インタフェ
ース回路44に入力される。これらのアナログ信号はA
/Dコンバータ43でディジタル信号に変換された後、
CPU38に入力される。
【0044】スロットルセンサ32からのアイドル信
号、回転速度センサ34からの回転速度信号、基準位置
センサ35からの基準位置信号及び車速センサ36から
の車速信号は、入力インタフェース回路45を介してC
PU38に入力される。
【0045】さらに、エンジン1の始動時(クランクシ
ャフト5がスタータ27によって回転されるクランキン
グ時)にスタータ27に加わる電圧は、スタータ信号S
TAとして、入力インタフェース回路45を介してCP
U38に入力される。すなわち、エンジン1の始動のた
めに、運転者によってイグニションスイッチ29がスタ
ート位置まで回動操作され、その操作にともないスター
タ27が作動しているときにのみ、スタータ信号STA
は「オン」となる。エンジン1が始動して、イグニショ
ンスイッチ29がスタート位置からオン位置まで戻され
ると、スタータ信号STAは「オン」から「オフ」に切
り換わる。
【0046】CPU38は前記のように入力された信号
に基づき、吸入空気量Q、冷却水温THW、スロットル
開度TA、アイドル信号、エンジン回転速度NE、クラ
ンク角の基準位置、車速SPD及びスタータ信号STA
をそれぞれ検出する。
【0047】一方、CPU38は前記の各種検出値に基
づき点火時期θを演算し、その時期θに基づき点火プラ
グ24で放電を起こさせるための点火信号(ソフト点火
信号)を、出力インタフェース回路46を介してイグナ
イタ21に出力する。
【0048】次に、ECU37内のCPU38及びバッ
クアップIC42の接続関係を図4に従って説明する。
A/Dコンバータ43は信号線49によってCPU38
に接続されており、吸入空気量信号、冷却水温信号及び
スロットル開度信号が、この信号線49を介してCPU
38に入力される。入力インタフェース回路45は信号
線50によってCPU38に接続されており、アイドル
信号、エンジン回転速度信号、基準位置信号及び車速信
号が、この信号線50を介してCPU38に入力され
る。
【0049】入力インタフェース回路45は信号線51
によってCPU38に接続されるとともに、信号線52
によってアンドゲート53の入力端子54に接続されて
いる。そして、イグニションスイッチ29がスタート位
置まで回されて、スタータ27に電圧が印加されると、
すなわち、スタータ信号STAが「オン」になると、信
号線51,52の信号レベルはともに「H(ハイ)」と
なる。また、イグニションスイッチ29がスタート位置
からオン位置まで戻されて、スタータ27への電圧印加
が停止されると、すなわち、スタータ信号STAが「オ
フ」になると、信号線51,52の信号レベルはともに
「L(ロー)」となる。本実施例では、信号レベル
「H」のスタータ信号STAを始動検出信号としてい
る。
【0050】CPU38は、これらの入力信号に基づき
疑似スタータ信号STAout 及びソフト点火信号IGT
sをそれぞれ生成する。CPU38は信号線57によっ
てアンドゲート53の入力端子55に接続されている。
CPU38から出力される疑似スタータ信号STAout
が「オフ」になると、信号線57の信号レベルは「H」
となる。また、疑似スタータ信号STAout が「オン」
になると、信号線57の信号レベルは「L」となる。本
実施例では、信号レベル「H」の疑似スタータ信号ST
Aout を、エンジン1が実質的に始動状態であることを
示す疑似信号としている。
【0051】アンドゲート53は、スタータ信号STA
と疑似スタータ信号STAout とを入力し、その論理積
信号を始動検出信号(スタータ信号STA)として出力
する。アンドゲート53の出力端子56は信号線58に
よってバックアップIC42に接続されている。信号線
58における信号レベルは、信号線52,57の信号レ
ベルがともに「H」の場合にのみ「H」となり、それ以
外の場合には「L」となる。
【0052】CPU38は信号線59によってバックア
ップIC42に接続されている。また、バックアップI
C42は信号線60によって出力インタフェース回路4
6に接続されている。
【0053】図5には、バックアップIC42内で行わ
れる信号処理の流れを示す。この処理は、イグニション
スイッチ29がオフ位置からオン位置あるいはスタート
位置に回されたときに開始され、同スイッチ29がオフ
位置に戻されたときに停止される。アンドゲート53か
らのスタータ信号STAの信号レベルが「H」である場
合、CPU38からのソフト点火信号IGTsにかえ
て、予め設定された始動時用の点火時期θ(例えば上死
点前5°CA)に対応するハード点火信号IGThが出
力インタフェース回路46に出力される。これに対し、
アンドゲート53からのスタータ信号STAの信号レベ
ルが「L」である場合、CPU38からのソフト点火信
号IGTsがそのまま出力インタフェース回路46に出
力される。
【0054】図6のフローチャートには、CPU38に
よって実行される点火時期制御ルーチンを示す。このル
ーチンは、イグニションスイッチ29がオフ位置からオ
ン位置まで回されたときに開始され、その後、同スイッ
チ29がオフ位置へ戻されるまでの期間にわたり、所定
時間毎に実行される。
【0055】エンジン1の始動のために、運転者によっ
てイグニションスイッチ29がオフ位置からオン位置へ
回されると、まずステップ101において、水温センサ
33によって検出された冷却水温THWが第1の判定値
α(例えば80℃)以上であるか否かを判定する。第1
の判定値αは、エンジン1が高温再始動時であるか否か
を判定するために設定された値であり、高温再始動時に
採り得る冷却水温の最小値に基づき決定されている。
【0056】この判定条件が成立していない(THW<
80℃)と、前回のエンジン1の運転停止から十分な時
間が経過していて、エンジン1自体や冷却水の温度が低
くなっていると判断し、ステップ102へ移行する。
【0057】ステップ102において、スタータ信号S
TAが「オン」であるか否か、すなわち、信号線51の
信号レベルが「H」であるか否かを判定する。この判定
条件が成立していると、スタータ27に電圧が印加さ
れ、このスタータ27の駆動によってクランクシャフト
5に回転力が付与され、エンジン1が始動中(クランキ
ング中)であると判断し、ステップ103へ移行する。
【0058】ステップ103において、疑似スタータ信
号STAout を「オフ」にし、この信号を信号線57を
介してアンドゲート53に出力する。続いて、ステップ
104において、点火時期θを上死点前5°CAに設定
し、この点火時期θに点火が行われるようにソフト点火
信号IGTsを出力する。ステップ104の処理を実行
した後、ステップ102に戻る。
【0059】前記ステップ102の判定条件が成立して
いない(スタータ信号STAが「オフ」である)と、イ
グニションスイッチ29がスタート位置になく、スター
タ27が駆動していないと判断し、ステップ105へ移
行する。ステップ105において、回転速度センサ34
によって検出されたエンジン回転速度NEが予め定めら
れた第2の判定値β(例えば500rpm)以上である
か否かを判定する。第2の判定値βは、スタータ27の
駆動が停止された後、点火装置20による点火動作が連
続して行われたか否かを判定するために設定された値で
ある。
【0060】この判定条件が成立していない(NE<5
00rpm)と前述したステップ103,104の処理
を実行し、成立している(NE≧500rpm)とステ
ップ106へ移行する。
【0061】ステップ106において、スタータ信号S
TAが「オン」から「オフ」に切り換わった後、所定時
間(例えば100ms)が経過したか否かを判定する。
すなわち、エンジン1の始動時には、クランクシャフト
5の回転のためにスタータ27の駆動ギヤがフライホイ
ール側へ突出及び後退する。この駆動ギヤの作動にとも
ないスタータ27に印加される電圧が変動し、その結
果、スタータ信号STAが「オン」になったり「オフ」
になったりする。この現象が起こるのは、スタータ27
の駆動のために電圧が印加された直後の一瞬である。そ
のため、本実施例では、スタータ信号STAが「オン」
から「オフ」に切り換わった直後であるか否かをステッ
プ106の処理によって判別し、直後である場合には、
その信号STAに基づいて疑似スタータ信号STAout
(「オフ」)を生成しないようにしている。
【0062】ステップ106の判定条件が成立していな
い(100msが経過していない)と、前述したステッ
プ103,104の処理を実行する。このように、上記
の処理(ステップ103,104)が行われると、信号
線57を介してアンドゲート53に出力される疑似スタ
ータ信号STAout の信号レベルは「H」である。
【0063】これに対し、ステップ106の判定条件が
成立している(100msが経過している)と、ステッ
プ107において、疑似スタータ信号STAout を「オ
ン」にし、この信号を信号線57を介してアンドゲート
53に出力する。このときの信号線57の信号レベルは
「L」となる。
【0064】続いて、ステップ108において、各種パ
ラメータに基づき点火時期θを算出する。より詳しく
は、初期セット点火時期(例えば上死点前10°CA)
に基本進角度と補正進角度とを加算することにより点火
時期θを決定する。すなわち、ROM39内には、エン
ジン負荷(吸入空気量Q)及びエンジン回転速度NEに
応じた適切な進角値(基本進角度)が記憶されている。
CPU38はそのときの吸入空気量Q及びエンジン回転
速度NEに対応する基本進角度を前記マップから選び出
す。
【0065】補正進角度としては、例えば暖機補正進角
度、アイドル安定化補正進角度等がある。暖機補正進角
度は、アイドル時であって冷却水温が低い場合に暖機性
能を向上させるためのものであり、アイドル信号の有無
及び冷却水温THWに基づき決定される。アイドル安定
化補正進角度は、エンジン1の暖機後のアイドル時にエ
ンジン回転速度NEが目標値よりも低下した場合に、そ
の低下分に応じて点火時期を進角させ、エンジン回転速
度NEを安定させるためのものである。この補正進角度
は、エンジン回転速度NE、アイドル信号の有無、車速
SPD等に基づき決定される。
【0066】そして、CPU38は回転速度信号及び基
準位置信号によって決まるクランク角が上記のようにし
て求めた点火時期θに対応する値になると、ソフト点火
信号IGTsを出力する。
【0067】一方、ステップ101の判定条件が成立し
ている(THW≧80℃)と、エンジン1自体や冷却水
の温度が高くなっていると判断し、ステップ109にお
いて、スタータ信号STAが「オン」であるか否か、す
なわち、信号線51の信号レベルが「H」であるか否か
を判定する。この判定条件が成立していると、エンジン
1の高温始動時においてスタータ27に電圧が印加さ
れ、このスタータ27の作動によってクランクシャフト
5に回転力が付与され、エンジン1のクランキング中で
あると判断し、ステップ110へ移行する。ステップ1
10において、疑似スタータ信号STAout を「オン」
にし、この信号を信号線57を介してアンドゲート53
に出力する。
【0068】続いて、ステップ111において、前述し
たステップ108と同様に、各種パラメータ(吸入空気
量Q、エンジン回転速度NE、アイドル信号、車速SP
D等)に基づき、ステップ104での値(上死点前5°
CA)よりも遅い点火時期θを算出する。そして、クラ
ンク角が前記点火時期θに対応する値になると、ソフト
点火信号IGTsを出力する。ステップ111の処理を
実行した後、ステップ109へ戻る。
【0069】前記ステップ109の判定条件が成立して
いない(スタータ信号STAが「オフ」である)と、イ
グニションスイッチ29がスタート位置になく、スター
タ27が作動していないと判断し、ステップ112へ移
行する。ステップ112において、回転速度センサ34
によって検出されたエンジン回転速度NEが第2の判定
値β(500rpm)以上であるか否かを判定する。
【0070】この判定条件が成立していない(NE<5
00rpm)と前述したステップ110,111の処理
を実行し、成立している(NE≧500rpm)とステ
ップ113へ移行する。ステップ113において、スタ
ータ信号STAが「オン」から「オフ」に切り換わった
後、所定時間(100ms)が経過したか否かを判定す
る。この判定条件が成立していない(100msが経過
していない)と、前述したステップ110,111の処
理を実行する。
【0071】上記のステップ110,111の処理が行
われると、信号線57を介してアンドゲート53に出力
される疑似スタータ信号STAout の信号レベルは
「L」である。
【0072】これに対し、ステップ113の判定条件が
成立している(100msが経過している)と、ステッ
プ114において、疑似スタータ信号STAout を「オ
ン」にし、この信号を信号線57を介してアンドゲート
53に出力する。従って、信号線57の信号レベルは
「L」となる。
【0073】続いて、ステップ115において、前記ス
テップ108と同様に各種パラメータに基づき点火時期
θを算出する。そして、クランク角が前記点火時期θに
対応する値になるとソフト点火信号IGTsを出力す
る。
【0074】このように点火時期制御ルーチンでは、C
PU38はスタータ信号STAが「オン」であり、エン
ジン1の運転状態が予め定めた領域(冷却水温THWが
80℃よりも低い領域)に属しているとき、エンジン1
が実質的に始動状態であることを示す疑似スタータ信号
STAout を生成する。また、CPU38はエンジン1
の運転状態に応じた点火時期θを常に算出し、その時期
に点火装置20に点火動作を行わせるためのソフト点火
信号IGTsを出力する。
【0075】次に、本実施例の作用及び効果について説
明する。まず、車載バッテリ28からCPU38及びバ
ックアップIC42に対し第1の作動保障最小電圧V1
(約3.7ボルト)以上の電圧が供給されていて、冷却
水温THWが80℃よりも低いときには、以下のように
して点火が行われる。
【0076】スタータ信号STAが「オン」(信号レベ
ル「H」)である場合には、疑似スタータ信号STAou
t は「オフ」(信号レベル「H」)となる。アンドゲー
ト53の出力信号の信号レベルは「H」となる。バック
アップIC42は、ハード点火信号IGThを信号線6
0及び出力インタフェース回路46を介して点火装置2
0に出力する。この信号に応じて、点火装置20は上死
点前5°CAで点火動作を行う。
【0077】スタータ信号STAが「オフ」(信号レベ
ル「L」)であり、かつエンジン回転速度NEが500
rpmより低い場合、あるいは、エンジン回転速度NE
が500rpm以上であるものの、スタータ信号STA
が「オン」から「オフ」に切り換わってから100ms
経過していない場合には、疑似スタータ信号STAout
は「オフ」(信号レベル「H」)となる。アンドゲート
53の出力信号の信号レベルは「L」となる。バックア
ップIC42は、ソフト点火信号IGTsを信号線60
及び出力インタフェース回路46を介して点火装置20
に出力する。この信号に応じて、点火装置20は上死点
前5°CAで点火動作を行う。
【0078】スタータ信号STAが「オフ」(信号レベ
ル「L」)であり、かつエンジン回転速度NEが500
rpm以上であり、かつスタータ信号STAの「オフ」
の状態が100ms継続した場合には、疑似スタータ信
号STAout は「オン」(信号レベル「L」)となる。
アンドゲート53の出力信号の信号レベルは「L」とな
る。バックアップIC42は、CPU38からのソフト
点火信号IGTsを、信号線60及び出力インタフェー
ス回路46を介して点火装置20に出力する。この信号
に応じ、点火装置20はそのときのエンジン1の運転状
態に適した点火時期に点火動作を行う。
【0079】次に、車載バッテリ28からCPU38及
びバックアップIC42に対し第1の作動保障最小電圧
V1(約3.7ボルト)以上の電圧が供給されていて、
冷却水温THWが80℃以上であるときには、以下のよ
うにして点火が行われる。
【0080】スタータ信号STAが「オン」(信号レベ
ル「H」)である場合(高温再始動時)には、疑似スタ
ータ信号STAout は「オン」(信号レベル「L」)と
なる。アンドゲート53の出力信号の信号レベルは
「L」となる。バックアップIC42は、CPU38か
らのソフト点火信号IGTsを信号線60及び出力イン
タフェース回路46を介して点火装置20に出力する。
この信号に応じて、点火装置20は上死点前5°CAよ
りも遅い時期に点火動作を行う。
【0081】スタータ信号STAが「オフ」(信号レベ
ル「L」)であり、かつエンジン回転速度NEが500
rpmより低い場合、あるいは、エンジン回転速度NE
が500rpm以上であるものの、スタータ信号STA
が「オン」から「オフ」に切り換わってから100ms
経過していない場合には、疑似スタータ信号STAout
は「オン」(信号レベル「L」)となる。アンドゲート
53の出力信号の信号レベルは「L」となる。バックア
ップIC42は、ソフト点火信号IGTsを信号線60
及び出力インタフェース回路46を介して点火装置20
に出力する。この信号に応じ、点火装置20は上死点前
5°CAよりも遅い時期に点火動作を行う。
【0082】スタータ信号STAが「オフ」(信号レベ
ル「L」)であり、かつエンジン回転速度NEが500
rpm以上であり、かつスタータ信号STAの「オフ」
が100ms継続した場合には、疑似スタータ信号ST
Aout は「オン」(信号レベル「L」)となる。アンド
ゲート53の出力信号の信号レベルは「L」となる。バ
ックアップIC42は、CPU38からのソフト点火信
号IGTsを、信号線60及び出力インタフェース回路
46を介して点火装置20に出力する。この信号に応
じ、点火装置20はそのときのエンジン1の運転状態に
適した時期に点火動作を行う。
【0083】このように、本実施例におけるCPU38
は、スタータ信号STAが「オン」となり、かつエンジ
ン1の運転状態が予め定めた領域(THW<80℃)に
属しているとき、エンジン1が実質的に始動状態である
ことを示す疑似スタータ信号STAout を出力する機能
を有している。また、本実施例ではスタータ信号STA
と、CPU38からの疑似スタータ信号STAout とを
入力し、その論理積信号をスタータ信号STAとしてバ
ックアップIC42に出力するアンドゲート53を設け
ている。このため、アンドゲート53から信号レベル
「L」のスタータ信号STAが出力されているときに
は、CPU38のソフト点火信号IGTsがそのままバ
ックアップIC42から点火装置20に出力される。ま
た、アンドゲート53から信号レベル「H」のスタータ
信号STAが出力されているときにはハード点火信号I
GThがバックアップIC42から点火装置20に出力
される。
【0084】換言すると、エンジン1の始動以外のとき
には、ソフト点火信号IGTsに従い、そのときどきの
運転状態に適した点火時期θにて点火が行われる。ま
た、スタータ27の駆動によってエンジン1が始動され
ているときには、運転状態が前記領域(THW<80
℃)に属している場合にのみ、ハード点火信号IGTh
に従い点火時期θ(上死点前5°CA)で点火が行われ
る。スタータ27の駆動によってエンジン1が始動され
ていても、前記領域から外れている(THW≧80℃)
と、CPU38からのソフト点火信号IGTsに従い、
上記上死点前5°CAよりも遅いタイミングで点火が行
われる。
【0085】従って、スタータ信号STAが「オン」に
なると、一律に上死点前5°CAで点火が行われる場合
(従来技術に相当)に比べ、本実施例ではエンジン1の
そのときどきの運転状態に適したきめ細かい点火時期制
御が可能となる。
【0086】特に、本実施例ではスタータ27が駆動さ
れ、かつ冷却水温THWが80℃以上の場合には、上死
点前5°CAよりも遅いタイミングで点火が行われる。
このため、高圧縮比型のエンジン1であっても、高温再
始動時にノッキングが発生するのを抑制することができ
る。すなわち、このタイプのエンジン1の高温再始動時
には、燃焼室6内に未燃ガスが残って燃焼しやすい状態
になっている。そのため、適切な点火時期よりも早い時
期に点火が起こってノッキングが発生しやすい。これに
対し、本実施例では上記のように点火時期を遅角するよ
うにしているので、このようなノッキングの発生を抑制
できる。その結果、燃費の向上を目的としたエンジンの
高圧縮比化にも適合できる。
【0087】一方、エンジン1の始動時に車載バッテリ
28の電圧が低下し、その電圧が第2の作動保障最小電
圧V2(約3.0ボルト)以上で、かつ第1の作動保障
最小電圧V1(約3.7ボルト)よりも低くなると、次
のようにして点火が行われる。
【0088】この場合、CPU38は正常に作動しなく
なり、疑似スタータ信号STAoutが「オフ」(信号レ
ベル「H」)となる。スタータ信号STAは「オン」
(信号レベル「H」)である。このため、アンドゲート
53の出力信号の信号レベルは「H」となる。バックア
ップIC42は、ハード点火信号IGThを信号線60
及び出力インタフェース回路46を介して点火装置20
に出力する。この信号に応じて、点火装置20は上死点
前5°CAに点火動作を行う。
【0089】このように、本実施例によれば低電圧時の
点火性能を確保することができる。また、バックアップ
IC42を改良しなくてすむので、その分、コスト上昇
を抑制できる。
【0090】なお、本発明は次に示す別の実施例に具体
化することができる。 (1)前記実施例では、スタータ信号STAが「オン」
となり、かつ冷却水温THWが80℃以上の場合に、5
°CAよりも遅いタイミングで点火を行うようにした
が、スタータ信号STAが「オン」となり、かつ冷却水
温THWがエンジン1の通常運転時の値よりも低い場合
に、5°CAよりも早いタイミングで点火を行うように
してもよい。このようにすれば、低温始動時の始動性を
向上できる。
【0091】(2)前記実施例では、点火時期θの算出
に際し、基本進角度を決定するためにエンジン負荷とし
て吸入空気量Qを用いたが、これにかえて、吸気通路の
圧力(吸気圧)を検出しエンジン負荷として用いてもよ
い。
【0092】以上、本発明の各実施例について説明した
が、各実施例から把握できる請求項以外の技術的思想に
ついて、以下にその効果とともに記載する。 (イ)請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置に
おいて、ソフト点火用処理手段が疑似信号を出力する際
の機関運転状態の領域は、内燃機関の冷却水温THWが
内燃機関の高温再始動時の冷却水温に応じた第1の判定
値αよりも低い領域であり、始動検出手段から始動検出
信号が出力され、かつ冷却水温THWが第1の判定値α
以上である場合、ソフト点火用処理手段はハード点火用
処理手段において予め定められた点火時期よりも遅い点
火時期を算出するものである内燃機関の点火時期制御装
置。このような構成とすることにより、高温再始動時の
ノッキングの発生を抑制することができる。
【0093】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、内
燃機関の始動時に、電源の電圧がソフト点火用処理手段
の第1の作動保障最小電圧よりも低下した場合には、ハ
ード点火用処理手段からのハード点火信号によって点火
手段の点火動作が行われる。また、電源の電圧が第1の
作動保障最小電圧以上のときには、始動検出手段から始
動検出信号が出力されていても、ソフト点火用処理手段
から疑似信号が出力されなければ、ソフト点火信号によ
って点火手段の点火動作が行われる。従って、低電圧時
の点火性能を確保しつつ、内燃機関の始動性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念構成図である。
【図2】本発明を具体化した一実施例におけるエンジン
及びその周辺装置の概略構成図である。
【図3】ECUの内部構成を示すブロック図である。
【図4】CPU、バックアップIC、アンドゲート等の
接続関係を示すブロック図である。
【図5】バックアップICの動作を説明するための動作
説明図である。
【図6】CPUによって実行される点火時期制御ルーチ
ンを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのガソリンエンジン、20…点火手
段としての点火装置、27…スタータ、28…電源とし
ての車載バッテリ、31…エアフロメータ、32…スロ
ットルセンサ、33…水温センサ、34…回転速度セン
サ、35…基準位置センサ、36…車速センサ(31〜
36によって運転状態検出手段が構成されている)、3
8…始動検出手段及びソフト点火用処理手段を構成する
CPU、42…ハード点火用処理手段としてのバックア
ップIC、53…アンドゲート、STA…始動検出信号
としてのスタータ信号、STAout …疑似信号としての
疑似スタータ信号、IGTs…ソフト点火信号、IGT
h…ハード点火信号、θ…点火時期。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に設けられた点火手段と、 前記内燃機関のスタータの駆動状態を検出して、その駆
    動時には始動検出信号を出力する始動検出手段と、 前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段
    と、 演算処理回路からなり、その第1の作動保障最小電圧以
    上の電圧が電源から供給されたときに作動し、前記運転
    状態検出手段による機関運転状態に応じた点火手段の点
    火時期を算出するとともに、その点火時期に従い点火手
    段に点火動作を行わせるためのソフト点火信号を出力す
    るソフト点火用処理手段と、 前記第1の作動保障最小電圧よりも低く設定された第2
    の作動保障最小電圧以上の電圧が前記電源から供給され
    たときに作動し、前記始動検出手段から始動検出信号が
    出力されていないときには、ソフト点火用処理手段から
    のソフト点火信号を点火手段に出力し、始動検出手段か
    ら始動検出信号が出力されたときには、予め定められた
    点火時期に従い点火手段に点火動作を行わせるためのハ
    ード点火信号を点火手段に出力するハード点火用処理手
    段とを備えた内燃機関の点火時期制御装置であって、 前記ソフト点火用処理手段は、前記始動検出手段から始
    動検出信号が出力され、かつ前記運転状態検出手段によ
    る機関運転状態が予め定めた領域に属しているとき、内
    燃機関が実質的に始動状態であることを示す疑似信号を
    出力する機能を有し、 さらに、前記始動検出手段からの始動検出信号と、前記
    ソフト点火用処理手段からの疑似信号とを入力し、その
    論理積信号を前記始動検出信号としてハード点火用処理
    手段に出力するアンドゲートを設けた内燃機関の点火時
    期制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1446576B1 (de) * 2001-11-09 2008-07-09 Robert Bosch Gmbh Startvorrichtung für eine brennkraftmaschine
DE102009003418B4 (de) * 2008-02-08 2014-04-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Steuervorrichtung und -verfahren für Brennkraftmaschine

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EP1446576B1 (de) * 2001-11-09 2008-07-09 Robert Bosch Gmbh Startvorrichtung für eine brennkraftmaschine
DE102009003418B4 (de) * 2008-02-08 2014-04-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Steuervorrichtung und -verfahren für Brennkraftmaschine

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