JPH07265907A - ステンレス冷延鋼帯の製造方法 - Google Patents

ステンレス冷延鋼帯の製造方法

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JPH07265907A
JPH07265907A JP8274094A JP8274094A JPH07265907A JP H07265907 A JPH07265907 A JP H07265907A JP 8274094 A JP8274094 A JP 8274094A JP 8274094 A JP8274094 A JP 8274094A JP H07265907 A JPH07265907 A JP H07265907A
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JP
Japan
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steel strip
roll
roughness
rolling
work roll
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Withdrawn
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JP8274094A
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English (en)
Inventor
Takuya Nagahama
拓也 長浜
Kazuhito Kenmochi
一仁 剣持
Kunio Isobe
邦夫 磯辺
Yoshiichi Kiyono
芳一 清野
Hajime Nagai
肇 永井
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステンレス鋼帯を冷間圧延するに際して、鋼
帯の表面光沢を改善すること。 【構成】 ステンレス熱延鋼帯を焼鈍・酸洗した後、冷
間タンデムミルにおいて、ワークロールのロールバイト
の接触弧の長さをL、入側鋼帯表面の幅方向の粗さの平
均ピッチをλa とするとき、ワークロール表面にその周
方向に対し下記の角度φの方向に研磨溝部を延在させて
なるワークロールを用いて圧延するようにしたもの。 【数17】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた表面光沢を有す
るステンレス冷延鋼帯を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス冷延鋼帯は、熱延鋼帯
を焼鈍酸洗した後、直径が 150mmφ以下のワークロール
を用いたゼンジミアミル等において冷間圧延を施し、仕
上げ焼鈍酸洗又は仕上げ光輝焼鈍を行なって圧下率1.2
%以下の仕上げ調質圧延を施し製造されていた。
【0003】これらの工程を経て製造されたステンレス
冷延鋼帯は、例えば、SUS430に代表されるフェライト系
の場合仕上げ調質圧延直後の表面のまま使用される場合
が多く、仕上げ調質圧延後の製品に優れた表面光沢が要
求される。また、SUS304に代表されるオーステナイト系
の場合、仕上げ調質圧延後にバフ研磨を施す場合が多
く、このバフ研磨後に優れた表面光沢を示すことが要求
される。
【0004】そこで、従来、ゼンジミアミル等の小径ワ
ークロールを用いる冷間圧延において、例えば特開昭57
-13362に示されるロール粗さを工夫する方法などが採用
されてきた。然し、この方法を用いても、冷間圧延前の
熱延後に焼鈍酸洗した鋼帯表面の著しく大きな粗さが冷
間圧延後まで残留するため、満足できる表面光沢は得ら
れなかった。
【0005】また、一方、圧延時間を大幅に短縮して高
能率でステンレス冷延鋼帯を製造する方法として直径 1
50mmφ以上の大径ワークロールで圧延する方法が採られ
ている。然し、大径ワークロールで冷間圧延した鋼帯の
表面粗さも熱延鋼帯を焼鈍酸洗した表面の著しく大きな
粗さが冷間圧延後まで残留し、然も、その粗さは小径ワ
ークロールを用いて冷間圧延した場合よりも更に大き
い。このため、その製品は、表面光沢を要求される用途
には全く適していなかった。
【0006】そこで、ステンレス製品の表面光沢を更に
向上する方法として、例えば特開平5-57304 、特開平5-
123704等のワークロールを圧延中に交差させる方法が開
示されている。これらの方法を採用した場合ワークロー
ルを交差させる大型で複雑な設備が必要であり、設備コ
ストが著しく高いという問題がある。また、特開平5-25
3604ではローレット状の溝をロール周方向に対して5 〜
60度の角度でロール表面に付与する方法が開示されてい
る。この方法では、角度が大き過ぎるため、その溝が圧
延後の鋼帯表面に残留して光沢は低下していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ステンレス
鋼帯を冷間圧延するに際して、鋼帯の表面光沢を改善す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、ステンレス熱延鋼帯を焼鈍・酸洗した後、冷間タン
デムミルにおいて、ワークロールのロールバイトの接触
弧の長さをL、入側鋼帯表面の幅方向の粗さの平均ピッ
チをλa とするとき、ワークロール表面にてその周方向
に対し下記の角度φの方向に研磨溝部を延在させてなる
ワークロールを用いて圧延するようにしたものである。
【数4】
【0009】請求項2に記載の本発明は、ステンレス熱
延鋼帯を焼鈍・酸洗した後、冷間タンデムミルにおい
て、ワークロールのロールバイトの接触弧の長さをL、
ロール表面の幅方向の粗さの平均ピッチをλr とすると
き、ワークロール表面にその周方向に対し下記の角度φ
の方向に研磨溝部を延在させてなるワークロールを用い
て圧延するようにしたものである。
【数5】
【0010】請求項3に記載の本発明は、ステンレス熱
延鋼帯を焼鈍・酸洗した後、冷間タンデムミルにおい
て、ワークロールのロールバイトの接触弧の長さをL、
入側鋼帯表面の幅方向の粗さの平均ピッチλa とロール
表面の幅方向の粗さの平均ピッチλr によって定義され
る合成粗さの平均ピッチを下記のλとするとき、ワーク
ロール表面にその周方向に対し下記の角度φの方向に研
磨溝部を延在させてなるワークロールを用いて圧延する
ようにしたものである。
【数6】
【0011】請求項4に記載の本発明は、請求項1、
2、3のいずれかに記載のワークロールを用いて行なう
圧延を冷間タンデム圧延機列の少なくとも1スタンド以
上に適用するようにしたものである。
【0012】請求項5に記載の本発明は、請求項1、
2、3、4のいずれかにおいて、上下ワークロールの研
磨溝部の延在方向が互いに交差するようにロールを組み
入れて圧延するようにしたものである。
【0013】請求項6に記載の本発明は、請求項1、
2、3、4、5のいずれかにおいて、冷間タンデムミル
で圧延後に、更に直径 150mmφ以下のワークロールを用
いて圧延するようにしたものである。
【0014】
【作用】従来、ステンレス冷延鋼帯の表面光沢を向上す
るためには、その製品の表面粗さを左右する冷間圧延後
の鋼帯の表面粗さの低減が有効であることが知られてい
た。
【0015】然し、本発明者らの検討によって、上述の
冷間圧延後の鋼帯の表面粗さは、冷間圧延前の鋼帯、即
ち、熱延後に焼鈍酸洗した鋼帯の表面粗さの一部が冷間
圧延後に残存するものであることが明らかとなった。
【0016】そこで、熱延後に焼鈍酸洗した鋼帯の表面
粗さについて、以下に示す。最終仕上製品で平均粗さR
a0.1μm 以下の表面粗さを目標とするステンレス冷延鋼
帯の製造において、熱延鋼帯を焼鈍酸洗した直後の鋼帯
表面粗さは、酸洗時のショットブラスト等の機械的脱ス
ケール処理及び硫酸等の酸により、平均粗さRa2〜4 μ
m と著しく大きな粗さを有する。
【0017】ところで、一般に冷間圧延時には圧延機の
入側より大量の圧延油がロールと鋼帯に供給される。こ
れは、圧延油による潤滑と冷却とを同時に実施し、ヒー
ストリーク等の焼き付き疵の発生を防止して、安定して
鋼帯の生産をするためである。
【0018】従って、冷間圧延機の入側において、ロー
ル及び鋼帯表面に数μm 以上の厚みの圧延油が付着し、
熱延後に焼鈍酸洗した鋼帯表面の著しく大きい凹みに圧
延油が溜まりロールバイトに噛み込まれる。この凹みに
溜まった圧延油はロールバイトの中でロールと鋼帯が接
触している間ロールバイト内に封じ込められたままの状
態で圧延される。
【0019】一般に、圧延油を含めた液体は、空気など
の気体に比較して著しく圧縮されにくいため、圧延中に
油を封じ込めた凹みは、圧延前より多少は小さくなる
が、大部分が圧延中に平滑化することなく、圧延後にも
残留する。
【0020】以上のように、冷間圧延前の鋼帯の表面粗
さが、冷間圧延後も残留し、製品の表面光沢を著しく損
なう。
【0021】そこで、表面光沢の良好な鋼帯を得るため
には、冷間圧延開始時の鋼帯の表面粗さの凹部を圧延中
に小さくすることが有効である。そのためには、冷間圧
延中にロール表面の粗さの凸部を十分に鋼帯表面と接触
させて、冷間圧延前の鋼帯表面粗さの凹部を十分に低減
すると良いわけである。
【0022】従来より、冷間圧延時には、ロールを交差
させて圧延すると最大深さでも0.数μm と浅いオイルピ
ットなどの微小な凹凸を低減できることが知られていた
が、冷間圧延前の素材粗さのように数十μm と著しく大
きい粗さを低減することはできなかった。
【0023】この原因を調査したところ、圧延中のロー
ルと鋼帯との接触部において、ロール粗さの凸部と鋼帯
表面の凹部とが圧延方向には十分に接触する場合にも、
幅方向にはロール粗さの凹部があるため鋼帯表面の凹部
にロール表面が部分的にしか接触せず、大きな深さの凹
部が残留してしまうことであることが明らかとなった。
【0024】そこで、ロール表面の凸部と鋼帯表面の凹
部とを十分に接触させる方法について、本発明者らが鋭
意検討したところ、下記(A) 〜(C) を得た。
【0025】(A) ワークロールの周方向に対し図1に示
【数7】 なる角度φの方向に凹部(粗さの溝)を延在させるよう
な研磨をロール表面に施し、上下ワークロールの研磨溝
部の延在方向が互いに交差するようにワークロールを組
み入れて圧延することが有効であることを見出した。図
1において、1は鋼帯、2はワークロールである。ここ
で、λa は入側鋼帯表面の幅方向の粗さの平均ピッチ、
Lはロールと鋼帯との接触弧長である。尚、粗さの平均
ピッチλaは、図2に示した表面粗さを示す断面曲線の
凹凸の間隔Saiの平均値であり、下記式で算定される。
【数8】
【0026】即ち、数十μm と大きい冷延前の素材粗さ
を低減するためには、ロールと鋼帯とが接触するロール
バイトにおいて、素材粗さの凹部に封入されようとする
圧延油をロール粗さの凹部を通してロールバイトの外部
に逃がすと同時に、ロール粗さを十分に鋼帯表面に接触
させることが有効である。そこで、ロール粗さを幅方向
に移動することにより、第1に、通常圧延方向に長いロ
ール粗さを通じてロールバイトの外部へ圧延油を逃がす
ため、素材粗さの凹部に封入される圧延油は著しく減少
する。第2に、素材粗さの凹部に封入される圧延油が減
少することにより、ロール粗さが素材粗さを十分に押し
潰すことができる。然し、ロール粗さの移動量が少ない
と、ロール粗さを鋼帯表面全体に渡って十分接触させる
ことができない場合がある。その結果、従来の出願にあ
るように微小な粗さであるオイルピットは低減できて
も、大きな凹凸である素材粗さは十分低減できない場合
が生じていた。
【0027】圧延中にロールバイト接触弧長Lをロール
の粗さが圧延方向に移動する間に、入側鋼帯表面の幅方
向粗さの平均ピッチλa 以上にロール粗さが幅方向に移
動できれば、ロール粗さを鋼帯表面全体に渡って十分接
触させることができる。
【0028】但し、φが大きすぎる場合、ロール粗さの
凹部が板に残留して光沢は低下する。これはφが大きい
と圧延中の鋼帯とロールとの摩擦抵抗が大きくなり、ロ
ール粗さの凹部が鋼帯表面に十分過ぎるほど深く転写し
てしまうためである。
【0029】然るに、本発明者らの検討により、φ≦ 5
°以下であればロール粗さが幅方向に十分移動すること
ができ、その凹部が板に残留することなく光沢を改善で
きることが明らかとなった。
【0030】また、これらのワークロールを研磨溝部の
延在方向が上下に交差するように組み込む理由は以下の
通りである。
【0031】ワークロールに圧延方向との角度を持った
凹部が存在することにより、鋼帯には幅方向に移動する
力が発生する。従って、ワークロールの凹部が平行にな
るように組み込むと、同一方向に力が働いて鋼帯が蛇行
し易くなり圧延が不安定になる。交差するように組み込
むことにより、鋼帯の上下面で互いに逆方向に力が発生
し相殺するため、蛇行する危険が解消する。
【0032】尚、好ましくは、安定圧延と光沢向上を更
に両立させるため、
【数9】 が良い。
【0033】(B) また、図3に示す
【数10】 なる角度φの方向に凹部(粗さの溝)を延在させるよう
な研磨をロール表面に施して圧延することが有効である
ことを見出した。図3において、1は鋼帯、2はワーク
ロールである。ここで、λr はロール表面の幅方向の粗
さの平均ピッチ、Lはロールと鋼帯との接触弧長であ
る。尚、粗さの平均ピッチλr は、図4に示した表面粗
さを示す断面曲線の凹凸の間隔Sriの平均値であり、下
記式で算定される。
【数11】
【0034】即ち、数十μm と大きい冷延前の素材粗さ
を低減するためには、ロールと鋼帯とが接触するロール
バイトにおいて、素材粗さの凹部に封入されようとする
圧延油をロール粗さの凹部を通してロールバイトの外部
に逃がすと同時に、ロール粗さを十分に鋼帯表面に接触
させることが有効である。そこで、ロール粗さを幅方向
に移動することにより、第1に、通常圧延方向に長いロ
ール粗さを通じてロールバイトの外部へ圧延油を逃がす
ため、素材粗さの凹部に封入される圧延油は著しく減少
する。第2に、素材粗さの凹部に封入される圧延油が減
少することにより、ロール粗さが素材粗さを十分に押し
潰すことができる。然し、ロール粗さの移動量が少ない
と、ロール粗さを鋼帯表面全体に渡って十分接触させる
ことができない場合がある。その結果、従来の出願にあ
るように微小な粗さであるオイルピットは低減できて
も、大きな凹凸である素材粗さは十分低減できない場合
が生じていた。
【0035】圧延中にロールバイト接触弧長Lをロール
の粗さが圧延方向に移動する間に、ロールの幅方向粗さ
の平均ピッチλr 以上にロール粗さが幅方向に移動でき
れば、ロール粗さを鋼帯表面全体に渡って十分接触させ
ることができる。
【0036】但し、φが大きすぎる場合、ロール粗さの
凹部が板に残留して光沢は低下する。これはφが大きい
と圧延中の鋼帯とロールとの摩擦抵抗が大きくなり、ロ
ール粗さの凹部が鋼帯表面に十分過ぎるほど深く転写し
てしまうためである。
【0037】然るに、本発明者らの検討により、φ≦ 5
°以下であればロール粗さが幅方向に十分移動すること
ができ、その凹部が板に残留することなく光沢を改善で
きることが明らかとなった。
【0038】また、これらのワークロールを研磨溝部の
延在方向が上下に交差するように組み込む理由は以下の
通りである。
【0039】ワークロールに圧延方向との角度を持った
凹部が存在することにより、鋼帯には幅方向に移動する
力が発生する。従って、ワークロールの凹部が平行にな
るように組み込むと、同一方向に力が働いて鋼帯が蛇行
し易くなり圧延が不安定になる。交差するように組み込
むことにより、鋼帯の上下面で互いに逆方向に力が発生
し相殺するため、蛇行する危険が解消する。
【0040】尚、好ましくは、安定圧延と光沢向上を更
に両立させるため、
【数12】 が良い。
【0041】(C) また、図5に示す
【数13】 なる角度φの方向に凹部(粗さの溝)を延在させるよう
な研磨をロール表面に施して圧延することが有効である
ことを見出した。図5において、1は鋼帯、2はワーク
ロールである。ここで、Lはロールと鋼帯との接触弧
長、λは幅方向の合成粗さの平均ピッチであり、入側鋼
帯表面の粗さの平均ピッチλa とロール表面の粗さの平
均ピッチλr により以下の式で定義される。
【数14】
【0042】尚、粗さの平均ピッチλは、図6に示した
表面粗さを示す断面曲線の凹凸の間隔Si の平均値であ
り、下記式で算定される。
【数15】
【0043】即ち、数十μm と大きい冷延前の素材粗さ
を低減するためには、ロールと鋼帯とが接触するロール
バイトにおいて、素材粗さの凹部に封入されようとする
圧延油をロール粗さの凹部を通してロールバイトの外部
に逃がすと同時に、ロール粗さを十分に鋼帯表面に接触
させることが有効である。そこで、ロール粗さを幅方向
に移動することにより、第1に、通常圧延方向に長いロ
ール粗さを通じてロールバイトの外部へ圧延油を逃がす
ため、素材粗さの凹部に封入される圧延油は著しく減少
する。第2に、素材粗さの凹部に封入される圧延油が減
少することにより、ロール粗さが素材粗さを十分に押し
潰すことができる。然し、ロール粗さの移動量が少ない
と、ロール粗さを鋼帯表面全体に渡って十分接触させる
ことができない場合がある。その結果、従来の出願にあ
るように微小な粗さであるオイルピットは低減できて
も、大きな凹凸である素材粗さは十分低減できない場合
が生じていた。
【0044】圧延中にロールバイト接触弧長Lをロール
の粗さが圧延方向に移動する間に、幅方向の入側鋼帯及
びロール表面の合成粗さの平均ピッチλ以上にロール粗
さが幅方向に移動できれば、ロール粗さを鋼帯表面全体
に渡って十分接触させることができる。
【0045】但し、φが大きすぎる場合、ロール粗さの
凹部が板に残留して光沢は低下する。これはφが大きい
と圧延中の鋼帯とロールとの摩擦抵抗が大きくなり、ロ
ール粗さの凹部が鋼帯表面に十分過ぎるほど深く転写し
てしまうためである。
【0046】然るに、本発明者らの検討により、φ≦ 5
°以下であればロール粗さが幅方向に十分移動すること
ができ、その凹部が板に残留することなく光沢を改善で
きることが明らかとなった。
【0047】また、これらのワークロールを研磨溝部の
延在方向が上下に交差するように組み込む理由は以下の
通りである。
【0048】ワークロールに圧延方向との角度を持った
凹部が存在することにより、鋼帯には幅方向に移動する
力が発生する。従って、ワークロールの凹部が平行にな
るように組み込むと、同一方向に力が働いて鋼帯が蛇行
し易くなり圧延が不安定になる。交差するように組み込
むことにより、鋼帯の上下面で互いに逆方向に力が発生
し相殺するため、蛇行する危険が解消する。
【0049】尚、好ましくは、安定圧延と光沢向上を更
に両立させるため、
【数16】 が良い。
【0050】本発明のワークロールをタンデム圧延機列
の第1スタンドを含む前段スタンドに適用した場合、タ
ンデム圧延機列の前段スタンドでは後段スタンドよりも
鋼帯の板厚が大きく、鋼帯とワークロールとの接触長が
長い。従って前段スタンドに適用する際のワークロール
の研磨溝の凹部の角度は後段スタンドの場合よりも小さ
くて済むため、圧延がより安定し、また鋼帯表面にワー
クロールの研磨溝の凹部が残留することもない。
【0051】一方、本発明のワークロールをタンデム圧
延機列の最終スタンドを含む後段スタンドに適用した場
合、最終製品の光沢に及ぼす効果は前段スタンドよりも
大きい。
【0052】尚、好ましくは、上記の2つの理由によ
り、本発明のワークロールをタンデム圧延機列の全スタ
ンドに適用するのが良い。
【0053】また、本発明のワークロールを用いた冷間
タンデムミル圧延後に、更に直径150mm φ以下のワーク
ロールを用いて圧延するものとすれば、ロールと鋼帯の
間に圧延油が封じ込められにくく、鋼帯表面の微小な欠
陥を更に潰すことができるため、鋼帯の光沢を更に向上
させることができる。
【0054】尚、本発明の実施において、ワークロール
表面に角度φで延在せしめる凹部は、研磨によるものに
限らず、切削等によって施すものであっても良い。
【0055】
【実施例】
(実施例1)以下、フェライト系ステンレス鋼帯の例と
して、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯を、本発明方法
の一例として、5スタンド冷間タンデムミルで、第1ス
タンドから第3スタンドに、研磨粗さの溝がロール周方
向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLと入側鋼
帯表面の粗さの幅方向の平均ピッチλa によって規定さ
れるワークロールを上下互いに交差するように組み込ん
で圧延し、その後に仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し鋼
帯の表面光沢を調査した。
【0056】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合、本発
明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワークロ
ールを用いた場合、及び研磨により粗さの溝を形成させ
たワークロールを上下互いに平行になるように組み込ん
で圧延した場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・
酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0057】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0058】表1に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。また、蛇行で圧延不能に
陥ることもなく、安定圧延が可能になった。
【0059】
【表1】
【0060】(実施例2)以下、フェライト系ステンレ
ス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯
を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデム
ミルで、第1スタンドから第5スタンドに、研磨粗さの
溝がロール周方向となす角度φがロールバイト接触弧の
長さLと入側鋼帯表面の粗さの幅方向の平均ピッチλa
によって規定されるワークロールを上下互いに交差する
ように組み込んで圧延し、その後に仕上焼鈍・酸洗及び
調質圧延し鋼帯の表面光沢を調査した。
【0061】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合及び本
発明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワーク
ロールを用いた場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼
鈍・酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0062】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜 600をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0063】表2に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。
【0064】
【表2】
【0065】(実施例3)以下、フェライト系ステンレ
ス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯
を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデム
ミルで、第3スタンドから第5スタンドに、研磨粗さの
溝がロール周方向となす角度φがロールバイト接触弧の
長さLと入側鋼帯表面の粗さの幅方向の平均ピッチλa
によって規定されるワークロールを上下互いに交差する
ように組み込んで圧延し、その後に仕上げ焼鈍・酸洗及
び調質圧延し鋼帯の表面光沢を調査した。
【0066】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合及び本
発明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワーク
ロールを用いた場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼
鈍・酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0067】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0068】表3に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。
【0069】
【表3】
【0070】(実施例4)以下、オーステナイト系ステ
ンレス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS304鋼
帯を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデ
ムミルで、第1スタンドに、研磨粗さの溝がロール周方
向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLと入側鋼
帯表面の粗さの幅方向の平均ピッチλa によって規定さ
れるワークロールを上下互いに交差するように組み込ん
で圧延し、その後に小径ワークロールを用いるクラスタ
ー型圧延機で圧延して、仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延
し、更にバフ研磨を実施した鋼帯表面の光沢を調査し
た。
【0071】また、比較として、冷間タンデム圧延機に
おいて通常のロール周方向に平行な粗さを付与したワー
クロールを用いた場合、本発明で示した式の範囲を逸脱
した角度で研磨したワークロールを用いた場合及びクラ
スター型圧延機において本発明で示した範囲を逸脱する
直径を有するワークロールを用いて圧延した場合につい
て、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し、
更に同一の条件でバフ研磨を実施した鋼帯の表面光沢を
調査した。
【0072】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8471 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜 600をC、400 以下をD
として5段階で評価した。表4に示す結果より、本発明
方法で製造したステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び
本発明で示した式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯
と比較して著しく良好な光沢を有していた。
【0073】
【表4】
【0074】(実施例5)以下、オーステナイト系ステ
ンレス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS304鋼
帯を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデ
ムミルで、第5スタンドに、研磨粗さの溝がロール周方
向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLと入側鋼
帯表面の粗さの幅方向の平均ピッチλa によって規定さ
れるワークロールを上下互いに交差するように組み込ん
で圧延し、その後に直径が90mmの小径ワークロールを用
いるクラスター型圧延機で圧延して、仕上げ焼鈍・酸洗
及び調質圧延し、更にバフ研磨を実施した鋼帯表面の光
沢を調査した。
【0075】また、比較として、冷間タンデム圧延機に
おいて通常のロール周方向に平行な粗さを付与したワー
クロールを用いた場合、本発明で示した式の範囲を逸脱
した角度で研磨したワークロールを用いた場合につい
て、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し、
更に同一の条件でバフ研磨を実施した鋼帯の表面光沢を
調査した。
【0076】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0077】表5に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。
【0078】
【表5】
【0079】(実施例6)以下、フェライト系ステンレ
ス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯
を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデム
ミルで、第1スタンドから第3スタンドに、研磨粗さの
溝がロール周方向となす角度φがロールバイト接触弧の
長さLとロール表面の粗さの幅方向の平均ピッチλr に
よって規定されるワークロールを上下互いに交差するよ
うに組み込んで圧延し、その後に仕上げ焼鈍・酸洗及び
調質圧延し鋼帯の表面光沢を調査した。
【0080】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合、本発
明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワークロ
ールを用いた場合、及び研磨により粗さの溝を形成させ
たワークロールを上下互いに平行になるように組み込ん
で圧延した場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・
酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0081】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8471 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜 600をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0082】表6に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。また、蛇行で圧延不能に
陥ることもなく、安定圧延が可能になった。
【0083】
【表6】
【0084】(実施例7)以下、フェライト系ステンレ
ス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯
を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデム
ミルで、第1スタンドから第5スタンドに、研磨粗さの
溝がロール周方向となす角度φがロールバイト接触弧の
長さLとロール表面の粗さの幅方向の平均ピッチλr に
よって規定されるワークロールを上下互いに交差するよ
うに組み込んで圧延し、その後に仕上げ焼鈍・酸洗及び
調質圧延し鋼帯の表面光沢を調査した。
【0085】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合及び本
発明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワーク
ロールを用いた場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼
鈍・酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0086】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0087】表7に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。
【0088】
【表7】
【0089】(実施例8)以下、フェライト系ステンレ
ス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯
を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデム
ミルで、第3スタンドから第5スタンドに、研磨粗さの
溝がロール周方向となす角度φがロールバイト接触弧の
長さLとロール表面の粗さの幅方向の平均ピッチλr に
よって規定されるワークロールを上下互いに交差するよ
うに組み込んで圧延し、その後に仕上げ焼鈍・酸洗及び
調質圧延し鋼帯の表面光沢を調査した。
【0090】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合及び本
発明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワーク
ロールを用いた場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼
鈍・酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0091】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0092】表8に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。
【0093】
【表8】
【0094】(実施例9)以下、オーステナイト系ステ
ンレス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS304鋼
帯を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデ
ムミルで、第1スタンドに、研磨粗さの溝がロール周方
向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLとロール
表面の粗さの幅方向の平均ピッチλr によって規定され
るワークロールを上下互いに交差するように組み込んで
圧延し、その後に小径ワークロールを用いるクラスター
型圧延機で圧延して、仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延
し、更にバフ研磨を実施した鋼帯表面の光沢を調査し
た。
【0095】また、比較として、冷間タンデムミル圧延
機において通常のロール周方向に平行な粗さを付与した
ワークロールを用いた場合、本発明で示した式の範囲を
逸脱する角度で研磨したワークロールを用いた場合及び
クラスター型圧延機において本発明で示した範囲を逸脱
する直径を有するワークロールを用いて圧延した場合に
ついて、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延
し、更に同一の条件でバフ研磨を実施した鋼帯の表面光
沢を調査した。
【0096】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0097】表9に示す結果より、本発明方法で製造し
たステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示し
た式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して著
しく良好な光沢を有していた。
【0098】
【表9】
【0099】(実施例10)以下、オーステナイト系ス
テンレス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS304
鋼帯を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タン
デムミルで、第5スタンドに、研磨粗さの溝がロール周
方向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLとロー
ル表面の粗さの幅方向の平均ピッチλr によって規定さ
れるワークロールを上下互いに交差するように組み込ん
で圧延し、その後に直径が90mmの小径ワークロールを用
いるクラスター型圧延機で圧延して、仕上げ焼鈍・酸洗
及び調質圧延し、更にバフ研磨を実施した鋼帯表面の光
沢を調査した。
【0100】また、比較として、冷間タンデム圧延機に
おいて通常のロール周方向に平行な粗さを付与したワー
クロールを用いた場合、本発明で示した式の範囲を逸脱
した角度で研磨したワークロールを用いた場合につい
て、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し、
更に同一の条件でバフ研磨を実施した鋼帯の表面光沢を
調査した。
【0101】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0102】表10に示す結果より、本発明方法で製造
したステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示
した式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して
著しく良好な光沢を有していた。
【0103】
【表10】
【0104】(実施例11)以下、フェライト系ステン
レス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS430鋼帯
を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タンデム
ミルで、第1スタンドから第5スタンドに、研磨粗さの
溝がロール周方向となす角度φがロールバイト接触弧の
長さLと入側鋼帯及びロールの表面の合成粗さの幅方向
の平均ピッチλによって規定されるワークロールを上下
互いに交差するように組み込んで圧延し、その後に仕上
げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し鋼帯の表面光沢を調査し
た。
【0105】また、比較として、通常のロール周方向に
平行な粗さを付与したワークロールを用いた場合及び本
発明で示した式の範囲を逸脱する角度で研磨したワーク
ロールを用いた場合について、圧延した鋼帯を仕上げ焼
鈍・酸洗及び調質圧延した鋼帯表面の光沢を調査した。
【0106】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8471 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜 600をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0107】表11に示す結果より、本発明方法で製造
したステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で示
した式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較して
著しく良好な光沢を有していた。
【0108】
【表11】
【0109】(実施例12)以下、オーステナイト系ス
テンレス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS304
鋼帯を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タン
デムミルで、第1スタンドに、研磨粗さの溝がロール周
方向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLと入側
鋼帯及びロールの合成粗さの幅方向の平均ピッチλによ
って規定されるワークロールを上下互いに交差するよう
に組み込んで圧延し、その後にロール径φ50の小径ワー
クロールを用いるクラスター型圧延機で圧延して、仕上
焼鈍・酸洗及び調質圧延し、更にバフ研磨を実施した鋼
帯表面の光沢を調査した。
【0110】また、比較として、冷間タンデム圧延機に
おいて通常のロール周方向に平行な粗さを付与したワー
クロールを用いた場合、本発明で示した式の範囲を逸脱
した角度で研磨したワークロールを用いた場合及びクラ
スター型圧延機において本発明で示した範囲を逸脱する
直径を有するワークロールを用いて圧延した場合につい
て、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し、
更に同一の条件でバフ研磨を実施した鋼帯の表面光沢を
調査した。
【0111】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0112】表12に示す結果により、本発明方法で製
造したステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で
示した式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較し
て著しく良好な光沢を有していた。
【0113】
【表12】
【0114】(実施例13)以下、オーステナイト系ス
テンレス鋼帯の例として、熱延後に焼鈍酸洗したSUS304
鋼帯を、本発明方法の一例として、5スタンド冷間タン
デムミルで、第5スタンドに、研磨粗さの溝がロール周
方向となす角度φがロールバイト接触弧の長さLと入側
鋼帯及びロールの表面の合成粗さの幅方向の平均ピッチ
λによって規定されるワークロールを上下互いに交差す
るように組み込んで圧延し、その後に直径90mmの小径ワ
ークロールを用いるクラスター型圧延機で圧延して、仕
上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し、更にバフ研磨を実施し
た鋼帯表面の光沢を調査した。
【0115】また、比較として、冷間タンデム圧延機に
おいて通常のロール周方向に平行な粗さを付与したワー
クロールを用いた場合、本発明で示した式の範囲を逸脱
した角度で研磨したワークロールを用いた場合につい
て、圧延した鋼帯を仕上げ焼鈍・酸洗及び調質圧延し、
更に同一の条件でバフ研磨を実施した鋼帯の表面光沢を
調査した。
【0116】これらステンレス冷延鋼帯の表面光沢につ
いて、JIS Z8741 光沢度測定方法5(Gs20 °)により
測定し、良好な順に光沢度950 以上を特A、800 〜950
をA、600 〜800 をB、400 〜600 をC、400 以下をD
として5段階で評価した。
【0117】表13に示す結果により、本発明方法で製
造したステンレス冷延鋼帯は、従来の方法及び本発明で
示した式の範囲を逸脱した条件で製造した鋼帯と比較し
て著しく良好な光沢を有していた。
【0118】
【表13】
【0119】
【発明の効果】以上の通り、本発明方法により製造した
ステンレス冷延鋼帯は、従来の方法により製造した鋼帯
と比較して著しく優れた表面光沢を有する。特に、冷間
タンデムミル等の大径ワークロールを用いた圧延の場
合、従来全く到達不可能であった、ゼンジミアミルなど
の小径ワークロールを用いて圧延した場合と同等以上の
優れた表面光沢を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す模式図である。
【図2】図2は粗さの平均ピッチλa を示す模式図であ
る。
【図3】図3は本発明の他の実施例を示す模式図であ
る。
【図4】図4は粗さの平均ピッチλr を示す模式図であ
る。
【図5】図5は本発明の更に他の実施例を示す模式図で
ある。
【図6】図6は粗さの平均ピッチλを示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 鋼帯 2 ワークロール
フロントページの続き (72)発明者 磯辺 邦夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 清野 芳一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 永井 肇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス熱延鋼帯を焼鈍・酸洗した
    後、冷間タンデムミルにおいて、ワークロールのロール
    バイトの接触弧の長さをL、入側鋼帯表面の幅方向の粗
    さの平均ピッチをλa とするとき、ワークロール表面に
    その周方向に対し下記の角度φの方向に研磨溝部を延在
    させてなるワークロールを用いて圧延することを特徴と
    するステンレス冷延鋼帯の製造方法。 【数1】
  2. 【請求項2】 ステンレス熱延鋼帯を焼鈍・酸洗した
    後、冷間タンデムミルにおいて、ワークロールのロール
    バイトの接触弧の長さをL、ロール表面の幅方向の粗さ
    の平均ピッチをλr とするとき、ワークロール表面にそ
    の周方向に対し下記の角度φの方向に研磨溝部を延在さ
    せてなるワークロールを用いて圧延することを特徴とす
    るステンレス冷延鋼帯の製造方法。 【数2】
  3. 【請求項3】 ステンレス熱延鋼帯を焼鈍・酸洗した
    後、冷間タンデムミルにおいて、ワークロールのロール
    バイトの接触弧の長さをL、入側鋼帯表面の幅方向の粗
    さの平均ピッチλa とロール表面の幅方向の粗さの平均
    ピッチλr によって定義される合成粗さの平均ピッチを
    下記のλとするとき、ワークロール表面にその周方向に
    対し下記の角度φの方向に研磨溝部を延在させてなるワ
    ークロールを用いて圧延することを特徴とするステンレ
    ス冷延鋼帯の製造方法。 【数3】
  4. 【請求項4】 請求項1、2、3のいずれかに記載のワ
    ークロールを用いて行なう圧延を冷間タンデム圧延機列
    の少なくとも1スタンド以上に適用することを特徴とす
    るステンレス冷延鋼帯の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3、4のいずれかにおい
    て、上下ワークロール研磨溝部の延在方向が互いに交差
    するようにロールを組み入れて圧延することを特徴とす
    るステンレス冷延鋼帯の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4、5のいずれかに
    おいて、冷間タンデムミルで圧延後に、更に直径 150mm
    φ以下のワークロールを用いて圧延することを特徴とす
    るステンレス冷延鋼帯の製造方法。
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