JPH07278416A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JPH07278416A
JPH07278416A JP7214994A JP7214994A JPH07278416A JP H07278416 A JPH07278416 A JP H07278416A JP 7214994 A JP7214994 A JP 7214994A JP 7214994 A JP7214994 A JP 7214994A JP H07278416 A JPH07278416 A JP H07278416A
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JP
Japan
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weight
group
resin composition
polyester resin
amount
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Application number
JP7214994A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Koyama
央 小山
Kenji Mogami
健二 最上
Masaaki Nakamura
正明 中村
Tomomi Nakajima
智美 中島
Akiyoshi Somemiya
昭義 染宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 80℃以下の金型温度でもすぐれた表面光沢
がえられ、かつ機械的性質、耐熱性、耐湿性などの物性
バランスにすぐれた成形品を与える組成物をえる。 【構成】 (A)エチレンテレフタレート繰り返し単位
を主体とするポリエステル1〜97.7重量%、(B)
ポリオキシアルキレン化合物に由来する単位を含むポリ
エチレンテレフタレート系共重合体1〜45重量%、
(C)ポリオキシアルキレン基および/またはエポキシ
基を有するオルガノポリシロキサン0.1〜17重量
%、(D)脂肪族ポリエステル1〜17重量%、(E)
多官能エポキシ化合物0.1〜10重量%、ならびに
(F)結晶核剤0.1〜10重量%からなる混合物10
0重量部に対し、(G)繊維状強化剤5〜150重量部
を配合してなることを特徴とするポリエステル樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面光沢性を改良した
新規なポリエステル樹脂組成物に関する。さらに詳しく
は、80℃以下の金型温度でもすぐれた表面光沢がえら
れ、かつ機械的性質、耐熱性、耐湿性などの物性バラン
スにすぐれた成形品を与える組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ガラ
ス繊維などで強化されたポリエチレンテレフタレート樹
脂は、機械的性質、耐熱性、耐薬品性、成形加工性など
の樹脂特性にすぐれているためエンジニアリングプラス
チックとして広範囲に使用されている。
【0003】しかし、強化ポリエチレンテレフタレート
樹脂を成形品としてプラスチック用途、とくに良好な表
面光沢が要求されるハウジング用途に使用するばあい、
成形時の金型温度を130℃以上に保持しないと成型品
表面にガラス繊維の浮きが生じた光沢のない外観を呈す
る欠点があった。したがって、強化ポリエチレンテレフ
タレート樹脂の成形においては、このような高温に金型
を加熱しなければならないため、金型および温度調整装
置は特殊なものとなり、設備費、操業費が高価になる。
また、このような高い金型温度では成形サイクルも著し
く長くなり、生産性の面からも問題であった。
【0004】このような欠点を改良すべく従来より種々
の提案がなされている。たとえば、特公昭44−754
2号公報にはタルクなどの無機微粒子を、特公昭48−
4097号公報には有機カルボン酸のアルカリ金属塩を
配合する方法が開示されている。しかしながら、これら
結晶核剤のみでは不充分で、表面光沢良好な成形品をえ
るにはやはり130℃以上という高温の金型温度にする
必要があった。また、特開昭54−158452号公報
には有機カルボン酸ナトリウムと低分子有機系可塑剤と
の組み合わせが開示されている。この方法によるとたし
かに110℃以下の金型温度で良好な表面光沢の良好な
成形品がえられるものの、低分子有機系可塑剤が原因で
射出成形時に、金型表面への付着物析出、ガス発生など
多くの問題があった。特開昭56−41222号公報、
特開昭59−206458号公報には、ポリオキシアル
キレン化合物により変性したポリエチレンテレフタレー
ト樹脂に有機カルボン酸ナトリウムを添加した方法が開
示されており、この方法では低分子有機系可塑剤を使用
していないので前記のような金型表面への付着物析出、
ガス発生などの問題はないが、100℃以下という低い
金型温度で表面光沢良好な成形品をえようとすると機械
的性質、耐湿性、耐熱性、耐熱劣化性、耐熱着色性など
の物性が低下するといった問題が生じる。また、特開昭
48−38343号公報、特開昭48−59148号公
報ではポリブチレンテレフタレートとのアロイ化による
改良が示されているが、この方法は成形機内での溶融滞
留やリサイクル後のエステル交換反応によって改良効果
が失われるという本質的な問題を内在している。
【0005】一方、特願平5−048324には、特定
のオルガノポリシロキサンを添加した方法が開示されて
いる。この方法によれば、80℃以下の金型温度で表面
光沢良好な成形品をえようとするとオルガポリノシロキ
サンを多量に使用する必要があり、このばあいにはえら
れた成形品の耐湿性が低下するといった問題が生じる。
【0006】本発明者らは、以上のように80℃以下の
金型温度での表面光沢性と物性とを両立させることが困
難な状況において、鋭意検討した結果、驚くべきことに
繊維状強化剤で強化されたポリエチレンテレフタレート
系樹脂に、特定の、ポリエチレンテレフタレート系共重
合体、オルガノポリシロキサン、脂肪族ポリエステル、
多官能エポキシ化合物、結晶核剤を添加することによっ
て物性バランスにすぐれた表面光沢の良好な成形品がえ
られることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)エチレ
ンテレフタレート繰り返し単位を主体とするポリエステ
ル1〜97.7重量%、(B)ポリオキシアルキレン化
合物に由来する単位を含むポリエチレンテレフタレート
系共重合体1〜45重量%、(C)ポリオキシアルキレ
ン基および/またはエポキシ基を有するオルガノポリシ
ロキサン0.1〜17重量%、(D)脂肪族ポリエステ
ル1〜17重量%、(E)多官能エポキシ化合物0.1
〜10重量%、ならびに(F)結晶核剤0.1〜10重
量%からなる混合物100重量部に対し、(G)繊維状
強化剤5〜150重量部を配合してなることを特徴とす
るポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【0008】
【実施例】本発明でいうエチレンテレフタレート繰り返
し単位を主体とするポリエステルは、20%(重量%、
以下同様)以下の範囲で他成分を含んでいてもよい。他
成分の具体例としては、たとえばイソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような
酸成分、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペン
タンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ンジメタノールのようなグリコール成分があげられる。
他成分の含有量が20%をこえるとポリエチレンテレフ
タレート本来の特長であるすぐれた機械的性質、耐熱性
などが損なわれるので好ましくない。
【0009】前記エチレンテレフタレート繰り返し単位
を主体とするポリエステルの固有粘度は、フェノール対
テトラクロロエタンが重量比で1対1である混合溶媒
中、25℃で測定したとき0.4〜1.2dl/gであ
ることが好ましく、とくに0.6〜1.0dl/gであ
るのが好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満ではえ
られた成形品の機械的性質が劣り、一方、1.2dl/
gを超えると射出成形時の成形性やえられた成形品の表
面光沢が低下する。
【0010】エチレンテレフタレート繰り返し単位を主
体とするポリエステルの(A)、(B)、(C)、
(D)、(E)および(F)成分からなる混合物中にお
ける使用量は、好ましくは1〜97.7%である。使用
量が1%未満であるとえられた成形品の機械的性質が低
下し、97.7%をこえると80℃以下の金型温度でも
すぐれた表面光沢がえられるという本発明の効果が充分
にえられないため好ましくない。
【0011】ポリオキシアルキレン化合物に由来する単
位を含むポリエチレンテレフタレート系共重合体におけ
るポリオキシアルキレン化合物の具体例としては、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコールおよびこれらのランダムまた
はブロックコポリマー、ビスフェノール化合物のポリア
ルキレンオキシド付加物などがあげられる。
【0012】これらポリオキシアルキレン化合物のなか
でもポリエチレンテレフタレートとの共重合時の熱安定
性や、組成物を用いてえられた成形品の耐熱性の低下が
少ないことなどから、ビスフェノール化合物のポリアル
キレンオキシド付加物がとくに好ましい。ここでいうビ
スフェノール化合物のポリアルキレンオキシド付加物
は、下記一般式:
【0013】
【化2】
【0014】(式中、Rは炭素原子数2〜4の2価の炭
化水素基、Xは直接結合または炭素原子数1〜3のアル
キレン基、−S−、−SO2 −、−O−もしくは−CO
−である2価の結合基、m、nは5〜20の整数、(m
+n)個のRは同一もしくは異なっていてもよい)で表
される単位を与えるものである。これらは、たとえばビ
スフェノール化合物のアルキレンオキシド付加物のヒド
ロキシル基をハロゲン置換した化合物と、他のアルキレ
ンオキシド付加物のヒドロキシル基をアルカリ金属でア
ルコラート化した化合物との脱ハロゲン化アルカリの反
応で合成され、その末端の一部または全部がヒドロキシ
ル基、カルボキシル基などのエステル形成性官能基とな
った形で用いられる。
【0015】本発明に用いられるビスフェノール化合物
のポリアルキレンオキシド付加物は、その平均分子量が
500〜20,000のものが好ましく、とくに700
〜6,000のものが好ましい。平均分子量が500未
満では、80℃以下の金型温度でもすぐれた表面光沢が
えられるという本発明の効果が充分にえられず、20,
000をこえるとポリエチレンテレフタレートとの共重
合性および組成物を用いてえられた成形品の耐熱性の低
下が大きくなる。また、分子鎖中のビスフェノール成分
のアルキレンオキシド単位に対するモル比は0.01〜
0.25であるのが好ましい。モル比が0.01未満で
は本質的にポリアルキレンオキシドそのものと同様にな
り、ポリエチレンテレフタレートとの共重合時の熱安定
性や、えられた成形品の耐熱性の低下が少ないという特
長が失われる傾向がある。一方、モル比が0.25をこ
えると、80℃以下の金型温度でもすぐれた表面光沢が
えられるという本発明の効果が充分にえられないため好
ましくない。
【0016】このようなビスフェノール化合物のポリア
ルキレンオキシド付加物の具体例としては、ビスフェノ
ールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAの
ポリプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのポ
リテトラメチレンオキシド付加物、ビスフェノールSの
ポリエチレンオキシド付加物などがあげられ、これらは
単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0017】ポリオキシアルキレン化合物に由来する単
位の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および
(F)成分からなる混合物中における含有量は1〜20
%であることが好ましい。1%未満であると、80℃以
下の金型温度でも良好な表面光沢がえられるという本発
明の効果が充分にえられず、一方20%を超えると、え
られた成形品の機械的性質が低下するため好ましくな
い。
【0018】ポリオキシアルキレン化合物に由来する単
位を含むポリエチレンテレフタレート系共重合体は公知
の方法でえることができる。たとえば、ポリエチレンテ
レフタレートのオリゴマーとポリオキシアルキレン化合
物を1Torr以下の真空下、270〜290℃の温度
で共重合してえることができる。
【0019】ポリオキシアルキレン化合物に由来する単
位を含むポリエチレンテレフタレート系共重合体の
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)
成分からなる混合物中における使用量は、好ましくは1
〜45%である。使用量が1重量%未満であると80℃
以下の金型温度でもすぐれた表面光沢がえられるという
本発明の効果が充分にえられず、45%をこえるとえら
れた成形品の機械的性質、耐湿性や耐熱性が低下するた
め好ましくない。
【0020】本発明に使用する特定のオルガノポリシロ
キサンとは、ポリオキシアルキレン基および/またはエ
ポキシ基を分子内に導入したオルガノポリシロキサンの
ことで、シリコーン系の界面活性剤として知られている
ものである。ポリオキシアルキレン基、エポキシ基の結
合位置にはとくに限定はなく、オルガノポリシロキサン
分子鎖の末端、側鎖またはその両方に存在してもよい。
末端に存在するばあいは、両末端、片末端のいずれでも
よい。ここで、ポリオキシアルキレン基としてはポリオ
キシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が好ましく、
これらの末端は水酸基、アルコキシ基のいずれでもよ
い。エポキシ基としては、グリシジル基、エポキシシク
ロヘキシル基が好ましい。これらの官能基はオルガノポ
リシロキサン中に、単独に存在してもよく、2種以上存
在してもよい。また、これらの官能基とオルガノポリシ
ロキサン分子鎖のケイ素原子との結合は直接または2価
のアルキレン基で結合されているのが好ましい。
【0021】前記オルガノポリシロキサンのポリオキシ
アルキレン基またはエポキシ基以外の部分はジメチルシ
ロキサン繰り返し単位を主体とするものが好ましく、メ
チル基の一部をその他の1価の炭化水素基で置換しても
よい。このような炭化水素基としてはエチル基、プロピ
ル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、β
−フェニルエチル基などが例示される。
【0022】オルガノポリシロキサン中に占めるポリオ
キシアルキレン基の比率は、好ましくは10〜80%、
とくに好ましくは30〜60%である。前記比率が10
%未満または80%をこえたばあいには本発明の効果が
充分にえられない。一方、オルガノポリシロキサン中の
エポキシ基の比率はエポキシ当量で表すと、好ましくは
300〜4000、とくに好ましくは600〜2000
である。前記エポキシ当量が300未満または4000
をこえたばあいには本発明の効果が充分にえられない。
【0023】使用されるオルガノポリシロキサンは、2
5℃での粘度が好ましくは5〜100000cSt、と
くに好ましくは20〜20000cStとなる分子量を
有するものである。前記粘度が5cSt未満では本発明
の効果が充分にえられず、100000cStをこえる
と取扱いが困難となる。
【0024】本発明におけるポリオキシアルキレン基お
よび/またはエポキシ基を有するオルガノポリシロキサ
ンの(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および
(F)成分からなる混合物中における使用量は、好まし
くは0.1〜17%、とくに好ましくは1〜10%であ
る。使用量が0.1%未満であると80℃以下の金型温
度でもすぐれた表面光沢がえられるという本発明の効果
が充分にえられず、17重量%をこえるとえられた成形
品の機械的性質、耐湿性や耐熱性が低下するため好まし
くない。
【0025】本発明で使用する脂肪族ポリエステルは、
酸成分として脂肪族酸、グリコール成分として脂肪族グ
リコールからなるポリエステルであり、酸成分の具体例
としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、また脂肪族グリ
コール成分の具体例としては、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、ノナメチレング
リコールなどがあげられる。したがって、脂肪族ポリエ
ステルの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポ
リブチレンアジペート、ポリノナメチレンアジペート、
ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケートなど
が好ましい。これら脂肪族ポリエステルは、単独または
2種以上併用しても良い。
【0026】前記脂肪族ポリエステルの分子量は、好ま
しくは100〜10000、とくに好ましくは500〜
3000である。分子量が100未満の場合はえられた
成形品の機械的性質が低下し、10000を超える場合
は本発明の効果が充分にえられない。
【0027】前記脂肪族ポリエステルの(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)および(F)成分から
なる混合物中における使用量は、好ましくは1〜17%
である。使用量が1%未満であると80℃以下の金型温
度でもすぐれた表面光沢がえられるという本発明の効果
が充分にえられず、17%をこえるとえられた成形品の
機械的性質、耐湿性や耐熱性が低下するため好ましくな
い。
【0028】本発明で使用する多官能エポキシ化合物と
は、分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であ
り、市販の各種エポキシ化合物を使用することができ
る。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、
ビスフェノールS型エポキシ化合物、レゾルシノール型
エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合
物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族型
エポキシ化合物、多価アルコールのエポキシ化合物、芳
香族環を有するエポキシ化合物などがあげられる。これ
らの中でもとくに、ビスフェノールAジグリシジルエー
テル、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジ
ルエーテルが好ましい。これら多官能エポキシ化合物
は、単独または2種以上併用して使用してもよい。
【0029】前記多官能エポキシ化合物の(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)および(F)成分から
なる混合物中における使用量は、エポキシ当量により異
なるが、一般的に好ましくは0.1〜10%である。使
用量が0.1%未満であるとえられた成形品の耐湿性が
低下し、10%をこえると射出成形時の成形性やえられ
た成形品の表面光沢を損なうため好ましくない。
【0030】本発明でいう結晶核剤とは、PETに対す
る核剤作用を有するものであり、タルクなどの無機微粒
子、有機カルボン酸のアルカリ金属塩およびカルボキシ
ル基を有する有機重合体のアルカリ金属塩などがあげら
れる。これらの中でもとくに有機カルボン酸のアルカリ
金属塩および/またはカルボキシル基を有する有機重合
体のアルカリ金属塩が好ましく、その具体例としては、
安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p−ブチル安
息香酸ナトリウム、p−ブチル安息香酸カリウム、ステ
アリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、モンタン
酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、パルミチン酸ナト
リウム、パルミチン酸カリウム、エチレン−メタクリル
酸の共重合体のナトリウム塩、エチレン−メタクリル酸
の共重合体のカルシウム塩などがあげられる。これらの
結晶核剤は、単独または2種以上併用してもよい。
【0031】前記結晶核剤の(A)、(B)、(C)、
(D)、(E)および(F)成分からなる混合物中にお
ける使用量は、好ましくは0.1〜10%である。使用
量が0.1%未満であると80℃以下の金型温度でもす
ぐれた表面光沢がえられるという本発明の効果が充分に
えられず、10%を超えるとえられた成形品の耐湿性が
低下するため好ましくない。
【0032】本発明の構成成分の一つである繊維状強化
剤としてはとくに限定はなく、通常使用される繊維状強
化剤が使用できる。繊維状強化剤としては、たとえばガ
ラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸繊維、
芳香族ポリアミド繊維などが具体例としてあげられる
が、これらのうちではコスト/パフォーマンスの点から
ガラス繊維が好ましく使用される。
【0033】このような繊維状強化剤の繊維長、直径に
ついてはとくに制限されるものではないが、通常0.1
〜10mmの繊維長、0.5〜50μmの直径のものが
使用される。繊維状強化剤がガラス繊維のばあいには、
繊維長としては好ましくは0.1〜7mm、とくに好ま
しくは0.3〜4mm、直径としては好ましくは2〜4
0μm、とくに好ましくは5〜20μmのものが使用さ
れる。
【0034】また、繊維状強化剤は、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂との界面接着力を向上させて補強効果を
高める目的で、必要に応じて種々の化合物で処理された
ものも使用することができる。繊維状強化剤がガラス繊
維のばあいには、種々の表面処理剤、たとえばアミノシ
ラン系、エポキシシラン系またはビニルシラン系のシラ
ンカップリング剤で処理されたものが使用される。
【0035】このような繊維状強化剤の使用量は、組成
物からえられる成形品に要求される性能によって変わる
が、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および
(F)成分からなる混合物100重量部に対し5〜15
0重量部であることが好ましい。前記使用量が5重量部
未満であると機械的性質、耐熱性を向上させる効果がえ
られず、150重量部をこえるとポリエチレンテレフタ
レート樹脂中に均一に混合、分散させることが困難にな
るため好ましくない。
【0036】本発明の組成物には、さらに必要に応じて
熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色
剤、帯電防止剤、充填材などの各種無機系ないし有機系
化合物を本発明の目的を損なわない程度に配合してもよ
い。
【0037】本発明のポリエステル樹脂組成物は種々の
方法で混合して製造することができ、その製造方法はと
くに限定されるものではないが、通常はポリエチレンテ
レフタレート樹脂のペレットに各成分、添加剤を添加
し、押出機で溶融混練する方法などでえられることがで
きる。
【0038】本発明の組成物は種々の形態、たとえば各
種成形品、シート、パイプ、ボトルなどに成形すること
ができるが、とくに表面外観を重視する射出成形品にお
いて本発明の効果が発揮される。
【0039】次に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】実施例1 固有粘度(フェノール対テトラクロルエタンが重量比で
1対1である混合溶媒中、25℃で測定;以下同様)が
0.65dl/gで充分に乾燥したポリエチレンテレフ
タレート(以下、PETという)57.3%に、固有粘
度が0.75dl/gで充分に乾燥した、ポリエチレン
テレフタレート70%とビスフェノールAポリエチレン
オキシド付加物(分子量1000、ビスフェノールAの
エチレンオキシド単位に対するモル比は0.06)30
%とのブロック共重合体(以下PET系共重合体とい
う)33.3%、両末端ポリエチレンオキシド変性ポリ
ジメチルシロキサン(エチレンオキシド末端が水酸基、
ポリエチレンオキシド量50%)2.9%、充分に乾燥
したポリブチレンアジペート(分子量2000)4.8
%、ビスフェノールAジグリシジルエーテル1.0%、
p−ブチル安息香酸ナトリウム0.7%、およびこれら
の混合物100重量部に対しガラス繊維(繊維長3m
m、直径11μm、アミノシラン処理)43.5重量
部、酸化防止剤(テトラキス・メチレン−3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート・メ
タン)1.0重量部をベント式45mmφ押出機でシリ
ンダー温度250〜270℃にて溶融混練し、ペレット
化した。このペレットを140℃にて4時間乾燥後、射
出成形機(型締め圧75トン)を用い、シリンダー温度
260℃にて、目視で光沢が出るまで金型温度を低温側
から毎分2℃で徐々に上げて成形を行い、5cm×10
cm×2mmの試験片を作成した。
【0041】えられた試験片について、エリクセン式光
沢度計を用いて入射角60°で表面光沢度を測定し、金
型温度に対してプロットしたグラフを作成したのち、こ
のグラフから、光沢度70%になるときの金型温度を求
め、これを表面光沢が良好になる金型温度とした。この
金型温度で成形した各種試験片を用いて、以下に述べる
その他の物性を測定した。
【0042】機械的性質については引張強度(AST
M、D−638使用)、アイゾット衝撃強度値(AST
M、D−256(ノッチ付き)使用)を測定した。耐湿
性については95℃、相対湿度100%の条件下72時
間湿熱劣化処理した試験片の引張強度(ASTM、D−
638使用)を測定し、未処理品の引張強度に対する強
度保持率を算出した。耐熱性についてはHDT(熱変形
温度)(ASTM、D−648使用、18.6kg/c
2 荷重)を測定した。
【0043】結果を表1に示す。
【0044】実施例2 実施例1で、PETの使用量を57.3%から54.4
%に変え、p−ブチル安息香酸ナトリウムの代わりにエ
チレン−メタクリル酸共重合体のナトリウム塩3.6%
を使用した以外は実施例1と同様にして行った。結果を
表1に示す。
【0045】実施例3 実施例1で、両末端ポリエチレンオキシド変性ポリジメ
チルシロキサンの代わりに両末端エポキシシクロヘキシ
ル基変性ポリジメチルシロキサン(エポキシ当量65
0)を、ポリブチレンアジペートの代わりにポリノナメ
チレンアジペート(分子量2000)を、ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテルの代わりにテトラヒドロキシ
フェニルエタンテトラグリシジルエーテルを、p−ブチ
ル安息香酸ナトリウムの代わりにパルミチン酸ナトリウ
ムを使用した以外は実施例1と同様にして行った。結果
を表1に示す。
【0046】実施例4 実施例1で、PETの使用量を57.3%から70.6
%に変え、PET系共重合体としてポリエチレンテレフ
タレート50%とビスフェノールAポリエチレンオキシ
ド付加物(分子量1000、ビスフェノールAのエチレ
ンオキシド単位に対するモル比は0.06)50%との
ブロック共重合体20.0%を使用した以外は実施例1
と同様にして行った。結果を表1に示す。
【0047】実施例5 実施例1で、PETの使用量を57.3%から52.3
%に、両末端ポリエチレンオキシド変性ポリジメチルシ
ロキサンの使用量を2.9%から1.5%に、ポリブチ
レンアジペートの使用量を4.8%から9.6%に、ビ
スフェノールAジグリシジルエーテルの使用量を1.0
%から3.0%に、p−ブチル安息香酸ナトリウムの使
用量を0.7%から0.3%に変えた以外は実施例1と
同様にして行った。結果を表1に示す。
【0048】実施例6 実施例1で、PETの使用量を57.3%から48.3
%に、両末端ポリエチレンオキシド変性ポリジメチルシ
ロキサンの使用量を2.9%から5.8%に、ポリブチ
レンアジペートの使用量を4.8%から2.4%に、ビ
スフェノールAジグリシジルエーテルの使用量を1.0
%から3.0%に変え、p−ブチル安息香酸ナトリウム
の代わりにエチレン−メタクリル酸共重合体のナトリウ
ム塩7.2%を使用した以外は実施例1と同様にして行
った。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】比較例1 実施例1で、PET系共重合体を使用せずに、PETの
使用量を57.3%から90.6%に変えた以外は実施
例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0051】比較例2 実施例1で、両末端ポリエチレンオキシド変性ポリジメ
チルシロキサンを使用せずに、PETの使用量を57.
3%から60.2%に変えた以外は実施例1と同様にし
て行った。結果を表2に示す。
【0052】比較例3 実施例1で、ポリブチレンアジペートを使用せずに、P
ETの使用量を57.3%から62.1%に変えた以外
は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0053】比較例4 実施例1で、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを
使用せずに、PETの使用量を57.3%から58.3
%に変えた以外は実施例1と同様にして行った。結果を
表2に示す。
【0054】比較例5 実施例1で、p−ブチル安息香酸ナトリウムを使用せず
に、PETの使用量を57.3%から58.0%に変え
た以外は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示
す。
【0055】比較例6 比較例3で、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを
使用せずに、PETの使用量を62.1%から63.1
%に変えた以外は比較例3と同様にして行った。結果を
表2に示す。
【0056】比較例7 実施例1で、PETの使用量を57.3%から40.6
%に変え、PET系共重合体としてポリエチレンテレフ
タレート50%とビスフェノールAポリエチレンオキシ
ド付加物(分子量1000、ビスフェノールAのエチレ
ンオキシド単位に対するモル比は0.06)50%との
ブロック共重合体50.0%を使用した以外は実施例1
と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0057】比較例8 実施例1で、PETの使用量を57.3%から42.2
%に、両末端ポリエチレンオキシド変性ポリジメチルシ
ロキサンの使用量を2.9%から18.0%に変えた以
外は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0058】比較例9 実施例1で、PETの使用量を57.3%から44.1
%に、ポリブチレンアジペートの使用量を4.8%から
18.0%に変えた以外は実施例1と同様にして行っ
た。結果を表2に示す。
【0059】比較例10 実施例1で、PETの使用量を57.3%から47.0
%に、p−ブチル安息香酸ナトリウムの使用量を0.7
%から11.0%に変えた以外は実施例1と同様にして
行った。結果を表2に示す。
【0060】比較例11 実施例1で、PETの使用量を57.3%から47.3
%に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの使用量
を1.0%から11.0%に変えた以外は実施例1と同
様にして行った。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、8
0℃以下の金型温度でもすぐれた表面光沢がえられ、か
つ機械的性質、耐熱性、耐湿性などの物性バランスにす
ぐれた成形品を与えるので、良好な表面外観と高度な物
性が要求されるようなハウジング用途に好ましく使用す
ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレンテレフタレート繰り返し
    単位を主体とするポリエステル1〜97.7重量%、
    (B)ポリオキシアルキレン化合物に由来する単位を含
    むポリエチレンテレフタレート系共重合体1〜45重量
    %、(C)ポリオキシアルキレン基および/またはエポ
    キシ基を有するオルガノポリシロキサン0.1〜17重
    量%、(D)脂肪族ポリエステル1〜17重量%、
    (E)多官能エポキシ化合物0.1〜10重量%、なら
    びに(F)結晶核剤0.1〜10重量%からなる混合物
    100重量部に対し、(G)繊維状強化剤5〜150重
    量部を配合してなることを特徴とするポリエステル樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリオキシアルキレン化合物に由来
    する単位の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)お
    よび(F)成分からなる混合物中における含有量が1〜
    20重量%である請求項1記載のポリエステル樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記ポリオキシアルキレン化合物に由来
    する単位が下記一般式: 【化1】 (式中、Rは炭素原子数2〜4の2価の炭化水素基、X
    は直接結合または炭素原子数1〜3のアルキレン基、−
    S−、−SO2 −、−O−もしくは−CO−である2価
    の結合基、m、nは5〜20の整数、(m+n)個のR
    は同一もしくは異なっていてもよい)で表される単位で
    ある請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記結晶核剤が有機カルボン酸のアルカ
    リ金属塩および/またはカルボキシル基を有する有機重
    合体のアルカリ金属塩である請求項1記載のポリエステ
    ル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記繊維状強化剤がガラス繊維である請
    求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102712118A (zh) * 2009-10-30 2012-10-03 Seb公司 Pet热塑性聚合物制品,以及这种制品的制作方法
JP2013509478A (ja) * 2009-10-30 2013-03-14 セブ ソシエテ アノニム Pet熱可塑性ポリマー物品、およびそのような物品の作製方法

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