JPH07262856A - 位置決めグロメット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組み付けに手間がかからず、防水性に影響を
及ぼすことがなく、かつワイヤーハーネスの曲げ位置を
正確に位置決めできる位置決めグロメットを提供する。 【構成】 グロメット本体１の外面に凹溝１３を形成
し、この凹溝１３に、電線束を所定の角度に曲げるべく
案内するガイド部材２を係合して位置決めする。 【効果】 仕切り板等の板材を貫通し、その直後に所定
の角度に折り曲げられるワイヤーハーネスを、より簡単
かつ正確に配索できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、仕切り板等の板材に
穿設した孔にワイヤーハーネスを貫通させる際に、当該
ワイヤーハーネスを板材に対して固定する位置決めグロ
メットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、自動車のエンジンルームと室
内とを仕切る仕切り板等の板材に孔を穿設し、この孔に
ワイヤーハーネスを貫通させる際には、孔の縁が当たっ
てワイヤーハーネスに傷が入ったりするのを防止すべ
く、ワイヤーハーネスを板材に対して位置決めするとと
もに、仕切り板の防水を維持するために、図４に示すよ
うな、ゴム製または柔軟な樹脂製のグロメット９が使用
される。

【０００３】上記グロメット９は、全体が略円すい形状
を有し、その頂部にワイヤーハーネスのもとになる電線
束が挿通される貫通孔９１が設けられ、かつその裾部
に、板材の孔の縁と、その全周に亘って嵌合される環状
の嵌合凹部９２が設けられたものである。上記グロメッ
ト９を備えたワイヤーハーネスは、当該ワイヤーハーネ
スのもとになる電線束の所定の位置にグロメット９を配
置し、このグロメット９の頂部付近から電線束にかけ
て、粘着テープを巻きつけて、グロメット９を電線束に
対して固定することで構成される。

【０００４】また、たとえばエンジンルーム内のレイア
ウト等の関係で、グロメット９の頂部の貫通孔９１から
出た直後の電線束を直角に折り曲げる必要がある場合に
は、略Ｌ字状の金具をガイド部材として、電線束の折り
曲げ位置に当てがって電線束を直角に曲げた状態で、そ
の上から、ガイド部材ごと電線束に粘着テープを巻きつ
けて固定することで、ワイヤーハーネスが構成される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のワイ
ヤーハーネスの製造工程においては、目視で、あるいは
ゲージ等を用いて、作業者がグロメットとガイド部材を
１つずつ位置決めしながら、粘着テープを巻きつけて固
定していたため、作業が煩雑であるとともに、両者の位
置に組み付けずれが発生するおそれがあった。また、グ
ロメットとガイド部材は、それぞれ電線束に対して粘着
テープで固定されているだけで、直接には位置決めされ
ていないため、搬送時等に外力が加わると、両者の位置
にずれが発生するおそれもあった。

【０００６】そして、両者の位置にずれが発生すると、
仕切り板等の板材の孔にグロメットを固定した際に、ワ
イヤーハーネスが、板材の近傍の、干渉してはならない
部品と干渉して、組み付けができなくなるという不具合
を生じる場合があった。電線束をガイドするガイド部材
を、ねじや樹脂クリップ等によって板材に直接固定する
ことも提案されている（実開平１−９６７２１号公報参
照）が、この場合、組み付けに手間がかかるという問題
がある。また板材に、ねじや樹脂クリップ等を取り付け
るための孔が必要となるため、とくに防水性が要求され
る、前記自動車のエンジンルームと室内とを仕切る仕切
り板等には適用できないという問題もある。

【０００７】この発明はこのような背景技術のもとにな
されたもので、組み付けに手間がかからない上、防水性
にも影響を及ぼすことがなく、しかも、ワイヤーハーネ
スの曲げ位置を正確に位置決めできる、新規な位置決め
グロメットを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
電線束に固定されて、当該電線束とともにワイヤーハー
ネスを構成し、板材に穿設した孔に嵌合されて、ワイヤ
ーハーネスを板材に対して固定する位置決めグロメット
において、全体が略円すい形状を有し、その頂部に、電
線束が挿通される貫通孔が設けられ、かつその裾部に、
板材の孔の縁と嵌合される環状の嵌合部が設けられてい
るとともに、その外面に、円すいの底面と平行に凹溝が
設けられたグロメット本体と、上記グロメット本体の凹
溝に係合されて、当該グロメット本体に対して位置決め
された状態で、頂部の貫通孔から導出された電線束を所
定の角度に曲げるべく案内するガイド部材とを備えるこ
とを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】この発明の位置決めグロメットは、グロメット
本体の外面に設けた凹溝に、ガイド部材を係合させるこ
とにより、ガイド部材が、グロメット本体に対して正確
に位置決めされる。したがって電線束を、グロメット本
体の貫通孔に挿通し、ガイド部材で案内しつつ所定の角
度に曲げた状態で、このグロメット本体の頂部付近から
電線束にかけて、ガイド部材ごと粘着テープを巻きつけ
て、ワイヤーハーネスを構成すれば、ワイヤーハーネス
の曲げ位置を正確に位置決めすることが可能となる。

【００１０】また、上記この発明の位置決めグロメット
によれば、ゲージ等を用いて、作業者がグロメットとガ
イド部材を１つずつ位置決めする必要がない上、ねじや
樹脂クリップ等が不要であるため組み付けに手間がかか
らない。しかも、板材に孔を設ける必要もないので、防
水性に影響を及ぼすおそれもない。

【００１１】

【実施例】以下に、図面を参照して、この発明の一実施
例について詳細に説明する。まず図１(a) に示した実施
例の位置決めグロメットＧについて説明する。図の位置
決めグロメットＧは、全体が略円すい形状を有する、ゴ
ム製または柔軟な樹脂製のグロメット本体１と、電線束
を所定の角度に曲げるべく案内するガイド部材２とを備
えている。

【００１２】グロメット本体１は、その頂部付近が四角
柱状に形成された略円すい形状を有しており、この四角
柱の中心に、図１(b) に示すように電線束Ｗが挿通され
る貫通孔１１が設けられ、かつ円すいの裾部に、板材の
孔の縁と嵌合される環状の嵌合凹部１２が設けられたも
のである。また上記四角柱の外面の、相背向する２面に
は、円すいの底面と平行に、３本ずつの凹溝１３が形成
されている。

【００１３】一方ガイド部材２は、全体が略Ｌ字状に曲
成された１枚の金属板からなり、その短辺２１側の先端
が、長辺２２と同方向に折曲されて、図中一点鎖線で示
すように、グロメット本体１の凹溝１３に係合される係
合部２３となっている。上記グロメット本体１とガイド
部材２においては、グロメット本体１の頂部の四角柱の
外面に形成した凹溝１３のうち任意の凹溝１３に、ガイ
ド部材２の係合部２３を係合させることで、当該ガイド
部材２を、グロメット本体１に対して３段階で位置決め
することができる。

【００１４】上記グロメット本体１とガイド部材２から
なる位置決めグロメットＧを電線束に取り付けるには、
まず図１(b) に示すように、グロメット本体１の貫通孔
１１に電線束Ｗを挿通する。つぎに、図２(a) に示すよ
うに、ガイド部材２を電線束Ｗの折り曲げ位置に当てが
って、当該電線束Ｗを直角に曲げつつ、ガイド部材２の
係合部２３を、グロメット本体１の頂部の四角柱の外面
に形成した凹溝１３のうちの所定（図では一番先端側）
の凹溝１３に係合させて、ガイド部材２を、グロメット
本体１に対して位置決めする。

【００１５】そして図２(b) に示すように、グロメット
本体１の四角柱の部分から電線束Ｗにかけて、ガイド部
材２ごと粘着テープＴを巻きつけると、ガイド部材２に
よって曲げ位置が正確に位置決めされたワイヤーハーネ
スを構成することができる。以上のように、この実施例
の位置決めグロメットＧによれば、グロメット本体１の
外面に設けた凹溝１３にガイド部材２の係合部２３を係
合させることにより、ガイド部材２が、グロメット本体
１に対して位置決めされ、その結果、ワイヤーハーネス
の曲げ位置を正確に位置決めできる。またガイド部材２
の係合部２３を係合させる凹溝１３を選択することで、
ワイヤーハーネスの曲げ位置を３段階で調整することも
できる。

【００１６】つぎに、図３(a) の実施例について説明す
る。図の位置決めグロメットＧは、グロメット本体１と
ガイド部材２の係合形状、およびガイド部材２自体の形
状が、先の実施例のものと異なっている。すなわちグロ
メット本体１は、その頂部付近が円柱状に形成された略
円すい形状を有しており、この円柱の中心に、電線束が
挿通される貫通孔１１が設けられ、かつ円すいの裾部
に、板材の孔の縁と嵌合される環状の嵌合凹部１２が設
けられているとともに、円柱の周囲に、その全周に亘っ
て、円すいの底面と平行に、３本の凹溝１４が形成され
ている。

【００１７】一方、ガイド部材２は、円筒を２つ割り
し、それをさらに短辺２４と長辺２５からなるＬ字状に
曲成した形状を有しており、その短辺２４側の先端の、
円筒の内方に、上記グロメット本体１の凹溝１４の形状
に合わせた内鍔状の係合部２６を突出形成したものであ
る。グロメット本体１は、全体がゴムまたは柔軟な樹脂
等の柔軟な材料からなり、ガイド部材２は、全体が金属
や硬質樹脂等の硬質な材料で形成されている。

【００１８】上記グロメット本体１とガイド部材２とを
備えた、この実施例の位置決めグロメットＧにおいて
は、ガイド部材２の係合部２６を、グロメット本体１の
凹溝１４に、任意の方向から係合させることができる。
したがって、ワイヤーハーネスの曲げ方向を任意に設定
できるという利点がある。つぎに、図３(b) の実施例に
ついて説明する。

【００１９】図の位置決めグロメットＧは、グロメット
本体１とガイド部材２の係合形状、およびガイド部材２
自体の形状が、先の２つの実施例のものと異なってい
る。すなわちグロメット本体１は、その頂部付近が円柱
状に形成された略円すい形状を有しており、この円柱の
中心に、電線束が挿通される貫通孔１１が設けられ、か
つ円すいの裾部に、板材の孔の縁と嵌合される環状の嵌
合凹部１２が設けられているとともに、円柱の周囲でな
く、円すいの裾寄りの位置に、その全周に亘って、円す
いの底面と平行に凹溝１５が形成されている。

【００２０】またガイド部材２は、グロメット本体１
の、上記凹溝１５が形成された部分の外径に合わせた、
大径の内鍔状の係合部２７を備えている。グロメット本
体１は、全体がゴムまたは柔軟な樹脂等の柔軟な材料か
らなり、ガイド部材２は、全体が金属や硬質樹脂等の硬
質な材料で形成されている。上記グロメット本体１とガ
イド部材２とを備えた、この実施例の位置決めグロメッ
トＧにおいては、先の図３(a) の実施例と同様に、ガイ
ド部材２の係合部２７を、グロメット本体１の凹溝１５
に、任意の方向から係合できるので、ワイヤーハーネス
の曲げ方向を任意に設定できる。

【００２１】また、凹溝１５と係合部２７との係合量が
大きいので、外力に対してより強く、ずれのない係合が
可能となる。また上記実施例の場合、ガイド部材２が、
グロメット本体１の、円すいの裾寄りの位置に係合され
るので、たとえばグロメット本体１の頂部付近を、ワイ
ヤーハーネスの曲げ方向に曲げることもできる。したが
って、グロメット本体１の頂部付近にガイド部材２が係
合される、先の２つの実施例に比べて、ワイヤーハーネ
スの曲げ位置を、仕切り板等の板材側に近づけることが
でき、よりクリアランスの小さい隙間へのワイヤーハー
ネスの配索が可能となる。

【００２２】なお、以上で説明した各実施例において
は、ガイド部材２が、電線束を直角に曲げるためのもの
に限定されていたが、この発明で使用されるガイド部材
は、電線束を直角以外の所定の角度に曲げるものであっ
てもよい。グロメット本体１の凹溝の形状や、それと係
合されるガイド部材２の係合部の形状は、以上で説明し
た各実施例のものには限定されず、種々の形状を採用す
ることができる。

【００２３】凹溝は、グロメット本体の外面に形成され
ていればよく、その数や配置等についてはとくに限定さ
れない。その他、この発明は、実施例の説明にとらわれ
ることなく、請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更が
可能である。

【００２４】

【発明の効果】この発明にかかる位置決めグロメット
は、グロメット本体と、このグロメット本体に対して係
合されて位置決めされるガイド部材とからなるものゆ
え、ワイヤーハーネスの曲げ位置を正確に位置決めする
ことができる。また、ゲージ等を用いて１つずつ位置決
めする必要がなく、かつねじや樹脂クリップ等が不要で
あるため組み付けに手間がかからない上、防水性にも影
響を及ぼすことがない。

【００２５】したがってこの発明の位置決めグロメット
によれば、仕切り板等の板材を貫通し、その直後に所定
の角度に折り曲げられるワイヤーハーネスを、より簡単
かつ正確に配索することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】同図(a) は、この発明の位置決めグロメットの
一実施例を示す分解斜視図、同図(b) は、上記実施例の
位置決めグロメットを用いて、ワイヤーハーネスを構成
する工程を示す斜視図である。

【図２】同図(a)(b)は、図１(a) の実施例の位置決めグ
ロメットを用いて、ワイヤーハーネスを構成する工程を
示す斜視図である。

【図３】同図(a)(b)はそれぞれ、この発明の位置決めグ
ロメットの他の実施例を示す分解斜視図である。

【図４】従来のグロメットの斜視図である。

【符号の説明】

Ｇ 位置決めグロメット １ グロメット本体 １１ 貫通孔 １２ 嵌合部（嵌合凹部） １３ 凹溝 １４ 凹溝 １５ 凹溝 ２ ガイド部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電線束に固定されて、当該電線束とともに
   ワイヤーハーネスを構成し、板材に穿設した孔に嵌合さ
   れて、ワイヤーハーネスを板材に対して固定する位置決
   めグロメットにおいて、 全体が略円すい形状を有し、その頂部に、電線束が挿通
   される貫通孔が設けられ、かつその裾部に、板材の孔の
   縁と嵌合される環状の嵌合部が設けられているととも
   に、その外面に、円すいの底面と平行に凹溝が設けられ
   たグロメット本体と、 上記グロメット本体の凹溝に係合されて、当該グロメッ
   ト本体に対して位置決めされた状態で、頂部の貫通孔か
   ら導出された電線束を所定の角度に曲げるべく案内する
   ガイド部材と、を備えることを特徴とする位置決めグロ
   メット。