JPH07263266A - ラジアル異方性円筒形磁石の製造方法及び装置 - Google Patents

ラジアル異方性円筒形磁石の製造方法及び装置

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JPH07263266A
JPH07263266A JP7434994A JP7434994A JPH07263266A JP H07263266 A JPH07263266 A JP H07263266A JP 7434994 A JP7434994 A JP 7434994A JP 7434994 A JP7434994 A JP 7434994A JP H07263266 A JPH07263266 A JP H07263266A
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JP
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powder
magnet
magnetic field
lower punch
cylindrical
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JP7434994A
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English (en)
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Masato Sagawa
眞人 佐川
Hiroshi Nagata
浩 永田
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Intermetallics Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B15/00Details of, or accessories for, presses; Auxiliary measures in connection with pressing
    • B30B15/02Dies; Inserts therefor; Mounting thereof; Moulds
    • B30B15/022Moulds for compacting material in powder, granular of pasta form
    • B30B15/024Moulds for compacting material in powder, granular of pasta form using elastic mould parts
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F2999/00Aspects linked to processes or compositions used in powder metallurgy

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Abstract

(57)【要約】 【構成】ゴムモールドmと下パンチp1により形成され
る円筒状空間部に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の
混合粉末を高密度に充填後、磁石粉末或いは上記混合粉
末の圧縮開始前に或いは圧縮開始後の所定時間内に、ゴ
ムモールド内に充填された磁石粉末或いは上記混合粉末
にラジアル方向のパルス磁界を印加して圧粉体を成型
し、次いで、該圧粉体を焼結或いは熱処理してラジアル
異方性円筒形磁石を製造するようにしたラジアル異方性
円筒形磁石の製造方法に関するものである。 【効果】ラジアル異方性配向用磁界としてパルス磁界を
使用することにより、上記のコイルの発熱問題は大きく
軽減され又は除去され、且つ、パルスコイルは鉄心を使
わない空芯タイプであるので、鉄心の磁化飽和の問題も
解消できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラジアル方向に配向さ
れた円筒形磁石(以下、「ラジアル異方性円筒形磁石」
という。)の製造方法及び装置に関するものである。ラ
ジアル異方性円筒形磁石は、ハードディスクやフロッピ
ーディスクドライブのスピンドルモーターや各種ステッ
ピングモーター等に使用されており、近年これらのモー
ターの高性能化の要請が強まり、それに伴って、ラジア
ル異方性円筒形磁石のニーズが益々強まっている。
【0002】
【従来の技術】従来、円柱状コアー及び円筒状ダイによ
り形成される円筒状空間に円筒状の下パンチを挿着し、
次いで、円柱状コアー、円筒状ダイ及び円筒状の下パン
チにより形成される空間に永久磁石粉末(以下、単に、
「磁石粉末」という。)或いは磁石粉末とバインダーと
しての樹脂粉末の混合粉末(以下、単に、「混合粉末」
という。また、「磁石粉末」と「混合粉末」を総称し
て、単に、「粉末」ともいう。)を自然落下により充填
後、円柱状コアー及び円筒状ダイにより形成される円筒
状空間に円筒状の上パンチを挿着するとともに、磁界方
向がラジアル方向の直流磁界を印加しながら、円柱状コ
アー、円筒状ダイ、上パンチ及び下パンチにより形成さ
れる空間に自然落下により充填された磁石粉末或いは混
合粉末を、下パンチと上パンチの上下動により圧縮して
成形体を成形し、その後、成形された成形体を焼結して
ラジアル異方性円筒形焼結磁石或いは熱処理を施して磁
石粉末中に含まれている樹脂粉末を溶融硬化させてラジ
アル異方性円筒形のボンド磁石を製造するラジアル異方
性円筒形ボンド磁石の製造方法及び装置(以下、このよ
うな方法及び装置によるラジアル異方性円筒形磁石の製
造を「ダイプレス方法」或いは「ダイプレス装置」とも
いう。)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のダイプ
レス装置の概略断面図である図7を用いて、本発明が解
決しようとする課題について説明する。
【0004】1は、磁性鋼からなる円柱状の上部コアー
であり、2は、同じく磁性鋼からなる円柱状の下部コア
ーであり、また、3は、上部コアー1と下部コアー2間
に配置された非磁性鋼からなる円柱状の中間コアーであ
り、上部コアー1、下部コアー2及び中間コアー3は、
ボルト等の固着具或いは接着剤等により一体に固着さ
れ、円柱状コアーcを形成している。4は、所定の間隔
を置いて円柱状コアーcを囲むように配置された非磁性
鋼からなる円筒状のダイであり、円柱状コアーc及び円
筒状のダイ4により形成される空間には、非磁性鋼から
なる円筒状の上パンチ5及び下パンチ6が挿着されてい
る。7及び8は、それぞれ、直流磁界発生用の上部コイ
ル及び下部コイルである。
【0005】図7(a)に示されているように、円柱状
コアーc、円筒状のダイ4及び下パンチ6により形成さ
れる空間に、磁石粉末或いは混合粉末を自然落下により
充填し、次いで、円柱状コアーc及び円筒状のダイ4に
より形成される空間に上パンチ5を挿着する。次いで、
図7(b)に示されているように、上部コイル7及び下
部コイル8に直流電流を流し、図7(b)に一点鎖線で
示されているように、円柱状コアーc、円筒状のダイ
4、上パンチ5及び下パンチ6により形成された磁石粉
末或いは混合粉末が充填された円筒状の空間を平行に横
切るような直流磁界を発生させるとともに、上パンチ5
を下降させ、また、下パンチ6を上昇させることによ
り、直流磁界中で、図7(c)に示されているように、
磁石粉末或いは混合粉末を圧縮して磁石粉末が配向した
成形体を成形する。その後、成形体を取り出し、磁石粉
末からなる成形体を焼結することにより磁石粉末のみか
らなるラジアル異方性円筒形焼結磁石或いは混合粉末に
より成形された成形体に熱処理を施して、混合粉末中の
バインダーとしての樹脂粉末を溶融硬化してラジアル異
方性円筒形ボンド磁石を製造する。
【0006】上述した従来のダイプレス方法及びダイプ
レス装置を用いたラジアル異方性円筒形磁石の製造方法
及び装置においては、下記のような問題があった。
【0007】第1は、ラジアル配向用磁界をプレス作業
中ずっと印加しておかなくてはならないという問題であ
る。即ち、直流磁界の印加が必要なので、コイルには直
流電流を流す必要があり、従って、熱の発生を惹起し、
発熱のため高磁界印加ができないという問題があった。
一般に、磁界中成形によって十分に高配向の成形体を得
るには、10kOe以上の磁界の印加が望ましいが、ラ
ジアル配向用直流磁界は7〜8kOeが限度であり、と
りわけ、円筒状磁石の内径が小さいものや高さの高いも
のでは、更に小さい磁界しか得られず、例えば、最近注
目されているHDDR Nd−Fe−Bボンド磁石で
は、17〜20MGOeもの高特性が得られると報告さ
れているが、ラジアル異方性円筒形磁石の場合には、1
2〜13MGOeの低レベルにとどまってしまう。12
〜13MGOeのレベルであれば、極めて生産性の高い
等方性磁石の最高レベルのものと余り変わらないので、
HDDRの特徴が全く生かされず、ハードディスクやフ
ロッピーディスクドライブ等のドライブ用スピンドルモ
ーター等において、17〜20MGOeのボンド磁石に
対する強いニーズに応えるものではなくなってしまう。
【0008】第2は、上述したダイプレス方法及びダイ
プレス装置のような従来のラジアル異方性円筒形磁石の
製造方法及び装置では、高保磁力の粉末の場合、消磁が
極めて困難であるという問題である。上述のように、従
来の製造方法及び装置では、直流磁界発生が必要なた
め、直流磁界発生用コイルが設置されているが、直流磁
界発生用コイルで印加できるラジアル配向用直流磁界は
7〜8kOeが限度であるため、10kOe以上の保磁
力を持つ粉末を、一旦、ラジアル配向して成形し、その
後、逆磁界を印加して消磁しようとしても、印加できる
逆磁界も7〜8kOeで保磁力以下であるので、逆磁界
印加法による消磁ができないという問題がある。成形後
に消磁できないと、ダイから成形体を取り出したときに
成形体にクラックが入ったり、磁石粉が髭のように製品
にくっついて除去が難しく、熱処理等によりそのまま製
品に固着して不良の原因になったり、成形体同士がくっ
ついてラジアル異方性円筒形磁石の製造の自動化を困難
にしたり、多くの問題を引き起こすことになる。
【0009】上述した2つの問題は、磁石の粉末の充填
密度が、低い場合に、更に深刻になる。即ち、上述した
ダイプレス方法及びダイプレス装置のような従来のラジ
アル異方性円筒形磁石の製造方法及び装置においては、
図7に示されているように、円柱状コアーc、ダイ4及
び下パンチ6により形成される空間に、磁石粉末或いは
混合粉末を自然落下により充填するものであるので、N
d−Fe−B焼結磁石、フェライト焼結磁石、SmCo
5 ボンド磁石等の粉末の充填密度は、約15〜20%で
あり、このような充填密度約15〜20%の磁石粉末或
いは混合粉末を直流磁界中で圧縮することにより、充填
密度を50〜60%まで高めて成形体を成形することに
なるので、円柱状コアーc、円筒状のダイ4、上パンチ
5及び下パンチ6により形成される円筒状の空間に充填
された磁石粉末或いは混合粉末は、約1/3の高さにま
で高密度に圧縮されて円筒状の成形体が成形されること
になる。従って、均一で強力なラジアル異方性円筒形磁
石を製造するためには、上部コイル7及び下部コイル8
に直流電流を流し、広い巾に亘って磁束が平行で均一な
磁界を発生させるとともに、より強力な磁界を発生させ
る必要がある。
【0010】最終製品の高さの約3倍もの高さの円筒状
空間に強く均一な磁界を印加しなくてはならず、コイル
7、8に直流電流を流して、このように高さの高い円筒
状空間にラジアル配向用の強い磁界を印加することは極
めて難しい。直流磁界は鉄心の周りにコイルを巻いたも
のにより発生されるが、鉄心は直ぐに飽和するので、直
流磁界発生器から発生できる磁界には限度があり、単に
コイルを大きくしただけではこの問題は解決しない。こ
のような問題は、パルス磁界発生器の使用により、かな
り解決される。しかしながら、従来のダイプレス方法及
び装置では、プレス時に配向の乱れがあり、従って、プ
レス中ずっと磁界を印加していなければならないという
ジレンマにより、パルス磁界の使用はできない。
【0011】本発明の目的は、上述した従来のラジアル
異方性円筒形磁石の製造方法及び装置が有する課題を解
決するとともに、磁力の強力な種々の大きさのラジアル
異方性円筒形磁石が製造可能なラジアル異方性円筒形磁
石の製造方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために、第1には、ゴムモールドと下パンチ
により形成される円筒状空間部に磁石粉末或いは磁石粉
末と樹脂粉末の混合粉末を充填後、磁石粉末或いは上記
混合粉末の圧縮開始前に或いは圧縮開始後の所定時間内
に、ゴムモールド内に充填された磁石粉末或いは上記混
合粉末にラジアル方向のパルス磁界を印加して成形体を
成型し、次いで、該成形体を焼結或いは熱処理してラジ
アル異方性円筒形磁石を製造するようにしたものであ
り、第2には、底部に下パンチの下パンチコアー部が挿
入可能な透孔を有するゴムモールドを、下パンチ及びダ
イにより形成されるダイキャビティ内に装填し、次い
で、ゴムモールドと下パンチにより形成される円筒状空
間部に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末を
充填後、磁石粉末或いは上記混合粉末の圧縮開始前に或
いは圧縮開始後の所定時間内に、ゴムモールド内に充填
された磁石粉末或いは上記混合粉末にラジアル方向のパ
ルス磁界を印加して成形体を成型し、次いで、該成形体
を焼結或いは熱処理してラジアル異方性円筒形磁石を製
造するようにしたものであり、第3には、ゴムモールド
と下パンチにより形成される円筒状空間部に磁石粉末或
いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末を充填後、磁石粉末
或いは上記混合粉末の圧縮開始前に或いは圧縮開始後の
所定時間内に、ゴムモールド内に充填された磁石粉末或
いは上記混合粉末にラジアル方向のパルス磁界を印加し
て成形体を成型し、次いで、該成形体をダイプレスして
更に高密度化した後、成形体を焼結或いは熱処理してラ
ジアル異方性円筒形磁石を製造するようにしたものであ
り、第4には、底部に下パンチの下パンチコアー部が挿
入可能な透孔を有するゴムモールドを、下パンチ及びダ
イにより形成されるダイキャビティ内に装填し、次い
で、ゴムモールドと下パンチにより形成される円筒状空
間部に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末を
充填後、磁石粉末或いは上記混合粉末の圧縮開始前に或
いは圧縮開始後の所定時間内に、ゴムモールド内に充填
された磁石粉末或いは上記混合粉末にラジアル方向のパ
ルス磁界を印加して成形体を成型し、次いで、成形体を
ダイプレスして更に高密度化した後、成形体を焼結或い
は熱処理してラジアル異方性円筒形磁石を製造するよう
にしたものであり、第5には、ラジアル異方性円筒形磁
石の製造装置を、下パンチ及びダイにより形成されるダ
イキャビティ内に装填されるゴムモールド、ゴムモール
ドと下パンチにより形成される円筒状空間部に充填され
た磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末に、ラ
ジアル方向のパルス磁界を印加するためのコイルとから
構成したものであり、第6には、同じくラジアル異方性
円筒形磁石の製造装置を、下パンチコアー部を有する下
パンチ、下パンチ及びダイにより形成されるダイキャビ
ティ内に装填される底部に下パンチコアー部が挿入可能
な透孔を有するゴムモールド、ゴムモールドと下パンチ
により形成される円筒状空間部に充填された磁石粉末或
いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末に、ラジアル方向の
パルス磁界を印加するためのコイルとから構成したもの
である。
【0013】以下に、図1〜図6に基づいて、本発明の
実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限
り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0014】図1は、インデックステーブル10の磁石
粉末或いは混合粉末の成形工程位置に配置された下パン
チp1及び上パンチp2等の成形装置(以下、「ゴムモ
ールド型成形装置」ともいう。)の一部断面を含む正面
図である。
【0015】下パンチp1は、インデックステーブル1
0にボルト11、11’により固定された補助支持プレ
ート12上に載置された、後述するゴムモールドmが装
填されるダイキャビティ13の深さ調整用スペーサー1
4、14’、下パンチ本体15及び下パンチ本体15と
ゴムモールドmの下面端縁が接触する部分に配設された
硬質ゴム等からバックアップリング16、16’から構
成されており、スペーサー14、14’、下パンチ本体
15及びバックアップリング16、16’を組み立てた
後、補助支持プレート12に穿設された透孔12’に挿
入されたボルト17を、スペーサー14、14’を貫通
して下パンチ本体15のネジ孔15’に螺合することに
より、下パンチp1をインデックステーブル10に固定
するように構成されている。また、下パンチ本体15
は、ダイキャビティ13の底部付近からダイキャビティ
13の開口端付近まで延在する非磁性鋼で形成された円
柱状の下パンチコアー部15aと、円柱状の下パンチコ
アー部15aに対応する、下パンチ本体15の下端部付
近からダイキャビティ13の底部付近まで延びる円柱状
部分が、磁性鋼で形成された下部下パンチ部15bとか
ら構成されている。なお、下部下パンチ部15bのバッ
クアップリング16、16’間に挟まれている部分等の
上記の磁性鋼で形成された円柱状部分以外は、非磁性鋼
で形成されている。
【0016】dは、非磁性鋼で形成された下パンチp1
が挿入されたダイであり、ダイdの底面には溝d1が設
けられており、ダイdの溝d1と補助支持プレート12
に設けられた溝12”間には、下パンチp1の下方部分
を囲むようにスプリング18が配設されている。スプリ
ング18としては、非磁性ステンレス製の圧縮バネ等を
使用することができるが、硬質ウレタンゴムを利用した
ゴムクッション、皿バネ、スプリング効果を有する流体
シリンダー等の種々のバネ部材を使用することができ
る。特に、バネ係数が大きく、バネの長さ、バネ係数等
の調節が容易な皿バネを使用することが好ましい。更
に、非磁性鋼製の皿バネを使用すると、後述するパルス
磁界発生時の磁気吸収力により発生するショックが無く
好ましい。
【0017】c1は、下部下パンチ部15bの周囲に形
成された空間部に配設されたパルス磁界発生用コイル
(以下、単に、「下部コイル」ともいう。)であり、下
部下パンチ部15bに配設されており、下部コイルc1
の上端部が、バックアップリング16、16’に接近す
るように配設されている。
【0018】ダイd及び下パンチp1より形成されるダ
イキャビティ13には、底部の中央部に下パンチコアー
部15aが挿入される透孔m1が穿設されたゴムモール
ドmが装填されており、ゴムモールドmの内壁m2と下
パンチコアー部15a間に形成される円筒状キャビティ
m3に磁石粉末或いは混合粉末が充填されるように構成
されている。なお、ゴムモールドmを、中央部に下パン
チコアー部15aが挿着される透孔が穿設された正面形
状が凸形の円筒体に形成し、下パンチコアー部15aに
挿着されたゴムモールドmの外壁とダイdの内壁間に形
成される上記の円筒状キャビティm3と同様の円筒状キ
ャビティに、磁石粉末或いは混合粉末を充填するように
構成することもできる。
【0019】p2は、図示されていないプレスプランジ
ャー等に取着された上下動する上パンチであり、上パン
チp2は、ダイdの上面d2上に載置され、ダイキャビ
ティ13を覆うように、ダイキャビティ13の平面形状
より大きく構成されている。即ち、本発明においては、
上パンチp2がダイキャビティ13に挿入されることな
く、ダイdの上面d2上に載置されるように構成されて
いる。上パンチp2の中央部の下パンチコアー部15a
に対応する部分には、磁性鋼で形成された上パンチコア
ー部19が配設されており、また、上パンチコアー部1
9の周囲に設けられた空間部20には、上述した下部コ
イルc1と同様のパルス磁界発生用コイルc2(以下、
単に、「上部コイル」ともいう。なお、「下部コイル」
と「上部コイル」を総称して、単に、「コイル」ともい
う。)が取着されている。
【0020】21及び21’は、必要に応じて、上パン
チp2の下面に取着される硬質ゴム等からなる、上述し
たバックアップリング16、16’と同様のバックアッ
プリングであり、バックアップリング21は、ダイdと
ゴムモールドmの境界部を覆うような位置に配置されて
おり、また、バックアップリング21’は、下パンチコ
アー部15aの略外周付近に位置するように配置されて
いる。このようなバックアップリング21、21’は、
ゴムモールドmのゴムが、ダイdの上面d2と上パンチ
p2の下面の隙間から飛び出すのを防止し、ゴムモール
ドmの寿命を向上させる。なお、22は、ゴムモールド
mと同様のゴムで形成された下パンチコアー部15aの
上部が挿入可能な透孔22’が穿設されたゴムモールド
mの蓋であり、上パンチp2の下面に取着されているこ
とが好ましい。また、23は、下パンチコアー部15a
の上部が挿入可能な上パンチp2の下面に設けられた凹
部である。
【0021】d3は、ダイdの外周に沿って突設された
円周突起部であり、円周突起部d3を、上パンチp2の
外周に沿って設けられた切欠部24に嵌合させることに
より、ダイdと上パンチp2の位置決めが正確に行える
ように構成されている。なお、このような円周突起部d
3及び切欠部24は、必要に応じて省略することもでき
る。
【0022】本発明においては、ラジアル異方性配向パ
ルス磁界を使用することに大きな特徴がある。従来のダ
イプレス方法では、成形中に配向の乱れが起こってしま
うために、成形中ずっと磁界の印加を続けなくてはなら
なかったが、本発明では成形により配向が乱れないの
で、粉末が圧縮されて動かなくなる時点より前であれ
ば、短い時間の磁界印加で粉末が配向され、パルス印加
後、直ぐに磁界が弱くなっても成形中良い配向が維持さ
れる。
【0023】直流磁界ではコイルの発熱の問題と、直流
磁界発生には不可欠の鉄心の磁化飽和の問題のため、粉
末が充填される円筒状空間にラジアル異方性配向用の強
い磁界を印加することは困難であり、とりわけ、粉末が
充填される円筒状空間の円筒内径が小さいもの、円筒の
高さが高いものでは極めて困難であった。しかし、ラジ
アル異方性配向用磁界としてパルス磁界を使用すると、
発熱の問題は大きく軽減され又は除去され、且つ、パル
スコイルであるので、鉄心の磁化飽和の問題もない。そ
のため、ラジアル異方性配向用磁界として十分大きい磁
界を印加することができ、従って、高い配向度を持つラ
ジアル異方性円筒磁石を製造することができる。なお、
パルスコイルに鉄心を使用した場合には、コイル定数
(コイルのインダクタンス)が変わり、高磁界を能率良
く出すことができるとともに、磁界の立ち上がりが早く
なるという利点がある。
【0024】上述したように、従来の方法及び装置が有
する問題の1つは、HDDR粉末のように10kOe以
上の高い保磁力を持つ粉末を使用して成形体を成形後、
成形体を成形装置から取り出す前の消磁工程において、
直流磁界コイルでは、消磁に必要な十分高い逆磁界を印
加することができないことである。本発明の方法及び装
置では、パルス磁界コイルを使用するので、保磁力を上
回る十分高い逆磁界を印加でき、ほぼ完全に消磁でき
る。また、更に完全に消磁するために、高い波高値を持
つ交流減衰消磁法も使用できる。このように完全に消磁
を行うことにより、クラックのない、且つ、余分な粉末
が付着していない成形体を作製することができ、且つ、
成形体同士がくっついて絡まり合い取扱いを困難にする
等の問題もなくなる。
【0025】また、本発明においては、上述した従来の
ダイプレス方法及びダイプレス装置による円筒状の成形
体の製造とは異なり、円筒状キャビティm3に、磁石粉
末或いは混合粉末が、充填時又は充填後のゴムモールド
mの加振やプッシャーによる押し込みにより高密度に充
填される。
【0026】ここで高密度とは、粉末の粒径や粒度分布
によって異なるが、Nd−Fe−Bやフェライト焼結磁
石用粉末の場合、粉末を自然落下により充填した場合の
自然充填密度の1.2倍より大きな密度であり、略25
%〜40%の高密度の状態に粉末を充填することが好ま
しい。なお、自然充填密度は、主として、粉末の粒径及
び粒度分布によって定まるが、ちなみに、粒径が3〜4
μmの希土類焼結磁石用粉末の場合には14%であり、
粒径が0.7μmのフェライト焼結磁石用粉末の場合に
は12%である。粒径が大きく、且つ、粒度分布が大き
い磁石粉、例えば、HDDR法により作成したNd−F
e−B異方性ボンド磁石用粉末の場合、自然落下により
充填しただけで約20%以上の充填率で高密度充填が達
成されるので、このような粉末では、加振や押圧による
高充填密度化を省略できるか或いは加振や押圧による高
充填密度化はあまり重要ではない。
【0027】自然充填密度が低い粉末では、本発明の方
法は、従来のダイプレス方法と比べて、更に大きい利点
を有している。即ち、磁石粉末或いは混合粉末が充填さ
れる円筒状空間にラジアル異方性配向用磁界を印加する
ことは、円筒状空間の円筒の内径が小さい場合や円筒の
高さが高い場合に大変困難であることを述べた。自然充
填密度が低い粉末の場合、ダイプレス方法では所要の成
形体の寸法の約3倍もの高さの空間に、強い均一なラジ
アル磁界を形成しなくてはならないが、このように高さ
の高い円筒状空間に均一な強いラジアル磁界を形成する
ことは極めて困難であり、成形体の内径や高さに厳しい
制限が付与されることになる。即ち、最終製品として、
高さの極めて低い又は内径の極めて大きい円筒状磁石し
か製造できないことになる。本発明では、自然充填密度
の低い粉末を使用するときでも、一旦、高密度に充填し
た後、配向用磁界が印加されるので、ラジアル磁界印加
が必要な円筒状空間の高さが低くなり、必要な成形体の
内径や高さに対する制限が大幅に緩和される。円筒状空
間の高さが低くなる上に、パルスにより高磁界が印加で
きるので、小さい内径や高い高さのラジアル円筒形磁石
用の高配向成形体が成形できる。即ち、高特性、高エネ
ルギー積ラジアル異方性円筒形磁石の製造が、Nd−F
e−B焼結磁石でもフェライト磁石でも可能となる。
【0028】成形工程の前工程において円筒状キャビテ
ィm3に磁石粉末或いは混合粉末が高密度に充填された
ゴムモールドm等が、インデックステーブル10の間欠
回転により、図1に示されているような成形工程位置に
移送された場合には、図示されていないプレスプランジ
ャーを作動させて上パンチp2を下降させ、上パンチp
2をダイdの上面d2上に載置するとともに、更に、上
パンチp2を下降させると、ダイdと補助支持プレート
12間に配設されたスプリング18に抗して、ダイdが
上パンチp2とともに下降する。このように上パンチp
2及びダイdが下降すると、ダイd、下パンチp1及び
上パンチp2により形成されるゴムモールドmが装填さ
れている空間、即ち、ダイキャビティ13の深さが浅く
なり、従って、ダイキャビティ13に装填されているゴ
ムモールドmの円筒状キャビティm3が内側に収縮し、
円筒状キャビティm3に充填された磁石粉末或いは混合
粉末が圧縮され円筒形の成形体が成形されることにな
る。なお、上パンチp2を固定し、インデックステーブ
ル10を上昇させることにより、ダイd及び下パンチp
1を上昇させて、円筒状キャビティm3に充填された磁
石粉末或いは混合粉末を圧縮することも、また、上パン
チp2を下降させるとともに、ダイd及び下パンチp1
を上昇させて、円筒状キャビティm3に充填された磁石
粉末或いは混合粉末を圧縮することもできる。
【0029】ところで、円筒状キャビティm3に高密度
に充填された磁石粉末或いは混合粉末中の磁石粉末をラ
ジアル方向に配向させるために、下部コイルc1と上部
コイルc2に、互いに逆方向の電流を流すことにより、
上パンチp2がダイdの上面d2上に載置された状態の
部分拡大断面図である図2に示されているような、磁石
粉末或いは混合粉末が充填された円筒状キャビティm3
を略横切る平行なパルス磁界を発生させることができる
が、このようなパルス磁界の印加タイミングは、上パン
チp2がダイdの上面d2上に載置された後で高密度に
充填された磁石粉末或いは混合粉末の圧縮の開始前或い
は高密度に充填された磁石粉末或いは混合粉末の圧縮が
開始された後で、磁石粉末或いは混合粉末が圧縮され過
ぎて磁石粉末の配向が困難になるまでの間である。上パ
ンチp2がダイdの上面d2上に載置される前に、パル
ス磁界を印加すると磁石粉末或いは混合粉末が飛び出る
可能性があり、また、圧縮が開始されてしばらくすると
磁石粉末或いは混合粉末が圧縮され過ぎて、パルス磁界
を印加しても磁石粉末の配向が十分行われなくなる。こ
のようなパルス磁界の印加タイミングに関しては、本出
願人に係る出願である特願平5−209887号等に記
載されている。
【0030】図3は、本発明の別の実施例を示す図2と
同様の上パンチp2がダイdの上面d2上に載置された
状態を示す部分拡大断面図であり、下パンチp1、上パ
ンチp2及びダイdの各構成部材中に記載されている
「A」は、構成部材が非磁性鋼で形成されていること
を、また、「B」は、構成部材が磁性鋼で形成されてい
ることを表している。
【0031】図4は、同じく本発明の別の実施例を示す
図2と同様の上パンチp2がダイdの上面d2上に載置
された状態を示す部分拡大断面図であり、下パンチp
1、上パンチp2及びダイdの各構成部材の鋼材を、図
4に示されているように非磁性鋼及び磁性鋼で形成する
ことにより、下パンチp1側に配設された下部コイルc
1を省略し、上パンチp2側に配設された上部コイルc
2のみで、ゴムモールドmの円筒状キャビティm3に充
填された磁石粉末或いは混合粉末に平行なパルス磁界を
印加することができるように構成されている。下パンチ
p1、上パンチp2及びダイdの各構成部材の鋼材を、
非磁性鋼或いは磁性鋼で形成するかは、必要に応じて適
宜、選択することができるものであり、図1〜図4及び
後述する図5に示されている非磁性鋼或いは磁性鋼の配
置或いは組み合わせは、例示的なものであって、このよ
うな実施例に何ら限定されるものではない。
【0032】図5は、図1と同様のゴムモールド型成形
装置の一部断面を含む正面図であり、上パンチp2側の
上部コイルc2を、上パンチp2の外周に取り付けると
ともに、下部下パンチ部15bの周囲に形成された空間
部に配設された下部コイルc1も、上パンチp2側に配
設したものである。図1に示されているように、上パン
チp2の上パンチコアー部19の周囲に設けられた空間
部20に上部コイルc2を配設した場合には、空間部2
0の大きさには限界があるので、大きな上部コイルc2
を配設することができず、印加できる磁界を大きくする
ことができない。また、下部コイルc1を、下部下パン
チ部15bの周囲に形成された空間部に配設した場合に
は、下パンチp1及びダイdがインデックステーブル1
0とともに回転する装置においては、下部コイルc1へ
の電流導入端子を着脱できるように構成しなければなら
ないこと或いは下部下パンチ部15bの周囲に形成され
る空間部の大きさをあまり大きくできないので、下部コ
イルc1の大きさに限界があり、従って、印加できる磁
界を大きくすることができない等の問題がある。
【0033】図5に示されているように、上パンチp2
側の上部コイルc2を、上パンチp2の外周に取り付け
るとともに、下部コイルc1を、上パンチp2の外周に
配設された上部コイルc2の下方に、上部コイルc2と
同様に上パンチp2に取り付け、上パンチp2がダイd
の上面d2に載置された際に、下部コイルc1がダイd
を囲むように、しかも、ゴムモールドmの底部付近に位
置するようにする。このように構成することにより、上
述した下部コイルc1へ電流導入端子を着脱自在に取り
付ける問題が解消できるとともに、下部コイルc1及び
上部コイルc2を大きくすることができ、従って、大き
な磁界を発生することができる。
【0034】図5に示されているコイルc1、c2の径
は、当然のことながら、図1に示されているコイルc
1、c2の径に比べ大きくなる。大きい径のコイルc
1、c2で、磁石粉末或いは混合粉末が充填される円筒
状空間にラジアル配向用磁界を効率的に発生させるため
に、下パンチp1の上端部と上パンチp2の下端部に、
それぞれ、高電気伝導円板s1、s2を配設する。高電
気伝導円板s1、s2の中央には、高電気伝導円板s
1、s2の平面図である図6(図6には、便宜的に、一
方の高電気伝導円板s1の平面図が示されている。)に
示されているように、下パンチp1の下パンチコアー部
15a及び上パンチコアー部19が挿入できる透孔s
1’、s2’が、それぞれ、穿設されているとともに、
高電気伝導円板s1、s2にはスリットs3が設けられ
ている。このような高電気伝導円板s1、s2を配設す
ることにより、コイルc1、c2により発生した磁束
は、高電気伝導円板s1、s2の透孔s1’、s2’に
収束し、図1に示されているように、小さいコイルc
1、c2を使用したときによく似た磁束分布になるとと
もに、高電気伝導円板s1、s2に流れる渦電流によっ
て、高電気伝導円板s1、s2の透孔s1’、s2’を
通る磁束の磁束密度は、高電気伝導円板s1、s2がな
い場合より強くなる。即ち、高電気伝導円板s1、s2
により、高電気伝導円板s1、s2の透孔s1’、s
2’の部分では磁界が強くなる。なお、必要に応じて、
高電気伝導円板s1、s2を複数枚配設し、高電気伝導
円板s1、s2による磁束収束効果を更に高めることが
できる。
【0035】上述したようなゴムモールド型成形方法及
び装置により成形された高配向の磁石粉末からなるラジ
アル異方性円筒形成形体を焼結することにより、ラジア
ル異方性円筒形焼結磁石を製造することができるととも
に、磁石粉末中に樹脂粉末を混合して高配向のラジアル
異方性円筒形成形体を成形した後に、熱処理を施して樹
脂粉末を溶融硬化させてラジアル異方性円筒形ボンド磁
石を製造することもできる。
【0036】また、上述したようなゴムモールドmに高
密度に充填された磁石粉末或いは混合粉末を下パンチp
1及び上パンチp2間で成形するとともに、パルス磁界
により磁石粉末が配向された成形体を、更により高密度
化するために、図7に示されている従来のダイプレス装
置から上部コイル7及び下部コイル8を除去したダイプ
レス装置を用いて、更に成形体を圧縮し、より強固な成
形体に成形することができる。このように、更にダイプ
レス装置により圧縮することにより、より強力な磁力を
有し、しかも、強固な成形体を成形することができると
ともに、寸法精度の向上した成形体を成形することがで
きる。
【0037】以下に、上述したような構成を有する本発
明が奏する作用効果について列挙する。
【0038】ラジアル異方性配向用磁界として直流磁界
を使用する場合には、コイルの発熱の問題と、直流磁界
発生には不可欠の鉄心の磁化飽和の問題のために、粉末
が充填される円筒状空間にラジアル異方性配向用の強い
磁界を印加することは困難であり、とりわけ、粉末が充
填される円筒状空間の円筒内径が小さいもの、円筒の高
さが高いものでは極めて困難であった。しかし、本発明
のように、ラジアル異方性配向用磁界としてパルス磁界
を使用することにより、上記のコイルの発熱問題は大き
く軽減され又は除去され、且つ、パルスコイルは鉄心を
使わない空芯タイプであるので、鉄心の磁化飽和の問題
も解消できる。従って、ラジアル異方性配向用磁界とし
て十分大きい磁界を印加することができ、高い配向度を
持つラジアル異方性円筒磁石を製造することができる。
【0039】HDDR粉末のように高い保磁力を持つ粉
末を使用して成形体を成形後、成形体を成形装置から取
り出す前の消磁工程において、直流磁界コイルでは、消
磁に必要な十分高い逆磁界を印加することができない。
本発明の方法及び装置では、パルス磁界コイルを使用す
るので、保磁力を上回る十分高い逆磁界を印加でき、ほ
ぼ完全に消磁できる。従って、クラックのない、且つ、
余分な粉末が付着していない成形体を作製することがで
き、且つ、成形体同士がくっついて絡まり合い取扱いを
困難にする等の問題が解消できる。
【0040】自然充填密度が低い粉末の場合、従来のダ
イプレス方法及びダイプレス装置では、所要の成形体の
寸法の約3倍もの高さの空間に、強い均一なラジアル磁
界を形成しなくてはならないが、このように高さの高い
円筒状空間に均一な強いラジアル磁界を形成することは
極めて困難であり、成形体の内径や高さに厳しい制限が
付与されることになる。従って、最終製品として、高さ
の極めて低い又は内径の極めて大きい円筒状磁石しか製
造できなかった。本発明では、自然充填密度の低い粉末
を使用するときでも、一旦、高密度に充填した後、ラジ
アル配向用磁界が印加されるので、ラジアル磁界印加が
必要な円筒状空間の高さが低くなり、必要な成形体の内
径や高さに対する制限が大幅に緩和される。また、円筒
状空間の高さが低くなる上に、パルスにより高磁界が印
加できるので、小さい内径や高い高さのラジアル円筒形
磁石用の高配向成形体が成形できる。即ち、高特性、高
エネルギー積ラジアル異方性円筒形磁石の製造が、Nd
−Fe−B焼結磁石でもフェライト磁石でも可能とな
る。
【0041】上述した作用効果に加えて、本発明のゴム
モールド型成形装置による圧縮工程においては、上パン
チp2がダイdに挿入されることなく、単に、ダイdの
上面d2上に載置されるだけで成形が行われるように構
成されているので、従来のように、インデックステーブ
ル10の正確な位置決めが不必要になり、従って、位置
決め時間に要していた時間が短縮化され、成形体の生産
性が向上する。
【0042】また、インデックステーブル10の間欠回
転機構に、精密な位置決め機構を配設する必要がないの
で、装置の構造を簡素化することができ、従って、装置
のコストダウン及び保守点検作業の簡略化が実現でき、
ひいては、成形される成形体の製造コストの低減化が実
現できる。
【0043】更に、従来のように、上パンチp2がダイ
dに挿入されるような構成ではないので、ゴムモールド
mが、上パンチp2の外周とダイdの内周の間の隙間に
食い込まれるようなことがなく、従って、ゴムモールド
mの食い込みにより発生するゴムモールドmの破損や成
形体の損傷の問題が解消できる。
【0044】更にまた、ダイdが上パンチp2とともに
下降するように構成されているので、ゴムモールドmと
ダイd間に発生する摩擦力が減少し、従って、ゴムモー
ルドmが上パンチp2の移動方向と直交する方向に均一
に変形し、ゴムモールドmの円筒状キャビティm3に充
填された磁石粉末或いは混合粉末の疑似等方的変形が促
進され、密度の均一な成形体を製造することができる。
【0045】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0046】ラジアル異方性配向用磁界として直流磁界
を使用する場合には、コイルの発熱の問題と、直流磁界
発生には不可欠の鉄心の磁化飽和の問題のために、粉末
が充填される円筒状空間にラジアル異方性配向用の強い
磁界を印加することは困難であり、とりわけ、粉末が充
填される円筒状空間の円筒内径が小さいもの、円筒の高
さが高いものでは極めて困難であった。しかし、本発明
のように、ラジアル異方性配向用磁界としてパルス磁界
を使用することにより、上記のコイルの発熱問題は大き
く軽減され又は除去され、且つ、パルスコイルは鉄心を
使わない空芯タイプであるので、鉄心の磁化飽和の問題
も解消できる。従って、ラジアル異方性配向用磁界とし
て十分大きい磁界を印加することができ、高い配向度を
持つラジアル異方性円筒磁石を製造することができる。
【0047】HDDR粉末のように高い保磁力を持つ粉
末を使用して成形体を成形後、成形体を成形装置から取
り出す前の消磁工程において、直流磁界コイルでは、消
磁に必要な十分高い逆磁界を印加することができない。
本発明の方法及び装置では、パルス磁界コイルを使用す
るので、保磁力を上回る十分高い逆磁界を印加でき、ほ
ぼ完全に消磁できる。従って、クラックのない、且つ、
余分な粉末が付着していない成形体を作製することがで
き、且つ、成形体同士がくっついて絡まり合い取扱いを
困難にする等の問題が解消できる。
【0048】自然充填密度が低い粉末の場合、従来のダ
イプレス方法及びダイプレス装置では、所要の成形体の
寸法の約3倍もの高さの空間に、強い均一なラジアル磁
界を形成しなくてはならないが、このように高さの高い
円筒状空間に均一な強いラジアル磁界を形成することは
極めて困難であり、成形体の内径や高さに厳しい制限が
付与されることになる。従って、最終製品として、高さ
の極めて低い又は内径の極めて大きい円筒状磁石しか製
造できなかった。本発明では、自然充填密度の低い粉末
を使用するときでも、一旦、高密度に充填した後、ラジ
アル配向用磁界が印加されるので、ラジアル磁界印加が
必要な円筒状空間の高さが低くなり、必要な成形体の内
径や高さに対する制限が大幅に緩和される。また、円筒
状空間の高さが低くなる上に、パルスにより高磁界が印
加できるので、小さい内径や高い高さのラジアル円筒形
磁石用の高配向成形体が成形できる。即ち、高特性、高
エネルギー積ラジアル異方性円筒形磁石の製造が、Nd
−Fe−B焼結磁石でもフェライト磁石でも可能とな
る。
【0049】ゴムモールド中で成形体を成型後に、更
に、ダイプレスすることにより、より強力な磁力を有
し、しかも、強固な成形体を成形することができるとと
もに、寸法精度の向上した成形体を成形することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のゴムモールド型成形装置の一部
断面を含む正面図である。
【図2】図2は本発明の上パンチがダイの上面に載置さ
れた状態を示す部分拡大断面図である。
【図3】図3は本発明の別の実施例を示す図2と同様の
上パンチがダイの上面に載置された状態を示す部分拡大
断面図である。
【図4】図4は更に本発明の別の実施例を示す図2と同
様の上パンチがダイの上面に載置された状態を示す部分
拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の他の実施例のゴムモールド型成
形装置の一部断面を含む正面図である。
【図6】図6は高電気伝導円板の平面図である。
【図7】図7は従来のダイプレス装置の概略断面図であ
る。
【符号の説明】
d・・・・・・・・ダイ c1・・・・・・・下部コイル c2・・・・・・・上部コイル m・・・・・・・・ゴムモールド p1・・・・・・・下パンチ p2・・・・・・・上パンチ A・・・・・・・・非磁性鋼 B・・・・・・・・磁性鋼

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴムモールドと下パンチにより形成される
    円筒状空間部に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混
    合粉末を充填後、磁石粉末或いは上記混合粉末の圧縮開
    始前に或いは圧縮開始後の所定時間内に、ゴムモールド
    内に充填された磁石粉末或いは上記混合粉末にラジアル
    方向のパルス磁界を印加して成形体を成型し、次いで、
    該成形体を焼結或いは熱処理してラジアル異方性円筒形
    磁石を製造することを特徴とするラジアル異方性円筒形
    磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】底部に下パンチの下パンチコアー部が挿入
    可能な透孔を有するゴムモールドを、下パンチ及びダイ
    により形成されるダイキャビティ内に装填し、次いで、
    ゴムモールドと下パンチにより形成される円筒状空間部
    に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末を充填
    後、磁石粉末或いは上記混合粉末の圧縮開始前に或いは
    圧縮開始後の所定時間内に、ゴムモールド内に充填され
    た磁石粉末或いは上記混合粉末にラジアル方向のパルス
    磁界を印加して成形体を成型し、次いで、該成形体を焼
    結或いは熱処理してラジアル異方性円筒形磁石を製造す
    ることを特徴とするラジアル異方性円筒形磁石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】ゴムモールドと下パンチにより形成される
    円筒状空間部に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混
    合粉末を充填後、磁石粉末或いは上記混合粉末の圧縮開
    始前に或いは圧縮開始後の所定時間内に、ゴムモールド
    内に充填された磁石粉末或いは上記混合粉末にラジアル
    方向のパルス磁界を印加して成形体を成型し、次いで、
    該成形体をダイプレスして更に高密度化した後、成形体
    を焼結或いは熱処理してラジアル異方性円筒形磁石を製
    造することを特徴とするラジアル異方性円筒形磁石の製
    造方法。
  4. 【請求項4】底部に下パンチの下パンチコアー部が挿入
    可能な透孔を有するゴムモールドを、下パンチ及びダイ
    により形成されるダイキャビティ内に装填し、次いで、
    ゴムモールドと下パンチにより形成される円筒状空間部
    に磁石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末を充填
    後、磁石粉末或いは上記混合粉末の圧縮開始前に或いは
    圧縮開始後の所定時間内に、ゴムモールド内に充填され
    た磁石粉末或いは上記混合粉末にラジアル方向のパルス
    磁界を印加して成形体を成型し、次いで、該成形体をダ
    イプレスして更に高密度化した後、成形体を焼結或いは
    熱処理してラジアル異方性円筒形磁石を製造することを
    特徴とするラジアル異方性円筒形磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】下パンチ及びダイにより形成されるダイキ
    ャビティ内に装填されるゴムモールド、ゴムモールドと
    下パンチにより形成される円筒状空間部に充填された磁
    石粉末或いは磁石粉末と樹脂粉末の混合粉末に、ラジア
    ル方向のパルス磁界を印加するためのコイルとからなる
    ことを特徴とするラジアル異方性円筒形磁石の製造装
    置。
  6. 【請求項6】下パンチコアー部を有する下パンチ、下パ
    ンチ及びダイにより形成されるダイキャビティ内に装填
    される底部に下パンチコアー部が挿入可能な透孔を有す
    るゴムモールド、ゴムモールドと下パンチにより形成さ
    れる円筒状空間部に充填された磁石粉末或いは磁石粉末
    と樹脂粉末の混合粉末に、ラジアル方向のパルス磁界を
    印加するためのコイルからなることを特徴とするラジア
    ル異方性円筒形磁石の製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7524453B2 (en) 2004-09-22 2009-04-28 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Apparatus for manufacturing ring-shaped powder compact and method of manufacturing sintered ring magnet
US7618496B2 (en) * 2001-10-31 2009-11-17 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Radial anisotropic sintered magnet and its production method, magnet rotor using sintered magnet, and motor using magnet rotor

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US7948135B2 (en) 2001-10-31 2011-05-24 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Radial anisotropic sintered magnet and its production method, magnet rotor using sintered magnet, and motor using magnet rotor
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