JPH07279613A - 空気圧縮機の洗浄装置およびその洗浄液 - Google Patents

空気圧縮機の洗浄装置およびその洗浄液

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気圧縮機の翼に沈着した油脂類・塵埃物を
確実に取り除き、かつ洗浄後、翼等に錆等が発生しない
ようにする。 【構成】 空気圧縮機1の入口にノズル4を設け、この
ノズル4に導通路8を経て注水タンク5に接続する一
方、導通路8には加熱器14、冷却器15を列状に介装する
とともに、薬液タンク13を設け、洗浄液を加熱器14によ
り加温して空気圧縮機1の翼を洗浄し、次に洗浄液を冷
却器15により冷して空気圧縮機1の翼を洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、空気圧縮機の静翼、
動翼に沈着した堆積物を好ましく除去する空気圧縮機の
洗浄装置およびその洗浄液に関する。
【0002】
【従来の技術】発電所に使用される空気圧縮機は、多量
の圧縮空気を作り出して燃焼器に与えるため空気源を大
気に求めている。この場合、大気中には諸種の塵埃物が
含まれており、吸気フィルター等のロ過器で塵埃物を取
り除くにしても、取りきれない物は静翼、動翼に沈着
し、翼の損耗あるいは圧縮効率の低下を招来している。
【0003】従来、翼に沈着した塵埃物の除去作業は、
洗浄水の噴霧により洗浄しており、その一代表的な洗浄
装置は図2に示すものがある。洗浄装置は、図に示すよ
うに、空気圧縮機1の入口にノズル4を設け、ノズル4
に導通する管寄せ2に分岐管3を介装し、さらに導通路
8を経て注水タンク5に接続されている。また導通路8
にはポンプ6、止め弁7を備えている。
【0004】上述構成の洗浄装置を用いて空気圧縮機の
翼を洗浄する場合、先ず止め弁7を閉じ、逃し弁9を開
口し、導通路8の残水を取り除いている。次に、逃し弁
9を閉じ、止め弁7を開口し、注水タンク5からの洗浄
液をノズル4を経て翼に噴霧し、こうして翼洗浄を行な
っている。洗浄後の洗浄液はドレン弁10を経て機外に抜
き出されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図2に示す従来の空気
圧縮機の洗浄装置では、洗浄液が機内に残留して高温状
態にさらされている機材に悪影響を与えることをおそれ
て薬品を添加していない、いわゆる純水が使用されてい
る。
【0006】このため、翼の洗浄にあたり、塵埃物の除
去は、専らノズル4からの噴口力にたよざらずをえず、
油性物質やその酸化物質などはノズル4の噴口力をもっ
てしても完全に除去することができない問題点がある。
また、洗浄液が純水であっても、空気圧縮機内は酸素を
たっぷり含んだ湿潤雰囲気であり、いやおうなしに酸化
腐食の問題がある。さらに、近年環境規制の観点から、
ガスタービン燃焼器のNOx発生値が厳しくおさえられ
ているが、この場合、ガスタービン燃焼器に連通する空
気圧縮機に洗浄水を噴霧していたのでは、燃焼部分に錆
等の問題が出、燃料噴霧に悪影響を与え、ひいては消失
の問題が出る等諸種問題がある。
【0007】この発明はかかる事情に鑑み、翼に沈着し
た塵埃物を良好に除去できるようにする一方、翼に洗浄
水を噴霧しても他の構成部分に錆等を発生させないで洗
浄できるようにした空気圧縮機の洗浄装置およびその洗
浄液を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる空気圧
縮機の洗浄装置は、上述課題を解決するために、空気圧
縮機の入口にノズルを設け、このノズルに導通して注水
タンクを設け、注水タンクからの洗浄水を空気圧縮機の
静翼、動翼に噴霧する空気圧縮機の洗浄装置において、
上記ノズルに至る導通路に薬液タンクを設ける一方、加
熱器と冷却器を列状に設け、薬液タンクからの洗浄剤に
注水タンクからの水を加えた洗浄液を加熱器により加温
して上記空気圧縮機の静翼、動翼に噴霧し、洗浄後、再
び洗浄液を冷却器により冷却して上記空気圧縮機の静
翼、動翼に噴霧するものである。
【0009】また、上記課題を解決するために、この発
明にかかる空気圧縮機の洗浄液は、請求項2に記載した
ように、濃度1.5 〜5%の気化性防錆剤と濃度0.5 〜1
%のアルコールとからなるようにしたものである。
【0010】
【作用】この空気圧縮機の洗浄装置は、洗浄液を一旦、
加熱器により加温してから翼に沈着した油脂類、塵埃物
に噴霧し、次に洗浄液を冷却器により冷してから翼に沈
着した油脂類、塵埃物に噴霧するものであり、最初、翼
に沈着した塵埃物の剥離を促し、次に冷えた洗浄液の噴
霧力により翼に沈着した油脂類、塵埃物を取り除くよう
にしている。
【0011】したがって、翼に沈着した油脂類・塵埃物
を確実に取り除くことができる。その際、洗浄液は防錆
効果が高く、揮発性の高い溶液にしてあるため、他の構
成物におよぼす錆発生や腐食発生の心配がなく、安心し
た運転を継続することができる。
【0012】
【実施例】以下この発明にかかる空気圧縮機の洗浄装置
およびその洗浄液の実施例を図を参照して説明する。図
1は、この発明にかかる空気圧縮機の洗浄装置を示す略
示図である。
【0013】図1は、空気圧縮機、ガスタービン、発電
機等からなるガスタービン発電プラントのうち、空気圧
縮機1のみを抜き出した略示図である。空気圧縮機1
は、その入口にノズル4を備えている。このノズル4は
分岐管3を介装して管寄せ2に接続されている。管寄せ
2は、導通路8を経て注水タンク5に連通しており、こ
の導通路8に加熱器15と冷却器14が列状に設置されてい
る。また、導通路8には薬注ポンプ11、元弁12を経て薬
液タンク13が設けられている。
【0014】上記構成の洗浄装置において、空気圧縮機
の翼の洗浄は次のようにして行なわれる。まず、洗浄に
あたり、導通路8の弁7を開口し、逃し弁9およびドレ
ン弁10を閉口する。つづいて、ポンプ6により注水タン
ク5からの洗浄水を抜き出し、薬液タンク13からの洗浄
剤を加え、さらに加熱器14により加温して温水状態に
し、温水状態の下、管寄せ2に集め、ここからノズル4
を経て空気圧縮機1の静翼・動翼に噴霧している。
【0015】この工程が終ると、次に、注水タンク5の
洗浄水に薬液タンク13の洗浄剤を加え、その洗浄液は冷
却器15により冷され、冷された洗浄液は上述と同様にノ
ズル4から空気圧縮機1の静翼、動翼に噴霧している。
【0016】このように、空気圧縮機の静翼、動翼の洗
浄にあたり、洗浄液を暖冷の二工程に分けたのは、最
初、翼に沈着した油脂類、塵埃物の剥離を促し、軟弱状
態に油脂類、塵埃物を翼から容易に剥離させるためであ
る。
【0017】ちなみに、濃度0.5 〜5%の気化性防錆剤
に、濃度0.5 〜1%のアルコールを加えた洗浄液を、流
量約150 l/min の洗浄水に通水し、このような条件の
下、その洗浄液を加熱器14により約80℃に昇温させてノ
ズル4から翼に約3分間噴霧し、次に加熱器14を停止
し、冷却器15を作動させて約10℃に冷し、翼に約3分間
連続洗浄を行った結果、翼に沈着した油脂類、塵埃物は
良好に除去されていることが確認された。
【0018】ところで、この発明に適用した洗浄液のう
ち、気化性防錆剤は、シクロヘキシルアンモニウムナイ
トライド〔(C6112 ・NH・HNO2 〕であり、
空気圧縮機の機内材の表面に、水に非溶性のシクロヘキ
シル亜硝酸第一鉄アンモニウム〔(C611)・NH〕
2 ・Fe(NO22 の被膜を作って防食を図るもので
ある。また、気化性防錆剤に濃度0.5 〜1%のアルコー
ルを加えたのは、気化性防錆剤の洗浄水への溶解度を促
し、洗浄後の洗浄液の蒸発性を促し、油脂類の軟弱性を
促すためである。
【0019】図3は、気化性防錆剤溶液にテストピース
Aを浸した場合と、テストピースBを浸さない場合とを
比較した錆の発生有無を確認した図である。この図から
も理解されるように、気化性防錆剤溶液に浸したテスト
ピースAは、錆の発生がないことが確認された。また、
濃度1.5 %以上の気化性防錆剤では、その溶液にテスト
ピースA,Bを浸漬しようがしまいが、その有無に関係
なく1週間経過しても金属光沢はもとの状態に維持され
ていることも確認された。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
空気圧縮機の洗浄装置では、洗浄液を加熱器により加温
して翼に噴霧させ、翼に沈着した油脂類・塵埃物を軟弱
化させ、次に洗浄液を冷却器により冷して翼に噴霧させ
たものであるから、翼に沈着した油脂類・塵埃物は確実
に取り除くことができる。また、洗浄液は防錆効果が高
く、揮発性の高い溶液であるから、空気圧縮機内の機材
に錆発生や腐食発生を与える心配がない等すぐれた効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる空気圧縮機の洗浄装置の実施
例を示す略示図。
【図2】従来の実施例を示す略示図。
【図3】気化性防錆剤溶液に、テストピースを浸漬した
場合、そうでない場合における錆の発生有無を確認した
説明図。
【符号の説明】
1 空気圧縮機 2 管寄せ 4 ノズル 5 注水タンク 8 導通路 13 薬液タンク 14 加熱器 15 冷却器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気圧縮機の入口にノズルを設け、この
    ノズルに導通して注水タンクを設け、注水タンクからの
    洗浄水を空気圧縮機の静翼、動翼に噴霧する空気圧縮機
    の洗浄装置において、上記ノズルに至る導通路に薬液タ
    ンクを設ける一方、加熱器と冷却器を列状に設け、薬液
    タンクからの洗浄剤に注水タンクからの水を加えた洗浄
    液を加熱器により加温して上記空気圧縮機の静翼、動翼
    に噴霧し、洗浄後、再び洗浄液を冷却器により冷却して
    上記空気圧縮機の静翼、動翼に噴霧することを特徴とす
    る空気圧縮機の洗浄装置。
  2. 【請求項2】 洗浄液は濃度1.5 〜5%の気化性防錆剤
    と濃度0.5 〜1%のアルコールとからなることを特徴と
    する空気圧縮機の洗浄液。
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