JPH072673U - メタルガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】使用に伴うへたりを防止し、しかも第一、第二
の金属薄板１０、１１の合わせ面からの層間漏れを確実
に防止する。 【構成】第一の金属薄板１０の両面にゴム層９、９を形
成する。第二の金属薄板１１の片面で、第二の金属薄板
１０と反対面にのみ、ゴム層９を形成する。第二の金属
薄板１１の他面にプライマ層１２を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案に係るメタルガスケットは、例えば内燃機関のシリンダヘッド下面と シリンダブロック上面との間に挟持した状態で両面間の気密及び液密を保持する 、シリンダヘッドガスケットとして、或は排気管継手部の気密保持用のガスケッ トとして利用する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関のシリンダヘッド下面とシリンダブロック上面との間にはシリンダヘ ッドガスケットを挟持して、シリンダ内で発生する高圧の燃焼ガス、或はシリン ダブロックとシリンダヘッドとの間を流通する潤滑油や冷却水が外部に漏洩する のを防止している。

【０００３】 図２は、この様なシリンダヘッドガスケット１の１例を示している。このシリ ンダヘッドガスケット１には、シリンダ頂部の開口形状に合わせた円形のボア孔 ２、２、シリンダヘッドをシリンダブロックに固定する為のボルトを挿通する小 円孔３、３、潤滑油や冷却水を通す為の透孔４、４が穿設されている。

【０００４】 この様なシリンダヘッドガスケット１は従来から、ボア孔２等を打ち抜き形成 した亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板等の金属薄板を、図３に示す様に複数枚（ 図示の例では３枚）重ね合わせる事により、構成されている。中間の金属薄板５ の両面、並びに両側の金属薄板６、６の片面で、この中間の金属薄板５とは反対 側の面には、ニトリルブタジエンゴム（ＮＢＲ）、シリコンゴム、弗素ゴム等の ゴム層９、９を、焼き付け等の手段により形成している。更に、各ボア孔２の周 囲に土手状の第一の突条７を、各透孔４の周囲にダイヤフラム状の第二の突条８ を、それぞれの孔２、４の全周を囲む状態で形成している。

【０００５】 上述の様に構成されるシリンダヘッドガスケット１を、シリンダブロックの上 面とシリンダヘッドの下面との間で強く挟持した場合、上記第一、第二の突条７ 、８がこれら両面間で押し潰されて、上記ボア孔２及び透孔４の周囲の当接圧を 高め、ボア孔２の内側に存在する高圧の燃焼ガス、或は透孔４の内側に存在する 潤滑油や冷却水が、周囲に漏洩する事を防止する。

【０００６】 又、上記シリンダヘッドガスケット１の両面とシリンダブロックの上面及びシ リンダヘッドの下面との間、並びに隣り合う金属薄板５、６の間から上記潤滑油 や冷却水が漏洩する事は、これら当接面同士の間に存在するゴム層９、９により 防止される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上述の様に構成され、シリンダヘッドガスケット等として使用され る従来のメタルガスケットの場合、隣り合う金属薄板同士の間から潤滑油や冷却 水が漏洩する、所謂層間漏れを防止する効果が必ずしも十分でなかった。

【０００８】 即ち、図４に示す様に、第一、第二の金属薄板１０、１１同士を重ね合わせて メタルガスケットを構成する場合、これら両金属薄板１０、１１同士の重ね面同 士の間には、第一の金属薄板１０の表面に形成されたゴム層９のみが存在する。 第二の金属薄板１１の表面は、この第一の金属薄板１０の表面に形成されたゴム 層９に当接する。

【０００９】 第二の金属薄板１１の表面とゴム層９の表面とは、このゴム層９が有する弾性 に基づいて隙間なく当接はするが、第一の金属薄板１０とゴム層９との接触面の 様に互いに接着している訳ではない為、条件が厳しくなると、これら第二の金属 薄板１１の表面とゴム層９の表面との間に潤滑油や冷却水が進入し、この潤滑油 や冷却水が層間漏れによって漏洩する恐れがある。

【００１０】 第一、第二の金属薄板１０、１１同士の対向する面に、第一の金属薄板１０の 表面だけでなく第二の金属薄板１１の表面にもゴム層を形成し、これら第一、第 二の金属薄板１０、１１を重ね合わせた場合に、ゴム層同士が当接する様にすれ ば、上記層間漏れの防止に有効ではあるが、新たに次に述べる様な問題を生じる 。

【００１１】 即ち、ゴムは金属に比べて相手面との馴染み性が良好な反面、シリンダヘッド ガスケット等として使用される事で高温に曝らされた場合にへたり易い。そして 、上記ゴム層がへたった場合には、当該部分の当接圧を低下させてシール性を劣 化させる。この為、上記ゴム層９の厚さは寸法は極く小さいものとして、へたっ た場合にも当接圧の低下を最小限に抑え、シール性が実用的に問題となるほど劣 化する事を防止している。ところが、上述の様に、第一、第二の金属薄板１０、 １１の両方にゴム層を形成すると、その分、両金属薄板１０、１１の間に存在す るゴム層の厚さ寸法が大きくなり、このゴム層がへたった場合に於けるシール性 の低下度合いが大きくなってしまう。

【００１２】 本考案のメタルガスケットは、上述の様な不都合を解消するものである。

【００１３】

【課題を解決する為の手段】

本考案のメタルガスケットは、前述した従来のメタルガスケットと同様、図１ に示す様に、第一、第二の金属薄板１０、１１を重ね合わせる事で構成している 。少なくとも第一、第二、２枚の金属薄板１０、１１を有する事が必須であり、 ３枚以上の金属薄板が存在してもよい。これら第一、第二の金属薄板１０、１１ の互いに整合する位置には、例えば前記図２に示したボア孔２、２或は透孔４、 ４の様な流体を通す為の通孔を形成している。

【００１４】 これら両金属薄板１０、１１の内の第一の金属薄板１０は、両面にゴム層９、 ９を有する。又、第二の金属薄板１１には、上記第一の金属薄板１０と反対側に 位置する片面にのみ、ゴム層９を設けている。

【００１５】 特に、本考案のメタルガスケットに於いては、上記第二の金属薄板１１の他面 で上記第一の金属薄板１０に対向する面に、プライマ層１２を設けた事を特徴と している。接着剤の一種であるプライマは、上記各金属薄板１０、１１の表面に ゴム層９、９を付着させる為に使用されるもので、図示はしていないが、上記各 ゴム層９、９と各金属薄板１０、１１の表面との間にも、プライマの層が存在す る。但し、プライマの層は、上記各ゴム層９、９よりも遥かに薄い。

【００１６】 本考案のメタルガスケットの特徴は、上記第二の金属薄板１１の他面に、（ゴ ム層を設ける事なく）上述の様なプライマ層１２のみを設けた点にある。

【００１７】

【作用】

上述の様に構成される本考案のメタルガスケットの場合、シリンダブロック上 面とシリンダヘッド下面との間、或は排気系の継手部分の様に、使用時に高温と なる部分に組み付けた状態で使用すると、使用に伴う温度上昇によって、第一の 金属薄板１０の表面に形成したゴム層９の表面と、第二の金属薄板１１の表面に 形成したプライマ層１２とが接着する。

【００１８】 この結果、上記ゴム層９と第二の金属薄板１１の表面との間に流体が進入しな くなって、第一、第二の金属薄板１０、１１間での層間漏れが完全に防止される 。プライマ層１２の厚さ寸法は極く小さく、温度上昇によるへたりも僅少である 為、長期間の使用に伴うシール性の劣化も殆どない。

【００１９】

【考案の効果】

本考案のメタルガスケットは以上に述べた通り構成され作用するが、使用に伴 うシール性の劣化も殆どなく、しかも層間漏れのないメタルガスケットとして、 有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のメタルガスケットを示す部分拡大断面
図。

【図２】本考案の対象となるメタルガスケットの１例を
示す平面図。

【図３】従来のメタルガスケットの１例を示す、図２の
Ａ−Ａ断面に相当する図。

【図４】従来のメタルガスケットの基本構成を示す部分
拡大断面図。

【符合の説明】

１ シリンダヘッドガスケット ２ ボア孔 ３ 小円孔 ４ 透孔 ５、６ 金属薄板 ７ 第一の突条 ８ 第二の突条 ９ ゴム層 １０ 第一の金属薄板 １１ 第二の金属薄板 １２ プライマ層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 それぞれの互いに整合する位置に流体を
   通す為の通孔を形成した第一、第二の金属薄板と、第一
   の金属薄板の両面に設けられたゴム層とを有し、第二の
   金属薄板には、上記第一の金属薄板と反対側に位置する
   片面にのみゴム層を設けたメタルガスケットに於いて、
   上記第二の金属薄板の他面にプライマ層を設けた事を特
   徴とするメタルガスケット。