JPH07272957A - 電磁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は電磁装置に関し、例えばオーディオ
機器用電源トランス等に最適に使用し、電磁鋼板を積層
した鉄芯の隅角部に強いストレスがかかることなく、ま
た間隙を生ずることなく、全体的に強い密着力をもって
コイルを鉄芯に捲回することにより鉄芯およびコイルが
振動するのを防止することを目的とする。 【構成】 電磁鋼板２を捲回し積層して形成される断面
略半円形の上辺部３Ａおよび下辺部３Ｂを含むように形
成され、前記絶縁部品４を可撓性を有する材料により形
成し、絶縁部品を介してコイル５を前記鉄芯１に密着し
て捲回することにより鉄芯１およびコイル５の振動を防
止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は例えばオーディオ機器用
電源トランス等に用いる電磁装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばオーディオ機器用電源トラ
ンス等に用いる電磁装置には図４および図５に示すもの
があった。すなわち、リボン状の電磁鋼板２′を捲回し
積層して形成される断面略矩形のリング状の鉄芯１′の
外周に、合成樹脂等の絶縁材料により形成されるボビン
４′を介してトロイダル捲線機を用いてコイル５を捲回
していた。図ではわかり易くするために比較的荒く、コ
イル５を捲回している。

【０００３】そしてコイル５に電流を流すと、磁力が発
生し、鉄芯１′は磁化される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら図４また
は図５に示す上記従来の電磁装置は、電磁鋼板２′を捲
回し、積層した断面略矩形の鉄芯１′の外周に、トロイ
ダル捲線機を用いてコイル５を強い張力をかけながら捲
回するので、鉄芯１′の隅角部Ｓに強い応力がかかる。
そのためリング状の鉄芯１′は上下方向からの圧迫によ
り内周面３′Ｃおよび外周面３′Ｄの部分が鉄芯１′の
中心から外方向に向く力が印加される。従ってこの状態
でコイル５に交流電流が流されると、鉄芯１′は磁化さ
れて振動が発生し、この振動は増大される。

【０００５】またコイル５を鉄芯１′に捲回するのに、
強い張力で捲回するが、あまりに強い張力をかけると、
コイル５が断線するので、コイル５を捲回する時の張力
には限界がある。そのため、断面略矩形をなした鉄芯
１′の上面３′Ａ、また下面３′Ｂ、内周面３′Ｃ、お
よび外周面３′Ｄとコイル５との間には間隙Ｋを生ず
る。そしてこの状態でコイル５に電流を流した場合に
は、コイル５から発生する磁力によってコイル５自身が
振動し、電磁装置から発生する振動エネルギーが増大す
る。

【０００６】ところで電気絶縁材料としての合成樹脂を
用いて成形される樹脂成形物としてのボビン４′を用い
ることにより、鉄芯１′がコイル５の捲回時に受ける機
械的ストレスを軽減しようとするものがあった。

【０００７】しかし鉄芯１′は、電磁鋼板２′の積層方
向に締付力を付与されることにより制振作用があるが、
前記のようにボビン４′を合成樹脂を用いて成形される
ボビン４′は剛性を発揮するので、コイル５の捲回によ
る締付が不可能であり、鉄芯１′の振動を制動できない
という不都合を生じていた。

【０００８】そこで本発明は、鉄芯の隅角部に強いスト
レスがかかることなく、また鉄芯との間に間隙を生ずる
ことなく、全体的に強い密着力をもって鉄芯にコイルが
捲回されることにより、鉄芯およびコイルが振動するの
を防止することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
てなされたものであり、電磁鋼板を捲回し積層して形成
されるリング状の鉄芯に、絶縁部品を介してコイルを捲
回することにより形成される電磁装置において、前記鉄
芯は、断面略半円形の上辺部および下辺部を含むように
形成され、前記絶縁部品を可撓性を有する材料により形
成し、該絶縁部品を介してコイルを前記鉄芯に密着して
捲回するという手段を採用した。

【００１０】

【作用】リボン状の電磁鋼板を捲回し積層して形成され
るリング状の鉄芯が、断面略半円形の上辺部および下辺
部に形成されて隅角部が存在しないので、しかもコイル
は無理なストレスを生ずることなく鉄芯に強い張力で密
着するとともに電磁鋼板の積層方向に適度の締付力がか
かった状態で捲回される。

【００１１】

【実施例】以下図１乃至図３に従って説明する。１はリ
ボン状の電磁鋼板２を捲回し積層して形成されるリング
状の鉄芯であり、この鉄芯１は図１および図２に示すよ
うに断面略半円形の上辺部３Ａと下辺部３Ｂとを含み、
該上辺部３Ａと下辺部３Ｂとが直線辺部３Ｃ，３′Ｃと
で連結された略長円形に形成される。鉄芯１をリング状
に形成したのは、漏洩磁束を小さくするためである。

【００１２】４は前記鉄芯１の外周を覆う絶縁部品であ
り、この絶縁部品４は可撓性と電気絶縁性とを有する材
料により形成される。そしてこの絶縁部品４としては、
例えばポリエステル・フィルム、柔軟性を有する合成樹
脂、不織布等があげられる。

【００１３】５はコイルであり、このコイル５は前記鉄
芯１の外周に前記絶縁部品４を介して密着して捲回され
る。図では理解し易くするためにコイル５の捲数を比較
的荒く描いている。コイル５の捲回には例えばトロイダ
ル捲回機を使用して鉄芯１に強い張力により捲回され
る。

【００１４】本発明の一実施例は上記構成からなり、電
磁鋼板２を捲回し積層して形成されるリング状の鉄芯１
は、図１および図２に示すように、断面略半円形の上辺
部３Ａと断面略半円形の下辺部３Ｂとを含み、該上辺部
３Ａと下辺部３Ｂとが直線辺部３Ｃ，３′Ｃとで連結さ
れた略長円形に形成されることにより図４および図５に
示す断面略矩形の従来の鉄芯１′のように隅角部Ｓが存
在しない。従ってリング状の鉄芯１は上下方向からの圧
迫が従来のようにかからず、内周側および外周側の直線
辺部３Ｃ，３′Ｃが鉄芯１の中心から外方向に向く力が
かからずにコイル５は鉄芯１の外周に間隙を生ずること
なく密着した状態で捲回される。

【００１５】しかも鉄芯１の外周に捲回される絶縁部品
４は可撓性を有するポリエステル・フィルム、柔軟性を
有する合成樹脂、不織布等の電気絶縁材料により形成さ
れているので、強い張力でコイル５は絶縁部品４を介し
て鉄芯１に密着して捲回される。

【００１６】しかも電磁鋼板２の積層方向に適度の締付
力がかかった状態でコイル５は鉄芯１に捲回されるの
で、コイル５は断面略半円形の上辺部３Ａと下辺部３Ｂ
とに限らず、この上辺部３Ａと下辺部３Ｂとを連結する
直線状の連結辺部３Ｃ，３′Ｃとの全体にわたって間隙
を生ぜずに密着した状態で捲回される。

【００１７】そして鉄芯１に捲回されたコイル５に通電
すると、磁力が発生し、鉄芯１は磁化される。しかしコ
イル５は、略断面半円形の上辺部３Ａと下辺部３Ｂとを
有する鉄芯１に全体的に密着して強い張力をもって捲回
されているので、鉄芯１の振動は極力抑えられるととも
にコイル５から発生する磁化力によるコイル５自身の振
動が低減され、電磁装置の振動エネルギーが大幅に低減
する。

【００１８】図３は本実施例の電磁装置に50Hzの交流電
源を接続し、鉄芯１の最大磁束密度が1.7 テスラになる
ように磁化して電磁装置の上方10cmの位置に騒音計のマ
イクロホンを設置することにより、電磁装置から発生す
る振動音を検知し、その電圧波形をオッシログラフに現
した図である。このオッシログラフの結果を図６に示す
ように、断面積、磁路長、およびコイルの捲数、線径等
が本実施例の電磁装置と同一条件にて捲回される従来の
鉄芯１′を使用した電磁装置からの振動音を同一の測定
条件にて測定したオッシログラフと比較すると、図４に
示す本実施例の振動音波形が約1.2Vppであるのに対して
図６に示す従来の電磁装置の振動音波形が約2.8Vppであ
る。従って鉄芯１を使用した本実施例の電磁装置から発
生する振動は、鉄芯１′を使用した従来の電磁装置から
発生する振動の1/2 以下に低減していることがわかる。

【００１９】なお上記実施例では鉄芯１の断面形状が、
断面略半円形の上辺部３Ａと断面半円形の下辺部３Ｂと
を上下に含む略長円形に形成されたものについて説明し
ているが、これに限ることなく断面略半円形の上辺部３
Ａと下辺部３Ｂとから形成される断面正円形の鉄芯であ
っても本発明は適用できる。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明は、断面略半円形の
上辺部と下辺部とを有する鉄芯にコイルを捲回するの
に、隅角部を有する断面略矩形の従来の鉄芯のように強
いストレスが鉄芯にかかることなく、また鉄芯との間に
間隙を生ずることなく、全体的に強い密着力をもって鉄
芯にコイルが捲回されるので、鉄芯およびコイルが振動
するのを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の電磁装置の一実施例を示す斜面
図である。

【図２】同じく断面図である。

【図３】本実施例の鉄芯に生ずる振動の測定結果をオッ
シログラフに現した特性図である。

【図４】従来の電磁装置の一例を示す斜面図である。

【図５】同じく断面図である。

【図６】同じく従来の鉄芯に生ずる振動の測定結果をオ
ッシログラフに現した特性図である。

【符号の説明】

１ 鉄芯 ２ 電磁鋼板 ３Ａ 上辺部 ３Ｂ 下辺部 ４ 絶縁部品 ５ コイル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電磁鋼板を捲回し積層して形成されるリ
   ング状の鉄芯に、絶縁部品を介してコイルを捲回するこ
   とにより形成される電磁装置において、前記鉄芯は、断
   面略半円形の上辺部および下辺部を含むように形成さ
   れ、前記絶縁部品を可撓性を有する材料により形成し、
   該絶縁部品を介してコイルを前記鉄芯に密着して捲回す
   ることを特徴とする電磁装置。