JPH07278567A - 炭化水素の接触転化方法 - Google Patents

炭化水素の接触転化方法

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JPH07278567A
JPH07278567A JP6090737A JP9073794A JPH07278567A JP H07278567 A JPH07278567 A JP H07278567A JP 6090737 A JP6090737 A JP 6090737A JP 9073794 A JP9073794 A JP 9073794A JP H07278567 A JPH07278567 A JP H07278567A
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catalyst
reaction
sio
zeolite
hydrocarbon
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JP6090737A
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English (en)
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Kozo Takatsu
幸三 高津
Masahiko Sawa
正彦 澤
Junichi Kanai
順一 金井
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 シリカ源成分とアルミナ源成分との割合がモ
ル比[SiO2/Al23]で20〜200であり、シ
リカ源成分とガリア源成分との割合がモル比[SiO2
/Ga23]で200以上であり、全水分とシリカ源成
分との割合がモル比[H2O/SiO2]で30〜50で
あり、更に、炭素数1〜6のアルコール類、アミン類又
はアミノアルコールからなる有機成分Rとシリカ源成分
との割合がモル比[R/SiO2]で0〜0.1である
原料混合物を用いて合成温度165〜180℃の条件で
水熱合成することによって合成されたMFIゼオライト
からなる触媒を用いる炭化水素の接触転化方法。 【効果】 これらのMFIゼオライトを触媒又は触媒成
分として利用すれば、触媒が反応時や触媒再生時解等に
高温下で水蒸気に接触するタイプの各種の炭化水素の接
触転化反応又はプロセスに有利に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素の接触転化方
法に関し、より詳しく言うと、特に触媒再生時や反応時
等における高温スチームによる触媒機能の低下が少な
く、触媒再生を頻繁に行っても長期間の使用に耐える耐
水熱性に優れたMFIゼオライト(ガロアルミノシリケ
ート類もしくはアルミノシリケート類)を触媒もしくは
触媒成分として利用し、炭化水素の接触転化反応を対象
とする炭化水素の接触転化プロセスを効率よくかつ経済
性よく行う方法に関する。
【0002】なお、本発明の方法は、特に、石油精製工
業、石油化学工業をはじめとする化学工業分野において
重要な、炭化水素の接触分解、芳香族化、異性化、アル
キル化、不均化、重合(オリゴメリゼーション)等を対
象とする諸プロセス、中でも特に触媒の再生を頻繁に行
う諸プロセスに好適に適用される。具体的には例えば、
FCCプロセス、石油や合成石油の改質プロセス、軽質
パラフィン類やオレフィンの芳香族化プロセスあるいは
骨格異性化プロセス、イソブテン等の低級オレフィンの
2量化等によるアルキレートガソリンの製造プロセス等
々の主として高オクタン価ガソリン基材やBTX等の有
用芳香族炭化水素の製造を目的とする諸プロセス、BT
Xあるいはナフタレン等の芳香族化合物のメタノール等
のアルコール類やエチレン、プロピレン等のオレフィン
類によるアルキル化プロセス、トルエン、メチルナフタ
レン等のアルキルベンゼン類の不均化プロセス、キシレ
ン等のアルキルベンゼン類の異性化プロセス等々の芳香
族化合物の諸転換プロセス、オレフィン類やパラフィン
類の異性化、不均化等による転換プロセスなどの各種の
炭化水素の接触転化プロセスに好適に適用される。これ
らの中でも特に、FCCプロセス、芳香族化プロセス等
に好適に適用される。
【0003】
【従来の技術】ゼオライトは、結晶構造に基づく規則正
しい細孔構造を有する高表面積の結晶性酸化物であり、
その細孔(ミクロポア)の内部に陽イオン交換サイトを
有することから、イオン交換等によって、細孔内に様々
な触媒機能を有する成分、例えばH+ や各種の金属イオ
ン、高分散金属成分等を導入もしくは担持することがで
きる。したがって、こうしたゼオライトの諸性質を利用
することによって、高活性の固体酸触媒、担持金属触
媒、酸−金属二元機能触媒等の優れた触媒機能を有する
多種多様な触媒を得ることができ、例えば、炭化水素の
接触分解反応、芳香族化反応、異性化反応、不均化反
応、重合反応(オリゴメリゼーション)、改質反応、メ
タノールや合成ガスからのガソリン等の製造、NOX
炭化水素等による選択的還元除去反応等々の各種の反応
に有効な多様なゼオライト系触媒が開発されている。
【0004】ゼオライトには、天然ゼオライトもある
が、触媒材料としては、合成ゼオライトが多く利用され
る。合成ゼオライトには、A型、X型、Y型、MFI型
(ZSM−5型等)、L型、モルデナイト類といった結
晶構造(細孔構造)を異にする各種のタイプのものがあ
り、また、組成についても、アルミノシリケートの他
に、ガロアルミノシリケート、ガロシリケート、フェロ
シリケート等の種々のものがある。
【0005】合成ゼオライトは、一般に、シリカ源とし
て水ガラス、ケイ酸ソーダ、コロイダルシリカ等を用
い、これに、アルミナ源、ガリア源等の他の金属酸化物
源となるそれぞれの化合物等を混合し、アルカリ水溶液
中で水熱合成することによって製造される。水熱合成に
よって生成するゼオライトは、通常、Na塩やK塩等の
アルカリ金属塩という触媒としては不活性な形態をとっ
ているので、合成後種々の処理を施して触媒あるいは触
媒成分として利用される。一般的には、酸やアンモニウ
ム塩、あるいはアルカリ金属以外の他の金属(例えば、
CaやLa、Ce等の希土類REといった多価金属)の
化合物でイオン交換してH+ 型、RE型等の高い酸性質
を有する固体酸触媒、あるいは、各種の触媒機能をする
金属成分(例えば、Pt、Pd、Ru、Rh、Cu、A
g、Mo、Ni、Fe、Co等の遷移金属など)をイオ
ン交換あるいは含浸等によって導入し、担持高分散金属
触媒、酸−金属二元機能触媒等として利用される。
【0006】一方、ゼオライトには、その細孔構造(細
孔径)に基づく分子ふるい効果があるので、形状選択性
という特異な選択性を示すことがある。これをうまく利
用することによって選択性を改善したり、生成物分布を
制御することもしばしば行われている。この形状選択性
を利用する場合には、どのような細孔構造(孔径)を有
するものを用いるかが重要となる。
【0007】例えばY型ゼオライトのように細孔径(細
孔入口の有効径)が0.7nmより大きい比較的大きな
サイズの細孔を有するゼオライトの場合には、比較的大
きな炭化水素分子が細孔に出入りできるので、サイズの
大きい炭化水素類の反応にも有効となり、例えば常圧軽
油や減圧軽油等の炭素数がかなり大きいパラフィン類を
主成分とする炭化水素留分の接触分解に対しても十分な
活性を示す。しかしながら、その反面、十分な形状選択
性が得られず、例えば炭化水素の接触分解や芳香族化反
応を行った場合BTX等の有用な芳香族炭化水素の収率
を高レベルまで増加させることが困難であるという欠点
がある。
【0008】これに対して、近年、Mobil社によっ
て開発されたZSM−5等で代表されるMFIゼオライ
トは、その細孔径(細孔入口の有効径)が0.5〜0.
6nm程度と適度に小さいことから形状選択性に優れ、
炭素数が2〜12程度の炭化水素の接触転化反応に有効
であり、例えば、パラフィンやオレフィンの芳香族化反
応に高活性を示す上にBTX等の有用芳香族炭化水素の
収率が高い。また、接触分解の場合にもY型ゼオライト
等の通常のFCC触媒に少量添加することによってその
FCCプロセスにおける生成物中のオクタン価の低い成
分を分解し、プロピレンやブチレンの収率を向上させる
ことができ、プロピレンやブチレン等、アルキレートガ
ソリンの原料とすることができるガソリン留分の収率と
オクタン価を大きく向上させることができる。更に、ベ
ンゼンやトルエンのメタノールやエチレン等によるアル
キル化反応やトルエンの不均化反応の場合、p−キシレ
ン、p−エチルトルエン等の特に有用なp−異性体の選
択性及び収率も高い。また、MFIゼオライトは、一般
に、高シリカゼオライトであり、比較的ストレートな細
孔が3次元型に発達した特殊な細孔構造を有することも
あって、Y型ゼオライトやモルデナイト等と比較してコ
ーキングが少ないなどの利点もある。それゆえ、近年、
MFIゼオライトを触媒あるいは触媒成分として利用す
る炭化水素の接触転化プロセスの重要性が急増してい
る。
【0009】ところで、MFIゼオライトとしては、ア
ルミノシリケート(ZSM−5)の他に、例えば、ガロ
シリケート、ガロアルミノシリケート等のGa成分を含
有するガロシリケート類やFe、B、Ti、Zr等の各
種の金属成分をゼオライト格子のT−原子として含有す
る様々なメタロシリケート類が合成されており、これら
を利用する触媒反応の研究が進められている。これらの
うち、ガロシリケートやガロアルミノシリケート等のガ
ロシリケート類は、Pt等の遷移金属を添加しなくて
も、パラフィン類等の比較的反応性の低い炭化水素類に
対しても高い脱水素能を示すこともあって、パラフィン
類やパラフィン基質の炭化水素混合物の芳香族化反応に
も高い活性及び選択性を示すことが知られている。
【0010】しかしながら、これらのMFIゼオライト
にも欠点があり、特に、耐水熱性が不十分であるため、
触媒再生時あるいは反応時に高温のスチームに接触させ
るとその触媒機能(特に酸性質)が低下しやすいと言う
重大な欠点がある。例えば、FCC触媒にMFIゼオラ
イトを添加して活性や生成油のオクタン価を改善したと
しても、従来のMFIゼオライトは耐水熱性が不十分で
あるため、触媒再生時に、反応時に析出したコークの燃
焼等によって発生する高温のスチームの作用によってそ
の優れた触媒機能が損なわれ、MFIゼオライトの頻繁
な添加が必要となる。特に、炭化水素の接触分解、芳香
族化反応といった厳しい反応条件で行われる炭化水素の
接触転化反応やオレフィン等のコーキングを起こしやす
い成分を含む炭化水素の反応の行う場合には、触媒上へ
のコークの析出速度が速いため触媒の再生を更に頻繁に
行う必要がある。このような触媒再生を頻繁に行うプロ
セスほど、その耐水熱性の問題が深刻になる。
【0011】ここで、MFIゼオライトを利用する接触
分解反応及び芳香族化反応に関する従来技術の例を挙げ
て、MFIゼオライトを用いる利点と耐水熱性の問題を
より具体的に示しておく。
【0012】例えば、特開昭47−8074号公報(特
公昭54−37162号公報)には、ガス油の接触分解
において、0.7nmよりも大きい孔径を有するゼオラ
イト(FCC触媒)にZSM−5を添加した混合触媒を
用いると、生成するガソリンのオクタン価と収率が共に
改善されるという結果が示されている。しかしながら、
該公報に記載されている方法で合成したZSM−5は、
耐水熱性に劣り、触媒再生時にスチーム雰囲気に接する
度にその活性が顕著に低下し、その添加効果は急激に失
われていく。このため、この場合の接触分解(FCC)
プロセスではZSM−5の添加を連続的に行う必要があ
り、プロセス効率が悪く、経済的でない。
【0013】一方、芳香族化反応の例として、特開昭4
9−41322号公報には、ZSM−5を触媒として用
いると炭素数が5以上の炭化水素から芳香族化合物を製
造できることが記載されている。しかしながら、該公報
の実施例に示されているZSM−5を実際に用いて反応
と再生を繰り返したところ、再生による活性低下が大き
く、触媒の繰り返し使用寿命が短いということが判明し
た。
【0014】また、特開昭53−92717号公報に
は、Ga成分を沈着又はイオン交換によって導入したゼ
オライトが炭化水素の芳香族化反応に高い活性を示すと
いうことが記載されている。しかしながら、そのゼオラ
イト自体がどのような方法によって合成されたものかは
不明であるし、また、該公報には、再生等の高温スチー
ム雰囲気に繰り返し接触した時の活性変化については記
載されていない。
【0015】また、特表昭61−501357号公報に
は、MFIゼオライトの1種であるガロアルミノシリケ
ートをスチーム処理(スチーミング)することによって
その芳香族化活性が増大することが記載されている。し
かしながら、該公報には、長時間スチーム処理する場合
の活性の変化についての記載は見られないし、また、ガ
ロアルミノシリケートの合成法による耐水熱性の差異に
ついても触れていない。
【0016】なお、上記のようなガロアルミノシリケー
トのスチーミングによる芳香族化活性の増大は、一般
に、スチーミングによってGaの一部がゼオライト格子
からはずれてゼオライトの細孔内や外表面に析出したG
23の高い脱水素能に基づくものとされている。とこ
ろが、本発明者らは、このような従来のガロアルミノシ
リケートを長時間スチーム処理すると脱ガリウムと脱ア
ルミニウムが更に進行するため酸性質が低下し、結局
は、芳香族化活性等の所定の活性が低下してしまうこ
と、また、SiO2/Al23比が同じものでもGa含
量が大きいものほど脱ガリウムと共に脱アルミニウムが
起こりやすく、活性低下が著しくなることも確認してい
る。したがって、通常の短時間のスチーミングの結果か
ら耐水熱性の良否を判定することは不適当であり、その
判定には、少なくとも、触媒再生を行う場合と同様な条
件で十分に長時間スチーム処理するなど適切な条件での
テストを必要とする。
【0017】以上の例からもわかるように、各種の炭化
水素の接触転化プロセスにおいて、ZSM−5やガロア
ルミノシリケート等のMFIゼオライトの優れた触媒機
能を有効に利用するには、それらの耐水熱性を十分に向
上させるための技術的な検討が強く望まれており、種々
の試みがなされてきている。
【0018】例えば、特開昭55−51440号公報及
び同59−117584号公報には、ZSM−5にIB
族金属、IIB族金属やVIII族金属をイオン交換し
て導入することによって、その耐水熱性が向上するとい
うことが主張されている。しかし、その向上効果は十分
ではないし、また、これらの金属成分は還元されやすい
ので、反応時等に還元されてその効果が失われてしまう
という問題もある。
【0019】また、特開昭59−131521号公報に
は、シリカ源としてコロイド状シリカを用い、種結晶ゼ
オライトを添加して特定の合成条件で水熱合成すること
による耐水熱性が改善されたゼオライトの製造法が開示
されている。更に、特開昭60−208395号公報に
は、結晶の大きいZSM−5の方が小さいものよりも耐
水熱性に優れるということが示されている。しかしなが
ら、これらの従来技術では、同じような組成のMFIゼ
オライトでも合成の手法や条件によって耐水熱性が異な
るということを示唆しているものの、実際には十分な耐
水熱性を有するものは得られていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。
【0021】本発明の目的は、触媒又は触媒成分として
用いた時に十分な触媒機能を発揮し、しかも、触媒再生
時や反応時等における高温スチームによる触媒機能の低
下が少なく、触媒再生を頻繁に行っても十分な長期間の
使用に耐える耐水熱性等に優れたMFIゼオライトを合
成するための条件を確立し、その耐水熱性等に優れたM
FIゼオライトを触媒もしくは触媒成分として利用し、
各種の炭化水素の接触転化反応を対象とする諸プロセ
ス、特に、触媒再生を頻繁に行うFCCプロセス、芳香
族化プロセス等を効率よくかつ経済性よく行うを提供す
ることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、同じ組成
のゼオライトでも、合成法やその後の処理方法によって
耐水熱性等の物性が異なる場合があることに着眼し、特
に、水熱合成の原料(原料混合物)の組成及び合成温度
と得られるMFIゼオライトの耐水熱性との関係を実験
及び考察を繰り返すことによって詳細に調べた。
【0023】その結果、得られたMFIゼオライトのS
iO2/Al23比やSiO2/Ga23比等の組成がみ
かけ上同じ範囲にはいっていても、ある特定の組成範囲
にある原料混合物を特定の合成温度範囲で水熱合成した
もののみが十分な耐水熱性を示すという極めて重要な事
実を見いだし、これによって前記目的を達成することに
成功した。なお、その際、十分な触媒活性を得るには、
該MFIゼオライトにおけるSiO2/(Al23+G
23)やSiO2/Ga23も重要であることも確認
した。
【0024】本発明者らは、こうした知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0025】すなわち、本発明は、MFIゼオライトの
触媒機能を利用する炭化水素の接触転化方法において、
水熱合成によってゼオライトを合成するための原料混合
物として、その原料混合物におけるシリカ源成分とアル
ミナ源成分との割合をモル比[SiO2/Al23]に
換算して表し、該シリカ源成分とガリア源成分との割合
をモル比[SiO2/Ga23]に換算して表し、該原
料混合物に含まれる全水分(但し、結晶水や結合水もし
くは含有水として添加した水分も含める。)と前記シリ
カ源成分との割合をモル比[H2O/SiO2]に換算し
て表し、該原料混合物中の無機塩基の当量から無機酸の
当量を差し引いて得られるOH-の量とと前記シリカ源
成分の当量との割合をモル比[OH-/SiO2]に換算
して表し、更に、炭素数1〜6のアルコール類、アミン
類あるいはアミノアルコール類を有機成分Rで表し、該
有機成分Rの合計量と前記シリカ源成分との割合をモル
比[R/SiO2]に換算して表した時に、これらのモ
ル比が次の(a)〜(e): (a) 20≦[SiO2/Al23]≦200; (b)200≦[SiO2/Ga23]; (c) 30≦[H2O/SiO2]≦50; (d)0.2≦[OH-/SiO2]≦0.3; (e) 0≦[R/SiO2]≦0.1; の関係を満足する組成を有する原料混合物を用いて合成
温度165〜180℃の条件で水熱合成することによっ
て合成されたMFIゼオライトからなる触媒を用いるこ
とを特徴とする炭化水素の接触転化方法を提供するもの
である。
【0026】本発明の方法においては、前記の特定の水
熱合成法によって合成されたMFIゼオライトを用いて
調製した触媒を用いることが重要である。なぜなら、そ
の特定の方法で合成することによって耐水熱性に優れた
MFIゼオライト(MFI構造のガロアルミノシリケー
ト類もしくはアルミノシリケート類)を得ることがで
き、これを常法に従って例えばH+型、金属担持型等の
触媒もしくは触媒成分として適当な形態にすることによ
って、優れた触媒機能を有する上に十分に高い耐水熱性
を有する各種のMFIゼオライト系触媒を得ることがで
きるからである。このMFIゼオライトを所定の反応の
触媒もしくは触媒成分として利用することによって、触
媒再生時等の高温スチームによる触媒機能の低下が十分
に防止でき、したがって、触媒再生を頻繁に行うプロセ
スにおいても触媒の繰り返し使用寿命が十分に改善さ
れ、プロセスの効率及び経済性を著しく向上させること
ができる。
【0027】本発明に用いられるMFIゼオライトを合
成するには、その原料混合物におけるモル比[SiO2
/Al23]を20〜200の範囲に選定することが肝
要である。そのモル比[SiO2/Al23]が20よ
り小さいと、MFIゼオライトが生成したとしてもその
耐水熱性は不十分であるし、また不純物(例えば、モル
デナイト等の他のゼオライトなど)が副生するので、M
FIゼオライト特有の選択性等が損なわれることがあ
る。なお、該モル比が20より著しく低い場合にはMF
Iゼオライトは生成しない。一方、該モル比[SiO2
/Al23 ]が200より大きいと、得られるMFI
ゼオライトの酸性質が不十分となり十分な活性が得られ
ない。なお、好ましいモル比[SiO2/Al23]の
範囲は、30〜150である。
【0028】また、該原料混合物におけるモル比[Si
2/Ga23]を、200以上(ただし、この比が∞
にあたるガリア源を用いない場合でもよい。)に選定す
ることも肝要である。該モル比[SiO2/Ga23
が200未満であると、Ga23成分が過剰となるた
め、得られるMFIゼオライトの耐水熱性が不十分とな
る。なお、活性及び耐水熱性の点で、好ましいモル比
[SiO2/Ga23]の範囲は、300〜1000で
あり、[SiO2/Ga23]が1000より大きいと
活性、特に芳香族化活性や脱水素活性が不十分となるこ
とがある。
【0029】更に、その原料混合物におけるモル比[H
2O/SiO2]を30〜50の範囲に選定することも肝
要である。このモル比[H2O/SiO2]が30未満で
も、また、50より大きくても得られるMFIゼオライ
トの耐水熱性は不十分となる。なお、耐水熱性を更に十
分に確保するというの点から、このモル比[H2O/S
iO2]を35〜45の範囲に選定するのが好ましい。
【0030】更にまた、原料混合物におけるモル比[O
-/SiO2]を0.2〜0.3の範囲に選定すること
も肝要である。なお、このOH-の量は、前記したよう
にその原料混合物中の無機塩基の当量から無機酸の当量
を差し引くことによって得られるものである。例えば、
後述の触媒製造例1については、以下のようにして計算
される。無機塩基として水ガラスに起因するNa2Oの
当量は、211×0.094/62×2=0.640、
無機酸として97%硫酸に起因するSO4 2-の当量は1
6.1×0.97/98×2=0.319、硫酸アルミ
ニウムに起因するSO4 2-の当量は9.7/666×3
×2=0.087、硝酸ガリウムに勤するNO3 -の当
量は1.4/417.7×3=0.010、シリカ源成
分の当量は211×0.29/60.09=1.018
となる。従って、[OH-/SiO2]は(0.640−
0.319−0.087−0.010)/1.018=
0.220となる。
【0031】該モル比[OH-/SiO2]が0.2未満
であると、得られるMFIゼオライトの耐水熱性が不十
分となる。一方、このモル比[OH-/SiO2]が0.
3より大きいとMFIゼオライトの収率が低くなり、場
合によってはゼオライトが生成しなくなる。MFIゼオ
ライトの耐水熱性とその生成を容易にする点から、該モ
ル比[OH-/SiO2]を0.22〜0.28の範囲に
選定することが好ましい。
【0032】更にまた、該原料混合物におけるモル比
[R/SiO2]を0.1以下(ただし、この比が0に
あたる有機成分Rを添加しない場合でもよい。)に選定
することも肝要である。ここで、このモル比[R/Si
2]を0.1より大きくすると得られるMFIゼオラ
イトの耐水熱性が不十分となる。なお、より耐水熱性を
向上させるには、このモル比[R/SiO2]を0.0
8以下に選定するのが好ましい。
【0033】ここで、有機成分Rは、炭素数1〜6のア
ルコール類、アミノアルコール類又はアミン類である。
そのアルコール類の具体例としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−
ペンタノール、イソペンタノール等の各種のペンタノー
ル、n−ヘキサノール、イソヘキサノール等の各種のヘ
キサノール等を挙げることができる。アミノアルコール
類の具体例としては、例えば、モノエタノールアミン、
プロパノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン
エタノール、グリコールアミンなどを挙げることができ
る。アミン類としては、1級アミン、2級アミン、3級
アミンのいずれでもよく、また、これらは適当な塩とし
て添加してもよい。また、4級アミンの塩もしくは化合
物も使用可能である。こうしたアミン類の具体例として
は、プロピルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、
ピペリジン、ピリジン、モルフォリンなどを例示するこ
とができる。
【0034】これら各種の有機成分Rの中でも、MFI
ゼオライトの耐水熱性、生成容易性、更には経済性の点
から、通常、n−プロパノール、メタノール、エタノー
ル、エチレングリコール等が好適に使用され、中でも特
に、n−プロパノール、エタノール、メタノールなどが
好ましい。
【0035】なお、前記有機成分Rは、2種以上のもの
を添加してもよい。
【0036】このように前記所望のMFIゼオライトを
水熱合成によって得るには、その原料混合物として前記
特定の組成を有するものを用い、更にその水熱合成を1
65〜180℃という特定の範囲の温度で行うことが肝
要である。水熱合成に要する時間は、原料混合物の組成
や合成温度等によって異なるが、所望のゼオライト結晶
が十分に生成するまで温度を上記の範囲の温度に保持す
ればよい。ここで、もし、水熱合成を165℃未満の温
度で行たっり、あるいは、180℃より高い温度で行う
と、いずれの場合にも得られるMFIゼオライトの耐水
熱性は不十分となる。なお、好ましい合成温度の範囲
は、170〜175℃である。
【0037】以上にように、十分な耐水熱性と活性等の
触媒機能を有するMFIゼオライトを得るには、前記
(a)〜(e)を満足する特定の組成の原料混合物を前
記特定の範囲の温度で水熱合成することが肝要である
が、その他の点については特に制限はなく、常法すなわ
ち通常のMFIゼオライト(ガロアルミノシリケート類
又はアルミノシリケート類)を合成する場合と同様にし
て行ってもよい。
【0038】例えば、前記原料混合物を構成するために
用いるシリカ源、アルミナ源、ガリア源、OH-源とし
ては、通常用いられる各種の化合物あるいは組成物を用
いることができるし、また、通常、該原料混合物には適
量のNa源を添加するが、このNa源としても通常用い
られるものを使用してよい。
【0039】シリカ源としては、各種のものが使用可能
であるが、例えば、水ガラス、コロイダルシリカ、ケイ
酸ソーダ、シリカゾル、シリカゲル等が好適に使用さ
れ、特に水ガラスが好ましい。また、前記アルミナ源と
しても各種のものが使用可能であるが、例えば、硫酸ア
ルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミン酸ソーダ、ア
ルミナゾル、アルミナゲル等が好適に使用でき、特に硫
酸アルミニウム等が好ましい。
【0040】ガリア源としても各種のものが使用可能で
あるが、例えば、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、ガリア
ゾル、ガリアゲル等が好適に使用でき、特に硝酸ガリウ
ム等が好ましい。
【0041】また、無機塩基源としても、各種の塩基性
の化合物や組成物が使用可能であるが、中でも、Na源
ともなるNaOH、Na2O等の塩基性のNa化合物あ
るいはこれらを含有する組成物、例えば水ガラス等が好
適に使用される。特に、シリカ源ともなる水ガラス等が
好適に使用される。
【0042】前記原料混合物中には、必要に応じて適宜
上記以外の成分を添加含有させてもよく、例えば、前記
Na源濃度の調整のためにNaCl等の適当なナトリウ
ム化合物を添加してもよいし、OH-濃度の調整等のた
めに硫酸等の適当な酸や酸性化合物を添加してもよい。
【0043】また、前記原料混合物には、本発明の目的
を阻害しない範囲で適宜、シリカ源、アルミナ源、ガリ
ア源のほかにも、MFIゼオライトの格子構造を構成す
る他の金属源(例えば、B、Ti、Fe、Zr、Zn等
の化合物)を添加して各種のメタロガロアルミノシリケ
ート、メタロアルミノシリケートとしてもよい。
【0044】また、前記原料混合物には、適宜、MFI
ゼオライトへの結晶化を助長するための種結晶として適
当なゼオライトの微結晶を添加してもよい。この種結晶
ゼオライトとしては、通常、モルデナイト等が好適に使
用されるが、これに限定されるものではなく、予め合成
した前記MFIゼオライトも好適に使用されるし、ある
いは、通常のMFIゼオライトも適用可能である。な
お、前記有機成分Rは、MFIゼオライトの結晶生成の
ためのテンプレートとして作用し、結晶化を効果的に促
進するので、原料混合物に前記有機成分Rを含有させて
前記水熱合成を行う場合には、必ずしも、上記ような種
結晶を添加しないでもよい。つまり、適量の有機成分R
を含有させれば、種結晶なしでも前記水熱合成を好適に
行うことができるし、該有機成分Rを用いないでも、モ
ルデナイト等の適当な種結晶ゼオライトを適量添加する
ことによって同様に前記水熱合成を好適に行うことがで
きる。有機成分Rと種結晶を同時に用いてもよい。ま
た、本発明の目的を阻害しないものであれば、前記有機
成分Rや種結晶ゼオライト以外の結晶化剤を用いること
も可能である。
【0045】更に、前記原料混合物には、本発明の目的
を阻害しない範囲で必要に応じて適宜、上記各種の成分
以外の他の成分を添加してもよい。例えば、生成するM
FIゼオライトの結晶化を促進するための成分(例え
ば、Cs、Rb、TPA等)を適宜添加してもよい。
【0046】以上にようにして水熱合成を適格に行うこ
とによって、所望の各種の組成を有する耐水熱性に優れ
たMFIゼオライト(アルミノシリケート、ガロアルミ
ノシリケート、更には、各種のメタロアルミノシリケー
ト及びメタロガロアルミノシリケート)を好適に合成す
ることができる。
【0047】この耐水熱性及び触媒機能を十分に確保す
るには、水熱合成によって得られるMFIゼオライトの
SiO2/Al23比(モル比)が、20〜200の範
囲におさまるようにすることが望ましく、また、Ga成
分を用いる場合には、そのSiO2/Ga23比(モル
比)が120以上になるようにすることが望ましい。た
だし、MFIゼオライトにおけるそのSiO2/Al2
3比及びSiO2/Ga23比は、合成後の触媒調製にお
ける種々段階で再調整することができる。例えば、後述
のように酸処理等によって脱アルミニウムや脱ガリウム
を行ったり、あるいはGa成分を担持することによって
調整することができる。特に好ましいSiO2/Al2
3比の範囲は、30〜70である。このSiO2/Al2
3比が20未満では十分な耐水熱性が得られないこと
があり、一方、200より大きいと十分な酸性質が確保
できなくなり酸触媒機能が不十分となることがある。ま
た、触媒もしくは触媒成分として用いるMFIゼオライ
トにおける好ましいSiO2/Ga23比は120以上
である。この比が120未満では十分な耐水熱性が得ら
れないことがある。なお、十分な芳香族化活性もしくは
脱水素能を確保するには、このSiO2/Ga23比を
300〜1000の範囲に選定するとよい。
【0048】ところで、MFIゼオライト等のゼオライ
トの1H−NMRを測定すると、一般に、シラノール基
(SiOH)の中性OHに基づくスペクトルが見られる
ことが多い。このシラノール基はゼオライト外表面のシ
ラノール基やゼオライトの格子欠陥に基づくものとされ
ており、このシラノール基の含量( 1H−NMRスペ
クトル強度)が多いほど、そのゼオライトの格子欠陥が
多く、耐水熱性が低下する傾向にある。また、ゼオライ
トをイオン交換等によってH+型にしたものの1H−NM
Rを測定すると上記の中性SiOHに基づくスペクトル
の他に酸性OH(つまりH+酸)に基づくスペクトルが
見られる。この酸性OHの含量( 1H−NMRスペク
トル強度)が大きいほどゼオライト特有の酸量が多いこ
とになる。特に、100%もしくは最大限H+型とした
時に酸性OHに基づく1H−NMRスペクトル強度IH+
が大きいゼオライトほど、ゼオライトに固有のカチオン
交換容量が大きく、イオン交換によってより多くの活性
カチオン(H+、活性金属イオン等)を導入できること
になる。こうした1H−NMRによるSiOHと酸性O
Hの含量(スペクトル強度ISiOH及びIH+)は、SiO
2/Al23比等のゼオライトの見かけの組成が同じで
あっても、合成条件やその後の処理の微妙な違いによっ
て異なることが知られている。
【0049】すなわち、本発明の方法において用いる前
記MFIゼオライトの場合にも、SiO2/Al23
やSiO2/Ga23比が同じものでも合成条件の微妙
な違いによって上記のような特性(耐水熱性、カチオン
交換容量等)が異なることがある。このような点から、
前記のようにして合成した前記の範囲のSiO2/Al2
3比及びSiO2/Ga23比を有するMFIゼオライ
トの中でも、イオン交換法により100%又は最大限H
+型とした時の1H−NMRによるSiOHに基づくスペ
クトル強度ISiOHと酸性OHに基づくスペクトル強度I
H+の比ISiOH/IH+が0〜0.3の範囲になるものが好
ましい[但し、この強度比ISiOH/IH+は、後述の実施
例の項に記載の条件で測定した時の値とする]。つま
り、前記MFIゼオライトの中でも、上記のようにH+
型とした時にその1H−NMRスペクトル強度比ISiOH
/IH+が0〜0.3の範囲(0及び0.3を含めた範
囲)となるMFIゼオライトは、耐水熱性により一層優
れており、純度も高く、また、カチオン交換容量も十分
であるのでイオン交換により各種の活性種(H+、活性
金属イオン、活性金属等)を高濃度まで導入でき、した
がって、これを触媒材料もしくは触媒調製材料として用
いれば、より一層耐水熱性のよい高活性、高性能の触媒
を得ることができるので、好ましい。
【0050】本発明の方法において用いる触媒は、前記
特定の条件で水熱合成して得た各種のMFIゼオライト
を触媒材料もしくは触媒調製材料として用いて調製され
る。この時、そのMFIゼオライトが少なくとも目標と
する炭化水素の接触転化反応に十分な触媒機能を発揮
し、所定の反応やプロセスに適合するように触媒調製を
行えばよい。
【0051】この触媒調製は、前記MFIゼオライトを
用いて調製するならば一般にどのような手法を用いて行
ってもよいが、従来のゼオライト系触媒、特にMFIゼ
オライト系触媒の調製の際に常用される各種の手法によ
って好適に行うことができる。具体的には、この触媒調
製は、例えば、以下のような手法を用いて好適に行うこ
とができる。
【0052】前記水熱合成によって得たMFIゼオライ
ト(アルミノシリケート、ガロアルミノシリケート、更
には、各種のメタロアルミノシリケート及びメタロガロ
アルミノシリケート)は、通常、Na塩型となってい
る。そこで、このNa+の一部あるいは全部を適当なカ
チオンにイオン交換し、活性化し、MFIゼオライトに
所望の種々の触媒機能を導入する手法が広く利用され
る。また、こうした活性化もしくは活性種の担持導入
は、イオン交換法に限らず、例えば、含浸法(真空含浸
法、含浸乾固法等)、浸漬法、溶液処理法、湿式混練
法、乾式混合法等の多種多様な方法によって行うことが
できる。もちろん、イオン交換法を含めこれらの手法
は、Na+型以外のものについても適用できる。
【0053】例えば、前記MFIゼオライト(Na+
等)を適当な酸やアンモニウム塩等によってイオン交換
しH+型やNH4 +型(これは焼成時等に分解してH+
となる)等とし、H+型のMFIゼオライトとして用い
てもよい。このようにH+を含有するMFIゼオライト
は、少なくとも優れた酸触媒機能を有しているので、例
えば、炭化水素の接触分解、芳香族化、アルキル化、異
性化、不均化、重合(オリゴメリゼーション等)の広範
囲の炭化水素の接触転化反応の触媒もしくは触媒成分と
して最も広く用いられる。
【0054】あるいはまた、前記MFIゼオライトをア
ルカリ金属以外の各種の金属(例えば、Ca,La,C
e,Ga,Fe,Ni,Co,Cu,Ag,Pt,R
h,Ru,Pd等)の化合物をイオン交換法や含浸法あ
るいは混練法等によって金属イオン、金属、金属酸化物
等の種々の形態で導入もしくは担持して用いることもし
ばしば行われる。こうした活性金属成分の担持導入によ
って、MFIゼオライトに十分な酸触媒機能を持たせる
こともできるし、また、十分な酸性質と脱水素能等の二
元もしくは多元触媒機能を有する形態として利用するこ
ともできる。なお、その際、こうした活性金属元素を含
む化合物あるいは組成物を前記H+型MFIゼオライト
等のMFIゼオライトもしくはこれを含有する組成物と
単に物理的に混合してもよい。
【0055】なお、上記のイオン交換、含浸法等による
活性化処理は、触媒調製におけるどの段階で行ってもよ
い。一般的には、MFIゼオライトに対して行う場合が
多いが、場合に応じて例えば、MFIゼオライトを組成
物やその成形体とした後に行ってもよい。
【0056】また、前記MFIゼオライトをいずれかの
適当な段階で、例えば、適当な酸(有機酸、無機酸、酸
性化合物など)、アルカリ(塩基性金属化合物、アンモ
ニア、アミン等)、スチーム、ハロゲンもしくはハロゲ
ン含有化合物、その他の非金属類等によって処理し種々
の変性あるいは修飾を行って用いてもよい。なお、適当
な酸(塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、あるいは酸性
化合物など)、アルカリ(EDTA、アミン、アンモニ
ア等)、あるいは、スチーム等によって処理し、脱ガリ
ウムや脱アルミニウム等の適当な変性を行うこともしば
しば有効である。これによってSiO2/Al23比や
SiO2/Ga23比を調整することができ、酸性質の
調整、耐水熱性の更なる向上が可能であり、そして特に
スチーミングによる脱ガリウム(Ga成分の一部をゼオ
ライト格子からはずし、高分散Ga23として析出させ
ること)によって脱水素能そして芳香族化活性を一層向
上させることができる。
【0057】更に、Gaを含有するMFIゼオライトを
700℃以上の高温で焼成することによっても脱水素能
特に芳香族化活性を向上させることができる。
【0058】また、上記のような化学的処理に限らず、
前記MFIゼオライトを、例えば、ボールミル等により
粉砕したり、適当な化合物や組成物あるいは他の触媒等
と混合したり、粉砕と混合を同時に行うなど種々の物理
的処理を行ってもよい。もちろん、前記各種の形態のM
FIゼオライトあるいはこれを含有する組成物を、適当
な段階で、造粒したり、成型したり、乾燥したり、焼成
するなど常用の様々な処理を行ってもよい。
【0059】なお、この成形も、常法に従って行っても
よく、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ジ
ルコニア、マグネシア、チタニア、粘土鉱物等のバイン
ダーを用いて成形して用いてもよい。その際、例えば、
押し出し成形、圧縮成形等の公知の各種の成形法が適用
可能である。また、バインダーを用いないで、例えば、
圧縮成形法等によって成形して用いることもできる。い
ずれにしても、対象とする反応及びプロセスに適合する
ように、場合に応じてサイズや形状等を選定して、適宜
成形して使用すればよい。
【0060】なお、これら各種のMFIゼオライト系触
媒は、1種単独で使用してもよいし、適宜、2種以上を
混合して用いてもよいし、他の適当な触媒、例えば、F
CC触媒等と混合して混合触媒系として用いてもよい。
【0061】また、前記MFIゼオライトからなる触媒
は、耐水熱性に優れているので、触媒再生時のみならず
反応中に水蒸気が触媒と接触するタイプの各種の反応あ
るいはプロセス、例えば、オレフィンの水和反応、CO
とH2からの炭化水素(特にガソリン等の芳香族成分に
富んだ炭化水素混合物)の合成反応、MTGプロセス等
のアルコール類などの含酸素炭化水素類からのガソリン
等への転化反応、アルコール類による芳香族炭化水素等
のアルキル化反応、自動車排ガスの浄化反応等に対して
も有利に使用することができる。
【0062】なお、本発明の炭化水素の接触転化方法
は、炭化水素を原料あるいは原料成分として用いる反応
はもとより、反応原料に炭化水素を用いなくても中間生
成物として炭化水素が生成しこれが更に転化されるタイ
プの反応(上記COとH2の反応、MTG反応など)、
あるいはヘテロ原子を含有する炭化水素類の接触転化反
応等の広い意味での炭化水素の接触転化反応にも適用で
きる。
【0063】本発明の方法は、前記MFIゼオライトの
高い耐水熱性を十分に活かすという点から、反応時や触
媒再生時等に触媒が高温水蒸気に接触するタイプの反応
もしくはプロセスが好適な対象となり、特に、FCCプ
ロセス、芳香族化プロセス等の触媒再生を頻繁に行うプ
ロセスほど、そのMFIゼオライトの優れた耐水熱性が
より効果的に発揮されるので好ましい。
【0064】したがって、例えば、炭化水素の接触分解
反応(FCC等)、パラフィンやオレフィンの芳香族化
反応、芳香族化合物、オレフィンあるいはパラフィンの
不均化反応、異性化反応、重合反応等の反応時にコーキ
ングを起こしやい反応を行い、触媒活性をあるレベル以
上に高く維持すべく触媒再生を頻繁に行うプロセスを対
象とするのが好ましい。特に、こうした反応時にコーキ
ングを起こしやすい炭化水素の反応を対象とし、触媒再
生を150時間以内ごとに行い、触媒を繰り返し反応に
用いる方式のプロセスは、本発明の方法の中でも特に効
果的で好ましい態様となる。
【0065】なお、前記触媒の再生条件は、対象とする
反応やプロセスによって異なるが、通常は、再生温度を
400〜850℃、好ましくは500〜650℃の範囲
に選定するのが好適であり、その際、再生時の雰囲気に
おける酸素濃度を通常0〜21容量%保持し、また、水
蒸気濃度が0〜30容量%、好ましくは1〜10容量%
に維持されるように再生を行うことが望ましい。
【0066】再生に用いるガスとしては、通常、空気が
最も安価で好適に使用されるが、例えば空気と窒素等の
不活性ガスを混合して用いたり、あるいはこれらを別々
に導入して酸素濃度や再生時にコークの燃焼等によって
発生する水蒸気の濃度を調整してもよい。
【0067】反応器もしくは再生器等の装置の形式とし
ては、特に制限はなく、例えば、流動床、移動床、スィ
ングタイプのもの、固定床など常用される各種の形式の
ものが適用可能であり、例えば、FCCプロセス等など
多くの場合、現行のプロセスに使用されている装置をそ
のまま適用することもできる。
【0068】以下に、本発明の方法の中でも特に好適な
対象となる炭化水素の芳香族化反応について、更に詳細
に説明する。
【0069】<芳香族化反応>本発明の方法における芳
香族化反応の場合には、前記各種のMFIゼオライトの
中でも特にSiO2/Al23比が30〜70の範囲に
あり、かつ、SiO2/Ga23比が150〜600の
範囲にあるものが好適に使用される。これらは、通常、
+型として触媒あるいは触媒成分として使用するのが
好ましい。なお、反応原料として用いる炭化水素の種類
及び組成としては、一般には特に制限はないが、通常
は、炭素数2〜12程度の炭化水素が好適に使用され
る。
【0070】炭化水素の種類としては、パラフィン類、
オレフィン類、ジエン類、脂環式炭化水素等の様々なも
のが適用可能であるが、通常は、付加価値が低く反応性
の低いパラフィン類やオレフィンやジエン類等を含有す
るパラフィン基質の炭化水素留分等を原料として用いる
ことによって、本発明の効果がより一層効果的に発揮さ
れる。
【0071】前記炭素数2〜12の炭化水素の内のパラ
フィン類としては、例えば、エタン、プロパン、ブタ
ン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、
イソヘキサン、ネオヘキサン、各種の、ヘプタン、オク
タン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等を挙げ
ることができる。オレフィン及びジエンとしては、これ
ら各種のアルカン類に対応する各種の不飽和炭化水素
類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテ
ン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン、ブタジエ
ン、ペンタジエン、ヘキサジエン等を挙げることができ
る。更に、脂環式炭化水素としては、例えば、シクロペ
ンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シク
ロヘキセン等を例示することができる。なお、これらの
炭化水素は、1種単独化合物として用いてもよいし、2
種以上の混合物として用いてものよい。
【0072】また、前記パラフィン基質の炭化水素混合
物としては、石油精製分野あるいは石油化学分野等様々
な炭化水素製造分野において得られるものが適用でき、
例えば、石油ガス、天然ガスに付随する液状留分、LP
G、ライトナフサ、ナフサ、直留ガソリン留分、重油又
は軽油の接触分解副生成物、エチレンクラッカー副性生
物、重質油の水素化分解又は水素化脱硫の副生成物など
の炭素数が2〜12程度の範囲にあるパラフィン類又は
オレフィン類を主成分として含有する各種組成の炭化水
素留分が好適な対象となる。
【0073】前記芳香族化反応は、反応温度を、通常、
400〜650℃、好ましくは、450〜600℃の範
囲に選定することによって好適になすことができる。4
00℃未満では、反応速度が不十分であったり、パラフ
ィン類の芳香族化反応への熱力学的平衡上芳香族への転
化率が不十分となることがある。一方、反応温度をあま
り高くすると多環芳香族やコークの生成が多くなり経済
的でない。
【0074】反応圧力は、通常、0〜50kg/cm2
G、好ましくは、0〜20kg/cm2G程度の範囲に
選定するのが適当である。芳香族化反応の平衡の点では
低圧の方が好ましいが、大気圧以上の方が装置も制御系
も単純なものとなるし、操作も容易となる。また、ある
程度加圧した方が反応器等の装置類を小さくすることが
できるので有利となる。
【0075】前記芳香族化反応は、通常、固定床、流動
床、移動床等による連続流通方式によって好適に実施さ
れる。その際、空間速度(WHSV)は、通常、0.1
〜100hr-1、好ましくは、0.5〜10hr-1程度
の範囲に選定するのが適当である。空間速度をあまり小
さくすると、触媒量及び反応器のサイズあたりの生産性
が悪くなり、一方、あまり大きくすると、転化率が低く
なるので不経済である。
【0076】前記芳香族化反応を行うと触媒上にコーク
が析出する。このコーク析出速度は、反応条件や原料の
組成等によって異なるが、反応を長時間継続するとこの
コークの析出によって触媒活性が低下する。したがっ
て、この芳香族化反応(プロセス)の場合にも、適当な
時点であるいは適当な間隔で触媒の再生を行うことにな
る。
【0077】この触媒再生を実際にどの時点であるいは
どの程度の間隔で行うの良いかという点は、用いる触媒
の種類、原料の種類、反応条件等に大きく依存するの
で、場合に応じて適宜判断すればよいのであるが、例え
ば、以下に示す点が参考になる。
【0078】まず、原料炭化水素は、一般に、炭素数が
多いほど、また、オレフィン特にジエンの含有量が多い
ほど触媒上ヘのコークの析出が激しくなる傾向があるの
で、それだけ触媒再生を頻繁に行う必要がある。また、
BTX等の芳香族炭化水素が50重量%以上という高収
率で得られるかどうかを判定基準として、炭素数が5以
上のパラフィン類を原料として、いくつかの典型的な触
媒による芳香族化反応を再生を行わずに継続したとこ
ろ、反応条件にもよるが、大旨、150時間まではその
基準を満足するが、150時間以上反応を続けるとその
基準を満足させることは難しいことが判明した。なお、
これと同じことを、オレフィンを含有する原料について
行ったところ、更に短時間で基準を満足できなくなり、
条件によっては30時間前後に再生が要求される場合が
生じた。一方、炭素数が4以下のパラフィンを原料とし
て用いて、芳香族炭化水素を高収率で得るべく500℃
以上の高温で反応を行ったところ、この場合もやはり1
50時間以上反応を続けると触媒の失活によりその目標
を満足させることが困難となった。すなわち、この場合
にも150時間以内に再生を行うのがよいことがわかっ
た。
【0079】したがって、上記の結果をもとに判断する
と、この芳香族化プロセスにおいては、BTX等の芳香
族炭化水素を高収率で連続的に生産するには、150時
間以内ごとに触媒の再生を行うのが望ましいことにな
る。
【0080】なお、一般のガロシリケートやガロアルミ
ノシリケート等の従来のメタロ(アルミノ)シリケート
触媒についても上記同様に試験したところ、上記同様に
頻繁に触媒再生を行う必要があることを確認した。
【0081】この芳香族化プロセスの場合も触媒の再生
は、前記した再生条件にて好適に行うことができる。ま
た、反応装置の形式としても、前記したように、流動床
方式、移動床方式、スィングタイプのもの、固定床方式
等の各種のものが適用可能である。なお、流動床方式で
は、再生の頻度が大きく、再生条件も荷酷になりがちで
あるが、本発明で用いる触媒は、十分な耐水熱性を有し
ているので流動床方式にも好適に使用することができ
る。
【0082】以上にようにして、触媒を適当な間隔で再
生しながら繰り返し反応に用いることによって長期間の
連続運転が可能となる。なお、この連続プロセスの途中
で適宜触媒の一部を新しい触媒と入れ替えてよい。流動
床や移動床などの触媒を反応塔と再生塔を循環させなが
ら使用する形式の反応方式の場合には、この触媒の入れ
替えは容易に行うことができる。
【0083】また、本発明の方法において、特に好適な
対象となるプロセスとして、上記の芳香族化プロセスの
他に、炭化水素の接触分解プロセス特にFCCプロセス
等を挙げることができる。
【0084】このFCCプロセスは、例えば、従来のZ
SM−5に代えて前記MFIゼオライト系触媒を用い、
これを通常のFCC触媒(例えば、Y型ゼオライト系触
媒等の細孔径が0.7nmより大きいゼオライト系触媒
あるいはシリカアルミナ系触媒など)に添加混合して混
合触媒系として用いるなど、従来と同様にして好適に行
うことができる。なお、この場合にも、触媒が150時
間以内ごとに繰り返し再生されるような形式のプロセス
として稼働させることが好ましい。本発明で用いる前記
MFIゼオライトは、耐水熱性に優れているので、頻繁
に再生を繰り返しても触媒機能の劣化が少なく、従来の
ZSM−5の場合のようにフレッシュなものを連続的に
あるいは頻繁に供給しないでもよい。
【0085】なお、このように触媒再生を頻繁に行うの
が好ましいのは、前記MFIゼオライトが従来のMFI
ゼオライトより反応時の劣化が激しいということではな
く、かえってそのように再生を頻繁に行えば、触媒を常
に高活性の状態で反応に利用できるからである。実際、
そのように再生を頻繁に行うことによって、上記のFC
Cプロセスにおいてガソリン留分の収率とそのオクタン
価を定常的に高レベルに保つことができるし、また、前
記芳香族化プロセスにおいても、BTX等の収率を定常
的に高いレベルに保つことができることを確認してい
る。
【0086】
【実施例】以下に、n−ヘキサンの接触分解反応及びn
−ヘキサンの芳香族化反応をテスト反応とする実施例及
びその比較例を示す。n−ヘキサンの接触分解反応及び
芳香族化反応は、MFIゼオライト系触媒の酸触媒機
能、形状選択性等の触媒機能を評価するために、活性あ
るいは選択性のテスト反応として一般に広く利用されて
いるものである。したがって、本発明で用いる前記MF
Iゼオライトが、各種の炭化水素の接触転化反応に対し
て優れた触媒機能を発揮し、例えば、FCC触媒の添加
触媒としてあるいは各種の炭化水素の芳香族化反応の触
媒として広く利用可能であるということを示すには、こ
れらのテスト反応による比較によっても十分に証明する
こともできることに留意すべきである。また、以下の実
施例及び比較例では、高温で十分に長時間のスチーム処
理を行った前後の触媒活性の違いを比較するが、この厳
しい条件でのスチーム処理による試験によって、その触
媒が実際のプロセスにおいて再生の繰り返しに十分に耐
える優れた耐水熱性を有するかどうかを的確に評価する
ことができるという点についても留意すべきである。
【0087】また、以下においては、実施例となる触媒
製造例(触媒製造例1,4,6及び8)とその比較例と
しての触媒製造例(触媒製造例2,3,5,7,9及び
10)を示すが、これらの触媒製造例は、説明の都合
上、実施例及び比較例の前に別途に記載した。
【0088】いずれにしても、本発明は、以下に示す実
施例及びその触媒製造例に限定されるものではなく、し
たがって、反応についても触媒についても、以下の実施
例及びその触媒製造例に示すものに限定されるものでは
ない。
【0089】触媒製造例1 (i)MFIゼオライトの合成 硫酸アルミニウム(18水塩)9.7g、硝酸ガリウム
(9水塩)1.4g、硫酸(濃度97重量%)16.1
g及び水250mlを混合して溶液としたものをA液と
する。水ガラス(SiO2:29.0重量%、Na2O:
9.4重量%、水:61.6重量%)211gと水20
0mlを混合して溶液としたものをB液とする。塩化ナ
トリウム39.5gを水172mlに溶解して得た溶液
をC液とする。
【0090】このC液に攪拌下で上記のA液及びB液を
徐々に滴下し、混合した。次いで、この混合物にn−プ
ロパノール3.0gを添加し、よく混合して水熱合成用
原料混合物を調製した。この原料混合物は、以下に示す
組成を有しており、前記(a)〜(e)の条件を満足し
ている。
【0091】・モル比[SiO2/Al23]=70 ・モル比[SiO2/Ga23]=600 ・モル比[H2O/SiO2]=41 ・モル比[OH-/SiO2]=0.22 ・モル比[R/SiO2]=0.05(この場合R=n
−プロパノール) ・種結晶:添加しない。
【0092】原料混合物中にはNa+等の他の成分も含
まれているが、これらについては組成中への記載を省略
してある。
【0093】次に、上記の原料混合物を1リットルのオ
ートクレーブに入れ、攪拌しながら170℃、自己圧力
下にて20時間反応させ水熱合成を行った。反応後、反
応混合物を室温に冷却してから濾過により固体生成物を
回収し、該固体生成物を1.5リットルの水で5回洗浄
した後、120℃で乾燥し、次いで、空気中で550℃
にて4時間焼成した。このようにしてMFIゼオライト
(ガロアルミノシリケート:Na型)を得た。なお、こ
のゼオライトがMFIゼオライトとあるという確認は、
X線回折等によって行った。
【0094】(ii)触媒調製 上記(i)で得たMFIゼオライト(Na型)を硝酸ア
ンモニウム水溶液を用いてイオン交換法によってNH4
型(イオン交換率:ほぼ100%)とした後、空気中で
550℃にて4時間焼成し、H+型MFIゼオライトを
得た。以下、触媒1と呼ぶ。
【0095】このH+型MFIゼオライトは、ほぼ10
0%H+型であり、また、組成分析から、そのSiO2
Al23比(モル比)は50.2、SiO2/Ga23
比(モル比)は435であった。更に、該H+型MFI
ゼオライトの1H−NMR分析を行ったところスペクト
ル強度比ISiOH/IH+は、0.01であった。
【0096】触媒製造例2〜10 (i)MFIゼオライトの合成 前記触媒製造例1の(i)に示す操作と同様にして、た
だし、それぞれの試薬及び水の使用量を適宜加減するこ
とによって表1に示す各種の組成(原料組成)を有する
水熱合成用原料混合物を調製した。なお、触媒製造例6
〜10では、n−プロパノール(有機成分R)を添加し
ないで、その代わりに種結晶としてモルデナイトを表1
に示す割合となるよう添加した。
【0097】次に、こうして調製したそれぞれの原料混
合物を用い、前記触媒製造例1の(i)に示す操作と同
様に、表1に示す条件で水熱合成を行い、次いで、同様
にして、濾過、洗浄、乾燥及び焼成を行い、9種類のM
FIゼオライト(ガロアルミノシリケート:Na型)を
得た。なお、これらのゼオライトがMFIゼオライトで
あることは、X線回折等によって確認した。
【0098】(ii)触媒調製 上記の9種類のMFIゼオライトを、それぞれ、前記触
媒製造例1の(ii)と場合と同様にして、イオン交換
法によってNH4型としてから焼成し、対応する9種類
のH+型MFIゼオライトを得た。
【0099】これらのH+型MFIゼオライトは、いず
れもほぼ100%H+型であり、また、組成分析から、
表1に示すそれぞれの組成{SiO2/Al23}比、
{SiO2/Ga23}比を有することが判明した。
【0100】更に、これら9種類のH+型MFIゼオラ
イトについて1H−NMR分析を行いスペクトル強度比
SiOH/IH+を測定した。その結果を、表1に示す。
【0101】なお、以上にようにして製造した上記9種
類のH+型MFIゼオライトを、その製造例の番号に対
応させて、以下、それぞれ触媒2〜10と呼ぶ。
【0102】実施例1及び比較例1〜3 上記触媒製造例1、2、3及び5で製造したそれぞれの
触媒(触媒1,2,3及び5)を用いて、下記の条件で
n−ヘキサンの接触分解反応を行った。
【0103】反応条件:原料炭化水素 n−ヘキサン、
Feed組成 He/n−ヘキサン(モル比)=4、反
応温度 480℃、反応圧力 常圧、反応方式 固定床
流通法(WHSV=48hr-1) なお、各触媒は、圧縮成形、粉砕、篩別によって粒度1
6〜32メッシュの粒子状成形体として用い、下記の条
件でのスチーム処理前後の活性を比較した。
【0104】スチーム処理条件:処理ガス 10容量%
スチーム含有空気、処理温度 600℃、圧力 常圧、
処理時間 36時間 このスチーム処理前後の各触媒のn−ヘキサン分解活性
を表2に示す。
【0105】実施例2〜4及び比較例4〜7 上記触媒製造例4〜10で製造したそれぞれの触媒(触
媒4,5,6,7,8,9及び10)を用いて、下記の
条件でn−ヘキサンの芳香族化反応を行った。
【0106】反応条件:原料炭化水素 n−ヘキサン、
反応温度 500℃、反応圧力 常圧、反応方式 固定
床流通法(WHSV=2hr-1) なお、各触媒は、圧縮成形、粉砕、篩別によって粒度1
6〜32メッシュの粒子状成形体として用い、下記の条
件でのスチーム処理前後の活性を比較した。
【0107】スチーム処理条件:処理ガス 10容量%
スチーム含有空気、処理温度 600℃、圧力 常圧、
処理時間 36時間 このスチーム処理前後の各触媒のn−ヘキサンの芳香族
化反応活性(BTXの収率)を表3に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】以上、表1に示す条件及び結果と表2及び
3に示す結果の比較から、組成が同様のMFIゼオライ
トでも、前記特定の条件で水熱合成して得たMFIゼオ
ライトの方が、上記のような厳しいスチーム処理を行っ
てもその優れた触媒機能の低下がずっと少なく、耐水熱
性に優れた触媒となることは明らかである。表3でBT
Xの収率が向上する場合があるが、これは、スチーム処
理によってGaがゼオライト格子から脱水素能に優れた
Ga23として脱離析出するためと思われる。したがっ
て、これらの評価結果からも、前記特定の条件で水熱合
成して得た耐水熱性等に優れたMFIゼオライトからな
る触媒を用いる本発明の方法が、炭化水素の接触分解、
芳香族化のみならず、MFIゼオライト利用する各種の
炭化水素の接触転化反応もしくはプロセスに有利に適用
でき、特に、FCCプロセス、芳香族化プロセスをはじ
めとする触媒再生を頻繁に行うプロセスほどその耐水熱
性の改善効果が顕著に発揮されてより一層有利となるこ
とがわかった。
【0112】
【発明の効果】本発明の方法においては、極めて特定の
条件で水熱合成することによって得られる耐水熱性等に
優れたMFIゼオライトを触媒又は触媒成分として利用
しているので、触媒が反応時や触媒再生時解等に高温下
で水蒸気に接触するタイプの前記各種の炭化水素の接触
転化反応又はプロセスに有利に適用でき、特にFCCプ
ロセス、芳香族化プロセスをはじめとする触媒再生を頻
繁に行うプロセスのど、その耐水熱性の改善効果に基づ
くプロセス効率及び経済性の向上効果が顕著に発揮され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 35/095 6958−4H // C07B 61/00 300

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MFIゼオライトの触媒機能を利用する
    炭化水素の接触転化方法において、水熱合成によってゼ
    オライトを合成するための原料混合物として、その原料
    混合物におけるシリカ源成分とアルミナ源成分との割合
    をモル比[SiO2/Al23]に換算して表し、該シ
    リカ源成分とガリア源成分との割合をモル比[SiO2
    /Ga23]に換算して表し、該原料混合物に含まれる
    全水分と前記シリカ源成分との割合をモル比[H2O/
    SiO2]に換算して表し、該原料混合物中の無機塩基
    の当量から無機酸の当量を差し引いて得られるOH-
    量と前記シリカ源成分の当量との割合をモル比[OH-
    /SiO2]に換算して表し、更に、炭素数1〜6のア
    ルコール類、アミン類あるいはアミノアルコール類を有
    機成分Rで表し、該有機成分Rの合計量と前記シリカ源
    成分との割合をモル比[R/SiO2]に換算して表し
    た時に、これらのモル比が次の(a)〜(e): (a) 20≦[SiO2/Al23]≦200; (b)200≦[SiO2/Ga23]; (c) 30≦[H2O/SiO2]≦50; (d)0.2≦[OH-/SiO2]≦0.3; (e) 0≦[R/SiO2]≦0.1; の関係を満足する組成を有する原料混合物を用いて合成
    温度165〜180℃の条件で水熱合成することによっ
    て合成されたMFIゼオライトからなる触媒を用いるこ
    とを特徴とする炭化水素の接触転化方法。
  2. 【請求項2】 前記MFIゼオライトが、モル比{Si
    2/Al23}が20〜200の範囲にあり、かつ、
    モル比{SiO2/Ga23}が120以上であるMF
    Iゼオライトである請求項1に記載の炭化水素の接触転
    化方法。
  3. 【請求項3】 前記MFIゼオライトが、イオン交換法
    によりH+型とした時の 1H−NMRによるスペクトル
    強度比ISiOH/IH+{但し、ISiOH及びIH+は、それぞ
    れ、該H+型ゼオライトの1H−NMRチャートにおける
    SiOHに基づくスペクトル強度及び酸性OHに基づく
    スペクトル強度を表す。}が0〜0.3であるMFIゼ
    オライトである請求項1又は2に記載の炭化水素の接触
    転化方法。
  4. 【請求項4】 前記MFIゼオライトを、その一部又は
    すべてをH+型として触媒もしくは触媒成分として用い
    る請求項1〜3いずれかに記載の炭化水素の接触転化方
    法。
  5. 【請求項5】 炭化水素の接触転化が、炭化水素の、接
    触分解反応、芳香族化反応、改質反応、異性化反応、ア
    ルキル化反応、不均化反応又は重合反応であるか、ある
    いは、これらの反応のうちの1種又は2種以上の反応を
    行うプロセスである請求項1〜4いずれかに記載の炭化
    水素の接触転化方法。
  6. 【請求項6】 炭化水素の接触転化が、炭化水素の接触
    分解反応である請求項1〜5いずれかに記載の炭化水素
    の接触転化方法。
  7. 【請求項7】 前記炭化水素の接触分解反応が、FCC
    プロセスで行われる請求項6に記載の炭化水素の接触転
    化方法。
  8. 【請求項8】 炭化水素の接触転化が、炭化水素の芳香
    族化反応である請求項1〜5いずれかに記載の炭化水素
    の接触転化方法。
  9. 【請求項9】 芳香族化反応に供する炭化水素が、炭素
    数2〜12のパラフィン類あるいはこれらのパラフィン
    類を主成分として含有する炭化水素混合物である請求項
    5又は8に記載の炭化水素の接触転化方法。
  10. 【請求項10】 前記MFIゼオライトを含む触媒の再
    生を150時間以内ごとに行う請求項1〜9いずれかに
    記載の炭化水素の接触転化方法。
  11. 【請求項11】 シリカ源成分が水ガラスであり、アル
    ミナ源成分が硫酸アルミニウムであり、ガリア源成分が
    硝酸ガリウムであり、有機成分Rがn−プロパノールで
    ある請求項1〜10いずれかに記載の炭化水素の接触転
    化方法。
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