JPH0727270U - 内部液冷式電動機の冷却構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の内部液冷式電動機では、冷却液である
油をハウジング内に収容された電動機のステ−タのコイ
ルエンドに噴射する噴霧ノズルに導く給油パイプは、端
面ハウジングにあけられた貫通穴を通して油供給源に連
結されていたため給油管が端面ハウジングから軸方向の
外側に突出して露出し、小型化の要求と外観の点から好
ましくなかったので、これらを改善するすることを目的
とする。 【構成】 側周ケ−シング（ハウジング）２７の軸方向
の端部に近い位置に半径方向に貫通穴１６をあけて油供
給源に接続し、側周ケ−シング２７の内周に貫通穴１６
に連通する環状溝１８と、この環状溝１８に連通し冷却
油噴霧ノズル１５に向かう流通路２１を有する油分配リ
ング１７を取り付け、その先端に冷却油噴霧ノズル１５
を装着した構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は電動機に関し、特に内部液冷式電動機の冷却構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

産業界では高速回転、高出力の小形電動機（モ−タ）に対する需要が増大して いることから、この種の小形モ−タでも空冷方式や、水冷ジャケットによりハウ ジング（ケ−シングとも呼ぶ）などの外部を冷却する方式では冷却不十分となり 、コイルエンドを含む電動機の内部を冷却油などで冷却する冷却機構を有し内部 液冷式電動機と呼ばれる小形モ−タが多用されるようになっている。 図３は、従来技術による内部液冷式電動機としての一例を示す液冷式電動機の 構造の概要を示し、電動機１の固定子の鉄心２にはコイルが巻かれ、そのコイル エンド４は固定子の鉄心２の左端面から図で軸方向左方に突出し、このコイルエ ンド４は左の端面ハウジング３を軸方向内方に貫通する給油パイプ６の先端に取 り付けられた噴霧ノズル５から噴出される冷却油により冷却され、この従来例で は８個の給油パイプ６が円周方向にシリ−ズに配置されている。 固定子の鉄心２の側周ハウジング７は、両者の間に配置されたジャケット８に あけられた水の流路９に供給される冷却水により冷却され、外部はジャケットに よる水冷式を、内部は油噴霧方式を併用している。 図中の符号１１はロ−タであり、１２はロ−タと一体に回転する出力軸であり ブラケット１３と玉軸受１４を介して端面ハウジング３に支持されている。 図４は、従来技術の内部液冷式電動機の他の例として特開平２−７９７４６号 公報に開示されている液冷式電動機の左半部を示す断面図である。 その液冷機構としては、端面ハウジング３の半径方向外方部には端面ハウジン グ３を軸方向に貫通して冷却液導入口６′があけられ、これよりさらに軸方向内 方にはノズル部品３６が配置され、このノズル部品３６と前記の端面ハウジング ３の内面との間の空隙が環状の液溜め３２となっていて、液溜め３２の半径方向 の内外の２位置で軸方向内方に貫通して冷却液を液溜め３２から軸方向内方に導 く案内流路３８と３４があけられている。 このように、冷却液がコイルエンド４と、それより半径方向内方のロ−タ２０ のエンドリング２６とを冷却できる構造になっているが、内部構造が複雑なこと と、図３の場合と同様に冷却液導入口６′と案内流路３８、３４が軸方向に位置 するので軸方向の長さが大になり小型化は困難である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前述した従来技術では外部水冷、内部油噴霧方式の併用により冷却自体の目的 はほぼ達成されるが、冷却油の配管が端面ケ−シングを越えて軸方向外方に突出 して露出するため小形化の要求にも合致せず外観の点からも商品価値を低下させ るため、小形化の要求と外観の双方の点で商品価値の高い小形電動機に対する要 望が高まったので、この要望に応ずる高速小形電動機に適した冷却機構を提供す るのが本考案に課された課題である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案では、電動機（モ−タ）のケ−シング中の中空円筒状の側周ケ−シング 軸方向端部に近い位置の内周面に環状の油分配リングを設け外部の給油源に接続 可能にし、この油分配リングの円周方向の複数の位置から、半径方向ではコイル エンドよりは外方で軸方向内方に突出する冷却油噴霧ノズル（以下噴霧ノズルと 略称する）を設け、半径方向方に位置するコイルエンドに向けて冷却油を噴出さ せるようにして課題を解決した。

【０００５】

【作用】

モ−タの側周ケ−シングの軸方向端部に近い内周面に配置された油分配リング は、側周ケ−シングを貫通する貫通穴を介して外部の給油源に接続されるので、 端面ケ−シングを越え軸方向外方に突出することがないため外観を損なわず、ま た油分配部材や油分配リングから油が漏れてしみ出るような場合があっても電動 機の外部を汚すようなことはない。

【０００６】

【実施例】

図１は本考案による内部冷却型小形電動機の一実施例を示す部分断面側面図で あるが、従来技術として図３に示した内部油噴霧、外部水冷ジャケット併用方式 以外の小形モ−タにも適用可能なので、本考案に直接関係のない外部水冷ジャケ ットの部分を省略し、ロ−タ、出力軸、軸受、ブラケットなどの図示をも省略し て関連する部分のみを図示した。 図１を参照して、この内部冷却型小形電動機の冷却機構の構造を説明する。 側周ケ−シング２７の左側端は端面ケ−シング２３の段部２３ａに当てられて 結合され、側周ケ−シング２７のこの結合位置から僅かに軸方向右方に寄った位 置には、側周ケ−シング２７を半径方向に貫通する貫通穴１６があけられ、側周 ケ−シング２７の内周で軸方向にこの貫通穴１６に対応する位置には、断面形状 がコの字形で、その開口部が側周ケ−シング２７の内周に向けられ前記貫通穴１ ６に連通する環状溝１８が設けられた環状の油分配リング１７が取り付けられ、 貫通穴１６の外端は接続金具１９などを介して図示しない油供給源に通ずる油パ イプ２５に接続されている。 前記油分配リング１７の軸方向内方（右）端には、円周方向に一連のコイルエ ンドに均等に冷媒が供給されるように軸方向内方に向けて環状溝１８に連通する 所定数の流通路２１があけられ、それぞれの先端には所定数の小穴があけられた 冷却油噴霧ノズル１５が着脱可能に装着され、半径方向内方に位置するコイルエ ンド４に向け冷却油を噴射するようになっている。 このタイプの内部冷却型小形電動機では、コイルエンド４は勿論、固定子の鉄 心２、ロ−タ１１も防液のための含浸処理が施されている。

【０００７】 図２の（Ａ）と（Ｂ）は、図１の実施例と目的は同一であるが、構造の一部が 相違する変更実施例を示す断面部分図である。 図２の（Ａ）に示した油分配リング１７は、半径方向外周が開口する環状溝１ ７ａを介して前記側周ケ−シングの半径方向の貫通穴１６と連通される油分配リ ングとして形成され、その軸方向内方端は回転軸の軸心に対して軸方向内方に向 かって広くなるようにされた斜切面１７ｂとされ、この斜切された面１７ｂには この面にほぼ直角に、冷却油を前記コイルエンド４に向けて噴射するための所定 の数のノズル穴１７ｃがあけられ、噴霧ノズルを兼ねるようにされている。 図２の（Ｂ）に示した別の変更実施例では、前記側周ケ−シング２７の貫通穴 １６ａの半径方向内方部に前記側周ケ−シング２７の内周面の全周に開口する環 状溝１６ｂが明けられ、前記油分配リング１７′は前記環状溝１６ｂを軸方向に 覆う油分配リングとして形成され、この油分配リングの半径方向外周面には、こ の外周面と軸方向内端面との間にあけられて前記環状溝に連通し、断面が直角に 曲げられた形状の複数個の流通穴１７′ａと、これらの流通穴１７′ａがあけら れた部分以外で前記環状溝の開口を覆う部分とが設けられ、流通穴１７′ａの方 向に延びる流通路のそれぞれの先端には前記噴霧ノズルが着脱可能に装着されて いる。

【０００８】

【考案の効果】

本考案では、電動機の側周ケ−シングの軸方向端部近くを半径方向に貫通して 給油管に接続される貫通孔と、この貫通穴に接続され冷却油噴霧ノズルに導かれ る案内流路とが設けられ、端面ケ−シングから軸方向外方に突出する部材は一切 設けられないので電動機の軸方向長さを短縮することができ、電動機の小形化が 可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による小形電動機の油冷却機構の第１の
実施例を示す部分側断面図である。

【図２】本図の（Ａ）と（Ｂ）は第２と第３の実施例を
示す部分側断面図である。

【図３】従来の小形電動機の油冷却機構と外部水冷却機
構を示す部分側断面図である。

【図４】従来の他の小形電動機の油冷却機構と外部水冷
却機構を示す部分側断面図である。

【符号の説明】

２ 固定子の鉄心 ４ コイルエンド １１ ロ−タ １５ 冷却油噴霧ノズル １６、１６ａ 貫通穴 １６ｂ、１７ａ 環状溝 １７、１７′ 油分配リング １７ｂ 斜切面 １７ｃ ノズル穴 １７′ａ 流通穴 １８ 環状溝 ２１ 流通路 ２３ 端面ケ−シング ２３ａ 段部 ２７ 側周ケ−シング

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空円筒状の側周ケ−シングと、この側
   周ケ−シングの軸方向の両端を覆う端面ケ−シングとか
   ら成りその内部に電動機を収容するケ−シングと、この
   ケ−シングの前記側周ケ−シングの内周に固定して取り
   付けられた鉄心と、この鉄心の溝に挿入して巻かれたコ
   イルを有する固定子と、この固定子の内側に同軸に固定
   され回転可能に配置されたロ−タと、このロ−タの内周
   に一体に回転可能に取り付けられ軸方向の両端部が軸受
   を介して左、右の端面ケ−シングで支持された出力軸
   と、前記ケ−シングを貫通して内方に導かれ外部の冷却
   油供給源に連結される少なくとも一個の給油管と、この
   給油管の先端に接続され円周方向に所定の間隔を保って
   複数個配置された案内流路と、この案内流路に接続され
   前記コイルのコイルエンドを冷却する冷却油噴霧ノズル
   とを含んで成る液冷式電動機において、 前記側周ケ−シングは、その軸方向の端部近くを半径方
   向に貫通し前記給油管に接続される貫通穴と、前記側周
   ケ−シングの内周の前記貫通穴に対応する位置に配置さ
   れて前記貫通穴に連通するとともに、その軸方向内端に
   複数個の前記冷却油噴霧ノズル部が配置され、その内部
   に前記貫通穴の内方端と前記冷却油噴霧ノズルのそれぞ
   れとの間を連通させる案内流路とがあけられた油分配リ
   ングが配置されていることを特徴とする内部液冷式電動
   機の冷却構造。
2. 【請求項２】 前記油分配リングは、全体が円周方向に
   環状に連続して形成され、その半径方向外周に連続して
   開口する環状溝を介して前記側周ケ−シングの貫通穴と
   連通され、前記環状溝の円周方向の複数個の位置から軸
   方向内方に向けられた分流路が明けられ、その開口端の
   それぞれに前記冷却油噴霧ノズルが着脱可能に連結され
   冷却油を前記コイルエンドに向けてほぼ半径方向内方に
   噴射するようにされている請求項１記載の内部液冷式電
   動機の冷却構造。
3. 【請求項３】 前記油分配リングは、その半径方向外周
   に開口する環状溝を介して前記側周ケ−シングの半径方
   向の貫通穴と連通され、その軸方向内方端は半径方向内
   方に向かって開くように軸心に対し斜切され、この斜切
   された面にほぼ垂直に冷却油を噴射するための所定の数
   のノズル穴が噴霧ノズルを兼ねてあけられている請求項
   ２記載の内部液冷式電動機の冷却構造。
4. 【請求項４】 前記側周ケ−シングの半径方向内方部は
   前記側周ケ−シングの内周面の全周に開口し前記の半径
   方向の貫通穴と連通する環状溝が明けられ、前記油分配
   リングにあけられた半径方向の貫通穴はその外方の開口
   部が前記環状溝に連通され、前記油分配リングの半径方
   向外周面は前記環状溝の開口を覆う部分と、円周方向に
   所定の間隔であけられ前記環状溝に連通する複数個の流
   通穴が明けられた部分とを有し、これらの流通穴のそれ
   ぞれに連通し軸方向内方端に到る流出穴があけられ前記
   冷却油噴霧ノズルが装着されている請求項１記載の内部
   液冷式電動機の冷却構造。