JPH07272357A

JPH07272357A - テープガイド

Info

Publication number: JPH07272357A
Application number: JP6083642A
Authority: JP
Inventors: Shigeru Masuda; 茂増田; Hiroshi Kiriyama; 宏志桐山; Haruyuki Kono; 晴之河野; Kuniaki Hashimoto; 久仁日橋本
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1994-03-31
Filing date: 1994-03-31
Publication date: 1995-10-20

Abstract

(57)【要約】【目的】低コストで、しかも、磁気テープの安定した
摩擦係数が得られるテープガイドを得ること。【構成】磁気テープ４の走行路上に配置される非回転
式の金属のテープガイド２２、２３の表面に、ビッカー
ス硬度が３０００〜５０００の硬質カーボン膜３１をコ
ーティングしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばテープレコーダ
やデータレコーダ等の磁気記録再生装置に適用するのに
最適な非回転式で金属のテープガイドに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ビデオテープレコーダやデー
タレコーダ等のＭ型ローディング方式の磁気記録再生装
置では、図７に示すように、テープカセット１内の供給
リール２及び／又は巻取リール３から磁気テープ４をド
ラム入口ガイド５及びドラム出口ガイド６によってテー
プカセット１の前方に矢印ａ、ｂ方向に引き出して、回
転ヘッドドラム７の周面にヘリカル状にローディングす
る。

【０００３】また、これと同時に、供給側テープ引出ガ
イド及び巻取側テープ引出ガイドであるテープガイド８
及び９によって、磁気テープ４の供給側４ａ及び巻取側
４ｂをテープカセット１の前方の左右両側方に矢印ｃ、
ｄ方向に引き出して、磁気テープ４の供給側４ａを固定
ヘッドである全幅消去ヘッド１０及び複数の固定ガイド
であるテープガイド１１にローディングすると共に、磁
気テープ４の巻取側４ｂを複数の固定ヘッドであるチャ
ンネルイレーズヘッド１２、ＣＴＬヘッド兼用のオーデ
ィオ録再ヘッド１３、コンフィヘッド１４やキャプスタ
ン１５及び複数の固定ガイドであるテープガイド１６、
１７にローディングする。

【０００４】そして、ローディングされた磁気テープ４
の巻取側４ｂをピンチローラ１８によってキャプスタン
１５に圧着して、磁気テープ４を供給リール２から巻取
リール３へ巻き取るべく、上記ローディングされた走行
路上で定速走行させながら、回転ヘッドドラム７及び複
数の固定ヘッド１０、１２〜１４によって所望の記録及
び／又は再生を行うように構成している。

【０００５】そして、図８に示すように、ドラム入口ガ
イド５及びドラム出口ガイド６は、それぞれスライダー
２１上に固着された各一対の垂直ガイド及び傾斜ガイド
であるテープガイド２２及び２３によってほぼ対称状に
構成されている。なお、垂直ガイドであるテープガイド
２２には磁気テープ４の高さを規制する上下フランジ２
２ａ、２２ｂが形成されている。

【０００６】そして、これら垂直ガイド及び傾斜ガイド
であるテープガイド２２、２３に対する磁気テープ４の
巻付角θは、他のテープガイド１１、１６、１７に対す
る磁気テープ４の巻付角よりも大きく構成されている。

【０００７】なお、テープガイド８、９、１１、１７は
回転ローラである回転式のテープガイドに構成されてい
て、他のテープガイド１６、２２、２３が丸棒状ガイド
である非回転式のテープガイドに構成されている。

【０００８】そして、従来からテープガイド８、９、１
１、１６、１７、２２、２３の全てが、ステンレスで構
成されていて、これらの表面は、ビッカース硬度が約２
００であり、表面粗度が約０．８ｓに構成されていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のテー
プガイド８、９、１１、１６、１７、２２、２３のう
ち、回転式のテープガイド８、９、１１、１７について
は磁気テープ４との摩擦や摩耗を殆んど無視することが
できるが、非回転式のテープガイド１６、２２、２３は
磁気テープ４の摩擦及び摩耗が問題となる。特に、ドラ
ム入口及びドラム出口５、６を構成している垂直ガイド
及び傾斜ガイドであるテープガイド２２及び２３は磁気
テープ４の巻付角θが大きいために、磁気テープ４との
摩擦及び摩耗が重大である。

【００１０】そこで、図４は従来の非回転式のテープガ
イド２２、２３について、４種類のバラツキをもった磁
気テープＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄの摩擦係数を測定した時の数値
を示したものである。

【００１１】なお、この摩擦係数の測定には、図５に示
した摩擦係数測定器２５を用いている。即ち、テープガ
イド２２、２３に磁気テープ４を所定の巻付角θ₁ に巻
き付け、磁気テープ４の一端に７０ｇの荷重２６を与
え、磁気テープ４の他端を歪みゲージ２７を介してテー
プ走行手段２８によって一定のテープ速度で繰り返し矢
印ｅ、ｆ方向に往復走行させて、その時の磁気テープ４
のテープテンションＴ₁とＴ₂ の変化によって磁気テー
プ４の摩擦係数を測定して、ペンコーダ２９で記録した
ものである。なお、測定時の温度は常温（摂氏２４℃、
湿度３５％）であり、テープ速度は２０ｍｍ／ｓｅｃで
あった。

【００１２】そして、図４によれば、磁気テープＡは走
行開始の摩擦係数が０．２４であったものが、走行回数
が２００回で摩擦係数が０．６５にまで異常に上昇し、
磁気テープＢは走行開始の摩擦係数が０．２２であった
ものが走行回数が４００回で摩擦係数が０．５８にまで
異常に上昇している。また、磁気テープＣ、Ｄについて
も走行開始の摩擦係数がそれぞれ０．１７及び０．１５
であったものが、走行回数が１０００回で摩擦係数がそ
れぞれ０．４５及び０．３０にまで大幅に上昇した。

【００１３】また、図６は、図７に示したＭ型ローディ
ング方式の磁気記録再生装置を用いて、４種類のバラツ
キをもった磁気テープＡ、Ｂ、Ｃ、ＤについてＰＬＡＹ
とＲＥＷの反転走行を繰り返し行った際の従来のドラム
出口ガイド６のテープガイド２３と、その隣りのテープ
ガイド１６との間のテープテンションの変化を測定した
時の数値を示したものである。

【００１４】そして、この図６によれば、磁気テープＡ
は走行開始のテープテンションが１３２ｇであったもの
が、走行回数５００回でテープテンションが３２０ｇに
まで異常に上昇し、磁気テープＢは走行開始のテープテ
ンションが１５５ｇであったものが走行回数が９００回
で２５０ｇまで異常に上昇している。また、磁気テープ
Ｃ、Ｄについても走行開始のテープテンションがそれぞ
れ１１５ｇ、１１３ｇであったものが、走行回数が１０
００回でテープテンションがそれぞれ２０５ｇ、１７０
ｇにまで大幅に上昇した。

【００１５】以上のように、従来のテープガイド２２、
２３では、磁気テープ４のバラツキにより、繰り返し走
行を行うと、磁気テープ４の摩擦係数及びテープテンシ
ョンが早期に高くなり易く、キャプスタン１５に対する
磁気テープ４の滑りが生じて、サーボエラーを発生し易
い。

【００１６】また、磁気テープ４のテープテンションが
高くなると、テープガイド２３の傾きの影響が大きくな
って、垂直ガイドであるテープガイド２２の上下フラン
ジ２２ａ、２２ｂで磁気テープ４の上下エッジがダメー
ジを受け易く、磁気テープ４の寿命が短くなる。

【００１７】また、磁気記録再生装置の長時間の使用に
よりテープガイド２２、２３の表面が摩耗されて、その
表面粗度が変化し易く、磁気テープ４の摩擦係数に変化
が生じ易い。

【００１８】そして、テープガイド２２、２３の表面が
鏡面になると、磁気テープ４の貼り付きの問題も発生し
易い。

【００１９】そして、上記の問題は、従来のテープガイ
ド２２、２３がステンレス製であって、ビッカース硬度
が約２００程度であり、耐摩耗性があまり高くないこ
と、表面粗度が約０．８ｓと比較的荒いために磁気テー
プ４に早期に傷がついて、摩擦係数やテープテンション
が早期に高くなり易いこと。また、磁気テープ４に傷が
つくと、その磁気テープ４の傷がテープガイド２２、２
３に転写されて、テープガイド２２、２３の摩耗が促進
されること等が考えられる。

【００２０】なお、従来のステンレス製のテープガイド
２２、２３では、表面粗度を細かくすると、鏡面になり
易い等、寿命が著しく下がる上に、表面粗度を細かくす
るためにはテープガイド２２、２３の研磨仕上げ工程を
多くしなければならず、著しくコスト高につく。

【００２１】そこで、磁気テープ４の摩擦係数を安定に
するために、テープガイド２２、２３にセラミックを使
用することも考えられるが、セラミックは加工性が悪い
上に、ステンレスに比べて著しくコスト高につく。

【００２２】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであって、低コストで、しかも、磁気テープ
の安定した摩擦係数が得られるテープガイドを提供する
ことを目的としている。

【００２３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めの本発明のテープガイドは、磁気記録再生装置の磁気
テープの走行路上に配置される非回転式で金属のテープ
ガイドの表面に、ビッカース硬度が３０００〜５０００
の硬質カーボン膜をコーティングしたものである。

【００２４】

【作用】上記のように構成された本発明のテープガイド
は、図２及び図３に示すような安定した摩擦係数及びテ
ープテンションが得られる。

【００２５】

【実施例】以下、本発明を適用した磁気記録再生装置の
テープガイドを図１〜図３を参照して説明する。なお、
図４〜図８と同一構造部には同一の符号を付して説明の
重複を省く。

【００２６】本発明は、図１に示す如く、ドラム入口及
び出口ガイド５、６を構成している垂直ガイド及び傾斜
ガイドであるステンレス製のテープガイド２２、２３
と、ドラム出口ガイド６とチャンネルイレーズヘッド１
２との間に配置される固定ガイドであるステンレス製の
テープガイド１６の表面に、それぞれビッカース硬度が
３０００〜５０００の硬質カーボン膜３１を真空蒸着法
等によってコーティングしたものであり、その硬質カー
ボン膜３１の厚さｔは約１μｍであり、表面粗度は０．
５〜０．６ｓに構成している。

【００２７】従って、本発明のテープガイド２２、２
３、１６の表面のビッカース硬度が従来の約１５〜２５
倍に向上し、本発明のテープガイド２２、２３、１６の
表面粗度が従来の約０．５〜０．７％だけ細かくなっ
た。

【００２８】そして、本発明のテープガイド２２、２
３、１６について、従来と同様の４種類のバラツキをも
った磁気テープＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄの摩擦係数を従来と同一
条件で測定した結果、図２に示した数値が得られた。

【００２９】即ち、４種類のバラツキをもった磁気テー
プＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄの全てが走行開始の摩擦係数が０．１
５で、走行回数が１０００回に達しても、これらの摩擦
係数が０．１９と０．１７の範囲に極めて小さく収ま
り、摩擦係数の異常な上昇は全く見られなかった。

【００３０】また、本発明のテープガイド２２、２３、
１６を使用したＭ型ローディング方式の磁気記録再生装
置において、４種類のバラツキをもった磁気テープＡ、
Ｂ、Ｃ、ＤについてのＰＬＡＹとＲＥＷの反転走行を繰
り返し行った際のドラム出口ガイド６のテープガイド２
３と、その隣りのテープガイド１６との間のテープテン
ションの変化を従来と同一条件で測定した結果、図３に
示した数値が得られた。

【００３１】即ち、４種類の磁気テープＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄ
の全てが走行開始のテープテンションが１３２〜１１０
の範囲であったものが、走行回数が１０００回に達して
も、これらのテープテンションが１６５〜１３８の範囲
内に極めて小さく収まり、テープテンションの異常な上
昇は全く見られなかった。

【００３２】なお、ステンレス製のテープガイド２２、
２３、１６の表面に硬質カーボン膜３１をコーティング
するのは、真空蒸着法によって非常に簡単に、かつ、高
精度にコーティングできる。

【００３３】以上、本発明の一実施例に付き述べたが、
本発明は上記の実施例に限定されることなく、本発明の
技術的思想に基づいて各種の変更が可能である。

【００３４】

【発明の効果】上記のように構成された本発明のテープ
ガイドは次のような効果を奏する。

【００３５】請求項１は、磁気記録再生装置の磁気テー
プの走行路上に配置される非回転式で金属のテープガイ
ドの表面に、ビッカース硬度が３０００〜５０００の硬
質カーボン膜をコーティングしたので、磁気テープの繰
り返し走行によるテープガイドに対する磁気テープの摩
擦係数のバラツキが著しく小さくなり、摩擦係数及びテ
ープテンションの異常な上昇を防止できる。従って、キ
ャプスタンに対する磁気テープの滑りによるサーボエラ
ーの防止やテープガイドの上下フランジによるテープエ
ッジのダメージ防止等のテープテンションの異常な上昇
に伴う不都合を未然に防止することができて、磁気テー
プの安定走行を実現して記録、再生の特性の向上や磁気
テープの寿命の増大を図ることができる。

【００３６】請求項１は、テープガイドの表面のビッカ
ース硬度が３０００〜５０００と、従来のステンレス製
のテープガイドのビッカース硬度の約１５〜２５倍に増
大するので、テープガイドの表面粗度の変化が少なくな
り、長時間使用しても磁気テープの摩擦係数が安定して
いる等、テープガイドの耐摩耗性が飛躍的に向上して、
ランニングコストを大幅低減できる。

【００３７】請求項１は、テープガイドの素材をステン
レス等の金属にできるので、セラミックに比べて加工性
が良く、コストも著しく安い。

【００３８】請求項２は、上記硬質カーボン膜の面粗度
を０．５〜０．６ｓに構成したので、磁気テープに傷が
つきにくく、磁気テープの傷がテープガイドに転写され
て、磁気テープの摩擦係数やテープテンションが異常に
上昇されることがない。

【００３９】請求項３は、上記硬質カーボン膜の厚さを
約１μｍに構成したので、テープガイドの表面硬度及び
表面粗度を長期間に亘って確保できる。

【００４０】請求項４は、上記硬質カーボン膜をテープ
ガイドの表面に真空蒸着したので、テープガイドの表面
に硬質カーボン膜を簡単に、かつ、高精度にコーティン
グできる。

【００４１】請求項５は、磁気記録再生装置の回転ヘッ
ドドラムに磁気テープをヘリカル状に巻き付けるための
ドラム入口ガイド及びドラム出口ガイドにテープガイド
を適用したので、磁気記録再生装置の長期間の使用によ
っても、磁気テープの摩擦係数及びテープテンションを
安定して得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のテープガイドを説明する要部の一部切
欠き平面図である。

【図２】本発明のテープガイドに対するバラツキをもっ
た４種類の磁気テープの摩擦係数を測定したグラフであ
る。

【図３】本発明のテープガイドに対するバラツキをもっ
た４種類の磁気テープのテープテンションを測定したグ
ラフである。

【図４】従来のテープガイドに対するバラツキをもった
４種類の磁気テープの摩擦係数を測定したグラフであ
る。

【図５】従来のテープガイドに対するバラツキをもった
４種類の磁気テープの摩擦係数を測定するための摩擦係
数測定器を説明する概略図である。

【図６】従来のテープガイドに対するバラツキをもった
４種類の磁気テープのテープテンションを測定したグラ
フである。

【図７】Ｍ型ローディング方式の磁気記録再生装置を説
明する概略平面図である。

【図８】図７の磁気記録再生装置のドラム入口ガイドを
示した平面図及び側面図である。

【符号の説明】

４磁気テープ１６、２２、２３非回転式のテープガイド３１硬質カーボン膜

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者橋本久仁日東京都品川区北品川６丁目７番35号ソニー株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】磁気記録再生装置の磁気テープの走行路上
に配置される非回転式で金属のテープガイドの表面に、
ビッカース硬度が３０００〜５０００の硬質カーボン膜
をコーティングしたことを特徴とするテープガイド。
【請求項２】上記硬質カーボン膜の表面粗度を０．５〜
０．６ｓに構成したことを特徴とする請求項１記載のテ
ープガイド。
【請求項３】上記硬質カーボン膜の厚さを約１μｍに構
成したことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のテ
ープガイド。
【請求項４】上記硬質カーボン膜をテープガイドの表面
に真空蒸着したことを特徴とする請求項１又は請求項２
又は請求項３記載のテープガイド。
【請求項５】請求項１又は請求項２又は請求項３又は請
求項４記載のテープガイドを、磁気記録再生装置の回転
ヘッドドラムに磁気テープをヘリカル状に巻き付けるた
めのドラム入口ガイド及びドラム出口ガイドに適用した
ことを特徴とするテープガイド。