JPH07276025A - 射出プランジャ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プランジャチップの最前進位置付近の射出ス
リーブにも潤滑剤が一様に塗布可能な潤滑剤塗布装置付
き射出プランジャの提供。 【構成】 プランジャチップ２０の内部に潤滑剤受容空
間２１ｂ、２１ｃを形成するとともに、先端壁部２１ｄ
に潤滑剤噴出孔２６ａを形成する。該噴出孔をコイルバ
ネ２５にて付勢されたキャップ２４にて閉鎖する。射出
完了後に潤滑剤受容空間に潤滑剤が供給され、その液圧
が上昇すると、液圧が該バネの付勢力に打勝ち、キャッ
プ２４が移動して該噴出孔を開き、潤滑剤が噴射、塗布
される。 【効果】 潤滑剤噴出口はプランジャチップの最先端に
位置するので、射出スリーブの内壁面のうち金型に近い
位置にある部分にも潤滑剤が塗布可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は射出プランジャに関し、
特に潤滑剤塗布機能を有する射出プランジャに関する。

【０００２】

【従来の技術】ダイカスト装置は金型キャビティに連通
する射出スリーブ内をプランジャチップが往復摺動し、
射出スリーブ上部の給湯口から射出スリーブ内に供給さ
れた溶湯を金型キャビティ内に充填する。本明細書にお
いて、各部材の前端部や前進とは金型キャビティに近い
側、金型キャビティ方向への移動をいい、後端部や後退
とは金型キャビティから離間した側、該キャビティから
離反する方向への移動をいう。

【０００３】射出スリーブとプランジャチップとは相対
的摺動関係にあるために、射出スリーブの摺動面には潤
滑剤を供給する必要がある。従来の潤滑剤塗布方法で
は、プランジャーチップの後退時に給湯口から潤滑剤を
滴下し、エアーノズルなどでエアーを吹き付けて、滴下
した潤滑剤を射出スリーブ摺動面に拡散付着させてい
る。しかしながら、この方法では潤滑剤をプランジャー
チップの摺動面に均一に塗布することが出来ない。これ
とは別に、金型開放時に金型側から射出スリーブ内に向
けて潤滑剤を吹き付ける方法もあるが、これによると給
湯口の周辺には十分に潤滑剤を塗布できない恐れがある
し、そのための装置を設ける必要がありコストと手間を
要する。

【０００４】特開昭６２−２２０２６５号公報記載は、
プランジャチップを支持するプランジャロッドに、潤滑
剤吹き出し用のパイプを設け、プランジャーチップの前
進時又は後退時に潤滑剤を射出スリーブ摺動面に塗布す
る技術を記載している。該パイプの先端開口部はプラン
ジャチップの後端面まで延び、該開口部から潤滑剤を射
出スリーブの底部に向けて噴出している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし該公報記載の発
明は、射出スリーブのうち給湯口直下付近が最も高温に
なり焼き付きが生じ易いことに着目してなされたもので
あり、よって射出完了時におけるプランジャーチップが
金型に最も接近した最前進位置に対向したスリーブ摺動
面には潤滑剤を塗布することは不可能である。即ち射出
スリーブの前端部への潤滑剤の供給は不可能となる。ま
た開口部から噴射された潤滑剤は射出スリーブの底部に
向かうために、射出スリーブの円周方向全体に潤滑剤を
塗布することはできない。

【０００６】そこで本発明は、射出スリーブの前端部を
も含めた内周摺動面全体に、かつ円周方向に均一に潤滑
剤を塗布することが可能な射出プランジャを提供するこ
とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、射出スリーブに給湯された溶湯を金型に向
けて射出するために該射出スリーブの内周面に対して往
復摺動可能に設けられたプランジャチップと、該プラン
ジャチップを駆動するために該プランジャチップの後端
に結合されたプランジャロッドとを有する射出プランジ
ャにおいて、該プランジャチップ（２０）の内部には潤
滑剤を受容する潤滑剤受容空間（２１ｂ、２１ｃ）が形
成されると共に、該プランジャチップの先端面（２１
ｄ）側に該潤滑剤受容空間と導通する潤滑剤噴出口（２
６ａ）が形成され、該潤滑剤噴出口（２６ａ）の開口端
を選択的に開閉するキャップ手段（２４）と、該キャッ
プ手段（２４）を選択的に移動するためのキャップ駆動
手段（２２、２３、２５）と、該潤滑剤受容空間に連通
して潤滑剤供給手段（１１）とが設けられている射出プ
ランジャを提供している。

【０００８】

【作用】上記構成を有する本発明の射出プランジャによ
ると、キャップ駆動手段の動作により、潤滑剤噴出口は
キャップ手段にて封止される。潤滑剤受容空間に潤滑剤
が導入され該空間が潤滑剤で充満すると、キャップ駆動
手段の動作により、キャップ手段が移動して潤滑剤噴出
口が開き、潤滑剤が射出スリーブ内周面に向けて噴出す
る。潤滑剤噴出口はプランジャチップの最先端に位置し
ているので、プランジャチップの最前進位置に対向した
スリーブ摺動面にまで潤滑剤を塗布することが可能とな
る。射出終了後、射出プランジャを後退させながら噴出
を続行させることにより、射出スリーブの内周面全体に
潤滑剤が塗布される。

【０００９】

【実施例】本発明の１実施例による射出プランジャにつ
いて図１、図２に基づき説明する。射出プランジャ１
は、図示せぬ射出シリンダにより駆動されるプランジャ
ロッド１０と、該プランジャロッド１０の先端に固定さ
れたプランジャチップ２０とを有する。プランジャチッ
プ２０はプランジャチップ本体２１により主に構成さ
れ、その外周面２１ａは図示せぬ射出スリーブの内周面
と摺動関係にある。

【００１０】プランジャチップ本体２１は、潤滑剤受容
空間たる前端側中空部２１ｂと後端側中空部２１ｃが形
成されたカップ形状をなし、先端壁部２１ｄには貫通孔
２１ｅが形成されている。該両中空部２１ｂ、２１ｃ間
は仕切板２２にて仕切られている。仕切板２２の略中央
部には貫通孔２２ａが形成されるとともに、一対の導通
孔２２ｂ、２２ｃが形成されている。

【００１１】該仕切板２２の貫通孔２２ａに対して、軸
方向に移動可能にピン２３が貫通している。ピン２３の
先端螺子部２３ａはキャップ２４を螺合固定している。
キャップ２４のステム部２４ａは、上記先端壁部２１ｄ
の貫通孔２１ｅ内を移動可能であり、頭部２４ｂは貫通
孔２１ｅの円形開口端２６ａを封鎖可能である。ステム
部２４ａの外径は貫通孔２１ｅの内径より小さく、両者
間に環状の潤滑剤噴出通路２６を画成している。また該
通路２６の円形開口端２６ａは潤滑油噴出口として作用
する。

【００１２】ピン２３の後端部はヘッド部２３ｂが設け
られ、ヘッド部２３ｂと仕切板２２との間でピン２３の
回りに付勢部材たるコイルバネ２５が巻装されており、
コイルバネ２５の弾発力により、ピン２３はキャップ４
が貫通孔２１ｅの円形開口端２６ａを封鎖する方向に常
時付勢されている。

【００１３】後端中空部２１ｃの後端開口部は、プラン
ジャロッド１０との螺合により封止されている。プラン
ジャロッド１０内には該後端中空部２１ｃと連通する潤
滑剤供給手段たる潤滑剤供給パイプ１１が貫通配設され
ており、パイプ１１の先端開口部はピン２３のヘッド部
２３ｂに対向している。該パイプ１１は図示せぬ潤滑剤
圧送装置に接続されている。

【００１４】以上の構成において、図示せぬ給湯口から
射出スリーブ内に注湯された溶湯は射出スリーブ内を摺
動する射出プランジャ１によって金型に向けて射出され
る。ここでは図１に示すように、キャップ２４の頭部２
４ｂはバネ２５によりプランジャーチップ本体２１の先
端壁部２１ｄに着座し、潤滑油噴出口２６ａは閉じた状
態にある。また射出時には、潤滑剤は後端側中空部２１
ｃに供給されず潤滑剤の液圧によりキャップ２４が押さ
れることはない。

【００１５】射出が完了し、プランジャーチップ２０が
金型に最も接近した位置にある時、プランジャーロッド
１０内に配設される潤滑剤供給パイプ１１に潤滑剤が送
り込まれ、後端中空部２１ｃには潤滑油が注ぎ込まれ、
導通孔２２ｂ、２２ｃを介して先端側中空部２１ｂにも
潤滑油が供給される。潤滑油が更に供給され、これら中
空部２１ｂ、２１ｃ内の液圧が上昇すると、潤滑剤は潤
滑剤噴出通路２６を介してキャップ２４の頭部２４ｂの
裏面を押圧する。そしてこの液圧の作用により、コイル
バネ２５の弾発力に抗してピン２３は前方に移動し、図
２に示されるようにキャップ２４の頭部２４ｂは先端壁
部２１ｄから離反する。よって潤滑剤噴出口２６ａが開
かれ、潤滑剤噴出口２６ａから潤滑剤が噴射される。

【００１６】プランジャーチップ２０が後退位置まで戻
るまで、図示せぬ潤滑剤圧送装置からの潤滑剤の供給が
続行され、潤滑剤はプランジャーチップの摺動面に均一
に塗布される。即ち潤滑剤噴出口２６ａはプランジャチ
ップ２０の最先端に位置しているので、プランジャチッ
プ２０の最前進位置に対向したスリーブ摺動面にも潤滑
剤を塗布することが可能となる。また該噴出口２６ａは
円形状をなしているので、射出スリーブの円周方向に均
一に潤滑剤が噴射される。

【００１７】プランジャーチップ２０が後退位置まで戻
ると、潤滑剤供給パイプ１１への潤滑剤の供給が停止さ
れ、プランジャーチップの後端中空部２１ｃへの潤滑剤
の供給が停止することから、前方に変位していたピン２
３はコイルバネ２５本来の付勢により引き戻される。よ
ってキャップ２４がプランジャーチップ先端壁面２４ｂ
に着座し、潤滑剤噴出口２６ａが閉じられる。

【００１８】上記の実施例では、潤滑剤噴出口の開閉を
潤滑剤の液圧を利用して行ったが、潤滑剤噴出口を開閉
するキャップを機械的に駆動操作することによっても開
閉が可能である。その他特許請求の範囲に記載された範
囲において、種々の修正、変更が可能である。

【００１９】上記実施例の特徴を列挙する。 （１）キャップ駆動手段は潤滑剤受容空間内に設けら
れ、潤滑剤供給手段によって供給された該空間内の潤滑
剤の液圧によりキャップ手段が動作可能であること。 （２）キャップ駆動手段は、キャップ手段を固定するピ
ンと、キャップ手段が潤滑剤噴出通路の開口端を閉鎖す
る方向に該ピンを常時付勢する付勢部材とを有し、上記
（１）の液圧が付勢部材の付勢力に打ち勝ちキャップ手
段を反対方向に移動して潤滑剤噴出通路の開口端が開か
れること。 （３）潤滑剤供給手段はプランジャロッド内に設けら
れ、プランジャロッドの先端面において該潤滑剤受容空
間に臨んでいること。

【００２０】

【発明の効果】以上説明した本発明の射出プランジャに
よれば、射出スリーブへの潤滑剤塗布をプランジャーチ
ップの戻り時にプランジャーチップの先端部から行える
よう構成したので、スリーブ摺動面に均一に潤滑剤を塗
布することが可能となる。スリーブ摺動面に均一に潤滑
剤を塗布することが出来るので、ガスの発生が少なく巣
の発生を防止できる水溶性潤滑剤など油性潤滑剤に比較
して潤滑性能が劣るものでも、本発明に利用できるの
で、鋳造品の品質が安定する。またプランジャーチップ
のかじりの発生を抑えることが出来るので、その寿命が
延び、加えて射出スリーブに潤滑剤塗布機能を装備した
ので、給湯孔の上方や金型側に潤滑剤塗布用の付加的装
置を設ける必要がなくなる等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による射出プランジャの潤滑
剤塗布工程前の状態を示す概略断面図。

【図２】上記一実施例による射出プランジャによる潤滑
剤塗布状態を示す概略断面図。

【符号の説明】

１ 射出プランジャ １０ プランジャロッド １１ 潤滑剤供給手段たる潤滑剤供給パイプ ２０ プランジャチップ ２１ｂ 潤滑剤受容空間たる先端側中空部 ２１ｃ 潤滑剤受容空間たる後端側中空部 ２１ｄ プランジャチップ先端面 ２２ 仕切板 ２３ キャップ駆動手段たるピン ２４ キャップ ２５ キャップ駆動手段たるコイルバネ ２６ 潤滑剤噴出通路 ２６ａ 潤滑剤噴出口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出スリーブに給湯された溶湯を金型に
   向けて射出するために該射出スリーブの内周面に対して
   往復摺動可能に設けられたプランジャチップと、該プラ
   ンジャチップを駆動するために該プランジャチップの後
   端に結合されたプランジャロッドとを有する射出プラン
   ジャにおいて、 該プランジャチップの内部には潤滑剤を受容する潤滑剤
   受容空間が形成されると共に、該プランジャチップの先
   端面側に該潤滑剤受容空間と導通する潤滑剤噴出口が形
   成され、 該潤滑剤噴出口の開口端を選択的に開閉するキャップ手
   段と、 該キャップ手段を選択的に移動するためのキャップ駆動
   手段と、 該潤滑剤受容空間に連通して潤滑剤供給手段とが設けら
   れていることを特徴とする射出プランジャ。