JPH0727055A - ダイヤフラムポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、ダイヤフラムポンプにおいて、フ
ィード圧が低下したときでも、吸入時に、金属製ダイヤ
フラムをバックアッププレートに密着させ、金属製ダイ
ヤフラムの過剰変形をを防止することを課題とする。 【構成】 本発明は、ポンプ本体１内の空間がダイヤフ
ラム８によってオイル作動室11とポンプ室12とに気密状
に区画され、オイル作動室11に連設されたシリンダ６に
プランジャ７が往復動自在に挿入され、ポンプ室12に搬
送流路が接続される。ダイヤフラム８のオイル作動室11
側の側部にバックアッププレート９が配設され、磁気誘
導により生ずる力によりダイヤフラム８がバックアップ
プレート９に吸引されるようになしたことを技術的手段
としている。磁気誘導により生ずる力によりダイヤフラ
ム８がバックアッププレート９に吸引されるので、プラ
ンジャ７が吸入行程の下死点に達するときにダイヤフラ
ム８はバックアッププレート９に密着することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばエンジンのシリ
ンダ内に燃料を直接噴射する筒内噴射用に使用され、油
圧によってダイヤフラムを往復動させて流体を圧送する
ダイヤフラムポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、ガソリンエンジンの燃料噴射シス
テムにおいて、燃圧の高圧化が検討されており、ガソリ
ンを高圧で圧送可能なポンプとして、油圧式のダイヤフ
ラムポンプがある。従来の油圧式のダイヤフラムポンプ
（例えば、実開昭５５−８８０８８号公報、特公平１−
３８１９８号公報参照）においては、ポンプボデー、シ
リンダ部材及びカバーが連設されてポンプ本体が構成さ
れ、シリンダ部材とカバーとの間に金属製のダイヤフラ
ム及びバックアッププレートが気密状に挟持され、バッ
クアッププレートには多数のオイル通路穴が形成され
る。ダイヤフラムはバックアッププレートとカバーとの
間に配設され、シリンダ部材とカバーとの間に形成され
る空間は、ダイヤフラムによってオイル作動室とポンプ
室とに区画される。ポンプ室は、吸入管、吸入側チェッ
ク弁を介してフィードポンプに連通され、また吐出管、
吐出側チェック弁を介してデリバリパイプへ連通され
る。

【０００３】従来のダイヤフラムポンプにおいて、プラ
ンジャ駆動機構が作動すると、吸入時には、フィードポ
ンプから供給される燃料のフィード圧によって、ダイヤ
フラムをバックアッププレートに密着させ、燃料をポン
プ室に吸入する。また、吐出時には、プランジャの行程
容積分の作動用オイルがダイヤフラムを変形させ、ポン
プ室中の燃料を押しのけることにより、燃料を吐出す
る。そして、通常の吐出時の金属製ダイヤフラムの変形
は、弾性域内の変形であるので、吸入時にフィード圧が
作用すると、ダイヤフラムはもとの形に戻り、バックア
ッププレートに密着される。

【０００４】しかし、フィードポンプの異常、吸入側チ
ェック弁の故障等によりポンプ室のフィード圧が低下し
た場合には、吸入時にフィード圧によってダイヤフラム
をバックアッププレートに密着させることができなくな
る。そうした状態でダイヤフラムポンプの駆動を継続す
ると、金属製ダイヤフラムは、バックアッププレート側
への移動が徐々に少なく、カバー側への移動が徐々に多
くなる。そして、遂に金属ダイヤフラムの弾性域を超え
て、金属ダイヤフラムが過剰変形し、破損されるおそれ
がある。また、ダイヤフラムポンプの吐出量が減少し、
ポンプ性能を確保できなくなる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ダイヤフラ
ムポンプにおいて、フィード圧が低下したときでも、吸
入時に、金属製ダイヤフラムをバックアッププレートに
密着させ、金属製ダイヤフラムの過剰変形を防止するこ
とを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明のダイヤフラムポンプは、ポンプ本体(1)内
の空間がダイヤフラム(8) によってオイル作動室(11)と
ポンプ室(12)とに気密状に区画され、オイル作動室(11)
に連設されたシリンダ(6) にプランジャ(7) が往復動自
在に挿入され、ポンプ室(12)に搬送流路が接続され、ダ
イヤフラム(8)のオイル作動室(11)側の側部にバックア
ッププレート(9) が配設され、磁気誘導により生ずる力
によりダイヤフラム(8) がバックアッププレート(9) に
吸引されるようになしたことを技術的手段としている。
なお、磁気誘導による力を生じさせるため、バックアッ
ププレート(9) を磁石（電磁石）にしてダイヤフラム
(8)を磁性体で構成しても、或いはその逆にダイヤフラ
ム(8) を磁石（電磁石）にしてバックアッププレート
(9) を磁性体で構成してもよい。また、搬送流路には、
フィードポンプを含まなくてもよいものとする。

【０００７】

【作用】プランジャ(7) を所定の速度で往復動させる
と、オイル作動室(11)内の圧力が周期的に変動し、その
圧力変動に応じてダイヤフラム(8) が変位する。ダイヤ
フラム(8) の変位によってポンプ室(12)の容積が変動
し、ポンプ作用が行われる。磁気誘導により生ずる力に
よりダイヤフラム(8) がバックアッププレート(9) に吸
引されるので、プランジャ(7) が吸入行程の下死点に達
するときにダイヤフラム(8) はバックアッププレート
(9) に密着することができる。

【０００８】

【実施例】図１に基づいて本発明の第１実施例の構成に
ついて説明をする。ポンプボデー２、シリンダ部材４及
びカバー３が順次に連設されてポンプ本体１が構成さ
れ、ポンプボデー２とシリンダ部材４等とによりプラン
ジャ室５が形成される。シリンダ部材４の上方部にはプ
ランジャ室５に突出する円筒状のシリンダ６が一体に形
成され、シリンダ６にはプランジャ７が往復動自在かつ
可及的気密状態に挿入される。プランジャ室５には、プ
ランジャ駆動機構（図示せず）が組み込まれ、このプラ
ンジャ駆動機構によってプランジャ７に往復運動が加え
られる。シリンダ部材４とカバー３との間に、磁性体金
属製のダイヤフラム８及び全体を磁石にしたバックアッ
ププレート９が気密状に挟持され、バックアッププレー
ト９には多数の略水平方向に延びるオイル通路穴（小
穴）10が形成される。第１実施例では、バックアッププ
レート９に硬質磁性材料が含まれ、この硬質磁性材料が
磁化されて、バックアッププレート９全体が永久磁石と
なり、磁性体金属製のダイヤフラム８を吸引する点に特
徴がある。ダイヤフラム８はバックアッププレート９と
カバー３との間に配設され、シリンダ部材４とカバー３
との間に形成される空間は、ダイヤフラム８によってオ
イル作動室11とポンプ室12とに気密状に区画（離隔）さ
れる。バックアッププレート９がダイヤフラム８と密着
する側面の形状は、下死点時のダイヤフラム８の設計上
の変位形状にされる。

【０００９】カバー３にはポンプ室12に連通する吸入口
13及び吐出口14が形成され、吸入口13は吸入管15を介し
て燃料タンク16内のインタンク式フィードポンプ17の吐
出口に連通され、ポンプ室12の吐出口14は吐出管18を介
してエンジンのデリバリパイプ（図示せず）に連通され
ている。吸入管15及び吐出管18には吸入側チェック弁19
及び吐出側チェック弁20がそれぞれ配設され、吸入側チ
ェック弁19はフィードポンプ17からポンプ室12へのみ流
体を流通させ、吐出側チェック弁20はポンプ室12からデ
リバリパイプへのみ流体を流通させる。シリンダ６の側
壁であってプランジャ７先端の下死点（図１で最も左方
の実線の位置）から少し離れた位置にオイルポート21が
形設され、オイルポート21にはオイル管22の下端が連通
される。オイル管22はポンプボデー２を貫通して上方に
伸び、オイル管22の上端はオイルリザーバタンク23の底
部に連通される。オイル作動室11はオイルリザーバタン
ク23からのオイルによって充満され、オイルポート21
は、オイルポート21の内側を移動するプランジャ７の円
柱状側面によって開閉される。プランジャ７が下死点に
あるときにオイルポート21が開かれ、オイルリザーバタ
ンク23とオイル作動室11とが連通される。フィードポン
プ17は、ダイヤフラムポンプの最大吐出量以上の吐出流
量をもち、かつ所定の吐出圧P3（例えば、 2.5〜3.0 ba
r 程度。）を有する。この吐出圧P3は、 吐出圧P3＝P1（ポンプ室12への燃料のフィード圧）＋P2
（〔吸入側チェック弁19の開弁に要する開弁圧〕＋〔吸
入管15の圧力損失〕） であらわされる。吐出側チェック弁20の開弁圧はフィー
ド圧以上に設定され、吸入管15及び吐出管18によって搬
送流路が形成される。

【００１０】プランジャ駆動機構が作動すると、シリン
ダ６内のプランジャ７が下死点と上死点（図１で最も右
方の点線の位置）との間を往復動作し、ポンプ作用が行
われる。プランジャ７が下死点から上死点に向かって移
動するとき、プランジャ７の先端がオイルポート21を閉
鎖してから上死点に移行する間に、プランジャ７の行程
容積分だけのオイルがバックアッププレート９のオイル
通路穴10を通って、ダイヤフラム８とバックアッププレ
ート９との間の部分へ送られる。ダイヤフラム８のバッ
クアッププレート９側（図１で左側）の全面に作用する
オイルの圧力により生ずる力が、永久磁石の機能を有す
るバックアッププレート９がダイヤフラム８を吸引する
力（電磁誘導により生ずる力）より大となり、ダイヤフ
ラム８はバックアッププレート９から離れ、オイルの圧
縮力に比例した量だけダイヤフラム８が変位する。ダイ
ヤフラム８のこの変位により、フィードポンプ17から送
られた燃料を高圧にして、吐出管18へ吐出する。プラン
ジャ７が上死点から下死点に向かって移動すると、オイ
ル作動室11内の圧力低下によるダイヤフラム８の両面の
圧力差るよる力と、永久磁石の機能を有するバックアッ
ププレート９が磁性体金属製のダイヤフラム８を吸引す
る力とにより、ダイヤフラム８がバックアッププレート
９の方へ移動する。ダイヤフラム８の移動により、ダイ
ヤフラム８とバックアッププレート９との間の部分のオ
イルが、オイル通路穴10を通ってオイル作動室11に戻さ
れ、遂にダイヤフラム８がバックアッププレート９に密
着される。

【００１１】第１実施例によれば、永久磁石の機能を有
するバックアッププレート９が磁性体金属製のダイヤフ
ラム８を吸引するので（従来のものに較べて磁気誘導に
より生ずる吸引力がプラスされているので）、フィード
圧が低下した（フィード圧が存在しない）ときでも、吸
入時に、金属製ダイヤフラム８をバックアッププレート
９に密着させ、金属製ダイヤフラム８の過剰変形をを防
止することができる。そして、第１実施例では、フィー
ドポンプ17が配設され、ポンプ室12にフィード圧が作用
しているが、第１実施例の変形例としてフィードポンプ
17を廃止し、ポンプ室12にフィード圧を作用させないよ
うにすることができる。ポンプ室12にフィード圧を作用
させなくても、永久磁石の機能を有するバックアッププ
レート９が磁性体金属製のダイヤフラム８を吸引し、ダ
イヤフラム８をバックアッププレート９に密着すること
ができるからである。フィードポンプ17を廃止しポンプ
室12にフィード圧を作用させなくすることができる点
は、後記の第２実施例及び第３実施例においても同様で
ある。

【００１２】図２は、本発明のダイヤフラムポンプの第
２実施例をあらわし、図１に示された第１実施例と同一
の部分には第１実施例と同一の符号を付し、同一部分の
説明は原則として省略する。第１実施例では、バックア
ッププレート９に硬質磁性材料が含まれ、この硬質磁性
材料が磁化されて、バックアッププレート９全体が永久
磁石となり、磁性体金属製のダイヤフラム８を引きつけ
ている。これに対して、第２実施例においては、バック
アッププレート９のダイヤフラム８側の中央部に永久磁
石24を埋設し、永久磁石24により磁性体金属製のダイヤ
フラム８を引きつけている。なお、永久磁石24を複数に
してバックアッププレート９のダイヤフラム８側の適宜
箇所に埋設することができる。また、バックアッププレ
ート９の材質は磁性体でも非磁性体でもどちらでも良
い。

【００１３】第２実施例によれば、バックアッププレー
ト９の永久磁石24が磁性体金属製のダイヤフラム８を吸
引するので（従来のものに較べて電磁誘導により生ずる
力がプラスされているので）、フィード圧が低下したと
き（フィード圧が存在しないとき）でも、吸入時に、金
属製ダイヤフラム８をバックアッププレート９に密着さ
せ、金属製ダイヤフラム８の過剰変形を防止することが
できる。

【００１４】図３は、本発明のダイヤフラムポンプの第
３実施例をあらわし、図１に示された第１実施例と同一
の部分には第１実施例と同一の符号を付し、同一部分の
説明は原則として省略する。第１実施例では、バックア
ッププレート９に硬質磁性材料が含まれ、この硬質磁性
材料が磁化されて、バックアッププレート９全体が永久
磁石となり、磁性体金属製のダイヤフラム８を引きつけ
ている。これに対して、第３実施例においては、バック
アッププレート９に嵌合穴33が形成され、またシリンダ
部材４の嵌合穴33に対向する箇所に嵌合用窪み34が形成
される。ケース入りの電磁石29が、嵌合穴33及び嵌合用
窪み34に同時に嵌合され、電磁石29の磁極がバックアッ
ププレート９のダイヤフラム８側の表面に露出されてい
る。電磁石29により磁性体金属製のダイヤフラム８を引
きつけている。なお、バックアッププレート９の材質は
磁性体でも非磁性体でもどちらでも良い。

【００１５】第３実施例によれば、バックアッププレー
ト９の電磁石29が磁性体金属製のダイヤフラム８を吸引
するので（従来のものに較べて電磁石の吸引力がプラス
されているので）、フィード圧が低下したとき（又はフ
ィード圧が存在しないとき）でも、吸入時に、金属製ダ
イヤフラム８をバックアッププレート９に密着させ、金
属製ダイヤフラム８の過剰変形をを防止することができ
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明のダイヤフラムポンプにおいて
は、ダイヤフラムのオイル作動室側の側部にバックアッ
ププレートが配設され、磁気誘導により生ずる力により
ダイヤフラムがバックアッププレートに吸引されるよう
にされている。このように、磁気誘導により生ずる力に
よりダイヤフラムがバックアッププレートに吸引される
ので、プランジャが吸入行程の下死点に達するときにダ
イヤフラムはバックアッププレートに密着することがで
きる。従って、フィード圧が低下し又はフィード圧が存
在しないときでも、吸入時に、金属製ダイヤフラムをバ
ックアッププレートに密着させ、金属製ダイヤフラムの
過剰変形をを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のダイヤフラムポンプの第１実施例をあ
らわす断面図である。

【図２】本発明のダイヤフラムポンプの第２実施例をあ
らわす断面図である。

【図３】本発明のダイヤフラムポンプの第３実施例をあ
らわす断面図である。

【符号の説明】

１ ポンプ本体 ６ シリンダ ７ プランジャ ８ ダイヤフラム ９ バックアッププレート 11 オイル作動室 12 ポンプ室 24 永久磁石 29 電磁石

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポンプ本体内の空間がダイヤフラムによ
   ってオイル作動室とポンプ室とに気密状に区画され、オ
   イル作動室に連設されたシリンダにプランジャが往復動
   自在に挿入され、ポンプ室に搬送流路が接続されるダイ
   ヤフラムポンプにおいて、ダイヤフラムのオイル作動室
   側の側部にバックアッププレートが配設され、磁気誘導
   により生ずる力によりダイヤフラムがバックアッププレ
   ートに吸引されるようになしたことを特徴とする油圧式
   ダイヤフラムポンプ。