JPH07267731A - 強誘電体膜の製造方法 - Google Patents

強誘電体膜の製造方法

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JPH07267731A
JPH07267731A JP6052185A JP5218594A JPH07267731A JP H07267731 A JPH07267731 A JP H07267731A JP 6052185 A JP6052185 A JP 6052185A JP 5218594 A JP5218594 A JP 5218594A JP H07267731 A JPH07267731 A JP H07267731A
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ferroelectric
film
ferroelectric film
precursor solution
soln
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JP6052185A
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English (en)
Inventor
Yasushi Ogimoto
泰史 荻本
Yoshiyuki Masuda
義行 増田
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Original Assignee
Sharp Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分極方向と配向方向の一致を実現することが
できる強誘電体薄膜の製造方法を提供することを目的と
している。 【構成】 少なくとも(Pb1-y y )(Bx 1-x
3 〔但し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はE
r、B及びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びN
bからなる群から選択された元素〕で表される鉛系ペロ
ブスカイト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機
溶剤及び酸からなる非水溶液に、上記式を構成する元素
であるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数未満の
水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用い
て、ゾル−ゲル法により、強誘電体相の結晶系が菱面体
晶であり、かつ分極軸が [111] となる強誘電体膜を
形成する強誘電体膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強誘電体膜の製造方法に
関し、より詳細には記憶素子、焦電素子、圧電素子又は
電気光学素子等に用いられる強誘電体膜の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータ等に利用される不揮
発性の半導体記憶素子としては、ROM、PROM(Programmab
le ROM)、EPROM 又はEEPROM等があり、特にEEPROMは電
気的に記憶内容を書き換えることができるので、有望視
されている。このEEPROMにおいては、MIS (metal insu
lator semiconductor)電界効果型トランジスタのゲート
絶縁膜中のトラップ領域あるいはフローティングゲート
をシリコン基板からの電荷注入によって帯電させ、その
静電誘導によって基板の表面伝導度を変調する方法が知
られている。しかし、電子のトンネル効果を利用した素
子においては、シリコン基板からの電荷注入の際に大き
な電界が必要であったり、SiO2 絶縁膜中にトラップ
が発生して書換え回数が制限されるという問題があっ
た。
【0003】一方、EEPROMとは全く異なった方法で記憶
内容を書き換える不揮発性メモリとして、強誘電体の自
発分極を利用した方法も考えられている。強誘電体とし
ては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PL
ZT [(Pb1-y Lay )(Zrx Ti1-x )O3 ] 、
PbTiO3 (チタン酸鉛)、BaTiO3 (チタン酸
バリウム)等が挙げられるが、現在、最も有望な不揮発
性メモリ用材料としてもPZTが精力的に研究されてい
る。
【0004】PZT薄膜の下地電極としては、耐酸化性
や格子の整合性等を考慮して白金電極が用いられること
が多い。このような、強誘電体膜を利用した記憶素子と
して、MFS(metal ferroelectric semiconductor )−FE
T 構造とキャパシタ構造とよばれるものがある。MFS-FE
T 構造は、MIS-FET のゲート絶縁膜を強誘電体膜とした
もので、強誘電体の自発分極の向き及び大きさ等に応じ
てその自発分極を補償するように半導体表面に誘起され
る電荷によって半導体表面の伝導度が変調されることを
利用してメモリ内容の読み出しをするものである。MFS-
FET 構造では、読み出し時にメモリ内容を破壊しない非
破壊読み出しが可能であるが、シリコン半導体に直接強
誘電体膜を形成するため、界面準位密度が定まりにくか
ったり、半導体表面に酸化膜等が形成されるなどという
問題もあり、安定な素子作製が困難であるという欠点が
あった。
【0005】また、キャパシタ構造は、強誘電体膜を電
極で挟んだ構造をしており、強誘電体の自発分極の分極
反転による反転電流の有無を検出してメモリ内容の読み
出しをするものである。キャパシタ構造では、読み出し
時に蓄積されたメモリ内容を破壊してしまうので読み出
し後にもう一度メモリ内容を書き直すという動作(リラ
イト動作)を行わなければならないという欠点がある
が、白金電極等の上に強誘電体膜を形成するため、比較
的良質の膜が得られやすく、現在製品化に向けて盛んに
開発が進められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在このような不揮発
性メモリ素子に用いられる強誘電体膜は、多結晶、すな
わちランダム配向の薄膜が多い。従って、分極方向と配
向方向が一致していない。これにより、残留分極の減
少、D−Eヒステリシスループの角形性の劣化、疲
労特性の劣化、スイッチング速度の低下のような問題
点が挙げられる。
【0007】また、メモリ素子を作製するには、微細加
工によるキャパシタ形成が必要であるが、将来の高集積
化を考えた時に、1μm□程度のキャパシタサイズが想
定されている。強誘電体膜のグレインサイズが大きい場
合、上述の微小キャパシタ形成にあたり、均一な微細加
工を困難になるため、各メモリ素子の特性がばらつき、
歩留りに大きな影響を与えるという問題が予想される。
【0008】本発明は、上記問題に鑑みなされたもので
あり、分極方向と配向方向の一致を実現することができ
る強誘電体膜の製造方法を提供するとともに、同時にプ
ロセス上極めて重要であるグレインサイズが0.1μm
以下の微細な構造を有する強誘電体膜の製造方法を提供
することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の強誘電
体膜の製造方法によれば、少なくとも下記式(I) (Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 (I) [但し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はEr、
B及びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びNbか
らなる群から選択された元素] で表される鉛系ペロブス
カイト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機溶剤
及び酸からなる非水溶液に、上記式(I)を構成する元
素であるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数未満
の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用
いて、ゾル−ゲル法により、強誘電体相の結晶系が菱面
体晶であり、かつ分極軸が [111] となる強誘電体膜
を形成する強誘電体膜の製造方法が提供される。
【0010】さらに、少なくとも下記式(I) (Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 (I) 〔但し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はEr、
B及びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びNbか
らなる群から選択された元素〕で表される鉛系ペロブス
カイト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機溶剤
及び酸からなる非水溶液に、上記式(I)を構成する元
素であるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数以上
の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用
いて、ゾル−ゲル法により、強誘電体膜のグレインサイ
ズが0.1μm以下の微細な強誘電体膜を形成する強誘
電体膜の製造方法が提供される。
【0011】本発明の強誘電体膜の製造方法における強
誘電体としては、上記式(I)の通りであるが、具体的
には、Pb(Zr1-x Tix )O3 、Pb(Mg1-x
x)O3 、(Pb1-y Lay )(Zr1-x Tix )O
3 、(Pb1-y Ery )(Zr1-x Tix )O3 、(P
1-y Lay )(Mg1-x Nbx )O3 、(Pb1-y
y )(Mg1-x Nbx )O3 等を挙げることができ
る。
【0012】本発明において、非水溶液を調製する際に
用いる各元素の塩としては、例えば酢酸塩、硝酸塩等、
メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等
のアルコキシド、修飾アルコキシドが好ましく、具体的
には、Pb(CH3 COO) 2 、ZrCH3 COOH、
TiCH3 COOH、MgCH3 COOH、NbCH 3
COOH、LaCH3 COOH、ErCH3 COOH、
PbNO3 、ZrNO 3 、TiNO3 、MgNO3 、N
bNO3 、LaNO3 、ErNO3 、Pb(OCH3
2 、ZrOCH3 、TiOCH3 、MgOCH3 、Nb
OCH3 、LaOCH3 、ErOCH3 、Pb(OC2
5 2 、ZrOC2 5 、TiOC25 、MgOC
2 5 、NbOC2 5 、LaOC2 5 、ErOC2
5 、Pb(OC3 7 2 、ZrOC3 7 、TiO
3 7 、MgOC3 7 、NbOC3 7 、LaOC
3 7 、ErOC3 7 等を使用することができる。
【0013】無水有機溶剤としては、上記の金属塩又は
金属アルコキシド等を溶解することができる無水有機溶
剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、ア
ルコール類(例:メタノール、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(例:
メチルエチルケトン、アセチルケトン、アセトン等)、
エステル類(例:酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテ
ル類(例:ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等)、
シクロアルカン類(例:シクロヘキサン、シクロヘキサ
ノール等)、ホルムアミド、トルエン、キシレン等が挙
げられる。
【0014】非水溶液を調製する際に用いる酸として
は、例えば酢酸、蟻酸、プロピオン酸等の飽和脂肪族モ
ノカルボン酸や、しゅう酸、マロン酸、コハク酸等の飽
和脂肪族ジカルボン酸、硝酸等を挙げることができる。
本発明の強誘電体膜の製造方法においては、ゾル−ゲル
法を利用する。ゾル−ゲル法による膜合成プロセスとし
ては、まず、上記に示したように強誘電体膜を構成する
一部の元素の塩又は金属アルコキシド等及び酸を含む溶
液を調製し、この溶液に他の強誘電体膜を構成する一部
の元素の塩又は金属アルコキシド等を加えた後、塩又は
金属アルコキシドを含む溶液を、好ましくは加熱、攪拌
等することにより、縮重合を行い、所望の非水溶液を得
る。つまり、(Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 で表
されるペロブスカイト型の強誘電体膜を作製する場合、
まずPb及びAを予め溶液に溶解させ、次いでB及びC
を混合したものを添加するか、予め溶解したPb及びA
にB、次いでCを混合して非水溶液を調製する。そし
て、その非水溶液に水を一定量添加して加水分解及び縮
重合を行い前駆体溶液を得る。なお、水を添加する前
に、非水溶液における各元素の濃度を調製するために、
上記無水有機溶媒を加えてもよい。上記非水溶液は、強
誘電体膜を形成する際の公知の方法により調製すること
ができる。
【0015】非水溶液を調製する際の各元素の塩、無水
有機溶媒及び酸等の混合量は特に限定されるものではな
く、最終的に形成される強誘電体膜の組成により、適宜
調製することができ、通常ゾル−ゲル法による前駆体溶
液を調製する際に使用する混合量を使用することができ
る。また、上記塩又は金属アルコキシドを含む溶液を加
熱、攪拌する場合には、115〜125℃で2〜3時間
程度攪拌することが好ましい。
【0016】非水溶液に添加する水の量は、強誘電体膜
の結晶化に強く影響することから、その添加量は、強誘
電体相の結晶系が菱面体晶であり、かつ分極軸が [11
1]となる(Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 のPb
系ペロブスカイト型強誘電体膜を形成する場合には、用
いたBとCとの塩又はアルコキシド等のモル比の和の2
倍モル比未満の水を添加する。つまり、2倍モル数未満
の水を添加することによって、前駆体溶液中で加水分解
を一部制御し、溶液中の縮合中間体(M−O−Mネット
ワーク、ここでMは金属元素)の大きさを変化させる。
この縮合中間体の大きさの変化によって、合成される強
誘電体膜の配向方向を制御することができると考えられ
る。通常、キャパシタにおける強誘電体膜は電極で挟ま
れた構造となっているので、強誘電体膜の自発分極ある
いは残留分極は、強誘電体膜の配向方向と分極軸の方
向、すなわち分極方向とを一致させた場合に、分極電荷
としてその全てを取り出すことができることとなる。取
り出せる分極電荷は、その射影成分であるP×cosθ
(ここでPは分極を表す)で表すことができる。
【0017】また、(Pb1-y y )(Bx 1-x )O
3 のPb系ペロブスカイト型強誘電体膜のグレインサイ
ズが0.1μm以下、又はこのペロブスカイト型強誘電
体膜のグレインサイズが0.1μm以下であるとともに
強誘電体相の結晶系が正方晶系であり、かつ分極軸が
[100] である強誘電体膜を形成する場合には、用い
たBとCとの塩又はアルコキシド等のモル比の和の2倍
モル数以上の水を添加する。強誘電体膜が0.1μm以
下の微小なグレインサイズを有する場合には、微細加工
が容易となり、均一なキャパシタを得ることができる。
つまり、グレインサイズがキャパシタサイズに比較して
大きい場合には、グレイン形状が加工形状に大きく影響
するため、直線状にエッチングを行ってもエッチング端
部がギザギザとなって均一な微細加工ができない。従っ
てグレインサイズが微細であれば、均一な微細加工がで
き、キャパシタ形状が均一となり、キャパシタ特性の高
信頼性が保障されることとなる。
【0018】本発明において調製した前駆体溶液を、基
板上あるいは電極上に形成して、所望の素子、例えばキ
ャパシタ等を形成するとができる。用いる基板は特に限
定されるものではなく、シリコン基板、化合物半導体基
板、ポリカーボネート等の絶縁性基板等を使用すること
ができる。また、キャパシタを構成する場合には、例え
ば、シリコン基板上に所望の絶縁膜、酸化膜等及び電極
を形成した上に強誘電体膜を形成し、さらにその上に、
上部電極を形成することができる。上部及び下部電極と
しては、公知の方法、例えばスパッタリング法、蒸着法
等により形成することができる。また、電極材料として
は公知の材料を用いることができ、特に限定されるもの
ではないが、Ti、Ta、Pt、Pt/Ti、Pt/T
a等を用いることができる。その際の電極の膜厚も特に
限定されるものではない。基板上、電極上等に強誘電体
膜を形成する場合には、上記のように調製した前駆体溶
液を、例えばスピンコート法により形成することができ
る。その際の条件は、特に限定されるものではなく、所
望の回転数等を適宜設定することができる。前駆体溶液
を基板、電極等の上に塗布する場合、その膜厚は特に限
定されるものではないが、100Å〜1000Å程度が
好ましい。また、この塗布膜を酸素雰囲気下、400〜
700℃程度の温度範囲で、30〜120分間程度熱処
理することにより、所望の配向を示す強誘電体膜を形成
することができる。なお、上述の操作を複数回繰り返し
て、所望の膜厚、所望の配向を有する強誘電体膜を形成
することができる。
【0019】強誘電体相の結晶系は、強誘電体膜を構成
する元素の種類及び組成により異なるものであるので、
強誘電体相において菱面体晶を有する場合には、分極軸
が [111] である強誘電体膜、強誘電体相において正
方晶を有する場合には、分極軸が [100] である強誘
電体膜を選択する必要がある。例えば、PZT [Pb
(Zr,Ti)O3 ] は、PbTiO3 とPbZrO3
との固溶体であるが、PbTiO3 とPbZrO3
は、それぞれ強誘電体相において正方晶系、菱面体晶系
であるので、これらの組成比を調節して菱面体晶系又は
正方晶系の強誘電体膜を得る必要がある。例えば、PZ
TにおいてはZr/Ti<53/47では正方晶系、Z
r/Ti>53/47では菱面体晶系であり、PLZT
[(Pb,La)(Zr,Ti)O3 ] においては、
(La/Zr/Ti)=(8/10/90),(8/5
8/42)では正方晶系であり、(La/Zr/Ti)
=(8/70/30),(6/65/35)では菱面体
晶系である。
【0020】また、分極軸が [111] となる化合物と
しては、Pb(Zr1/3 Nb2/3 )O3 、Pb5 Ge3
11(菱面体晶系とした場合)、Pb(Zr0.53-1.0
0. 47-0)O3 、PbZrO3 、YMnO3 (菱面体晶
系とした場合)、LiNbO 3 (菱面体晶系とした場
合)、LiTaO3 (菱面体晶系とした場合)、分極軸
が [100] となる化合物としては、BaTiO3 、P
bTiO3 、Pb(Zr 0-0.53Ti1.0-0.47)O3 等を
あげることができる。
【0021】
【実施例】本発明に係る強誘電体膜の製造方法として、
PEZT [(Pb1-y Ery )(Zrx Ti1-x
3 ] 膜の製造方法の実施例を以下に詳述する。 実施例1 本実施例においては、図1に示したように、N型シリコ
ン基板1を用い、シリコン基板1表面に膜厚2000Å
の熱酸化膜2を形成し、さらにこの熱酸化膜2上に膜厚
300ÅのTi膜3をスパッタ法で形成した。このTi
膜3上に膜厚2000Åの白金膜4を下部電極として同
様にスパッタ法で形成した。
【0022】次いで、図2に示したように、PEZT膜
を製造するために用いるPEZT前駆体溶液を合成し
た。まず、酢酸60.05gの溶液に酢酸鉛37.18
g及び硝酸エルビウム0.8867gを加え100〜1
20℃において窒素雰囲気中で約1時間攪拌した。これ
に、チタンイソプロポキシド(Ti(OCH(CH3
2 4 )を1モル/lの濃度に調整したメトキシメタノ
ール溶液36ml、ジルコニウムイソプロポキシド(Z
r(OCH(CH3 2 4 を1モル/lの濃度に調整
したメトキシメタノール溶液64mlを添加し、さらに
120℃において窒素雰囲気中で約3時間攪拌して、副
反応生成物を除去したのち、室温まで冷却後PEZTの
非水溶液の濃度を0.5Mに調製した後、H2 Oを0.
5mol添加してPEZT前駆体溶液を合成した。この
際のPEZT前駆体溶液の組成比はPb:Er:Zr:
Ti=109:1:64:36となるように調製した。
Pbの組成をストイキオメトリ(99)よりも多く10
9としたのは、アニール時の10%程度のPb抜けを見
越し、結晶化を行った薄膜においての組成がストイキオ
メトリになるようにするためである。この組成比におい
ては、強誘電体相の結晶系は菱面体晶であり、分極軸は
[111] 方向である。
【0023】続いて、Ti膜3及び白金膜4等が形成さ
れた基板1上に、上記PEZT前駆体溶液を滴下し、ス
ピンコーティングを2000rpm×3秒、3000r
pm×20秒で行い、乾燥ゲルを100℃×15分間の
熱処理で作製し、最後に有機物の熱分解を400℃×6
0分間行った。この一連の操作を3回繰り返すことによ
り、強誘電体膜として、膜厚2000ÅのPEZT膜5
をゾル−ゲル法によって形成した。
【0024】その後、PEZT膜5に、赤外線ランプが
装備されたアニーリング装置を用いて熱処理を施して結
晶化を行った。熱処理条件は、大気圧、100%酸素雰
囲気中で、アニーリング温度は650℃、アニーリング
時間は15秒間であった。得られたPEZT膜5のX線
回折パターンを図3に示す。(111)配向率rを次の
ように定義した場合、r=89.5%という非常に高い
配向率を得た。
【0025】 r=I(111)/{I(111)+I(100)} ただし、I(hkl)は(hkl)反射の強度を表す。
このように本実施例によれば、分極方向と配向方向が極
めて高い割合で一致しているPEZT膜を得ることがで
きた。 実施例2 実施例1と同様の方法で調製した非水溶液に2モルの水
を加えて前駆体溶液を調製した。この前駆体溶液を用い
て、実施例1と同様方法で、同様の基板に強誘電体膜で
あるPEZT膜を形成した。
【0026】このように形成したPEZT膜の表面構造
を走査型電子顕微鏡で観察した。この際の顕微鏡写真を
図4に示す。図4から明らかなように、グレインサイズ
が0.1μm以下の微細な強誘電体膜が得られている。 実施例3 酢酸60.05gの溶液に酢酸鉛37.18g及び硝酸
エルビウム0.8867gを加え実施例1と同様に攪拌
した。これに、チタンイソプロポキシド(Ti(OCH
(CH3 2 4 )を1モル/lの濃度に調整したメト
キシメタノール溶液54ml、ジルコニウムイソプロポ
キシド(Zr(OCH(CH3 2 4)を1モル/l
の濃度に調整したメトキシメタノール溶液46mlを添
加し、さらに実施例1と同様に攪拌して、PEZTの非
水溶液の濃度を0.5Mに調製した後、H2 Oを10m
ol添加してPEZT前駆体溶液を合成した。この際の
PEZT前駆体溶液の組成比はPb:Er:Zr:Ti
=109:1:46:54となるように調製した。この
組成比においては、強誘電体相の結晶系は正方晶であ
り、分極軸は [100] 方向である。
【0027】この前駆体溶液を用いて、実施例1と同様
方法で、同様の基板に強誘電体膜であるPEZT膜を形
成した。得られたPEZT膜のX線回折パターンを図5
に示す。(100)配向率r1を次のように定義した場
合、r=95.7%という非常に高い配向率を得た。 r1 =I(100)/{I(111)+I(100)} ただし、I(hkl)は(hkl)反射の強度を表す。
【0028】また、グレインサイズは、実施例2で示し
たのと同様、0.1μm以下の微細な強誘電体膜が得ら
れている。このように、本実施例においては、グレイン
サイズが0.1μm以下の微細な強誘電体膜であると同
時に、分極方向と主配向方向が一致する強誘電体膜を得
ることができた。
【0029】
【発明の効果】本発明の強誘電体膜の製造方法によれ
ば、少なくとも下記式(I) (Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 (I) 〔但
し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はEr、B及
びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びNbからな
る群から選択された元素〕で表される鉛系ペロブスカイ
ト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機溶剤及び
酸からなる非水溶液に、下記式(I)を構成する元素で
あるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数未満の水
を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用い
て、ゾル−ゲル法により、強誘電体相の結晶系が菱面体
晶であり、かつ分極軸が [111] となる強誘電体膜を
形成するので、前駆体溶液中での中間縮合体の大きさを
制御することができ、配向方向が、その分極方向と一致
した強誘電体膜を得ることができる。配向方向と分極方
向とを一致させることによって、該強誘電体膜は、優れ
た特性を有することができる。
【0030】また、少なくとも下記式(I) (Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 (I) 〔但
し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はEr、B及
びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びNbからな
る群から選択された元素〕で表される鉛系ペロブスカイ
ト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機溶剤及び
酸からなる非水溶液に、下記式(I)を構成する元素で
あるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数以上の水
を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用い
て、ゾル−ゲル法により、強誘電体膜のグレインサイズ
が0.1μm以下の微細な強誘電体膜を形成するので、
グレインサイズが大きいことに起因する強誘電体膜の不
均一エッチングを防止して、均一加工の容易な強誘電体
膜を実現することができる。
【0031】さらに、上記グレインサイズが0.1μm
以下の微細な強誘電体膜において、強誘電体相の結晶系
が正方晶系であり、かつ分極軸が [100] となる強誘
電体膜を形成する場合には、配向方向が、その分極方向
と一致した強誘電体膜を得ることができるとともに、均
一な微細加工をも可能とすることができる。従って、非
常に高性能な記憶素子、焦電素子、圧電素子、電気光学
素子等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電体膜を基板及び電極上に形成し
た場合の、基板要部の概略断面工程図である。
【図2】本発明の強誘電体膜の製造方法の工程を示すフ
ロチャートである。。
【図3】本発明の強誘電体膜の製造方法の実施例1によ
り形成した強誘電体膜のX線回折パターン図である。
【図4】本発明の強誘電体膜の製造方法の実施例2によ
り形成した強誘電体膜の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の強誘電体膜の製造方法の実施例3によ
り形成した強誘電体膜のX線回折パターン図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 熱酸化膜 3 Ti膜 4 Pt膜 5 強誘電体膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/08 K 8414−4K C30B 29/32 D 8216−4G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記式(I) (Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 (I) 〔但し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はEr、
    B及びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びNbか
    らなる群から選択された元素〕で表される鉛系ペロブス
    カイト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機溶剤
    及び酸からなる非水溶液に、上記式(I)を構成する元
    素であるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数未満
    の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用
    いて、ゾル−ゲル法により、強誘電体相の結晶系が菱面
    体晶であり、かつ分極軸が [111] となる強誘電体膜
    を形成することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも下記式(I) (Pb1-y y )(Bx 1-x )O3 (I) 〔但し、1>y≧0、1>x>0、AはLa又はEr、
    B及びCは互いに異なってZr、Ti、Mg及びNbか
    らなる群から選択された元素〕で表される鉛系ペロブス
    カイト型強誘電体を構成する各元素の塩、無水有機溶剤
    及び酸からなる非水溶液に、上記式(I)を構成する元
    素であるBとCとの使用モル数の総和の2倍モル数以上
    の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液を用
    いて、ゾル−ゲル法により、強誘電体膜のグレインサイ
    ズが0.1μm以下の微細な強誘電体膜を形成すること
    を特徴とする強誘電体膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の強誘電体膜の製造方法に
    おいて、強誘電体相の結晶系が正方晶系であり、かつ分
    極軸が [100] となる強誘電体膜を形成する強誘電体
    膜の製造方法。
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