JPH053814Y2

JPH053814Y2 -

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Publication number: JPH053814Y2
Application number: JP11006088U
Authority: JP
Priority date: 1988-08-24
Filing date: 1988-08-24
Publication date: 1993-01-29
Anticipated expiration: 2003-01-29
Also published as: JPH0235946U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）この考案に係るシリンダヘツドガスケツトは、
エンジンのシリンダブロツク上面とシリンダヘツ
ド下面との間に挟持し、両面間の気密及び液密を
保持するのに使用する。

（従来の技術）エンジンのシリンダブロツク上面とシリンダヘ
ツド下面との間には、第２図に示す様なシリンダ
ヘツドガスケツト１を挟持して、両面間から高圧
の燃焼ガスや冷却水、或は潤滑油が漏洩しない様
にしている。

この様な用途に使用されるシリンダヘツドガス
ケツト１は、フツク付鉄板等の板状の芯材の両面
に、アスベスト、ノンアスベスト材、膨張黒鉛等
のカーボン材等で造られたシートを貼り合わせた
り、或は芯材の両面にこれらの材料で造られたコ
ンパウンドを擦り込んだりして造られたガスケツ
トシート２に、シリンダ孔の開口部に整合するボ
ア孔３，３と、シリンダブロツクとシリンダヘツ
ドとの結合用のボルトを挿通する為の小円孔４，
４と、水や潤滑油を流通させる為の透孔５，５と
を穿設する事で構成されている。これら各孔３，
４，５の内、特に高度の気密性を要求されるボア
孔３，３の内周縁部には、金属薄板製のグロメツ
ト６，６を装着する事により、シリンダヘツドガ
スケツト１をシリンダブロツク上面とシリンダヘ
ツド下面との間で挟持した場合に、各ボア孔３，
３周囲の押圧力が高くなる様にしている。

ところで、上述の様に構成され、シリンダブロ
ツク上面とシリンダヘツド下面との間に挟持する
事により両面間の気密及び液密の保持を図るシリ
ンダヘツドガスケツト１として、第２図に示す様
に、冷却水や潤滑油を流通させる為の透孔５，５
が、ボルト挿通用の小円孔４、４よりも外側（外
周縁寄り）に存在するものがある。

この様に、透孔５，５が、小円孔４，４よりも
外側に存在するシリンダヘツドガスケツト１をシ
リンダブロツク上面とシリンダヘツド下面との間
で挟持し、小円孔４，４を挿通したボルトを締め
付けた場合、透孔５，５部分の押圧力が不足し勝
となり、そのままでは、この透孔５，５の内側を
流通する冷却水や潤滑油が外部に漏洩し易くな
る。

この為従来から、小円孔４，４よりも外側に存
在する透孔５，５内に、第３図に示した様なシー
ルリング７を嵌着し、透孔５，５部分に於ける液
密保持を図る事が行なわれている。

このシールリング７は、透孔５，５の内周縁部
に嵌着自在な金属製の基板８の両面にゴム９，９
を積層して成り、シリンダヘツドガスケツト１を
シリンダブロツク上面とシリンダヘツド下面との
間で挟持した場合に、上記ゴム９，９がをシリン
ダブロツク上面或はシリンダヘツド下面に弾接
し、透孔５，５部分での液密保持を図る。

（考案が解決しようとする課題）ところが、上述の様なシールリングを組み込ん
だ、従来のシリンダヘツドガスケツトの場合、依
然として次に述べる様な不都合を生じる。

即ち、シリンダブロツク上面とシリンダヘツド
下面との間で挟持した状態で使用されるシリンダ
ヘツドガスケツト１は、エンジンが発生する熱に
より高温に曝され、しかもエンジンの運転時には
絶えず上記両面の間で叩かれる。

この為、シリンダヘツドガスケツト１を構成す
るガスケツトシート２は、使用に伴なつて一部が
崩れたり、或はへたつて厚さが小さくなる事が避
けられない。

この様にガスケツトシート２が崩れたりへたつ
たりした場合、ボルトにより常に近付け合う方向
に付勢されているシリンダブロツク上面とシリン
ダヘツド下面との間隔が、その分だけ狭くなり、
シールリング７のゴム９，９の圧縮量が増す。

この結果、ゴム９，９の圧縮量が適正値を越え
ると、このゴム９，９に亀裂が生じ、この亀裂を
通じて、透孔５，５の内側を流通する冷却水や潤
滑油が漏洩してしまう。

シールリングとしては、第３図に示す様な基板
８の両面にゴム９，９を積層したものの他、実開
昭58−153756号公報に開示されている様な構造の
ものも知られている。この別のシールリング７ａ
は、第４図に示す様に、環状の板材１０の内周縁
にＯリング１１を嵌着したものである。

ところが、この公報に記載されたシールリング
７ａの場合も、板材１０の厚さ寸法が、Ｏリング
１１が適正に圧縮された場合に於ける厚さ寸法よ
りも遥かに小さい為、ガスケツトシートが崩れた
りへたつたりした場合に於ける、Ｏリング１１の
亀裂発生防止を図る事は出来ないものである。

本考案は、透孔の内側に装着するシールリング
を構成する保持材とゴム製のシール材との厚さ寸
法を工夫する事で、上述の様な不都合を解消した
ものである。

（課題を解決する為の手段）本考案のシリンダヘツドガスケツトは、前述し
た従来のシリンダヘツドガスケツトと同様、ガス
ケツトシートに、シリンダブロツクに形成したシ
リンダ孔の開口部に合致するボア孔と、上記シリ
ンダブロツクとシリンダヘツドとを結合する為の
ボルトを挿通する複数の小円孔と、この小円孔よ
りも外側に位置する透孔とを形成している。

更に、本考案のシリンダヘツドガスケツトに於
いては、上記透孔の内側に、外周縁を透孔の内周
縁と合致する形状とした非圧縮材製の保持材と、
この保持材の内周縁に全周に亙つて装着したゴム
製のシール材とから成るシールリングを装着して
いる。

そして、このシールリングを構成する保持材の
厚さ寸法は、未使用時に於けるガスケツトシート
とシール材との厚さ寸法よりも小さく、且つシー
ル材の許容圧縮厚さ寸法以上としている。

（作用）上述の様に構成される本考案のシリンダヘツド
ガスケツトにより、シリンダブロツク上面とシリ
ンダヘツド下面との間の気密及び液密を保持する
場合に於けるシリンダヘツドガスケツトの作用自
体は、前述した従来のシリンダヘツドガスケツト
の場合と全く同様である。

但し、本考案のシリンダヘツドガスケツトの場
合、ガスケツトシートの崩れやへたりに伴ない、
シリンダブロツク上面とシリンダヘツド下面との
間隔が狭くなる傾向となつても、透孔形成部分の
間隔は、非圧縮材製の保持材の厚さよりも小さく
なる事はない。

この為、ゴム製のシール材が、許容圧縮厚さ寸
法未満に迄圧縮される事がなく、このシール材に
過度の圧縮に伴なう亀裂が発生する事がなくな
る。

（実施例）次に、図示の実施例を説明しつつ、本考案を更
に詳しく説明する。

第１図は本考案の実施例を示しており、２はガ
スケツトシート、５はこのガスケツトシート２の
一部で、ボルト挿通用の小円孔４，４（第２図参
照）よりも外側部分に形成された透孔であり、こ
の透孔５の内側には、保持材１２とシール材１３
とから成るシールリング７ｂが嵌着されている。

金属（例えばSUS304ステンレス材）等、耐熱
性を有し、しかも容易には（シリンダブロツクと
シリンダヘツドとを結合するボルトによる押圧力
程度では）圧縮されない材料により環状（円環状
以外の各種形状を含む。）に形成された保持材１
２の外周縁は、透孔５の形状に合わせる事によ
り、シールリング７ｂを透孔５の内側に押し込ん
だ場合に、保持材１２の外周縁と透孔５の内周縁
とが密接し、保持材１２が透孔５の内側に保持さ
れる様にしている。

そして、この保持材１２の内周縁には、その全
周に亙り、断面が半径Ｒを有する略円形のシリコ
ンゴム等のゴム製のシール材１３を、焼付等の手
段により装着している。尚、このシール材１３の
内周寄り部分には、半径ｒ（ｒ＜Ｒ）の断面円弧
形の凹部により挟まれたくびれ部１４が形成され
ており、このくびれ部１４よりも内周縁寄り部分
は、内周面に向けて次第に厚さが大きくなつてい
る。そして、シール材１３の内周面の幅寸法は、
保持材１２の厚さ寸法T₀と同じとして、シール
材１３と保持材１２とを、可及的最大面積で装着
している。

上述の様に本考案のシリンダヘツドガスケツト
１に組み込むシールリング７ｂを構成する保持材
１２の厚さ寸法T₀と、シール材１３の自由状態
に於ける厚さ寸法T₁と、ガスケツトシート２の
自由状態に於ける厚さ寸法T₂との関係は、シー
ル材１３の厚さ寸法T₁を最も大きく、保持材１
２の厚さ寸法T₀を最も小さく、ガスケツトシー
ト２の厚さ寸法T₂をその中間として（T₁＞T₂＞
T₀）ている。

そして、保持材１２の厚さ寸法T₀は、自由状
態において厚さT₁んシール材１３の、許容圧縮
厚さ寸法t₁以上（T₀≧t₁）としている。ここで、
許容圧縮厚さ寸法t₁とは、それ以上シール材１３
を圧縮した場合、このシール材１３に無理な応力
が加わり、亀裂等が発生する可能性が高くなる厚
さ寸法を言う。

上述の様に構成される本考案のシリンダヘツド
ガスケツト１は、前述した従来のシリンダヘツド
ガスケツトの場合と同様に、シリンダブロツク上
面とシリンダヘツド下面との間に挟み、両面間の
気密及び液密を保持するが、気密及び液密を保持
する場合の作用自体は、前述した従来のシリンダ
ヘツドガスケツトの場合と全く同様である。

但し、本考案のシリンダヘツドガスケツト１の
場合、シリンダブロツク上面とシリンダヘツド下
面との間に挟持したシリンダヘツドガスケツト１
を構成するガスケツトシート２の崩れやへたりに
伴ない、シリンダブロツク上面とシリンダヘツド
下面との間隔が狭くなる傾向となつても、透孔５
を形成した部分に於ける上記両面間の間隔は、非
圧縮材製の保持材１２の厚さ寸法T₀よりも小さ
くなる事はない。

即ち、ガスケツトシート２の厚さが小さくなつ
た場合に於いても、シリンダブロツク上面とシリ
ンダヘツド下面との間で突つ張る保持材１２によ
り、両面の間隔寸法が保持材１２の厚さ寸法T₀
より小さくなる事がなくなる。

この為、保持材１２の内周縁部に装着されたゴ
ム製のシール材１３が、許容圧縮厚さ寸法t₁未満
の厚さに迄圧縮される事がなくなり、このシール
材１３に過度の圧縮に伴なう亀裂が発生する事が
なくなつて、シール材１３の亀裂により、透孔５
の内側を流通する冷却水や潤滑油が漏洩する事を
有効に防止出来る。

又、図示の実施例の場合、シール材１３の内周
面の幅寸法と保持材１２の厚さ寸法とが等しく、
両部材１２，１３が広い面積で装着されている
為、両部材１２，１３の接合強度が大きく、しか
もシール材１３に形成したくびれ部１４の為、シ
ール材１３が保持材１２との広い接着面の影響を
受ける事なく、自由に変形する事が出来る。この
為、シール材１３によるシール性のより一層の向
上と、シール材１３の耐久性のより一層の向上と
を図る事が出来る。

尚、本考案のシリンダヘツドガスケツトに組み
込むシールリング７ｂの各部の厚さ寸法T₀，T₁，
T₂の１例を次に示す。

T₀＝1.15mm T₁＝1.47mm T₂＝1.2mm 上記数値は、本考案の条件を満たす数値の１例
であるが、何れにしてもゴム製のシール材１３の
圧縮率α（＝（T₁−T₀）／T₁）を0.1〜0.45の範囲
とする事が必要である。

この理由は、ゴム製のシール材（通常はシリコ
ンゴム製）１３の圧縮率が0.1（10％）未満の場
合、透孔５部分のシール性を十分に確保する事が
出来ず、反対に圧縮率が0.45（45％）を越えた場
合、シール材１３に亀裂が発生し易くなる為であ
る。

又、ガスケツトシート２の厚さ寸法T₂と保持
材１２の厚さ寸法T₀との差は、0.05mm程度とする
事が、ガスケツトシート２の圧縮代を十分に確保
する点から好ましい。

（考案の効果）本考案のシリンダヘツドガスケツトは、以上に
述べた通り構成され作用する為、透孔の内側を流
通する冷却水や潤滑油の漏洩防止を、長期間に亙
つて確実に防止する事が出来、シリンダヘツドガ
スケツトを組み込んだエンジンの故障等を未然に
防止する効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す、第２図の拡大
Ａ−Ａ断面に相当する図、第２図は本考案の対象
となるシリンダヘツドガスケツトの１例を示す平
面図、第３図は従来のシリンダヘツドガスケツト
を示す、第１図同様の断面図、第４図はシリンダ
ヘツドガスケツトに組み込むシールリングの別例
を示す断面図である。１……シリンダヘツドガスケツト、２……ガス
ケツトシート、３……ボア孔、４……小円孔、５
……透孔、６……グロメツト、７，７ａ，７ｂ…
…シールリング、８……基板、９……ゴム、１０
……板材、１１……Ｏリング、１２……保持材、
１３……シール材、１４……くびれ部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

ガスケツトシートに、シリンダブロツクに形成
したシリンダ孔の開口部に合致するボア孔と、上
記シリンダブロツクとシリンダヘツドとを結合す
る為のボルトを挿通する複数の小円孔と、この小
円孔よりも外側に位置する透孔とを形成したシリ
ンダヘツドガスケツトに於いて、上記透孔の内側
に、外周縁を透孔の内周縁と合致する形状とした
非圧縮材製の保持材と、この保持材の内周縁に全
周に亙つて装着したゴム製のシール材とから成る
シールリングを装着し、このシールリングを構成
する保持材の厚さ寸法を、未使用時に於けるガス
ケツトシートとシール材との厚さ寸法よりも小さ
く、且つシール材の許容圧縮厚さ寸法以上とした
事を特徴とするシリンダヘツドガスケツト。