JPH07270579A - 燃料移動制御装置および方法 - Google Patents

燃料移動制御装置および方法

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JPH07270579A
JPH07270579A JP6064114A JP6411494A JPH07270579A JP H07270579 A JPH07270579 A JP H07270579A JP 6064114 A JP6064114 A JP 6064114A JP 6411494 A JP6411494 A JP 6411494A JP H07270579 A JPH07270579 A JP H07270579A
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【目的】複数の燃料を移動させる場合に燃料移動作業を
能率よく、かつ炉停止余裕を確保して安全に行うことが
できる燃料移動制御装置および燃料移動制御方法を提供
する。 【構成】燃料の移動手順を格納する記憶手段21と、原
子炉内の中性子束を計測する中性子束計測手段22と、
記憶手段21の情報と中性子束計測手段22から出力さ
れる中性子束信号とに基づいて反応度の変化を推定し、
複数の燃料を並行して移動させる並行移動の可否を判定
する判断機構23aを有し、この判断機構23aでの判
定結果に基づき、燃料移動機構24(燃料交換機10
a,10bに相当)に並行移動または単独で順次に移動
する順次移動のいずれかの動作を行なわせるとともに、
それらの燃料移動機構24の位置と速度とを制御する燃
料移動制御手段23とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電所の原子炉
における燃料装荷,取出し,交換等に適用される燃料移
動技術に係り、特に複数の燃料移動機構によって燃料を
水平方向および垂直方向に移動する燃料移動制御装置お
よび燃料移動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所では、約1年の運転毎に定
期点検を実施し、主要機器の点検保修とともに、燃料の
入替えや並び替え等を行っている。燃料の入替えや並び
替えを行うための燃料移動作業には通常、延べ2〜3週
間を要し、全体で3カ月を要する定期点検の作業中でも
多くの時間を占め、かつ前後の作業工程に影響を及ぼ
す、いわゆるクリティカルパスになっている。定期点検
期間は近年、次第に短縮される傾向にあり、それに従っ
て燃料移動作業の短縮は急務となっている。
【0003】炉心および燃料プールの燃料配置は、一般
に格子状をなしており、これらの配置に対して水平方向
(炉心と燃料プールとが配置する方向)およびその直交
方向に割り当てた燃料座標により、燃料集合体の設置位
置が管理されている。
【0004】燃料交換機は、例えば図15および図16
に示すように、水平方向に移動する橋構造の走行台車
(以下、ブリッジと称する)1、直交方向にブリッジ1
上を走行する横行台車(以下、トロリと称する)2、お
よびトロリ2上で垂直方向に伸縮して燃料つかみ具の位
置を操作する伸縮管(以下、マストと称する)3等から
構成されており、矢印a,b,cで示すように、直交3
軸の位置および速度制御が可能になっている。
【0005】現行の燃料交換機では、ブリッジ走行方向
aの移動によって、炉心4と燃料プール5との間で燃料
集合体を1体ずつ移動することができる。燃料集合体は
燃料プール5内の図示しないラックから一旦上げられ、
炉心4の上面まで水平に移動して、10数m下降して炉
心に設置される。炉心4からの取出しは、この逆動作に
よって行なわれる。
【0006】沸騰水型原子力発電所の場合、燃料移動作
業は、水中下でマスト3に吊下げた図示しない燃料集合
体の移動として行なわれる。燃料交換機は、10m/分
程度の速度で水平移動が可能であり、目的の燃料位置ま
でには、燃料プール5と炉心4との間で2分程度で移動
できる。
【0007】しかしながら、移動後の振動待ちに時間を
要し、マスト3の伸縮および燃料設置操作等により、1
回の移動作業には数分以上の時間を要する。
【0008】なお、燃料移動作業時間を短かくするため
には、複数燃料の移動を並行して行うことが有効であ
る。特に所要時間を要する垂直方向のマスト伸縮を同時
に行うこと(以下、垂直方向の並行移動という)が有効
である。これを考慮した燃料移動計画方法としては、例
えば特願平5−65027号の技術が提案されており、
この計画に基づいて燃料交換機を運用すれば、ほとんど
の燃料を並行して移動することが可能となっている。
【0009】ところで、燃料移動過程においては燃料の
組合せにより原子炉炉心の反応度が変化するため、原子
炉に設置した中性子計装機構により中性子束信号を常に
監視し、臨界にならないように安全に作業を進める必要
がある。反応度の評価法としてはペリオド計によるペリ
オドTの監視(連続量としては1/Tの監視)が広く用
いられており、このペリオド計Tの値は、中性子束信号
をN(t)とすると、以下の計算処理で求められる。
【0010】
【数1】
【0011】定量的な反応度を監視する方法と装置とし
ては、例えば特開昭62−228199号公報記載の技
術が提案されている。この反応度評価方法によれば、オ
ンラインで未臨界の程度が明らかにできる。
【0012】また、予想される燃料配置に基づいて事前
に反応度を予測する手法としては、例えば特開平3−9
5491号公報記載の技術が提案されている。この反応
度評価方法によれば、燃料の核的情報を基に最大価値
(最大の負の反応度を与えている)制御棒引抜き時の臨
界に至るまでの反応度余裕を予測できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数燃
料の移動を並行して行う燃料移動作業は、原子炉に潜在
的に大きな反応度を与える可能性があり、これを完全に
監視運用するための燃料交換機の制御機構が必要とな
る。前述のように、マストの並行移動が行われた場合、
マスト1本ずつの燃料移動(以下、順次移動という)に
比較して、燃料配置を急に変えることになり、炉停止余
裕の監視が重要になる。
【0014】前述した特願平5−65027号の技術で
は、事前の移動計画において、大きな反応度を与える移
動操作を抑制し、その結果を人手によって集約監視して
いるが、原子力プラントの設計思想においては、さらに
ヒューマンエラーを考慮して、機械系等でバックアップ
するものが必要とされる。
【0015】ちなみに、沸騰水型原子炉では、挿入を仮
定している最大価値制御棒が1本挿入されていない場合
でも未臨界であることが要求されており、これは移動過
程のいかなる燃料配置においても、任意の1本の制御棒
が引き抜かれても、反応度が−1%ΔK/K(解析誤差
を含んだ炉停止余裕)以下であることと等価である。し
たがって、制御棒に隣接する位置の燃料装荷であって
も、適切な炉停止余裕が確保されていることを確認する
必要がある。また、燃料を取出す場合であっても、燃料
配置の変化に伴い周囲の中性子束分布を変化させるの
で、制御棒の反応度価値を高める可能性もあり、必ずし
も単調に炉停止余裕を増大させることを保証することは
できない。
【0016】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、複数の燃料を移動させる場合に燃料移動作業を
能率よく、かつ炉停止余裕を確保して安全に行うことが
できる燃料移動制御装置および燃料移動制御方法を提供
することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
燃料移動制御装置は、移動手順を格納する記憶手段と、
原子炉の中性子束を計測する中性子束計測手段と、記憶
手段の情報と中性子束計測手段から出力される中性子束
信号とに基づき、燃料の垂直方向の並行移動の可否を判
定して制御する燃料移動制御手段と、原子炉の燃料を並
行して移動させる燃料移動機構とを備えて構成される。
【0018】また、本発明に係る燃料移動制御方法は、
前記装置を用い、次のように行われる。まず各燃料移動
機構に対応する移動手順を記憶手段に格納する。移動手
順には、各燃料移動機構の燃料つかみ位置と燃料放し位
置とが設定されている。
【0019】なお、並行して移動する燃料の数を2とし
ても一般性を失わないので、以後の説明では2体の燃料
を並行して移動させる場合を例に説明する。
【0020】この各移動は、水平方向の移動においてな
るべく干渉しないように計画されており、2つの燃料に
ついて、ほぼ並行して、つかみ位置への移動、マスト降
下、燃料つかみ操作、マスト上昇、放し位置への移動、
マスト降下、放し操作、マスト上昇が順次に行える。以
下、これを燃料移動の1ステップと呼ぶ。
【0021】ここで安全監視上問題なのは、2つの燃料
がともに炉心を放し位置として垂直方向に移動される場
合であり、放し位置で並行して各燃料を降下させる場合
に大きな反応度が加わる可能性がある。
【0022】移動手順には、並行燃料降下の可否を記載
するが、並行降下が許可されている場合でも、炉心の反
応度を監視して適宜順次移動に変えることが必要な場合
がある。中性子束計測手段は、原子炉の中性子束を計測
して中性子束信号を出力する。
【0023】燃料移動制御手段は、中性子束信号に基づ
いて反応度を評価し、移動手順に基づいて1ステップの
燃料移動を実行する際に、この燃料移動が並行移動であ
って、反応度が所定のしきい値を超える場合には、燃料
の垂直方向の並行移動が順次移動となるように燃料移動
機構の位置と速度とを制御する。これにより、反応度の
付加を小さくすることができる。
【0024】その後、反応度が所定のしきい値を下回っ
たときには、再び燃料の垂直方向の並行移動を可能とす
る制御が行われる。当初から順次移動が指定されている
燃料移動に関しては、影響を与えない。反応度の制約を
受けない場合の燃料の垂直方向の並行移動と、燃料水平
方向の移動とに関しては、特に制約を受けないので、大
部分の燃料移動作業は並行実施が可能となり、安全を確
保した上で定期点検作業の短縮を図ることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0026】図1〜図8に本発明の第1実施例を示して
いる。本実施例では図2に示すように、1対の燃料交換
機10a,10bが備えられている。各燃料交換機10
a,10bはそれぞれ、図2に示すように、水平方向に
移動するブリッジ11、直交方向にブリッジ11上を走
行するトロリ12、およびトロリ12上で垂直方向に伸
縮して燃料つかみ具の位置を操作するマスト13から構
成されており、矢印a,b,cで示すように、直交3軸
の位置および速度制御が可能になっている。
【0027】そして、本実施例の燃料移動制御装置は図
1に示すように、燃料の移動手順を格納する記憶手段2
1と、原子炉内の中性子束を計測する中性子束計測手段
22と、記憶手段21の情報と中性子束計測手段22か
ら出力される中性子束信号とに基づいて反応度の変化を
推定し、複数の燃料を並行して移動させる並行移動の可
否を判定する判断機構23aを有し、この判断機構23
aでの判定結果に基づき、燃料移動機構24(燃料交換
機10a,10bに相当)に並行移動または単独で順次
に移動する順次移動のいずれかの動作を行なわせるとと
もに、それらの燃料移動機構24の位置と速度とを制御
する燃料移動制御手段23とを備えた構成とされてい
る。
【0028】詳述すると、図3に示すように、本実施例
の燃料移動機構24は2つのサブ移動機構24a,24
bを有し、これらのサブ移動機構24a,24bは、そ
れぞれブリッジ駆動機構41aB,41bB、トロリ駆
動機構41aT,41bTおよびマスト駆動機構41a
M,41bM、燃料つかみ具42a,42bより構成さ
れている。
【0029】また、燃料移動制御手段23は判断機構2
3aとして、移動目標判定機構31、反応度評価機構3
2、ブリッジ位置制御機構33aB,33bB、トロリ
位置制御機構33aT,33bT、マスト位置制御機構
33aM,33bM、ブリッジ速度制御機構34aB,
34bB、トロリ速度制御機構34aT,34bT、マ
スト速度制御機構34aM,34bM、ブリッジ速度検
出機構35aB,35bB、トロリ速度検出機構35a
T,35bT、マスト速度検出機構35aM,35b
M、ブリッジ位置検出機構36aB,36bB、トロリ
位置検出機構36aT,36bT、マスト位置検出機構
36aM,36bM、マスト位置追従機構37aM,3
7bMを備えて構成されている。
【0030】このような構成において、本実施例では図
4および図5に,で示すように、2つの燃料が水平
方向の移動においてなるべく干渉しないように計画され
ており、ほぼ並行して前述した1ステップの移動が行わ
れる。本実施例では、まず記憶手段21に格納された移
動手順101から1ステップ分の移動目標データ102
が移動目標判定機構31によって読み取られる。2つの
燃料の水平移動、垂直移動のいがれかまたは両方が並行
移動可能な時には、移動目標データ102には、各燃料
の燃料つかみ位置と放し位置とが記録されている。また
機構の干渉などの理由により、2つの燃料を同時に動か
すことが水平移動、垂直移動ともにできない場合には、
移動順に別のステップとして格納される。
【0031】移動目標判定機構31は、移動目標データ
102に従って、燃料つかみ位置までの水平移動、燃料
つかみまでの垂直降下移動、移動高さまでの垂直上昇移
動、燃料放し位置までの水平移動、燃料放しまでの垂直
降下移動、次の移動高さまでの垂直上昇移動の各フェー
ズ(以下、移動フェーズという)に必要なブリッジ1
1、トロリ12およびマスト13の目標位置301a
B,301aT,301aM,301bB,301b
T,301bMを順次に設定する。
【0032】垂直移動では、マスト位置制御機構33a
M,33bMに目標位置301aM,301bMを設定
し、水平移動では、ブリッジ位置制御機構33aB,3
3bBとトロリ位置制御機構33aT,33bTに目標
位置301aB,301aT,301bB,301bT
を設定する。各移動フェーズの移動が完了したことは、
各位置制御機構と速度制御機構のゼロ出力等を検知して
判定することができる。
【0033】並行移動可能な場合で、一部の水平移動あ
るいは垂直移動の移動順序が規定されている場合は、移
動目標判定機構31は、該当する移動フェーズにおい
て、規定された移動順序に従って、ブリッジ11、トロ
リ12、マスト13の目標位置を順次設定する。以後、
これに基づく移動制御を順次移動と呼ぶ。なお、移動順
序の規定は操作手順101に直接記述するか、移動目標
データ102の位置情報により判定することができる。
【0034】マスト位置制御機構33aM,33bM
は、目標位置301aM,301bMと、マスト位置検
出機構36aM,36Mから検出される現在位置302
aM,302bMとの位置偏差303aM,303bM
に基づき、速度目標304aM,304bMを出力す
る。
【0035】マスト速度制御機構34aM,34bM
は、速度目標304aM,304bMと、マスト速度検
出機構35aM,35bMから検出される現在速度30
5aM,305bMとの速度偏差306aM,306b
Mに基づき、速度指令307aM,307bMを出力す
る。速度指令307aM,307bMに従って、マスト
駆動機構41aM,41bMは伸長または短縮する。ブ
リッジ11とトロリ12の移動制御機構もマスト13と
同様であるので説明を省略する。
【0036】マスト上下端での制動停止や最高速度の制
限は、マスト位置制御機構33aM,33bMおよびマ
スト速度制御機構34aM,34bM内のリミッタ等で
実現される。燃料のつかみ,放しは、燃料の荷重変化に
基づき、制御機構(図示せず)による燃料つかみ具42
a,42bの制御によって行われる。
【0037】このような第1実施例では、反応度評価に
基づいて上記通常の位置,速度制御が変更される。反応
度評価機構32では、中性子束計測手段 で計測された
中性子束信号201に基づいて反応度の評価が行われ
る。この反応度に関し、燃料の挿入操作を中止すべき第
1の反応度しきい値と、これより低い第2の反応度しき
い値とを事前評価により決定しておく。例えば、第1の
反応度しきい値は最大価値制御棒引抜き時に反応度制限
値に至るレベルとし、第2の反応度しきい値は第1の反
応度しきい値から燃料移動機構数分の燃料を取出した時
のレベルとする。
【0038】移動目標判定機構31は、これら反応度し
きい値と前記反応度評価値とを比較し、反応度評価値が
第1の反応度しきい値と第2の反応度しきい値との間に
ある場合に、移動手順101に記述された各燃料の垂直
方向移動の優先度103に基づいて、以下の作用により
各燃料の垂直方向の並行移動を順次移動に変更する。
【0039】まず、移動目標判定機構31は、最優先の
燃料移動以外の燃料移動にマスト停止指令308を出力
することにより、燃料を停止する。ここでは、サブ移動
機構の一方24aを優先し、他方24bを停止させるも
のとする。マスト停止指令308を受けた位置追従機構
37bMは、目標位置301bMを、現在位置202b
Mに追従させる。これにより、マスト位置制御機構33
bMの速度目標304bMは0となり、マスト速度制御
機構34bMの速度指令307bMも0となって、マス
ト駆動機構41bMは停止する。
【0040】マスト停止指令308を受けない、マスト
位置制御機構33aMへの位置偏差303aMの入力は
変化しないので、マスト駆動機構41aMは以前の動作
を継続して、一方のサブ移動機構24aのマスト位置の
目標まで燃料を移動する。サブ移動機構24aのマスト
動作が完了した後、移動目標判定機構31は、次に優先
する燃料移動のため、他方のサブ移動機構4bのマスト
停止指令308を解除して、本来の目標位置301bM
を回復することにより、サブ移動機構24bのマスト位
置の目標まで燃料を移動する。
【0041】以上のように、反応度評価値が第1の反応
度しきい値と第2の反応度しきい値との間にある場合
に、マストの順次移動が実現され、反応度評価値が第1
の反応度しきい値以上となる場合には、全てのサブ移動
機構24a,24bにマスト停止指令308を出力して
マスト動作を停止させ、手動操作または移動手順101
の変更により反応度の低減を図る。反応度評価値が第2
の反応度しきい値を下回った時には、移動目標判定機構
31は全ての燃料移動機構に対するマスト停止指令30
8を解除して、マスト並行移動が行われる。
【0042】反応度による垂直移動の制約を受けた時
に、安全かつなるべく早い順次移動を完了させることが
望ましいので、燃料の垂直方向移動の優先度103の決
定法が重要である。優先度をオフライン的に決めること
もできるが、優先度の決定法としてオンライン評価によ
り実現する例を(1)〜(3)に示す。
【0043】(1)優先度は、炉心から取出す燃料とす
る。この場合、移動目標判定機構31は、移動目標デー
タ102が現在のブリッジ11、トロリ12位置が炉心
14にあり、かつ、放し位置ではないことから、炉心1
4から取出す燃料と判定できるので、これを優先して操
作し反応度を下げることができる。炉心から取出す燃料
が複数あって競合する時は、マスト13上昇後も反応度
制限が解除されない可能性を想定して、図6に示すよう
に、他の燃料を保持した移動機構の水平移動に干渉しな
いものを優先することが望ましい。
【0044】(2)優先度は、当該燃料の炉心への移動
先に隣接する制御棒周りの一定範囲に含まれる燃料の数
が多いものとする。
【0045】(3)優先度は、当該燃料の炉心への移動
先に隣接する制御棒周りの一定範囲に含まれる燃料の数
が少ないものとする。前記(1)の優先度基準例で燃料
取出しが完了しても反応度が順次移動のレベル(第2の
しきい値)を下回らない時には、燃料装荷を進める必要
がある。例えば、図7(A),(B)に示すように、少
なくとも対角2体の燃料で挟んで制御棒の支持を確保し
ないと、新たな燃料取り出しができない場合がある。一
般に効率的な燃料移動手順では、燃料移動だけで制御棒
支持を確保するので、このように燃料装荷に続く燃料取
り出しが計画されることが多い。そこで、前記(2),
(3)の優先度基準例では、移動先の燃料装荷状況を簡
単な指標で見るものである。
【0046】即ち、炉心での燃料配置状況は、初期配置
(全燃料装荷)から燃料移動の履歴を管理すれば、最低
でも燃料の有無は判定できる。そこで例として、図8に
示すように、いま炉心に装荷しようとする燃料に隣接す
る制御棒周り2×2体および4×4体の燃料の数を、そ
れぞれ指標1および指標2とする。この指標1の燃料の
数が多ければ、装荷によって制御棒の支持される度合い
が増し、指標2の燃料の数が多ければ、付加される反応
度は一般に大きいと判断できる。前者は反応度緩和にプ
ラス、後者はマイナスの効果があるので、前記(2),
(3)の優先度基準が考えられる。前記(1)の優先度
基準例と同様に、該当燃料が複数あって競合する時は、
他の燃料を保持した移動機構の水平移動に干渉しないも
のを優先することが望ましい。
【0047】以上の第1実施例では、反応度が高くなる
炉心状態を回避し、反応度の制約を受けない場合の燃料
の垂直方向の並行移動と、燃料の水平方向の移動には、
特に制約を受けないので、大部分の燃料移動作業は並行
実施が可能となり、安全性を確保した上で定期点検作業
の短縮を図ることができる。また、マスト3の並行移動
を順次移動に変更する際に優先度基準を設けることで、
順次移動をなるべく早く並行移動に戻すことが可能とな
る。
【0048】さらに、前記第1実施例では、任意数のサ
ブ移動機構に対して柔軟に適用でき、燃料移動作業の過
程で作業にあたるサブ移動機構数を変更できる。これに
より、空いたサブ移動機構を燃料検査や燃料プール15
内の移動等の他の目的に割り当てることができ、効率的
な燃料移動作業が実現できる。
【0049】なお、前記第1実施例では、2つの反応度
しきい値により燃料移動機構の動作を並行移動→順次移
動→停止と変化させたが、さらに多くの反応度しきい値
を設けて、マストの移動速度に対する制限値を変更する
ようにしても効果は変らない。例えば、判断機構23a
において、中性子束信号に基づいて求められる反応度評
価値と、燃料の挿入操作を中止すべき値となる第1の反
応度しきい値,これより低い第2の反応度しきい値なら
びにこれらの間にある第3の反応度しきい値との比較に
より、反応度評価値が第1の反応度しきい値と第2の反
応度しきい値との間にある場合に、記憶手段に格納され
た各燃料の移動手順の中の優先度に従った各燃料の垂直
方向における順次移動の指令を出すとともに、第3の反
応度しきい値と反応度評価値の大小関係によって垂直方
向の移動速度に対する制限値を変更すべく設定してもよ
い。
【0050】また、判断機構23aにおいて、中性子束
信号に基づいて求められる反応度評価値と、燃料の挿入
操作を中止すべき値となる第1の反応度しきい値,これ
より低い第2の反応度しきい値ならびにこれらの間に第
3の反応度しきい値との比較により、反応度評価値が第
1の反応度しきい値と第2の反応度しきい値との間にあ
る場合に、記憶手段に格納された各燃料の移動手順の中
の優先度に従った各燃料の垂直方向の並行移動の一部ま
たは全部を順次移動し、かつ、第3の反応度しきい値と
反応度評価値の大小関係によって垂直方向の並行移動数
を変更するようにしてもよい。
【0051】また、3以上のサブ移動機構があれば、並
行移動数を可変としてもよい。これらの場合、反応度が
高くなるほど、全体の移動完了時間(並行移動数×マス
ト移動時間)が順に遅くなるような制限値を設定するこ
とが望ましいと考えられる。次に本発明の第2実施例を
図9〜図12を参照して説明する。
【0052】この第2実施例では、第1実施例における
マスト13の並行移動を順次移動に変更する際の優先度
が、オフライン的評価によって移動手順で与えることも
できることを考慮し、移動手順を作成する移動手順計画
機構に反応度評価に基づく優先度決定機構を組み込んだ
ものである。
【0053】なお、本実施例において、燃料移動制御手
段23は、第1実施例と略同様であるので、説明を省略
する。
【0054】本実施例は基本的に、図9に示すように、
移動手順101を格納する記憶手段21と、原子炉の中
性子束を計測する中性子束計測手段22と、記憶手段2
1の情報と中性子束計測手段22による中性子束信号2
01に基づき、複数の燃料の垂直方向の並行移動の可否
を判定して制御する燃料移動制御手段23と、原子炉の
燃料を移動する複数のサブ移動機構24a,…,24b
と、移動手順101を作成する移動手順計画機構50と
を備えて構成される。
【0055】移動手順計画機構50は、燃料データベー
ス51、燃料候補選択機構52、燃料配置評価機構5
3、炉停止余裕評価機構54および移動優先度評価機構
55から構成されている。燃料データベース51には、
燃料移動作業に係る全燃料の移動前位置501、移動位
置502および核的特性503等の情報が格納されてい
る。
【0056】燃料配置評価機構53は、移動手順を計画
する最初の段階で、燃料データベース51の移動前位置
501に基づき、移動前の炉心燃料配置504を評価し
て初期設定する。燃料配置評価機構53は、任意の燃料
移動情報を受けて、移動後の炉心燃料配置505を作成
する。移動候補選択機構52は、移動前の炉心燃料配置
504と燃料データベース51の移動後位置502に基
づき、移動が必要な燃料で移動可能な第1候補を選択す
る。
【0057】移動可能な条件としては、移動先に空きが
あること、移動前後で全ての制御棒が燃料に挟まれて支
持されること等がある。さらに、移動候補選択機構52
は、前記第1候補から、サブ移動機構24a,…,24
nの数の範囲で同時に移動できる効率的な燃料移動の組
を選択する。効率的な燃料移動の条件としては、サブ移
動機構24a,…,24nの水平移動が干渉しないこ
と、燃料を保持しない移動を少なくすること、燃料移動
に要する時間を少なくすること等がある。結果として、
移動候補選択機構52は最大燃料移動機構数分の燃料移
動の組506を選択する。
【0058】移動優先度評価機構55は、移動候補選択
機構52で作成された燃料移動の組506の移動順序を
変更した可能な移動評価ケース507を作成する。移動
評価ケース507の数は、燃料移動の組506の数をN
とする時、(N!)ケースとなる。
【0059】燃料配置評価機構53は、移動評価ケース
507の1燃料移動の情報によって燃料配置評価ケース
508を作成する。燃料配置評価ケース508の数は、
燃料移動の組506の数をNとする時、
【数2】 ケースとなる。
【0060】図10および図11に必要な移動評価ケー
ス507と燃料配置評価ケース508の例を示す。
【0061】炉停止余裕評価機構54は、燃料配置評価
ケース508と燃料データベース51の核的特性503
に基づいて、炉停止余裕(反応度制限値−最大価値制御
棒引抜き時の反応度の最大値)509を評価する。
【0062】移動優先度評価機構55は、移動評価ケー
ス507と対応する炉体停止余裕509の最小値に基づ
きマスト並行移動の可否と移動優先度を以下(1)〜
(3)のように評価する。
【0063】(1)全ての移動評価ケースの炉停止余裕
が正の時、並行移動可能として炉停止余裕最大の移動評
価ケースの順番を移動優先度とする。 (2)一部の移動評価ケースの炉停止余裕が正の時、並
行移動不可として炉停止余裕最大の移動評価ケースの順
番を移動優先度とする。 (3)全ての移動評価ケースの炉停止余裕0以下の時、
別の移動候補の組を選択するように移動候補選択機構5
2に指示を出す。
【0064】移動優先度評価機構55は、マスト並行移
動の可否と優先度103を移動手順101に記録する。
以後、燃料移動制御手段3が、これら反応度しきい値と
反応度評価値とを比較し、反応度評価値が第1の反応度
しきい値と第2の反応度しきい値の間にある場合に、移
動手順101に記述された各燃料の垂直方向移動の優先
度103に基づいて、サブ移動機構24a,…,24n
の垂直方向の並行移動を順次移動に変更するのは、前記
第1実施例と同じである。この第2実施例における並行
移動の可否の判定と順次移動時の優先度決定のための反
応度評価方式の流れ図を図12に示す。
【0065】即ち、スタート後、燃料移動候補が未だあ
るか否か判断され(S1)、YESであると燃料移動候
補から燃料移動の組が選択され(S2)、並行移動可能
な燃料数Nの評価が行われる(S3)。
【0066】N>1の判定(S4)がYESであると、
移動順序の組合せによる移動評価形態(ケース)N!が
選択され(S5)、全移動評価ケースに含まれる燃料配
置評価ケースが評価され(S6)、全燃料配置ケースの
炉停止余裕が評価される(S7)。
【0067】そして、移動評価ケースが炉停止余裕最小
値の大きな順に並び変えられ(S7)、炉停止余裕が正
か否か判定される(S8)。
【0068】このステップS8において、全ケースで正
と判定されると並行移動可として、最大の炉停止余裕の
移動評価ケース順を移動優先度とすることが行われる
(S9)。一部のケースが正である場合には、最大の炉
停止余裕の移動評価ケースの順次移動とすることが行わ
れる(S10)。全て0以下であるときは移動不可(S
11)となり、始めに戻る。
【0069】前記ステップS4において、並行移動可能
な燃料数Nがない場合(NO)には、順次移動が設定さ
れ(S12)、炉停止余裕の評価が行われ(S13)、
それが正であると(S14:YES)、前記同様に移動
可(S15)とされ、以後移動候補がない場合には終了
となる。
【0070】以上の第2実施例では、マスト操作のタイ
ミングによって途中の反応度が一時的に大きくなる最悪
のケースにおいても、制限反応度を下回る燃料移動の組
合せにのみマスト並行移動を許可し、さらに燃料移動実
施時において確実な反応度モニタリングを行うので、安
全な燃料移動作業が実現できる。また、順次移動が選択
される時には、同じ操作を行う中で付加反応度が最小と
なる順序を選択するので、安全性が確保される。
【0071】なお、上記の第2実施例において、3以上
のサブ移動機構があれば、移動手順計画機構5で決定す
る並行移動数を可変として、付加反応度が小さくなる一
部の燃料移動の組合せを選択し、そのサブ移動機構にの
み並行移動を可とし、残りのサブ移動機構を順次移動と
することもできる。
【0072】以上の第1実施例および第2実施例によれ
ば、複数燃料の水平方向と垂直方向の移動順序を指定す
る移動手順によって、複数燃料の移動を制御している。
従来の燃料移動制御機構は、単一の燃料移動しか行わな
かったので、サブ移動機構相互の干渉を考える必要はな
く、燃料のつかみ位置と放し位置のみを移動手順に記載
すれば、燃料移動制御装置が自動的にブリッジ、トロリ
およびマストの制御を行うことができたのに対し、本発
明の第1実施例および第2実施例では、サブ移動機構の
干渉を考える必要があるため、協調的な動作を移動手順
に記述する必要がある。しかしながら、ブリッジ、トロ
リ、マストの各フェーズの動作を直接記述するのでは、
記載量が多くなり不便である。
【0073】そこで、図13および図14に示すうよう
に、移動手順には、複数のサブ移動機構の分をまとめて
1ステップ毎の記載を行い、従来のようにつかみ位置と
放し位置の情報を記載するのに加えて、水平方向または
垂直方向の並行移動が行われる可能性がある燃料移動の
組に対して、先行すべき移動順に水平方向移動と垂直方
向移動の優先度を設ける。
【0074】つかみ位置と放し位置の垂直方向移動の優
先度と各位置に至る水平方向移動の優先度があればよ
い。並行移動を許す燃料移動の組には同じ値の優先度を
与える。サブ移動制御機構は、水平方向移動と垂直方向
移動の優先度に従ってサブ移動機構の水平方向および垂
直方向の移動を制御する。
【0075】また、つかみ位置相互と放し位置相互に関
するサブ移動機構の干渉がなくても、つかみ位置と放し
位置が交錯していれば、水平方向移動の優先度が同じ燃
料移動の組の移動過程において、追越しによってサブ移
動機構の干渉の可能性がある。この場合には、水平方向
の速度の大小関係の制約を指定し、複数の燃料が移動し
ている間、この速度制約に従ってサブ移動機構の水平方
向の移動を制御する。この場合、接続するサブ移動機構
の放しより先に、先行するサブ移動機構が移動したら、
速度制限を解除してよい。
【0076】なお、燃料の位置に関しては速度の積分量
が問題であるので、サブ移動機構の制御では、速度信号
の積分機構を設け、速度の積分量の大小関係に基づいて
速度制限を行うのがより望ましい。
【0077】即ち、複数の燃料の水平方向と垂直方向の
移動順序を指定する移動手順に関し、水平方向移動の優
先度が同じ燃料移動の組の移動過程において燃料移動機
構の干渉の可能性があるものには、水平方向の速度の大
小関係の制約を指定し、複数の燃料が移動している間こ
の速度制約に従って燃料移動機構の水平方向の移動を制
御する。
【0078】また、複数の燃料の水平方向と垂直方向の
移動順序を指定する移動手順に関し、水平方向移動の優
先度が同じ燃料移動の組の移動過程において燃料移動機
構の干渉の可能性があるものには、水平方向の速度積分
値の大小関係の制約を指定し、複数の燃料が移動してい
る間この速度積分値制約に従って燃料移動機構の水平方
向の移動を制御する。
【0079】また、複数の燃料の水平方向と垂直方向の
移動順序を指定する移動手順に関し、水平方向移動の優
先度が同じ燃料移動の組の移動過程において燃料移動機
構の干渉の可能性があるものには、水平方向の速度の大
小関係の制約を指定し、複数の燃料が移動している間、
先行する燃料移動機構が後続する燃料移動機構の移動目
標位置より先に移動するまで、この速度制約に従って燃
料移動機構の水平方向の移動を制御する。
【0080】さらに、複数の燃料の水平方向と垂直方向
の移動順序を指定する移動手順に関し、水平方向移動の
優先度が同じ燃料移動の組の移動過程において燃料移動
機構の干渉の可能性があるものには、水平方向の速度積
分値の大小関係の制約を指定し、複数の燃料が移動して
いる間この速度積分値に移動開始位置の差と燃料振れ幅
のマージンを補正した相対位置の制約に従って燃料移動
機構の水平方向の移動を制御する。
【0081】以上の燃料移動制御方法によれば、比較的
簡単な制御手順の記載情報で、複数の燃料移動を干渉な
く動かすことができ、安全な燃料移動作業を実現でき
る。
【0082】また、本発明の実施例の燃料移動制御装置
の動作をシミュレーションによって模擬し、作業の事前
検討や教育目的に適用することができる。これにより、
制御機構の構成および制御パラメータや燃料移動機構の
構造の設計検討に用いることもできる。
【0083】なお、本発明の実施例に表示装置を接続
し、事前の計画過程や実際の燃料移動機構の動作を表示
装置に表示することは可能であり、反応度評価値の変化
と対にして表示してもよい。
【0084】また、燃料移動手順を決定した理由を表示
装置に表示してもよい。
【0085】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれ
ば、複数の燃料を並行して移動させる燃料移動作業に関
して、炉心反応度の変化も考慮に入れることで、安全な
燃料移動作業体制を実現でき、また燃料移動作業の並行
実施により、作業時間を飛躍的に短縮できる。さらに、
複数の燃料移動を制御するために複雑な操作指示をする
必要なく、無駄のない安全な燃料移動作業が自動化さ
れ、定期点検作業の大幅な省力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による装置の基本構成を示
す図。
【図2】同実施例による動作機構を示す図。
【図3】同実施例の構成を詳細に示す図。
【図4】同実施例の作用説明図で、水平移動が干渉しな
い燃料移動の例を示す図。
【図5】同実施例の作用説明図で、水平移動が干渉しな
い燃料移動の例を示す図。
【図6】同実施例において、水平移動の干渉に基づく優
先度決定を説明する図。
【図7】(A),(B)は同実施例において、燃料によ
る制御棒支持確保の例を示す図。
【図8】同実施例における燃料配置状況の指標を算出す
る範囲の例を示す図。
【図9】本発明の第2実施例を示す構成図。
【図10】同実施例における移動評価ケースと燃料配置
評価ケースの数の例を示す図。
【図11】同実施例における移動評価ケースと燃料配置
評価ケースの数の例を示す図。
【図12】同実施例における移動方式判定のための反応
度評価方法を示すフローチャート。
【図13】本発明における移動手順の優先度記録による
複数燃料の移動制御方式の例を示す図。
【図14】図13に対応する燃料移動状態を示す図。
【図15】燃料交換機の構成を示す斜視図。
【図16】図15の平面図。
【符号の説明】
11 ブリッジ 12 トロリ 13 マスト 14 炉心 15 燃料プール 21 記憶手段 22 中性子束計測手段 23 燃料移動制御手段 23a 判断機構 24 燃料移動機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊吉 勇 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 高木 薫 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉の燃料を炉心にて、または炉心と
    燃料プールとの間で水平方向および垂直方向に移動する
    複数の燃料移動機構を備え、これらの動作を制御する燃
    料移動制御装置であって、前記燃料の移動手順を格納す
    る記憶手段と、前記原子炉内の中性子束を計測する中性
    子束計測手段と、前記記憶手段の情報と中性子束計測手
    段から出力される中性子束信号とに基づいて反応度の変
    化を推定し、複数の燃料を並行して移動させる並行移動
    の可否を判定する判断機構を有し、この判断機構での判
    定結果に基づき、前記燃料移動機構に並行移動または単
    独で順次に移動する順次移動のいずれかの動作を行なわ
    せるとともに、それらの燃料移動機構の位置と速度とを
    制御する燃料移動制御手段とを備えたことを特徴とする
    燃料移動装置。
  2. 【請求項2】 判断機構は、中性子束信号に基づいて求
    められる反応度評価値と、燃料の挿入操作を中止すべき
    値となる第1の反応度しきい値およびこれより低い第2
    の反応度しきい値との比較により、前記反応度評価値が
    第1の反応度しきい値と第2の反応度しきい値との間に
    ある場合に、記憶手段に格納された各燃料の移動手順の
    中の優先度に従った各燃料の垂直方向における順次移動
    の指令を出力することを特徴とする請求項1記載の燃料
    移動制御装置。
  3. 【請求項3】 垂直方向における燃料の順次移動の優先
    度は、炉心から取出す燃料が優先するものと設定し、そ
    の優先度が複数の燃料について競合する場合には、他の
    燃料の水平移動と干渉しないものを優先すべく設定して
    なるこを特徴とする請求項2記載の燃料移動制御装置。
  4. 【請求項4】 垂直方向の移動方式を並行移動から順次
    移動に変更する場合の燃料移動の優先度は、当該燃料の
    炉心への移動先に隣接する制御棒周りの一定範囲に含ま
    れる燃料の数が多いものを優先し、これが競合する時
    は、他の燃料の水平移動に干渉しないものを優先すべく
    設定してなることを特徴とする請求項2記載の燃料移動
    制御装置。
  5. 【請求項5】 垂直方向の移動方式を変更する場合の燃
    料移動の優先度は、当該燃料の炉心への移動先に隣接す
    る制御棒周りの一定範囲に含まれる燃料の数が少ないも
    のを優先し、これが競合する時は、他の燃料の水平移動
    に干渉しないものを優先すべく設定してなることを特徴
    とする請求項2記載の燃料移動制御装置。
  6. 【請求項6】 垂直方向の移動方式を変更する場合の燃
    料移動の優先度は、並行移動対象となっている燃料に関
    して予め燃料移動の順番を入れ替えた場合の反応度評価
    に基づいて、移動途中の極大反応度が最小となる順番に
    従って設定してなることを特徴とする請求項2記載の燃
    料移動制御装置。
  7. 【請求項7】 判断機構は、中性子束信号に基づいて求
    められる反応度評価値と、燃料の挿入操作を中止すべき
    値となる第1の反応度しきい値,これより低い第2の反
    応度しきい値ならびにこれらの間にある第3の反応度し
    きい値との比較により、前記反応度評価値が第1の反応
    度しきい値と第2の反応度しきい値との間にある場合
    に、記憶手段に格納された各燃料の移動手順の中の優先
    度に従った各燃料の垂直方向における順次移動の指令を
    出すとともに、第3の反応度しきい値と前記反応度評価
    値の大小関係によって垂直方向の移動速度に対する制限
    値を変更すべく設定してなることを特徴とする請求項1
    記載の燃料移動制御装置。
  8. 【請求項8】 判断機構は、中性子束信号に基づいて求
    められる反応度評価値と、燃料の挿入操作を中止すべき
    値となる第1の反応度しきい値,これより低い第2の反
    応度しきい値ならびにこれらの間に第3の反応度しきい
    値との比較により、前記反応度評価値が第1の反応度し
    きい値と第2の反応度しきい値との間にある場合に、記
    憶手段に格納された各燃料の移動手順の中の優先度に従
    った各燃料の垂直方向の並行移動の一部または全部を順
    次移動し、かつ、第3の反応度しきい値と前記反応度評
    価値の大小関係によって垂直方向の並行移動数を変更す
    ることを特徴とする請求項1記載の燃料移動制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項1から8までに記載の装置を用い
    る燃料移動制御方法において、複数の燃料の垂直方向移
    動に関し、並行移動用として設定した各組の燃料につい
    て1燃料ずつ移動させた場合の燃料配置に基づく反応度
    評価を行ない、順序の異なる各移動形態についての全て
    の反応度評価値が反応度制限値を下回る場合に、この燃
    料移動の組を並行移動可能とする反応度評価を行なうこ
    とを特徴とする燃料移動制御方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から8までに記載の装置を用
    いる燃料移動制御方法において、複数の燃料の垂直方向
    順次移動の順序の判定に関し、燃料移動機構の水平移動
    が干渉しない条件の下で1燃料ずつ移動させた燃料配置
    に基づく反応度評価を行ない、順序の異なる各移動形態
    についての途中の極大反応度が最小となる順番に従って
    順次移動の順序を定めることを特徴とする燃料移動制御
    方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から8までに記載の装置を用
    いる燃料移動制御方法において、複数燃料の水平方向お
    よび垂直方向の移動順序を指定する移動手順に関し、水
    平方向または垂直方向の並行移動が行なわれる可能性が
    ある燃料移動の組に対して、先行すべき移動順に水平方
    向移動と垂直方向移動の優先度を設定し、並行移動を許
    す燃料移動の組には同じ値の優先度を与え、水平方向移
    動と垂直方向移動の優先度に従って燃料移動機構の水平
    方向および垂直方向の移動を制御することを特徴とする
    燃料移動制御方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の燃料移動制御方法に
    おいて、複数の燃料の水平方向と垂直方向の移動順序を
    指定する移動手順に関し、水平方向移動の優先度が同じ
    燃料移動の組の移動過程において燃料移動機構の干渉の
    可能性があるものには、水平方向の速度の大小関係の制
    約を指定し、複数の燃料が移動している間この速度制約
    に従って燃料移動機構の水平方向の移動を制御すること
    を特徴とする燃料移動制御方法。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の燃料移動制御方法に
    おいて、複数の燃料の水平方向と垂直方向の移動順序を
    指定する移動手順に関し、水平方向移動の優先度が同じ
    燃料移動の組の移動過程において燃料移動機構の干渉の
    可能性があるものには、水平方向の速度積分値の大小関
    係の制約を指定し、複数の燃料が移動している間この速
    度積分値制約に従って燃料移動機構の水平方向の移動を
    制御することを特徴とする燃料移動制御方法。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の燃料移動制御方法に
    おいて、複数の燃料の水平方向と垂直方向の移動順序を
    指定する移動手順に関し、水平方向移動の優先度が同じ
    燃料移動の組の移動過程において燃料移動機構の干渉の
    可能性があるものには、水平方向の速度の大小関係の制
    約を指定し、複数の燃料が移動している間、先行する燃
    料移動機構が後続する燃料移動機構の移動目標位置より
    先に移動するまで、この速度制約に従って燃料移動機構
    の水平方向の移動を制御することを特徴とする燃料移動
    制御方法。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の燃料移動制御方法に
    おいて、複数の燃料の水平方向と垂直方向の移動順序を
    指定する移動手順に関し、水平方向移動の優先度が同じ
    燃料移動の組の移動過程において燃料移動機構の干渉の
    可能性があるものには、水平方向の速度積分値の大小関
    係の制約を指定し、複数の燃料が移動している間この速
    度積分値に移動開始位置の差と燃料振れ幅のマージンを
    補正した相対位置の制約に従って燃料移動機構の水平方
    向の移動を制御することを特徴とする燃料移動制御方
    法。
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